JP2013134447A - 磁性トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子と、磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子とを含有する磁性トナーであって、無機微粒子が、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含有し、金属酸化物微粒子中の85質量%以上がシリカ微粒子であり、無機微粒子による磁性トナー粒子表面の被覆率を被覆率Aとし、磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子による被覆率を被覆率Bとしたときに、被覆率Aが45.0%以上、70.0%以下であり、被覆率Aの変動係数が10.0%未満であり、被覆率Bの被覆率Aに対する比が0.50以上、0.85以下であり、磁性トナーの圧縮率が38%以上、42%以下であることを特徴とする磁性トナー。
【選択図】なし
Description
これらプリンターや複写機は近年アナログからデジタルへの移行が進み、潜像の再現性に優れ高解像度であると同時に、特にプリンターでは小型化が強く求められている。
従来、プリンターはネットワークにつながり、多人数がそのプリンターで印刷すると言う使われ方が多かったが、近年は個人の机にPCとプリンターを置き、手元で印刷すると言う需要も多くなってきた。そのためにはプリンターの省スペース化が必要であり、プリンターは小型化の要求が強い。
ここで、プリンターの小型化に着目すると、小型化には主に定着器の小型化と現像装置(カートリッジ)の小型化が有効であることが分かる。特に、後者はプリンターの容積のかなりの部分を占めており、現像装置の小型化がプリンターの小型化には必須であると言える。
そこで現像方式について考えると、プリンターの現像方式には2成分現像方式や1成分現像方式があるが、小型化と言う意味では磁性1成分現像方式が最も適している。これは、キャリアやトナー塗布ローラー等の部材を使用しないためである。
次に、磁性1成分現像方式における小型化について考えると、現像装置の小型化には静電潜像担持体やトナー担持体の径を小さくする事が有効である一方、それらの径を小さくする事による課題も顕在化してしまう。
その一つが「ゴースト」と呼ばれる濃淡ムラが画像上に出てしまう現象である。以下、簡単に「ゴースト」ついて説明する。
トナー担持体に担持されたトナーが静電潜像に移ることによって現像が行われる。この際、トナー担持体表面のトナーが消費された領域(画像部に対応する領域)には新たなトナーが供給され、一方、トナーの消費が無かった領域(非画像部に対応する領域)には、消費されなかったトナーがそのまま残ることとなる。結果、新たに供給されたトナー(以後、供給トナーと呼ぶ)と残存したトナー(以後、残存トナーと呼ぶ)の帯電量に相違が生じる。具体的には、新たに補給されたトナーの帯電量は相対的に低くなり、残存したトナーの帯電量は相対的に高くなる。そして、この相違に起因して、ゴーストが生じる(図1参照)。
この残存トナーと供給トナーの帯電量差についてであるが、供給トナーは帯電する回数、即ち、規制ブレードとトナー担持体との当接部(以後、当接部と呼ぶ)を通過する回数が1回であるのに対し、残存トナーは帯電する回数が多数回に上る事に起因する。
さらに、トナー担持体が小径であると言う事は、トナー担持体の曲率が大きい事を意味し、規制ブレードとトナー担持体の当接部の面積が減少してトナーの帯電の立ち上がりが遅くなる。このため、供給トナーと残存トナーの帯電量差が大きくなり、ゴーストが悪化してしまう。
これに対し、トナーの流動性を制御することで改善する試みがなされている。例えば凝集度を調整したもの(特許文献1)、トナーの圧縮率を制御したもの(特許文献2)などがある。しかし、トナー担持体が小径であると前述の如く規制ブレードとの当接部の面積が小さく、効果が不十分である。さらに、一般的に規制ブレードはトナーとは逆帯電性で
あり、規制ブレードにトナーが貼りついてしまい、均一な帯電を得る事が出来ない。この結果、ゴーストの改善については不十分であり、更なる改良が求められていた。
一方、外添剤に起因する問題を解決するために、特に外添剤の遊離に着目したトナーが開示されている(例えば、特許文献3乃至4参照)が、これらの場合もトナーの帯電性については十分なものとは言えない。
また、特許文献5においては、外添剤によるトナー母粒子の総被覆率を制御し、現像・転写工程の安定化を図っており、確かにある特定のトナー母粒子について、計算上の理論被覆率を制御することにより、一定の効果を得ている。しかし、実際の外添剤の付着状態は、トナーを真球と仮定した場合の計算値とは大きく異なっており、このような理論被覆率では上記課題であるゴーストとは相関がなく、改善が求められていた。
該磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子が、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含有し、該金属酸化物微粒子中の85質量%以上がシリカ微粒子であり、
該磁性トナーは、無機微粒子による磁性トナー粒子表面の被覆率を被覆率A(%)とし、該磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子による被覆率を被覆率B(%)としたときに、
該被覆率Aが45.0%以上、70.0%以下であり、該被覆率Aの変動係数が10%未満であり、
該被覆率Bの被覆率Aに対する比[被覆率B/被覆率A]が0.50以上、0.85以下であり、
下記式(1)から得られる該磁性トナーの圧縮率が38%以上、42%以下であることを特徴とする磁性トナー。
式(1):圧縮率(%)={1−(見掛け密度/タップ密度)}×100
本発明は、結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子と、該磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子とを含有する磁性トナーであって、
該磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子が、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含有し、該金属酸化物微粒子中の85質量%以上がシリカ微粒子であり、
該磁性トナーは、無機微粒子による磁性トナー粒子表面の被覆率を被覆率A(%)とし、該磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子による被覆率を被覆率B(%)としたときに、
該被覆率Aが45.0%以上、70.0%以下であり、該被覆率Aの変動係数が10%未満であり、
該被覆率Bの被覆率Aに対する比[被覆率B/被覆率A]が0.50以上、0.85以下であり、
下記式(1)から得られる該磁性トナーの圧縮率が38%以上、42%以下であることを特徴とする磁性トナーに関する。
式(1):圧縮率(%)={1−(見掛け密度/タップ密度)}×100
まず、当接部での磁性トナーの挙動の模式図を図2に示す。磁性トナーはトナー担持体102により搬送され、当接部において磁性トナーはトナー担持体で搬送されることによる力と規制ブレード103からの押圧による力が働き、トナー担持体表面の凹凸の影響で磁性トナーはかき混ざるように入れ替わりながら搬送されていく。当接部で磁性トナーが入れ替わる事により磁性トナーは規制ブレードやトナー担持体と接触し、摺擦を受ける。これにより磁性トナーは帯電し、電荷を帯びるようになる。
しかし、規制ブレード近傍の磁性トナーはトナー担持体表面の凹凸から相対的に遠いため、その影響を受け難く磁性トナーが入れ替わり難い。そのため、規制ブレード近傍の磁性トナーはそのまま搬送されるだけの傾向がある。
さらに、一般的に規制ブレードは磁性トナーを摩擦帯電させるために磁性トナーとは逆帯電性であり、磁性トナーと規制ブレード間には静電的な力が働くようになり、規制ブレード近傍の磁性トナーは動き難い状態であると考えられる。
特に、磁性トナーを迅速に帯電させようとした場合、磁性トナーと規制ブレード間に生じる静電的な力はより大きなものとなる。この結果、磁性トナーはより規制ブレードに貼り付きやすくなり、規制ブレード近傍の磁性トナーの入れ替わりが阻害されてしまう。
このような状態では磁性トナーの帯電は阻害されやすく、帯電量が低い磁性トナーも存在する事となり、ゴーストの改善は難しい。
このため、当接部で磁性トナーの入れ替わりが良好であれば当接部を通過する際に多くの磁性トナーが規制ブレードと接触する事が出来る。さらに、規制ブレードやトナー担持体に接触した磁性トナーが自由回転する事により摩擦帯電が非常に良好に生じ、その結果磁性トナーの帯電の立ち上がりが良好となり、ゴーストの発生が低下すると考えられる。
ここで、当接部にて磁性トナーの入れ替わりを阻害する規制ブレードへの貼り付きについて考えるときには、磁性トナーと規制ブレードとの間に生じる力を考える必要がある。この力としては、[1]非静電的な力、すなわちVan der Waals力と、[2]静電的な力(静電付着力)、すなわち鏡映力があると考えられる。
まず、[1]Van der Waals力について考えると、平板と粒子間に生じる
Van der Waals力(F)は以下の式で示される。
F=H×D/12Z2
ここで、HはHarmaker定数、Dは粒子の粒径、Zは粒子と平板間の距離である。
Zに関しては、一般的に距離が遠い場合は引力が働き、距離が非常に近くなると斥力が働くと言われており、磁性トナー表面の状態とは関係ないため、定数として扱う事とする。
上記式より、Van der Waals力(F)は平板と接する粒子の粒径に比例する。これを磁性トナー表面に適応すると、磁性トナー粒子が平板に接するよりも、粒子径が小さな無機微粒子が平板に接した方がVan der Waals力(F)が小さい事が予想される。すなわち、Van der Waals力を考えた場合、磁性トナーは磁性トナー粒子が規制ブレードに直接接するよりも、外添剤としての無機微粒子を介して接する方がVan der Waals力は小さいと考えられる。
次に、静電付着力であるが、静電付着力は鏡映力と言い換える事も可能であり、鏡映力は一般には粒子の電荷(q)の2乗に比例し、距離の2乗に反比例する事が知られている。
磁性トナーの帯電について考えると、電荷を有するのは無機微粒子ではなく磁性トナー粒子表面であると考えられる。このため、磁性トナー粒子表面と平板(ここでは規制ブレード)との距離が離れている方が鏡映力は小さくなると考えられる。
ここで再び磁性トナー表面に着目すると、無機微粒子を介して磁性トナー粒子が平板と接していると磁性トナー粒子表面と平板間の距離がとれるため、鏡映力が低下すると考えられる。
これまで述べてきたように、磁性トナー粒子表面に無機微粒子が存在し、無機微粒子を介して磁性トナーが規制ブレードと接する事により、磁性トナーと規制ブレード間に生じるVan der Waals力と鏡映力が低下する、すなわち磁性トナーと規制ブレードとの付着力が低下する。
次に、磁性トナー粒子が直接規制ブレードと接するか、無機微粒子を介して接するかは磁性トナー粒子表面をどれだけ無機微粒子が覆っているか、即ち無機微粒子の被覆率に依存する。このため、磁性トナー粒子表面の無機微粒子の被覆率について考える必要がある。無機微粒子の被覆率が高いと磁性トナー粒子が直接規制ブレードと接する機会は減少し、磁性トナーは規制ブレードに貼り付き難いと考えられる。一方、無機微粒子の被覆率が低いと磁性トナーは規制ブレードに貼り付きやすくなり、当接部での磁性トナーの入れ替わりが阻害される。
そこで本発明者らは、磁性トナー表面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行い、無機微粒子が磁性トナー粒子表面を実際に覆っている被覆率を求めた。
一例として、体積平均粒子径(Dv)が8.0μmの粉砕法による磁性トナー粒子(磁性体の含有量は43.5質量%)にシリカ微粒子の添加量(磁性トナー粒子100質量部に対するシリカの添加部数)を変えて混合したものの理論被覆率と実際の被覆率を求めた(図3、図4参照)。なお、シリカ微粒子としては体積平均粒径(Dv)が15nmのシリカ微粒子を用いた。また、理論被覆率を算出する際には、シリカ微粒子の真比重を2.2g/cm3、磁性トナーの真比重を1.65g/cm3とし、シリカ微粒子及び磁性トナー粒子に関しては、それぞれ粒径15nm、8.0μmの単分散の粒子とした。
図3から明らかなように、シリカ微粒子の添加量を増やしていくと理論被覆率は100%を超える。一方、実際の観察により得られる被覆率はシリカ微粒子の添加量と共に変化
するが、100%を超える事はない。これは、シリカ微粒子が磁性トナー表面において、一部凝集体として存在しているため、あるいは、シリカ微粒子が真球でない影響が大きい。
また、本発明者らの検討によれば、シリカ微粒子の添加量が同じであっても、外添の手法によって被覆率が変化することがわかった(図4参照)。すなわち、無機微粒子の添加量から一義に被覆率を求める事は不可能である。なお、外添条件Aは図6の装置を用い、1.0W/g、処理時間5分の条件で混合したものである。外添条件BはヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機株式会社製)を用い、4000rpm、処理時間2分の条件で混合したものである。
このような理由から、本発明者らは磁性トナー表面のSEM観察により得られる無機微粒子の被覆率を用いた。
これまで述べてきたように、無機微粒子による被覆率を上げる事で部材への付着力を低減できると考えられる。そこで、無機微粒子の被覆率と部材との付着力について検証を行った。
ここでは、磁性トナーの被覆率と部材との付着力の関係を、シリカ微粒子による被覆率を変えた球形ポリスチレン粒子とアルミ基板との静止摩擦係数を測定することで間接的に推測した。
具体的には、シリカ微粒子による被覆率(磁性トナー表面のSEM観察から求めた被覆率)を変えた球形ポリスチレン粒子(重量平均粒径(D4)=7.5μm)を用い、被覆率と静止摩擦係数の関係を求めた。
より具体的には、アルミ基板上に、シリカ微粒子を添加した球形ポリスチレン粒子を押圧する。押圧を変化させながら基板に左右に動かし、その際の応力から静止摩擦係数を算出した。これを被覆率の異なる球形ポリスチレン粒子毎に行ない、得られた被覆率と静止摩擦係数の関係を図5に示す。
このような手法で求める静止摩擦係数は、球形ポリスチレン粒子と基板の間に働くVan der Waals力と鏡映力の総和と相関すると考えられる。図5から明らかなようにシリカ微粒子の被覆率が高いと静止摩擦係数が小さくなる事が分かる。この事から、無機微粒子による被覆率が高い磁性トナーは部材との付着力も小さい事が示唆される。
まず被覆率Aであるが、上述のように被覆率が高いほど部材との付着力が低減する。このため、被覆率Aが45%以上であると規制ブレードとの付着力が低減し、貼り付きが阻止されると考えられる。一方、被覆率Aを70.0%よりも大きくしようとすると無機微粒子を多量に添加する必要があり、外添処理の工夫をしても遊離した無機微粒子による画像欠陥、例えば縦スジが発生し、好ましくない。また、被覆率Aが45.0%より小さいと磁性トナーと規制ブレードとの付着力が大きくなり、磁性トナーの入れ替わりが不十分になりゴーストの発生を低減できない。
なお、上記被覆率Aは45.0%以上、65.0%以下であることがより好ましい。
への付着力が均一なものとなり、当接部でのトナーの入れ替わりが良好なものとなり非常に好ましい。
ここで、被覆率Aの変動係数を10.0%未満にするための手法は特に限定されないが、磁性トナー粒子表面に高度にシリカ微粒子等の金属酸化物微粒子を拡散させることができる、後述するような外添装置や手法を用いることが好ましい。
なお、上記被覆率Aの変動係数は8.0%以下であることが好ましい。
上記圧縮率が42%よりも大きい場合、当接部において磁性トナーは圧縮され良好な流動性が得られない。このため、当接部での磁性トナーの入れ替わり(循環)が阻害され、ゴーストは良化しない。
一方、圧縮率が38%よりも小さいと磁性トナーは当接部においても圧縮されず、非常に良好な流動性を得られると考えられる。しかし、流動性が良すぎるため、規制ブレードからの押圧やトナー担持体の搬送力といった力が磁性トナーにかかり難くなり、当接部において磁性トナーの入れ替わりが生じ難くなると考えられる。この結果、残存トナーと供給トナーの帯電量差は解消できず、ゴーストは良化しない。
上記磁性トナーの圧縮率は磁性トナーの平均円形度や粒度分布、離型剤の添加量等によって上記範囲に制御する事が可能である。
なお、上記磁性トナーの圧縮率は39%以上、42%以下であることが好ましい。
また、B/Aが0.50以上、0.85以下と言う事は、磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子がある程度存在し、その上にさらに無機微粒子が、磁性トナー粒子から離れて挙動出来る状態で、存在している事を意味している。
ここで、当接部について再度考えると、当接部は押圧がかかっており、磁性トナーの圧縮率が本発明の如く小さくほぐれ易い磁性トナーであっても、磁性トナーの自由回転は阻害されやすいと考えられる。
しかし、磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子が存在し、さらに磁性トナー粒子から離れて挙動出来る無機微粒子が存在する事で、ある程度圧力がかかった状態であっても磁性トナーは自由回転する事が可能であると考えられる。これは、固着された無機微粒子に対し、遊離可能な無機微粒子が滑る事により、ベアリングのような効果を生み出しているからだと考えている。このような理由から、本発明の磁性トナーは規制ブレード等の部材への付着力が小さく、磁性トナーの自由回転が可能な状態であるため、規制ブレードと接触した部分の磁性トナーの摩擦帯電性が非常に良好なものとなる。
これまで述べてきたように、本発明の磁性トナーは当接部での磁性トナーの入れ替わり(循環)が良好で、規制ブレードに接触した磁性トナーの自由回転が良好なために帯電の立ち上がりが非常に早く、均一なものとなる。
その結果、残存トナーと供給トナーの帯電量の差がなくなり、ゴースト発生が顕著に低減される。
なお、上述の付着力低減及びベアリング効果は、固着された無機微粒子、及び、容易に遊離しうる無機微粒子が共に、一次粒子の個数平均粒径(D1)において、50nm以下
程度の比較的小さな無機微粒子であるときに最大限に得られることがわかった。よって、被覆率A及び、被覆率Bを算出する際には、50nm以下の無機微粒子に着目した。
なお、上記B/Aは0.55以上、0.80以下であることが好ましい。
ここで、上記被覆率A、被覆率B、及び該被覆率Bの被覆率Aに対する比[B/A]については後述のような方法で求めることができる。
上記D4/D1は、磁性トナーの製造方法や、製造条件の調整によって上記範囲に調整することが可能である。
通常、平均円形度が高い方がトナーとしての流動性が高く、当接部におけるトナーの入れ替わりは有利であると考えられる。しかし、本発明では無機微粒子による被覆率が高い上に、磁性トナーと規制ブレードとの付着力の低減が最大の狙いである。
ここで再びVan der Waals力(F)について考えると、前記Dはトナー粒径であるが、実際には平板と接触する部分の曲率半径であるとも考えられる。このため、曲率半径が小さくなる不定形トナーの方がVan der Waals力が小さくなり易く、本発明の効果が非常に良好に発揮できるものと本発明者らは考えている。このため、本発明においては、トナーの平均円形度が0.935以上0.955以下である事が好ましい。
なお、本発明の磁性トナーの平均円形度は、磁性トナーの製造方法や、製造条件の調整によって上記範囲に調整することが可能である。
具体的には、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリアクリル酸エ
ステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル等を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも特にスチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
負帯電用の荷電制御剤としては、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸または芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物等が挙げられる。市販品の具体例として、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学社)が挙げられる。
これらの荷電制御剤は単独、或いは二種以上組み合わせて用いることが可能である。これらの荷電制御剤の使用量は、磁性トナーの帯電量の点から、結着樹脂100質量部当たり0.1乃至10.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1乃至5.0質量部である。
本発明の磁性トナーに離型剤を用いる場合、その配合量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。離型剤の配合量が上記範囲であると、定着性が向上するとともに、磁性トナーの保存安定性が損なわれない。
また、離型剤は、樹脂製造時、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、磁性トナー製造中の溶融混練時に添加する方法などにより結着樹脂に配合することができる。
離型剤の示差走査熱量計(DSC)で測定される最大吸熱ピークのピーク温度(以下、融点ともいう)は、60℃以上、140℃以下である事が好ましく、より好ましくは70℃以上、130℃以下である。最大吸熱ピークのピーク温度(融点)が60℃以上、140℃以下であると定着時に磁性トナーが可塑化しやすく、定着性が良化する。また、長期間保存しても離型剤の染み出し等も生じ難く好ましい。
本発明において、離型剤の最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、測定試料約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて10℃/minで30℃まで降温し、その後に再度、10℃/minで昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線から離
型剤の最大吸熱ピークのピーク温度を求める。
上記磁性体は一次粒子の個数平均粒径(D1)が0.50μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm乃至0.30μmである。
また、上記磁性体の79.6kA/m印加での磁気特性として、抗磁力(Hc)が1.6乃至12.0kA/mであることが好ましく、磁化の強さ(σs)が30乃至90Am2/kgであることが好ましく、より好ましくは40乃至80Am2/kgであり、残留磁化(σr)が1乃至10Am2/kgであることが好ましく、より好ましくは1.5乃至8Am2/kgである。
本発明の磁性トナーは、磁性体を35質量%以上、50質量%以下含有することが好ましく、40質量%以上、50質量%以下含有することがより好ましい。
磁性トナーにおける磁性体の含有量が35質量%未満の場合には、トナー担持体内のマグネットロールとの磁気引力が低下し、カブリが発生し易くなる。一方、磁性体の含有量が50質量%を超える場合には、現像性が低下することにより、濃度が低下する場合がある。
なお、磁性トナー中の磁性体の含有量は、パーキンエルマー社製熱分析装置TGA Q5000IRを用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで磁性トナーを加熱し、100〜750℃の減量質量を磁性トナーから磁性体を除いた成分の質量とし、残存質量を磁性体量とする。
本発明の磁性トナーは、磁場79.6kA/mにおける、残留磁化(σr)の磁化の強さ(σs)に対する比[σr/σs]が0.09以下である事が好ましく、より好ましくは0.06以下である。σr/σsが小さいと言う事は、磁性トナーの残留磁化が小さい事を意味する。ここで、磁性1成分現像方式について考えると、トナー担持体内部に存在する多極のマグネットの影響で磁性トナーはトナー担持体に取り込まれたり、吐き出されたりする。吐き出された磁性トナー(トナー担持体から離れた磁性トナー)は[σr/σs]が小さいと磁気凝集し難い。このような磁性トナーが再び取り込み極でトナー担持体に付着し、当接部に突入すると磁気凝集していないため、トナー量の規制が適切に行われ、トナー担持体上の磁性トナー量が安定する。このため、当接部での磁性トナー量が安定化し、これまで述べてきたような当接部での磁性トナーの入れ替わりが極めて良好となり、帯電量分布が非常にシャープになる。その結果、ゴーストが良化するばかりでなく、画像濃度が高く、カブリの少ない画像を得る事ができ、非常に好ましい。
なお、[σr/σs]は、磁性トナーが含有する磁性体の粒径、形状、および、磁性体を製造する際に添加する添加剤を調整することで、上記範囲に調整することが可能である。具体的には、磁性体にシリカやリン等を添加する事によってσsを高く保ったまま、σrをより低くする事が可能となる。また、磁性体の表面積が小さいほどσrは小さくなり、
形状は八面体よりも磁気異方性が小さな球形の方がσrは小さくなる。これらを組み合わ
せる事により、σrを非常に低くする事が可能となり、[σr/σs]を0.09以下に
制御する事が出来る。
本発明において磁性トナー、及び磁性体の磁化の強さ(σs)及び残留磁化(σr)は、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。磁性トナーの磁気特性を、外部磁場が79.6kA/mにて測定する理由については以下の通りである。一般的に、トナー担持体中に固定されているマグネットローラーの現像極の磁力は79.6kA/m(1000エルステッド)前後である。このため、外部磁場79.6kA/mで残留磁化を測定する事により現像領域でのトナー挙動を捉える事が出来るからである。
磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子としてはシリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子が挙げられ、それら微粒子表面に疎水化処理を施したものも好適に用いる事が出来る。
また、本発明において磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子は、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含有し、該金属酸化物微粒子中の85質量%以上がシリカ微粒子であることが重要である。さらには、該金属酸化物微粒子中の90質量%以上がシリカ微粒子であることが好ましい。これは、帯電性付与及び流動性付与の点で、シリカ微粒子が最もバランスが優れているだけでなく、磁性トナー間の凝集力低減の点でも優れているためである。
磁性トナー間の凝集力低減の点でシリカ微粒子が優れている理由については定かではないが、おそらくシリカ微粒子同士の滑り性の点で、前述したようなベアリング効果が大きく作用するためであると推測している。
さらに、磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子はシリカ微粒子が主成分であることが好ましい。具体的には、磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子は、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含有し、該金属酸化物微粒子中の80質量%以上がシリカ微粒子であることが好ましい。より好ましくは90質量%以上がシリカ微粒子である。これは、上記と同様の理由であると推察しており、帯電性付与及び流動性付与の点でシリカ微粒子が最も優れており、これにより磁性トナーの帯電の立ち上がりが素早くなる。その結果、カブリが低減すると共に高い画像濃度を得る事が出来、非常に好ましい。
ここで、磁性トナー粒子表面に存在する金属酸化物微粒子中の85質量%以上、及び磁性トナー粒子表面に固着された金属酸化物粒子中の80質量%以上を、それぞれシリカ微粒子とするには、無機微粒子添加の量やタイミングを調整すればよい。
また、後述する無機微粒子の定量方法によりその存在量を確認することが可能である。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)が上記範囲であることにより、被覆率A、及びB/Aを適正に制御しやすい。一次粒子の個数平均粒径(D1)が5nm未満であると、無機微粒子同士が凝集しやすく、B/Aの値が大きくなりにくいだけでなく、被覆率Aの変動係数が大きくなりやすい。一方、一次粒子の個数平均粒径(D1)が50nmより大きいと、無機微粒子の添加量を多くしても、被覆率Aが小さくなりやすく、さらに無機微粒子が磁性トナー粒子に固着しにくいため、B/Aの値も小さくなりやすい。すなわち、一次粒子の個数平均粒径(D1)が50nmより大きい場合には、前述の付着力低減やベアリング効果が得られにくい。
上記疎水化処理の方法としては、有機ケイ素化合物、シリコーンオイル、長鎖脂肪酸等で処理する方法が挙げられる。
上記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。これらは一種或いは二種以上の混合物で用いられる。
上記シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル
、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
上記長鎖脂肪酸は炭素数が10乃至22の脂肪酸を好適に用いる事が出来、直鎖脂肪酸であっても、分岐脂肪酸であっても良い。また、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれも用いる事が可能である。
この中で、炭素数が10乃至22の直鎖の飽和脂肪酸は無機微粒子表面を均一に処理し易く、非常に好ましい。
該直鎖の飽和脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミルスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
本発明に用いられる無機微粒子において、無機微粒子はシリコーンオイルにより処理されたものが好ましく、より好ましくは、無機微粒子を有機ケイ素化合物とシリコーンオイルにより処理されたものである。疎水化度が好適に制御できるからである。
無機微粒子をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、有機ケイ素化合物で処理された無機微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合する方法や、無機微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法が挙げられる。或いは、適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解又は分散させた後、無機微粒子を加えて混合し、溶剤を除去する方法でもよい。
シリコーンオイルの処理量は、良好な疎水性を得るために、無機微粒子100質量部に対し1質量部以上、40質量部以下であることが好ましく、3質量部以上、35質量部以下であることがより好ましい。
本発明で用いられるシリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子は磁性トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)が20m2/g以上、350m2/g以下のものが好ましく、25m2/g以上、300m2/g以下のものがより好ましい。
上記窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)の測定は、JIS
Z8830(2001年)に準じて行う。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。
ここで、無機微粒子の添加量は、磁性トナー粒子100質量部に対して、無機微粒子1.5質量部以上、3.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは、1.5質量部以上、2.6質量部以下、さらに好ましくは1.8質量部以上、2.6質量部以下である。
無機微粒子の添加量が上記範囲であることにより、被覆率A、及びB/Aを適正に制御しやすく、さらに、画像濃度やカブリの点でも好ましい。
無機微粒子の添加量が3.0質量部を超える場合には、外添装置や外添方法を工夫しても、無機微粒子が遊離することに起因して、画像上にスジなどが発生しやすくなる。
本発明の磁性トナーには、上記無機微粒子に加えて、一次粒子の個数平均粒径(D1)が80nm以上、3μm以下の粒子を添加してもよい。例えば、フッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;シリカや樹脂粒子等のスペーサー粒子を本発明の効果に影響を与えない程度に少量用いることもできる。
本発明の磁性トナーは、被覆率A、被覆率Aの変動係数及びB/Aを調整することができ、好ましくは平均円形度及び[D4/D1]を調整する工程を有する製造方法であれば、それ以外の製造工程においては、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。
そのような製造方法としては、以下の方法を好適に例示できる。まず、結着樹脂及び磁性体、並びに、必要に応じて、離型剤及び荷電制御剤などのその他の材料を、ヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー及びエ
クストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して樹脂類を互いに相溶せしめる。
得られた溶融混練物を冷却固化後に粗粉砕、微粉砕、分級を行い、得られた磁性トナー粒子に、無機微粒子等の外添剤を外添混合することによって、磁性トナーを得ることができる。
上記混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等が挙げられる。
上記混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。
上記粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング)等が挙げられる。
このうち、ターボミルを使用し、微粉砕時の排気温度を調整することにより、平均円形度の制御が可能である。排気温度を低く(例えば40℃以下)すると、平均円形度の値が小さくなり、排気温度を高く(例えば50℃前後)すると、平均円形度の値が大きくなる。
上記分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)等が挙げられる。
粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社製);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
この中で、[D4/D1]を調整するためには、微粉、および、粗粉の量を調整する事が好ましく、エルボージェットを用いて分級する方法が例示できる。具体的には、微粉量を少なくする事で[D4/D1]を小さくする事が出来る。
図6は、本発明に用いられる無機微粒子を外添混合する際に、用いることができる混合処理装置の一例を示す模式図である。
当該混合処理装置は、磁性トナー粒子と無機微粒子に対して、狭いクリアランス部において、シェアがかかる構成になっているために、磁性トナー粒子表面に無機微粒子を固着させやすい。
さらに、後述するように、回転体の軸方向において、磁性トナー粒子と無機微粒子が循環しやすく、固着が進む前に十分に均一混合されやすい点で、被覆率A、B/A、及び被覆率Aの変動係数を本発明において好ましい範囲に制御しやすい。
一方、図7は、上記混合処理装置に使用される攪拌部材の構成の一例を示す模式図である。
以下、上記無機微粒子の外添混合工程について図6及び図7を用いて説明する。
上記無機微粒子を外添混合する混合処理装置は、少なくとも複数の攪拌部材3が表面に設置された回転体2と、回転体を回転駆動する駆動部8と、攪拌部材3と間隙を有して設けられた本体ケーシング1とを有する。
本体ケーシング1の内周部と、撹拌部材3との間隙(クリアランス)は、磁性トナー粒子に均一にシェアを与え、磁性トナー粒子表面に無機微粒子を固着させやすくするために、一定かつ微小に保つことが重要である。
また本装置は、本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径の2倍以下である。図6において、本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径(回転体2から撹拌部材3を除いた胴体部の径)の1.7倍である例を示す。本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径の2倍以下であると、磁性トナー粒子に力が作用する処理空間が適度に限定されるため、磁性トナー粒子に十分に衝撃力が加わるようになる。
また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが重要である。本体ケーシング1の内周部の径の、1%以上5%以下程度とすることが、磁性トナー粒子に十分なシェアをかけるという点で重要である。具体的には、本体ケーシング1の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm以上5mm以下程度とし、本体ケーシング1の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm以上30mm以下程度とすればよい。
本発明における無機微粒子の外添混合工程は、混合処理装置を用い、駆動部8によって回転体2を回転させ、混合処理装置中に投入された磁性トナー粒子及び無機微粒子を攪拌、混合することで、磁性トナー粒子の表面に無機微粒子を外添混合処理する。
図7に示すように、複数の撹拌部材3の少なくとも一部が、回転体2の回転に伴って、磁性トナー粒子及び無機微粒子を回転体の軸方向の一方向に送る送り用撹拌部材3aとして形成される。また、複数の撹拌部材3の少なくとも一部が、磁性トナー粒子及び無機微粒子を、回転体2の回転に伴って、回転体の軸方向の他方向に戻す戻し用撹拌部材3bとして形成されている。
ここで、図6のように、原料投入口5と製品排出口6が本体ケーシング1の両端部に設けられている場合には、原料投入口5から製品排出口6へ向かう方向(図6で右方向)を「送り方向」という。
すなわち、図7に示すように、送り用撹拌部材3aの板面は送り方向(13)に磁性トナー粒子を送るように傾斜している。一方、撹拌部材3bの板面は戻り方向(12)に磁性トナー粒子及び無機微粒子を送るように傾斜している。
これにより、「送り方向」への送り(13)と、「戻り方向」への送り(12)とを繰り返し行いながら、磁性トナー粒子の表面に無機微粒子の外添混合処理を行う。
また、撹拌部材3aと3bは、回転体2の円周方向に間隔を置いて配置した複数枚の部材が一組となっている。図7に示す例では、撹拌部材3a、3bが回転体2に互いに180度の間隔で2枚の部材が一組をなしているが、120度の間隔で3枚、あるいは90度の間隔で4枚、というように多数の部材を一組としてもよい。
図7に示す例では、撹拌部材3aと3bは等間隔で、計12枚形成されている。
さらに、図7において、Dは撹拌部材の幅、dは撹拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。磁性トナー粒子及び無機微粒子を、送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、図7における回転体2の長さに対して、Dは20%以上30%程度の幅であることが好ましい。図7においては、23%である例を示す。さらに撹拌部材3aと3bは撹拌部材3aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、撹拌部材3bと撹拌部材の重なり部分dをある程度有することが好ましい。これにより、磁性トナー粒子に効率的にシェアをかけることが可能である。Dに対するdは、10%以上30%以下であることがシェアをかける点で好ましい。
なお、羽根の形状に関しては、図7に示すような形状以外にも、送り方向及び戻り方向に磁性トナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、曲面を有する形状や先端羽根部分が棒状アームで回転体2に結合されたパドル構造であってもよい。
以下、図6及び図7に示す装置の模式図に従って、本発明を更に詳細に説明する。
図6に示す装置は、少なくとも複数の攪拌部材3が表面に設置された回転体2と、回転体2を回転駆動する駆動部8と、攪拌部材3と間隙を有して設けられた本体ケーシング1と、本体ケーシング1の内側及び回転体端部側面10にあって、冷熱媒体を流すことのできるジャケット4を有している。
更に、図6に示す装置は、磁性トナー粒子及び無機微粒子を導入するために、本体ケーシング1上部に形成された原料投入口5、外添混合処理された磁性トナーを本体ケーシング1から外に排出するために、本体ケーシング1下部に形成された製品排出口6を有している。
更に、図6に示す装置は、原料投入口5内に、原料投入口用インナーピース16が挿入されており、製品排出口6内に、製品排出口用インナーピース17が挿入されている。
本発明においては、まず、原料投入口5から原料投入口用インナーピース16を取り出し、磁性トナー粒子を原料投入口5より処理空間9に投入する。次に無機微粒子を原料投入口5より処理空間9に投入し、原料投入口用インナーピース16を挿入する。次に、駆動部8により回転体2を回転させ(11は回転方向を示す)、上記で投入した処理物を、回転体2表面に複数設けられた撹拌部材3により撹拌、混合しながら外添混合処理する。
尚、投入する順序は、先に無機微粒子を原料投入口5より投入し、次に、磁性トナー粒子を原料投入口5より投入しても構わない。また、ヘンシェルミキサーのような混合機で予め、磁性トナー粒子と無機微粒子を混合した後、混合物を、図6に示す装置の原料投入口5より投入しても構わない。
より具体的には、外添混合処理条件として、駆動部8の動力を、0.2W/g以上、2.0W/g以下に制御することが、本発明で規定する被覆率A、B/A、及び被覆率Aの変動係数を得るうえで好ましい。また、駆動部8の動力を、0.6W/g以上、1.6W/g以下に制御することが、より好ましい。
0.2W/gより動力が低い場合には、被覆率Aが高くなりにくく、B/Aが低くなりすぎる傾向にある。一方、2.0W/gより高い場合には、B/Aが高くなりすぎる傾向にある。
処理時間としては、特に限定されないが、好ましくは、3分以上、10分以下である。処理時間が3分より短い場合には、B/Aが低くなる傾向にあり、被覆率Aの変動係数が大きくなりやすい。一方、処理時間が10分を超える場合には、逆にB/Aが高くなる傾向にあり、装置内が昇温しやすい。
外添混合時の撹拌部材の回転数については特に限定されないが、図6に示す装置の処理空間9の容積が2.0×10−3m3の装置において、撹拌部材3の形状を図7のものとしたときの撹拌部材の回転数としては、1000rpm以上、3000rpm以下であることが好ましい。1000rpm以上、3000rpm以下であることで本発明で規定する被覆率A、B/A、及び被覆率Aの変動係数を得やすくなる。
さらに、本発明において、特に好ましい処理方法は、外添混合処理操作の前に、プレ混合工程を持たせることである。プレ混合工程を入れることにより、無機微粒子が磁性トナー粒子表面上で高度に均一分散されることで、被覆率Aが高くなりやすく、さらに被覆率Aの変動係数を低減しやすい。
より具体的には、プレ混合処理条件として、駆動部8の動力を、0.06W/g以上、0.20W/g以下とし、処理時間を0.5分以上、1.5分以下とすることが好ましい。プレ混合処理条件として、0.06W/gより負荷動力が低い、或いは処理時間が0.5分より短い場合には、プレ混合として十分な均一混合がなされにくい。一方、プレ混合処理条件として、0.20W/gより負荷動力が高い、或いは処理時間1.5分より長い場合には、十分な均一混合がなされる前に、磁性トナー粒子表面に無機微粒子が固着され
てしまう場合がある。
外添混合処理終了後、製品排出口6内の、製品排出口用インナーピース17を取り出し、駆動部8により回転体2を回転させ、製品排出口6から磁性トナーを排出する。得られた磁性トナーを、必要に応じて円形振動篩機等の篩機で粗粒等を分離し、磁性トナーを得る。
<被覆率Aの算出>
本発明における被覆率Aは、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影された磁性トナー表面画像を、画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)により解析して算出する。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上に磁性トナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分な磁性トナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
被覆率Aの算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は2次電子像と比べて無機微粒子のチャージアップが少ないため、被覆率Aを精度良く測定することが出来る。
S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)磁性トナーの個数平均粒径(D1)算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、磁性トナー粒子300個について粒径を測定して個数平均粒径(D1)を求める。尚、個々の粒子の粒径は、磁性トナーの粒子を観察した際の最大径とする。
(4)焦点調整
(3)で得た、個数平均粒径(D1)の±0.1μmの粒子について、最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(5)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。磁性トナー粒子一つに対して写真を1枚撮影し、少なくとも磁性トナー30粒子以上について画像を得る。
(6)画像解析
本発明では下記解析ソフトを用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで被覆率Aを算出する。このとき、上記一画面を正方形で12分割してそれぞれ解析する。ただし、分割区画内に、粒径が50nm以上の無機微粒子が入る場合はその区画では被覆率Aの算出を行わないこととする。
画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0の解析条件は以下の通りである。
ソフトImage−ProPlus5.1J
ツールバーの「測定」から「カウント/サイズ」、「オプション」の順に選択し、二値化条件を設定する。オブジェト抽出オプションの中で8連結を選択し、平滑化を0とする。その他、予め選別、穴を埋める、包括線は選択せず、「境界線を除外」は「なし」とする。ツールバーの「測定」から「測定項目」を選択し、面積の選別レンジに2〜107と入力する。
被覆率の計算は、正方形の領域を囲って行う。この時、領域の面積(C)は24000〜26000ピクセルになるようにする。「処理」−2値化で自動2値化し、シリカの無い領域の面積の総和(D)を算出する。
正方形の領域の面積C、シリカの無い領域の面積の総和Dから下記式で被覆率aが求められる。
被覆率a(%)=100−(D/C×100)
上述したように、被覆率aの計算を磁性トナー30粒子以上について行う。得られた全データの平均値を本発明における被覆率Aとする。
本発明における被覆率Aの変動係数は下記のように求める。上述の被覆率Aの計算において使用した全被覆率データの標準偏差をσ(A)とすると、被覆率Aの変動係数は下記式で得られる。
変動係数(%)={σ(A)/A}×100
被覆率Bは、まず、磁性トナー表面の固着されていない無機微粒子を除去し、その後被覆率Aの算出と同様の操作を行って、算出する。
(1)固着されていない無機微粒子の除去
固着されていない無機微粒子の除去は下記のように行う。この除去条件は、トナー表面に埋没した無機微粒子以外を十分除去するために本発明者らが検討し、決定した。
一例として、図6の装置を使用して、3種類の外添強度で被覆率Aを46%とした磁性トナーについて、超音波分散時間と、超音波分散後に算出した被覆率の関係を図9に示す。図9は、以下の方法により超音波分散による無機微粒子の除去を行った後、乾燥させた磁性トナーの被覆率を上記被覆率Aの算出と同様に行うことにより作成した。
図9より、超音波分散による無機微粒子の除去とともに、被覆率が低下し、いずれの外添強度においても、20分間超音波分散することにより、被覆率がほぼ一定となることがわかる。このことから、30分間の超音波分散により、トナー表面に埋没した無機微粒子以外を十分除去できるとし、そのときに得られる被覆率を被覆率Bと定義した。
より詳細には、水16.0g、コンタミノンN(和光純薬製中性洗剤、商品No.037−10361)4.0gをガラス製の30mlバイアルに投入し、十分混合する。作製した溶液に磁性トナー1.50gを投入して磁石を底面から近付け、磁性トナーを全て沈める。その後、磁石を動かして気泡を除くと共に溶液に磁性トナーを馴染ませる。
超音波振動機UH−50(株式会社エスエムテー製、先端径φ6mmのチタン合金チップ使用)の先端が、バイアルの中央部であり、かつ、バイアル底面から5mmの高さになるようにセットし、超音波分散による無機微粒子の除去を行う。30分間、超音波を掛けた後、磁性トナーを全量取り出して乾燥させる。この時、極力熱を掛けないこととし、30℃以下で真空乾燥を行う。
(2)被覆率Bの算出
上述の乾燥後のトナーを上述の被覆率Aと同様に被覆率を算出し、被覆率Bを得る。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影される磁性トナー表面の無機微粒子画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
上述した「被覆率Aの算出」と同様に(1)〜(3)まで操作を行い、(4)と同様に磁性トナー表面を倍率5万倍で焦点調整を行ってピントを合わせた後、ABCモードで明るさ合わせを行う。その後、倍率を10万倍とした後に(4)と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、更に、オートフォーカスでピントを合わせる。焦点調整の操作を再度繰り返し、10万倍にてピントを合わせる。
その後、磁性トナー表面上の少なくとも300個の無機微粒子について粒径を測定して、個数平均粒径(D1)を求める。ここで、無機微粒子は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、一次粒子の個数平均粒径(D1)を得る。
(1)磁性トナー中のシリカ微粒子の含有量の定量(標準添加法)
磁性トナー3gを直径30mmのアルミリングに入れ、10トンの圧力でペレットを作製する。波長分散型蛍光X線分析(XRF)により、珪素(Si)の強度を求める(Si強度−1)。なお、測定条件は使用するXRF装置で最適化されたものであれば良いが、一連の強度測定はすべて同一条件で行うこととする。磁性トナーに、一次粒子の個数平均粒径が12nmのシリカ微粒子を、磁性トナーに対して1.0質量%添加して、コーヒーミルにより混合する。
この際、混合するシリカ微粒子は、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上、50nm以下のものであれば、本定量に影響なく使用することができる。
混合後、上記と同様にペレット化したのちに、上記同様にSiの強度を求める(Si強度−2)。同様の操作を、シリカ微粒子を、磁性トナーに対して2.0質量%、3.0質量%添加混合したサンプルにおいても、Siの強度を求める(Si強度−3、Si強度−4)。Si強度−1乃至4を用いて、標準添加法により磁性トナー中のシリカ含有量(質量%)を計算する。
磁性トナー中のチタニア含有量(質量%)及び、アルミナ含有量(質量%)については、上記のシリカ含有量の定量と同様に標準添加法により定量する。すなわち、チタニア含有量(質量%)については、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上、50nm以下のチタニア微粒子を添加混合し、チタン(Ti)強度を求めることにより、定量することができる。アルミナ含有量(質量%)については、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上、50nm以下のアルミナ微粒子を添加混合し、アルミニウム(Al)強度を求めることにより、定量することができる。
(2)磁性トナー粒子から無機微粒子の分離
磁性トナー5gを、精密天秤を用いて200mlの蓋付きポリカップに秤量し、メタノールを100ml加え、超音波分散機で5分間分散させる。ネオジム磁石により磁性トナーを引き付け、上澄み液を捨てる。メタノールによる分散と上澄みを捨てる操作を3回繰り返したのち、10%NaOHを100mlと、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を数滴加え、軽く混合したのち、24時間静置する。その後、再びネオジム磁石を用いて分離する。なお、この際にNaOHが残留しないように繰り返し蒸留水ですすぐ。回収された粒子を真空乾燥機により十分に乾燥させ、粒子Aを得る。上記操作により、外添されたシリカ微粒子は溶解、除去される。チタニア微粒子、アルミナ微粒子は10%NaOHに対して難溶解性であるため、粒子A中に残存しうる。
(3)粒子A中のSi強度測定
3gの粒子Aを直径30mmのアルミリングに入れ、10トンの圧力でペレットを作製し、波長分散型XRFにより、Siの強度を求める(Si強度−5)。Si強度−5と磁性トナー中のシリカ含有量の定量で使用したSi強度−1乃至4を利用して、粒子A中のシリカ含有量(質量%)を計算する。
(4)磁性トナーから磁性体の分離
5gの粒子Aに対して、100mlのテトラヒドロフランを加え、良く混合した後に超音波分散を10分行う。磁石により磁性粒子を引き付け、上澄み液を捨てる。この作業を5回繰り返し、粒子Bを得る。この操作で、磁性体以外の樹脂等の有機成分はほぼ取り除くことができる。ただし、樹脂中のテトラヒドロフラン不溶解分が残存する可能性があるため、上記操作で得られた粒子Bを800℃まで加熱して残存する有機成分を燃焼させることが好ましく、加熱後に得られた粒子Cを、磁性トナーに含有されていた磁性体と近似することができる。
粒子Cの質量を測定することにより、磁性トナー中の磁性体含有量W(質量%)とすることができる。この際、磁性体の酸化増量分を補正するために、粒子Cの質量に0.96
66(Fe2O3→Fe3O4)を乗じる。
(5)分離した磁性体中のTi強度、Al強度の測定
磁性体中に不純物もしくは添加物としてTi、Alが含まれることがある。磁性体に起因するTi及びAlについては、波長分散型XRFのFP定量法によって、その量を検出できる。検出されたTi量、Al量を、チタニア、アルミナ換算して、磁性体中のチタニア、アルミナ含有量を算出する。
上記手法により得られた、各定量値を以下の式に代入することにより、外添シリカ微粒子量、外添チタニア微粒子量、外添アルミナ微粒子量を算出する。
外添シリカ微粒子量(質量%)=磁性トナー中のシリカ含有量(質量%)−粒子A中のシリカ含有量(質量%)
外添チタニア微粒子量(質量%)=磁性トナー中のチタニア含有量(質量%)−{磁性体のチタニア含有量(質量%)×磁性体含有量W/100}
外添アルミナ微粒子量(質量%)=磁性トナー中のアルミナ含有量(質量%)−{磁性体のアルミナ含有量(質量%)×磁性体含有量W/100}
(6)磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子において、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子からなる群より選ばれる金属酸化物微粒子中のシリカ微粒子の割合の算出。
被覆率Bの算出法において、「固着されていない無機微粒子の除去」操作をした後のトナーを乾燥したのち、上記(1)乃至(5)の方法と同様な操作を実施することにより、金属酸化物微粒子中のシリカ微粒子の割合の算出が可能である。
磁性トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
磁性トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)を用い、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像測定装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像測定装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個の磁性トナーを計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、磁性トナーの平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本発明においては、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像測定装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、
流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
本発明において、磁性トナーの圧縮率は、下記式から算出する。
圧縮率(%)={1−(見掛け密度/タップ密度)}×100
ここで、上記見掛け密度、及びタップ密度は、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用いて以下の方法で測定する。
磁性トナーを、直径5.03cm、容積100cm3の円筒容器へ目開き608μm(24メッシュ)の篩いを通して上方から均一に30秒間供給する。この時の供給速度は、30秒間で円筒容器に磁性トナーが充分満たされるように調整する。30秒間供給した直後に円筒容器の上面の磁性トナーをブレードによりすり切り、円筒容器内の磁性トナーの質量を測定し、磁性トナー質量÷100から見掛け密度(g/cm3)を得る。この操作を5回行い、算術平均値を本発明における見掛け密度(g/cm3)とする。
見掛け密度測定後に円筒状のキャップをはめ、この上縁まで磁性トナーを加えてタップ高さ1.8cmのタッピングを180回行う。終了後、キャップを外して円筒容器の上面の磁性トナーをブレードによりすり切り、円筒容器内の磁性トナーの質量を測定し、磁性トナー質量÷100からタップ密度(g/cm3)を得る。この操作を5回行い、算術平均値を本発明におけるタップ密度とする。
<磁性体1の製造例>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対して珪素元素換算で0.60質量%となる量のSiO2、鉄元素に対してリン元素換算で0.15質量%となる量のリン酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.5に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し解砕処理して体積平均粒径(Dv)が0.21μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが66.7Am2/kg、残留
磁化が4.0Am2/kgの磁性体2を得た。
<磁性体2の製造例>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対して珪素元素換算で0.60質量%となる量のSiO2を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8.5に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し解砕処理して体積平均粒径(Dv)が0.22μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが66.1Am2/kg、残留磁化が5.9Am2/kgの磁性体2を得た。
<磁性体3の製造例>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH12.8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し解砕処理して体積平均粒径(Dv)が0.20μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さが65.9Am2/kg、残留磁化が7.3Am2/kgの磁性体3を得た。
・スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体1 100.0質量部
(表1における、St/nBA共重合体1)
(質量比:スチレン/n−ブチルアクリレート=78/22、ガラス転移温度Tg:58℃、ピーク分子量:8500)
・磁性体1 95.0質量部
・ポリエチレンワックス(融点:102℃) 5.0質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)製) 2.0質量部
上記原材料をヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機(株))で予備混合した。その後、回転数250rpmに設定した二軸混練押し出し機(PCM−30:池貝鉄工所社製)により、混練物の出口付近における直接温度が145℃となるように設定温度を調節し、混練した。
得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物をカッターミルで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物を、ターボミルT−250(ターボ工業社製)を用いて、フィード量を25kg/hrとし、排気温度が38℃になるようエアー温度を調整して微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径(D4)が8.4μmの磁性トナー粒子1を得た。トナー粒子1の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子2の製造>
磁性体1の代わりに磁性体2を用いた事以外は磁性トナー粒子1の製造と同様にして磁性トナー粒子2を得た。磁性トナー粒子2の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子3の製造>
微粉砕する装置をジェットミル粉砕機に変えた事以外は磁性トナー粒子2の製造と同様にして磁性トナー粒子3を得た。磁性トナー粒子3の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子4の製造>
磁性トナー粒子2の製造において、ターボミルT−250の排出温度をやや高めの44℃に制御し、磁性トナー粒子の平均円形度を高めにする調整を行った事以外は磁性トナー粒子2の製造と同様にして磁性トナー粒子4を得た。磁性トナー粒子4の製造条件を表1
に示す。
磁性体1の代わりに磁性体3を用いた事以外は磁性トナー粒子1の製造と同様にして磁性トナー粒子5を得た。磁性トナー粒子5の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子6及び7の製造>
磁性トナー粒子5の製造において、分級工程における多分割分級機の分級エッジの位置を調整し、微粉を取り込むようにした事以外は磁性トナー粒子5の製造と同様にして磁性トナー粒子6及び7を得た。磁性トナー粒子6及び7の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子8の製造>
磁性トナー粒子3の製造において磁性体2の代わりに磁性体3を用い、分級条件を変更し、より多く微粉を取り込むようにした事以外は磁性トナー粒子3の製造と同様にして磁性トナー粒子8を得た。磁性トナー粒子8の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子9の製造>
磁性トナー粒子4の製造において磁性体2の代わりに磁性体3を用い、分級条件を変更し、より多く微粉を取り込むようにした事以外は磁性トナー粒子4の製造と同様にして磁性トナー粒子9を得た。磁性トナー粒子9の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子10の製造>
磁性トナー粒子8の製造において、スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比:78/22、Tg:58℃、ピーク分子量:8500)をスチレン/n−ブチルアクリレート共重合体2(表1における、St/nBA共重合体2、質量比:78/22、Tg:57℃、ピーク分子量:6500)に変えた事以外は磁性トナー粒子8の製造と同様にして磁性トナー粒子10を得た。磁性トナー粒子10の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子11の製造>
磁性トナー粒子9の製造において、ターボミルT−250の排出温度を更に高めの48℃に制御し、磁性トナー粒子の平均円形度を高めにする調整を行った事以外は磁性トナー粒子9の製造と同様にして磁性トナー粒子11を得た。磁性トナー粒子11の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子12の製造>
磁性トナー粒子3の製造において、ポリエチレンワックスの添加量を7質量部に変更し、分級条件を変更して微粉を取り込むようにした事以外は磁性トナー粒子3の製造と同様にして磁性トナー粒子12を得た。磁性トナー粒子12の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子13の製造>
磁性トナー粒子4の製造において、ポリエチレンワックスの添加量を3質量部に変更し、分級工程における多分割分級機の分級エッジの位置を調整し、微粉を除くようにした事以外は磁性トナー粒子4の製造と同様にして磁性トナー粒子13を得た。磁性トナー粒子13の製造条件を表1に示す。
<磁性トナー粒子14の製造>
磁性トナー粒子2を100.0質量部、疎水性シリカ0.5質量部をヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機(株))に投入し、回転数を3000rpmとし、2分間混合・撹拌した。なお、用いた疎水性シリカは、一次粒子の個数平均粒径(D1)12nm、BET比表面積:200m2/gのシリカ100質量部をヘキサメチルジシラザン10質量部で表面処理し、次いでジメチルシリコーンオイル10質量部で処理を行ったものである。
次いで、この混合・撹拌物を、熱風を吹き付けることにより磁性トナー粒子の表面改質を行う装置であるメテオレインボー(日本ニューマチック工業社製)で表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度2kg/hr、熱風流量700L/min、吐出熱風温度300℃で行った。このような熱風処理を行って、磁性トナー粒子14を得た。
<磁性トナー粒子15の製造>
磁性トナー粒子14の製造において、添加した疎水性シリカの添加量を1.5質量部と
した以外は、磁性トナー粒子14の製造と同様にして磁性トナー粒子15を得た。
磁性トナー粒子の製造例1で得た磁性トナー粒子1に対して、図6に示す装置を用いて、外添混合処理を行った。
本実施例においては、図6に示す装置で、本体ケーシング1の内周部の径が130mmであり、処理空間9の容積が2.0×10−3m3の装置を用い、駆動部8の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材3の形状を図7のものとした。そして、図7における攪拌部材3aと攪拌部材3bの重なり幅dを攪拌部材3の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材3と本体ケーシング1内周とのクリアランスを3.0mmとした。
上記した装置構成で、磁性トナー粒子1の100質量部(500g)と、以下のシリカ微粒子1の2.00質量部とを、図6に示す装置に投入した。
シリカ微粒子1は、BET比表面積:130m2/g、一次粒子の個数平均粒径(D1):16nmのシリカ100質量部をヘキサメチルジシラザン10質量部で処理し、次いでジメチルシリコーンオイル10質量部で処理を行ったものである。
磁性トナー粒子とシリカ微粒子を投入後、磁性トナー粒子とシリカ微粒子を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、駆動部8の動力を0.1W/g(駆動部8の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。
プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、駆動部8の動力を1.0W/g(駆動部8の回転数1800rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を5分間とした。外添混合処理条件を表2に示す。
外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒等を除去し、磁性トナー1を得た。磁性トナー1を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、磁性トナー表面のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径を測定したところ、18nmであった。磁性トナー1の外添条件を表2に、磁性トナー1の物性を表3にそれぞれ示す。
磁性トナー1の製造において、磁性トナー粒子1の代わりに表2に示す磁性トナー粒子を用いて、表2に示す外添処方、外添装置、外添条件によって、それぞれ外添処理を実施し、磁性トナー2〜4、7、8、11〜17、19〜33、及び比較磁性トナー1〜19、21〜30を得た。各磁性トナーの物性を表3に示す。
なお、表2に記載の、チタニア微粒子とアルミナ微粒子は、それぞれ、アナターゼ型酸化チタン[BET比表面積:80m2/g、一次粒子の個数平均粒径(D1):15nm、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理]、アルミナ微粒子[BET比表面積:70m2/g、一次粒子の個数平均粒径(D1):17nm、イソブチルトリメトキシシラン10質量%処理]を用いた。
また、表2中には、シリカ微粒子以外に、チタニア微粒子、アルミナ微粒子を添加した場合のシリカ微粒子の割合(質量%)を示す。
なお、比較磁性トナー15乃至19については、プレ混合を行わず、投入後直ちに外添混合処理を実施した。
表2中、ハイブリタイザーとは、ハイブリタイザー1型(奈良機械社製)、ヘンシェルミキサーとは、FM10C(三井三池化工機(株))をそれぞれ示す。
磁性トナーの製造例2において、シリカ微粒子1を、BET比表面積:200m2/g、一次粒子の個数平均粒径(D1):12nmのシリカに対してシリカ微粒子1と同様の表面処理を行った、シリカ微粒子2に変更した以外は同様にして、磁性トナー5を得た。磁性トナー5を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、磁性トナー表面のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径を測定したところ、14nmであった。磁性トナー5の外添条件を表2に、物性を表3にそれぞれ示す。
<磁性トナーの製造例6>
磁性トナーの製造例2において、シリカ微粒子1を、BET比表面積:90m2/g、一次粒子の個数平均粒径(D1):25nmのシリカに対してシリカ微粒子1と同様の表面処理を行った、シリカ微粒子3に変更した以外は同様にして、磁性トナー6を得た。磁性トナー6を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、磁性トナー表面のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径を測定したところ、28nmであった。磁性トナー6の外添条件を表2に、物性を表3にそれぞれ示す。
磁性トナーの製造例1と同じ装置を使用し、以下の手順で外添混合処理を行った。
磁性トナーの製造例1において、磁性トナー粒子1を磁性トナー粒子2に変更し、添加するシリカ微粒子1(2.00質量部)を表2に示すように、シリカ微粒子1(1.70質量部)とチタニア微粒子(0.30質量部)に変更した。
まず、磁性トナー粒子2を100質量部とシリカ微粒子0.70質量部、チタニア微粒子0.30質量部を投入後、磁性トナーの製造例1と同様にプレ混合を実施した。
プレ混合終了後の外添混合処理において、駆動部8の動力を1.0W/g(駆動部8の回転数1800rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を2分間としたのち、一度混合処理を停止した。引き続き、残りのシリカ微粒子(100質量部の磁性トナー粒子に対して、1.00質量部)を追加投入し、再び、駆動部8
の動力を1.0W/g(駆動部8の回転数1800rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を3分間とし、外添混合処理時間を計5分間とした。外添混合処理後、磁性トナーの製造例1と同様に円形振動篩機で粗粒等を除去し、磁性トナー9を得た。磁性トナー9の外添条件を表2に、物性を表3にそれぞれ示す。
<磁性トナーの製造例10>
磁性トナーの製造例1と同じ装置を使用し、以下の手順で外添混合処理を行った。
磁性トナーの製造例1において、磁性トナー粒子1を磁性トナー粒子2に変更し、添加するシリカ微粒子1(2.00質量部)を表2に示すように、シリカ微粒子1(1.70質量部)とチタニア微粒子(0.30質量部)に変更した。
まず、磁性トナー粒子2を100質量部とシリカ微粒子1.70質量部を投入後、磁性トナーの製造例1と同様にプレ混合を実施した。
プレ混合終了後の外添混合処理において、駆動部8の動力を1.0W/g(駆動部8の回転数1800rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を2分間としたのち、一度混合処理を停止した。引き続き、残りのチタニア微粒子(100質量部の磁性トナー粒子に対して、0.30質量部)を追加投入し、再び、駆動部8の動力を1.0W/g(駆動部8の回転数1800rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を3分間とし、外添混合処理時間を計5分間とした。外添混合処理後、磁性トナーの製造例1と同様に円形振動篩機で粗粒等を除去し、磁性トナー10を得た。磁性トナー10の外添条件を表2に、物性を表3にそれぞれ示す。
磁性トナーの製造例6において、シリカ微粒子3を1.80質量部に変更した以外は同様にして、磁性トナー18を得た。磁性トナー18を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、磁性トナー表面のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径を測定したところ、28nmであった。磁性トナー18の外添条件を表2に、物性を表3にそれぞれ示す。
磁性トナーの製造例2において、シリカ微粒子1を、BET比表面積:30m2/g、一次粒子の個数平均粒径(D1):51nmのシリカに対してシリカ微粒子1と同様の表面処理を行った、シリカ微粒子4に変更した以外は同様にして、比較磁性トナー20を得た。比較磁性トナー20を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、磁性トナー表面のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径を測定したところ、53nmであった。比較磁性トナー20の外添条件を表2に、物性を表3に示す。
(画像形成装置)
画像形成装置として、直径10mmである小径のトナー担持体を搭載した、LBP―3100(キヤノン製)を用い、印字速度を16枚/分から20枚/分に改造した。小径のトナー担持体を搭載した画像形成装置において、印字速度を20枚/分に変更する事で、残存トナーと供給トナーの帯電量差が顕著に表れる環境となり、耐久性及びゴーストを厳しく評価できる。
この改造機を用いて、磁性トナー1を使用し、常温常湿環境下(23.0℃/50%RH)にて、初期評価を行った。その後、常温常湿環境下(23.0℃/50%RH)にて、印字率が2%の横線を1枚間欠モードで1500枚画出し試験を実施した後に耐久試験後評価を行った。
その結果、耐久試験前後で濃度が高く、ゴーストの発生が無い、非画像部へのカブリも少ない画像を得ることができた。評価結果を表4に示す。
<画像濃度>
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。
白画像を出力して、その反射率を東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%)= 標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上、2.5%未満)
C:普通(2.5%以上、4.0%未満)
D:悪い(4.0%以上)
10mm×10mmのベタ画像複数個を画像の前半に出し、画像の後半は2ドット3スペースのハーフトーン画像をだし、ハーフトーン画像上に前記ベタ画像の痕跡がどの程度出るかを目視で判断する。
A:非常に良好(ゴースト未発生)。
B:良好。
C:実用的には問題の無い画像。
D:ゴーストのレベルが悪く、実用上好ましくない画像。
磁性トナー2〜33を用いたこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。その結果、いずれの磁性トナーも初期評価及び耐久試験後評価で実用上問題ないレベル以上の画像が得られた。評価結果を表4に示す。
比較磁性トナー1〜30を用いたこと以外は、実施例1と同様に画出し試験を行った。その結果、いずれの磁性トナーも耐久試験後評価におけるゴーストのレベルが悪かった。評価結果を表4に示す。
原料投入口、6:製品排出口、7:中心軸、8:駆動部、9:処理空間、10:回転体端部側面、11:回転方向、12:戻り方向、13:送り方向、16:原料投入口用インナーピース、17:製品排出口用インナーピース、d:撹拌部材の重なり部分を示す間隔、D:撹拌部材の幅、100:静電潜像担持体(感光体)、102:トナー担持体、103:規制ブレード、114:転写部材(転写ローラー)、116:クリーナー、117:帯電部材(帯電ローラー)、121:レーザー発生装置(潜像形成手段、露光装置)、123:レーザー、124:レジスタローラー、125:搬送ベルト、126:定着器、140:現像器、141:攪拌部材
Claims (4)
- 結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子と、該磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子とを含有する磁性トナーであって、
該磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子が、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物微粒子を含有し、該金属酸化物微粒子中の85質量%以上がシリカ微粒子であり、
該磁性トナーは、無機微粒子による磁性トナー粒子表面の被覆率を被覆率A(%)とし、該磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子による被覆率を被覆率B(%)としたときに、
該被覆率Aが45.0%以上、70.0%以下であり、該被覆率Aの変動係数が10.0%未満であり、
該被覆率Bの被覆率Aに対する比[被覆率B/被覆率A]が0.50以上、0.85以下であり、
下記式(1)から得られる該磁性トナーの圧縮率が38%以上、42%以下であることを特徴とする磁性トナー。
式(1):圧縮率(%)={1−(見掛け密度/タップ密度)}×100 - 該磁性トナーの平均円形度が0.935以上、0.955以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーの、重量平均粒径(D4)の個数平均粒径(D1)に対する比[D4/D1]が1.30以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーは、磁場79.6kA/mにおける、残留磁化(σr)の磁化の強さ(σs)に対する比[σr/σs]が0.09以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
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