JP2003201301A - セルロースアセテートのアセチル置換度の調整方法 - Google Patents

セルロースアセテートのアセチル置換度の調整方法

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JP2003201301A JP2002070022A JP2002070022A JP2003201301A JP 2003201301 A JP2003201301 A JP 2003201301A JP 2002070022 A JP2002070022 A JP 2002070022A JP 2002070022 A JP2002070022 A JP 2002070022A JP 2003201301 A JP2003201301 A JP 2003201301A
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Yuichiro Shudo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロースアセテートの分子間アセチル
置換度および分子内(グルコース単位内)アセチル置換
度を適切に調節する。 【解決手段】 アセチル基供与体および触媒の存在下で
セルロースアセテートを熟成する際に、水またはアルコ
ールの存在量をアセチル供与体の0.1乃至10モル%
に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースアセテ
ートを熟成することにより、セルロースアセテート分子
間またはセルロースアセテート分子内のアセチル置換度
を調整する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテート、特にアセチル置
換度が2.6以上であるセルロースアセテート(一般に
セルローストリアセテートに分類されるもの)は、その
強靭性と難燃性から様々な分野で使用されている。セル
ロースアセテートフイルムは、代表的な写真感光材料の
支持体である。また、セルロースアセテートフイルム
は、その光学的等方性から、近年市場の拡大している液
晶表示装置にも用いられている。液晶表示装置における
具体的な用途しては、偏光板保護膜、位相差フイルムお
よびカラーフィルターが代表的である。セルロースアセ
テートフイルムは、一般にソルベントキャスト法により
製造する。ソルベントキャスト法では、セルロースアセ
テートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に
流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。
【0003】セルロースアセテートフイルムのようなセ
ルロースアセテート製品をソルベントキャスト法で製造
する場合、セルロースアセテートのアセチル置換度、セ
ルロースアセテートの溶媒への溶解性およびセルロース
アセテート製品の物性(光学的性質を含む)の関係が非
常に重要である。従来から、セルロースアセテートのア
セチル置換度が高い場合は溶媒への溶解性が低く製品の
物性が良好であり、置換度が低い場合は溶解性が高く物
性が不良であるとの関係が一般的な原則として知られて
いる。セルロースアセテートの溶媒としては、従来から
ジクロロメタンが使用されている。セルロースアセテー
トは、ジクロロメタンに非常に良く溶解する。従って、
従来では特別な場合を除き、高置換度のセルローストリ
アセテートをジクロロメタンに溶解した溶液で、ソルベ
ントキャスト法により良好な物性の製品を製造してい
た。すなわち、ジクロロメタンを溶媒として使用する場
合、高置換度セルローストリアセテートの溶解性の低さ
は、問題点として顕在化していなかった。
【0004】ところが、ジクロロメタンのようなハロゲ
ン化炭化水素は、近年、地球環境保護の観点から、その
使用が著しく制限される方向にある。また、ジクロロメ
タンは、低沸点(41℃)であるため、製造工程におい
て揮散しやすい。このため、作業環境においても問題が
ある。これらの問題を解決するため、密閉された環境で
作業が行われている。特開平9−95544号、同9−
95557号および同9−95538号の各公報は、セ
ルロースアセテートと有機溶媒の混合物を冷却し、さら
に加温することによって、有機溶媒中にセルロースアセ
テートを溶解してセルロースアセテート溶液を調製する
方法を提案している。この冷却工程と加温工程を有する
方法(以下、冷却溶解法と称する)によると、従来の方
法では溶解することができなかった、セルロースアセテ
ートと有機溶媒の組み合わせであっても、溶液を調製す
ることができる。冷却溶解法は、溶解性が低い(アセチ
ル置換度が2.6以上の)セルローストリアセテートか
ら製品を製造する場合に特に有効である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】冷却溶解法により、ジ
クロロメタンのようなハロゲン化炭化水素を使用しなく
ても、溶解性が低い(アセチル置換度が2.6以上の)
セルローストリアセテートからソルベントキャスト法に
より製品を製造することが可能になった。しかし、冷却
溶解法を用いても、アセチル置換度が高いセルロースア
セテートは、有機溶媒への溶解性が低い。また、アセチ
ル置換度が高いセルロースアセテートを有機溶媒に溶解
して溶液を製造しても、溶液の安定性に問題がある場合
が多い。
【0006】本発明の目的は、アセチル置換度が比較的
高いセルロースアセテートの溶解性を改善することであ
る。本発明の別の目的は、2位、3位および6位のアセ
チル置換度の関係が適切に調節されたセルロースアセテ
ートを提供することである。本発明のまた別の目的は、
溶解性と粘度との調節が容易なセルロースアセテート溶
液を提供することである。本発明のさらに別の目的は、
適切な物性および光学的性質を有するセルロースアセテ
ートフイルムを提供することである。本発明のさらにま
た別の目的は、アセチル置換度が比較的高いセルロース
アセテートの溶液を用いて、物性が良好なセルロースア
セテートフイルムを製造することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(6)のセルロースアセテートのアセチル置換
度の調整方法、下記(7)、(8)のセルロースアセテ
ートの製造方法、下記(9)〜(20)のセルロースア
セテート、下記(21)、(22)のセルロースアセテ
ート溶液、下記(23)のセルロースアセテートフイル
ムの製造方法、および下記(24)、(25)のセルロ
ースアセテートフイルムにより達成された。
【0008】(1)セルロースアセテートを、触媒、ア
セチル供与体、および水またはアルコールの存在下、か
つ水およびアルコールの量がアセチル供与体の0.1乃
至10モル%の条件下で熟成することにより、分子間ま
たは分子内のアセチル置換度を調整することを特徴とす
るセルロースアセテートのアセチル置換度の調整方法。 (2)アセチル供与体が、酢酸または酢酸エステルであ
る(1)に記載のアセチル置換度の調整方法。 (3)触媒が、酸または金属イオンである(1)に記載
のアセチル置換度の調整方法。 (4)触媒が酸であって、熟成中、酸触媒の存在量が、
アセチル供与体の0.1乃至10モル%の範囲である
(3)に記載のアセチル置換度の調整方法。 (5)熟成温度が、20乃至125℃である(1)に記
載のアセチル置換度の調整方法。 (6)熟成時間が10分乃至10時間である(1)に記
載のアセチル置換度の調整方法。
【0009】(7)セルロースを溶媒中で酸触媒の存在
下、酢酸または無水酢酸と反応させてセルロースアセテ
ートを合成する工程、そして、合成したセルロースアセ
テートを、残存する酸触媒、アセチル供与体、および水
またはアルコールの存在下、かつ水およびアルコールの
量がアセチル供与体の0.1乃至10モル%の条件下で
熟成する工程からなるセルロースアセテートの製造方
法。 (8)セルロースを溶媒中で酸触媒の存在下、酢酸また
は無水酢酸と反応させてセルロースアセテートを合成す
る工程、酸触媒を中和して反応を停止する工程、そし
て、合成したセルロースアセテートを、触媒、アセチル
供与体、および水またはアルコールの存在下、かつ水お
よびアルコールの量がアセチル供与体の0.1乃至10
モル%の条件下で熟成する工程からなるセルロースアセ
テートの製造方法。
【0010】(9)アセチル置換度が2.636乃至
2.958であるセルロースアセテートであって、分子
間置換度分布曲線の最大ピークが0.080未満の半値
幅(単位は相当する置換度差)を有することを特徴とす
るセルロースアセテート。 (10)分子間置換度分布曲線の最大ピークが下記式で
定義されるYよりも小さい値の半値幅を有する(9)に
記載のセルロースアセテート: Y=−0.1788X+0.5788 [式中、Xは、セルロースアセテートのアセチル置換度
である]。
【0011】(11)アセチル置換度が2.636乃至
2.958であるセルロースアセテートであって、分子
間置換度分布曲線の最大ピークが下記式で定義されるY
よりも小さい値の半値幅を有することを特徴とするセル
ロースアセテート: Y=−0.1788X+0.5788 [式中、Xは、セルロースアセテートのアセチル置換度
である]。 (12)3450乃至3550cm-1の波数に赤外線吸
収スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の半値幅
が135cm-1以下であることを特徴とするセルロース
アセテート。
【0012】(13)2位、3位および6位のアセチル
置換度が、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴
とするセルロースアセテート: (I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70 (II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70 (III) 2DS+3DS>1.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。 (14)2位、3位および6位のアセチル置換度が、さ
らに下記式(VI)を満足する(13)に記載のセルロー
スアセテート: (VI) 2DS+3DS−6DS<1 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。
【0013】(15)2位および3位のアセチル置換度
が、さらに下記式(VII)を満足する(13)に記載のセ
ルロースアセテート: (VII) 2DS+3DS>1.82 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;そし
て、3DSは、3位のアセチル置換度である]。 (16)2位および3位のアセチル置換度が、さらに下
記式(VIII)を満足する(15)に記載のセルロースアセ
テート: (VIII) 2DS+3DS>1.84 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;そし
て、3DSは、3位のアセチル置換度である]。
【0014】(17)2位、3位および6位のアセチル
置換度が、下記式(III)〜(V)を満足することを特徴
とするセルロースアセテート: (III) 2DS+3DS>1.80 (IV) 3DS<2DS (V) 6DS>0.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。 (18)6位のアセチル置換度が、さらに下記式(IX)
を満足する(17)に記載のセルロースアセテート: (IX) 6DS<0.98 [式中、6DSは、6位のアセチル置換度である]。
【0015】(19)2位および3位のアセチル置換度
が、さらに下記式(VII)を満足する(17)に記載のセ
ルロースアセテート: (VII) 2DS+3DS>1.82 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;そし
て、3DSは、3位のアセチル置換度である]。 (20)2位および3位のアセチル置換度が、さらに下
記式(VIII)を満足する(19)に記載のセルロースアセ
テート: (VIII) 2DS+3DS>1.84 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;そし
て、3DSは、3位のアセチル置換度である]。
【0016】(21)上記(9)〜(20)のいずれか
一つに記載のセルロースアセテートが有機溶媒中に溶解
しているセルロースアセテート溶液。 (22)有機溶媒が、実質的にハロゲン化炭化水素を含
まない(21)に記載のセルロースアセテート溶液。
【0017】(23)上記(9)〜(20)のいずれか
一つに記載のセルロースアセテートを有機溶媒で膨潤さ
せる工程;得られた膨潤混合物を、−100乃至−10
℃に冷却する工程;冷却した混合物を0乃至200℃に
加温して、セルロースアセテートの有機溶媒溶液を得る
工程;そして、得られた有機溶媒溶液を支持体上に塗布
して、セルロースアセテートフイルムを形成する工程か
らなるセルロースアセテートフイルムの製造方法。
【0018】(24)上記(9)〜(20)のいずれか
一つに記載のセルロースアセテートからなるセルロース
アセテートフイルム。 (25)3450乃至3550cm-1の波数にセルロー
スアセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルの吸収
極大を有し、その極大吸収の半値幅が135cm-1以下
であることを特徴とするセルロースアセテートフイル
ム。
【0019】
【発明の効果】本発明者の研究の結果、アセチル供与体
および触媒の存在下でセルローストリアセテートを熟成
する際に、水およびアルコールの存在量をアセチル供与
体の0.1乃至10モル%に調整すると、セルロースト
リアセテートのアセチル置換度が均一になることが判明
した。アセチル置換度が低いセルロースジアセテートに
ついては、逆相HPLCを用いた分子間置換度分布の評
価方法が、T.R.Floyd (J.Chromatogr.,629,243(1993)
)および川井(高分子論文集、Vol.54,No.9,526(1997)
)により報告されている。しかし、アセチル置換度が
高いセルローストリアセテートについては、特に報告が
ない。本発明者が、アセチル置換度が均一なセルロース
アセテートについて、さらに研究を進めたところ、アセ
チル置換度が均一であると、置換度が比較的高い値
(2.636〜2.958)のセルローストリアセテー
トであっても、溶解性が良好であることが判明した。す
なわち、アセチル置換度を均一にすることによって、ア
セチル置換度が高いセルローストリアセテートの溶液を
用いて、物性が良好なセルローストリアセテート製品を
製造することができる。
【0020】さらに、本発明者が研究を進めたところ、
セルロースアセテートを熟成する際に、水およびアルコ
ールの存在量をアセチル供与体の0.1乃至10モル%
に調整すると、分子間のみならず、分子内の2位、3位
および6位のアセチル置換度も、容易かつ適切に調整で
きることが判明した。2位、3位および6位のアセチル
置換度について、有効な調節手段が得られたため、前記
式(I)〜(III)を満足するような2位および3位のア
セチル置換度の合計と6位のアセチル置換度との関係が
適切なセルロースアセテートや、前記式(III)〜(V)
を満足するような2位、3位および6位のアセチル置換
度の関係が適切なセルロースアセテートを得ることが可
能になった。このように2位、3位および6位のアセチ
ル置換度が適切に調整されたセルロースアセテートを用
いると、溶解性と粘度との調節が容易なセルロースアセ
テート溶液を容易に調製することができる。また、本発
明により、適切な物性および光学的性質を有するセルロ
ースアセテートフイルムも、容易に製造することが可能
になった。
【0021】さらにまた、本発明者の研究を進めた結
果、良好な溶解性を有するセルロースアセテートは、特
有の赤外線吸収スペクトルを示すことが判明した。すな
わち、3450乃至3550cm-1の波数にセルロース
アセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルの吸収極
大を有し、その極大吸収の半値幅が135cm-1以下で
あるセルロースアセテートを使用すると、セルロースア
セテートが良好に溶解している溶液が得られる。そのセ
ルロースアセテート溶液を使用することで、適切な物性
および光学的性質を有するセルロースアセテートフイル
ムを製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】[セルロースアセテートの製造]
セルロースアセテート原料のセルロースとしては、綿花
リンターや木材パルプを用いることができる。原料セル
ロースを混合して使用してもよい。セルロースアセテー
トは、セルロースを溶媒中で触媒の存在下、酢酸または
無水酢酸と反応させてを合成する。溶媒として酢酸、触
媒として硫酸、そして、アセチル供与体として無水酢酸
を使用することが普通である。
【0023】セルロースアセテートの合成方法の基本的
な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出
版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法
は、無水酢酸(アセチル供与体)−酢酸(溶媒)−硫酸
(触媒)による液相酢化法である。具体的には、木材パ
ルプのようなセルロース原料を適当量の酢酸で前処理し
た後、予め冷却した酢化混液に投入して酢酸エステル化
し、セルロースアセテートを合成する。上記酢化混液
は、一般に、溶媒としての酢酸、アセチル供与体(エス
テル化剤)としての無水酢酸および触媒としての硫酸を
含む。無水酢酸は、これと反応するセルロースおよび系
内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で
使用することが普通である。酢化反応終了後に、系内に
残存している過剰の無水酢酸の加水分解およびエステル
化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、ナトリ
ウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、アル
ミニウム、亜鉛またはアンモニウムの炭酸塩、酢酸塩ま
たは酸化物)の水溶液を添加する。
【0024】従来の方法では、得られたセルロースアセ
テートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫
酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより、ケン
化熟成し、所望のアセチル置換度および重合度を有する
セルロースアセテートまで変化させている。そして、所
望のセルロースアセテートが得られた時点で、系内に残
存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中
和するか、あるいは、中和することなく、水または希酢
酸中にセルロースアセテート溶液を投入(あるいは、セ
ルロースアセテート溶液中に、水または希酢酸を投入)
してセルロースアセテートを分離し、洗浄および安定化
処理によりセルロースアセテートを得ていた。特開平1
1−5851号公報には、アセチル化反応において少な
い硫酸量を選択することにより6位置換度が比較的高い
セルロースアセテートが得られる旨が開示されている。
しかし、そのような低硫酸条件において製造したセルロ
ースアセテートは、溶液において白濁を生じたり、溶解
性が良好ではないとの問題が生じる場合がある。アセチ
ル化の反応は、固相であるセルロース原料がアセチル化
を受けて少しずつ溶解しながら進行する。低硫酸条件下
での反応では、先に溶解したセルロースと後で溶解した
セルロースとで反応速度に違いが生じ、その結果、アセ
チル置換度が不均質なセルロースアセテートが製造され
たと考えることができる。
【0025】本発明者の研究の結果、セルロースアセテ
ートを、アセチル供与体、アセチル供与体の0.1乃至
10モル%(0.1モル%以上、10モル%未満)の水
またはアルコールおよび触媒の存在下で熟成すると、ア
セチル置換度が均一なセルロースアセテートを製造でき
ることが判明した。また、本発明者の研究の結果、セル
ロースアセテートを、アセチル供与体、アセチル供与体
の0.1乃至10モル%(0.1モル%以上、10モル
%未満)の水またはアルコールおよび触媒の存在下で熟
成すると、2位、3位および6位のアセチル置換度を容
易かつ適切に調整できることも判明した。
【0026】セルロースアセテートの合成と熟成(アセ
チル置換度の調整)とを連続して実施する場合は、合成
反応を停止するための中和処理(酸触媒の中和)を実施
しないか、あるいは部分的な中和処理として、合成反応
で用いた触媒の全量もしくはその一部を熟成反応で利用
することができる。アセチル供与体は、分子内にアセチ
ル基(−COCH3 )を有し、触媒存在下のエステル交
換反応またはエステル形成反応によって、セルロースア
セテートの未反応の水酸基(−OH)にアセチル基を供
与できる化合物である。アセチル供与体は、酢酸または
酢酸エステルが好ましく、酢酸または酢酸とアルコール
とのエステルがさらに好ましい。
【0027】本発明者の研究によれば、水およびアルコ
ールの存在量がアセチル供与体の10モル%以上である
場合、置換度が高い(2位、3位および6位のアセチル
置換度の合計が2.636以上の、特に2.70以上
の)セルローストリアセテートでは、アセチル基が離脱
しやすい。これに対して、水およびアルコールの存在量
を、アセチル供与体の10モル%未満(好ましくは7モ
ル%未満)まで低下させると、遊離水酸基のアセチル化
反応が、離脱反応に対し無視できない速さで起こる。そ
の結果、反応は平衡点に向かって収束する傾向になる。
従って、水およびアルコールの存在量をアセチル供与体
の10モル%未満に調整することで、アセチル供与体と
セルロースアセテートとの反応を可逆的にすることがで
きる。すなわち、未反応の水酸基(2位、3位または6
位)を有するグルコース単位およびアセチル供与体(R
−O−COCH3 :Rは、水素原子、アルキル基)と、
未反応の水酸基を含まない(全てアセチル基が結合し
た)グルコース単位および水またはアルコール(R−O
H:Rは、水素原子、アルキル基)との平衡条件を調節
することにより、セルロースアセテートのアセチル置換
度を均一に調整できる。上記の平衡条件を実現するため
に、一定量(アセチル供与体の0.1モル%以上)の水
またはアルコールが必要である。
【0028】また、本発明者の研究によれば、アセチル
供与体とセルロースアセテートとの反応を可逆的にすれ
ば、2位、3位または6位のアセチル置換度の調整も容
易になる。すなわち、下記式に示すように、2位、3位
または6位に未反応の水酸基を有するグルコース単位
と、アセチル供与体(R−O−COCH3 :Rは、水素
原子、アルキル基)との平衡条件を調節することによ
り、2位、3位および6位のアセチル置換度を効果的に
調整することができる。
【0029】
【化1】
【0030】熟成工程における触媒としては、酸または
金属(例、チタン、スズ)イオンが好ましい。酸として
は、通常のプロトン酸のみではなく、ルイス酸も有効で
ある。熟成反応を、酢酸エステル(アセチル供与体)−
アルコール(溶媒)系で実施する場合は、金属アルコキ
シドや有機塩基(例、ジアルキルアミノピリジン、N−
メチルイミダゾール)も、触媒として用いることができ
る。最も好ましい触媒は、酸である。酸触媒は、強酸
(例、スルホン酸、過塩素酸、硫酸、三フッ化ホウ素、
四フッ化ホウ素酸)が好ましい。入手の容易さ、安定
性、毒性、腐食性のような諸性質を考慮すると、硫酸が
最も好ましい。なお、100℃以上の反応条件では、ア
セチル供与体である酢酸を、酸触媒として使用すること
もできる。酢酸が、アセチル供与体と触媒との機能を兼
ねる態様も本発明に含まれる。触媒の使用量は、触媒機
能(酸触媒の場合は酸性度)と反応温度とを考慮して決
定する。
【0031】熟成反応は、従来から酢酸(アセチル供与
体)−水(溶媒)系で実施することが普通であった。た
だし、従来の熟成反応では、水が酢酸に対して10モル
%以上存在する条件下で実施していた。このような条件
下では、セルロースアセテートのエステル結合の分解反
応のみが進行して、置換度が低下する。よって、そのよ
うな熟成反応では、2位、3位および6位のアセチル置
換度を調整することはできなかった。本発明の熟成反応
では、水およびアルコールの存在量をアセチル供与体の
10モル%未満(好ましくは7モル%未満)に制限する
ことによって、2位、3位および6位のアセチル置換度
を調整する。なお、セルロースアセテートを合成する工
程では、一般に過剰量の無水酢酸を使用するが、熟成工
程の前に、過剰の無水酢酸を酢酸まで加水分解しておく
(熟成工程では無水酢酸が存在しない)ことが好まし
い。
【0032】熟成反応においては、アセチル供与体が溶
媒として機能できるため、別に溶媒を添加する必要はな
い。ただし、反応に対して不活性な液体を、溶媒として
使用することもできる。アセチル供与体以外の溶媒は、
アセチル供与体に対して、5倍(質量倍)以下の量で使
用することが好ましい。アセチル供与体以外の溶媒は、
熟成反応においてセルロースアセテートを溶解状態に保
つことができる液体から選択すればよい。溶媒の例に
は、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロ
ホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン)、ニト
ロ化合物(例、ニトロメタン、ニトロベンゼン)、スル
ホン(例、スルホラン)およびエーテル(例、ジオキサ
ン)が含まれる。酸触媒(例、スルホン酸、過塩素酸、
硫酸)を使用する場合、熟成中の酸触媒の存在量は、ア
セチル供与体の0.1乃至10モル%の範囲であること
が好ましく、0.2乃至2モル%の範囲であることがさ
らに好ましい。すなわち、熟成中は、触媒の存在量に大
きな変化がなく、触媒の存在量は上記の範囲内であるこ
とが望ましい。熟成温度が、20乃至125℃であるこ
とが好ましく、30乃至70℃であることがさらに好ま
しい。熟成時間は、10分乃至10時間であることが好
ましく、30分乃至3時間であることがさらに好まし
い。
【0033】以上述べたような、水またはアルコールの
アセチル供与体に対するモル比(X)、触媒のアセチル
供与体に対するモル比(Y)、熟成温度(T)および熟
成時間(t)は、個々の条件に加えて、条件全体として
の調整も重要である。前述したアセチル供与体とセルロ
ースアセテートとの平衡反応を適切に調整するために
は、熟成工程における反応条件を、下記式で定義される
反応履歴パラメータ(R)が20を越える値となるよう
に調節することが好ましい。Rは、30を越える値であ
ることがさらに好ましく、40を越える値であることが
最も好ましい。 R=∫YZ/Xdt 式中、Xは、反応系中の水またはアルコールのアセチル
供与体に対するモル比(%)であり;Yは、反応系中の
触媒のアセチル供与体に対するモル比(%)であり;Z
は、温度換算係数(3(T-30)/20 :Tは熟成温度
(℃))であり;そして、tは、熟成時間(単位:分)
である。なお、Xが0.1モル%未満の場合は、0.1
として計算する。
【0034】[セルロースアセテートの分子間置換度]
上記の製造方法を採用することにより、アセチル置換度
が均一なセルロースアセテートを合成することができ
る。アセチル置換度が不均一なセルロースアセテートか
ら、クロマトグラフィーのような精製手段を用いて、ア
セチル置換度が均一なセルロースアセテートを分離する
こともできる。しかし、上記のような製造方法の改良に
よって、アセチル置換度が均一なセルロースアセテート
を合成する方が経済的であり好ましい。
【0035】セルロースアセテートの(平均)アセチル
置換度は、2.636乃至2.958であることが好ま
しい。アセチル置換度は、手塚(Tezuka,Carbonydr.Re
s.273,83(1995) )の方法に従いNMRで測定できる。
すなわち、セルロースアセテート試料の遊離水酸基をピ
リジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化す
る。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、炭素13
のスペクトルを測定する。アセチル基の炭素シグナルは
169ppmから171ppmの領域に高磁場から2
位、3位、6位の順序で、そして、プロピオニル基のカ
ルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174p
pmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置
でのアセチルとプロピオニルの存在比から、元のセルロ
ースアセテートにおける酢化度を求めることができる。
【0036】セルロースアセテートの平均置換度を求め
る最も一般的な方法は、ASTM−D−817−91
(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化
度の測定方法である。ASTMに従い求めた酢化度(結
合酢酸量)を、次式で置換度に換算してもよい。 DS=162×AV×0.01/(60−42×AV×
0.01) 上記式において、DSはアセチル置換度であり、AVは
酢化度(%)である。なお、換算して得られる置換度の
値は、前記のNMR測定値との間に若干の誤差が生じる
ことが普通である。換算値とNMR測定値とが異なる場
合は、NMR測定値を採用する。また、NMR測定の具
体的方法によって値が相違する場合は、上記手塚の方法
によるNMR測定値を採用する。
【0037】本明細書において、アセチル置換度が均一
なセルロースアセテートとは、分子間置換度分布曲線の
最大ピークが0.080未満の半値幅を有するか、ある
いは、分子間置換度分布曲線の最大ピークが下記式で定
義されるYよりも小さい値の半値幅を有するセルロース
アセテートであることを意味する。 Y=−0.1788X+0.5788 上記式において、Xは、セルロースアセテートのアセチ
ル置換度である。セルロースアセテートは、分子間置換
度分布曲線の最大ピークが0.080未満かつ上記式で
定義されるYよりも小さい値の半値幅を有することが最
も好ましい。
【0038】セルロースアセテートの分子間置換度分布
曲線は、逆相HPLCにおけるセルロースアセテートの
溶出曲線を得て、溶出曲線の横軸(溶出時間)をアセチ
ル置換度(0〜3)に換算することにより得ることがで
きる。逆相HPLCの処理条件は、以下の通りである。 溶媒組成: クロロホルム/メタノール(9/1、v/v):メタノ ール/水(8/1、v/v)=20:80からクロロホルム/メタノール(9/ 1、v/v)100へ28分間のリニアグラジエント カラム: ノバパックフェニル3.9×150mm(Waters製) カラム温度: 30℃ 流速: 0.7ml/分 試料濃度: 2mg/ml 注入量: 20マイクロリットル 検出器: エバポレイティブ光散乱検出器(ELSD-MK-III、Varex製) ドリフトチューブ温度:80℃ ガス流量: 2.1SLPM
【0039】溶出曲線を分子間置換度分布曲線に変換す
る際には、4種以上の置換度の異なる試料を用いて、同
じ測定条件で溶出時間を測定し、溶出時間(T)から置
換度(DS)を求める換算式を得る。すなわち、溶出時
間(T)と置換度(DS)との関係から、最小二乗法に
よりキャリブレーションカーブの関数(通常は、下記の
2次式)を求める。 DS=aT2 +bT+c 上記式において、DSはアセチル置換度であり、Tは溶
出時間であり、a、bおよびcは変換式の係数である。
【0040】図1は、実施例4で得られたセルロースア
セテートの分子間置換度分布曲線である。図2は、比較
例4で得られたセルロースアセテートの分子間置換度分
布曲線である。図1および図2における横軸のDSは、
アセチル置換度を意味する。図1および図2における縦
軸の強度は、横軸のアセチル置換度を有するセルロース
アセテートの存在量に相当する。図1に示す分子間置換
度分布曲線では、アセチル置換度が2.795の位置
に、図2に示す分子間置換度分布曲線では、アセチル置
換度が2.851の位置に、最大ピーク(E)が認めら
れる。分子間置換度分布曲線の低置換度側の基部(A)
と、高置換度側の基部(B)に接するベースライン(A
−B)を引く。分子間置換度分布曲線の最大ピーク
(E)から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン
(A−B)との交点(C)を決定し、最大ピーク(E)
と交点(C)との中間点(D)を求める。中間点(D)
を通って、ベースライン(A−B)と平行な直線を引
き、分子間置換度分布曲線との二つの交点(A’、
B’)を求める。二つの交点(A’、B’)から横軸ま
で垂線をおろして、横軸上の二つの交点の幅を、最大ピ
ークの半値幅とする。
【0041】[セルロースアセテートの分子内置換度]
前述した製造方法を採用することにより、2位、3位お
よび6位のアセチル置換度が適切に調節されたセルロー
スアセテートを合成することもできる。2位、3位およ
び6位のアセチル置換度が、下記式(I)〜(III)を満
足するセルロースアセテートを用いると、適切な物性お
よび光学的性質を有するセルロースアセテートフイルム
を製造することができる。 (I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70 (II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70 (III) 2DS+3DS>1.80 式(I)〜(III)において、2DSは、2位のアセチル
置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であ
り、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
【0042】2位、3位および6位のアセチル置換度
は、下記式(VI)を満足することも好ましい。 (VI) 2DS+3DS−6DS<1 式(VI)において、2DSは、2位のアセチル置換度で
あり、3DSは、3位のアセチル置換度であり、そし
て、6DSは、6位のアセチル置換度である。
【0043】2位および3位のアセチル置換度は、下記
式(VII)を満足することも好ましく、下記式(VIII)を満
足することがさらに好ましい。 (VII) 2DS+3DS>1.82 (VIII) 2DS+3DS>1.84 式(VII)および(VIII)において、2DSは、2位のアセ
チル置換度であり、そして、3DSは、3位のアセチル
置換度である。
【0044】図3は、式(I)〜(III)、(VI)〜(VII
I)のアセチル置換度の規定および実施例1〜9および1
2〜14と比較例1のセルロースアセテートのアセチル
置換度を説明するためのグラフである。グラフの横軸は
2位のアセチル置換度(2DS)および3位のアセチル
置換度(2DS)の合計(2DS+3DS)であり、グ
ラフの縦軸は6位のアセチル置換度(6DS)である。
式(I)を満足するセルロースアセテートは、図3に
(I)として示した実線(2DS+3DS=6DS×4
−1.70)よりも下側の領域である。式(II)を満足
するセルロースアセテートは、図3に(II)として示し
た実線(2DS+3DS=−6DS×4+5.70)よ
りも上側の領域である。式(III)を満足するセルロース
アセテートは、図3に(III)として示した実線(2DS
+3DS=1.80)よりも右側の領域である。式(V
I)を満足するセルロースアセテートは、図3に(VI)
として示した実線(2DS+3DS−6DS=1)より
も左側の領域である。式(VII)を満足するセルロースア
セテートは、図3に(VII)として示した実線(2DS+
3DS=1.82)よりも右側の領域である。式(VIII)
を満足するセルロースアセテートは、図3に(VIII)とし
て示した実線(2DS+3DS=1.84)よりも右側
の領域である。なお、黒丸1〜9および12〜14は、
実施例1〜9および12〜14のセルロースアセテート
であり、白丸C1は、比較例1のセルロースアセテート
である(比較例2は、グラフの圏外)。
【0045】また、2位、3位および6位のアセチル置
換度が、下記式(III)〜(V)を満足するセルロースア
セテートを用いると、適切な粘度および溶解性を有する
セルロースアセテート溶液を調製することができる。 (III) 2DS+3DS>1.80 (IV) 3DS<2DS (V) 6DS>0.80 式(III)〜(V)において、2DSは、2位のアセチル
置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であ
り、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
【0046】2位および3位のアセチル置換度は、下記
式(VII)を満足することも好ましく、下記式(VIII)を満
足することがさらに好ましい。 (VII) 2DS+3DS>1.82 (VIII) 2DS+3DS>1.84 式(VII)および(VIII)において、2DSは、2位のアセ
チル置換度であり、そして、3DSは、3位のアセチル
置換度である。
【0047】2位および3位のアセチル置換度は、下記
式(X)を満足することも好ましい。 (X) 3DS>2DS×2−1 式(X)において、2DSは、2位のアセチル置換度で
あり、そして、3DSは、3位のアセチル置換度であ
る。
【0048】図4は、式(III)、(IV)、(VII)、(VII
I)および(X)のアセチル置換度の規定および実施例1
〜9および12〜14と比較例1、2のセルロースアセ
テートのアセチル置換度を説明するためのグラフであ
る。グラフの横軸は2位のアセチル置換度(2DS)で
あり、グラフの縦軸は3位のアセチル置換度(3DS)
である。式(III)を満足するセルロースアセテートは、
図4に(III)として示した実線(2DS+3DS=1.
80)よりも上側の領域である。式(IV)を満足するセ
ルロースアセテートは、図4に(IV)として示した実線
(3DS=2DS)よりも下側の領域である。式(VII)
を満足するセルロースアセテートは、図4に(VII)とし
て示した実線(2DS+3DS=1.82)よりも上側
の領域である。式(VIII)を満足するセルロースアセテー
トは、図4に(VIII)として示した実線(2DS+3DS
=1.84)よりも上側の領域である。式(X)を満足
するセルロースアセテートは、図4に(X)として示し
た実線(3DS=2DS×2−1)よりも左側の領域で
ある。なお、黒丸1〜9および12〜14は、実施例1
〜9および12〜14のセルロースアセテートであり、
白丸C1、C2は、比較例1、2のセルロースアセテー
トである。
【0049】式(I)〜(X)のうち、4以上の式を満
足するセルロースアセテートが好ましく、5以上の式を
満足するセルロースアセテートがより好ましく、6以上
の式を満足するセルロースアセテートがさらに好まし
く、7以上の式を満足するセルロースアセテートがさら
にまた好ましく、8以上の式を満足するセルロースアセ
テートが最も好ましい。全ての式を満足するセルロース
アセテートが特に好ましい。セルロースアセテートの2
位、3位および6位のアセチル置換度は、セルロースア
セテートをプロピオニル化処理した後、13C−NMRの
測定により求めることができる。測定方法の詳細につい
ては、手塚他(Carbohydr. Res. 273, 83-91(1995))に
記載がある。
【0050】[赤外線吸収スペクトル]セルロースアセ
テートは、3450乃至3550cm-1の波数に赤外線
吸収スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の半値
幅が135cm-1以下であることが好ましい。吸収極大
は、3455乃至3540cm-1の波数に存在すること
がさらに好ましく、3460乃至3530cm-1の波数
に存在することが最も好ましい。吸収極大の半値幅は、
130cm-1以下であることがさらに好ましく、125
cm-1以下であることが最も好ましい。セルロースアセ
テートの赤外線吸収スペクトルは、ソルベントキャスト
法でセルロースアセテートフイルムを作製してから測定
する。具体的な測定手順は、実施例6について後述す
る。
【0051】測定により得られる赤外線吸収スペクトル
(縦軸を吸光度とする)から、吸収極大と半値幅を求め
る。赤外線吸収スペクトルの吸収バンドの解析について
は、田所宏行著、高分子の構造(化学同人、1976
年)の219〜221頁に記載がある。図5は、赤外線
吸収スペクトルの半値幅を説明するためのチャートであ
る。図5に示すスペクトルでは、波長が3500cm-1
付近に、水酸基の吸収バンドが認められる。吸収バンド
の高波数側(3700cm-1付近)の基部(A)と、低
波数側(3250cm-1付近)の基部(B)に接するベ
ースライン(A−B)を引く。吸収バンドのピーク
(E)から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン
(A−B)との交点(C)を決定し、ピーク(E)と交
点(C)との中間点(D)を求める。中間点(D)を通
って、ベースライン(A−B)と平行な直線を引き、ス
ペクトルとの二つの交点(A’、B’)を求める。二つ
の交点(A’、B’)から横軸まで垂線をおろして、横
軸上の二つの交点の幅を、バンドの半値幅(Δν1/2)と
する。なお、吸収バンド(3450乃至3550cm-1
の波数)に複数の吸収ピークが存在する場合は、最大の
吸収ピークを測定基準(図5におけるE)に採用すれば
よい。
【0052】メチルセルロースの赤外線吸収スペクトル
については、近藤の報告(Kondo, Cellulose, 4, 281(1
997))がある。製造済みのセルロースアセテートフイル
ム(例えば、フイルム製品)においても、同様に測定し
た赤外線吸収スペクトルにおいて、3450乃至355
0cm -1の波数に吸収極大を有し、その吸収極大の半値
幅が135cm-1以下であることが好ましい。ただし、
セルロースアセテートフイルム製品では、添加剤(例え
ば、紫外線吸収剤)が吸収スペクトルに影響する場合が
ある。従って、セルロースアセテートフイルム製品で
は、セルロースアセテートを起源とする赤外線吸収スペ
クトルを測定する。
【0053】[有機溶媒]セルロースアセテートは有機
溶媒に溶解して、セルロースアセテート溶液を調製して
各種用途(例えば、フイルムの製造)に使用することが
普通である。有機溶媒の例には、ケトン、エステル、エ
ーテル、炭化水素およびアルコールが含まれる。なお、
技術的には、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水
素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点
では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まな
いことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶
媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ま
しくは2質量%未満)であることを意味する。また、製
造したセルロースアセテートフイルムから、ジクロロメ
タンのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないこ
とが好ましい。
【0054】有機溶媒は、炭素原子数が2乃至12のエ
ーテル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原
子数が2乃至12のエステルから選ばれる溶媒を含むこ
とが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環
状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエ
ステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−
COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機
溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコー
ル性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二
種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原
子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内
であればよい。
【0055】炭素原子数が2乃至12のエーテルの例に
は、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタ
ン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テト
ラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含ま
れる。炭素原子数が3乃至12のケトンの例には、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノ
ンおよびアセチルアセトンが含まれる。炭素原子数が2
乃至12のエステルの例には、メチルホルメート、エチ
ルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメー
ト、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチ
ルアセテートが含まれる。メチルアセテート(酢酸メチ
ル)を50質量%以上含む酢酸メチル系有機溶媒が特に
好ましく用いられる。二種類以上の官能基を有する有機
溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メ
トキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含ま
れる。
【0056】特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる三
種類の溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子
数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が2乃至12
のエステルから選ばれ、第2の溶媒が炭素原子数が1乃
至5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、そして第3の
溶媒が沸点が30乃至170℃のアルコールおよび沸点
が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。第1の溶
媒のケトンおよびエステルについては、前述した通りで
ある。なお、第1の溶媒を二種類併用してもよい。例え
ば、ケトン(例、アセトン)とエステル(例、酢酸メチ
ル)との混合溶媒を、第1の溶媒として使用してもよ
い。第2の溶媒は、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価
アルコールから選ばれる。アルコールの水酸基は、炭化
水素直鎖の末端に結合してもよいし(第一級アルコー
ル)、中間に結合してもよい(第二級アルコール)。第
2の溶媒は、具体的には、メタノール、エタノール、1
−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、
2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール
および3−ペンタノールから選ばれる。直鎖状一価アル
コールの炭素原子数は、1乃至4であることが好まし
く、1乃至3であることがさらに好ましく、1または2
であることが最も好ましい。エタノールが特に好ましく
用いられる。
【0057】第3の溶媒は、沸点が30乃至170℃の
アルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素か
ら選ばれる。アルコールは一価であることが好ましい。
アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を
有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、
飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコール
の水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。
アルコールの例には、メタノール(沸点:64.65
℃)、エタノール(78.325℃)、1−プロパノー
ル(97.15℃)、2−プロパノール(82.4
℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブタノー
ル(99.5℃)、t−ブタノール(82.45℃)、
1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル−2−
ブタノール(101.9℃)、シクロヘキサノール(1
61℃)、2−フルオロエタノール(103℃)、2,
2,2−トリフルオロエタノール(80℃)、2,2,
3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(109
℃)、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール(55
℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサ−2−メチル−
2−プロパノール(62℃)、1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(59℃)、2,
2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール
(80℃)、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ
−1−ブタノール(114℃)、2,2,3,3,4,
4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール(97℃)、
パーフルオロ−tert−ブタノール(45℃)、2,2,
3,3,4,4,5,5−オクトフルオロ−1−ペンタ
ノール(142℃)、2,2,3,3,4,4−ヘキサ
フルオロ−1,5−ペンタンジオール(111.5
℃)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,
8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(95
℃)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,8−ペンタデカフルオロ−1−オクタノー
ル(165℃)、1−(ペンタフルオロフェニル)エタ
ノール(82℃)および2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンジルアルコール(115℃)が含まれる。
【0058】アルコールについては、前記第2の溶媒の
定義と重複するが、第2の溶媒として使用するアルコー
ルとは異なる種類のアルコールであれば、第3の溶媒と
して使用できる。例えば、第2の溶媒として、エタノー
ルを使用する場合は、第2の溶媒の定義に含まれる他の
アルコール(メタノール、1−プロパノール、2−プロ
パノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペン
タノール、2−ペンタノールまたは3−ペンタノール)
を第3の溶媒として使用していもよい。炭化水素は、直
鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよ
い。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いる
ことができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽
和であってもよい。であることがさらに好ましい。炭化
水素の例には、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、
ヘキサン(69℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエ
ン(110.6℃)およびキシレン(138.4〜14
4.4℃)が含まれる。
【0059】三種混合溶媒中には、第1の溶媒が50乃
至95質量%含まれることが好ましく、60乃至92質
量%含まれることがより好ましく、65乃至90質量%
含まれることが更に好ましく、70乃至88質量%含ま
れることが最も好ましい。第2の溶媒は、1乃至30質
量%含まれることが好ましく、2乃至27質量%含まれ
ることがより好ましく、3乃至24質量%含まれること
がさらに好ましく、4乃至22質量%含まれることが最
も好ましい。第3の溶媒は、1乃至30質量%含まれる
ことが好ましく、2乃至27質量%含まれることがより
好ましく、3乃至24質量%含まれることがさらに好ま
しく、4乃至22質量%含まれることが最も好ましい。
さらに他の有機溶媒を併用して、四種以上の混合溶媒と
してもよい。四種以上の混合溶媒を用いる場合の4番目
以降の溶媒も、前述した三種類の溶媒から選択すること
が好ましい。前述した三種類の溶媒以外の溶媒して、炭
素原子数が3乃至12のエーテル類(例、ジイソプロピ
ルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、
1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒ
ドロフラン、アニソール、フェネトール)やニトロメタ
ンを併用してもよい。
【0060】有機溶媒の沸点は、20乃至300℃であ
ることが好ましく、30乃至200℃であることがより
好ましく、40乃至100℃であることがさらに好まし
く、50乃至80℃であることが最も好ましい。本発明
では、冷却溶解法により、以上のような有機溶媒中にセ
ルロースアセテートを溶解して、溶液を形成することが
好ましい。冷却溶解法は、膨潤工程、冷却工程および加
温工程からなる。なお、室温でセルロースアセテートを
溶解できる有機溶媒であっても、冷却溶解法によると迅
速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
【0061】[膨潤工程]膨潤工程においては、セルロ
ースアセテートと有機溶媒とを混合し、セルロースアセ
テートを溶媒により膨潤させる。膨潤工程の温度は、−
10乃至55℃であることが好ましい。通常は室温で実
施する。セルロースアセテートと有機溶媒との比率は、
最終的に得られる溶液の濃度に応じて決定する。一般
に、混合物中のセルロースアセテートの量は、5乃至3
0質量%であることが好ましく、8乃至20質量%であ
ることがさらに好ましく、10乃至15質量%であるこ
とが最も好ましい。溶媒とセルロースアセテートとの混
合物は、セルロースアセテートが充分に膨潤するまで攪
拌することが好ましい。攪拌時間は、10乃至150分
であることが好ましく、20乃至120分であることが
さらに好ましい。膨潤工程において、溶媒とセルロース
アセテート以外の成分、例えば、可塑剤、劣化防止剤、
染料や紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0062】[冷却工程]冷却工程においては、膨潤混
合物を−100乃至−10℃に冷却する。冷却温度は、
膨潤混合物が固化する温度であることが好ましい。冷却
速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分
以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であ
ることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましい
が、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000
℃秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用
的な上限である。冷却速度は、冷却を開始する時の温度
と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終
的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。な
お、特開平9−95544号、同9−95557号およ
び同9−95538号の各公報に記載の実施例は、3℃
/分程度の冷却速度である。冷却工程においては、冷却
時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用い
ることが望ましい。また、冷却時に減圧すると、冷却時
間を短縮することができる。減圧を実施するためには、
耐圧性容器を用いることが望ましい。具体的な冷却手段
としては、様々な方法または装置が採用できる。
【0063】例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を冷却
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を冷却することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構から
なる冷却装置が好ましく用いられる。また、−105乃
至−15℃に冷却した溶媒を膨潤混合物に添加して、よ
り迅速に冷却することもできる。
【0064】さらに、−100乃至−10℃に冷却され
た液体中へ、膨潤混合物を直径が0.1乃至20.0m
mの糸状に押し出すことにより膨潤混合物することで、
さらに迅速に膨潤混合物を冷却することも可能である。
冷却に使用する液体については、特に制限はない。冷却
された液体中へ膨潤混合物を糸状に押し出すことにより
膨潤混合物を冷却する方法を用いる場合、冷却工程と加
温工程の間で、糸状の膨潤混合物と冷却用の液体とを分
離する工程を行なうことが好ましい。冷却工程におい
て、膨潤混合物が糸状にゲル化しているため、膨潤混合
物と冷却用の液体とを分離は簡単に実施できる。例え
ば、網を用いて、糸状の膨潤混合物を液体から取り出す
ことが可能である。網の代わりに、スリットまたは穴の
開いた板状物を用いてもよい。網や板状物の材料は、液
体に溶解しない材質であれば、特に制限はない。網や板
状物は、各種金属や各種プラスチック材料から製造する
ことができる。網の目の大きさ、スリットの巾や穴の大
きさは、糸状物の直径に応じて、糸状物が通過しないよ
うに調整する。また、糸状の膨潤混合物を冷却装置から
加温装置へ搬送するためのベルトを網状にして、分離と
搬送を同時に実施することもできる。
【0065】[加温工程]加温工程においては、冷却し
た膨潤混合物を0至200℃に加温する。加温工程の最
終温度は、通常は室温である。加温速度は、4℃/分以
上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさ
らに好ましく、12℃/分以上であることが最も好まし
い。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/
秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上
限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。
加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温
度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達
するまでの時間で割った値である。なお、特開平9−9
5544号、同9−95557号および同9−9553
8号の各公報に記載の実施例は、3℃/分程度の加温速
度である。加圧しながら加温すると、加温時間を短縮す
ることができる。加圧を実施するためには、耐圧性容器
を用いることが望ましい。なお、溶解が不充分である場
合は、冷却工程から加温工程までを繰り返して実施して
もよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液
の外観を観察するだけで判断することができる。具体的
な加温手段としては、様々な方法または装置が採用でき
る。
【0066】例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を加温
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を加温することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
加温するため容器の周囲に設けられている加温機構から
なる加温装置が好ましく用いられる。
【0067】また、加温された液体中へ、直径が0.1
乃至20.0mmの糸状の膨潤混合物を入れることによ
り膨潤混合物を加温することで、さらに迅速に膨潤混合
物を加温することも可能である。冷却工程において、膨
潤混合物を糸状に押し出す方法を採用した場合は、その
糸状の膨潤混合物を加温用の液体に投入すればよい。冷
却工程を糸状押し出し以外の方法で実施した場合は、加
温工程において冷却した膨潤混合物を加温用液体中へ糸
状に押し出す。なお、糸状押し出しを連続して実施する
場合は、製造したセルロースアセテート溶液を次の膨潤
混合物の加温用の液体として順次利用することができ
る。すなわち、製造し加温された状態のセルロースアセ
テート溶液中に、糸状の膨潤混合物を投入し、混合物を
迅速に加温してセルロースアセテート溶液を得る。
【0068】さらに、冷却した膨潤混合物を筒状の容器
内に導入し、容器内で膨潤混合物の流れを複数に分割
し、分割された混合物の流れの向きを容器内で回転さ
せ、この分割と回転とを繰り返しながら、容器の周囲か
ら膨潤混合物を加温することもできる。上記のように、
物質の流れを分割および回転させる仕切りが設けられた
容器は、一般に静止型の混合器として知られている。代
表的な静止型混合器であるスタチックミキサーTM(ケニ
ックス社)では、物質の流れを二つに分割して右回りに
180度回転させる右回りエレメントと、物質の流れを
二つに分割して左回りに180度回転させる左回りエレ
メントとが、容器内で交互に90度ずらして配列されて
いる。さらにまた、溶媒が沸騰しないように調整された
圧力下で、溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温
してもよい。温度は、溶媒の種類に応じて決定するが一
般に60乃至200℃である。圧力は、温度と溶媒の沸
点との関係で決定するが、一般に1.2乃至20kgw
/cm2 である。
【0069】[溶液製造後の処理]製造した溶液は、必
要に応じて濃度の調整(濃縮または希釈)、濾過、温度
調整、成分添加などの処理を実施することができる。添
加する成分は、セルロースアセテート溶液の用途に応じ
て決定する。セルロースアセテートフイルムの場合、代
表的な添加剤は、可塑剤、劣化防止剤(例、過酸化物分
解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤)、
染料および紫外線吸収剤である。さらに、この段階で微
粒子(好ましくは、微粒子を分散したセルロースアセテ
ートの希釈溶液)を添加することが好ましい。
【0070】[微粒子]セルロースアセテートフイルム
は、1.0μm以下の平均粒子径を有する微粒子を含む
ことができる。微粒子は滑り剤として機能して、フイル
ムの動摩擦係数を改善する。微粒子としては、無機化合
物を用いることが好ましい。無機化合物の例には、二酸
化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジル
コニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、
クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケ
イ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシ
ウムおよびリン酸カルシウムが含まれる。二酸化ケイ
素、二酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが好ましく、
二酸化ケイ素が特に好ましい。無機化合物の微粒子は、
表面処理により粒子表面にメチル基を導入することがで
きる。例えば、酸化ケイ素の微粒子をジクロロジメチル
シランやビス(トリメチルシリル)アミンで処理すれば
よい。
【0071】二酸化ケイ素の微粒子は、既に市販されて
いる(例、アエロジルR972TM、R972DTM、R9
74TM、R812TM、日本アエロジル(株)製)。ま
た、酸化ジルコニウムの微粒子にも市販品がある(例、
アエロジルR976TM、R811TM、日本アエロジル
(株)製)。微粒子の平均粒径は、1.0μm以下であ
ることが好ましい。平均粒径は0.1乃至1.0μmで
あることがさらに好ましく、0.1乃至0.5μmであ
ることが最も好ましい。微粒子は、セルロースアセテー
トに対して、0.005乃至0.3質量%の量で使用す
ることが好ましく、0.01乃至0.1質量%の量で使
用することがさらに好ましい。微粒子は、後述するフイ
ルムの製造工程のいずれの段階で添加してもよい。好ま
しくは、セルロースアセテートの有機溶剤溶液と類似の
組成の希釈溶液を作成し、希釈溶液中に微粒子を分散さ
せる。そして、有機溶剤溶液と微粒子を含む希釈溶液を
混合して、その混合液からフイルムを形成すると、微粒
子が均一に分散しているフイルムを製造することができ
る。
【0072】[可塑剤]セルロースアセテートフイルム
には、一般に可塑剤を添加する。可塑剤としては、リン
酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リ
ン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート、
トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフ
ェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチルホス
フェートが含まれる。カルボン酸エステルとしては、フ
タル酸エステル、クエン酸エステル、オレイン酸エステ
ルおよびリノール酸エステルが代表的である。フタル酸
エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレ
ート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフ
タレートが含まれる。クエン酸エステルの例には、クエ
ン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリブ
チルが含まれる。オレイン酸エステルの例には、オレイ
ン酸ブチルが含まれる。その他のカルボン酸エステルの
例には、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、トリアセチン、リシノール
酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチルおよび種々のト
リメリット酸エステルが含まれる。可塑剤の添加量は、
一般にセルロースアセテートの量の0.1乃至40質量
%の範囲であり、1乃至20質量%の範囲であることが
さらに好ましい。
【0073】[劣化防止剤]劣化防止剤をセルロースア
セテートフイルムに添加してもよい。劣化防止剤の例に
は、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤
および酸捕獲剤が含まれる。劣化防止剤については、特
開平3−199201号、同5−1907073号、同
5−194789号、同5−271471号、同6−1
07854号の各公報に記載がある。特に好ましい劣化
防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(B
HT)を挙げることができる。劣化防止剤の添加量は、
セルロースアセテートフイルムの0.01乃至0.5質
量%であることが好ましく、0.05乃至0.2質量%
であることがさらに好ましい。
【0074】[紫外線吸収剤]セルロースアセテートフ
イルム中に、紫外線吸収剤を練り込んでもよい。紫外線
吸収剤は、セルロースアセテートフイルムの経時安定性
を向上させる。紫外線吸収剤は、可視領域に吸収を持た
ないことが望ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフ
ェノン系化合物(例、2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン)、ベントトリアゾール系化合物(例、2
−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−
t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’
−ヒドロキシ−3’−ジ−t−ブチル−5’−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール)およびサリチル酸系化合
物(例、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル)が用
いられる。紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアセテ
ートフイルムに対して0.5乃至20質量%の範囲であ
ることが好ましく、1乃至10質量%の範囲であること
がさらに好ましい。
【0075】[染料]セルロースアセテートフイルムに
染料を添加して、ライトパイピング現象を防止してもよ
い。染色の色相はグレーが好ましい。セルロースアセテ
ートフイルムの製造温度域での耐熱性に優れ、かつセル
ロースアセテートとの相溶性に優れた化合物を、染料と
して用いることが好ましい。二種類以上の染料を混合し
て用いてもよい。
【0076】[フイルム製膜]以上の冷却溶解法による
セルロースアセテートの有機溶媒溶液(ドープ)の調製
は、通常のソルベントキャスト法における溶液調製(常
温または高温での攪拌)と全く異なるが、得られた溶液
からフイルムを製膜する工程は、通常のソルベントキャ
スト法と同様に実施できる。セルロースアセテート溶液
は、支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形
成する。流延前の溶液は、固形分量が18乃至35%と
なるように濃度を調整することが好ましい。支持体表面
は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。支持体と
しては、ドラムまたはバンドが用いられる。通常のソル
ベントキャスト法における流延および乾燥方法について
は、米国特許2336310号、同2367603号、
同2492078号、同2492977号、同2492
978号、同2607704号、同2739069号、
同2739070号、英国特許640731号、同73
6892号の各明細書、特公昭45−4554号、同4
9−5614号、特開昭60−176834号、同60
−203430号、同62−115035号の各公報に
記載がある。
【0077】支持体上に形成したセルロースアセテート
フイルムは、乾燥が終了する前(有機溶媒がフイルムの
30質量%以上)に支持体から剥離して、さらに乾燥す
ることが好ましい。そのためには、支持体上での溶液の
ゲル化が迅速に進行する必要がある。溶液のゲル化を促
進するためには、アルコール(前述した第3の溶媒)の
ような貧溶媒の使用が有効である。また、流延方法の改
良によりゲル化を促進することもできる。10℃以下に
冷却した支持体に溶液を流延すると、溶液のゲル化が促
進される(特公平5−17844号公報記載)。支持体
の冷却は、冷媒または冷風の使用により実施できる。支
持体を冷却する方法では、2秒以上乾燥風を用いて支持
体上のフイルムを乾燥してもよい。得られたフイルムを
支持体から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐
次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させる
こともできる。30℃以上に加熱した支持体に溶液を流
延してから、支持体を20℃以下に冷却しても、溶液の
ゲル化が促進される(特開昭61−148013号、同
61−158413号の各公報記載)。支持体の加熱
は、支持体表面へのヒーター取り付け、熱風吹きつけや
ドラムへの温水通水ににより実施できる。溶液の流延直
後に速やかに温度を上昇させることが好ましい。そし
て、加熱の初期段階においては、溶媒の蒸発による多量
の潜熱を必要とする。そのため、加熱の初期段階では、
上記のような加熱手段に加えて、裏面からの熱風やヒー
ター(蒸気ヒーター、赤外線ヒーター)のような補助加
熱手段を併用することが好ましい。支持体の冷却は、放
冷の他、冷風吹きつけやドラムへの冷水通水のような強
制冷却により実施できる。
【0078】以上のように製造したセルロースアセテー
トフイルムは、その優れた光学的性質および物性を利用
して、様々な用途に使用できる。特に、液晶表示装置の
光学的用途において、特に本発明のフイルムが有効であ
る。光学的な用途においては、セルロースアセテートフ
イルムにAG(アンチグレアー)処理またはAR(反射
防止処理)を実施してもよい。特にAR処理を用いる
と、フイルムの光透過率を3%程度改善することができ
る。AR処理では、具体的にはフイルム上に反射防止膜
(単層、2層膜、あるいは3層以上の多層膜)を設け
て、反射損失を減少させる。反射防止膜の具体的な素材
については、薄膜ハンドブック(オーム社、昭和58年
12月10日)の818〜821頁に記載がある。
【0079】[偏光板保護膜および液晶表示装置]セル
ロースアセテートフイルムの光学的用途としては、液晶
表示装置の偏光板保護膜または位相差板が特に好まし
い。液晶表示装置は、一般に液晶表示素子と偏光板とを
有する。液晶表示素子は、液晶層、それを保持するため
の基板および液晶に電圧を加えるための電極層からな
る。基板および電極層は、いずれも表示のために透明な
材料を用いて製造される。透明基板としては、ガラス薄
板または樹脂フイルムが使用される。多少の屈曲性が要
求される液晶表示装置の場合は、樹脂フイルムを使用す
る必要がある。液晶基板には、高い透明性に加えて、低
複屈折率および耐熱性が要求される。液晶表示装置に位
相差板を設ける場合もある。位相差板は、液晶画面の着
色を取り除き、白黒化を実現するための複屈折フイルム
である。位相差板も、樹脂フイルムを用いて製造する。
位相差板には、高い複屈折率が要求される。偏光板は、
保護膜と偏光膜とからなる。偏光膜は、ヨウ素または二
色性染料を偏向素子として用いた樹脂フイルムである。
保護膜は、偏光膜を保護する目的で、偏光膜の片面また
は両面に設けられる。なお、偏光膜の片面のみに保護膜
を設ける場合は、一般に上記の液晶基板が他の面の保護
膜として機能する。偏光板保護膜には、透明性と低複屈
折率(低レターデーション値)が要求されるため、本発
明のセルロースアセテートフイルムが特に有利に用いら
れる。
【0080】偏光板の偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二
色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があ
る。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコール系
フイルムを用いて製造する。偏光板保護膜は、25乃至
350μmの厚さを有することが好ましく、50乃至2
00μmの厚さを有することがさらに好ましい。保護膜
には、紫外線吸収剤、滑り剤、劣化防止剤あるいは可塑
剤を添加してもよい。偏光板保護膜上にさらに表面処理
膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコー
ト、防曇処理、防眩処理および反射防止処理が含まれ
る。偏光板およびその保護膜については、特開平4−2
19703号、同5−212828号および同6−51
117号各公報に記載がある。
【0081】
【実施例】[実施例1] (セルロースアセテートの合成)α−セルロース含量が
約97質量%の木材パルプ(水分含量:7.31質量
%)を解砕した。パルプ302.1gに対して、140
gの氷酢酸を均一に散布し攪拌した後、室温で90分間
放置した。予め冷却した無水酢酸769.7g、酢酸1
170.3gおよび98%硫酸23.08gの混合液中
に、パルプを投入し、混合した。反応温度を、外部冷却
/加温によって、反応開始時の0℃から60分後に37
℃に直線的に昇温し、さらに90分間37℃に保持し
た。このようにしてセルロースアセテートを合成した。
【0082】(セルロースアセテートの熟成)合成した
セルロースアセテートの溶液に26質量%の酢酸水溶液
62.05gを加え、温度を47℃に上げて、90分間
保持してセルロースアセテートを熟成した。混合比は、
セルロースアセテート499質量部に対して、酢酸(ア
セチル供与体)1658質量部、水23.3質量部、硫
酸(触媒)22.6質量部であった。よって、酢酸(ア
セチル供与体)に対する水の量は、4.68モル%であ
った。熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫Y
Z/Xdt)の値を計算したところ、41であった。
【0083】(後処理)熟成終了後、24質量%酢酸マ
グネシウム水溶液188gを加えて攪拌した。得られた
溶液を激しく攪拌しながら約6リットルの10質量%酢
酸水溶液中に加え、得られた沈澱を濾別、流水洗浄、そ
して熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行っ
て、50℃で乾燥した。
【0084】(セルロースアセテートの分析)製造した
セルロースアセテートについて、アセチル置換度(平均
総置換度)と重合度を測定した。さらに、逆相HPLC
の溶出曲線を測定し、それを分子間置換度分布曲線に変
換して、最大ピークの半値幅を求めた。以上の結果を第
1表に示す。
【0085】次に、2位の置換度(2DS)、3位の置
換度(3DS)、6位の置換度(6DS)を測定した。
測定結果は、第2表に示す。また、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6
DS)については、図3および図4のグラフに、1の黒
丸としてプロットした。置換度の測定は、手塚(Tezuk
a, Carbohydr. Res. 273, 83(1995) )の方法に従い実
施した。すなわち、試料セルロースアセテートの遊離水
酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニ
ル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、炭
素13のスペクトルを測定する。アセチル基のカルボニ
ル炭素のシグナルは169ppmから171ppmの領
域に、高磁場から2位、3位、6位の順、プロピオニル
基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから1
74ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応す
る位置でのアセチルとプロピオニルの存在比から、もと
のセルロースアセテートにおけるアセチル基の分布を求
めることができる。
【0086】(セルロースアセテート溶液の調製)製造
したセルロースアセテート17質量部と、酢酸メチル/
メタノール/n−ブタノール混合溶媒(混合比:80/
15/5)80.28質量部およびトリフェニルホスフ
ェート(可塑剤)2.72質量部とを混合した。室温で
は、セルロースアセテートは溶解せず、混合溶媒中で膨
潤してスラリーを形成していた。次に、膨潤混合物を冷
却・加温用容器に入れ、ゆっくり攪拌しながら、水/エ
チレングリコールを冷媒として容器外部から−30℃ま
で冷却した(冷却速度:8℃/分)。混合物が均一に冷
却されて固化するまでの30分間、冷却を継続した。そ
の後、冷媒の代わりに温水を用いて容器外部から加温
し、内容物のゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の
攪拌を開始し、室温まで加温した(加温速度:8℃/
分)。さらに、以上の冷却と加温の操作をもう一回繰り
返して行った。冷却溶解法により得られた溶液の状態
を、常温(23℃)で静置保存したまま観察したとこ
ろ、透明で均一な溶液であった。さらに、20日間保存
したところ、透明性と均一性が維持され、良好な溶解性
と溶液安定性が示された。
【0087】(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を、乾燥膜厚が10
0μmとなるようにバンド流延機を用いて有効長6mの
バンド上に流延した。バンド温度は0℃であった。その
後、2秒間、乾燥風に当てた後、フイルムをバンドから
剥ぎ取り、フイルムの両端を固定しながら100℃で3
分、130℃で5分、そして160℃で5分と段階的に
乾燥して残存溶媒を蒸発させ、さらに120℃で3時間
乾燥した。このようにして得られたセルロースアセテー
トフイルムは、良好な光学的性質(高い光学的等方性と
透明性)を示した。
【0088】[実施例2] (セルロースアセテートの熟成)市販の(コットンリン
ターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度36
0、NMR測定による置換度2.84の)セルロースア
セテート200gを、ジクロロメタン1167mlと酢
酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリーエバポレ
ーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。
酢酸2050g、水2.65gおよび過塩素酸の70質
量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセテー
トを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量
(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる水の量
の合計)は、1.63モル%であった。得られた溶液を
30℃で3時間保持して、セルロースアセテートを熟成
した。熟成工程における反応履歴パラメータ(R=∫Y
Z/Xdt)の値を計算したところ、55であった。
【0089】(後処理)熟成終了後、過塩素酸に対して
2等量に相当する酢酸ナトリウム(過塩素酸の70質量
%水溶液1質量部に対して、1.75質量部)を加え、
よく攪拌した後、激しく攪拌しながら7.5リットルの
水を徐々に加えて沈澱を形成した。沈澱は、酢酸臭が消
えるまで流水洗浄し、遠心脱液し、さらに3時間の流水
洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
【0090】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第1表および第2表に示す。また、2位の置換
度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置
換度(6DS)については、図3および図4のグラフ
に、2の黒丸としてプロットした。
【0091】(セルロースアセテート溶液の調製)製造
したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様
に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製し
た。得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存
したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。
さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維
持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0092】(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を用いて、実施例1
と同様に、セルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学
的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0093】[実施例3] (セルロースアセテートの熟成)実施例2で用いた市販
のセルロースアセテート200gをジクロロメタン11
67mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータ
リーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発さ
せ留去した。酢酸2050g、水2.65gおよび過塩
素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロ
ースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に
対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含
まれる水の量の合計)は、1.63モル%であった。以
上の溶液を30℃で5時間保持して、セルロースアセテ
ートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラメータ
(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、92で
あった。
【0094】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例2と同様に後処理し
て、分析した。結果を、第1表および第2表に示す。ま
た、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)
および6位の置換度(6DS)については、図3および
図4のグラフに、3の黒丸としてプロットした。
【0095】(セルロースアセテート溶液の調製)製造
したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様
に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製し
た。得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存
したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。
さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維
持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0096】(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を用いて、実施例1
と同様に、セルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学
的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0097】[実施例4] (セルロースアセテートの熟成)実施例2で用いた市販
のセルロースアセテート200gをジクロロメタン11
67mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータ
リーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発さ
せ留去した。酢酸2050g、水18.35gおよび過
塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セル
ロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)
に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に
含まれる水の量の合計)は、4.18モル%であった。
以上の溶液を30℃で10時間保持して、セルロースア
セテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラメ
ータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、7
2であった。
【0098】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例2と同様に後処理し
て、分析した。結果を、第1表および第2表に示す。ま
た、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)
および6位の置換度(6DS)については、図3および
図4のグラフに、4の黒丸としてプロットした。
【0099】(セルロースアセテート溶液の調製)製造
したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様
に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製し
た。得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存
したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。
さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維
持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0100】(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を用いて、実施例1
と同様に、セルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学
的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0101】[実施例5] (セルロースアセテートの熟成)実施例2で用いた市販
のセルロースアセテート200gをジクロロメタン11
67mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータ
リーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発さ
せ留去した。酢酸2050g、水18.35gおよび過
塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セル
ロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)
に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に
含まれる水の量の合計)は、4.18モル%であった。
以上の溶液を30℃で15時間保持して、セルロースア
セテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラメ
ータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、1
07であった。
【0102】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例2と同様に後処理し
て、分析した。結果を、第1表および第2表に示す。ま
た、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)
および6位の置換度(6DS)については、図3および
図4のグラフに、5の黒丸としてプロットした。
【0103】(セルロースアセテート溶液の調製)製造
したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様
に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製し
た。得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存
したまま観察したところ、透明で均一な溶液であった。
さらに、20日間保存したところ、透明性と均一性が維
持され、良好な溶解性と溶液安定性が示された。
【0104】(セルロースアセテートフイルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液を用いて、実施例1
と同様に、セルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルムは、良好な光学
的性質(高い光学的等方性と透明性)を示した。
【0105】[比較例1] (セルロースアセテートの熟成)実施例1で合成したセ
ルロースアセテート200gをジクロロメタン1167
mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリー
エバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留
去した。酢酸2050g、水54.13gおよび過塩素
酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロー
スアセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対
する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含ま
れる水の量の合計)は、10.00モル%であった。以
上の溶液を30℃で20時間保持して、セルロースアセ
テートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラメー
タ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、60
であった。
【0106】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例2と同様に後処理し
て、分析した。結果を、第1表および第2表に示す。ま
た、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3DS)
および6位の置換度(6DS)については、図3および
図4のグラフに、C1の白丸としてプロットした。
【0107】(セルロースアセテート溶液の調製)製造
したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様
に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製し
た。得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存
したまま観察したところ、白濁が認められ、不透明な部
分(ままこ状物)が認められた。
【0108】[比較例2] (セルロースアセテートの熟成)実施例1で合成したセ
ルロースアセテート200gをジクロロメタン1167
mlと酢酸834mlの混合液に溶解し、ロータリーエ
バポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去
した。酢酸2050g、水54.13gおよび過塩素酸
の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロース
アセテートを溶解した。酢酸(アセチル供与体)に対す
る水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれ
る水の量の合計)は、10.00モル%であった。以上
の溶液を30℃で30時間保持して、セルロースアセテ
ートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラメータ
(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、90で
あった。
【0109】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に後処理し
た。次に、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3
DS)、6位の置換度(6DS)および重合度を測定し
た。測定結果は、第2表に示す。また、2位の置換度
(2DS)および3位の置換度(3DS)については、
図4のグラフに、C2の白丸としてプロットした(図3
では、圏外)。
【0110】(セルロースアセテート溶液の調製)製造
したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様
に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製し
た。得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存
したまま観察したところ、透明ではあるが、不均一な部
分が認められた。
【0111】[比較例3] (セルロースアセテートの合成)木材パルプを原料とす
るセルロース100質量部に、硫酸14.2質量部、無
水酢酸260質量部および酢酸360質量部を加えて、
40℃で95分間酢化反応を行った後、酢酸マグネシウ
ムを用いて、硫酸の2/3量を硫酸マグネシウムに中和
した。中和後の酢酸(アセチル供与体)に対する水の量
を計算したところ、20モル%であった。
【0112】(セルロースアセテートの熟成)得られた
溶液を65℃で100分間保ち、セルロースアセテート
を熟成した。その後、実施例1と同様に後処理して、セ
ルロースアセテートを分離した。熟成工程における反応
履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算した
ところ、15であった。
【0113】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第1表および第2表に示す。
【0114】(セルロースアセテート溶液の調製)製造
したセルロースアセテートを用いて、実施例1と同様
に、冷却溶解法でセルロースアセテート溶液を調製し
た。得られた溶液の状態を、常温(23℃)で静置保存
したまま観察したところ、透明ではあるが、不均一な部
分が認められた。
【0115】[比較例4] (セルロースアセテートの合成)コットンリンター55
0gに、酢酸2747g、無水酢酸1630gおよび硫
酸64.4gを加え、ニーダー中、120分をかけて0
℃から40℃まで昇温しながらアセチル化した。
【0116】(セルロースアセテートの熟成)得られた
溶液に酢酸マグネシウムの24質量%水溶液328gを
添加した。原料の含水率を考慮して、この溶液の組成を
計算すると、セルロースアセテート978g、酢酸40
53g、硫酸10.1g、水177gであった。水/ア
セチル供与体のモル比は、14.5%であった。溶液を
52℃で100分間保持して熟成した。熟成工程におけ
る反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計
算したところ、3.7であった。
【0117】(後処理)熟成終了後、24質量%酢酸マ
グネシウム水溶液376gを加えて攪拌した。得られた
溶液を激しく攪拌しながら約12リットルの10質量%
酢酸水溶液中に加え、得られた沈澱を濾別、流水洗浄、
そして熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行
って、50℃で乾燥した。
【0118】(セルロースアセテートの分析)製造した
セルロースアセテートについて、アセチル置換度(総置
換度)と重合度を測定した。さらに、逆相HPLCの溶
出曲線を測定し、それを分子間置換度分布曲線に変換し
て、最大ピークの半値幅を求めた。以上の結果を第1表
に示す。
【0119】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── セルロース アセチル 最大ピーク アセテート 置換度 置換度位置 半値幅 Y値 重合度 溶解性 ──────────────────────────────────── 実施例1 2.854 2.847 0.066 0.069 284 A 実施例2 2.854 2.854 0.067 0.069 302 A 実施例3 2.856 2.853 0.059 0.068 284 A 実施例4 2.786 2.795 0.067 0.081 305 A 実施例5 2.765 2.811 0.071 0.084 291 A 比較例1 2.684 2.692 0.100 0.097 350 C 比較例3 2.733 2.737 0.096 0.089 292 B 比較例4 2.844 2.851 0.086 0.070 298 B ──────────────────────────────────── (註) 置換度位置:最大ピークにおける置換度 Y値: Y=−0.1788X+0.5788(Xは置換度)の値 溶解性A: 透明で均一な溶液が得られる 溶解性B: 透明だが、不均一な部分がある 溶解性C: 白濁が認められ、不透明な部分がある
【0120】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── セルロース 水の量 パラメ セルロースアセテート置換度 アセテート (モル%) ータR 2DS 3DS 6DS 重合度 ──────────────────────────────────── 実施例1 4.68 41 0.959 0.955 0.940 284 実施例2 1.63 55 0.962 0.960 0.932 302 実施例3 1.63 92 0.960 0.953 0.943 284 実施例4 4.18 72 0.937 0.917 0.932 305 実施例5 4.18 107 0.929 0.896 0.940 291 比較例1 10.00 60 0.917 0.869 0.898 350 比較例2 10.00 90 0.882 0.826 0.907 339 比較例3 19.67 15 0.947 0.947 0.839 292 ────────────────────────────────────
【0121】[実施例6] (セルロースアセテートの合成)コットンリンターを原
料とするセルロース100質量部に、硫酸9.2質量
部、無水酢酸276質量部および酢酸551質量部を加
えて、常法によりセルロースをエステル化した。酢酸マ
グネシウムを用いて中和して得られたセルロースアセテ
ートを、62℃で40分間保持した。このようにしてセ
ルロースアセテートを合成した。
【0122】(セルロースアセテートの熟成)合成した
セルロースアセテートを用い、酢酸(アセチル供与体)
に対する水の量を1.63モル%、酢酸(アセチル供与
体)に対する過塩素酸(触媒)の量を0.498モル
%、そして反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)
を55に変更した以外は、実施例1と同様にして、熟成
工程を行った。
【0123】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に後処理し
て、分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置
換度(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の
置換度(6DS)については、図3および図4のグラフ
に、6の黒丸としてプロットした。
【0124】(赤外線吸収スペクトルの測定)絶乾した
セルロースアセテート200mgを、ジクロロメタン/
メタノール(9/1:質量比)5gに溶解した。得られ
た溶液をガラス板上に流延し、バーコータを用いて厚さ
を均一にした。これを風乾して、セルロースアセテート
フイルム試料を得た。フイルムの厚さは、(セルロース
アセテートの未置換水酸基由来の吸収バンドのピークに
おける)透過率が約40%となるように調節した。作製
したフイルムは、105℃で30分以上、真空乾燥し
た。そして、赤外線発生装置の窓枠に対して、充分な大
きさ(24mm×27mm)となるようにフイルムを裁
断した。これにより、赤外線が試料ホルダーにより遮蔽
されないようにした。フイルム試料は、窒素雰囲気下、
3650cm-1付近に認められる吸着水に由来すると思
われる吸収ピークが消失するまで保持した。測定は、パ
ーキンエルマー社製FT−IR1650型機を用いた。
測定した赤外線吸収スペクトルは、前述したように解析
して、半値幅(Δν1/2)を求めた。結果を第3表に示
す。
【0125】[実施例7] (セルロースアセテートの熟成)市販の(コットンリン
ターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度36
0、NMR測定による置換度2.84の)セルロースア
セテート1150質量部をジクロロメタン8220質量
部と酢酸4800質量部との混合液に溶解し、ロータリ
ーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ
留去した。得られたセルロースアセテートの酢酸ドープ
を反応槽に移し、セルロースアセテート1150質量部
に対して、酢酸11788質量部、水78質量部および
過塩素酸98質量部を添加した。酢酸(アセチル供与
体)に対する水の量は、2.2モル%であった。以上の
溶液を30℃で5時間保持して、セルロースアセテート
を熟成した。熟成工程における反応履歴パラメータ(R
=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、67.5で
あった。
【0126】(後処理)熟成終了後、過塩素酸に対して
1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の
酢酸溶液にして加え、10分間攪拌して反応を停止し
た。このようにして、粘度平均重合度が288、置換度
が2.84のセルロースアセテートを得た。
【0127】(セルロースアセテートの分析)得られた
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第3表に示す。また、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6
DS)については、図3および図4のグラフに、7の黒
丸としてプロットした。
【0128】(赤外線吸収スペクトルの測定)得られた
セルロースアセテートについて、実施例6と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第3表に示す。
【0129】(セルロースアセテート溶液の調製)得ら
れたセルロースアセテート15質量部を、室温(25
℃)において、メチルアセテート68質量部とアセトン
17質量部とに混合し、綿濃度15質量%のスラリーを
調製した。得られたスラリーは、透明ゲル状で、部分的
に不透明な、ままこ状物が認められた。このスラリー
を、ドライアイスで−40℃に温度調節したメタノール
浴中で2時間冷却した。取り出したスラリーには、溶媒
の浸透に伴う気泡が多数生じていた。これを室温で10
分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で10分
間保持した。これにより得られたセルロースアセテート
溶液は、透明で、流動性も良好であった。
【0130】[実施例8] (セルロースアセテートの熟成)市販の(コットンリン
ターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度36
0、NMR測定による置換度2.84の)セルロースア
セテート200質量部をジクロロメタン1600質量部
と酢酸867質量部との混合液に溶解し、ロータリーエ
バポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去
した。得られたセルロースアセテートの酢酸ドープを反
応槽に移し、セルロースアセテート200質量部に対し
て、酢酸2050質量部、水18.7質量部および70
質量%過塩素酸水溶液24.3質量部を添加した。酢酸
(アセチル供与体)に対する水の量は、4.2モル%で
あった。以上の溶液を30℃で10時間保持して、セル
ロースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履
歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したと
ころ、71であった。
【0131】(後処理)熟成終了後、過塩素酸に対して
1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の
酢酸溶液にして加え、10分間攪拌して反応を停止し
た。このようにして、粘度平均重合度が318、置換度
が2.81のセルロースアセテートを得た。
【0132】(セルロースアセテートの分析)得られた
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第3表に示す。また、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6
DS)については、図3および図4のグラフに、8の黒
丸としてプロットした。
【0133】(赤外線吸収スペクトルの測定)得られた
セルロースアセテートについて、実施例6と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第3表に示す。
【0134】(セルロースアセテート溶液の調製)得ら
れたセルロースアセテート15質量部を、室温(25
℃)において、メチルアセテート68質量部とアセトン
17質量部とに混合し、綿濃度15質量%のスラリーを
調製した。得られたスラリーは、透明ゲル状で、部分的
に不透明な、ままこ状物が認められた。このスラリー
を、ドライアイスで−40℃に温度調節したメタノール
浴中で2時間冷却した。取り出したスラリーには、溶媒
の浸透に伴う気泡が多数生じていた。これを室温で10
分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で10分
間保持した。これにより得られたセルロースアセテート
溶液は、透明で、流動性も良好であった。
【0135】[実施例9] (セルロースアセテートの熟成)市販の(コットンリン
ターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度36
0、NMR測定による置換度2.84の)セルロースア
セテートを用い、セルロースアセテートの熟成に要した
時間を15時間、酢酸(アセチル供与体)に対する水の
量を4.18モル%、酢酸(アセチル供与体)に対する
過塩素酸(触媒)の量を0.498モル%、そして反応
履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)を107に変更
した以外は、実施例1と同様にして、熟成工程を行っ
た。
【0136】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図3および図4のグラフに、
9の黒丸としてプロットした。
【0137】(赤外線吸収スペクトルの測定)得られた
セルロースアセテートについて、実施例6と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第3表に示す。
【0138】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 実施 水 反応 半値 セルロースアセテート置換度 例 (モル%) R 時間 幅 2DS 3DS 6DS 重合度 ──────────────────────────────────── 6 1.63 55 3 128 0.965 0.963 0.933 300 7 2.20 67.5 5 123 0.959 0.943 0.937 288 8 4.18 71 10 121 0.945 0.926 0.935 318 9 4.18 107 15 119 0.925 0.896 0.941 301 ──────────────────────────────────── (註) R: 反応履歴パラメータ 反応時間:セルロースアセテートの熟成に要した時間(hour) 半値幅: 波数3450〜3550cm-1における吸収極大の半値幅(cm-1
【0139】[実施例10] (赤外線吸収スペクトルの測定)総置換度(2DS+3
DS+6DS)が2.896、2DS+3DS−6DS
の値が0.896のセルロースアセテートについて、実
施例6と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図6に示す。半値幅(Δν1/2 )は、90であっ
た。
【0140】[実施例11] (赤外線吸収スペクトルの測定)総置換度(2DS+3
DS+6DS)が2.877、2DS+3DS−6DS
の値が0.967のセルロースアセテートについて、実
施例6と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図6に示す。半値幅(Δν1/2 )は、118であっ
た。
【0141】[比較例5] (赤外線吸収スペクトルの測定)総置換度(2DS+3
DS+6DS)が2.845、2DS+3DS−6DS
の値が1.069のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図6に示す。半値幅(Δν1/2 )は、137であっ
た。
【0142】[比較例6] (赤外線吸収スペクトルの測定)総置換度(2DS+3
DS+6DS)が2.925、2DS+3DS−6DS
の値が1.075のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図6に示す。半値幅(Δν1/2 )は、137であっ
た。
【0143】[実施例12] (セルロースアセテートの熟成)乾燥した市販の(木材
パルプを通常の条件でアセチル化して得られた重合度3
11、NMR測定による置換度2.85の)セルロース
アセテート500gを、ジクロロメタン1333gと酢
酸1033gとの混合液に溶解した。水13.31gを
含む酢酸150gを攪拌しながら加え、均一となった
後、40℃に保った。トルエンスルホン酸一水和物3
6.92gを含む酢酸150gを攪拌しながら加え、熟
成反応を開始した。酢酸(アセチル供与体)に対する水
の量は、4.2モル%であった。7時間後、無水酢酸ナ
トリウム29gを溶かした260gの酢酸を滴下し、熟
成反応を終了した。熟成工程における反応履歴パラメー
タ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、15
1であった。
【0144】(後処理)反応後の酢酸溶液からロータリ
ーエバポレータでジクロロメタンを留去した後、実施例
2と同様に激しく攪拌しながら約4.5リットルの水を
加えて沈澱を形成した。沈澱は、分離し、洗浄し、遠心
脱液し、さらに流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で
乾燥した。
【0145】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第4表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図3および図4のグラフに、
12の黒丸としてプロットした。
【0146】[実施例13] (セルロースアセテートの熟成)添加する水の量を2.
91gに変更(酢酸(アセチル供与体)に対する水の量
は、1.6モル%)し、反応時間を2時間20分に変更
した以外は、実施例12と同様にセルロースアセテート
を熟成し、後処理を実施した。熟成工程における反応履
歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したと
ころ、132であった。
【0147】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第4表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図3および図4のグラフに、
13の黒丸としてプロットした。
【0148】[実施例14] (セルロースアセテートの合成)水分8.2質量%を含
む解砕されたパルプ1520gに、698gの酢酸を均
一に散布し、攪拌の後、90分間室温で放置した。約−
10℃に冷却した無水酢酸3930.6g、酢酸575
5gおよび98%硫酸115.4gの混合液中に上記の
酢酸含浸パルプを投入し、混合した。外部冷却と外部加
温とによって、反応温度を反応開始時点の0℃から70
分後に37℃まで直線的に昇温し、さらに80分間、3
7℃を維持してセルロースアセテートを合成した。
【0149】(セルロースアセテートの熟成)合成した
セルロースアセテートの溶液に、30%酢酸水溶液38
3.7gを添加し、反応温度47℃で130分間保持し
た。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量は、6.0
モル%であった。その後、酢酸マグネシウム4水和物の
水溶液297gを加え、反応を停止した。熟成工程にお
ける反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を
計算したところ、43であった。
【0150】(後処理)得られた溶液を激しく攪拌しな
がら、約30リットルの10%酢酸水溶液に投入し、沈
澱を形成した。沈澱は、濾別し、流水洗浄し、熱水洗浄
し、さらに流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥
した。
【0151】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第4表に示す。また、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6
DS)については、図3および図4のグラフに、14の
黒丸としてプロットした。
【0152】
【表4】 第4表 ──────────────────────────────────── セルロース 水の量 パラメ セルロースアセテート置換度 アセテート (モル%) ータR 2DS 3DS 6DS 重合度 ──────────────────────────────────── 実施例12 4.20 151 0.953 0.936 0.925 288 実施例13 1.60 132 0.972 0.967 0.916 298 実施例14 6.00 43 0.973 0.967 0.923 303 ────────────────────────────────────
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で得られたセルロースアセテートの分
子間置換度分布曲線である。
【図2】比較例4で得られたセルロースアセテートの分
子間置換度分布曲線である。
【図3】式(I)〜(III)、(VI)〜(VIII)のアセチル
置換度の規定および実施例1〜9および12〜14と比
較例1のセルロースアセテートのアセチル置換度を説明
するためのグラフである。
【図4】式(III)、(IV)、(VII)、(VIII)および
(X)のアセチル置換度の規定および実施例1〜9およ
び12〜14と比較例1、2のセルロースアセテートの
アセチル置換度を説明するためのグラフである。
【図5】赤外線吸収スペクトルの半値幅を説明するため
のチャートである。
【図6】実施例10、11と比較例5、6との赤外線吸
収スペクトルを示すチャートである。
【符号の説明】
図1および図2のA 分子間置換度分布曲線の低置換度
側基部 図1および図2のB 分子間置換度分布曲線の高置換度
側基部 図1および図2のC ピーク(E)から横軸への垂線と
ベースライン(A−B)との交点 図1および図2のD ピーク(E)と交点(C)との中
間点 図1および図2のE 分子間置換度分布曲線の最大ピー
ク 図1および図2のA’、B’ 中間点(D)を通ってベ
ースライン(A−B)と平行な直線と、分子間置換度分
布曲線との二つの交点 図1および図2のDS アセチル置換度 2DS 2位のアセチル置換度 3DS 3位のアセチル置換度 6DS 6位のアセチル置換度 2DS+3DS 2位のアセチル置換度および3位のア
セチル置換度の合計 1の黒丸 実施例1のセルロースアセテート 2の黒丸 実施例2のセルロースアセテート 3の黒丸 実施例3のセルロースアセテート 4の黒丸 実施例4のセルロースアセテート 5の黒丸 実施例5のセルロースアセテート 6の黒丸 実施例6のセルロースアセテート 7の黒丸 実施例7のセルロースアセテート 8の黒丸 実施例8のセルロースアセテート 9の黒丸 実施例9のセルロースアセテート 12の黒丸 実施例12のセルロースアセテート 13の黒丸 実施例13のセルロースアセテート 14の黒丸 実施例14のセルロースアセテート C1の白丸 比較例1のセルロースアセテート C2の白丸 比較例2のセルロースアセテート (I) 2DS+3DS=6DS×4−1.70に相当
する実線 (II) 2DS+3DS=−6DS×4+5.70に相
当する実線 (III) 2DS+3DS=1.80に相当する実線 (IV) 3DS=2DSに相当する実線 (VI) 2DS+3DS=6DS+1に相当する実線 (VII) 2DS+3DS=1.82に相当する実線 (VIII) 2DS+3DS=1.84に相当する実線 (X) 3DS=2DS×2−1に相当する実線 図5のA 吸収バンドの高波数側基部 図5のB 吸収バンドの低波数側基部 図5のC ピーク(E)から横軸への垂線とベースライ
ン(A−B)との交点 図5のD ピーク(E)と交点(C)との中間点 図5のE 吸収バンドのピーク 図5のA’、B’ 中間点(D)を通ってベースライン
(A−B)と平行な直線と、スペクトルとの二つの交点 図5のΔν1/2 半値幅 10 実施例10の赤外線吸収スペクトル 11 実施例11の赤外線吸収スペクトル C5 比較例5の赤外線吸収スペクトル C6 比較例6の赤外線吸収スペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅井 種美 兵庫県加古川市尾上町口里479−1−401 Fターム(参考) 4C090 AA05 BA26 BD36 CA39 DA32 4F071 AA09 AF29 AH19 BA02 BB02 BC01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースアセテートを、触媒、アセチ
    ル供与体、および水またはアルコールの存在下、かつ水
    およびアルコールの量がアセチル供与体の0.1乃至1
    0モル%の条件下で熟成することにより、分子間または
    分子内のアセチル置換度を調整することを特徴とするセ
    ルロースアセテートのアセチル置換度の調整方法。
  2. 【請求項2】 セルロースを溶媒中で酸触媒の存在下、
    酢酸または無水酢酸と反応させてセルロースアセテート
    を合成する工程、そして、合成したセルロースアセテー
    トを、残存する酸触媒、アセチル供与体、および水また
    はアルコールの存在下、かつ水およびアルコールの量が
    アセチル供与体の0.1乃至10モル%の条件下で熟成
    する工程からなるセルロースアセテートの製造方法。
  3. 【請求項3】 セルロースを溶媒中で酸触媒の存在下、
    酢酸または無水酢酸と反応させてセルロースアセテート
    を合成する工程、酸触媒を中和して反応を停止する工
    程、そして、合成したセルロースアセテートを、触媒、
    アセチル供与体、および水またはアルコールの存在下、
    かつ水およびアルコールの量がアセチル供与体の0.1
    乃至10モル%の条件下で熟成する工程からなるセルロ
    ースアセテートの製造方法。
  4. 【請求項4】 アセチル置換度が2.636乃至2.9
    58であるセルロースアセテートであって、分子間置換
    度分布曲線の最大ピークが0.080未満の半値幅を有
    することを特徴とするセルロースアセテート。
  5. 【請求項5】 分子間置換度分布曲線の最大ピークが下
    記式で定義されるYよりも小さい値の半値幅を有する請
    求項4に記載のセルロースアセテート: Y=−0.1788X+0.5788 [式中、Xは、セルロースアセテートのアセチル置換度
    である]。
  6. 【請求項6】 アセチル置換度が2.636乃至2.9
    58であるセルロースアセテートであって、分子間置換
    度分布曲線の最大ピークが下記式で定義されるYよりも
    小さい値の半値幅を有することを特徴とするセルロース
    アセテート: Y=−0.1788X+0.5788 [式中、Xは、セルロースアセテートのアセチル置換度
    である]。
  7. 【請求項7】 3450乃至3550cm-1の波数に赤
    外線吸収スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の
    半値幅が135cm-1以下であることを特徴とするセル
    ロースアセテート。
  8. 【請求項8】 2位、3位および6位のアセチル置換度
    が、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴とする
    セルロースアセテート: (I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70 (II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70 (III) 2DS+3DS>1.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
    Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
    は、6位のアセチル置換度である]。
  9. 【請求項9】 2位、3位および6位のアセチル置換度
    が、下記式(III)〜(V)を満足することを特徴とする
    セルロースアセテート: (III) 2DS+3DS>1.80 (IV) 3DS<2DS (V) 6DS>0.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
    Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
    は、6位のアセチル置換度である]。
  10. 【請求項10】 請求項4乃至9のいずれか一項に記載
    のセルロースアセテートが有機溶媒中に溶解しているセ
    ルロースアセテート溶液。
  11. 【請求項11】 有機溶媒が、実質的にハロゲン化炭化
    水素を含まない請求項10に記載のセルロースアセテー
    ト溶液。
  12. 【請求項12】 請求項4乃至9のいずれか一項に記載
    のセルロースアセテートを有機溶媒で膨潤させる工程;
    得られた膨潤混合物を、−100乃至−10℃に冷却す
    る工程;冷却した混合物を0乃至200℃に加温して、
    セルロースアセテートの有機溶媒溶液を得る工程;そし
    て、得られた有機溶媒溶液を支持体上に塗布して、セル
    ロースアセテートフイルムを形成する工程からなるセル
    ロースアセテートフイルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項4乃至9のいずれか一項に記載
    のセルロースアセテートからなるセルロースアセテート
    フイルム。
  14. 【請求項14】 3450乃至3550cm-1の波数に
    セルロースアセテートを起源とする赤外線吸収スペクト
    ルの吸収極大を有し、その極大吸収の半値幅が135c
    -1以下であることを特徴とするセルロースアセテート
    フイルム。
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