JP2013126728A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学フィルムの新規な製造方法、並びに前記製造方法によって得られた光学フィルを提供することを目的とする。
【解決手段】アセチル基の置換度が2.0〜2.6であるセルロースアセテート樹脂と溶媒とを含むドープを、流延支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する剥離工程と、剥離した流延膜を乾燥させる乾燥工程とを備え、前記流延工程において、流延支持体上の流延膜端部を冷却によって結露させることを含み、流延支持体から流延膜が剥離される点における、流延膜中央部における含水率をW1とし、前記流延膜端部における含水率をW2とした場合に、W1及びW2が下記式:5≦W2−W1≦20(1)
を満たし、かつ前記流延膜端部が幅手両端から内側へ100mmまでの領域をさし、前記流延膜中央部がそれ以外の領域をさすことを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】アセチル基の置換度が2.0〜2.6であるセルロースアセテート樹脂と溶媒とを含むドープを、流延支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する剥離工程と、剥離した流延膜を乾燥させる乾燥工程とを備え、前記流延工程において、流延支持体上の流延膜端部を冷却によって結露させることを含み、流延支持体から流延膜が剥離される点における、流延膜中央部における含水率をW1とし、前記流延膜端部における含水率をW2とした場合に、W1及びW2が下記式:5≦W2−W1≦20(1)
を満たし、かつ前記流延膜端部が幅手両端から内側へ100mmまでの領域をさし、前記流延膜中央部がそれ以外の領域をさすことを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶表示装置(LCD)に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルム等の光学フィルム等に利用できる光学フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置の画像表示領域には、種々の光学フィルム、例えば、偏光板の偏光素子を保護するための透明保護フィルム等が配置されている。このような光学フィルムとしては、例えば、セルロースエステルフィルム等の透明性に優れた光学フィルムが用いられている。
また、このような光学フィルムは、例えば、溶液流延製膜法等により、長尺状の光学フィルムとして製造されることが多い。溶液流延製膜法とは、具体的には、原料樹脂である透明性樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液(ドープ)を、走行する支持体上に流延し、剥離可能な程度まで乾燥させて得られたフィルムを支持体から剥離し、そして、剥離したフィルムを搬送ローラで搬送しながら、乾燥や延伸等を施すことによって、長尺状の光学フィルムを製造する方法である。
また、上記のような偏光素子を保護する光学フィルムに更に偏光子や液晶セルの光学補償の機能を付加して、視野角や色味を改善する技術が検討されており、光学フィルムに高い位相差を付与することが検討されている。その為、位相差の発生しにくいセルローストリアセテート樹脂に対して、延伸処理により位相差の発生しやすいアセチル基の置換度が2.0〜2.6であるセルロースアセテート樹脂(セルロースジアセテート樹脂)の使用も検討されている。
ところが、アセチル基の置換度が2.0〜2.6である低置換度のセルロースアセテート樹脂を主成分とする光学フィルム用ドープは、支持体との密着性が強く、剥離の際に大きな張力が必要となる。そのため、剥離によって流延膜が搬送方向に伸びてしまい、樹脂がその方向に配向してしまい、延伸方向に屈折率が大きい位相差が発生するという現象が生じる。その結果、幅手方向の延伸により幅手方向の屈折率が大きい位相差を発生させて位相差の大きさをコントロールする為には、フィルムを通常より大きな倍率で延伸することが必要となり、延伸によるヘイズが発生し、透明性が低下するという問題がある。
一方、溶液製膜方法における流延膜の剥離を改善する方法としては、これまでに、一対の回転ローラに巻きかけられて循環するように搬送されている環状のベルト上に、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延して流延膜を形成し、前記流延膜をフィルムとして剥ぎ取り、乾燥させてポリマーフィルムを製造する溶液製膜方法において、第1の回転ローラと剥取位置の上流に設けた冷却手段とにより第1の回転ローラに向かうベルト上の流延膜を冷却し、剥取位置までの冷却区画を前記冷却手段の位置で調整することにより、剥ぎ取る流延膜の温度を6℃未満にすることを特徴とする溶液製膜方法(特許文献1)などが報告されている。
しかしながら、前記特許文献1記載の技術では、流延膜の幅手全体が冷却されてしまうため、結露によるコンデンス跡等といったフィルムの平面性・透明性に問題が出る場合がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、透明性に優れた高品質な光学フィルムを、所望の位相差やヘイズを両立しつつ、高い生産性で効率よく製造する方法の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成を有する光学フィルムの製造方法によって、前記課題が解決することを見出し、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
本発明の一態様に係る光学フィルムの製造方法は、アセチル基の置換度が2.0〜2.6であるセルロースアセテート樹脂と溶媒とを含むドープを、流延支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する剥離工程と、剥離した流延膜を乾燥させる乾燥工程とを備え、前記流延工程において、流延支持体上の流延膜端部を冷却によって結露させることを含み、流延支持体から流延膜が剥離される点における、流延膜中央部における含水率をW1とし、前記流延膜端部における含水率をW2とした場合に、W1及びW2が下記式(1):
5≦W2−W1≦20 (1)
を満たし、かつ前記流延膜端部が幅手両端から内側へ100mmまでの領域をさし、前記流延膜中央部がそれ以外の領域をさすことを特徴とする。
5≦W2−W1≦20 (1)
を満たし、かつ前記流延膜端部が幅手両端から内側へ100mmまでの領域をさし、前記流延膜中央部がそれ以外の領域をさすことを特徴とする。
このような構成によれば、剥離点において流延膜の端部のみ高い含水率を有するようになるため、流延膜端部における支持体−フィルム間の密着力が緩和される。よって、フィルムの剥離に必要な張力を低減でき、支持体からの剥離時における搬送方向への樹脂の不要な配向を低下させることができ、幅手方向に延伸して位相差を発生させる場合の延伸倍率を低く抑えることが可能となる為、透明性に優れた光学フィルムを提供することができる。特に、本発明に係る製造方法は、位相差とヘイズを両立することができるため、高い位相差が必要とされるVA型液晶表示装置用位相差フィルムを製造するのに適している。
さらに、前記セルロースアセテート樹脂のアセチル基の置換度が2.0〜2.6である場合には流延膜と支持体との密着度が高まってしまうため、前記製造方法による効果をより発揮できる。
また、前記製造方法において、流延膜を剥離してからフィルムの最終巻取り工程までに、フィルム幅手端部を少なくとも1回切り落とすことが好ましい。流延膜端部が含水リッチになっているため、その領域を切り落とすことにより、いっそう高品質なフィルムを得ることができる。
前記製造方法においては、前記流延工程において、流延支持体の移動速度が80〜150m/minという高速度であっても、透明性の高い高品質のフィルムを製造することができる。
また、前記製造方法においては、前記剥離工程において、剥離に必要な張力は50〜120N/m程度であり、このような張力でも充分に剥離することが可能である。
また、本発明の他の一態様に係る光学フィルムは、前記光学フィルムの製造方法によって得られることを特徴とするものである。このような構成によれば、透明性の高い高品質な光学フィルムが得られる。
前記光学フィルムのヘイズ値は0.10〜0.40%であり、位相差フィルムとして非常に高品質である。
本発明によれば、透明性に優れ、所望の位相差およびヘイズを維持できる高品質な光学フィルムを効率よく製造できる。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、セルロースアセテート樹脂と溶媒とを含むドープを、流延支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する剥離工程と、剥離した流延膜を乾燥させる乾燥工程とを備えており、いわゆる溶液流延製膜法による製造方法である。例えば、図1に示すような溶液流延製膜法による光学フィルムの製造装置によって行われる。なお、光学フィルムの製造装置としては、図1に示すものに限定されず、他の構成のものであってもよい。
図1は、無端ベルト支持体8を使用した溶液流延法による光学フィルムの製造装置の基本的な構成を示す概略図である。
本実施形態に係る光学フィルムの製造装置は、無端ベルト支持体8、流延ダイ1、剥離ローラ4等を備えている。前記流延ダイ1は、透明性樹脂を溶解したドープ(樹脂溶液)2を前記無端ベルト支持体8の表面上に流延する。前記無端ベルト支持体8は、搬送ローラ3(一対の駆動ローラ及び従動ローラ)によって駆動可能に支持され、流延ダイ1から流延されたドープ2からなる流延膜を形成し、搬送しながら乾燥させる。そして、前記剥離ローラ4は、乾燥された流延膜5を前記無端ベルト支持体8から剥離する。剥離された流延膜5は、乾燥装置等(図示せず)によってさらに乾燥され、乾燥された流延膜は光学フィルムとして前記巻取装置等(図示せず)で巻き取られる。
前記無端ベルト支持体8は、図1に示すように、表面が鏡面の、無限に移行する無端の金属製のベルトである。前記ベルトとしては、流延膜5の剥離性の点から、例えば、ステンレス鋼等からなるベルトが好ましく用いられる。前記流延ダイ1によって流延する流延膜5の幅は、無端ベルト支持体8の幅を有効活用する観点から、無端ベルト支持体8の幅に対して、80〜99%とすることが好ましい。そして、最終的に1000〜2500mmの幅の光学フィルムを得るためには、無端ベルト支持体8の幅は、1200〜3200mmであることが好ましい。また、無端ベルト支持体の代わりに、表面が鏡面の、回転する金属製のドラム(無端ドラム支持体)等を用いてもよい。
まず、流延工程について詳しく説明する。本実施形態においては、流延工程において、流延支持体上の流延膜端部を冷却によって結露させることを含み、流延支持体から流延膜が剥離される点における、流延膜中央部における含水率をW1とし、前記流延膜端部における含水率をW2とした場合に、W1及びW2が下記式(1):
5≦W2−W1≦20 (1)
を満たし、かつ前記流延膜端部が幅手両端から内側へ100mmまでの領域をさし、前記流延膜中央部がそれ以外の領域をさすことを特徴とする。
5≦W2−W1≦20 (1)
を満たし、かつ前記流延膜端部が幅手両端から内側へ100mmまでの領域をさし、前記流延膜中央部がそれ以外の領域をさすことを特徴とする。
このような光学フィルムの製造方法によれば、流延支持体上の流延膜端部が冷却されることよって結露して、端部の含水率が高まり、流延膜端部における支持体−フィルム間の密着力が緩和される。よって、フィルムの剥離に必要な張力を低減できるため、透明性に優れた光学フィルムを提供することができる。また、流延膜中央部の含水率が高まると、得られるフィルムの透明性が低下するおそれがあるが、本発明に係る製造方法のように流延膜の端部のみ含水率を上げることにより、中央部の含水率は高くならず、より一層透明性に優れたフィルムを得ることができると考えられる。
なお、流延膜端部の含水率を上げるために、端部に水を直接吹き付ける手段を用いると、室内全体の湿度を上げ、幅手中央部でもシミ状コンデンスが発生すると考えられるため、好ましくない。本発明に係る製造方法のように、端部を冷却によって結露させれば、端部の含水率は上がるが、室内の湿度などには影響を及ぼさないため非常に効率よく高品質のフィルムを得ることが可能となる。
本実施形態において、含水率とは、(剥離点における含水質量/剥離点における流延膜質量)×100(%)で規定される。
この含水率が、流延支持体から流延膜が剥離される点において、流延膜端部における含水率W2と、流延膜中央部における含水率W1との差が5%未満の場合は、支持体とドープとの密着力を緩和する効果が得られず、20%を超えると、支持体上にドープによる皮膜が残ってしまうおそれがある。
流延膜の剥離点における流延膜端部および流延膜中央部の含水率は、例えば、剥離点で流延膜を少量サンプリングし、三菱化学株式会社製、CA−20型を用いて温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法で定量して測定することができる。
流延支持体上の流延膜端部を冷却によって結露させる方法としては、流延膜剥離点における流延膜端部の含水率と中央部の含水率とが上述したような関係式を満たす関係になるような方法であれば特に限定はないが、具体的には、例えば、図1に示すような、支持体の裏面から端部冷却ローラ6を支持体に接触させたり、図2に示すように端部冷風ヘッダ7によって流延膜の端部表面に冷風を吹き付けたりする方法が挙げられる。
なお、冷却する面は、支持体側であってもフィルム側であってもかまわない。
より具体的な例示としては、冷却ローラを用いる場合、例えば、表面温度を−10℃〜10℃程度に冷却したローラを支持体の裏面に接触させることにより、流延膜端部を冷却することができる。
また、冷風を吹き付ける場合は、例えば、冷風としては、露点が0℃以下であり、温度が−5℃以上5℃以下である冷気を風速2m/sec〜30m/secの範囲でフィルム側に送風することにより、流延膜端部を冷却することができる。
このように流延膜端部を冷却し結露させることによって、流延膜を支持体から容易に剥離し、流延膜(ウェブ)5を巻き取ることができる。
また、上述したような冷却手段を設ける位置としては、流延膜剥離点における流延膜端部の含水率と中央部の含水率とが上述したような関係式を満たす関係になるような位置であれば特に限定はないが、なるべく剥離点に近い位置で冷却する方が、含水率を調整しやすいと考えられる。
好ましくは、冷却手段を、例えば、流延膜剥離点の上流2〜5m以内に設ける。冷却手段が剥離点より上流5m以上離れた位置にあると、剥離までに水が乾燥してしまう場合がある。さらに、冷却手段が剥離点から上流2m未満の位置にあると、冷却により結露した水分のフィルムへの浸透が充分ではなく、支持体−流延膜の密着力緩和効果が小さい可能性がある。
なお、流延ダイ1によるドープ2の流延方法には、樹脂を加熱し、スクリューで加圧した溶融状態の樹脂をダイスより押し出す溶融流延法、または樹脂を溶媒に溶解させて流動性を持たせたドープを金属ドラムやベルトに流延し、乾燥工程を通じて溶媒を蒸発させる溶液流延法などがあるが、本実施形態においては、フィルムの光学特性、強度、平滑性といった光学フィルムとしての性能の観点から、溶液製膜法を用いて流延することが好ましい。
また、本発明の光学フィルムの製造方法においては、支持体からの流延膜の剥離を容易にすることにより製膜速度の増速に対応し得るため、本実施形態における流延膜の流延速度は、例えば、80〜150m/分程度とすることができる。
さらに、流延膜の支持体からの剥離に必要な張力は、通常よりも少なくてすむため、50〜120N/m程度の張力で剥離することができる。
上述したような流延工程において無端ベルト支持体8上に形成された流延膜(ウェブ)5を、剥離ローラ4、乾燥装置(図示せず)及び巻取装置(図示せず)等による剥離工程や乾燥工程によって、光学フィルムを製造することができる。後述の工程は、特に限定なく、一般的な工程であれば採用できる。具体的には、例えば、以下のような工程を用いることができるが、本発明は以下の工程に限定されるものではない。
まず、形成された流延膜5を無端ベルト支持体8で搬送しながら、流延膜5中の溶媒を乾燥させる。前記乾燥は、例えば、無端ベルト支持体8を加熱したり、加熱風をウェブに吹き付けることによって行う。その際、流延膜の温度が、ドープの溶液によっても異なるが、溶媒の蒸発時間に伴う搬送速度、微粒子の分散度合、生産性等を考慮して、−5℃〜70℃の範囲が好ましく、0℃〜60℃の範囲がより好ましい。ウェブの温度は、高いほど溶媒の乾燥速度を早くできるので好ましいが、高すぎると、発泡したり、平面性が劣化する傾向がある。
前記無端ベルト支持体8を加熱する場合、例えば、前記無端ベルト支持体8上のウェブを赤外線ヒータで加熱する方法、前記無端ベルト支持体8の表面及び裏面を赤外線ヒータで加熱する方法、前記無端ベルト支持体8の裏面に加熱風を吹き付けて加熱する方法等が挙げられ、必要に応じて適宜選択することが可能である。
また、加熱風を吹き付ける場合、その加熱風の風圧は、溶媒蒸発の均一性、微粒子の分散度合等を考慮し、50〜5000Paであることが好ましい。加熱風の温度は、一定の温度で乾燥してもよいし、無端ベルト支持体8の走行方向で数段階の温度に分けて供給してもよい。
前記無端ベルト支持体8の上にドープ2を流延した後、前記無端ベルト支持体8から流延膜(ウェブ)5を剥離するまでの間での時間は、作製する光学フィルムの膜厚、使用する溶媒によっても異なるが、前記無端ベルト支持体8からの剥離性を考慮し、0.5〜5分間の範囲であることが好ましい。
前記無端ベルト支持体8の走行速度は、上述した通り、例えば、80〜150m/分程度であることが好ましい。
前記剥離ローラ4は、無端ベルト支持体8のドープ2が流延される側の表面近傍に配置されており、前記無端ベルト支持体8と前記剥離ローラ4との距離は、1〜100mmであることが好ましい。前記剥離ローラ4を支点として、乾燥された流延膜(ウェブ)5に張力をかけて引っ張ることによって、乾燥された流延膜(ウェブ)5がフィルムとして剥離される。前記無端ベルト支持体8からフィルムを剥離する際に、剥離張力及びその後の搬送張力によってフィルムは、フィルムの搬送方向(Machine Direction:MD方向)に延伸する。この点、本実施形態においては、上述した通り剥離に要する張力は少なくてすむため、前記無端ベルト支持体8からフィルムを剥離する際の剥離張力及び搬送張力は、50〜120N/m程度である。
また、フィルムを前記無端ベルト支持体8ら剥離する時のフィルムの残留溶媒率は、前記無端ベルト支持体8からの剥離後の搬送性、搬送・乾燥後にできあがる光学フィルムの物理特性等を考慮し、30〜200質量%であることが好ましい。なお、フィルムの残留溶媒率は、下記式(I)で定義される。
残留溶媒率(質量%)={(M1−M2)/M2}×100 (I)
ここで、M1は、フィルムの任意時点での質量を示し、M2は、M1を測定したフィルムを115℃で1時間乾燥させた後の質量を示す。
ここで、M1は、フィルムの任意時点での質量を示し、M2は、M1を測定したフィルムを115℃で1時間乾燥させた後の質量を示す。
支持体上のドープを乾燥させる乾燥装置としては、例えば、複数の搬送ローラを備え、そのローラ間をフィルムを搬送させる間にフィルムを乾燥させる装置を用いることができる。その際、加熱空気、赤外線等を単独で用いて乾燥してもよいし、加熱空気と赤外線とを併用して乾燥してもよい。簡便さの点から加熱空気を用いることが好ましい。乾燥温度としては、フィルムの残留溶媒量により、好適温度が異なるが、乾燥時間、収縮むら、伸縮量の安定性等を考慮し、30〜180℃の範囲で残留溶媒率により適宜選択して決めればよい。また、一定の温度で乾燥してもよいし、2〜4段階の温度に分けて、数段階の温度に分けて乾燥してもよい。また、乾燥装置14内を搬送される間に、フィルムを、MD方向に延伸させることもできる。
前記乾燥装置での乾燥処理後のフィルムの残留溶媒率は、乾燥工程の負荷、保存時の寸法安定性伸縮率等を考慮し、0.001〜5質量%であることが好ましい。なお、本実施形態では、乾燥工程で徐々に溶媒が除去され、全残留溶媒量が15質量%以下となったフィルムを光学フィルムと言う。
巻取装置としては、前記乾燥装置で、所定の残留溶媒率となった光学フィルムを必要量の長さに巻き芯に巻き取る装置であれば特に限定なく用いることができる。なお、巻き取る際の温度は、巻き取り後の収縮による擦り傷、巻き緩み等を防止するために室温まで冷却することが好ましい。使用する巻き取り機は、特に限定なく使用でき、一般的に使用されているものでよい。具体的には、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントローラ法等を適用した巻き取り機を用いて巻き取ることができる。
なお、光学フィルムの製造装置は、上記の構成のものに限定されず、例えば、延伸装置等を別途備えていてもよい。延伸装置としては、例えば、無端ベルト支持体8から剥離されたフィルムを、フィルムの搬送方向と直交する方向(Transverse Direction:TD方向)に延伸させる延伸装置等が挙げられる。
以下、本実施形態で使用するドープ(樹脂溶液)の組成について説明する。
本実施形態で使用するドープは、透明性樹脂を溶媒に溶解させたものである。前記透明性樹脂としては、セルロースアセテート樹脂を用いる。
<セルロースアセテート>
本実施形態で用いられるセルロースアセテートは、安価で製造可能であり、位相差発現性が高く、高い位相差を有する位相差フィルムとする場合であっても薄膜化可能であること、高い位相差を発現させても延伸倍率を低く抑えることができ破断等の故障を回避できる観点から、アセチル基置換度が2.0〜2.6であるセルロースアセテートであることが好ましい。
本実施形態で用いられるセルロースアセテートは、安価で製造可能であり、位相差発現性が高く、高い位相差を有する位相差フィルムとする場合であっても薄膜化可能であること、高い位相差を発現させても延伸倍率を低く抑えることができ破断等の故障を回避できる観点から、アセチル基置換度が2.0〜2.6であるセルロースアセテートであることが好ましい。
セルロースアセテートのアセチル基置換度が2.0を下回る場合には、ドープ粘度の上昇によるフィルム面品質の劣化、延伸張力の上昇によるヘイズアップなどが発生することがある。また、アセチル基置換度が2.6より大きい場合は、必要な位相差が得られ難い。アセチル基置換度の測定方法は、ASTMのD−817−91に準じて実施することができ、好ましいアセチル基置換度は、2.2〜2.45である。
セルロースアセテートの数平均分子量(Mn)は、30000〜300000の範囲が得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に50000〜200000のものが好ましく用いられる。
セルロースアセテートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnの値は、1.4〜3.0であることが好ましい。
セルロースアセテートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースアセテートの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースアセテートはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。
本発明に係るセルロースアセテートは、公知の方法により製造することができる。具体的には特開平10−45804、特開2009−161701号などに記載の方法を参考にして合成することができる。
市販品としては、ダイセル社L20、L30、L40、L50、イーストマンケミカル社のCa398−3、Ca398−6、Ca398−10、Ca398−30、Ca394−60S等が挙げられる。
本実施形態におけるドープは、上述したようなセルロースアセテート樹脂を主成分とするが、それに加えて以下の組成を含んでいても良い。
<糖エステル化合物>
本実施形態における光学フィルム(ドープ)は、下記一般式(1)で表されるような化合物(以下、糖エステル化合物とも称す)を含んでいてもよい。
本実施形態における光学フィルム(ドープ)は、下記一般式(1)で表されるような化合物(以下、糖エステル化合物とも称す)を含んでいてもよい。
前記一般式(1)で表される化合物の平均置換度は3.0〜6.0であることを特徴とする。
前記一般式(1)で表される化合物の置換度とは、一般式(1)に含まれる8つの水酸基のうち、水素以外の置換基で置換されている数を表し、すなわち、一般式(1)のR1〜R8のうち、水素以外の基を含む数を表す。したがって、R1〜R8がすべて水素以外の置換基により置換された場合に、置換度は最大値の8.0となり、R1〜R8がすべて水素原子である場合には、0.0となる。
本実施形態においては、一般式(1)で表される化合物の平均置換度が、3.0〜6.0である必要がある。一般式(1)で表される構造を有する化合物は、水酸基の数、OR基の数が固定された単一種の化合物を合成することは困難であり、式中の水酸基の数、OR基の異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られているため、本発明における一般式(1)の置換度としては、平均置換度を用いることが適当であり、常法により高速液体クロマトグラフィによって置換度分布を示すチャートの面積比から平均置換度を測定することができる。
一般式(1)において、R1〜R8は、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、或いは置換又は無置換のアリールカルボニル基を表し、R1〜R8は、同じであっても、異なっていてもよい。
本実施形態に係る糖エステル化合物の合成原料の糖の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
本実施形態に係る糖エステル化合物の合成時に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、
ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環に1〜5個のアルキル基もしくはアルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
本発明に係る具体例の一部を以下に示すが、これらはR1〜R8をすべて同じ置換基Rとした場合であって、本発明はこれらに限定されない。
本実施形態に係る糖エステル化合物は、糖エステルに、アシル化剤(エステル化剤ともいう、例えば、アセチルクロライドの酸ハロゲン化物、無水酢酸等の無水物)を反応させることによって製造することが可能であり、置換度の分布は、アシル化剤の量、添加タイミング、エステル化反応時間の調節によって成されるが、置換度違いの糖エステル化合物の混合、あるいは純粋に単離した置換度違いの化合物を混合することにより、目的の平均置換度、置換度4以下の成分を調整することができる。
(合成例:本発明に係る化合物の合成)
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.8モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×102Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエン1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液300gを添加し、50℃で30分間撹拌後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物を得た。
得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が1.2質量%、A−2が13.2質量%、A−3が14.2質量%、A−4が35質量%、A−5が40.0質量%であった。平均置換度は5.2であった。
同様に、無水安息香酸158.2g(0.7モル)、146.9g(0.65モル)、135.6g(0.6モル)、124.3g(0.55モル)と当モルのピリジンとを反応させて、表1記載のような成分の糖エステルを得た。
ついで、得られた混合物の一部を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%のA−1、A−2、A−3、A−4及びA−5等を得た。
なお、A−5等とは、置換度4以下のすべての成分、つまり置換度4、3、2、1の化合物の混合物であることを意味する。また、平均置換度は、A−5等を置換度4として計算した。
本発明においては、ここで作製した方法により所望の平均置換度に近い糖エステルおよび単離したA−1〜A−5等を組み合わせ添加することにより、平均置換度を調整した。
<HPLC−MSの測定条件>
1)LC部
装置:日本分光(株)製カラムオーブン(JASCO CO−965)、ディテクター(JASCO UV−970−240nm)、ポンプ(JASCO PU−980)、デガッサ−(JASCO DG−980−50)
カラム:Inertsil ODS−3 粒子径5μm 4.6×250mm(ジーエルサイエンス(株)製)
カラム温度:40℃
流速:1ml/min
移動相:THF(1%酢酸):H2O(50:50)
注入量:3μl
2)MS部
装置:LCQ DECA(Thermo Quest(株)製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Spray Voltage:5kV
Capillary温度:180℃
Vaporizer温度:450℃
本発明で光学フィルムに添加される、一般式(1)で示される化合物の平均置換度は4.5〜6.0であることが好ましく、当該置換度の分布範囲は4.0〜8.0であることが好ましい。更に置換度が8.0である成分の含有質量比率が2%以下であることが好ましい。
1)LC部
装置:日本分光(株)製カラムオーブン(JASCO CO−965)、ディテクター(JASCO UV−970−240nm)、ポンプ(JASCO PU−980)、デガッサ−(JASCO DG−980−50)
カラム:Inertsil ODS−3 粒子径5μm 4.6×250mm(ジーエルサイエンス(株)製)
カラム温度:40℃
流速:1ml/min
移動相:THF(1%酢酸):H2O(50:50)
注入量:3μl
2)MS部
装置:LCQ DECA(Thermo Quest(株)製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Spray Voltage:5kV
Capillary温度:180℃
Vaporizer温度:450℃
本発明で光学フィルムに添加される、一般式(1)で示される化合物の平均置換度は4.5〜6.0であることが好ましく、当該置換度の分布範囲は4.0〜8.0であることが好ましい。更に置換度が8.0である成分の含有質量比率が2%以下であることが好ましい。
置換度の分布は、エステル化反応時間の調節によって成されるが、置換度違いの化合物を混合することにより目的の平均置換度に調整してもよい。
本発明の光学フィルムは、上記糖エステル化合物を、エステルフィルム中に1〜20質量%、特に3〜15質量%含むことが好ましい。この範囲内であれば、本発明の優れた効果を呈すると共に、原反保管中におけるブリードアウトなどもなく好ましい。
<一般式(2)で表されるエステル化合物>
さらに、本実施形態に係る光学フィルム(ドープ)には、特に偏光板の環境変化でのリタデーション安定性の観点から、下記一般式(2)で表されるエステル化合物を含有させてもよい。
さらに、本実施形態に係る光学フィルム(ドープ)には、特に偏光板の環境変化でのリタデーション安定性の観点から、下記一般式(2)で表されるエステル化合物を含有させてもよい。
一般式(2) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基またはカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。)
一般式(2)において、炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチローラペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチローラヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
(式中、Bはヒドロキシ基またはカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。)
一般式(2)において、炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチローラペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチローラヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースアセテートとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
炭素数6〜12のアリールグリコール成分としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
また、炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等がある。
以下に、本実施形態に用いられる一般式(2)で表されるエステル化合物の具体的化合物を示すが、これに限定されない。
<その他の添加剤>
(可塑剤)
本実施形態において、光学フィルムは、本発明の効果を得る上で必要に応じて一般式(2)で表される化合物以外に可塑剤を含有することができる。
(可塑剤)
本実施形態において、光学フィルムは、本発明の効果を得る上で必要に応じて一般式(2)で表される化合物以外に可塑剤を含有することができる。
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤および多価アルコールエステル系可塑剤、エステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。
そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R11−(OH)n
但し、R11はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、および/またはフェノール性水酸基を表す。
但し、R11はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、および/またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチローラプロパン、トリメチローラエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチローラプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアセテートとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースアセテートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロ
ピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
ピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b) R12(COOH)m1(OH)n1
式中、R12は(m1+n1)価の有機基、m1は2以上の正の整数、n1は0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。
式中、R12は(m1+n1)価の有機基、m1は2以上の正の整数、n1は0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
本実施形態に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。
例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性の水酸基を、モノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上持つ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースアセテートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リタデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
本実施形態の光学フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本実施形態の光学フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本実施形態に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン社製の市販品であり好ましく使用できる。
本実施形態で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。
この他、1,3,5トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本実施形態に係わる偏光板保護フィルムは紫外線吸収剤を2種以上含有することが好ましい。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアセテート中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、偏光板保護フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、偏光板保護フィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%が更に好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれ、例えば、フィルム中の残留溶媒のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので含有させるのが好ましい。
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれ、例えば、フィルム中の残留溶媒のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロースアシレートに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
〈微粒子〉
本実施形態の光学フィルムには、取扱性を向上させる為、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などの微粒子を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。
本実施形態の光学フィルムには、取扱性を向上させる為、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などの微粒子を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。
微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。
これらの微粒子は0.1〜5μmの粒径の2次粒子を形成して光学フィルムに含まれることが好ましく、好ましい平均粒径は0.1〜2μmであり、更に好ましくは0.1〜0.6μmである。これにより、フィルム表面に高さ0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることができる。
本実施形態に用いられる微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、粒子径を測定しその平均値をもって、1次平均粒子径とした。
微粒子の見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することができる。
上記記載の見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出したものである。
見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)/二酸化珪素の容積(リットル)
本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
《調製方法A》
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて攪拌する。
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて攪拌する。
《調製方法B》
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、攪拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて攪拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、攪拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて攪拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
《調製方法C》
溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、攪拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、攪拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散する時の二酸化珪素の濃度は5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散する時の二酸化珪素の濃度は5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースアセテートの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
セルロースアセテートに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースアセテート100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01質量部〜5.0質量部が好ましく、0.05質量部〜1.0質量部が更に好ましく、0.1質量部〜0.5質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方が、凝集物が少なくなる。
分散機は通常の分散機が使用できる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。
更に好ましくは19.613MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
上記のような高圧分散装置には、Microfluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)或いはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えば、イズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)製UHN−01等が挙げられる。
また、微粒子を含むドープを流延支持体に直接接するように流延することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。
また、流延後に剥離して乾燥されローラ状に巻き取られた後、ハードコート層や反射防止層等の機能性薄膜が設けられる。加工若しくは出荷されるまでの間、汚れや静電気によるゴミ付着等から製品を保護するために通常、包装加工がなされる。
この包装材料については、上記目的が果たせれば特に限定されないが、フィルムからの残留溶媒の揮発を妨げないものが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、紙、各種不織布等が挙げられる。繊維がメッシュクロス状になったものは、より好ましく用いられる。
<ドープの調製>
ドープ中のセルロースアセテートの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースアセテートの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープ中のセルロースアセテートの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースアセテートの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースアセテートの良溶媒と貧溶媒を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶媒が多い方がセルロースアセテートの溶解性の点で好ましい。
良溶媒と貧溶媒の混合比率の好ましい範囲は、良溶媒が70〜98質量%であり、貧溶媒が2〜30質量%である。良溶媒、貧溶媒とは、使用するセルロースアセテートを単独で溶解するものを良溶媒、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶媒と定義している。
そのため、セルロースアセテートの平均酢化度(アセチル基置換度)によって良溶媒、貧溶媒が変わる。
本発明に用いられる良溶媒は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶媒は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
また、セルロースアセテートの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
回収溶剤中に、セルロースアセテートに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースアセテートの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、セルロースアセテートを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントローラが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースアセテートの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースアセテートを溶解させることができる。
次に、このセルロースアセテート溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースアセテートに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
以上のような、本実施形態に係る製造方法によれば、流延膜の支持体からの剥離に要する張力を低減でき、透明性に優れた高品質な光学フィルムが得られる。
なお、本実施形態に係る製造方法によれば、ヘイズ値が0.10〜0.40%の光学フィルムを得ることができる。このような光学フィルムは位相差フィルムとして非常に有用である。
なお、ここで得られる光学フィルムの幅は、大型の液晶表示装置への使用、偏光板加工時のフィルムの使用効率、生産効率の点から、1000〜2500mmであることが好ましい。
また、光学フィルムの膜厚は、液晶表示装置の薄型化、光学フィルムの生産安定化の観点等の点から、20〜70μmであることが好ましい。ここで膜厚とは、平均膜厚のことであり、株式会社ミツトヨ製の接触式膜厚計により、光学フィルムの幅方向に20〜200箇所、膜厚を測定し、その測定値の平均値を膜厚として示す。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
以下に示す方法により光学フィルムを製造した。
以下に示す方法により光学フィルムを製造した。
(ドープの調製)
以下の材料を密閉容器に投入し、80℃で加熱し、撹拌しながら完全に溶解し、ろ過してドープを調整した。
以下の材料を密閉容器に投入し、80℃で加熱し、撹拌しながら完全に溶解し、ろ過してドープを調整した。
セルロースジアセテート(アセチル置換度2.35) 100質量部
糖エステル化合物(平均置換度5.5のベンジルサッカロース) 10質量部
可塑剤(エチルフタリルエチルグリコレート) 3質量部
紫外線吸収剤(チヌビン326、BASFジャパン社製) 1質量部
無機微粒子(アエロジル200V、日本エアロジル(株)製) 0.5質量部
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
糖エステル化合物(平均置換度5.5のベンジルサッカロース) 10質量部
可塑剤(エチルフタリルエチルグリコレート) 3質量部
紫外線吸収剤(チヌビン326、BASFジャパン社製) 1質量部
無機微粒子(アエロジル200V、日本エアロジル(株)製) 0.5質量部
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
(セルロースアセテートフィルムの製造)
まず、SUS316製のエンドレスベルト支持体を用いて、上記のようにして得られたドープを、ドープ温度35℃で、温度25℃の前記エンドレスベルト支持体上にコートハンガーダイよりなる流延ダイにより流延速度(支持体の走行速度)90m/分で流延し、流延膜を形成した。
まず、SUS316製のエンドレスベルト支持体を用いて、上記のようにして得られたドープを、ドープ温度35℃で、温度25℃の前記エンドレスベルト支持体上にコートハンガーダイよりなる流延ダイにより流延速度(支持体の走行速度)90m/分で流延し、流延膜を形成した。
そして、流延支持体から流延膜が剥離される点を基準点とした際に、前記基準点から上流3mにおいて、流延支持体上の流延膜端部(流延膜の幅手両端から内側へ100mmまでの領域)に冷風ヘッダによって冷風をフィルム側(支持体とは逆側)に吹き付けた。なお、冷風としては、露点が1℃であり、温度が3℃である冷気を風速10m/secの範囲で送風した。
なお、流延膜の剥離張力は80N/m、最終の光学フィルム膜厚は40μmとした。
また、剥離点で流延膜を少量サンプリングし、三菱化学株式会社製、CA−20型を用いて温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法で定量することにより、剥離点における流延膜の含水率を測定したところ、流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は10%であった。
[実施例2]
流延膜が剥離される点(基準点)から上流2mにおいて、流延支持体上の流延膜端部を、表面温度4℃の冷却ローラを支持体裏面に接触させることにより結露させた以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は10%であった。
流延膜が剥離される点(基準点)から上流2mにおいて、流延支持体上の流延膜端部を、表面温度4℃の冷却ローラを支持体裏面に接触させることにより結露させた以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は10%であった。
[実施例3]
流延膜が剥離される点(基準点)の上流4mにおいて、冷却ローラを接触させた以外は、実施例2と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は3%であり、流延膜端部における含水率(W2)は8%であった。
流延膜が剥離される点(基準点)の上流4mにおいて、冷却ローラを接触させた以外は、実施例2と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は3%であり、流延膜端部における含水率(W2)は8%であった。
[実施例4]
流延膜が剥離される点(基準点)の上流5mにおいて、冷却ローラを接触させた以外は、実施例2と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は7%であった。
流延膜が剥離される点(基準点)の上流5mにおいて、冷却ローラを接触させた以外は、実施例2と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は7%であった。
[実施例5]
流延膜が剥離される点(基準点)の上流2mにおいて、温度が0℃である冷風を吹き付けた以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は22%であった。
流延膜が剥離される点(基準点)の上流2mにおいて、温度が0℃である冷風を吹き付けた以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は22%であった。
[実施例6]
流延膜が剥離される点(基準点)の上流3mにおいて、温度が0℃である冷風を吹き付けた以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は1%であり、流延膜端部における含水率(W2)は17%であった。
流延膜が剥離される点(基準点)の上流3mにおいて、温度が0℃である冷風を吹き付けた以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は1%であり、流延膜端部における含水率(W2)は17%であった。
[実施例7]
流延膜が剥離される点(基準点)の上流1mにおいて、冷風を吹き付けた以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は3%であり、流延膜端部における含水率(W2)は10%であった。
流延膜が剥離される点(基準点)の上流1mにおいて、冷風を吹き付けた以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は3%であり、流延膜端部における含水率(W2)は10%であった。
[比較例1]
露点が4℃であり、温度が10℃である冷気を、風速5m/secの範囲で送風した以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は2%であった。
露点が4℃であり、温度が10℃である冷気を、風速5m/secの範囲で送風した以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は2%であった。
[比較例2]
露点が4℃であり、温度が0℃である冷気を、風速20m/secの範囲で送風した以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は27%であった。
露点が4℃であり、温度が0℃である冷気を、風速20m/secの範囲で送風した以外は、実施例1と同様にして、セルロースアセテートフィルムを製造した。剥離点の流延膜中央部における含水率(W1)は2%であり、流延膜端部における含水率(W2)は27%であった。
(評価)
上述のようにして得られた光学フィルム(実施例1〜7および比較例1〜2)について、以下の評価試験を行った。
上述のようにして得られた光学フィルム(実施例1〜7および比較例1〜2)について、以下の評価試験を行った。
(ヘイズ)
フィルム試料を日本電色工業株式会社製 NDH2000を用いて、JIS−K7136に従って測定した。
なお、評価基準は以下の通りである。
○ へイズ 0.10〜0.40 ; VA用位相差フィルムとして問題ない品質
× ヘイズ 0.41以上 ; VA用位相差フィルムとして問題ある品質
フィルム試料を日本電色工業株式会社製 NDH2000を用いて、JIS−K7136に従って測定した。
なお、評価基準は以下の通りである。
○ へイズ 0.10〜0.40 ; VA用位相差フィルムとして問題ない品質
× ヘイズ 0.41以上 ; VA用位相差フィルムとして問題ある品質
(剥離残り)
支持体から流延膜を剥離した直後に、支持体上にドープによる皮膜が残っているかを目視により評価した。
なお、評価基準は以下の通りである。
○ 目視により皮膜が支持体上に確認できる
× 目視により皮膜が支持体上に確認できない
結果を表2に示す。
支持体から流延膜を剥離した直後に、支持体上にドープによる皮膜が残っているかを目視により評価した。
なお、評価基準は以下の通りである。
○ 目視により皮膜が支持体上に確認できる
× 目視により皮膜が支持体上に確認できない
結果を表2に示す。
[考察]
表2からわかるように、剥離点の流延膜中央部における含水率W1とし、同じく剥離点の流延膜端部における含水率をW2とした場合に、W2−W1の値が5以上20以下となっている実施例1〜7で作製した光学フィルムでは、支持体の走行速度が90m/分、流延膜剥離張力が80N/mであったにも関わらず、ヘイズは抑制され、剥離残りもなかった。
表2からわかるように、剥離点の流延膜中央部における含水率W1とし、同じく剥離点の流延膜端部における含水率をW2とした場合に、W2−W1の値が5以上20以下となっている実施例1〜7で作製した光学フィルムでは、支持体の走行速度が90m/分、流延膜剥離張力が80N/mであったにも関わらず、ヘイズは抑制され、剥離残りもなかった。
一方、前記W2−W1の値が5未満となっている比較例1で作製した光学フィルムではヘイズが高くなっており、また前記W2−W1の値が20を超えている比較例2で作製した光学フィルムでは剥離残りが生じた。
以上より、本実施形態に係る光学フィルムの製造方法によれば、剥離残りも生じず、透明性に優れた高品質な光学フィルムが得られることが示された。
1 流延ダイ
2 ドープ(樹脂溶液)
3 搬送ローラ
4 剥離ローラ
5 流延膜(ウェブ)
6 冷却ローラ
7 冷風ヘッダ
8 無端ベルト支持体
2 ドープ(樹脂溶液)
3 搬送ローラ
4 剥離ローラ
5 流延膜(ウェブ)
6 冷却ローラ
7 冷風ヘッダ
8 無端ベルト支持体
Claims (6)
- アセチル基の置換度が2.0〜2.6であるセルロースアセテート樹脂と溶媒とを含むドープを、流延支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜を前記支持体から剥離する剥離工程と、剥離した流延膜を乾燥させる乾燥工程とを備え、
前記流延工程において、流延支持体上の流延膜端部を冷却によって結露させることを含み、
流延支持体から流延膜が剥離される点における、流延膜中央部における含水率をW1とし、前記流延膜端部における含水率をW2とした場合に、W1及びW2が下記式(1):
5≦W2−W1≦20 (1)
を満たし、かつ
前記流延膜端部が幅手両端から内側へ100mmまでの領域をさし、前記流延膜中央部がそれ以外の領域をさすことを特徴とする、光学フィルムの製造方法。 - 流延膜を剥離してからフィルムの最終巻取り工程までに、フィルム幅手端部を少なくとも1回切り落とすことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム製造方法。
- 前記流延工程において、流延支持体の移動速度が80〜150m/minであることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の光学フィルム製造方法。
- 前記剥離工程において、剥離に必要な張力が50〜120N/mであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法によって得られることを特徴とする、光学フィルム。
- ヘイズ値が0.10〜0.40%である、請求項5に記載の光学フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011276584A JP2013126728A (ja) | 2011-12-19 | 2011-12-19 | 光学フィルムの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021131367A1 (ja) * | 2019-12-23 | 2021-07-01 | 住友化学株式会社 | 光学積層体の製造方法 |
-
2011
- 2011-12-19 JP JP2011276584A patent/JP2013126728A/ja active Pending
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