JP2013172550A - モータ制御装置及びモータの3相電圧指令生成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御に含まれるばらつきや非線形要素を各相に分離した状態で制御する際に、制御帯域が低い場合でも制御精度を低下させることなく、モータのトルクリップルや騒音を低減する。
【解決手段】実施形態のモータ制御装置によれば、位置検出部によりロータの回転位置を検出し、電流検出部によりモータの相電流を検出する。dq軸指令値出力部が、制御指令に応じて、ベクトル制御におけるdq軸電流指令値を出力すると、指令値座標変換部は、そのdq軸電流指令値を、ロータの回転位置に基づいて3相座標系の3相電流指令値に変換する。電圧指令生成部は、電流検出部により検出される3相電流との偏差についてPI制御演算を行った結果と、前記偏差について、前記ロータの回転位置に応じて変動する補正値を乗じた結果とを加算して3相電圧指令を生成する。
【選択図】図1
【解決手段】実施形態のモータ制御装置によれば、位置検出部によりロータの回転位置を検出し、電流検出部によりモータの相電流を検出する。dq軸指令値出力部が、制御指令に応じて、ベクトル制御におけるdq軸電流指令値を出力すると、指令値座標変換部は、そのdq軸電流指令値を、ロータの回転位置に基づいて3相座標系の3相電流指令値に変換する。電圧指令生成部は、電流検出部により検出される3相電流との偏差についてPI制御演算を行った結果と、前記偏差について、前記ロータの回転位置に応じて変動する補正値を乗じた結果とを加算して3相電圧指令を生成する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、初段の指令値としてベクトル制御のd軸,q軸電流指令を与え、それらの指令を3相電流指令に変換してから3相電圧指令を生成し、電力変換器を介してモータに3相交流を出力するモータ制御装置及びモータの3相電圧指令生成方法に関する。
現在、家電や車載用途に適用されるモータは一般的に永久磁石同期モータ(PMSM)であることが多く、永久磁石同期モータは3相の正弦波電流によって駆動されている。また、モータを駆動する制御方式としては、ベクトル制御が広く使用されている。ベクトル制御の場合、モータの検出電流やインバータ(電力変換器)の出力は3相であり、フィードバック制御系はdq軸の2相である。したがって、2相/3相座標変換部で再び2相から3相に逆変換してモータを駆動制御する必要があり、2相/3相変換及び3相/2相変換が混在している。
ここで、理想的な2軸の駆動制御に対して、外乱や誤差については3相部分に起因する様々な問題がある。例えばインバータのスイッチング制御において上下アームのスイッチング素子を同時にオフするデッドタイムがある。デッドタイムを設けたスイッチングパターンにより発生するモータ電流には、スイッチング過渡状態の非線形要素が含まれることになる。また、モータ電流を検出する検出素子の誤差や、モータの巻線抵抗、インダクタンス、磁束のばらつきなども3相,2相間の問題として挙げられる。
例えばU相電流Iuに発生する誤差HA、フィードバック系の3相/2相変換部におけるdq軸変換により、d軸電流成分Id及びq軸電流成分Iqに含有されてしまう。そのため、電流成分Id,Iqに基づいて電流制御が行われ、PI(比例積分)制御等を経てインバータへの指令値Vd及びVqが算出され、更に2相/3相変換部でd相及びq相からUVW相に逆変換され、3相の指令値が算出される。
このような制御プロセスにより、当初はU相電流Iuのみに含まれていた誤差要素が、dq軸変換,dq/UVW変換によってインバータの指令値Vu、Vv、Vwに拡散され、U相のみならずV相及びW相の指令値にも非線形要素が含まれてしまう。つまり、モータを3相で駆動しているにも拘わらず、フィードバックの電流制御を2相で演算し、2相で決定された指令値Vd、Vqを形式的に3相指令値に変換して制御することで非線型要素が拡散し、結果として効果的なフィードバックがかからないおそれがある。したがって、前述のような誤差等が発生している場合は、トルクリップルが大きく、モータの駆動騒音が大きくなるという問題がある。このような問題に対して特許文献1では、dq軸座標系にて電流指令値を作成した後、電流フィードバックループは3相系にするという構成を用いている。
3相電流指令に基づいて3相電圧指令を生成する場合、特許文献1に開示があるように一般にPI制御が用いられる。PI制御を高周波数の制御帯域に対応させるには、比例ゲインを大きな値に設定する必要があるが、比例ゲインを大きくするとそれに伴い電流に発生するリップルも大きくなる。例えば家電製品の場合、PWM周波数が数kHz程度であることも多く、電流制御周波数がその数分の1で設定されるとリップルの増大が騒音として認識されることがある。すると、騒音の発生を抑制するため、電流制御周波数をより低く設定せざるを得ず、制御精度が低下してしまう。
そこで、制御に含まれるばらつきや非線形要素を各相に分離した状態で制御する際に、制御帯域が低い場合でも制御精度を低下させることなく、モータのトルクリップルや騒音を低減できるモータ制御装置及びモータの3相電圧指令生成方法を提供する。
実施形態のモータ制御装置によれば、位置検出部によりロータの回転位置を検出し、電流検出部によりモータの相電流を検出する。dq軸指令値出力部が、制御指令に応じて、ベクトル制御におけるdq軸電流指令値を出力すると、指令値座標変換部は、そのdq軸電流指令値を、ロータの回転位置に基づいて3相座標系の3相電流指令値に変換する。電圧指令生成部は、電流検出部により検出される3相電流との偏差についてPI制御演算を行った結果と、前記偏差について、前記ロータの回転位置に応じて変動する補正値を乗じた結果とを加算して3相電圧指令を生成する。
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、モータ制御装置の構成を示す機能ブロック図である。例えばブラシレスDCモータである永久磁石同期モータ(以下、単にモータと称す)1には、ロータの回転位置を検出するための位置センサ(例えば、ホールICやロータリエンコーダなど)2が取り付けられている。位置検出部3は、位置センサ2(位置検出部)が出力する位置信号に基づいて電気角θe,回転数ωeを検出し、出力する。
回転数指令ωref(制御指令)は、上記の制御装置により与えられ、減算器4は、回転数指令ωrefと、位置検出部3より出力される回転数ωeとの減算結果である回転数偏差ωdevをPI制御部5に出力する。尚、減算器4及びPI制御部5は、回転数制御部6(dq軸指令値出力部)を構成している。PI制御部5は、回転数偏差ωdevに対してPI制御演算を行うことでq軸電流指令Iqrefを生成し、2相/3相変換部7(指令値座標変換部)に出力する、また、2相/3相変換部7には、後述する出力電圧飽和補償部8(dq軸指令値出力部)によって生成されるd軸電流指令Idrefが入力される。
2相/3相変換部7には電気角θeが入力されており、2相/3相変換部7は電気角θeに基づいて、d,q軸電流指令Idref、Iqrefを3相電流指令Iuref,Ivref,Iwrefに変換すると、それらを減算器9u,9v,9wに出力する。また、減算器9u,9v,9wには、後述する3相電流選択部10を介して与えられる3相電流Iu,Iv,Iwが入力されており、減算器9u,9v,9wは、3相電流指令Iuref,Ivref,Iwrefと、3相電流Iu,Iv,Iwとの差Iudev,Ivdev,Iwdevを電圧指令生成部11に出力する。
電圧指令生成部11は、上記電流の差Iudev,Ivdev,Iwdevに基づいて正弦波状の交流電圧を出力するように3相電圧指令Vu,Vv,Vwを生成し、出力電圧飽和補償部8及びPWM波形形成部12に出力する。PWM波形形成部12は、3相電圧指令Vu,Vv,Vwに基づいて3相PWM信号U±,V±,W±を生成し、インバータ回路13(電力変換器)に出力する。インバータ回路13は、例えばIGBTやMOSFET等のスイッチング素子を3相ブリッジ接続して構成されており、各相出力端子は、モータ1の各相巻線に接続されている。
電流検出器14u,14v,14w(電流検出部)は、インバータ回路13の各相出力端子とモータ1の各相巻線との間に介挿されているように図示している。実際の電流検出器14u,14v,14wは、インバータ回路13の下アーム側に挿入されるシャント抵抗であり、図示の都合上電流センサのようなイメージで示している。電流検出器14u,14v,14wにより検出された各相電流Iu,Iv,Iwは、A/D変換部15を介してA/D変換されて3相電流選択部10(制御相選択部)に出力される。
電流検出器14はシャント抵抗であるため、PWM制御によるインバータ回路13のスイッチングパターンによっては、3相全ての電流が検出できない場合がある。そこで、3相電流選択部10は、電流検出器14により検出できた相の電流だけを減算器9に出力する。また、3相電流選択部10は、3相電流のうち、電流検出器14により直接検出できた2相,又は直接検出できなかった1相が何れであるかを示す信号(相電流制御選択指令)を電圧指令生成部11に出力する。電圧指令生成部11は、前記信号を受けて、電圧指令を、先ず直接検出できた2相の電流に対応するものだけについて演算する。そして、直接検出できなかった1相については、上記2相に対応する電圧指令から演算により間接的に求めるようにする。
出力電圧飽和補償部8は、インバータ回路13に入力される駆動用の直流電源電圧Vdcのレベルをモニタしている。そして、上記電源電圧Vdcと、電圧指令生成部11より入力される3相電圧指令Vu,Vv,Vwとを比較し、3相電圧指令Vu,Vv,Vwに基づきインバータ回路13が出力する交流電圧振幅が、電源電圧Vdcを超えて波形が歪むことを防止するようにd軸電流指令Idfrefを2相/3相変換部7に出力する。d軸電流指令Idfrefは、交流電圧振幅が歪むおそれがない限りゼロに設定されるが、3相電圧指令値の差電圧である線間電圧振幅がVdcの一定割合に達すると、負の値に設定されて(制御指令)いわゆる進角制御(弱め磁束制御)が行われる。
図2は、電圧指令生成部11の内部構成を1相分のみ示す機能ブロック図である。電圧指令生成部11は、PI演算部21(PI制御部),位相補償部22(位置補正部),加算器23で構成されている。PI演算部21,位相補償部22には、減算器9による電流の減算結果Idevが入力され、PI演算部21では、上記差分Idevに対してPI演算(Kp+Ki/s)を行う。ここで、
Kp:比例ゲイン,Ki:積分ゲイン,s:微分演算子
である。一方、位相補償部22では、上記差分Idevに対して位相補償演算{α・sin(θm)/s}を行う。ここで、
α:瞬時位相補償ゲイン
θm=atan(Idfref/Iqref)+θe+θuvw …(1)
である。尚、θuvwは3相電流間の120度の位相差を付与するもので、U相を基準(0度)とするとV相の場合は−120度、W相の場合は−240度に設定される。そして、加算器23は、PI演算部21,位相補償部22の演算結果を加算することで電圧指令V(u,v,w)を出力する。
Kp:比例ゲイン,Ki:積分ゲイン,s:微分演算子
である。一方、位相補償部22では、上記差分Idevに対して位相補償演算{α・sin(θm)/s}を行う。ここで、
α:瞬時位相補償ゲイン
θm=atan(Idfref/Iqref)+θe+θuvw …(1)
である。尚、θuvwは3相電流間の120度の位相差を付与するもので、U相を基準(0度)とするとV相の場合は−120度、W相の場合は−240度に設定される。そして、加算器23は、PI演算部21,位相補償部22の演算結果を加算することで電圧指令V(u,v,w)を出力する。
すなわち、電圧指令生成部11より出力される電圧指令V(u,v,w)は、次式により表わされる。
V(u,v,w)=Idev・(Kp+Ki/s)
+Idev・{α・sin(θm)/s} …(2)
以上の構成において、インバータ回路13を除く構成部分は、MCU(Micro Control Unit)が実行するソフトウェア処理により実現されている。MCUは、その他、入出力ポート、シリアル通信回路、上述したPWM制御を行うためのタイマなどを備えている。
V(u,v,w)=Idev・(Kp+Ki/s)
+Idev・{α・sin(θm)/s} …(2)
以上の構成において、インバータ回路13を除く構成部分は、MCU(Micro Control Unit)が実行するソフトウェア処理により実現されている。MCUは、その他、入出力ポート、シリアル通信回路、上述したPWM制御を行うためのタイマなどを備えている。
次に、本実施形態の作用について図3を参照して説明する。電流指令値について2相/3相変換を行うことによる作用については、特許文献1と同様であり、電圧指令生成部11の作用を中心に説明する。電圧指令生成部11では、図2及び(2)式で示すように、PI演算部21の演算結果に対して、位相補償部22による位相,ロータの回転位置θeに応じた電圧指令をフィードフォワード的に重畳している。つまり、フィードフォワード制御により位相θeに対する応答の大部分を補償した上で、補償しきれない僅かな制御量をPI制御で埋めるような作用となる。この位相補償部22の効果について、従来のPI制御のみの場合と比較し説明する。
PI制御の場合、その比例ゲインKp、積分ゲインKiの値や、制御ループのサンプリング周波数(電流制御周波数)によって制御対象の制御帯域が決定される。このため、例えばモータを高速で回転させる際に、制御帯域が電流指令値に対し充分でない場合が考えられる。図3(a)は、ある周波数についてPI制御のみ行った場合のU相電流指令値Iuref(実線)とU相電流Iu(破線)との関係を示している。正弦波状に変化する指令値Iurefに対して実際の電流Iuが追従できず、遅れが生じている。
ベクトル制御におけるdq軸の電流制御では、電流指令が直流値であるため、過渡状態を除けばモータを高速で回転させる場合でも問題が発生し難いが、3相電流制御をPI制御のみで行うと、制御帯域によってはこのような制御遅れが発生する。そこで、位相補償部22は、ロータの回転位置θeに応じた相電流指令値Iurefの変化に対して、位置θeに応じた出力を、(2)式右辺第2項で、位相θeに応じたsin(θm)(補正値)に比例して加えることで補償している。
また、位相θeは、d軸電流Idが負方向に増大している弱め磁束制御時などは進む傾向にあるため、(1)式の右辺第1項で補償している。このように位相θeに応じた変化を出力にフィードフォワード的に与えることで、制御帯域よりも高い周波数の応答を可能としている(図3(b)参照)。例えば、図3(a)に示すA点において、位相補償が無い場合、フィードバックの遅れのため電流を+側に増加させるようPI制御出力が演算されてしまうが、位相補償部22による制御結果として{α・sin(θm)/s}項の出力は電流を−側に増加させるように出力される。この結果、相電圧指令値Vuは、遅延が発生しない方向に補正される。
また、(2)式における瞬時位相補償ゲインα(補償係数)は、モータ1の回転数ωeに応じて変化させるようにする。これは、回転数ωeが低い場合は電気角θeに応じた電流指令値Irefの変化が小さいため、PI制御のみでも応答性に問題ないことが多い。しかし、回転数ωeが上昇すると、それに従い応答性が低下するため、図4に一例を示すように瞬時位相補償ゲインαを増加させることで、位相補償項の寄与を効果的に増加させる。この場合、回転数ωeに応じて変化させる瞬時位相補償ゲインαを関数で与えたり、データテーブルとしてメモリに保持しておくなどすれば良い。
尚、ここまでの説明は、モータ1の電流指令値Irefに、主に回転周波数の1次成分を反映させれば制御が良好になることを前提としている。しかし、モータによっては、誘起電圧やインダクタンスに高次の高調波成分が重畳されるものもあり、このような場合、さらに高い周波数(例えば、5次や7次など)に対する応答が求められる。例えば5次成分が顕著に表れる場合は、(2)式第2項の{α・sin(θm)/s}を、
{α・sin(5・θm)/s}としたものを、位相補償部22の機能ブロックとして並列に追加する。すなわち、(2)式に替えて(3)式を用いる。
V(u,v,w)=Idev・(Kp+Ki/s)
+Idev・{α・sin(θm)/s}
+Idev・{α・sin(5・θm)/s}…(3)
つまり、高次高調波の位相補償も並列して実行する。
{α・sin(5・θm)/s}としたものを、位相補償部22の機能ブロックとして並列に追加する。すなわち、(2)式に替えて(3)式を用いる。
V(u,v,w)=Idev・(Kp+Ki/s)
+Idev・{α・sin(θm)/s}
+Idev・{α・sin(5・θm)/s}…(3)
つまり、高次高調波の位相補償も並列して実行する。
次に、3相電流選択部10の作用について説明する。一般に3相のモータ制御においては、dq軸のベクトル制御であっても、3相電流制御であっても3相の電流検出値が必要である。しかし、電流検出器のコストや検出アルゴリズムの制約から2相のみしか検出できない場合がるため、残りの1相は3相電流値の合計がゼロであることから演算にて求めることになる。
すると、上記の演算により誤差が拡大する可能性がある。例えば、実際の電流値が
Iu=10A,Iv=−5A,Iw=−5Aであり、いまU相,V相が検出できるが、1Aの誤差が乗っていることから、Iu=11A,Iv=−4Aで検出したとする。この場合、W相電流Iwを演算で求めると、Iw=−7Aとなるため、検出できた他の2相に比べて誤差が2倍に増加する。
すると、上記の演算により誤差が拡大する可能性がある。例えば、実際の電流値が
Iu=10A,Iv=−5A,Iw=−5Aであり、いまU相,V相が検出できるが、1Aの誤差が乗っていることから、Iu=11A,Iv=−4Aで検出したとする。この場合、W相電流Iwを演算で求めると、Iw=−7Aとなるため、検出できた他の2相に比べて誤差が2倍に増加する。
このような事態を回避するため、3相電流選択部10は、電圧指令生成部11において、電圧指令を直接生成するために使用する相電流を、電流検出器14(u,v,w)で実際に検出できた2相を指定する信号を出力する。上記の例では、U相とV相のみについて図2に示す機能ブロックにより演算を行う。その結果、得られるのはU相とV相の電圧指令Vu,Vvのみであるが、残ったW相の電圧指令Vwについては、電圧指令Vu,Vvとの合計がゼロであることから演算により求める。このように、実際に検出されている相電流のみを用いることで、電流検出器14の誤差の影響が他の相へ拡大することが防止される。
以上のように本実施形態によれば、モータ制御装置は、位置検出部3によりロータの回転位置θeを検出し、電流検出器14によりモータ1の相電流Iu,Iv,Iwを検出する。回転数制御部6,出力電圧飽和補償部8が、回転数指令ωrefや出力電圧の飽和を回避するための制御指令に応じて、ベクトル制御におけるd,q軸電流指令値Idref,Iqrefを出力すると、2相/3相変換部7は、dq軸電流指令値を、ロータの回転位置θeに基づいて3相座標系の3相電流指令値Iuref,Ivref,Iwrefに変換する。
そして、電圧指令生成部11は、電流検出器14により検出される3相電流との偏差IdevについてPI制御演算を行った結果と、偏差Idevについて、ロータの回転位置θeに応じて変動する補正値sin(θm)を乗じた結果とを加算して3相電圧指令Vu,Vv,Vwを生成する。これにより、制御帯域が低い制御系においても、電流制御の追従性が良く、トルクリップル及び騒音の少ないモータ駆動制御を実現することができる。
また、位相補償部22は、演算において補正値sin(θm)の重みを決定するための瞬時位相補償ゲインαを使用し、そのゲインαを、モータ1の回転数ωeと同期して変化させるようにした。したがって、回転数ωeが上昇することに従い制御応答性が低下することを防止し、位相補償項の寄与を効果的に増加させることができる。
また、位相補償部22は、演算において補正値sin(θm)の重みを決定するための瞬時位相補償ゲインαを使用し、そのゲインαを、モータ1の回転数ωeと同期して変化させるようにした。したがって、回転数ωeが上昇することに従い制御応答性が低下することを防止し、位相補償項の寄与を効果的に増加させることができる。
また、3相電流選択部10は、3相電流のうち、電流検出器14により検出できた相の電流について電圧指令を生成させ、電流検出器14により検出できなかった相の電圧指令については、生成させた電圧指令に基づき演算により生成させるので、電流検出器14の誤差の影響が他の相へ拡大することを防止できる。この場合、3相電流選択部10は、PWM制御による所定の通電パターンに従って電流の検出相が変化する際に、電流検出器14により検出された2相について電圧指令を生成させるので、電流検出器14として3シャント方式の抵抗を用いる場合の誤差を低減できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
瞬時位相補償ゲインαを、図4とは異なるパターンで変化させても良い。また、瞬時位相補償ゲインαを、ロータの回転位置と同期して変化させたり、或いは回転数と前記回転位置との双方の変化に応じて変化させても良い。
瞬時位相補償ゲインαを、図4とは異なるパターンで変化させても良い。また、瞬時位相補償ゲインαを、ロータの回転位置と同期して変化させたり、或いは回転数と前記回転位置との双方の変化に応じて変化させても良い。
また、瞬時位相補償ゲインαを、一定の値にしても良い。この場合、電圧指令生成部11に推定回転数ωeを入力する必要はない。
インバータ回路の下アーム側に各相のシャント抵抗を挿入することに替えて、インバータ回路の直流部にシャント抵抗を1つだけ挿入しても良い。但しこの場合、1PWM周期内で2相の電流が検出可能となるように、3相PWMパルスの位相を調整する。
また、例えばCTのような電流センサを使用する場合は、2相にのみ配置すれば良い。
更に、電流センサを3相全てに配置する場合には、3相電流選択部10は不要である。
出力電圧飽和補償部8は、必要に応じて設ければ良い。出力電圧飽和補償部8が不要である場合、d軸電流指令Idrefについては、例えばモータの回転数指令に応じて、低/中回転数領域ではゼロとし、高回転数領域では負の値に設定するように、切り替える構成を配置すれば良い。
位置検出部は、位置センサを使用するものに限らず、例えばモータの誘起電圧を検出して回転位置を推定するものでも良い。すなわち、位置センサレス制御を行う制御装置に適用しても良い。
インバータ回路の下アーム側に各相のシャント抵抗を挿入することに替えて、インバータ回路の直流部にシャント抵抗を1つだけ挿入しても良い。但しこの場合、1PWM周期内で2相の電流が検出可能となるように、3相PWMパルスの位相を調整する。
また、例えばCTのような電流センサを使用する場合は、2相にのみ配置すれば良い。
更に、電流センサを3相全てに配置する場合には、3相電流選択部10は不要である。
出力電圧飽和補償部8は、必要に応じて設ければ良い。出力電圧飽和補償部8が不要である場合、d軸電流指令Idrefについては、例えばモータの回転数指令に応じて、低/中回転数領域ではゼロとし、高回転数領域では負の値に設定するように、切り替える構成を配置すれば良い。
位置検出部は、位置センサを使用するものに限らず、例えばモータの誘起電圧を検出して回転位置を推定するものでも良い。すなわち、位置センサレス制御を行う制御装置に適用しても良い。
図面中、1はモータ、2は位置センサ(位置検出部)、3は位置検出部、6は回転数制御部(dq軸指令値出力部)、7は2相/3相変換部(指令値座標変換部)、8は出力電圧飽和補償部(dq軸指令値出力部)、10は3相電流選択部(制御相選択部)、11は電圧指令生成部、13はインバータ回路(電力変換器)、14は電流検出器(電流検出部)、21はPI演算部(PI制御部)、22は位相補償部(位置補正部)を示す。
Claims (5)
- ブリッジ接続された複数のスイッチング素子を所定の通電パターンに従ってオン、オフ制御することにより直流を3相交流に変換し、前記3相交流をモータの巻線に出力する電力変換器と、
前記モータのロータ回転位置を検出する位置検出部と、
前記モータの相電流を検出する電流検出部と、
制御指令に応じて、ベクトル制御におけるdq軸電流指令値を出力するdq軸指令値出力部と、
前記dq軸電流指令値を、前記ロータの回転位置に基づいて3相座標系の3相電流指令値に変換する指令値座標変換部と、
前記3相電流指令値と、前記電流検出部により検出される3相電流との偏差に応じて、前記電力変換器に出力する3相電圧指令を生成する電圧指令生成部とを備え、
前記電圧指令生成部は、
前記偏差についてPI制御演算を行うPI制御部と、
前記偏差について、前記ロータの回転位置に応じて変動する補正値を乗じる位置補正部とを有し、
前記PI制御部の演算結果と、前記位置補正部の演算結果とを加算して前記3相電圧指令を生成することを特徴とするモータ制御装置。 - 前記位置補正部は、前記補正値を算出する演算において、当該補正値の重みを決定するための補償係数を使用し、前記補償係数を、前記モータの回転数及び/又は前記ロータの回転位置と同期して変化させることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記電圧指令生成部に対し、前記3相電流のうち、前記電流検出部により検出できた相の電流について前記電圧指令を生成させ、
前記電流検出部により検出できなかった相の電圧指令については、前記生成させた電圧指令に基づき演算により生成させる制御相選択部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のモータ制御装置。 - 前記制御相選択部は、前記所定の通電パターンに従って検出相が変化する際に、前記電流検出部により検出された2相について前記電圧指令を生成させることを特徴とする請求項3記載のモータ制御装置。
- ブリッジ接続された複数のスイッチング素子を所定の通電パターンに従ってオン、オフ制御することにより直流を3相交流に変換し、前記3相交流をモータの巻線に出力するモータ制御に使用するもので、
前記モータのロータ回転位置を検出すると共に、前記モータの相電流を検出し、
制御指令に応じて、ベクトル制御におけるdq軸電流指令値を出力し、
前記dq軸電流指令値を、前記ロータの回転位置に基づいて3相座標系の3相電流指令値に変換し、
前記3相電流指令値と検出された3相電流との偏差についてPI制御演算を行った結果と、前記偏差について前記ロータの回転位置に応じて変動する補正値を乗じた結果とを加算して前記3相交流を出力するための3相電圧指令を生成することを特徴とするモータの3相電圧指令生成方法。
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