JP2013085476A - 回転電機の固定子 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定子巻線と固定子鉄心との間の絶縁性確保することができる回転電機の固定子を提供すること。
【解決手段】周方向に複数のスロット35が形成された円筒状の固定子鉄心31と、外周に絶縁被膜層39を有するセグメント33によって形成され、スロット35に収容される固定子巻線32とを備えたMG10の固定子30において、固定子鉄心31の両端面におけるスロット35の周縁を曲面部37aとする。これにより、固定子巻線32が固定子鉄心31の端面におけるスロット35の周縁に接触しても、固定子鉄心31側の接触部が曲面部37aであるため、セグメント33の外周に設けられた絶縁被膜層39の損傷を抑制することができる。この結果、固定子巻線32と固定子鉄心31との間の絶縁性を確保することができる。
【選択図】図7
【解決手段】周方向に複数のスロット35が形成された円筒状の固定子鉄心31と、外周に絶縁被膜層39を有するセグメント33によって形成され、スロット35に収容される固定子巻線32とを備えたMG10の固定子30において、固定子鉄心31の両端面におけるスロット35の周縁を曲面部37aとする。これにより、固定子巻線32が固定子鉄心31の端面におけるスロット35の周縁に接触しても、固定子鉄心31側の接触部が曲面部37aであるため、セグメント33の外周に設けられた絶縁被膜層39の損傷を抑制することができる。この結果、固定子巻線32と固定子鉄心31との間の絶縁性を確保することができる。
【選択図】図7
Description
本発明は、回転電機の固定子に関するものである。
従来より、固定子鉄心のスロットに複数の導体セグメントを挿入するとともに、その複数の導体セグメントを各々接合して固定子巻線を形成したセグメント接合型の回転電機の固定子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この固定子では、略U字状の複数の導体セグメントを固定子鉄心の一方の端面側から挿入した後に反挿入側の端部同士を接合することで固定子巻線が形成されている。
回転電機においては、固定子鉄心と固定子巻線との間の絶縁を確保することが重要であり、絶縁性確保のための様々な対策が考案されている。特許文献1に記載の固定子では、固定子鉄心はスロットに対応する凹部がプレス型を用いて打ち抜かれた鋼板シートを積層して形成されており、打ち抜きによって生じたばりの向きが一方向に揃うように鋼板シートが積層されている。そして、導体セグメントの挿入方向は、鋼板シートの打ち抜き方向と同方向とされている。これにより、導体セグメントはばりの延びる方向に沿って挿入されるので、導体セグメントに設けられた絶縁被膜が挿入時に損傷を受けることが抑止される。
ところが、特許文献1に記載の固定子では、固定子鉄心における導体セグメントの反挿入側端面で、ばりがスロットの外部に向けて延びている。そのため、導体セグメントの挿入後において、スロットの反挿入側の端部に導体セグメントが接触した際に導体セグメントの絶縁被膜が損傷を受けやすく、固定子鉄心と固定子巻線との間の絶縁性を確保できないおそれがある。
特開2000−92801号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、固定子巻線と固定子鉄心との間の絶縁性を確保することができる回転電機の固定子を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
請求項1に記載の発明では、周方向に複数のスロットが形成された円筒状の固定子鉄心と、外周に絶縁被膜層を有する電気導体によって形成され、前記スロットに収容される固定子巻線とを備えた回転電機の固定子において、前記固定子鉄心は、前記スロットの形状が打ち抜かれた鋼板シートを積層して形成されており、前記鋼板シートは、前記固定子鉄心における両端側から中央側に向けてばりが延びるように積層されており、前記電気導体の外周にエナメル層を設けるとともに、当該エナメル層の外周に押出被覆樹脂層を設けることにより、前記絶縁被膜層を形成したものであって、前記絶縁被膜層を、前記ばりの突出長さよりも厚くし、前記スロット内壁面と前記固定子巻線との間にシート状のインシュレータを配置しないインシュレータレスの構成としたことを特徴としている。
固定子巻線は固定子鉄心の端面から出た電気導体が周方向に曲げられて形成されるため、スロット内においても周方向に傾斜する場合がある。この場合、ばり合わせ部がスロット内における軸方向の中央付近に位置していると、スロット内に配置された電気導体とばり合わせ部の先端部との間に間隔を確保しやすくなる。この結果、電気導体とばり合わせ部の先端部との間におけるコロナ放電の発生を抑止することが可能となる。
さらに、請求項1に記載の発明では、前記電気導体の外周にエナメル層を設けるとともに、当該エナメル層の外周に押出被覆樹脂層を設けることにより、前記絶縁被膜層を形成したことを特徴としている。この構成とすることで、絶縁被膜層を厚く形成することが容易となる。
請求項2に記載の発明では、前記鋼板シートをその打ち抜き方向の入口側の面が前記固定子鉄心の端面となるように積層したことを特徴としている。
鋼板シートを打ち抜くことによりスロットの形状を形成すると打ち抜き方向の入口側が変形するので、スロットの形状に対応する凹部の周縁部における打ち抜き方向入口側に曲面部が形成される。これにより、鋼板シートの打ち抜き方向の入口側の面を固定子鉄心の端面とすることで、固定子鉄心の端面におけるスロットの周縁部を曲面とすることができる。
請求項3に記載の発明では、前記固定子鉄心において、前記固定子鉄心の軸方向の中央約1/3の範囲の位置で、互いに逆方向に延びる前記ばり同士を対向させてばり合わせ部を設けたことを特徴としている。
請求項4に記載の発明では、前記固定子鉄心の両端面における前記スロットの周縁部を曲面としたことを特徴としている。これにより、固定子巻線を構成する電気導体が固定子鉄心の端面におけるスロットの周縁部に接触しても、固定子鉄心側の接触部が曲面であるため、電気導体の外周に設けられた絶縁被膜層の損傷を抑制することができる。この結果、固定子巻線と固定子鉄心との間の絶縁性を確保することが可能となる。
請求項5に記載の発明では、前記絶縁被膜層を、前記鋼板シートの周方向のばらつき幅と前記ばりの突出長さとの和よりも厚くしたことを特徴としている。これにより、電気導体の絶縁被膜層が、ばりや積層ばらつきによるスロット内壁面の段差によって損傷を受けた場合でも、その損傷により電気導体が露出する可能性が小さくなる。その結果、固定子鉄心と固定子巻線との間で絶縁破壊が起こることを抑止することができる。なお、前記絶縁被膜層は、固定子鉄心におけるばりの最大突出長さ及び鋼板シートの周方向のばらつき幅とばりの突出長さとの和の最大値よりも厚くすることが望ましい。これにより、最も絶縁破壊を生じやすい部位における絶縁性を確保することが可能となる。
請求項6に記載の発明では、前記電気導体として複数の導体セグメントを用い、当該複数の導体セグメントの端部を互いに接合して前記固定子巻線を形成したことを特徴としている。これにより、固定子巻線を形成する電気導体をスロット内に配置することが容易となるので、固定子巻線の製造が容易となる。
請求項7に記載の発明では、前記導体セグメントの前記スロット内における断面形状を、前記スロット形状に沿った略矩形状としたことを特徴としている。これにより、スロット内における電気導体の占積率を高めることが容易となる。
請求項8に記載の発明では、請求項1から請求項7のいずれかに記載の固定子を車両に搭載される回転電機に適用することを特徴としている。回転電機が車両に搭載された場合には、車両の振動等により固定子巻線がスロットの周縁部等に接触しやすくなる。この点、本発明の固定子を採用することで、車両のような厳しい環境下においても、絶縁破壊を抑止することが可能となる。
以下、本発明の回転電機を車両駆動用のモータジェネレータ(MG)10として具現化した場合の一実施の形態について説明する。
まず、本実施形態のMG10の構成について説明する。図1は本実施形態のMG10の全体構造を示す断面図である。また、図2はMG10の回路図である。図1に示すように、本実施形態のMG10は、ハウジング11、回転子20、固定子30を含んで構成されている。
回転子20は、回転軸21、回転子鉄心22及び永久磁石23を含んで構成されている。回転子鉄心22は回転軸21に固定されている。また、回転軸21は一組の軸受12,13を介してハウジング11に回転自在に支持されている。永久磁石23は、回転子鉄心22の周方向に所定ピッチで複数個埋設して配置され、各永久磁石23の極性が周方向に交互に異なるように着磁されている。なお、回転子20の構造は、例えば、ランデルポールコアに界磁巻線を巻装した巻線界磁式等、公知の種々の形式に置換可能である。
固定子30は、回転子20の径方向外側に配置されている。固定子30は、固定子鉄心31と固定子巻線32とにより構成されている。固定子鉄心31は円筒状であり、ハウジング11の周壁内周面に固定されている。固定子巻線32は、固定子鉄心31の各スロットに巻装されている。また、固定子鉄心31の一方の軸方向端面からは固定子巻線32の第1コイルエンド部32aが回転軸21に沿った方向に突出しており、他方の軸方向端面からは固定子巻線32の第2コイルエンド部32bが回転軸21に沿った方向に突出している。
図2に示すように、固定子巻線32は、U相コイル32UとV相コイル32VとW相コイル32WとがY結線されて形成されている。U相コイル32Uは、周回コイルU1,U2,U3,U4が直列接続されて形成されている。同様に、V相コイル32Vは、周回コイルV1,V2,V3,V4が直列接続されて形成されている。同様に、W相コイル32Wは、周回コイルW1,W2,W3,W4が直列接続されて形成されている。
バッテリ40と、各相コイルの外部引き出し端子320U,320V,320Wとの間には、インバータ41が接続されている。インバータ41は、六つのパワー素子42から構成されている。
車両駆動時においては、コントローラ(図示略)からの指示により、パワー素子42が適宜スイッチング操作され、バッテリ40からインバータ41を介して固定子巻線32に三相交流電圧が印加される。この印加電圧により、回転子20が回転する。回転子20の回転軸21は、エンジンのクランク軸(図示略)に直結或いはクラッチ、ギヤ等を介して結合されている。直結の場合は、回転子20の回転軸21の回転により、エンジンが始動する。一方、充電時においては、クランク軸及び回転子20の回転軸21の回転により、固定子巻線32からバッテリ40に電流が流れる。この電流により、バッテリ40が充電される。
次に、固定子30の詳細について説明する。
図3に示すように、固定子鉄心31は、リング状の多数のコアシート36を積層して形成されている。コアシート36の内周側にはスロット35に対応する凹部37が等間隔に形成されている。このコアシート36は、プレス型を用いて薄い鋼板を打ち抜くことにより形成されている。なお、スロット35に対応する凹部37は、回転子20の磁極数に対応して三相の固定子巻線32をスロット35内に収容するために、96個形成されている。このコアシート36を多数積層することにより、周方向に多相の固定子巻線32が収容される96個のスロット35が形成されるとともに、隣接するスロット35間に96個のティース34が形成される。
図4は固定子巻線32を構成する基本セグメント33の模式的形状を示す斜視図である。固定子巻線32は、図4に示すような、略矩形断面(平角断面)をもった一定の太さの電気導体を略U字状に成形したセグメント33を接続して形成されている。基本セグメント33は、大セグメント331と小セグメント332とにより構成されている。
大セグメント331は、内径側被収容部331a、外径側被収容部331b、ターン部331c、内径側開放端部331d及び外径側開放端部331eを有している。内径側被収容部331a,332aと外径側被収容部331b,332bとは、それぞれ所定の磁極ピッチ(本実施形態では12スロット分)だけ離間した二つのスロット35に収容されている。大セグメント331の内径側被収容部331aはスロット35における最内径側に配置されており、外径側被収容部331bはスロット35における最外径側に配置されている。ターン部331cは内径側被収容部331aの一端と外径側被収容部331bの一端とをスロット35の外で連結している。内径側開放端部331dは内径側被収容部331aの他端からスロット35の外に延在している。同様に、外径側開放端部331eは、外径側被収容部331bの他端からスロット35の外に延在している。
小セグメント332も、大セグメント331と同様に、内径側被収容部332a、外径側被収容部332b、ターン部332c、内径側開放端部332d及び外径側開放端部332eを有している。小セグメント332は、大セグメント331に囲まれるように配置されている。内径側被収容部332aと外径側被収容部332bとは、それぞれ所定の磁極ピッチだけ離間した二つのスロットに収容されている。内径側被収容部332aはスロット35における内径側被収容部331aの外径側に隣接して配置されており、外径側被収容部332bはスロット35における外径側被収容部331bの内径側に隣接して配置されている。ターン部332cは、内径側被収容部332aの一端と外径側被収容部332bの一端とを、スロット外で連結している。内径側開放端部332dは、内径側被収容部332aの他端からスロット外に延在している。同様に、外径側開放端部332eは、外径側被収容部332bの他端からスロット外に延在している。
図5は大セグメント331の断面図を示している。図5に示すように、セグメント331は電気導体からなる導体部33aの外周に絶縁被膜39を設けて形成されている。本実施形態では、導体部33aの外周にエナメル層39aが膜厚約40μmで設けられ、エナメル層39aの外周に押出被覆樹脂層としてのポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂層39bが膜厚約70μmで設けられている。小セグメント332についても、同様の構成となっている。
図6は固定子30の軸方向に垂直な断面を展開して部分的に示す図である。上述のように、固定子巻線32は複数の基本セグメント33の端部を接続して形成されている。そして、固定子鉄心31の各スロット35には、それぞれ偶数本(本実施形態では4本)のセグメント331,332の被収容部331a,331b,332a,332bが収容されている。一のスロット35内の4本のセグメント331,332の被収容部331a,331b,332a,332bは、固定子鉄心31の径方向に関して内側から内端層X1、内中層X2、外中層X3、外端層X4の順で一列に配列されている。
なお、本実施形態では、スロット35内におけるセグメント331,332とスロット内壁面との間には、絶縁紙等のシート状のインシュレータを配置しないインシュレータレスの構成となっている。
上述のように、各スロット35内に配置された被収容部331a,331b,332a,332bは、所定の磁極ピッチ(本実施形態では12スロット分)離れた他のスロット35内に配置した被収容部331a,331b,332a,332bと対をなしている。特に、第1及び第2のコイルエンド部32a,32bにおける複数のセグメント331,332間の隙間を確保し整列して配置するために、一のスロット35内の所定の層の被収容部331a,331b,332a,332bは、所定の磁極ピッチ離れた他のスロット35内の他の層の被収容部331a,331b,332a,332bと対をなしている。
例えば、図6に示すように、周回コイルU1における一のスロット35内の内端層X1の被収容部331aは、固定子鉄心31の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット35内の外端層X4の被収容部331bと対をなしている。同様に、周回コイルU1における一のスロット35内の内中層X2の被収容部332aは固定子鉄心31の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット35内の外中層X3の被収容部332bと対をなしている。
そして、これらの対をなす被収容部331a,331b,332a,332bは、固定子鉄心31の第1コイルエンド部32a側において連続線(ターン部331c、332c)により接続されている。したがって、固定子鉄心31の第1コイルエンド部32a側においては、内中層X2の被収容部332bと外中層X3の被収容部332bとを接続するターン部332cを、内端層X1の被収容部331aと外端層X4の被収容部331bとを接続するターン部331cが囲むこととなる。
一方、周回コイルU1における一のスロット35内の内中層X2の被収容部332aは、固定子鉄心31の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット35内の内端層X1の被収容部331a’とも対をなしている。同様に、周回コイルU1における一のスロット35内の外端層X4の被収容部331b’は、固定子鉄心31の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット35内の外中層X3の被収容部332bと対をなしている。
そして、固定子鉄心31の第2コイルエンド部32b側において、これらの被収容部332a,331a’,331b’,332bからスロット35の外に延在する開放端部332d,331d’,331e’,332eの端部同士は溶接等で接合されている。したがって、固定子鉄心31の第2コイルエンド部32b側においては、内端層X1の電気導体と内中層X2の電気導体とを接続する接合部と、外中層X3の電気導体と外端層X4の電気導体とを接続する接合部とが、径方向に並んでいる。
基本セグメント33を規則的にスロット35に配置して、固定子鉄心31の周りを2周する各周回コイルが形成されている。なお、1周めと2周めとを接続するターン部は基本セグメント33とは形状の異なる異形セグメントで構成されている。また、各周回コイル間を接続するセグメント及び固定子巻線32の引出線を構成するセグメントも異形セグメントで構成されている。
図7は図6のA−A線断面図であり、スロット35の内部の状態が示されている。上述のように、薄い鋼板の打ち抜きによりコアシート36が形成されるため、各コアシート36の凹部37における打ち抜き方向入口側の周縁には、曲面部37aが形成されている。また、打ち抜き方向の出口側端部には、打ち抜き方向に向けて延びるばり37bが形成されている。ばり37bは先端が鋭利なものを含み、コアシート36の下面から最大で約30μm延びている。
本実施形態の固定子鉄心31は、積層される多数のコアシート36のうち、図6の上半分では下方に向けてバリ37bが延び、下半分では上方に向けてばり37bが延びるようにコアシート36を積層して形成されている。その結果、固定子鉄心31の両端面におけるスロット35の周縁には曲面部37aが形成されることとなる。また、固定子鉄心31における軸方向の中央付近でコアシート36の打ち抜き方向の出口側の面同士が対向することとなる。そして、これら対向するコアシート36に形成されているばり37b同士が対向することにより、スロット35の内壁面からスロット35内に向けて突出したばり合わせ部37cが形成されている。ばり合わせ部37cにおけるばり37bの突出長は、各ばり37bの長さと同様に30μm程度となっている。
次に、固定子30の製造工程を以下に説明する。
(コア積層工程)まず、コアシート36を多数積層して固定子鉄心31を形成する。この際、上述のように、固定子鉄心31の両端面側から軸方向の逆向きにばり37bが延びるようにコアシート36を積層する。
(挿入工程)図8に示すように、小セグメント332のターン部332cを大セグメント331のターン部331cが囲むように揃えられた状態で、基本セグメント33を固定子鉄心31の軸方向端面の一方側から挿入する。その際、大セグメント331の一方の被収容部331aは固定子鉄心31の一のスロット35の内端層X1に、小セグメント332の一方の被収容部332aは一のスロット35の内中層X2に、そして、大セグメント331の他方の被収容部331bは固定子鉄心31の一のスロット35から時計方向に1磁極ピッチ離れた他のスロット35の外端層X4に、小セグメント332の他方の被収容部332bも他のスロット35の外中層X3に挿入する。
その結果、図6に示すように一のスロット35には内端層X1側から、上述した被収容部331a,332a,332b’,331b’が一列に配置される。ここで、被収容部332b’,331b’は、1磁極ピッチずれた他のスロット35内の被収容部と対をなしている大小のセグメント331,332の被収容部である。
(折り曲げ工程)セグメント33の挿入後、第2コイルエンド部32b側におけるスロット35の出口近傍において、端層側に位置している外径側及び内径側の開放端部331d,331eは、大セグメント331が開く方向に半磁極ピッチ分(本実施形態では6スロット分)捻られて折り曲げられる。そして、中層に位置している外径側及び内径側の開放端部332d,332eは、小セグメント332が閉じる方向に半磁極ピッチ分捻られて折り曲げられる。その結果、第2コイルエンド部32bにおいては、径方向に隣接するセグメント331,332の開放端部331d,331e,332d,332eは周方向の逆向きに傾斜する。以上の動作が、全てのスロット35のセグメント33について行われる。
(接合工程)そして、第2コイルエンド部32bにおいて、外端層X4の開放端部331e’と外中層X3の開放端部332e、並びに内中層X2の開放端部332dと内端層X1の開放端部331d’とが、溶接、超音波溶着、アーク溶接、ろう付け等の手段によって電気的導通を得るように接合され固定子30が得られる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
セグメント33はスロット35における軸方向の出口近傍において周方向に折り曲げられている。また、固定子鉄心31の端面におけるスロット35の周縁には、曲面部37aが形成されている。これにより、スロット35の出口近傍においてセグメント33がスロット35の周縁と接触しても、固定子鉄心31側の接触部は曲面であるため、鋭利な部位との接触と異なり、セグメント33に設けられた絶縁被膜39の損傷を抑制することができる。その結果、固定子巻線32と固定子鉄心31との間の絶縁性を確保することが可能となる。
特に、本実施形態では、固定子鉄心31はスロット35の形状が打ち抜かれたコアシート36を積層して形成されており、コアシート36の打ち抜き方向の入口側の面を固定子鉄心31の端面としている。これにより、固定子鉄心31の端面側におけるスロット35の周縁を曲面部37aとすることができる。このように、コアシート36の積層向きを所定の向きにすることで、スロット35の周縁を曲面部37aとすることができる。そのため、スロット35の周縁を曲面部37aとするための特別な加工等が不要となる。
また、固定子鉄心31の端面に配置されたコアシート36は、打ち抜きによって生じたばり37bが固定子鉄心31の軸方向の中央に向けて延びるように配置されている。そのため、固定子鉄心31におけるティース34のコーナ部において、ばり37bはスロット35の外部に向けて延びることなく、スロット内壁面に沿って延びることとなる。これにより、スロット35の軸方向の出口近傍において、セグメント33に設けられた絶縁被膜39がばり37bによって損傷を受けることを抑制できる。
本実施形態では、ばり合わせ部37cはスロット35の軸方向のほぼ中央に形成されている。また、スロット35に挿入された大セグメント331は、U字状のセグメントが開く方向に内径側及び外径側の開放端部331d,331eが捻られて折り曲げられる。そのため、図6に示すように、大セグメント331はスロット35内では斜めに傾斜して位置する可能性が高い。この結果、スロット35内に配置されたセグメントとばり合わせ部37cの先端部との間に所定の間隔を確保しやすくなり、セグメントとばり合わせ部37cの先端部との間におけるコロナ放電の発生を抑止することが可能となる。
本実施形態では、固定子巻線32は略U字状のセグメント33をスロット35内に挿入した後、それらの端部を接合して形成されている。固定子巻線32を形成する電気導体をセグメント状とすることで、セグメント33をスロット35内に配置することが容易となる。これにより、固定子巻線32の製造が容易となる。また、セグメント33は断面が略矩形状であり、スロット35の形状に沿ったものとなっている。これにより、スロット35内におけるセグメント33(電気導体)の占積率を高めることが容易となる。
本実施形態では、セグメント33にはエナメル層39a及びPPS樹脂層39bの二重の絶縁被膜39が設けられている。この二重の絶縁被膜39の厚さの和は約110μmであり、ばり37bの突出長さ30μmよりも厚く設定されている。これにより、セグメント33の絶縁被膜39がばり37bによって損傷を受けた場合でも、その損傷によりセグメント33の導体部33aが露出する可能性が小さくなる。その結果、固定子鉄心31と固定子巻線32との間で絶縁破壊が起こることを抑止することができる。
本実施形態では、エナメル層39a及び押出被覆樹脂層としてのPPS樹脂層39bで絶縁被膜39を形成している。エナメル層39aのみで厚被膜化することは容易ではないが、エナメル層39aとPPS樹脂層39bとを組み合わせて二重の絶縁被膜39とすることで厚被膜化が容易となる。
また、本実施形態の構成を採用することで、振動等が頻繁に生じ得る車両搭載時においても絶縁破壊を効果的に抑止することが可能となる。また、本実施形態のように、スロット内における電気導体の高占積率化を実現することで、車両駆動用としても適した高出力のMG10を実現することが可能となる。
なお、図9のスロット35内部における状態を示す断面図に示すように、コアシート36を積層する際には、通常、周方向に所定の積層ばらつきが生じ得る。コアシート36の周方向の積層ばらつきの最大値tは、40〜50μm程度であり、コアシート36の積層ばらつきとばり37bの周方向の突出長(約30μm)との和の最大値は約70〜80μmとなる。
この場合においても、本実施形態のセグメント33の絶縁被膜39の厚みは約110μmとされており、コアシート36の積層ばらつきとばり37bの突出長との和よりも大きく設定されている。そのため、積層ばらつきによって生じたスロット内壁面の段差やばり37bにセグメント33が接触して、その絶縁被膜39が損傷を受けた場合でも、その損傷によりセグメント33の導体部33aが露出する可能性が小さくなる。その結果、固定子鉄心31と固定子巻線32との間で絶縁破壊が起こることを抑止することができる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
第一実施形態では、ばり合わせ部37cはスロット35の軸方向のほぼ中央に形成された。しかし、スロット35の軸方向の中央1/3の範囲の位置にばり合わせ部37cを形成するようにしても、スロット35内においてセグメント33とばり合わせ部37cの先端部との間に所定の間隔を確保してコロナ放電の発生を抑止することが可能である。
上記各実施形態では、回転子20の磁極数に対応してスロット35の数を96個とした。しかし、スロット35の数は96個に限るものではなく、回転子20の磁極数に対応して変更が可能である。
上記各実施形態では、エナメル層39aの外周に設けられた押出被覆樹脂層をPPS樹脂を用いて形成した。しかし、押出被覆樹脂層としては押出加工が可能なものであればよく、ポリプロピレン(PP)やポリメチルペンテン(PMP)等を用いることも可能である。
上記各実施形態では、シート状のインシュレータを用いずに固定子30を形成した。しかし、スロット35内においてはシート状のインシュレータを用いず、スロット35外の第1及び第2のコイルエンド部32a,32bにおいては径方向に隣接するセグメント331,332間にシート状のインシュレータを配置する構成としてもよい。図10は、36個のスロット35が形成された固定子鉄心31における第2コイルエンド部32bに、上記構成を採用した場合の斜視図を示している。図10に示す固定子30においては、第1及び第2のコイルエンド部32a,32bにおいて、径方向に隣接するセグメント33間に絶縁紙50が介装されている。このような構成とすることで、スロット35内においてはセグメント(電気導体)の高占積率を維持しつつ、スロット35外においては隣接するセグメント33間における絶縁の確実性を高めることが可能となる。
10…モータジェネレータ(MG)、11…ハウジング、12,13…軸受、20…回転子、21…回転軸、22…回転子鉄心、23…永久磁石、30…固定子、31…固定子鉄心、32…固定子巻線、33…セグメント、34…ティース、35…スロット、36…コアシート、37…凹部、37a…曲面部、37b…ばり、37c…ばり合わせ部、39…絶縁被膜、39a…エナメル層、39b…ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂層。
Claims (8)
- 周方向に複数のスロットが形成された円筒状の固定子鉄心と、
外周に絶縁被膜層を有する電気導体によって形成され、前記スロットに収容される固定子巻線とを備えた回転電機の固定子において、
前記固定子鉄心は、前記スロットの形状が打ち抜かれた鋼板シートを積層して形成されており、
前記鋼板シートは、前記固定子鉄心における両端側から中央側に向けてばりが延びるように積層されており、
前記電気導体の外周にエナメル層を設けるとともに、当該エナメル層の外周に押出被覆樹脂層を設けることにより、前記絶縁被膜層を形成したものであって、
前記絶縁被膜層を、前記ばりの突出長さよりも厚くし、
前記スロット内壁面と前記固定子巻線との間にシート状のインシュレータを配置しないインシュレータレスの構成としたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記鋼板シートを、その打ち抜き方向の入口側の面が前記固定子鉄心の端面となるように積層したことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
- 前記固定子鉄心において、前記固定子鉄心の軸方向の中央約1/3の範囲の位置で、互いに逆方向に延びる前記ばり同士を対向させてばり合わせ部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の回転電機の固定子。
- 前記固定子鉄心の両端面における前記スロットの周縁部を曲面としたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の回転電機の固定子。
- 前記絶縁被膜層を、前記鋼板シートの周方向のばらつき幅と前記ばりの突出長さとの和よりも厚くしたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の回転電機の固定子。
- 前記電気導体として複数の導体セグメントを用い、当該複数の導体セグメントの端部を互いに接合して前記固定子巻線を形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の回転電機の固定子。
- 前記導体セグメントの前記スロット内における断面形状を、前記スロット形状に沿った略矩形状としたことを特徴とすることを特徴とする請求項6に記載の回転電機の固定子。
- 車両に搭載される回転電機に適用することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の回転電機の固定子。
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