JP2013051750A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】セグメントコイル導線を曲げ加工して構成されるコイルの曲げ加工精度を向上させることができる絶縁紙を備えた回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機は、複数のコイル導線100がステータコア28に形成されたスロット38内に挿入されてから曲げ加工されて連結されることによってステータコア28に巻装されるコイルと、スロット38の内壁とコイル導線100との間に介在されて両者を絶縁する絶縁紙50とを備える。絶縁紙50は、スロット38の軸方向外側にそれぞれ突出する両端部58,60を有し、コイル導線100の挿入側の一方端部58のみにステータコア28の軸方向端面に係合可能な折り返し部62が形成されており、他方端部60は1枚分の厚みの絶縁紙部分からなる。
【選択図】図8
【解決手段】回転電機は、複数のコイル導線100がステータコア28に形成されたスロット38内に挿入されてから曲げ加工されて連結されることによってステータコア28に巻装されるコイルと、スロット38の内壁とコイル導線100との間に介在されて両者を絶縁する絶縁紙50とを備える。絶縁紙50は、スロット38の軸方向外側にそれぞれ突出する両端部58,60を有し、コイル導線100の挿入側の一方端部58のみにステータコア28の軸方向端面に係合可能な折り返し部62が形成されており、他方端部60は1枚分の厚みの絶縁紙部分からなる。
【選択図】図8
Description
本発明は、回転電機に係り、特に、磁性コアのスロットに挿入されたコイル導線と前記スロットの内壁との間に絶縁紙が介在されている回転電機に関する。
従来、回転電機のステータにおいて、ステータコアのスロット内に挿入されたコイルとステータコアとを絶縁するための絶縁紙を備えたものが知られている。
例えば、特開2008−289284号公報(特許文献1)には、平板を積層して形成されるスタータコアと、ステータコアに設けられたスロット部に挿入されるコイルとを備えた電動機に用いられ、ステータコアとコイルとを絶縁する絶縁紙であって、絶縁紙とコイルとの間にはコイルを固着する固着材が充填されるものが開示されている。この絶縁紙は、ステータコアにおけるスロット部の内壁に沿って形成され、コイルを内周側に備える筒状の本体部と、本体部に接続され、スロット部から突出し、スロット部から離れるほどスロット部の内壁より本体部の外周側に広がるように傾斜する傾斜面とを含むことが記載されている。これにより、コイルと絶縁紙との間に固着材を充填する際に、固着材が絶縁紙とステータコアとの間に流れ込むことを抑制できる、とされている。
また、特開2009−38918号公報(特許文献2)には、ティース部を有するステータコアと、ティース部に巻回されるステータコイルと、ティース部とステータコイルとの間に設けられる絶縁紙と、ティース部の軸方向端部に設けられ、ティース部にステータコイルが巻回されることにより変形可能であるとともに絶縁紙よりも柔らかい軟質部分とを備えたステータが開示されている。これにより、ステータコイルを構成するセグメントコイル導線を曲げ加工する際にティース部とセグメントコイル導線との間に絶縁紙が挟みこまれることによる損傷を抑制することができる、と記載されている。
上記特許文献2に記載されるように、複数のセグメントコイル導線をスロット内に挿入してから曲げ加工を施した後に各セグメントコイル導線の端部同士を溶接等によって接続することによりステータコイルが形成されるステータを備えた回転電機では、曲げ冶具を用いてステータコアの端部から突出したセグメントコイル導線の脚部を曲げ加工するとき、例えば特許文献1に記載されるようにスロットから突出した絶縁紙の端部が複数枚分の紙厚が重なって分厚くなると、曲げ冶具を上記脚部へ近接して配置しにくくなり曲げ加工の精度が悪くなるという問題がある。特に、軸方向端部においてステータコアの端面から突出するコイルエンド部がこのように曲げ加工された多数のセグメントコイル導線の脚部によって構成される場合、曲げ加工精度の悪化の積み重なりによってコイルエンド部の軸方向寸法が増加し、ステータが大型化することにつながる。
本発明の目的は、セグメントコイル導線を曲げ加工して構成されるコイルの曲げ加工精度を向上させることができる絶縁紙を備えた回転電機を提供することである。
本発明に係る回転電機は、複数のコイル導線が磁性コアに形成されたスロット内に挿入されてから曲げ加工されて連結されることによって前記磁性コアに巻装されるコイルと、前記スロットの内壁と前記コイル導線との間に介在されて両者を絶縁する絶縁紙とを備える回転電機であって、前記絶縁紙は、前記スロットの軸方向外側にそれぞれ突出する両端部を有し、これらの端部のうち前記スロットへの前記コイル導線の挿入側の一方端部のみに前記磁性コアの軸方向端面に係合可能な折り返し部が形成されており、前記絶縁紙の他方端部は1枚分の厚みの絶縁紙部分からなるものである。
本発明に係る回転電機では、スロットの軸方向外側にそれぞれ突出する絶縁紙の両端部のうち、一方端部に折り返し部が形成され、他方端部は1枚分の厚みの絶縁紙部分からなるものとしたので、コイル導線の脚部を曲げ冶具を用いて曲げ加工するときに曲げ冶具をコイル導線の脚部に最接近させた状態で曲げ加工を施すことができる。これにより、コイル導線の曲げ加工を精度良く行なうことができ、コイルエンド部ひいてはステータの大型化を抑制することができる。
また、本発明に係る回転電機では、絶縁紙の一方端部に形成された折返し部の先端が磁性コアの端面に係合することで、絶縁紙の軸方向位置決めを容易に行うことができ、前記折返し部が形成された側から絶縁紙内側にコイル導線を挿入する際に絶縁紙が軸方向にずれるのを効果的に抑制することができる。
以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転電機10の側断面図である。図1に示すように、回転電機10は、回転軸Xを中心に回転可能に設けられた回転シャフト12に固設されたロータ14と、このロータ14の周囲に設けられた筒状のステータ16とを備えている。
ロータ14は、複数の電磁鋼板を積層して形成された円柱状のロータコア18と、このロータコア18の外周縁部側に形成され、回転軸X方向に延びる永久磁石挿入孔20内に挿入された複数の永久磁石22と、ロータコア18を軸方向両側から挟持するエンドプレート24とを備えている。そして、永久磁石22は、樹脂26によって永久磁石挿入孔20内に固定されている。なお、ロータは、永久磁石を備えていない例えば突極形のロータであってもよい。
ステータ16は、ロータ14の周囲を取り囲むように略円筒状に形成されたステータコア28と、このステータコア28に装着されたコイル30とを備えている。ステータコア28は、円筒状のケース32の内周面上に固定されている。ステータコア28は、円環状に打ち抜き加工された多数の電磁鋼板を軸方向に積層して例えばカシメ等により一体に連結されて構成される。ただし、これに限定されるものではなく、ステータコア28は、鋼板積層体または圧粉磁心からなる複数の分割コアを円環状に配列して、上記ケース32により一体に固定してなるものであってもよい。
図2は、図1に示すA−A線におけるステータコア28の断面図である。図2に示すように、ステータコア28は、ステータコア28の周方向に延びる環状のヨーク部34と、このヨーク部34の内周面からロータ14に向けて径方向内方へ突出し、周方向に間隔をあけて設けられたティース部36とを備えている。そして、各ティース部36間には、ステータコア28の径方向に延びるスロット38が形成されている。スロット38も、ティース部36と同様に、周方向に間隔を置いて形成されるとともに、ステータコア28の軸方向にわたって延びている。
図3は、ステータ16における1つのスロット38を拡大して示す断面図である。図4は、スロット38内に配置される絶縁紙50の斜視図である。スロット38は、ステータコア28の内周面に向けて開口している。このスロット38の径方向内方側の開口部40は、周方向に隣り合うティース部36の径方向内方側の端面によって規定されている。
ここで、ティース部36は、ヨーク部34の内周面からステータコア28の径方向に向けて突出する本体部42と、この本体部42の径方向内方側端部に形成され、ステータコア28の周方向に張り出した張出部44,45とを備えている。これにより、径方向内方側の開口部40は、両側の張出部44,45間に規定され、開口部40よりも径方向外側のスロット38の幅wよりも狭く形成されている。なお、本実施形態では、スロット38は、開口部40を除いて、周方向の幅wが径方向にわたって一定に形成されている。
スロット38の内表面は、最も径方向外方側に位置する内周面381と、この内周面381に連設して、ティース部36の本体部42の側面によって規定された側壁面382と、側壁面382と周方向に対向する側壁面383と、径方向内方側において側壁面382に連設された前壁面384と、径方向内方側において側壁面383に連設された前壁面385とを備えている。ここで、前壁面384は張出部44の背面によって規定されており、前壁面385は張出部45の背面によって規定されている。
このように形成されたスロット38には、スロット38の内表面に沿って配設された絶縁紙50が挿入されている。絶縁紙50は、図3および図4に示すように、1枚の絶縁シートが略コ字状に折り曲げ加工されて形成されている。絶縁シートには、例えば樹脂製のシートまたはフィルムを好適に用いられるが、ステータコア28とコイル30との電気絶縁性を確保でき且つ折り曲げ加工が容易な可撓性を有していれば例えば不織布等の他の薄い材料が用いられてもよい。また、絶縁紙50は、一層構造のものに限定されず、基材層上に接着層等が積層された複数層構造のものであってもよい。
絶縁紙50は、側壁面382に沿って延びる側面絶縁部52と、側壁面383に沿って延びる側面絶縁部54と、側面絶縁部52および側面絶縁部54の各端部を径方向外方側において接続する外周絶縁部56とを有する。ここで、絶縁紙50において、側面絶縁部52,54の長手方向(すなわち径方向)の長さは、スロット38の側壁面382,383とほぼ同じ径方向長さに形成されている。これにより、側面絶縁部52,54の各内周側端部は、開口部40に臨んで開いた状態で対向している。
このように絶縁紙50が挿入されたスロット38内には、コイル30が挿入されている。コイル30は、絶縁紙50によってステータコア28と絶縁された状態で配置されている。コイル30は、断面が略四角形をなす角線からなるコイル素線68によって構成され、1つのスロット38内で複数(本実施形態では10本)のコイル素線68が一列に並んで配置されている。このように角線をスロット38にほぼ隙間なく配列することで、スロット38内に占めるコイル素線の体積比である占積率が高くなり、回転電機10の出力効率が向上する。
本実施形態のコイル素線68には、長方形状断面の平角線が用いられるが、略正方形状断面を有する角線が用いられてもよいし、あるいは、円形断面の導線が用いられてもよい。また、コイル素線68の周方向の幅は、スロット幅wから側面絶縁部52,54の厚みを減じた値よりも若干小さく設定されている。すなわち、スロット38に配置された絶縁紙50内にコイル素線68が軸方向から挿入されるときに、コイル素線68が絶縁紙50の内面とできるだけ接触しないようにして挿入可能にするためである。さらに、最内周部に位置するコイル素線68の径方向内方の側面とティース部36の径方向内方側の端面との間に予め定められた距離dが確保されるようにするのが好ましい。これにより、ロータ14からコイル30への鎖交磁束量を減少させてコイル銅渦損の発生を抑制することができ、回転電機10の出力効率を向上させることができる。
図5に示すように、絶縁紙50は、ステータコア28よりも長い軸方向長さを有しており、スロット38内に軸方向から挿入および配置されたときステータコア28の軸方向端面から外側へそれぞれ突出することとなる2つの端部58,60を有している。絶縁紙50の一方の端部58には、折り返し部62が形成されている。これに対し、絶縁紙50の他方の端部には、折り返し部が形成されておらず、1枚分の厚みの絶縁紙部分からなっている。絶縁紙50の折り返し部62は、絶縁シートの端部を一定幅で折り曲げて形成されており、スロット38に挿入配置されたときに先端63がステータコア28の軸方向端面に係合することによって絶縁紙50の軸方向位置を正確に決める機能を有する。
図4において、絶縁紙50の一方端部58の軸方向長さLuが折り返し部62の長さにほぼ相当する。また、絶縁紙50においてスロット38内に配置されるスロット内部分の軸方向長さLsが、ステータコア28の軸方向長さに相当する。さらに、絶縁紙50の他方端部60の長さLuは、一方端部58の長さLtと同じであってもよいし、あるいは、長さLtよりも短く形成されてもよい。このように他方端部60の長さを比較的短くすることにより、絶縁紙50の使用量を低減でき、コスト削減を図れる。
本実施形態に係る回転電機10は、三相交流電力が供給されており、コイル30は、U相コイルと、V相コイルと、W相コイルとを備えている。これらの三相コイルは、例えば、周方向に48個並んで形成されているスロット38において、それぞれ16個のスロット38に各相コイルが収容されている。この場合、周方向に沿って各スロット38内にU相コイル、V相コイルおよびW相コイルを順次に配置してもよいし、あるいは、隣接する2つずつのスロット38内に同相コイルを挿入して周方向に順次に各相コイルを配置してもよい。
図5は、コイル30を構成するコイル素線68の単位となるセグメントコイル導線100を示す斜視図である。セグメントコイル導線100は、断面矩形状の平角線を略U字形に曲げて形成されており、互いに平行に延びた2本の脚部102,104と、各脚部102,104の基端部に連続する連続部106とを備えている。脚部102,104の先端部は、それぞれ、絶縁被覆が除去されることによって例えば銅製の芯材108が露出している。上記各脚部102,104の中間部分102a,104aがスロット38内に配置されるコイル素線68を構成する。
このような形状のセグメントコイル導線100の脚部102,104が周方向に離間した2つのスロット38内に挿入されている絶縁紙50の内側にステータコア28の軸方向一端側から挿入される。そして、複数のセグメントコイル導線100が同じようにして2つのスロット38に順次に挿入されて径方向に配列されることにより、スロット38内にコイル素線68が整列して挿入された状態とされる。このとき、各脚部102,104の先端部分は、ステータコア28の軸方向他端面から突出している。
そして、セグメントコイル導線100の脚部102,104の先端部分は、ステータコア28の軸方向他端側において、図5中に破線110で示すように外側へ曲げられて周方向に隣接する同相コイルの別のセグメントコイル導線100の脚部102または104と芯材108同士が溶接されて接続されるか、又は、図5中に一点鎖線112で示すように内側へ曲げられて径方向の内方および外方にそれぞれ隣接する別のセグメントコイル導線100の脚部102または104と芯材108同士が溶接されて接続されるか、又は、一方の脚部102が外側へ曲げられる一方で他方の脚部104が内側へ曲げられて周方向または径方向に隣接する別のセグメントコイル導線100と芯材108同士が溶接されて接続される。
このようにしてスロット38に配置されたセグメントコイル導線100が順次に電気接続されることによりU相コイル、V相コイルおよびW相コイルが構成される。そして、各相コイルの一端部が回転電機10の三相交流電力の入力端子にそれぞれ接続され、各相コイルの他端部が中性点において共通接続される。
次に、図6〜図9を参照して、ステータコア28に対する絶縁紙50の挿入配置、ならびに、セグメントコイル導線100の挿入および曲げ加工について説明する。
図6は、スロット38に絶縁紙50が挿入される様子を、ステータコア28の内周側から見た状態で示す図である。図7は、スロット38内に配置された絶縁紙50の内側にセグメントコイル導線100が挿入される様子を、ステータコア28の内周側から見た状態で示す図である。図8は、スロット38内に挿入されたセグメントコイル導線100の脚部102が曲げ冶具70を用いて曲げ加工を施すときの様子を、ステータコア28の内周側から見た状態で示す図である。図9は、図8におけるB部の拡大図である。なお、図6〜9において、スロット38内を見易くするためにティース部36の張出部44,45の図示が省略されている。
図6(図7〜9も同様)において、ステータコア28は、軸方向が上下方向に沿って配置されている。この状態で、絶縁紙50がステータコア28の下側からスロット38に挿入される。このとき、絶縁紙50は、折り返し部62が設けられていない側の他方端部60からスロット38の軸方向開口部から挿入される。
そして、図7に示すように、絶縁紙50がスロット38に挿入されると、絶縁紙50の一方端部58に設けられた折り返し部62の先端63がティース部36の下端面、すなわちステータコア28の下端面に当接する。これにより、絶縁紙50のステータコア28に対する軸方向位置が正確に位置決めされる。このとき、絶縁紙50の他方端部60は、ステータコア28の上端面から所定長さだけ突出した状態となっている。このようにして絶縁紙50のスロット38内への挿入および配置が終了する。
続いて、セグメントコイル導線100の脚部102,104(ここでは一方の脚部102のみ図示)が、スロット38に配置された絶縁紙50の内側に下方から軸方向に沿って上方へと挿入される。このとき、セグメントコイル導線100のステータコア28に対する軸方向位置は、図示しない位置決め用の冶具または装置によって正確に決められる。あるいは、セグメントコイル導線100の連続部106が絶縁紙50の一方端部58に当接することによってステータコア28に対するセグメントコイル導線100の軸方向位置が決められてもよい。
セグメントコイル導線100の挿入時に脚部102が絶縁紙50の内面に接触することがあっても、絶縁紙50の折り返し部62がステータコア28の下端面に係合していることにより、絶縁紙50の軸方向位置がずれるのを効果的に抑制することができる。
セグメントコイル導線100の脚部102の絶縁紙50内側への挿入および配置が完了すると、次に、図8に示すように、ステータコア28の上端面から突出した脚部102,104の先端部に曲げ加工を施す。このとき、ステータコア28の上端面の上に曲げ冶具70が載置される。曲げ冶具70は、上面に略円弧状の湾曲面を有するとともに、径方向に沿ってスロット38以上の所定長さを有している。
上記のような曲げ冶具70を用いてセグメントコイル導線100の脚部102を曲げ加工するとき、曲げ冶具70は、セグメントコイル導線100の脚部102の先端部にできるだけ近接した状態に配置して、脚部102の先端を矢印C方向に曲げるのが好ましい。
しかし、スロット38から突出した絶縁紙50の上端部に折り曲げ部が形成されていると、その分、複数枚分の絶縁紙厚みが重なって分厚くなるために曲げ冶具70を上記脚部102へ近接して配置しにくくなり曲げ加工の精度が悪くなる。特に、軸方向端部においてステータコア28の上端面から突出するコイルエンド部がこのように曲げ加工された多数のセグメントコイル導線100の脚部102,104によって構成される場合、曲げ加工精度の悪化の積み重なりによってコイルエンド部の軸方向寸法が増加し、ステータ16が大型化することにつながる。
これに対し、本実施形態では、ステータコア28の上端面から突出した絶縁紙50の他方端部60は、1枚分の厚みの絶縁紙部分からなるものとしてある。したがって、図9に示すように、1枚分の絶縁紙部分からなる他方端部60を挟んだ状態で曲げ冶具70を脚部102に最接近させた状態で配置することができる。これにより、セグメントコイル導線100の脚部102,104の曲げ位置および曲げ形状を正確に規定することが可能になって精度良く曲げ加工することができ、コイル30のコイルエンド部ひいてはステータ16の大型化を抑制することができる。なお、セグメントコイル導線100の曲げ加工においては、脚部102,104に捻りも加えながら曲げ加工を施してもよい。
また、径方向内方側が閉じた筒状の絶縁紙を用いた場合にはセグメントコイル導線100の脚部102,104の曲げ加工に伴う引っ張り力が作用することによって絶縁紙の径方向内方側部分が破損するおそれがあるが、本実施形態における絶縁紙50は、径方向内方側が開放されているためセグメントコイル導線100の曲げ加工時に側面絶縁部52,54が破損することがなく、コイル30に対する絶縁性能を維持および確保することができる。
上記のようにしてスロット38に配置された全てのセグメントコイル導線100の脚部102,104について曲げ加工が施された後、脚部102,104の先端に露出した芯材108同士が溶接されてコイル30が形成される。これにより、ステータコア28に対するコイル30の巻装が完了する。
なお、本発明に係る回転電気は、上記実施形態で説明した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項およびその均等な範囲内において種々の変形や改良がなされてもよいことは勿論である。
例えば、上記においてはコイルが巻装される磁性コアがステータコアである例について説明したが、磁性コアであるロータコアにコイルが巻装される場合にも本発明は適用可能である。
例えば、上記においてはコイルが巻装される磁性コアがステータコアである例について説明したが、磁性コアであるロータコアにコイルが巻装される場合にも本発明は適用可能である。
10 回転電機、12 回転シャフト、14 ロータ、16 ステータ、18 ロータコア、20 永久磁石挿入孔、22 永久磁石、24 エンドプレート、26 樹脂、28 ステータコア、30 コイル、32 ケース、34 ヨーク部、36 ティース部、38 スロット、40 開口部、42 本体部、44,45 張出部、50 絶縁紙、52,54 側面絶縁部、56 外周絶縁部、58 一方端部、60 他方端部、62 折り返し部、63 先端、68 コイル素線、70 曲げ冶具、100 セグメントコイル導線、102,104 脚部、102a,104a 中間部分、106 連続部、108 芯材、381 内周面、382,383 側壁面、384,385 前壁面、d 距離、w スロット幅、X 回転軸。
Claims (1)
- 複数のコイル導線が磁性コアに形成されたスロット内に挿入されてから曲げ加工されて連結されることによって前記磁性コアに巻装されるコイルと、前記スロットの内壁と前記コイル導線との間に介在されて両者を絶縁する絶縁紙とを備える回転電機であって、
前記絶縁紙は、前記スロットの軸方向外側にそれぞれ突出する両端部を有し、これらの端部のうち前記スロットへの前記コイル導線の挿入側の一方端部のみに前記磁性コアの軸方向端面に係合可能な折り返し部が形成されており、前記絶縁紙の他方端部は1枚分の厚みの絶縁紙部分からなる、回転電機。
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