JP2013127982A - リチウム電池用固体電解質シート、その製造方法、及びそれを用いた全固体二次電池 - Google Patents

リチウム電池用固体電解質シート、その製造方法、及びそれを用いた全固体二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】シート自立化のために支持体を導入してもイオン伝導性がほとんど低下せず、大面積を有する固体電解質シート及び電極シートを提供する。
【解決手段】固体電解質及び複数の開口を有する支持体を含み、前記固体電解質が、前記支持体の開口において、厚さ方向に連続貫通構造を有し、前記支持体がガラスからなり、前記支持体の開口率が40〜90%である固体電解質シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質シート、電極シート及びそれからなる全固体二次電池に関する。さらに詳しくは、ガラスからなる支持体を含む固体電解質シート及び電極シートに関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いられる大容量で高性能なリチウム電池等二次電池の需要が増加している。
使用される用途が広がるに伴い、二次電池のさらなる安全性の向上及び高性能化が要求されている。
リチウム電池の安全性を確保する方法としては、有機溶媒電解質に代えて無機固体電解質を用いることが有効である。無機固体電解質は、その性質上不燃で、通常使用される有機溶媒電解質と比較し安全性が高いためである。このような電解質を用いた高い安全性を備えた全固体リチウム電池の開発が望まれている。
全固体リチウム電池において使用される無機固体電解質は、通常、粉末状である。従って、取り扱いの便宜上、シート状の固体状態にすることが求められている。しかしながら、粉末の固体電解質だけからなる単一層の薄膜シートは形成が困難であった。
一方、電池を構成した際の電解質中のLiイオン伝導性は電解質層の厚みに依存するため、固体電解質層の薄膜化が望まれている。
このような問題に対し、特許文献1では、リチウムイオン伝導性固体電解質と熱可塑性高分子樹脂を乾式で混合し、加熱下で圧延した固体電解質シートを開示している。しかしながら、シートの製造時、固体電解質の支持体として熱可塑性高分子樹脂を混合するので、固体電解質のイオン伝導パスが高分子の鎖で切断され、イオン伝導度が低下する問題があった。
特許文献2には、固体電解質インクを不織布にスプレーで塗布した固体電解質シートを開示している。しかし、不織布を構成するポリマー鎖で、固体電解質のイオン伝導パスが切断されるため、イオン伝導度の低下が避けられない。
非特許文献1には、固体電解質スラリーをPET(ポリエチレンテレフタレート)製メッシュ(厚さ100μm、開口率70%)に塗布し、溶剤を乾燥させながら加圧する手法により、メッシュ入り固体電解質シートを開示している。しかし、PET製メッシュは、耐熱性や安定性(固体電解質等と反応しない)が不十分であった。
特開平4−133209号公報 特開平1−115069号公報
新エネルギー産業技術総合開発機構平成13年度成果報告書(「安定性を向上させた全固体リチウム電池用新規無機電解質の開発」)
本発明の目的は、シート自立化のために支持体を導入してもイオン伝導性がほとんど低下せず、大面積を有する固体電解質シート及び電極シートを提供することである。
本発明の他の目的は、製造が容易で、連続プロセス及び大量生産が適用可能な固体電解質シート及び電極シートを提供することである。
本発明によれば、以下の固体電解質シート、電極シート及び全固体二次電池が提供される。
1.固体電解質及び複数の開口を有する支持体を含み、前記固体電解質が、前記支持体の開口において、厚さ方向に連続貫通構造を有し、前記支持体がガラスからなり、前記支持体の開口率が40〜90%である固体電解質シート。
2.前記支持体がガラス繊維織物からなる1に記載の固体電解質シート。
3.前記支持体が感光性ガラスからなる1に記載の固体電解質シート。
4.電極材及び複数の開口を有する支持体を含み、前記電極材が、前記支持体の開口において、厚さ方向に連続貫通構造を有し、前記支持体がガラスからなり前記支持体の開口率が40〜90%である電極シート。
5.前記支持体がガラス繊維織物からなる4に記載の電極シート。
6.前記支持体が感光性ガラスからなる4に記載の電極シート。
7.1〜3のいずれかに記載の固体電解質シート及び4〜6のいずれかに記載の電極シートの少なくとも1つを含んでなる全固体二次電池。
本発明によれば、大面積を有する自立した固体電解質シート及び電極シートを提供することができる。また、固体電解質自体が連続自立構造を有するため、シート自立化のために支持体を導入してもイオン伝導性がほとんど低下しない。
本発明によれば、製造が容易で、連続プロセス及び大量生産が適用可能な固体電解質シート及び電極シートを提供することができる。
本発明に係る固体電解質シートに用いる支持体の一実施形態を示す概略上面図である。 本発明に係る固体電解質シートに用いる支持体の他の実施形態を示す概略上面図である。 本発明に係る全固体二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。
本発明の固体電解質シートは、固体電解質及び支持体を含む。支持体は複数の開口を有し、ガラスからなる。好ましくは開口率が40〜90%である。固体電解質は、支持体の複数の開口を通して、シートの厚さ方向に連続貫通構造を有する。
図1(a)は、本発明に係る固体電解質シートに用いる支持体の一実施形態を示す概略上面図である。
図1(a)に示される支持体は、ガラス繊維織物10である。
図1(b)は、図1(a)に示されるガラス繊維織物10を用いた、固体電解質シート1の概略断面図である。
固体電解質シート1は、ガラス繊維織物10及び固体電解質20からなり、固体電解質20は、ガラス繊維織物10が作る空隙を充填している。
図1(b)に示されるように、固体電解質20は厚さ方向Tに連続貫通構造12を有する。この連続貫通構造12はガラス繊維織物10の開口部に存在する。固体電解質20は、連続貫通構造を有するため、イオン伝導パスが切断されず、イオン伝導度が低下しない。
尚、図1(b)において、ガラス繊維織物10は1枚であるが、複数枚重ねてもよい。また、シートの厚みとガラス繊維織物の厚さをほぼ同じにしてもよい。ガラス繊維織物は、平織り、綾織り、朱子織り、カラミ織り等を適宜採用することができ、形態を保持できるものであれば、特に限定はされない。
ガラス繊維織物に用いるガラスとしては、Eガラス、Sガラス、Cガラス等を挙げることができる。上記ガラス繊維のモノフィラメント径は、通常、3〜9μmであり、好ましくは5〜7μmである。モノフィラメント径が、3μm未満の場合、人体に有害であるため好ましくない。一方、モノフィラメント径が9μmを超える場合、ガラス繊維が太くなるため、ガラス繊維から織製されるガラス繊維織物は十分な開口率を有さない。また、ガラス繊維の太さを決定するモノフィラメントの集束本数は、通常、50〜400本である。これにより、所望とする開口部を有するガラス繊維織物を得ることができる。
ガラス繊維織物は、以下の方法で製造できる。具体的には、目的の織物の厚さや質量となるように複数のモノフィラメントを選択し、集束剤等を用いて複数のモノフィラメントを集束させてガラス繊維を得る。次に、得られたガラス繊維を縦糸と横糸に分け、織物が所定の密度となるように設定した織機を用いて、上記ガラス繊維を織り、ガラス繊維織物を得ることができる。
本発明の固体電解質シートは、感光性ガラスからなる支持体を用いることができる。
図2(a)は、本発明に係る固体電解質シートに用いる支持体の他の実施形態を示す概略上面図である。
図2(a)に示される支持体は、感光性ガラスからなる多孔シート11である。
図2(b)は、図2(a)に示される多孔シート11を用いた、固体電解質シート1の概略断面図である。
固体電解質シート1は、多孔シート11及び固体電解質20からなり、固体電解質20は、多孔シート11が作る空隙を充填している。
図2(b)に示されるように、固体電解質20は厚さ方向Tに連続貫通構造12を有する。この連続貫通構造12は多孔シート11の開口部に存在する。固体電解質20は、連続貫通構造を有するため、イオン伝導パスが切断されず、イオン伝導度が低下しない。尚、多孔シートの貫通孔の形状は図2(a)では正方形であるが、これに限定されず、例えば、円形、長方形、不定形等の形状でもよい。
図2(b)において、ガラスクロスの形状は規則的な格子に限定されず、不規則又はランダムな格子状でもよい。
多孔シートに用いる感光性ガラスは感光性化学切削ガラスとも呼ばれ、リチウムケイ酸リチウム塩ガラス中に少量の金,銀,銅等の貴金属をイオンとして含んでいる。感光性ガラスに紫外線を照射し、熱処理すると、照射部分にメタケイ酸リチウム(LiO・SiO)の微結晶が析出する。この結晶は紫外線照射前のガラスに比べて数十倍もフッ酸に溶解しやすいため、紫外線照射を選択的に行うことにより、感光した部分を精度よく加工することができ、種々の形状の開口や貫通孔を有するシートを形成することができる。
上記感光性ガラスとしては、コーニング社のフォトフォームやフォトセラム、HOYA社のPEG3やPEG3Cを使用することができる。
本発明の固体電解質シートに含まれる支持体の開口率は、40〜90%である。これにより、イオン伝導パス阻害を抑え、イオン伝導度が低下を防ぐことができる。開口率とは支持体の一定の面積に対して開口が占める割合を示したものである。
支持体としてガラス繊維織物を用いた場合、例えば支持体の面積が25×25mmの場合、開口率は以下の式から算出できる。
開口率(%)=(25−X×a)×(25−Y×b)×100/25×25
X:縦糸の幅(mm)
Y:横糸の幅(mm)
a:縦糸の密度(25mm幅中における糸の本数)
b:横糸の密度(25mm幅中における糸の本数)
支持体として感光性ガラスからなる多孔シートを用いた場合、開口部を自由に設計できるため、開口率は単純に以下の式から算出することができる。
開口率(%)=開口部面積の和×100/多孔シートの面積
本発明の固体電解質シートは、ガラスからなる支持体を含むため機械的強度に優れる。例えば本発明のシートは、ピンセットではさんでも、周囲が欠けたり、ひびが入ることがなく、容易にハンドリングや移動操作が可能な自立したシートである。また、ガラスは熱安定性に優れるため、本発明の固体電解質シートは、電池の製造工程において、ハンダリフロプロセス等の加熱を伴う工程を含めることができる。さらに、ガラスは化学的安定性にも優れるため、開口部に充填している固体電解質と反応することがない。
固体電解質シートの厚みは、好ましくは20〜500μmであり、さらに好ましくは30〜200μm、特に好ましくは30〜50μmである。20μm未満では、電池を形成した際に電極間の短絡を生じるおそれがあり、一方、500μmを越えると、固体電解質シートの抵抗が大きくなり、電池の性能が低下するおそれがある。
本発明の固体電解質シートに用いられる固体電解質は、特に限定されず、有機化合物、無機化合物、又は有機・無機両化合物からなる材料を用いることができ、リチウムイオン電池分野で公知のものが使用できる。特に、硫化物系の無機固体電解質は、イオン伝導度が他の無機化合物より高いことが知られており、特開平4−202024号公報等に記載の無機固体電解質を使用できる。具体的には、LiSとSiS、GeS、P、Bの組合せから成る無機固体電解質に、適宜、LiPOやハロゲン、ハロゲン化合物を添加した無機固体電解質を用いることができる。また、リチウムイオン伝導性が高いことから、硫化リチウムと五硫化二燐、又は硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄、さらには硫化リチウム、五硫化二燐、単体燐及び/又は単体硫黄から生成するリチウムイオン伝導性無機固体電解質を使用することが好ましい。混合時における固体電解質の平均粒径は、シート内における分散を考慮すると、0.001μm〜50μmとすることが好ましい。
固体電解質は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、バインダーを添加することができる。
バインダーとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が使用できる。例えば、ポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体を挙げることができる。
この中で好ましいのはポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、である。
尚、固体電解質には、さらにイオン性液体等のリチウムイオン伝導性を有する添加剤を配合してもよい。
以下、好ましい固体電解質について説明する。
リチウムイオン伝導性無機固体電解質は、硫化リチウムと、五硫化二燐及び/又は、単体燐及び単体硫黄から製造することができる。具体的には、これら原料を溶融反応した後、急冷するか、又は、原料をメカニカルミリング法(以下、MM法と示すことがある。)により処理して得られるリチウム・リン系硫化物ガラスを加熱処理したものである。
LiSは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、以下に説明するように高純度のものが好ましい。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、得られる電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)である。即ち、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物であり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。
さらに、この結晶化物について下記の熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度のリチウムイオン伝導性無機固体電解質を得ることはできない。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウム電池のサイクル性能を低下させることがない。
従って、高イオン伝導性電解質を得るためには、不純物が低減された硫化リチウムを用いる必要がある。
この固体物質で用いられる硫化リチウムの製造法としては、少なくとも上記不純物を低減できる方法であれば特に制限はない。
例えば、以下の方法で製造された硫化リチウムを精製することにより得ることもできる。
以下の製造法の中では、特にa又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報)。
上記のようにして得られた硫化リチウムの精製方法としては、特に制限はない。好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号等が挙げられる。
具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、硫化リチウム製造に使用する非プロトン性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
洗浄に好ましく用いられる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、環式有機リン化合物等の非プロトン性の極性有機化合物が挙げられ、単独溶媒、又は混合溶媒として好適に使用することができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、良好な溶媒に選択される。
洗浄に使用する有機溶媒の量は特に限定されず、また、洗浄の回数も特に限定されないが、2回以上であることが好ましい。洗浄は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
洗浄された硫化リチウムを、洗浄に使用した有機溶媒の沸点以上の温度で、窒素等の不活性ガス気流下、常圧又は減圧下で、5分以上、好ましくは約2〜3時間以上乾燥することにより、本発明で用いられる硫化リチウムを得ることができる。
は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。尚、Pに代えて、相当するモル比の単体リン(P)及び単体硫黄(S)を用いることもできる。単体リン(P)及び単体硫黄(S)は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
上記硫化リチウムと、五硫化二燐又は単体燐及び単体硫黄の混合モル比は、通常50:50〜80:20、好ましくは60:40〜75:25である。
特に好ましくは、LiS:P=68:32〜74:26(モル比)程度である。
リチウム・リン系硫化物ガラスの製造方法としては、溶融急冷法やメカニカルミリング法(MM法)がある。
溶融急冷法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、リチウム・リン系硫化物ガラスが得られる。
この際の反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は1〜10000K/sec程度、好ましくは1〜1000K/secである。
MM法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、メカニカルミリング法にて所定時間反応させることにより、リチウム・リン系硫化物ガラスが得られる。
上記原料を用いたメカニカルミリング法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス状電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法では、ガラス状電解質の製造と同時に、ガラス状電解質を微粉末化できるという利点もある。
MM法は種々の形式を用いることができるが、遊星型ボールミルを使用するのが特に好ましい。
遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。
MM法の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス質状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。
このようにして得られた電解質は、ガラス状電解質であり、通常、イオン伝導度は1.0×10−5〜8.0×10−4(S/cm)程度である。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
以上、溶融急冷法及びMM法による硫化物ガラスの具体例を説明したが、温度条件や処理時間等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
その後、得られたリチウム・リン系硫化物ガラスを所定の温度で熱処理し、固体電解質を生成させる。
固体電解質を生成させる熱処理温度は、好ましくは190℃〜340℃、より好ましくは、195℃〜335℃、特に好ましくは、200℃〜330℃である。
190℃より低いと高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、340℃より高いとイオン伝導性の低い結晶が生じる恐れがある。
熱処理時間は、190℃以上220℃以下の温度の場合は、3〜240時間が好ましく、特に4〜230時間が好ましい。また、220℃より高く340℃以下の温度の場合は、0.1〜240時間が好ましく、特に0.2〜235時間が好ましく、さらに、0.3〜230時間が好ましい。
熱処理時間が0.1時間より短いと、高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、240時間より長いと、イオン伝導性の低い結晶が生じるとなる恐れがある。
このようにして得られたリチウムイオン伝導性無機固体電解質は、通常、イオン伝導度は、7.0×10−4〜5.0×10−3(S/cm)程度である。
このリチウムイオン伝導性無機固体電解質は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有することが好ましい。
このような結晶構造を有する固体電解質が、極めて高いリチウムイオン伝導性を有する。
本発明の固体電解質シートは、例えば以下の方法で製造できる。
本発明の固体電解質シートは、固体電解質を溶媒に溶かしスラリー化し、支持体に塗布することで製造できる。
固体電解質のスラリー化に用いる溶媒は、固体電解質の性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば非水系溶媒が挙げられる。
非水系溶媒としては、例えば、乾燥ヘプタン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、Nメチルピロリドン、アセトニトリル、及びジメトキシエタン、ジメチルカーボネート等の電解液に用いられる溶媒が挙げられ、好ましくは水分含有量が100ppm以下、より好ましくは50ppm以下の溶媒である。
スラリー化した固体電解質を支持体の両面又は片面に塗布する場合の塗布方法としては、厚膜を作製する場合はスライドダイコート、コンマダイコート、コンマリバースコート等を用いることができ、比較的薄い膜の場合はグラビアコート、グラビアリバースコート等を用いることができる。
固体電解質のスラリーを塗布後、乾燥を行う。乾燥には、熱風、ヒーター、高周波等による乾燥装置を用いることができる。乾燥は、固体電解質シートの両面から行ってもよいし、片面から行ってもよい。この時、スラリー中の溶媒の取り除きが不十分にならないように、例えば熱風の場合、温度と風量を最適に調整する必要がある。乾燥した固体電解質シートをそのまま用いることもできるが、さらに加圧して強度を高くすることもできる。加圧には、シートプレスやロールプレス等を用いることできる。加圧時の圧力が低いと固体電解質層の厚さが不均一になるおそれがあり、高いと固体電解質とガラス繊維織物を含めて破損するおそれがある。
一方、固体電解質をスラリー化せず粉末として用いてシート化する場合には、サンドブラスト法(SB法)、エアロゾルデポジション法(AD法)等により固体電解質を高速で衝突させ支持体の開口に堆積・充填させてもよいし、固体電解質をそのまま溶射してもよい。さらに、不活性ガス中で支持体上に固体電解質の粉末を盛り、支持体下方から吸引して、支持体中に固体電解質を充填することもできる(オートクレーブ法)。また、支持体の両面又は片面に固体電解質の粉末を載せ、プレス機等を用いて加圧して、支持体の開口に充填させてもよい。尚、固体電解質を粉末として用いてシート化する場合、充填効率向上の観点から、固体電解質を充填後、超音波等を印加してもよい。
本発明の電極シートは本発明の固体電解質シートの固体電解質を電極材に変えたほかは同じ構造を有する。即ち、電極材及び開口している支持体を含み、電極材が厚さ方向に連続貫通構造を有し、支持体がガラスからなり、支持体の開口率が40〜90%である。
電極材には、正極材と負極材がある。
正極材としては、電池分野において正極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、硫化物系では、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が使用できる。好ましくは、TiSが使用できる。
また、酸化物系では、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
尚、上記の他にセレン化ニオブ(NbSe)も使用できる。
負極材としては、電池分野において負極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ又は金属ケイ素の金属自体、又はこれら金属と他の元素又は化合物と組合わせた合金を、負極材として用いることができる。
本発明の電極シートにおいては、電子伝導性に加えてイオン伝導度を向上させるため、極材の粒子同士が密着し、粒子間の接合点や面を多く存在させ、イオン伝導パスをより多く確保することが重要である。そのため、上記極材に固体電解質シートで使用する固体電解質等のイオン伝導活物質を混合する方法も用いられる。また、極材粒子間の隙間に生じる空間(単位体積における空間体積と極材粒子の体積の割合:空隙率)が少ない程、電極材が密に詰まっており、イオン伝導度は高くなる。
また、上記電極材には、導電補助剤を固体電解質シートで使用する固体電解質に混合してもよい。
導電補助剤は、電子が正極活物質内で円滑に移動するようにするための電気的に導電性を有す物質である。導電補助剤としては特に限定しないが、アセチレンブラック、カーボンブラック、カーボンナノチューブのような導電性物質又はポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールのような導電性高分子を単独又は混合して用いることができる。
電極シートは固体電解質シートと同様に製造できる。
本発明の全固体二次電池は、上述した本発明の固体電解質シート及び電極シートの少なくとも1つを有する。
図3は本発明に係る全固体二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。
全固体二次電池2は、正極30及び負極50からなる一対の電極間に電解質40が挟まれている構成を有する。正極30は集電体32と正極シート34からなり、負極50は集電体52と負極シート54からなる。これら34,54は本発明の電極シートである。電解質40は固体電解質シート1からなる。固体電解質シート1は、本発明の固体電解質シートである。
集電体32,52としては、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又は、これらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
集電体32,52は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。例えば、集電体32には銅箔を使用し、集電体52にはアルミニウム箔を使用してもよい。
尚、図3では、正極、負極、固体電解質の全てに本発明のシートを使用したが、正極、負極及び固体電解質の少なくとも1つに本発明のシートを使用してもよい。
本発明の全固体二次電池は、上述した本発明の電極シート及び/又は固体電解質シートを貼り合せ、接合することで製造できる。接合する方法としては、各シートを積層し、加圧・圧着する方法や、2つのロール間を通して加圧する方法(roll to roll)等がある。
また、接合面にイオン伝導性を有する活物質や、イオン伝導性を阻害しない接着物質を介して接合してもよい。
接合においては、固体電解質の結晶構造が変化しない範囲で加熱融着してもよい。
本発明の全固体二次電池は、上記の電極シート及び/又は固体電解質シートを接合したことにより実用レベルの全固体電池となる。
また、本発明の電池は薄型化が可能であるため、積層して高出力を得ることができる。さらに、高度の集積が可能である。
製造例1(リチウム・リン系硫化物固体電解質の製造)
(1)硫化リチウム(LiS)の製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
(3)リチウムイオン伝導性固体電解質の製造
上記製造例にて製造したLiSとP(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを70対30のモル比に調製した混合物を約1gと粒径10mmΦのアルミナ製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)にて、窒素中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末である硫化物系ガラスを得た。
得られた粉末について、粉末X線回折測定を行った(CuKα:λ=1.5418Å)。得られたチャートが、非晶質体特有のブロードな形を示していることから、この粉末がガラス化(非晶質化)していることが確認できた。
この粉末(硫化物系ガラス)を、窒素中にて常温(25℃)〜250℃までの温度範囲で焼成処理を行い、リチウムイオン伝導性固体電解質を作製した。このときの昇温・降温には、各々約3時間を要した。
上記にて作製したリチウムイオン伝導性固体電解質について、粉末X線回折測定を行った(CuKα:λ=1.5418Å)。得られたガラスセラミックは、2θ=17.8deg,18.2deg,19.8deg,21.8deg,23.8deg,25.9deg,29.5deg,30.0に回折ピークを有することが確認され、従来から知られている、LiPS、Li、LiPSとは異なる結晶相を有することが確認できた。
この処理により得られたリチウムイオン伝導性固体電解質の、室温(25℃)におけるイオン伝導度は、2.0×10−3Scm−1であった。
尚、イオン伝導度は、作製したガラス粉末(焼成処理前の粉末)を、ペレット状(直径約10mm、厚み約1mm)の成形体に加工し、この成形体について、焼成処理を施しながら測定した。測定は、成形体に電極としてカーボンペーストを塗布したものについて、交流二端子法により行った。
実施例1
製造例1のリチウムイオン伝導性固体電解質と脱水トルエンを用い、固体電解質の重量百分率が30%のスラリー溶液を調製した。次に、あらかじめ鋼板上に固定した100mm角に切断したガラス繊維織物(材質:Eガラス、開口率:約77%、モノフィラメント径:5μm、集束本数:100本、糸(モノフィラメントを束ねたもの)の幅:200μm、たて糸・よこ糸の密度:15本/25mm)上に、バーコーターを用いて塗工した。その後、溶媒のトルエンを約140℃で乾燥除去し、固体電解質シートを得た。このシートから、40mmφの円形シートをくりぬき、プレス機を用いて約3500kg/cmの圧力で加圧することで、厚さ310μmで40mmφの固体電解質シートを得た。固体電解質シートのイオン伝導性を交流インピーダンス法(測定周波数:100Hz〜15MHz)により測定したところ、1.70×10−3S/cmであり、支持体を含まない製造例1の固体電解質の85%のイオン伝導性を示した。また、この固体電解質シートは、ピンセットではさんでも周囲が欠けたり、固体電解質シートにひびが入ることなく、容易にハンドリングや移動操作が可能な強度を備えた、自立したシートであった。
実施例2
まず、開口部を形成する材料として、φ40mmで両面を研磨した厚さ200μmの感光性ガラスを準備した。さらに、この感光性ガラスに開口パターンを転写するためのフォトマスクとして、形状がφ200μmの開口部を、20μmピッチで最密充填状に配置したクロム蒸着膜を有する石英ガラス板を準備した。そして、このフォトマスクを感光性ガラスに重ねて、フォトマスク側から紫外線を照射することによって、開口部分を透過した紫外線だけを感光性ガラスに照射した。次に、紫外線が照射された部分を結晶化するために、紫外線照射後の感光性ガラスを480℃で30分間熱処理した。最後に、熱処理後の感光性ガラスを5%フッ酸水溶液に5分間浸漬した。これによって感光性ガラスは、20μmピッチでφ200μmの貫通した開口部を多数持つガラスとなり、これを支持体とした。この支持体の開口率は75%であった。
この支持体に実施例1で用いたスラリー溶液を、実施例1と同様の方法で塗工・乾燥し、固体電解質シートを得た。そして、プレス機を用いて約4000kg/cmの圧力で加圧することで、厚さ約310μmの固体電解質シートを得た。固体電解質シートのイオン伝導性を実施例1と同じ方法を用いて測定したところ、1.65×10−3S/cmであり、支持体を含まない製造例1の固体電解質の83%のイオン伝導性を示した。また、この固体電解質シートは実施例1同様にハンドリングや移動操作が可能な強度を備えた、自立したシートであった。
比較例1
ガラス繊維織物を用いなかった他は、実施例1と同様にして固体電解質シートの作製工程を進めた。しかし、プレス機での加圧操作後、ペレットを確認したところ、外周部の一部がばらばらになっており、又、ペレットには数本の亀裂(ひび)が生じていた。イオン伝導度を測定するため、ペレットをピンセットで持ち上げようとしたところ、ペレット自体が破損してしまい、イオン伝導度を測定することができなかった。
比較例2
ガラス繊維織物の代りに、固体電解質に対して20重量%のガラスファイバー(長さ:2mm、直径:0.2μm)を用いた他は、実施例1と同様にして固体電解質シートを作製した。この固体電解質シートは、実施例1と同様に自立したシートであった。実施例1と同様に、イオン伝導性を測定したところ、8.0×10−4S/cmと低いものであった。
得られた固体電解質シートを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、ガラスファイバーは固体電解質粒子間で不規則な方向に分散しており、固体電解質相互間のイオン伝導パスがいたるところで切断されていた。そのため、固体電解質シートは、連続貫通構造を一部有しているものの、その連続貫通したイオン伝導パスは狭い上に長かった。すなわち、イオン伝導パスとなる複数の開口は、実質的に、開口率が38%以下に大きく減少していることがSEM観察によって確認できた。
実施例3
負極材として、カーボングラファイト(TIMCAL製、SFG−15)を用い、また正極材としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を用いて、以下のようにしてリチウム電池を作製し、その電池特性を評価した。
製造例1で得られたリチウムイオン伝導性固体電解質とカーボングラファイトとを1:1の質量比で混合し、負極材料とした。
また、コバルト酸リチウムと製造例1で得られたリチウムイオン伝導性固体電解質を8:5の質量比で混合したものを正極材料とした。
上記負極材料(40mg)と正極材料(80mg)を用い、これらの間に実施例1で製造した固体電解質シートを介し3層に成型し、測定セルとした。
この測定セルを10μAの定電流で充放電させることにより、電池特性を調べたところ、初期充放電効率は87%であった。また、この電池の作動電位(リチウム金属の標準電極電位を基準(0V)とした場合の正極の電位差)は3.5Vであった。
実施例4
実施例2のシートを用い、実施例3と同様にして測定セルを組んだ。結果、初期充放電効率は85%であった。また、この電池の作動電位(リチウム金属の標準電極電位を基準(0V)とした場合の正極の電位差)は3.5Vであった。
本発明の固体電解質シート及び電極シートは、全固体二次電池に使用できる。
本発明の全固体二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
1 固体電解質シート
2 全固体二次電池
10 ガラス繊維織物
11 多孔シート
12 連続貫通構造
20 固体電解質
30 正極
32,52 集電体
34 正極シート
40 電解質
50 負極
54 負極シート

Claims (10)

  1. 固体電解質及び複数の開口を有する支持体を含み、
    前記固体電解質が支持体の開口に充填されており、
    前記支持体がガラスからなり、
    前記支持体の開口率が40〜90%であり、
    前記固体電解質が硫化リチウムと五硫化二燐を原料とし、前記硫化リチウムと前記五硫化二燐のモル比が68:32〜80:20であり、
    前記固体電解質を溶媒に溶かしたスラリーを支持体に塗布し乾燥することにより得られる、リチウム電池用固体電解質シート。
  2. 前記支持体がガラス繊維織物からなる請求項1に記載のリチウム電池用固体電解質シート。
  3. 前記支持体が感光性ガラスからなる請求項1に記載のリチウム電池用固体電解質シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム電池用固体電解質シートを含んでなる全固体二次電池。
  5. 硫化リチウムと五硫化二燐を原料とし、前記硫化リチウムと前記五硫化二燐のモル比が68:32〜80:20である固体電解質を、溶媒に溶かしスラリー化する工程と、
    前記工程で得たスラリーを、ガラスからなり複数の開口を有し、開口率が40〜90%である支持体に、塗布し、乾燥する工程と、を含む、リチウム電池用固体電解質シートの製造方法。
  6. 前記固体電解質のスラリー化に用いる溶媒が非水系溶媒である、請求項5に記載のリチウム電池用固体電解質シートの製造方法。
  7. 前記非水系溶媒が、乾燥ヘプタン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、Nメチルピロリドン又はアセトニトリルである、請求項6に記載のリチウム電池用固体電解質シートの製造方法。
  8. 前記非水系溶媒がトルエンである、請求項7に記載のリチウム電池用固体電解質シートの製造方法。
  9. 前記支持体がガラス繊維織物からなる、請求項5〜8のいずれかに記載のリチウム電池用固体電解質シートの製造方法。
  10. 前記支持体が感光性ガラスからなる、請求項5〜8のいずれかに記載のリチウム電池用固体電解質シートの製造方法。
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