JP2013061563A - 位相差フィルムおよびその製造方法、並びにこれを用いた偏光板、液晶表示装置および有機el表示装置 - Google Patents

位相差フィルムおよびその製造方法、並びにこれを用いた偏光板、液晶表示装置および有機el表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透過性が高く、薄膜化しても表示装置に必要な位相差発現性を維持することができ、安定な品質を保つことが可能な位相差フィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】セルロースアシレートを含む位相差フィルムにおいて、当該セルロースアシレートとして、アシル基置換度が1.9〜2.5であり、アシル基置換度のHPLCで測定した組成分布におけるピークの半値幅が置換度単位で0.15以下であり、組成分布における半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合が65%以上であるものを用いる。また、イオン液体の存在下でセルロースをアシル化剤と反応させて、かようなセルロースアシレートを得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、位相差フィルムおよびその製造方法、並びにこれを用いた偏光板、液晶表示装置および有機EL表示装置に関する。
セルロースエステルの中でも、セルロースアシレートは、アシル基置換度を変化させることにより、幅広いリターデーションを持つ光学フィルムに適用できることが知られている。一般的に、アセチル基置換度の高いトリアセチルセルロース(TAC)は、リターデーションが低いため、偏光板の保護フィルムに好適に用いられている。一方、トリアセチルセルロースをVA型やTN型など各種の液晶モードの光学補償フィルムとして用いるにはリターデーションの発現が不足することから、リターデーション調整剤を添加する必要があった。
これに対し、アセチル基置換度の小さいジアセチルセルロース(DAC)は、リターデーションの発現性が高いため、リターデーション調整剤を添加しなくても、光学補償フィルム(視野角拡大フィルム)としての機能を発揮することができるものと期待されている。ここで、より表示品位の高い表示装置を製造するためには、透過性、薄膜、位相差発現性などの特性に優れた光学フィルムが求められている。
上述したように、DACを用いた位相差フィルムは、TACと比較すると複屈折発現性(位相差発現性)は高いものの、さらに薄膜化するためには延伸倍率をさらに高める必要があり、製造難易度が高く安定したフィルムの製造には課題があった。
ジアセチルセルロースは通常、OH基をすべてアシル置換した後に加水分解を行うことによって置換度調整される。この方法では、加水分解によって置換度分布が広がりやすい。そして、位相差フィルムの製造時にはこの微小な置換度のばらつきが位相差発現性に悪影響を及ぼすことから、より薄膜で高透過性の光学フィルムを安定して製造するには、純度の高いセルロースアシレートが求められていた。
ところで、特許文献1には、セルロースとイオン液体からなる混合物へ2種以上のエステル化剤を添加することを特徴とするセルロース混合エステルの製造方法が開示されている。また、この製造方法により得られたセルロース混合エステルの用途として、偏光板保護フィルムや光学フィルムなどのフィルム分野についての開示があるが、位相差フィルムとしての用途は開示されていない。
特開2011−74113号公報
本発明は、上述した従来の技術に鑑みなされたものであり、透過性が高く、薄膜化しても表示装置に必要な位相差発現性を維持することができ、安定な品質を保つことが可能な位相差フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的に鑑み、鋭意研究を重ねた。その結果、アシル基置換度の小さい(DAC等の)セルロースアシレートを用いてセルロースアシレートフィルムを構成する際に、アシル基置換度の組成分布におけるピークがシャープなものを用いることで、上記課題が解決されうることを見出した。また、イオン液体の存在下でセルロースをアシル化することで、従来のようなアシル全置換後の加水分解といった手法によることなく、上述したようなアシル基置換度のピークがシャープなセルロースアシレートを製造することができることも見出した。そして、これらの知見に基づき、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(1)セルロースエステルからなる位相差フィルムであって、
前記セルロースアシレートのアシル基置換度が1.9〜2.5であり、前記アシル基置換度のHPLCで測定した組成分布におけるピークの半値幅が置換度単位で0.15以下であり、前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合が65%以上である、位相差フィルム;
(2)下記一般式(I):
式中、Qは、単糖類または二糖類の残基を表し、Rは、脂肪族基または芳香族基を表し、mは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している水酸基の数の合計であり、lは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計であり、3≦m+l≦8であり、l≠0である、
で表される糖エステル化合物を含む、上記(1)に記載の位相差フィルム;
(3)下記数式(1)および下記数式(2):
式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、nzはフィルム厚み方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚み(nm)を表す;屈折率は25℃、55%RHの環境下、波長590nmで測定)
でそれぞれ表されるRoおよびRthが、
を満足する、上記(1)または(2)に記載の位相差フィルム;
(4)下記数式(1):
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、nzはフィルム厚み方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚み(nm)を表す;屈折率は25℃、55%RHの環境下、波長590nmで測定)
で表されるRoが、
を満足する、上記(1)または(2)に記載の位相差フィルム;
(5)イオン液体の存在下でセルロースをアシル化剤と反応させて、アシル基置換度が1.9〜2.5であるセルロースアシレートを得る工程と、
前記セルロースアシレートを含むドープを支持体上に流涎して得られるフィルムを乾燥し、剥離した後に、延伸倍率1.1倍以上で少なくとも幅方向に延伸して、フィルム幅1.8〜2.5mの位相差フィルムを得る工程と、
を含む、位相差フィルムの製造方法;
(6)イオン液体の存在下でセルロースをアシル化剤と反応させて、アシル基置換度が1.9〜2.5であるセルロースアシレートを得る工程と、
前記セルロースアシレートを含むドープを支持体上に流涎して得られるフィルムを乾燥し、剥離した後に、斜め延伸を行って、位相差フィルムを得る工程と、
を含む、位相差フィルムの製造方法;
(7)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の位相差フィルムまたは上記(5)または(6)に記載の製造方法により製造された位相差フィルムと、偏光子の少なくとも一方の表面とが貼合されてなる、偏光板;
(8)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の位相差フィルムまたは上記(5)に記載の製造方法により製造された位相差フィルムと、偏光子の少なくとも一方の表面とが貼合されてなる偏光板を備えた液晶表示装置;
(9)上記(1)、(2)または(4)に記載の位相差フィルムまたは上記(6)に記載の製造方法により製造された位相差フィルムと、偏光子の少なくとも一方の表面とが貼合されてなる偏光板を備えた有機EL表示装置。
本発明によれば、透過性が高く、薄膜化しても表示装置に必要な位相差発現性を維持することができ、安定な品質を保つことが可能な位相差フィルムおよびその製造方法が提供されうる。
実施例において、斜め延伸処理によって位相差フィルムを製造するのに用い延伸装置の説明図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
≪位相差フィルム≫
本発明の一形態は、セルロースアシレートを含む位相差フィルムを提供する。そして、この位相差フィルムを構成するセルロースアシレートのアシル基置換度は1.9〜2.5であり、前記アシル基置換度のHPLCで測定した組成分布におけるピークの半値幅は置換度単位で0.15以下であり、前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合は65%以上である点に特徴がある。
<セルロースアシレート>
本発明の一形態に係るセルロースアシレートフィルムは、アシル基置換度が1.9〜2.5であるセルロースアシレートを含む。このようにアシル基置換度が小さいセルロースアシレートを採用することで、高い位相差発現性が発揮され、位相差の高い位相差フィルムとする場合であっても薄膜化が可能となる、高い位相差を発現させる場合にも延伸倍率を低く抑えることができ破断等の故障を回避できる、などの利点が得られる。
ここで、セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例えば、ジアセチルセルロース(DAC)はグルコースユニットの3個の水酸基のうち、平均して1.9〜2.5個にアセチル基が結合している。
本発明に用いられるセルロースアシレートとしては、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルが挙げられ、芳香族カルボン酸のエステルでもよいが、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐してもよく、また環を形成してもよい。さらに別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、前記アシル基の炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましい。当該アシル基の炭素数は2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
なお、セルロースアシレートのアシル基置換度の測定は、ASTM−D817−96に準じて実施することができ、好ましいアシル基置換度は、2.18〜2.45である。
セルロースアシレートのアシル基置換度が1.9を下回る場合には、ドープ粘度の上昇によるフィルム面品質の劣化、延伸張力の上昇によるヘイズアップなどが発生することがある。また、アシル基置換度が2.5より大きい場合は、必要な位相差が得られ難い。
セルロースアシレートの数平均分子量(Mn)は、30000〜300000の範囲が得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに50000〜200000のものが好ましく用いられる。
セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の値は、1.4〜3.0であることが好ましい。
なお、セルロースアシレートの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の値としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値を採用するものとする。この際、測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明は、位相差フィルムを構成するセルロースアシレートとして、上述したアシル基置換度の組成分布におけるピークがシャープなものが用いられる点に特徴がある。具体的には、位相差フィルムを構成するセルロースアシレートのアシル基置換度のHPLCで測定した組成分布におけるピークの半値幅は置換度単位で0.15以下であり、好ましくは0.14以下であり、より好ましくは0.13以下であり、最も好ましくは0.12以下である。また、前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合は65%以上であり、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、最も好ましくは80%以上である。位相差フィルムを構成するセルロースアシレートにおける上記パラメータがこれらの範囲を外れるということは、すなわち置換度分布がブロードであることを意味する。そして、そのようなセルロースアシレートを用いて位相差フィルムを製造すると、置換度分布におけるばらつきが位相差発現性に悪影響を及ぼしてしまい、より薄膜で高透過性の光学フィルムを安定して製造することが困難となる。なお、これらのパラメータの値としては、後述する実施例の欄に記載の測定方法により測定された値を採用するものとする。
本発明に用いられるセルロースアシレートの合成手法について特に制限はないが、本発明者らの検討によれば、セルロースのOH基をすべてアシル置換した後に加水分解を行って置換度を調整するという従来の一般的な手法ではなく、イオン液体を溶媒として用いた均一系においてセルロースのアシル化反応を行うことで、アシル基置換度の組成分布におけるピークがシャープなものが得られることが判明した。すなわち、本発明に用いられるアシル基置換度が1.9〜2.5のセルロースアシレートは、イオン液体の存在下でセルロースをアシル化剤と反応(以下、単に「アシル化」とも称する)させて得られるものであることが好ましいのである。
アシル化の具体的な形態について特に制限はなく、従来公知の知見を参照しつつ、当業者が適宜設定することができる。以下、アシル化の好ましい形態について説明するが、これらの形態のみに限定されるわけではない。
原料として用いるセルロースは、木材、綿、麻、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフなどの植物由来、ホヤ類などの動物由来、海藻などの藻類由来、酢酸菌などの微生物由来などいずれを起源とするものであってもよい。なかでも、精製パルプ、再生セルロース、綿由来のコットンリンターおよびコットンリント、酢酸菌由来のバクテリアセルロースは、セルロース純度が高いため好適に採用できる。セルロース純度の指標であるαセルロース含有率は、90重量%以上であることが好ましい。αセルロース含有率が90重量%以上であれば、セルロースのエステル化における副反応を抑制することができ、得られるセルロース混合エステルの色調が良好になるため好ましい。αセルロース含有率は92重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましい。
セルロースは、形態に関して特に制限がなく、粉状、粒状、綿状、糸状、布状、紙状、シート状、フィルム状などいずれでもよい。また、粉砕処理などの処理を施したセルロースを用いてもよい。粉砕処理の方法としては、ボールミルなどの乾式粉砕器が挙げられる。粉砕処理によって、セルロースの表面積が増加すると、イオン液体へ溶解しやすくなるため好ましい。
アシル化は、イオン液体の存在下で行われる。セルロースは通常の有機溶剤には溶解しないが、イオン液体には溶解しうる。したがって、イオン液体の存在下でアシル化を行うことで、均一系においてアシル化を行うことが可能となる。
イオン液体は、カチオンとアニオンとからなり、セルロースを均一に溶解させることができる化合物であれば、特に限定されない。また、イオン液体は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
イオン液体を構成するカチオンとしては、イミダゾール、ピリジン、アンモニア、ピロリン、ピラゾール、カルバゾール、インドール、ルチジン、ピロール、ピラゾール、ピペリジン、ピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンなどの窒素原子にプロトンまたはアルキル基などが結合した化合物が挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、イミダゾールまたはピリジンを骨格に有するイミダゾリウムカチオンまたはピリジニウムカチオンが、セルロースの溶解性に優れることから好適に採用できる。
カチオンの具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−ブチル−3−メチルピリジニウム、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウム、4−メチル−オクチルピリジニウム、3−メチル−オクチルピリジニウム、3,4−ジメチル−ブチルピリジニウム、3,5−ジメチル−ブチルピリジニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、メチルプロピルピペリジニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
イオン液体を構成するアニオンとしては、ハロゲンアニオン、擬ハロゲンアニオン、カルボン酸アニオン、超強酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン酸アニオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、ハロゲンアニオン、カルボン酸アニオン、リン酸アニオンが、セルロースの溶解性に優れることから好適に採用できる。
ハロゲンアニオンとしては、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオンなどが挙げられる。
擬ハロゲンアニオンとしては、シアンアニオン、チオシアネートアニオン、シアネートアニオン、フルミネートアニオン、アジドアニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、炭素数1〜18のモノカルボン酸アニオンまたはジカルボン酸アニオンなどが挙げられる。具体例としては、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、フマル酸アニオン、シュウ酸アニオン、乳酸アニオン、ピルビン酸アニオンなどが挙げられる。
超強酸アニオンとしては、ホウフッ素酸アニオン、四フッ化ホウ素酸アニオン、過塩素酸アニオン、六フッ化リン酸アニオン、六フッ化アンチモン酸アニオン、六フッ化ヒ素酸アニオンなどが挙げられる。
スルホン酸アニオンとしては、炭素数1〜26のスルホン酸などが挙げられる。具体例としては、メタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、オクチルベンゼンスルホン酸アニオン、ドデシルベンゼンスルホン酸アニオン、ラウリルベンゼンスルホン酸アニオン、オクタデシルベンゼンスルホン酸アニオン、エイコシルベンゼンスルホン酸アニオン、オクタンスルホン酸アニオン、ドデカンスルホン酸アニオン、エイコサンスルホン酸アニオンなどが挙げられる。
リン酸アニオンとしては、リン酸アニオン、炭素数1〜40のリン酸エステルアニオンなどが挙げられる。具体例としては、リン酸アニオン、メチルリン酸モノエステルアニオン、オクチルリン酸モノエステルアニオン、オクチルリン酸ジエステルアニオン、ラウリルリン酸モノエステルアニオン、ラウリルリン酸ジエステルアニオン、ステアリルリン酸モノエステルアニオン、ステアリルリン酸ジエステルアニオン、エイコシルリン酸モノエステルアニオン、エイコシルリン酸ジエステルアニオンなどが挙げられる。
これらカチオンとアニオンの組み合わせにより、様々なイオン液体を作製することができる。イオン液体の具体例として、1,3−ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムブロマイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフォネート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−エチルピリジニウムブロマイド、1−ブチルピリジニウムブロマイド、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、3,5−ジメチルブチルピリジニウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフォネート、1−ブチルピリジニウムニトレート、ジメチルメチル−2−メトキシエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジメチルメチル−2−メトキシエチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド、トリメチルプロピルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド、メチルプロピルピペリジニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
イオン液体の融点に関して特に制限はないが、100℃以下であることが好ましい。イオン液体の融点が100℃以下であれば、イオン液体へセルロースを溶解させる際にセルロースの分子量低下を抑制できるため好ましい。イオン液体の融点は80℃以下であることがより好ましく、70℃以下であることがさらに好ましい。
アシル化は、上述したイオン液体を溶媒として、セルロースをアシル化剤と反応させることにより行う。
アシル化剤としては、例えば、酸ハロゲン化物、酸無水物、カルボン酸などが挙げられる。アシル化剤は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
酸ハロゲン化物としては、酸フッ化物、酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物が挙げられる。具体例としては、フッ化アセチル、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、フッ化プロピオニル、塩化プロピオニル、臭化プロピオニル、ヨウ化プロピオニル、フッ化ブチリル、塩化ブチリル、臭化ブチリル、ヨウ化ブチリル、フッ化ベンゾイル、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、ヨウ化ベンゾイルなどが挙げられる。なかでも、酸塩化物は反応性と取り扱い性の点から好適に採用できる。
酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水カプロン酸、無水エナント酸、無水カプリル酸、無水ペラルゴン酸、無水カプリン酸、無水ラウリン酸、無水ミリスチン酸、無水パルミチン酸、無水ステアリン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸などが挙げられる。なかでも、無水プロピオン酸、無水酪酸は反応性が高いため好適に採用できる。
カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、コハク酸などが挙げられる。
より詳細には、アシル化剤がアセチル化剤である場合、当該アセチル化剤の具体例として、塩化アセチル、無水酢酸、酢酸などが挙げられる。また、炭素数3のアシル化剤の具体例としては、塩化プロピオニル、無水プロピオン酸、プロピオン酸が挙げられる。なお、炭素数4以下のアシル化剤を用いる場合には酸無水物を使用することが好ましく、炭素数5以上のアシル化剤を用いる場合には酸ハロゲン化物を使用することが好ましい。
セルロースのアシル化を促進するために触媒を使用してもよい。触媒としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、硝酸、塩化亜鉛などが挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、硫酸は反応性の点から好適に採用できる。これら触媒は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
本発明のセルロースとイオン液体からなる混合物は、セルロースにイオン液体を添加してもよく、イオン液体にセルロースを添加してもよい。また、イオン液体が室温で固体の場合、固体のままセルロースと混合してもよく、一旦加熱融解した後にセルロースと混合してもよい。
アシル化を行う際のセルロースおよびイオン液体は、あらかじめ真空乾燥または加熱乾燥により低水分率としておくことが好ましく、水分率をそれぞれ3重量%以下としておくことが好ましい。水分率が3重量%以下であれば、セルロースの加水分解による分子量低下やアシル化剤の加水分解によるアシル化剤の消費を抑制することができるため好ましい。水分率は2重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。
イオン液体の重量に対するセルロースの重量は、イオン液体の種類に応じてセルロースの溶解性が異なるため適宜選択することができるが、1〜40重量%であることが好ましい。イオン液体の重量に対するセルロースの重量が1重量%以上であれば、セルロースを均一に溶解させることができるため好ましい。イオン液体の重量に対するセルロースの重量は3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることがさらに好ましい。一方、イオン液体の重量に対するセルロースの重量が40重量%以下であれば、イオン液体へセルロースを溶解した後に高粘度になり過ぎないため好ましい。イオン液体の重量に対するセルロースの重量は30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましい。
イオン液体とセルロースからなる混合物の加熱温度は、イオン液体の融点やイオン液体へのセルロースの添加量などに応じて適宜選択することができるが、50〜100℃であることが好ましい。加熱温度が50℃以上であれば、セルロースの溶解を促進することができるため好ましい。加熱温度は60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。一方、加熱温度が100℃以下であれば、セルロースの分子量低下を抑制することができるため好ましい。加熱温度は90℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。
イオン液体とセルロースからなる混合物の加熱時間は、加熱温度やイオン液体の種類、イオン液体へのセルロースの添加量などに応じて適宜選択することができるが、0.5〜10時間であることが好ましい。加熱時間が0.5時間以上であれば、セルロースを均一に溶解させることができるため好ましい。加熱時間は1時間以上であることがより好ましく、2時間以上であることがさらに好ましい。一方、加熱時間が10時間以下であれば、セルロースの分子量低下を抑制することができるため好ましい。加熱時間は8時間以下であることがより好ましく、5時間以下であることがさらに好ましい。
イオン液体とセルロースからなる混合物の加熱手段は、公知の方法に従い、水浴や油浴による加熱、オーブンによる加熱、マイクロウェーブによる加熱などの一般的な加熱手段が挙げられるが、これらに限定されない。
イオン液体とセルロースからなる混合物の加熱においては、セルロースの溶解を促進するために、撹拌することが好ましい。撹拌手段は公知の方法に従い、撹拌子や撹拌羽根による機械的撹拌、容器の振盪による撹拌、超音波照射による撹拌などが挙げられるが、これらに限定されない。
セルロースをイオン液体に溶解させて得られた溶液中に未溶解物や不溶解物が残存している場合には、濾過により未溶解物や不溶解物を除去してからエステル化剤を添加してもよい。
セルロースのグルコース単位に対するアシル化剤の種類数やその当量の合計は、目的とするセルロースアシレートのアシル基置換度などに応じて適宜選択することができる。
エステル化反応を促進するために触媒を添加する場合、セルロースの重量に対する触媒の重量は、1〜15重量%であることが好ましい。セルロースの重量に対する触媒の重量が1重量%以上であれば、セルロースのエステル化反応を促進することができるため好ましい。セルロースの重量に対する触媒の重量は3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることがさらに好ましい。一方、セルロースの重量に対する触媒の重量が15重量%以下であれば、セルロースの分子量低下を抑制することができるため好ましい。セルロースの重量に対する触媒の重量は10重量%以下であることがより好ましく、7重量%以下であることがさらに好ましい。
アシル化の反応温度は、アシル化剤の種類や添加量、触媒の種類や添加量などの反応条件に応じて適宜選択することができるが、50〜100℃であることが好ましい。反応温度が50℃以上であれば、セルロースのエステル化反応を促進することができるため好ましい。反応温度は60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。一方、反応温度が100℃以下であれば、セルロースの分子量低下を抑制することができるため好ましい。反応温度は90℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。
セルロースとエステル化剤との反応時間は、反応温度やエステル化剤の種類や添加量、触媒の種類や添加量などの反応条件に応じて適宜選択することができるが、0.5〜10時間であることが好ましい。反応時間が0.5時間以上であれば、セルロースのエステル化反応が進行するため好ましい。反応時間は1時間以上であることがより好ましく、2時間以上であることがさらに好ましい。一方、反応時間が10時間以下であれば、セルロースの分子量低下を抑制することができるため好ましい。反応時間は8時間以下であることがより好ましく、5時間以下であることがさらに好ましい。
セルロースとアシル化剤との反応における加熱手段は、公知の方法に従い、水浴や油浴による加熱、オーブンによる加熱、マイクロウェーブによる加熱などの一般的な加熱手段が挙げられるが、これらに限定されない。
セルロースとアシル化剤との反応においては、アシル化反応を促進するために、撹拌することが好ましい。撹拌手段は公知の方法に従い、撹拌子や撹拌羽根による機械的撹拌、容器の振盪による撹拌、超音波照射による撹拌などが挙げられるが、これらに限定されない。
セルロースとアシル化剤との反応は、メタノールやエタノールなどのアルコールや水などの反応停止剤により停止することができる。反応停止剤は、セルロースとのエステル化反応に関与しなかった過剰量のエステル化剤を加水分解するとともに、セルロース混合エステルを不溶化して沈殿させる。反応液へ反応停止剤を添加してもよいし、反応停止剤へ反応液を添加してもよい
沈殿したセルロースアシレートは、公知の方法に従い、濾過または遠心分離などにより分離することができる。分離したセルロースアシレートは、メタノールやエタノールなどのアルコールや水などによって1回または複数回洗浄した後、必要に応じて真空乾燥または加熱乾燥してもよい。
<添加剤>
本発明の一形態に係る位相差フィルムは、上述したセルロースアシレートに加えて、各種の添加剤をも含みうる。以下、本発明に用いられうる添加剤について、説明する。
(糖エステル化合物)
本発明の一形態に係る位相差フィルムは、糖エステル化合物を含むことが好ましい。このように、位相差フィルムが糖エステル化合物を含むことで、セルロースアシレートの加水分解が防止されることから、フィルムの耐水性が向上しうる。また、偏光板を構成する際の偏光子との貼合時には、フィルム表面がケン化処理されるが、このケン化処理時におけるセルロースアシレートの加水分解とそれに伴うアルカリケン化液への溶出も防止されうる。
糖エステル化合物の一例としては、下記一般式(I):
で表される化合物が挙げられる。
一般式(I)において、Qは、単糖類または二糖類の残基を表し、Rは、脂肪族基または芳香族基を表し、mは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している水酸基の数の合計であり、lは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計であり、3≦m+l≦8であり、l≠0である。
一般式(I)で表される構造を有する化合物は、水酸基の数(m)、−(O−C(=O)−R)基の数(l)が固定された単一種の化合物として単離することは困難であり、式中のm、lの異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られている。したがって、水酸基の数(m)、−(O−C(=O)−R)基の数(l)が各々変化した混合物としての性能が重要であり、本形態のようなセルロースアシレートフィルムの場合、ヘイズ特性に対し一般式(I)で表される構造を有し、かつm=0の成分とm>0の成分との混合比率が45:55〜0:100である化合物が好ましい。さらに性能的、コスト的により好ましくはm=0の成分とm>0の成分との混合比率が10:90〜0.1:99.9の範囲である。なお、上記のm=0の成分とm>0の成分は、常法により高速液体クロマトグラフィによって測定することが可能である。
上記一般式(I)において、Qは単糖類または二糖類の残基を表す。単糖類の具体例としては、例えばアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソースなどが挙げられる。
以下に、一般式(I)で表される、単糖類残基を有する化合物の構造例を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
二糖類の具体例としては、例えば、トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、イソトレハロースなどが挙げられる。
以下に、一般式(I)で表される、二糖類残基を有する化合物の構造例を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
一般式(I)において、Rは、脂肪族基または芳香族基を表す。ここで、脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。
また、一般式(I)において、mは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している水酸基の数の合計であり、lは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計である。そして、3≦m+l≦8であることが必要であり、4≦m+l≦8であることが好ましい。また、l≠0である。なお、lが2以上である場合、−(O−C(=O)−R)基は互いに同じでもよいし異なっていてもよい。
Rの定義における脂肪族基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、1〜20のものがより好ましく、2〜15のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビシクロオクチル、アダマンチル、n−デシル、tert−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ジデシルなどが挙げられる。
また、Rの定義における芳香族基は、芳香族炭化水素基でもよいし、芳香族複素環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族複素環基としては、酸素原子、窒素原子または硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。複素環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族複素環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
次に、一般式(I)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
(合成例:一般式(I)で表される化合物の合成例)
撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.8モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエン1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液300gを添加し、50℃で30分間撹拌後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、例示化合物1(a1)、例示化合物2(a2)、例示化合物3(a3)、例示化合物4(a4)、および例示化合物5の混合物を得た。得られた混合物をHPLCおよびLC−MASSで解析したところ、例示化合物1(a1)が7質量%、例示化合物2(a2)が58質量%、例示化合物3(a3)が23質量%、例示化合物4(a4)が9質量%、例示化合物5が3質量%であった。なお、得られた混合物の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%の例示化合物1(a1)、例示化合物2(a2)、例示化合物3(a3)、例示化合物4(a4)、および例示化合物5を得た。
(リターデーション調整剤)
本発明に係る位相差フィルムは、リターデーション調整剤を含んでもよい。リターデーション調整剤とは、その添加によって位相差フィルムのリターデーション発現性を調整できる添加剤である。その具体的な構成について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。また、波長分散を調整する効果を同時に有するリターデーション調整剤も存在するが、これを用いてもよい。
本発明において用いられうるリターデーション調整剤としては、例えば、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されているような、2つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物が挙げられる。また、2種以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環をも含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
また、リターデーション調整剤の他の例として、特開2010−163482号公報に一般式(I)として開示されている化合物が挙げられる。当該一般式(I)の具体例は、同公報の段落「0052」〜「0058」に開示されている。また、特開2010−163483号公報に一般式(I)として開示されている化合物もまた、同様にリターデーション調整剤として用いられうる。当該一般式(I)の具体例は、同公報の段落「0054」〜「0068」に開示されている。
リターデーション調整剤は、セルロースアシレート100質量%に対して、0.01〜20質量%の量で含まれることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
(可塑剤)
本発明の位相差フィルムは、可塑剤を含んでもよい。可塑剤の具体的な形態について特に制限はないが、例えば、ポリエステル系可塑剤が挙げられる。ポリエステル系可塑剤の具体的な構造について特に制限はなく、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤が用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、例えば、下記一般式(a)で表されるポリエステル系可塑剤が挙げられる。
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基または脂肪族モノカルボン酸残基を表し、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表し、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、nは1以上の整数を表す。)
一般式(a)で表されるポリエステル系可塑剤は、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られるものである。
ポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリーブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等が挙げられ、これらはそれぞれが1種単独で、または2種以上の混合物として使用されうる。
また、ポリエステル系可塑剤の脂肪族モノカルボン酸成分としては、例えば、炭素数3以下の脂肪族モノカルボン酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の炭素数が3以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない。
また、炭素数3以上8以下の環状脂肪族を有するモノカルボン酸が好ましく、炭素数6の環状脂肪族を有するモノカルボン酸がより好ましく、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチル−シクロヘキサンカルボン酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の環状脂肪族の炭素数が3以上8以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない。
ポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられ、これらはそれぞれが1種単独で、または2種以上の混合物として使用されうる。なかでも特に、炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースアシレートとの相溶性に優れているため好ましく、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレングリコールであり、さらに好ましくは炭素数2〜4のアルキレングリコールである。
また、ポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で、または2種以上の混合物として使用されうる。
ポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で、または2種以上の混合物として使用されうる。さらに、炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤は、その数平均分子量が1000〜10000であることが好ましい。このように比較的大きめの数平均分子量を有するポリエステル系可塑剤を添加することで、フィルムを作製する際に高温条件下で延伸処理を施した場合であっても高延伸で配向したセルロースアシレート分子間に介在するように配置されて破断伸度を向上させることができるという有利な効果が奏される。なお、ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は、好ましくは5000〜9000であり、より好ましくは6000〜8000である。
なお、ポリエステル系可塑剤の酸価は、好ましくは0.5mgKOH/g以下であり、より好ましくは0.3mgKOH/g以下である。また、ポリエステル系可塑剤の水酸基価は、好ましくは25mgKOH/g以下であり、より好ましくは15mgKOH/g以下である。なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
以下に、ポリエステル系可塑剤の具体的な構造を示すが、本発明はかような形態のみには限定されない。
式中、nは、繰り返し単位の平均繰り返し数を表し、3.5〜47.2の数である。nは、好ましくは22.9〜42.4であり、より好ましくは27.8〜37.5である。
本発明の位相差フィルムは、上述したポリエステル系可塑剤以外の可塑剤を含んでもよい。
かような可塑剤としては、まず、上述したポリエステル系可塑剤のうち、数平均分子量(Mn)が1000未満のものや、Mnが10000超のものが挙げられる。その具体例については、上述の記載および本願出願時の技術常識を考慮すれば当業者には自明であり、そのような可塑剤を製造することもまた、当業者であれば容易になしうることである。
以上で説明したポリエステル系可塑剤以外にも、各種の可塑剤が本発明の一形態に係る位相差フィルムに添加されてもよい。かような可塑剤としては、例えば、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、およびアクリル系可塑剤等が挙げられる。
多価アルコールエステル系可塑剤は、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸とのエステルからなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。多価アルコールエステル系可塑剤は、好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールのエステルからなる。
好ましく用いられる多価アルコールは、次の一般式(b)で表される。
(式中、R1はn価の有機基を表し、nは2以上の整数を表し、OHはアルコール性および/またはフェノール性水酸基を表す。)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等が挙げられる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が用いられうる。脂環族モノカルボン酸や芳香族モノカルボン酸を用いると、フィルムの透湿性、保留性を向上させることができるため、好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖のまたは側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられうる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアシレートとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸とを混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基またはエトキシ基などのアルコキシ基が1〜3個導入されたもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体が挙げられる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限されないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースアシレートとの相溶性の点では分子量が小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種単独でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化されていてもよいし、一部がOH基のまま残されてもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
グリコレート系可塑剤は、特に限定されないが、例えば、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いられうる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、例えば、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤としては、例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールとのエステルからなる可塑剤が例示される。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は、次の一般式(c)で表される。
(式中、R2は(m+n)価の有機基を表し、mは2以上の整数を表し、nは0以上の整数を表し、COOHはカルボキシル基を表し、OHはアルコール性および/またはフェノール性水酸基を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などが好ましく用いられうる。特に、オキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
一方、多価カルボン酸エステル系可塑剤を構成するアルコールについても特に制限はなく、公知のアルコール類、フェノール類が用いられうる。
例えば、炭素数1〜32の直鎖のまたは側鎖を有する脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールが好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いられうる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性の水酸基をモノカルボン酸によりエステル化してもよい。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖のまたは側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などが挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上含む芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体が挙げられる。特に、酢酸、プロピオン酸、安息香酸が好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の分子量は特に制限はないが、分子量300以上1000未満の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることがさらに好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースアシレートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤に用いられるアルコール類は一種単独でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
多価カルボン酸エステル系可塑剤の酸価は、1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデションの環境変動が抑制されるため好ましい。
特に好ましい多価カルボン酸エステル系可塑剤の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
(ポリエステル)
本発明に係る位相差フィルムは、下記のポリエステルを含有することも好ましい。
(一般式(d)または(e)で表されるポリエステル)
本発明に係る位相差フィルムは、下記一般式(d)または(e)で表されるポリエステルを含有することが好ましい。
(式中、B1はモノカルボン酸を表し、Gは2価のアルコールを表し、Aは2塩基酸を表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。mは繰り返し数を表す。)
(式中、B2はモノアルコールを表し、Gは2価のアルコールを表し、Aは2塩基酸を表す。B2、G、Aはいずれも芳香環を含まない。nは繰り返し数を表す。)
一般式(d)、(e)において、B1はモノカルボン酸成分を表し、B2はモノアルコール成分を表し、Gは2価のアルコール成分を表し、Aは2塩基酸成分を表し、これらによって合成されたことを表す。B1、B2、G、Aはいずれも芳香環を含まないことが特徴である。m、nは繰り返し数を表す。
B1で表されるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖のまたは側鎖を有する脂肪酸が好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアシレートとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸とを混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
B2で表されるモノアルコール成分としては、特に制限はなく公知のアルコール類が用いられうる。例えば、炭素数1〜32の直鎖のまたは側鎖を有する脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールが好ましく用いられうる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表される2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が挙げられるが、これらのうちエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、さらに、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールが好ましく用いられる。
Aで表される2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、脂肪族2塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族ジカルボン酸としては炭素数4〜12のもの、これらから選ばれる少なくとも1つのものが使用されうる。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用してもよい。
m、nは繰り返し数を表し、1以上で170以下が好ましい。
(一般式(f)または(g)で表されるポリエステル)
本発明に係る位相差フィルムは、下記一般式(f)または(g)で表されるポリエステルを含有することが好ましい。
(式中、B1は炭素数1〜12のモノカルボン酸を表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。mは繰り返し数を表す。)
(式中、B2は炭素数1〜12のモノアルコールを表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコールを表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸を表す。B2、G、Aはいずれも芳香環を含まない。nは繰り返し数を表す。)
一般式(f)、(g)において、B1はモノカルボン酸成分を表し、B2はモノアルコール成分を表し、Gは炭素数2〜12の2価のアルコール成分を表し、Aは炭素数2〜12の2塩基酸成分を表し、これらによって合成されたことを表す。B1、G、Aはいずれも芳香環を含まない。m、nは繰り返し数を表す。なお、B1、B2は、前述の一般式(d)または(e)におけるB1、B2と同義である。また、G、Aは、前述の一般式(d)または(e)におけるG、Aの中で炭素数2〜12のアルコール成分または2塩基酸成分に相当する。
ポリエステルの数平均分子量は1000以上10000以下である。数平均分子量が1000未満では、高温高倍率延伸で破断が生じやすく、10000より大きいと相分離起因の白化が増加しやすい。
ポリエステルの重縮合は常法によって行われる。例えば、上記2塩基酸とグリコールとの直接反応、上記の2塩基酸またはこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応のいずれかの方法により容易に合成することができるが、重量平均分子量がさほど大きくないポリエステルは直接反応により合成することが好ましい。
低分子量側に分布が高くあるポリエステルはセルロースアシレートとの相溶性が非常によく、フィルム形成後、透湿度も小さく、しかも透明性に富んだセルロースアシレートフィルムを得ることができる。分子量の調節方法は、特に制限なく従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸または1価のアルコールで分子末端を封鎖する方法を用いる場合には、これらの1価の原料化合物の添加量を調整することで分子量を調節することができる。この場合、1価の酸の添加量を調整することが、ポリマーの安定性の観点から好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられるが、重縮合反応中には系外に留去されず、停止して反応系外に除去するときには留去し易いものを選ぶことが好ましい。なお、この目的で複数の化合物を混合使用してもよい。また、直接反応の場合には、反応中に生成する水の量により反応を停止するタイミングを計ることによっても重量平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコールまたは2塩基酸のモル数を偏らせることによっても分子量の調節が可能であるし、反応温度をコントロールして分子量を調節することもできる。
ポリエステルは、セルロースアシレート100質量%に対して、1〜40質量%の量で含まれることが好ましく、一般式(f)または(g)で表されるポリエステルは2〜30質量%の量で含まれることが好ましい。特には、5〜15質量%の量で含まれることが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明に係る位相差フィルムは、その用途に応じて、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。なお、本発明に係る位相差フィルムが紫外線吸収剤を含む場合、当該紫外線吸収剤は2種以上含まれることが好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもチバ・ジャパン株式会社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。このほか、1,3,5トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。また、無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアセテート中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加すればよい。
本発明に係る位相差フィルムにおける紫外線吸収剤の含有量について特に制限はないが、セルロースアシレート100質量%に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。
(赤外線吸収剤)
本発明に係る位相差フィルムは、赤外線吸収剤を含んでもよい。かような構成とすることによってもまた、フィルムの逆波長分散性が調整されうる。
赤外線吸収剤は、750〜1100nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、800〜1000nmの波長領域に最大吸収を有することがさらに好ましい。また、赤外線吸収剤は、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
赤外線吸収剤としては、赤外線吸収染料または赤外線吸収顔料を用いることが好ましく、赤外線吸収染料を用いることが特に好ましい。
赤外線吸収染料には、有機化合物と無機化合物が含まれる。有機化合物である赤外線吸収染料を用いることが好ましい。有機赤外線吸収染料には、シアニン化合物、金属キレート化合物、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物、キノン化合物、スクアリリウム化合物およびメチン化合物が含まれる。赤外線吸収染料については、色材、61〔4〕215−226(1988)、および化学工業、43−53(1986、5月)に記載がある。
赤外線吸収機能あるいは吸収スペクトルの観点で染料の種類を検討すると、ハロゲン化銀写真感光材料の技術分野で開発された赤外線吸収染料が優れている。ハロゲン化銀写真感光材料の技術分野で開発された赤外線吸収染料には、ジヒドロペリミジンスクアリリウム染料(米国特許5380635号明細書および特願平8−189817号明細書記載)、シアニン染料(特開昭62−123454号、同3−138640号、同3−211542号、同3−226736号、同5−313305号、同6−43583号の各公報、特願平7−269097号明細書および欧州特許0430244号明細書記載)、ピリリウム染料(特開平3−138640号、同3−211542号の各公報記載)、ジイモニウム染料(特開平3−138640号、同3−211542号の各公報記載)、ピラゾロピリドン染料(特開平2−282244号記載)、インドアニリン染料(特開平5−323500号、同5−323501号の各公報記載)、ポリメチン染料(特開平3−26765号、同4−190343号の各公報および欧州特許377961号明細書記載)、オキソノール染料(特開平3−9346号明細書記載)、アントラキノン染料(特開平4−13654号明細書記載)、ナフタロシアニン色素(米国特許5009989号明細書記載)およびナフトラクタム染料(欧州特許568267号明細書記載)が含まれる。これらの赤外線吸収剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る位相差フィルムにおける赤外線吸収剤の含有量について特に制限はないが、セルロースアシレート100質量%に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。
(微粒子)
本発明に係る位相差フィルムには、取扱性を向上させるため、例えば二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などの微粒子(マット剤)を含有させることが好ましい。中でも二酸化珪素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。
微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、さらに好ましくは5〜16nmであり、特に好ましくは5〜12nmである。
これらの微粒子は0.1〜5μmの粒径の2次粒子を形成してフィルム中に含まれることが好ましく、好ましい平均粒径は0.1〜2μmであり、さらに好ましくは0.2〜0.6μmである。これにより、フィルム表面に高さ0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることができる。
本発明に用いられる微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、粒子径を測定しその平均値をもって、1次平均粒子径とする。
微粒子の見かけ比重としては、70g/リットル以上が好ましく、さらに好ましくは90〜200g/リットルであり、特に好ましくは100〜200g/リットルである。見かけ比重が大きいほど、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見かけ比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また例えばアエロジルR812、アエロジル200V、アエロジルR972V(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、それらを使用することができる。
上記記載の見かけ比重は、二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、このときの重さを測定し、下記式で算出したものである。
本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
《調製方法A》
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて攪拌する。
《調製方法B》
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、攪拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて攪拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
《調製方法C》
溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、攪拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースアシレートの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
セルロースアシレートに対する微粒子(マット剤)の添加量は、セルロースアシレート100質量%に対して、二酸化ケイ素微粒子では0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がさらに好ましく、0.1〜0.5質量%が最も好ましい。添加量が多いほど動摩擦係数に優れ、添加量が少ないほど凝集物が少なくなる。
分散機は通常の分散機が使用できる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズ低減の観点から好ましい。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。さらに好ましくは19.613MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。上記のような高圧分散装置には、Microfluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)や、ナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えば、イズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械株式会社社製UHN−01等が挙げられる。
また、微粒子を含むドープを流延支持体に直接接するように流延することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。
(着色剤)
本発明に係る位相差フィルムは、着色剤を含んでもよい。「着色剤」とは、染料や顔料を意味するが、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果またはイエローインデックスの調整、ヘイズの低減を有するものが特に好ましい。着色剤としては各種の染料や顔料が使用可能であるが、特に、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
≪位相差フィルムの製造方法≫
本発明に係る位相差フィルムの製造方法について特に制限はないが、上述したイオン液体を溶媒として利用したセルロースのアシル化によって得られたセルロースアシレートを用いる製造方法が好ましく例示される。すなわち、本発明の他の形態によれば、イオン液体の存在下でセルロースをアシル化剤と反応させて、アシル基置換度が1.9〜2.5であるセルロースアシレートを得る工程を含む位相差フィルムの製造方法が提供される。以下、このようにして得られたセルロースアシレートを用いて位相差フィルムを製造するための好ましい形態について、説明する。
位相差フィルムは、セルロースアシレートおよび添加剤を含有するセルロース組成物を支持体上に流延して得られるフィルムを、長尺方向および/または幅手方向に、同時にまたは逐次、延伸処理することにより得られるものである。かような製造方法としては、例えば、溶液流延法や溶融流延法が挙げられるが、いずれも採用可能であり、特に好ましくは溶液流延法が用いられる。
位相差フィルムの溶液流延法での製造は、例えば、セルロースアシレートおよび添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、延伸する工程、さらに乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程などにより行われる。
まず、ドープを調製する工程について説明する。ドープ中のセルロースアシレートの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースアシレートの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、より好ましくは15〜25質量%である。
ドープの調製に用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースアシレートの良溶剤と貧溶剤とを混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースアシレートの溶解性の点で好ましい。
良溶剤と貧溶剤との混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。ここで、良溶剤、貧溶剤については、使用するセルロースアシレートを単独で溶解するものが良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものが貧溶剤と定義される。そのため、セルロースアシレートの置換度によって、同一の溶剤であっても良溶剤となることもあれば、貧溶剤となることもある。
良溶剤の候補としては特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、貧溶剤の候補としても特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含まれていることが好ましい。なお、ドープの調製時にセルロースアシレートの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された後に回収され、通常は再利用される。
回収溶剤中に、セルロースアシレートに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製するときの、セルロースアシレートの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、セルロースアセテートを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースアシレートの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃がさらに好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。あるいは、冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースアシレートを溶解させることができる。
次に、このセルロースアシレート溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。このため、絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材がさらに好ましい。濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースアセテートに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。濾過の際の好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることがさらに好ましい。濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
続いて、上記で調製したドープを、無限に移行する無端の金属支持体上に流延する(流延工程;キャスト工程)。
流延工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトまたは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化したりする場合がある。
好ましい支持体温度は0〜55℃であり、25〜50℃がさらに好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
位相差フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
なお、本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
(式中、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量を表し、Nは当該試料を115℃で1時間加熱した後の質量である。)
さらに、上記でドープを流延して得られたフィルムをウェブとして乾燥する。この乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、さらに乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましい。さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの観点からは、熱風で行うことが好ましい。ウェブの乾燥工程における乾燥温度は、40〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
以上、溶液流延法によりセルロースアシレートのウェブを得る手法について説明したが、本発明の位相差フィルムは、製造コストの観点から、溶融流延法によって製造することも好ましい。溶液流延法において用いられる溶媒(例えば塩化メチレン等)を用いずに、加熱溶融する溶融流延による成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度等に優れるフィルムを得るためには、溶融押し出し法が優れている。溶融流延法によってセルロースアシレートのウェブを得るための具体的な手法について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。
続いて、上述したような溶液流延法や溶融流延法により得られたウェブを、延伸処理する。この延伸処理は、幅方向からθの角度(0°<θ<90°)に、同時にまたは逐次、2軸延伸または1軸延伸として行うことができる。
延伸処理を施す際の延伸条件について特に制限はないが、剥離されたフィルム(ウェブ)の両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。また、支持体からの剥離張力は300N/m以下とすることが好ましい。
延伸処理時の条件を調節することによって、得られるフィルムの膜厚や、リターデーション値を制御することができる。
例えば、長手方向の張力を低くまたは高くすることでリターデーションを変動させることが可能となる。また、フィルムの長手方向(製膜方向;MD方向)およびそれとフィルム面内で直交する方向(幅方向)に対して、逐次または同時に2軸延伸もしくは1軸延伸することでリターデーションを変動させることができる。
互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、特に制限されないが、位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いられる位相差フィルムを製造する際には、少なくとも幅方向に1.1倍以上の延伸倍率で延伸を行うことが好ましい。延伸倍率のより好ましい形態として、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜2.0倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.1倍、幅方向に1.3〜1.7倍の範囲で行うことがより好ましく、幅方向に1.3〜1.5倍の範囲で行うことが特に好ましい。
延伸温度は120℃〜200℃が好ましく、さらに好ましくは130℃〜170℃であり、さらに好ましくは140℃を超えて160℃以下で延伸するのが好ましい。延伸処理の際のフィルム中の残留溶媒量は、20〜0%が好ましく、さらに好ましくは15〜0%である。より詳細には、例えば、155℃で残留溶媒が11%で延伸するか、または155℃で残留溶媒が2%で延伸するのが好ましい。あるいは、160℃で残留溶媒が11%で延伸するのが好ましく、または160℃で残留溶媒が1%未満で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれらの方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
また、上述した延伸後には、さらに乾燥する工程を行い、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。延伸後の乾燥温度としては、125℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがさらに好ましい。150℃を超えると、フィルムのTgに近づいてくることから、レターデーションの低下や配向角のズレ等が生じる虞があり、好ましくない。
最後に、フィルムの巻取り工程を行うことができる。巻取り工程は、円筒形巻きフィルムの外周面とこれの直前の移動式搬送ロールの外周面との間の最短距離を一定に保持しながらフィルムを巻取りロールに巻き取るものである。かつ巻取りロールの手前には、フィルムの表面電位を除去または低減する除電ブロア等の手段が設けられる。
本発明に係る位相差フィルムの製造に係わる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。なお、偏光板保護フィルムの巻取り時の初期巻取り張力が90.2〜300.8N/mであるのが好ましい。
フィルムの巻き取り工程では、温度20〜30℃、湿度20〜60%RHの環境条件にて、フィルムを巻き取ることが好ましい。このように、フィルムの巻き取り工程での温度及び湿度を規定することにより、厚さ方向リターデーション(Rt)の湿度変化の耐性が向上する。
巻き取り工程における温度が20℃未満であると、シワが発生し、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。フィルムの巻き取り工程における温度が30℃を超えると、やはりシワが発生し、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。
また、フィルムの巻き取り工程における湿度が20%RH未満であれば、帯電しやすく、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。フィルムの巻き取り工程における湿度が60%RHを超えると、巻品質、貼り付き故障、搬送性が劣化するので、好ましくない。
フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度にも耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであってもよく、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。またガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、中空プラスチックコア:FRP製の外径6インチ(1インチ=2.54cm)、内径5インチの巻きコアが用いられる。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることがさらに好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましく、フィルム基材の幅は80cm以上であることが好ましく、1m以上であることが特に好ましい。
本発明に係る位相差フィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりフィルムとして、10〜500μmが好ましい。特に、下限は20μm以上、好ましくは25μm以上である。上限は150μm以下、好ましくは120μm以下である。特に好ましい範囲は35〜90μmである。位相差フィルムが偏光板保護フィルムを兼ねる場合、フィルムが厚いと、偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示装置においては、特に薄型軽量の目的に適さない。一方、フィルムが薄いと、位相差フィルムとしてのリターデーションの発現が困難となり、加えてフィルムの透湿性が高くなり、偏光子を湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
また、延伸処理はウェブの状態で延伸処理を行うだけに限らず、ウェブを乾燥、巻取後、延伸処理してもよい。また、その際ウェブを乾燥する前、または乾燥中に、延伸を行ってもよい。
位相差フィルムの遅相軸または進相軸はフィルム面内に存在し、延伸方向とのなす角度をθ1とすると、θ1は−1〜+1°、好ましくは−0.5〜+0.5°となるようにする。このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器社製)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、液晶表示装置においては、高い輝度向上効果を得ることや反射防止効果を得ることに寄与し、立体表示装置においてはクロストーク改善効果を得ることに寄与し、有機EL表示装置においては、反射防止効果を得ることに寄与する。
また、本発明に係るセルロースエステルフィルムが位相差フィルムとしてマルチドメイン化されたVAモードに用いられるとき、当該位相差フィルムの配置は、位相差フィルムの進相軸がθ1として上記領域に配置することで表示画質の向上に寄与することができる。
本発明に係る位相差フィルムは、特にリターデーション値の分布変動が小さい方が、色ムラ等を防止するという観点から好ましい。具体的には、位相差フィルムの面内方向のリターデーションRoの分布は、5%以下に調整することが好ましく、より好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。また、フィルムの厚さ方向のリターデーションRtの分布は、10%以下に調整することが好ましいが、さらに好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。なお、リターデーション(Ro、Rt)の値は下記式により求められる。
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、nzはフィルム厚み方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚み(nm)を表す;屈折率は25℃、55%RHの環境下、波長546nmで測定)
屈折率は、アッベ屈折率計(4T)を用いて、フィルムの厚さは市販のマイクロメーターを用いて、リターデーション値は、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器社製)を用いて、各々測定することができる。
なお、位相差フィルムの製造において、ロール長さは、生産性と運搬性を考慮すると、10〜5000m、好ましくは50〜4500mであり、このときのフィルムの幅は、偏光子の幅や製造ラインに適した幅を選択することができる。所定の幅でフィルムを製造してロール状に巻き取り、偏光板加工に供してもよく、また、目的の倍幅以上のフィルムを製造してロールに巻き取った後、断裁して目的の幅のロールを得て、このようなロールを偏光板加工に用いるようにしてもよい。なお、所定の幅でフィルムを製造してロール状に巻き取り、偏光板加工に供する場合、フィルム幅は、好ましくは1.8〜2.5mであり、より好ましくは1.9〜2.4mである。
また、位相差フィルムの製造に際し、延伸の前および/または後で帯電防止層、ハードコート層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。具体例としては特開2008−209595号公報の段落225〜349に記載の方法が挙げられる。
製膜工程において、カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、解砕処理された後、または必要に応じて造粒処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料としてまたは異なる品種のフィルム用原料として再利用することができる。
また、上述した糖エステル化合物、リターデーション調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なる組成物を共押し出しして、積層構造のフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のフィルムを作ることができる。例えば、微粒子は、スキン層に添加すると効果が高い。特に、ベルトやドラムに接する側のスキン層に微粒子が添加されていれば、微粒子の添加によるすべり性付与などの効果が効果的に発現しうる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入れることができ、コア層のみに入れてもよい。糖エステル化合物は、スキン層およびコア層のすべてに均一に含まれることが好ましい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤および/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤または紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。スキン層とコア層のガラス転移温度が異なっていてもよく、スキン層のガラス転移温度よりコア層のガラス転移温度が低いことが好ましい。このとき、スキンとコアの両者のガラス転移温度を測定し、これらの体積分率より算出した平均値を上記ガラス転移温度Tgと定義して同様に扱うこともできる。また、溶融流延時の溶融物の粘度もスキン層とコア層で異なっていてもよく、スキン層の粘度>コア層の粘度でも、コア層の粘度≧スキン層の粘度でもよい。
本発明に係る位相差フィルムは、寸法安定性が、25℃、55%RHに24時間放置したフィルムの寸法を基準としたとき、80℃、90%RHにおける寸法の変動値が±2.0%未満であり、好ましくは1.0%未満であり、さらに好ましくは0.5%未満である。本発明に係る位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる際に、位相差フィルム自身が上記の範囲内の変動であると、偏光板としてのリターデーションの絶対値と配向角が当初の設定からずれないために、表示品質の劣化を引き起こすことがなく、好ましい。
≪用途≫
(液晶表示装置)
本発明に係る位相差フィルムは、例えば、液晶表示装置に用いられる。この場合、位相差フィルムには、液晶表示装置の偏光板保護フィルムとしての機能を持たせることが好ましい。この場合、位相差フィルムのRoおよびRthは、それぞれ、
を満足することが好ましい。かような形態は、VAモードまたはTNモードの液晶セルの表示品質の向上に適したリターデーション値を有するものであるといえる。
上記の面内リターデーションRoは、2枚の偏光板がクロスニコルに配置され、偏光板の間に液晶セルが配置された構成であるとき、表示面の法線から斜めに観察したときの偏光板のクロスニコル状態からのずれによる光漏れを主に補償する。厚さ方向のリターデーションRtは、上記TNモードやVAモード、特にMVAモードにおいて液晶セルが黒表示状態であるときに、同様に斜めから見たときに認められる液晶セルの複屈折を主に補償するために寄与する。
続いて、本発明に係る位相差フィルムを、位相差フィルムおよび偏光子の一方の面の保護フィルムとして兼用した偏光板の詳細について説明する。
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明に係るセルロースエステルフィルムの裏面側をアルカリケン化処理し、処理したフィルムを偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせることにより、偏光板が作製される。
ここで、偏光板の主構成要素である偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これにはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを1軸延伸させて染色するか、染色した後1軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光子の面上に、本発明に係るセルロースエステルフィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全ケン化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
偏光子のもう一方の面には、本発明に係る位相差フィルムを用いてもよいし(後述する実施例を参照)、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明に係る位相差フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを用いることができる。市販のセルロースエステルフィルムとしては、例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UA、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が好ましく用いられる。あるいは、さらにディスコティック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開2003−98348号公報に記載の方法で光学異方性層を形成することができる。本発明に係る位相差フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。なお、液晶セルから遠い側に位置する偏光板保護フィルムとして、または、当該フィルム上には、表示装置の品質を向上する上で、他の機能性を有するフィルムを配置することも可能である。例えば、反射防止(アンチリフレクション(AR))、防眩(アンチグレア(AG))、耐キズ(ハードコート(HC))、低反射(ローリフレクション(LR))、ゴミ付着防止、輝度向上、帯電防止、防汚、バックコートのためにディスプレイとしての公知の機能層を構成物として含むフィルムが偏光板保護フィルムとして用いられうる。あるいは、汎用のTACフィルム等の偏光板保護フィルムの表面に、これらの機能層を含むフィルムを別途貼付してもよい。
上記のようにして作製された偏光板には、さらに一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を表示パネルへ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムはパネルへ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
この偏光板は、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、IPS(In−Plane Switching)モード等に用いられうる。
本発明に係る位相差フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、バックライトの透過光量を向上させた液晶表示装置を作製することができるが、消費電力の高い、特に大型の液晶表示装置やデジタルサイネージ等の屋外用途の液晶表示装置に好ましく用いられる。
なお、本発明に係る位相差フィルムの液晶表示装置における用途は上述したものに限られない。場合によっては、液晶表示装置の偏光板において、当該偏光板の液晶セルとは反対側に位置して保護フィルムとしての機能のみを有する光学フィルムとして用いられてもよい。なお、この場合には、位相差発現性は要求されないため、上述したようなリターデーション値の厳密な制御は不要である。ただし、フィルムが発現する上述した作用効果は同様に得られるため、かような形態もまた、本発明の好ましい一実施形態である。
また、例えば立体(3D)液晶表示装置に用いられる偏光板への適用を考えた場合には、上述した形態の偏光板において、例えば、偏光子に対して本発明に係る位相差フィルム(偏光板保護フィルムとしての機能も有する)とは反対側(視認側)の面に位置する保護フィルムに代えて、位相差フィルム(λ/4フィルム)を配置することができる。
かような形態によれば、立体(3D)画像観賞時に首を傾けた際のクロストークや輝度低下、色味変化などを低減でき、使用環境に対して優れた視認性を保つことが可能で、使用環境に対してより耐久性が高い立体(3D)液晶表示装置とすることができる。
この際、保護フィルムに代えて配置されうる位相差フィルムについて特に制限はなく、例えば、従来公知の位相差フィルムが用いられうる。かような従来公知の位相差フィルムとしては、例えば、シクロオレフィン樹脂からなるものや、ディスコティック液晶や棒状ネマチック液晶からなる液晶ポリマーを傾斜配向させてなるもの、ポリカーボネートからなるものなどが挙げられる。もちろん、本発明に係る位相差フィルムを、上述した保護フィルムに代えて配置してもよい。ここで、液晶ポリマーを傾斜配向させてなる位相差フィルムについては、位相差フィルムを形成するのに、支持体として機能する層(支持体層)と、その上に形成された配向膜との積層体を別途準備し、その上にさらに液晶ポリマーを塗布することで、位相差フィルムとすることが必要となる。このため、液晶ポリマーからなる位相差フィルムを偏光子の一方の側に配置する形態においては、当該位相差フィルムの少なくとも一方の面に上記支持体層と配向膜との積層体に由来する層も併せて存在することになる。したがって、液晶表示装置の薄膜化という観点から見れば、この形態は必ずしも好ましくない場合があるといえる。ただし、液晶ポリマーの直接加工が可能であれば、そのような形態が採用されてもよい。
なお、これらの形態のいずれにおいても上記と同様に、反射防止(アンチリフレクション(AR))、防眩(アンチグレア(AG))、耐キズ(ハードコート(HC))、低反射(ローリフレクション(LR))、ゴミ付着防止、輝度向上、帯電防止、防汚、バックコートのためにディスプレイとしての公知の機能層を構成物として含むフィルムを、視認側の保護フィルムに代えて配置された位相差フィルムの上にさらに積層してもよい。ただし、上述したシクロオレフィン樹脂からなる位相差フィルムや、ディスコティック液晶や棒状ネマチック液晶からなる液晶ポリマーを傾斜配向させてなる位相差フィルムの上にこれらの機能層を直接配置することは接着性の観点から困難である。したがって、これらの位相差フィルムの上に機能層を設ける場合には、例えばセルロースエステルを含むハードコート層を接着層として位相差フィルムの上に塗布した後に、当該機能層を積層することが好ましい。一方、本発明に係る位相差フィルムを視認側の保護フィルムに代えて配置する場合には、その優れた偏光子との接着性に由来して、かような中間層(接着層)の配置を省略することができるため、好ましい。ただし、場合によっては、セルロースアシレートを含むハードコート層を接着層として設けても、もちろんよい。
以上、本発明に係る位相差フィルムの使用形態について詳細に説明したが、その他の用途にも用いられうる。例えば、本発明に係る位相差フィルムは、輝度向上フィルムとしても用いられうる。本発明に係る位相差フィルムが輝度向上フィルムとして用いられる層構成としては、偏光子の一方の面に本発明に係る位相差フィルムを配置し、他方の面に、偏光板の保護フィルムとして従来公知のセルロースエステルフィルム(例えば、セルロースアセテートからなる、位相差がないかまたは小さいもの)を配置し、さらに、上記本発明に係る位相差フィルムの偏光子とは反対側の面に、コレステリック液晶からなる層を配置するという形態が例示される。
(有機EL表示装置)
本発明に係る位相差フィルムは、有機EL表示装置に配置される反射防止フィルムの用途にも用いられうる。この場合、位相差フィルムのRoは、
を満足することが好ましい。このように高い面内リターデーション(Ro)を有する位相差フィルムは、円偏光板(λ/4板)として機能することができる。ここで、円偏光板(λ/4板)とはある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する位相差板をいう。円偏光板(λ/4板)は、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、層の面内リターデーション(Ro)が約1/4となるように設計されている。
本発明に係る位相差フィルムが円偏光板(λ/4板)の機能を有する場合、フィルムの長手方向に対する遅相軸の角度(θ2)が「実質的に45°」であると、円偏光板(λ/4板)としての機能を有する本発明に係る位相差フィルムが生産性よく製造可能である。
換言すれば、上述したθ2は「実質的に45°」であることが好ましく、ここで「実質的に45°」とは、40〜50°であることを意味する。より詳細には、フィルムの長手方向に対する遅相軸の角度(θ2)は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることがさらに好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
このように、フィルムの長手方向に対する遅相軸の角度(θ2)が実質的に45°である位相差フィルムは、例えば、斜め延伸処理を採用することにより製造されうる(後述する実施例および図1を参照)。具体的には、例えば、テンターを用い縦横方向に左右異なる速度の送り力で延伸することにより、配向軸に傾斜角度をつける方法が用いられうる。(例えば、特開平3−182701号公報、特開2000−9912号公報、特開平1−237601号公報、特開2003−342384号公報、特開2008−110573号公報、特開2002−86554号公報、特開2011−11434号公報などを参照)。また、特許4270429号公報に記載されているような、経路差により配向軸に傾斜角度を付ける手法を用いてもよい。)
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
≪セルロースアシレートの物性評価方法≫
(アシル基置換度)
セルロースアシレートのアシル基置換度は、ASTM−D817−96に準拠して測定した。
(アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅)
アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅は、以下の条件で、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析を行い、溶出曲線のピークから溶出時間単位の値として求めた。なお、試料溶液については、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過した後にHPLC分析した。一方、溶出時間とアシル基置換度との関係を求めておき、1次関数近似により、溶出時間単位の半値幅をアシル基置換度単位の半値幅へと換算した。
装置:Agilent LC1100(Agilent Technologies社製)
使用カラム:Novapak phenyl(Waters) 3.9mmφ×150mm
溶離液:CHCl/メタノール(MeOH)(9/1,v/v):MeOH/HO(8/1,v/v)=20/80→28min→CHCl/MeOH(9/1,v/v)=100
流速:0.7ml/min
カラムオープン:30℃
検出器:ELSD(エバポレイティブ光散乱検出器)ELS・1000(PL)
エバポ温度:75℃ ネプライザ温度:60℃ ガス流量:N、0.7SLM(Standard liter/min., latm, 0℃)
試料:CHCl/MeOH(9/1,v/v)溶液、0.1w/v%
繰り返し分析:n=2
注入量:20μl
(組成分布における半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合)
上記で行ったHPLC分析による溶出曲線から、上記で特定した半値幅に含まれるピーク面積比として、半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合を求めた。
≪位相差フィルムの物性評価方法≫
(Ro(546)およびRth(546))
得られた位相差フィルムから試料35mm×35mmを切り出し、25℃、55%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器社製)で、546nmにおける垂直方向から測定した値とフィルム面を傾けながら同様に測定したリターデション値の外挿値から以下の式より算出した。
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸
方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
(内部ヘイズ)
得られた位相差フィルムの内部ヘイズの測定は、特開2009-286931に記載の方法で測定した。フィルム試料1枚で、測定機器は日本電色工業株式会社製NDH2000を用い、JIS−K7136に準拠して行った。
≪セルロースアシレートの製造例≫
(製造例1:CE−1の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤として無水酢酸を3.0当量加えて、窒素雰囲気下60℃で0.50時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテート(CE−1)を析出させた。析出したCE−1を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−1について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例2:CE−2の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤として無水酢酸を3.0当量加えて、窒素雰囲気下80℃で0.50時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテート(CE−2)を析出させた。析出したCE−2を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−2について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。

(製造例3:CE−3の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤として無水酢酸を3.6当量加えて、窒素雰囲気下40℃で2時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテート(CE−3)を析出させた。析出したCE−3を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−3について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例4:CE−4の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤として無水酢酸を3.6当量加えて、窒素雰囲気下80℃で1.5時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテート(CE−4)を析出させた。析出したCE−4を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−4について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例5:CE−5の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤として無水酢酸を3.6当量加えて、窒素雰囲気下60℃で2時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテート(CE−5)を析出させた。析出したCE−5を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−5について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例6:CE−6の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤として無水酢酸を3.6当量加えて、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテート(CE−6)を析出させた。析出したCE−6を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−6について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例7:CE−7の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で0.5時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤1として無水プロピオン酸を1.8当量加えて、窒素雰囲気下80℃で0.25時間撹拌した後、アシル化剤2として無水酢酸を1.8当量加えて、窒素雰囲気下80℃で0.25時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテートプロピオネート(CE−7)を析出させた。析出したCE−7を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−7について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例8:CE−8の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下40℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤1として無水プロピオン酸を1.8当量加えて、窒素雰囲気下40℃で1時間撹拌した後、アシル化剤2として無水酢酸を1.8当量加えて、窒素雰囲気下40℃で1時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテートプロピオネート(CE−8)を析出させた。析出した(CE−8)を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−8について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例9:CE−9の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤1として無水プロピオン酸を1.5当量加えて、窒素雰囲気下80℃で1時間撹拌した後、アシル化剤2として無水酢酸を1.1当量加えて、窒素雰囲気下80℃で1時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテートプロピオネート(CE−9)を析出させた。析出したCE−9を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−9について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例10:CE−10の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤1として無水酪酸を1.6当量加えて、窒素雰囲気下80℃で1時間撹拌した後、アシル化剤2として無水酢酸を1.9当量加えて、窒素雰囲気下80℃で1時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテートブチレート(CE−10)を析出させた。析出したCE−10を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−10について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(製造例11:CE−11の製造)
90℃で12時間真空乾燥したイオン液体(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、アルドリッチ社製)100重量部へ、90℃で12時間真空乾燥したセルロース(日本製紙社製溶解パルプ、重合度約750、約3mm角シート状)5重量部を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌してイオン液体へセルロースを溶解させた。アシル化剤1として無水プロピオン酸を1.8当量加えて、窒素雰囲気下80℃で1時間撹拌した後、アシル化剤2として無水酢酸を1.8当量加えて、窒素雰囲気下40℃で1時間撹拌した。その後、反応液を水1500重量部に投入し、セルロースアセテートプロピオネート(CE−11)を析出させた。析出した(CE−11)を濾別し、水100重量部を用いた水洗および濾別を3回繰り返した後、80℃で4時間真空乾燥した。
得られたCE−11について、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
(CE−12の準備) 市販のセルロースアセテートプロピオネートを購入したものを、CE−12として用いた。このCE−12についても、アシル基置換度、アシル基置換度の組成分布におけるピークの半値幅、および前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合をそれぞれ測定した。結果を下記の表1に示す。
≪位相差フィルムの作製例≫
(リターデーション調整剤の構造)
以下の位相差フィルムの作製例において、リターデーション調整剤として用いた化合物は、以下のとおりである。
(位相差フィルム101の作製)
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。さらに、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクに溶剤としてメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクに上記で製造したCE−1を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアシレート(CE−1) 100質量部
糖エステル化合物(FA−6) 10質量部
リターデーション調整剤(化合物a) 4質量部
微粒子添加液1 1質量部
以上を密閉されている主溶解釜に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したフィルムを、170℃の熱をかけながらテンターを用いて幅方向に46%延伸して、フィルム幅を2.45mとした。なお、延伸開始時の残留溶媒は15%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。
以上のようにして、乾燥後のフィルム膜厚35μmの位相差フィルム101を得た。得られた位相差フィルムについて、RoおよびRth、並びに、内部ヘイズをそれぞれ測定した。結果を下記の表2に示す。
(位相差フィルム102〜115の作製)
セルロースアシレートの種類、糖エステル化合物の種類および添加量、リターデーション調整剤の種類および添加量、延伸倍率、延伸後のフィルム幅、乾燥後のフィルム膜厚を下記の表2に示すように変更したこと以外は、上述した位相差フィルム101の製造と同様の手法により、位相差フィルム102〜115をそれぞれ製造した。
得られたそれぞれの位相差フィルムについて、RoおよびRth、並びに、内部ヘイズをそれぞれ測定した。結果を下記の表2に示す。
表2に示すように、本発明によれば、内部ヘイズが小さく透過性の高い位相差フィルムが提供されうることがわかる。
(位相差フィルム201の作製)
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。さらに、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクに溶剤としてメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクに上記で製造したCE−1を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアシレート(CE−1) 100質量部
糖エステル化合物(FA−2) 10質量部
リターデーション調整剤(化合物c) 8質量部
微粒子添加液1 1質量部
以上を密閉されている主溶解釜に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力110N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムを、160℃の熱をかけながらテンターを用いて幅方向に5%延伸した。なお、延伸開始時の残留溶媒は15%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後巻き取った。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。
ロール状の長尺フィルム原反1を、図1に示すスライド可能な繰出装置にセットし、角度θi=47°となるようにレールパターンが設定された斜め延伸テンターに供給した。なお、このときの斜め延伸テンターのゾーン組み合わせとしては、予熱ゾーン、横延伸ゾーン、斜め延伸ゾーン、保持ゾーン、冷却ゾーンを有する組み合わせとした。そのとき、斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロールの主軸と斜め延伸テンターの把持具(クリップつかみ部)との距離を80cmとした。クリップは搬送方向の長さが2インチのものを、上記ガイドロールは直径10cmのものを使用した。斜め延伸テンター内にて、予熱ゾーンの温度を180℃、横延伸ゾーンの温度を177℃、斜め延伸ゾーンの温度を177℃、保持ゾーンの温度を177℃、冷却ゾーンの温度を110℃とした。またテンター出口における引取張力200N/mとした。
このときの延伸倍率は、1.95倍となるように延伸を行った。このときの延伸倍率Rの内訳として横延伸ゾーンにて1.3倍、さらに斜め延伸ゾーンにおいて1.5倍となるように延伸を行った。
なお、この際、配向角θは45°となるように斜め方向に延伸を行った。延伸後のフィルムは、斜め延伸テンター出口側第一ロールで測定した張力の変動を引取モーター回転数に反映させるフィードバック制御を行って、引取張力の変動が3%未満となるように制御した。その後、フィルム両端をトリミングして、エアーフローロールからなる搬送方向変更装置で搬送方向を変更し、スライド可能な巻取装置で巻き取り、フィルム幅2000mm、乾燥後のフィルム膜厚40μmの位相差フィルム201を得た。得られた位相差フィルムについて、RoおよびRth、並びに、内部ヘイズをそれぞれ測定した。結果を下記の表3に示す。
(位相差フィルム202、204〜214の作製)
セルロースアシレートの種類、糖エステル化合物の種類および添加量、リターデーション調整剤の種類および添加量、延伸倍率、乾燥後のフィルム膜厚を下記の表3に示すように変更したこと以外は、上述した位相差フィルム201の製造と同様の手法により、位相差フィルム202、204〜214をそれぞれ製造した。
得られたそれぞれの位相差フィルムについて、RoおよびRth、並びに、内部ヘイズをそれぞれ測定した。結果を下記の表3に示す。
(位相差フィルム203の作製)
セルロースアシレートの種類、糖エステル化合物の種類および添加量、リターデーション調整剤の種類および添加量、乾燥後のフィルム膜厚を下記の表3に示すように変更し、かつ、斜め延伸ではなくMD方向に延伸倍率45%で延伸したこと以外は、上述した位相差フィルム201の製造と同様の手法により、位相差フィルム203を製造した。
得られた位相差フィルム203について、RoおよびRth、並びに、内部ヘイズをそれぞれ測定した。結果を下記の表3に示す。
表3に示すように、本発明によれば、内部ヘイズが小さく透過性の高い位相差フィルムが提供されうることがわかる。
≪偏光板の作製例≫
(偏光板101〜115の作製)
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と、上記で製造した位相差フィルム101〜115と、裏面側にはコニカミノルタタックKC4UA(コニカミノルタオプト株式会社製セルロースエステルフィルム、厚さ40μm)を貼り合わせて偏光板101〜115を作製した。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側をケン化した位相差フィルム101〜115とコニカミノルタタックKC4UAを得た。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した位相差フィルム101〜115の上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した位相差フィルム101〜115と偏光子と裏面側コニカミノルタタックKC4UAを圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子と位相差フィルム101〜115とコニカミノルタタックKC4UAとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、それぞれ、位相差フィルム101〜115に対応する偏光板101〜115を作製した。
(偏光板201〜214の作製)
上記で製造した位相差フィルムとコニカミノルタタックKC4UAとで偏光子を挟持する構成に代えて、上記で製造した位相差フィルム201〜214のそれぞれを各2枚用いて偏光子を挟持する構成としたこと以外は、上記と同様の手法により、位相差フィルム201〜214に対応する偏光板201〜214を作製した。
≪液晶表示装置としての評価≫
(液晶表示装置の作製)
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。なお、表示装置の構成および評価結果を下記の表4に示す。
SONY製40型ディスプレイBRAVIA X1の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記で製造した位相差フィルム101〜115のいずれかを、それぞれ液晶セルのガラス面の両面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、位相差フィルム101〜115の面が、液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、それぞれ、偏光板101〜115に対応する液晶表示装置301〜315を各々作製した。
(正面コントラストムラの評価)
上記で作製した液晶表示装置について、正面コントラストを測定した。具体的には、60℃80%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを1週間連続点灯した後、25℃60%RHの室内で2時間放置し測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶表示装置で白表示と黒表示の表示画面の法線方向からの輝度を測定し、その比(下記式により算出)を正面コントラストとした。
液晶表示装置の任意の5点の正面コントラストを測定し、以下の基準にて評価した。
◎:正面コントラストが0〜5%未満のばらつきであり、ムラが小さい
○:正面コントラストが5〜10%未満のばらつきであり、ムラがややある
△:正面コントラストが10〜20%未満のばらつきであり、ムラがやや大きい
×:正面コントラストが20%以上のばらつきであり、ムラがそうとう大きい
(視野角特性の評価)
上記で作製した各液晶表示装置について、視野角特性を評価した。具体的には、23℃95%RHの環境で、各々の液晶表示装置を48時間保存した。保存後の液晶表示装置について、23℃55%RHの環境下でバックライトを1時間連続点灯させた後、表示画面の法線方向に対して60°斜め方向のコントラストを測定した。この際、60°斜め方向のコントラストの測定は以下の手順で行い、下記式により60°斜め方向のコントラストを算出した。
i)液晶表示装置を白表示させたときの表示画面の60°斜め方向の輝度(表示画面の法線方向に対して60°の角度で測定される輝度)を、ELDIM社製 EZ−Contrast160Dにより測定した。同様にして、液晶表示装置を黒表示させたときの表示画面の60°斜め方向の輝度を測定した。
ii)黒表示させたときの表示画面の60°斜め方向の輝度に対する、白表示させたときの表示画面の60°斜め方向の輝度の比を「60°斜め方向のコントラスト」とした。
60°斜め方向のコントラストに基づく視野角特性は、以下の基準にて評価した。
◎:60°斜め方向のコントラストが100以上
○:60°斜め方向のコントラストが90以上100未満
△:60°斜め方向のコントラストが80以上90未満
×:60°斜め方向のコントラストが80未満
表4に示すように、本発明により提供される位相差フィルムを偏光板保護フィルムの機能も備えた視野角拡大(光学補償)フィルムとして液晶表示装置に用いた場合には、正面コントラストムラ、視野角特性のいずれの特性にも優れた液晶表示装置が実現可能であることがわかる。
≪有機EL表示装置の作製≫
Samsung社製galaxy-sのタッチパネルおよび偏光板を取り除き、上記で作製した偏光板201〜214のいずれかを貼合して、対応する有機EL表示装置401〜414を作製した。
得られた有機EL表示装置401〜414について、上記と同様の手法により、正面コントラストムラ、および視野角特性を評価した。結果を下記の表5に示す。
表5に示すように、本発明により提供される位相差フィルムを有機EL表示装置の反射防止フィルムとして用いた場合にも、正面コントラストムラ、視野角特性のいずれの特性にも優れた有機EL表示装置が実現可能であることがわかる。
4 長尺フィルム原反、
5 長尺延伸フィルム、
6 斜め延伸テンター、
7−1 外側のフィルム把持手段の軌跡、
7−2 内側のフィルム把持手段の軌跡、
8−1 外側のフィルム把持開始点、
8−2 内側のフィルム把持開始点、
9−1 外側のフィルム把持終了点、
9−2 内側のフィルム把持終了点、
10−1 外側斜め延伸開始点、
10−2 内側斜め延伸開始点、
11−1 外側斜め延伸終了点、
11−2 内側斜め延伸終了点、
12−1 テンター入口側のガイドロール、
12−2 テンター出口側のガイドロール、
13 フィルムの延伸方向、
14−1 斜め延伸前のフィルムの搬送方向、
14−2 斜め延伸後のフィルムの搬送方向、
斜め延伸前のフィルム幅手長さ、
W 斜め延伸後のフィルム幅手長さ。

Claims (9)

  1. セルロースアシレートを含む位相差フィルムであって、
    前記セルロースアシレートのアシル基置換度が1.9〜2.5であり、前記アシル基置換度のHPLCで測定した組成分布におけるピークの半値幅が置換度単位で0.15以下であり、前記組成分布における前記半値幅に含まれるセルロースアシレートの割合が65%以上である、位相差フィルム。
  2. 下記一般式(I):
    式中、Qは、単糖類または二糖類の残基を表し、Rは、脂肪族基または芳香族基を表し、mは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している水酸基の数の合計であり、lは、単糖類または二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計であり、3≦m+l≦8であり、l≠0である、
    で表される糖エステル化合物を含む、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 下記数式(1)および下記数式(2):
    (式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、nzはフィルム厚み方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚み(nm)を表す;屈折率は25℃、55%RHの環境下、波長590nmで測定)
    でそれぞれ表されるRoおよびRthが、
    を満足する、請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  4. 下記数式(1):
    式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚み(nm)を表す;屈折率は25℃、55%RHの環境下、波長590nmで測定)
    で表されるRoが、
    を満足する、請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  5. イオン液体の存在下でセルロースをアシル化剤と反応させて、アシル基置換度が1.9〜2.5であるセルロースアシレートを得る工程と、
    前記セルロースアシレートを含むドープを支持体上に流涎して得られるフィルムを乾燥し、剥離した後に、延伸倍率1.1倍以上で少なくとも幅方向に延伸して、フィルム幅1.8〜2.5mの位相差フィルムを得る工程と、
    を含む、位相差フィルムの製造方法。
  6. イオン液体の存在下でセルロースをアシル化剤と反応させて、アシル基置換度が1.9〜2.5であるセルロースアシレートを得る工程と、
    前記セルロースアシレートを含むドープを支持体上に流涎して得られるフィルムを乾燥し、剥離した後に、斜め延伸を行って、位相差フィルムを得る工程と、
    を含む、位相差フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルムまたは請求項5または6に記載の製造方法により製造された位相差フィルムと、偏光子の少なくとも一方の表面とが貼合されてなる、偏光板。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルムまたは請求項5に記載の製造方法により製造された位相差フィルムと、偏光子の少なくとも一方の表面とが貼合されてなる偏光板を備えた液晶表示装置。
  9. 請求項1、2または4に記載の位相差フィルムまたは請求項6に記載の製造方法により製造された位相差フィルムと、偏光子の少なくとも一方の表面とが貼合されてなる偏光板を備えた有機EL表示装置。
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