JP2013049917A - 転炉における溶銑の精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶鉄を酸化精錬する際に、上吹きランスの下方にバーナー火炎を安定的に形成させ、それにより、冷鉄源の配合比率を安定して高める。
【解決手段】 粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路を有する上吹きランス3を用い、前記燃料ガス供給流路から、該燃料ガス供給流路の出口における単位断面積あたりの投入熱量が250kJ/(mm2・分)以上800kJ/(mm2・分)以下となる燃料ガスを供給すると同時に、前記燃焼用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給して、上吹きランスの先端下方に火炎を形成させながら、前記粉状精錬剤供給流路から、粉状精錬剤29として、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上を不活性ガスとともに転炉内溶銑浴面に向けて供給し、且つ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から精錬用酸化性ガスを溶銑浴面に向けて供給し、転炉内の冷鉄源の添加された溶銑26を酸化精錬する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バーナー機能を有する上吹きランスを用い、上吹きランスの先端下方に形成されるバーナー火炎で加熱しながら、上吹きランスを介して粉状精錬剤を不活性ガスとともに転炉内の冷鉄源の添加された溶鉄に吹き付け、粉状精錬剤の熱を溶銑に着熱させて冷鉄源を溶解しながら脱燐処理や脱炭精錬などの酸化精錬を溶銑に施す方法に関する。
環境保護の観点から、鉄鋼製造工程におけるCO2排出量の抑制が急務となっており、製鋼工程においては、鉄源として鉄スクラップなどの冷鉄源の使用量を増加させて溶銑配合率を低下させるなどの対応が、検討され実施されている。これは、鉄鋼製品の製造にあたり、高炉での溶銑の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要すると同時に多量のCO2を排出するのに対し、鉄スクラップなどの冷鉄源は溶解熱のみを必要としており、製鋼工程で冷鉄源を利用した場合には、エネルギー使用量及びCO2発生量を少なくすることができるからである。
但し、高炉−転炉の組み合わせからなる鉄鋼製造工程では、鉄スクラップなどの冷鉄源の溶解用熱源は、溶銑の有する顕熱、溶銑中の炭素及び珪素の燃焼熱が主体であり、本来、多量の冷鉄源を溶解することはできない。しかも、溶銑に対して予備処理として脱燐処理(「予備脱燐処理」ともいう)が実施されるようになり、処理工程の追加に伴う溶銑温度の低下のみならず、溶銑中の炭素及び珪素が脱燐処理で酸化されてその濃度が減少し、冷鉄源の溶解に対して不利になっている。尚、溶銑の脱燐処理とは、転炉での脱炭精錬の前に溶銑段階で予め脱燐処理を実施し、溶銑中の燐を或る程度除去する工程である。
そこで、脱燐処理や転炉脱炭精錬において、溶銑及び溶鋼の熱余裕を高める多数の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、脱燐処理中の生成スラグ中に炭素源を添加するとともに、スラグ中に酸素源を吹き込んで前記炭素源を燃焼させ、この燃焼熱を溶銑に着熱させる方法が提案されている。
また、特許文献2には、5重管構造の粉体加熱バーナーを用い、粉体加熱バーナーの中心から噴射される原料粉粒体を、その周囲に形成されるバーナー火炎で加熱しながら転炉内に供給し、転炉内で前記原料粉粒体を溶融還元する方法が提案されている。
特開平9−20913号公報 特開2010−215983号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、生成スラグ中に炭素源を添加することで、溶銑温度は上昇するが、炭素源に含有される硫黄の混入を招き、鋼中の硫黄濃度が高くなる。また、炭素源の燃焼時間を確保するために精錬時間が長くなり、製造コストが上昇するという問題がある。また更に、炭素源を燃焼させることから、CO2の発生量が自ずと増加するという問題もある。
特許文献2では、その実施例に、燃料及び燃焼用酸素ガスの流量を規定した操業が記載されているが、燃料及び燃焼用酸素ガスのランスからの噴出速度については記載されていない。燃料ガスの噴出速度が或る一定以上の値となると火炎が吹き飛び、安定的な火炎が形成できなくなる。つまり、安定的にバーナー火炎を着火させるには、流路出口の単位断面積あたりの投入熱量を制限する必要があるが、特許文献2は何ら記載していない。また、燃焼用酸素ガスの噴出速度が或る範囲外となると、火炎内温度が低下してしまい、これにより、効果的な着熱効率が得られなくなるが、特許文献2は、この点についても何ら記載していない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、バーナー機能を有する上吹きランスを用い、この上吹きランスを介して粉状精錬剤をバーナー火炎で加熱しながら不活性ガスとともに転炉内の冷鉄源の添加された溶鉄に吹き付け、脱燐処理や脱炭精錬などの酸化精錬を溶銑に施すにあたり、バーナー火炎を安定的に形成させることができ、それにより、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を安定して高めることのできる、転炉における溶銑の精錬方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]転炉の上方に配置された、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路を有する上吹きランスを用い、前記燃料ガス供給流路から、該燃料ガス供給流路の出口における単位断面積あたりの投入熱量が250kJ/(mm2・分)以上800kJ/(mm2・分)以下となる燃料ガスを供給すると同時に、前記燃焼用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給して、上吹きランスの先端下方に火炎を形成させながら、前記粉状精錬剤供給流路から、粉状精錬剤として、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上を不活性ガスとともに転炉内溶銑浴面に向けて供給し、且つ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から精錬用酸化性ガスを溶銑浴面に向けて供給し、転炉内の冷鉄源の添加された溶銑を酸化精錬することを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法。
[2]前記燃焼用酸化性ガス供給流路の出口における燃焼用酸化性ガスの噴出速度を75Nm/秒以上315Nm/秒以下に制御することを特徴とする、上記[1]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
[3]前記燃料ガスとしてプロパンガスを使用し、前記燃料ガス供給流路の出口におけるプロパンガスの噴出速度を133Nm/秒以下に制御することを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
[4]前記燃料ガスとして液化天然ガスを使用し、前記燃料ガス供給流路の出口における液化天然ガスの噴出速度を290Nm/秒以下に制御することを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
[5]前記上吹きランスは、横断面構造において中心側から、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路、冷却水の給水及び排水の2つの冷却水流路を構成する6重管構造であることを特徴とする、上記[1]ないし上記[4]の何れか1項に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
[6]前記酸化精錬が溶銑の脱燐処理であることを特徴とする、上記[1]ないし上記[5]の何れか1項に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
本発明によれば、上吹きランス先端下方にバーナー火炎を形成するための燃料ガスの、燃料ガス供給流路の出口における単位断面積あたりの投入熱量を制御するので、燃料ガスは安定的に着火して火炎が安定して形成され、その結果、上吹きランスを介して炉内に供給される粉状精錬剤を安定して加熱することが実現され、粉状精錬剤の熱は溶銑に確実に着熱するので、溶銑の熱余裕が向上し、転炉における溶銑の酸化精錬において、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を大幅に増大することが可能となる。また、溶銑への着熱効率が安定して高く維持されるために、加炭用の炭材が削減でき、CO2の排出量の低減という効果もある。
本発明を実施する際に用いる転炉設備の1例を示す概略断面図である。 図1に示す上吹きランスの概略拡大縦断面図である。 燃料ガス供給流路出口における単位断面積あたりの投入熱量と安定着火との関係の調査結果を示す図である。 燃焼用酸化性ガスの噴出速度と粉状精錬剤の加熱温度との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、転炉に収容された溶銑に対して上吹きランスから精錬用酸化性ガスを供給して行う酸化精錬を対象としており、この酸化精錬としては、現在、脱炭精錬の前に予備処理として行う溶銑の脱燐処理、並びに、溶銑の脱炭精錬が行われており、本発明は何れにも適用することができる。この場合に、溶銑の脱炭精錬では、予め脱燐処理が施された溶銑を使用しても、脱燐処理が施されていない溶銑を使用してもどちらでも構わない。本発明を脱燐処理に適用し、この脱燐処理によって精錬された溶銑を転炉で脱炭精錬する際にも本発明を適用することができる。精錬用酸化性ガスとしては、酸素ガス(工業用純酸素)、酸素富化空気、酸素ガスと希ガスとの混合ガスが用いられるが、一般的には、酸素ガスが使用される。
本発明において使用する溶銑は、高炉で製造された溶銑であり、この溶銑を、溶銑鍋、トピードカーなどの溶銑搬送容器で受銑して、脱燐処理及び脱炭精錬を実施する転炉に搬送する。脱燐処理を行う場合には、少ない石灰系媒溶剤の使用量で効率的に脱燐処理するために、脱燐処理前に溶銑中の珪素を予め除去(「溶銑の脱珪処理」という)し、溶銑の珪素含有量を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで低減させることが好ましい。脱珪処理を実施した場合には、脱珪処理時に生成したスラグを脱燐処理の前までに排滓する。
以下、転炉における溶銑の脱燐処理を例として本発明を説明する。溶銑の脱燐処理は、溶銑鍋またはトピードカーなどの溶銑搬送容器内でも行うことができるが、これらの溶銑搬送容器に比べてフリーボードが大きく、溶銑を強攪拌することが可能であり、これにより、冷鉄源の溶解能力が高いのみならず、少ない石灰系媒溶剤の使用量で迅速に脱燐処理を行うことができることから、本発明においては、転炉を使用して脱燐処理を実施する。
図1は、本発明を実施する際に用いる転炉設備の1例を示す概略断面図、図2は、図1に示す上吹きランス3の概略拡大縦断面図である。
図1に示すように、本発明において脱燐処理に用いる転炉設備1は、その外殻を鉄皮4で構成され、鉄皮4の内側に耐火物5が施行された炉本体2と、この炉本体2の内部に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス3とを備えている。炉本体2の上部には、脱燐処理終了後の溶銑26を出湯するための出湯口6が設けられ、また、炉本体2の炉底部には、攪拌用ガス28を吹き込むための複数の底吹き羽口7が設けられている。この底吹き羽口7はガス導入管8と接続されている。
上吹きランス3には、窒素ガス、Arガスなどの不活性ガスとともに、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上からなる粉状精錬剤29を供給するための粉状精錬剤供給管9と、プロパンガス、液化天然ガス、コークス炉ガスなどのガス燃料を供給するための燃料ガス供給管10と、供給した燃料ガスを燃焼するための酸素ガス、空気などの酸化性ガスを供給するための燃焼用酸化性ガス供給管11と、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスを供給するための精錬用酸化性ガス供給管12と、上吹きランス3を冷却するための冷却水を供給・排出するための冷却水給水管及び排水管(図示せず)とが、接続されている。図1では、燃焼用酸化性ガス及び精錬用酸化性ガスを酸素ガスとした例を示している。
尚、燃料ガスに代えて、重油、灯油などの炭化水素系の液体燃料を使用することも可能であるが、流路出口のノズルなどで目詰まりを起こす恐れがあるので、本発明では燃料ガス(気体燃料)を使用する。気体燃料を使用すれば、ノズルなどの目詰まりを防止できるだけでなく、供給流量の調整が容易である、着火しやすいので失火を防止できるなどの利点がある。
粉状精錬剤供給管9の他端は、粉状精錬剤29を収容したディスペンサー13に接続され、また、ディスペンサー13は粉状精錬剤搬送用ガス供給管9Aに接続されており、粉状精錬剤搬送用ガス供給管9Aを通ってディスペンサー13に供給された不活性ガスが、ディスペンサー13に収容された粉状精錬剤29の搬送用ガスとして機能し、ディスペンサー13に収容された粉状精錬剤29は粉状精錬剤供給管9を通って上吹きランス3に供給され、上吹きランス3の先端から溶銑26に向けて吹き付けることができるようになっている。図1では、粉状精錬剤29の搬送用ガスとして窒素ガスの例を示している。
上吹きランス3は、図2に示すように、円筒状のランス本体14と、このランス本体14の下端に溶接などにより接続された銅鋳物製のランスチップ15とで構成されており、ランス本体14は、最内管20、仕切り管21、内管22、中管23、外管24、最外管25の同心円形状の6種の鋼管、即ち6重管で構成されている。粉状精錬剤供給管9は最内管20に連通し、燃料ガス供給管10は仕切り管21に連通し、燃焼用酸化性ガス供給管11は内管22に連通し、精錬用酸化性ガス供給管12は中管23に連通し、冷却水給水管及び排水管はそれぞれ外管24または最外管25の何れか一方に連通しており、従って、粉状精錬剤29が搬送用ガスとともに最内管20の内部を通り、プロパンガスなどの燃料ガスが最内管20と仕切り管21との間隙を通り、燃料燃焼用酸化性ガスが仕切り管21と内管22との間隙を通り、精錬用酸化性ガスが内管22と中管23との間隙を通り、中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙は、冷却水の給水流路または排水流路となっている。中管23と外管24との間隙及び外管24と最外管25との間隙のうちの一方が給水流路で、他方が排水流路であり、どちらを給水流路としても構わない。冷却水は、ランスチップ15の位置で反転するように構成されている。
最内管20の内部は、ランスチップ15のほぼ軸心位置に配置された中心孔16と連通し、最内管20と仕切り管21との間隙は、中心孔16の周囲に円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃料ガス噴射孔17と連通し、仕切り管21と内管22との間隙は、燃料ガス噴射孔17の周囲に円環状のノズルまたは同心円上の複数個のノズル孔として開口する燃焼用酸化性ガス噴射孔18と連通し、そして、内管22と中管23との間隙は、燃焼用酸化性ガス噴射孔18の周辺に複数個設置された周囲孔19と連通している。中心孔16は、粉状精錬剤29を搬送用ガスとともに吹き付けるためのノズル、燃料ガス噴射孔17は、燃料ガスを噴射するためのノズル、燃焼用酸化性ガス噴射孔18は、燃料ガスを燃焼する酸化性ガスを噴射するためのノズル、周囲孔19は、精錬用酸化性ガスを吹き付けるためのノズルである。
つまり、最内管20の内部が粉状精錬剤供給流路となり、最内管20と仕切り管21との間隙が燃料ガス供給流路となり、仕切り管21と内管22との間隙が燃焼用酸化性ガス供給流路となり、内管22と中管23との間隙が精錬用酸化性ガス供給流路となっている。尚、図2において、中心孔16はストレート形状のノズルで、周囲孔19は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成されるラバールノズルの形状を採っているが、中心孔16も、ラバールノズル形状としても構わない。燃料ガス噴射孔17及び燃焼用酸化性ガス噴射孔18は円環のスリット状に開口するストレート型のノズル、または断面が円形のストレート形状のノズルである。ラバールノズルにおいて、縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体の境界である最も断面が狭い位置をスロートと呼んでいる。
この構成の転炉設備1を用い、冷鉄源の配合比率を高めることを目的とする本発明に係る脱燐処理を、以下に示すようにして溶銑26に対して実施する。
先ず、炉本体2の内部へ冷鉄源を装入する。使用する冷鉄源としては、製鉄所で発生する鋳片及び鋼板のクロップ屑や市中屑などの鉄スクラップ、磁力選別によってスラグから回収した地金、更には、冷銑、還元鉄などを使用することができる。冷鉄源の配合比率は、装入する全鉄源に対して5質量%以上とすることが好ましい(冷鉄源の配合比率(質量%)=冷鉄源配合量×100/(溶銑配合量+冷鉄源配合量))。冷鉄源の配合比率が5質量%未満では、生産性向上の効果が少ないのみならず、CO2発生量の削減効果が少ないからである。冷鉄源の配合比率の上限は特に決める必要はなく、脱燐処理後の溶銑温度が目標範囲を維持できる上限まで添加することができる。冷鉄源の装入完了に前後して、攪拌用ガス28の底吹き羽口7からの吹き込みを開始する。
冷鉄源の炉本体2への装入後、溶銑26を炉本体2へ装入する。用いる溶銑26としてはどのような組成であっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。因みに、脱燐処理前の溶銑26の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0質量%、珪素:0.3質量%以下、燐:0.08〜0.2質量%、硫黄:0.05質量%以下程度である。但し、脱燐処理時に炉本体内で生成されるスラグ27の量が多くなると脱燐効率が低下するので、前述したように、炉内でのスラグ発生量を少なくして脱燐効率を高めるために、脱珪処理により、溶銑中の珪素濃度を0.20質量%以下、望ましくは0.10質量%以下まで予め低減しておくことが好ましい。また、溶銑温度は1200〜1400℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
次いで、ディスペンサー13に不活性ガスを供給し、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上からなる粉状精錬剤29を、上吹きランス3の中心孔16から不活性ガスとともに溶銑26の浴面に向けて吹き付ける。この粉状精錬剤29の吹き付けに前後して、上吹きランス3の燃料ガス噴射孔17から燃料ガスを噴射させるとともに燃焼用酸化性ガス噴射孔18から酸素ガスなどの酸化性ガスを噴射させ、上吹きランス3の下方に火炎を発生させる。
上吹きランス3の先端に火炎を発生させるにあたり、上吹きランス3に供給する燃料ガス供給量と酸素ガス供給量とを調整して、燃料ガスを完全燃焼させる。その際に、安定的にバーナー火炎を着火させるために、燃料ガス供給流路出口における単位断面積あたりの投入熱量を、800kJ/(mm2・分)以下に制御する。
ここで、燃料ガス供給流路出口における単位断面積あたりの投入熱量は、下記の(1)式で定義され、また、(1)式中の噴出速度は下記の(2)式で定義される。
流路出口の単位断面積あたりの投入熱量(kJ/(mm2・分))=燃料発熱量(kJ/Nm3)×噴出速度(Nm/分)÷106…(1)
噴出速度(Nm/分)=ガス流量(Nm3/分)/流路出口断面積(m2)…(2)
尚、燃料発熱量の「Nm3」及び噴出速度の「Nm/分」は、標準状態(0℃、1気圧)に換算した流量及び速度である。
即ち、燃料ガス供給流路出口における単位断面積あたりの投入熱量は、燃料ガスの噴出速度に依存するので、燃料ガス供給流路の出口の断面積、つまり、燃料ガス噴射孔17の断面積を調整することで、流路出口の単位断面積あたりの投入熱量の調整が可能となる。燃料ガスのガス流量(Nm3/分)を変化させても、単位断面積あたりの投入熱量は変化するが、燃料ガスのガス流量が一定であっても、燃料ガス噴射孔17の断面積を調整することで、単位断面積あたりの投入熱量を変化させることができる。尚、燃料発熱量は使用する燃料ガスに応じて一定の値となる。
一方、燃料ガス噴射孔17における単位断面積あたりの投入熱量が少なくなりすぎると、溶銑の加熱量が少なくなるので、燃料ガス噴射孔17における単位断面積あたりの投入熱量は250kJ/(mm2・分)を確保する。
また更に、燃焼用酸化性ガス供給流路の出口、つまり、燃焼用酸化性ガス噴射孔18における燃焼用酸化性ガスの噴出速度を75Nm/秒以上315Nm/秒以下に制御することが好ましい。これは、燃焼用酸化性ガスの噴出速度が315Nm/秒を超えると、粉状精錬剤29への伝熱量が急激に低下するからである。一方、燃焼用酸化性ガスの噴出速度が75Nm/秒未満では、燃料ガスの噴出速度に比較して遅くなりすぎる場合があり、その場合には火炎が安定しないからである。燃焼用酸化性ガスの噴出速度も、燃焼用酸化性ガス噴射孔18の断面積を調整することで、制御することができる。
この条件で燃料ガス及び燃焼用酸化性ガスを供給することで、燃料ガス噴射孔17から供給される燃料と、燃焼用酸化性ガス噴射孔18から供給される酸化性ガスとは、上吹きランス半径方向の全方位で近接しているので、各々干渉し合い、雰囲気温度が高いこともあって、点火装置がなくても燃焼限界範囲内にガス濃度が達した時点で燃焼し、上吹きランス3の下方に火炎が形成される。
中心孔16から不活性ガスとともに噴射される粉状精錬剤29は、形成される火炎の熱を受けて加熱または加熱・溶融し、加熱または溶融した状態で溶銑26の浴面に吹き付けられる。これにより、溶銑26に粉状精錬剤29の熱が着熱し、溶銑26の温度が上昇して、添加した冷鉄源の溶解が促進される。
また、その際に、上吹きランス3の周囲孔19から、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスを溶銑26の浴面に向けて吹き付ける。
溶銑26の脱燐反応は、溶銑中の燐が酸化性ガスまたは酸化鉄と反応して燐酸化物(P25)を形成し、この燐酸化物が石灰系媒溶剤の滓化によって形成されるスラグ27に吸収されることで進行する。しかも、石灰系媒溶剤の滓化が促進されるほど脱燐速度が速くなる。従って、粉状精錬剤29としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO3)、消石灰(Ca(OH)2)などの石灰系媒溶剤を使用することが好ましい。生石灰に蛍石(CaF2)またはアルミナ(Al23)を滓化促進剤として混合したものを石灰系媒溶剤として使用することもできる。また、溶銑26の脱炭吹錬工程で生成する転炉スラグ(CaO−SiO2系スラグ)を石灰系媒溶剤の全部または一部として使用することもできる。
粉状精錬剤29として溶銑浴面に吹き付けられた石灰系媒溶剤は直ちに滓化してスラグ27を形成し、また、供給された精錬用酸化性ガスと溶銑中の燐とが反応して燐酸化物が形成される。攪拌用ガス28によって溶銑26とスラグ27とが強攪拌されることも相まって、形成した燐酸化物が滓化したスラグ27に迅速に吸収されて、溶銑26の脱燐反応が速やかに進行する。石灰系媒溶剤を粉状精錬剤29として使用しない場合には、石灰系媒溶剤を炉上ホッパーから別途上置き投入する。
粉状精錬剤29として、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄を使用した場合には、酸化鉄は酸素源として機能し、溶鋼中の燐と反応して脱燐反応が進行する。また、酸化鉄が石灰系媒溶剤と反応して石灰系媒溶剤の表面にFeO−CaOの化合物が形成され、石灰系媒溶剤の滓化が促進され、脱燐反応が促進される。酸化鉄として高炉ダストや転炉ダストなどの可燃性物質を含有するものを使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、上記に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与する。
また、粉状精錬剤29として、アルミ灰(Alの地金やスクラップを溶解炉で溶かした時に、Alと空気中の酸素とが反応して生成した、金属Alを30〜50質量%含有するAl酸化物)やコークスなどの可燃性物質を使用した場合には、可燃性物質が火炎により燃焼し、燃料の燃焼熱に加えて可燃性物質の燃焼熱が溶銑26の加熱に寄与する。粉状精錬剤29として、石灰系媒溶剤、酸化鉄及び可燃性物質を混合したものを使用する場合には、それぞれの効果を並行して得ることができる。
また、粉状精錬剤29は加熱または加熱・溶融しており、その熱が溶銑26に伝達し、更には、溶銑26の上方に存在する、上吹きランス先端の火炎の燃焼熱が溶銑26に伝達することから、溶銑26が激しく攪拌されることも相まって、溶銑中の冷鉄源の溶解が促進される。即ち、装入した冷鉄源の溶解が脱燐処理の期間中に終了する。
その後、溶銑26の燐濃度が目的とする値かそれ以下になったなら、上吹きランス3から溶銑26への全ての供給を停止して脱燐処理を終了する。脱燐処理後、炉本体2を傾動させて脱燐処理の施された溶銑26を、出湯口6を介して、取鍋、転炉装入鍋などの溶銑保持容器に出湯し、出湯した溶銑26を次工程に搬送する。
以上説明したように、本発明によれば、上吹きランス先端下方にバーナー火炎を形成するための燃料ガスの、燃料ガス噴射孔17における単位断面積あたりの投入熱量を制御するので、燃料ガスは安定的に着火して火炎が安定して形成され、その結果、上吹きランス3を介して炉内に供給される粉状精錬剤29を安定して加熱することが実現され、粉状精錬剤29の熱は溶銑26に確実に着熱するので、溶銑26の熱余裕が向上し、転炉設備1における溶銑26の酸化精錬において、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を大幅に増大することが実現される。
尚、転炉における溶銑の脱炭精錬においても、上記に沿って酸化精錬することで、本発明を適用することができる。
小型炉を用いて粉状精錬剤への着熱挙動を調査した。小型炉にて使用した上吹きランスは、図2に示す上吹きランスと同様に、6重管構造のものであり、その横断面において中心から、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路、冷却水の給水及び排水の2つの冷却水流路から構成されている。粉状精錬剤はランス中心の円形ストレート型の中心孔から、燃料ガスは円環状(リング状)の燃料ガス噴射孔から、燃料ガス燃焼用の酸素ガスは円環状(リング状)の燃焼用酸化性ガス噴射孔から、精錬用酸素ガスは同心円上に配置した複数個のラバールノズル型の周囲孔から炉内に供給した。尚、上記に示した流路を有する上吹きランスである限り、7重管構造以上としても差し支えない。
中心孔は内径11.5mmであり、燃料ガス噴射孔は円環状スリットの隙間が0.5mm〜2mmであり、燃焼用酸化性ガス噴射孔は円環状スリットの隙間が0.75mm〜1.85mmであり、周囲孔はスロート径が7mmの3孔ラバールノズルでランス中心軸に対して15°の角度を有しているものである。燃料ガス噴射孔の円環状スリットの隙間、燃焼用酸化性ガス噴射孔の円環状スリットの隙間を変化させることにより、同一流量においても噴出速度を変化させることができる。
粉状精錬剤としてはクロム鉱石を用いた。また、燃料ガスとしてはプロパンガス(発熱量:100.5MJ/Nm3)及び液化天然ガス(発熱量:45.9MJ/Nm3)を用い、燃料ガスの供給流量は、プロパンガスは0.16Nm3/分、液化天然ガスは0.35Nm3/分とした。燃料ガス燃焼用の酸素ガスの供給量は0.8Nm3/分、精錬用酸素ガスの供給量は5Nm3/分、粉状精錬剤であるクロム鉱石の供給量は5kg/分とした。
燃料ガス噴射孔の円環状スリット幅を種々変更した上吹きランスを用い、火炎の安定着火領域を調査した。その結果、プロパンガスの燃料ガス噴射孔からの噴出速度が133Nm/秒以下となる条件においてバーナー火炎が安定的に着火し、一方、液化天然ガスの場合には、液化天然ガスの燃料ガス噴射孔からの噴出速度が290Nm/秒以下となる条件においてバーナー火炎が安定的に着火することが分った。
これらの結果を、プロパンガス及び液化天然ガスの燃料発熱量(kJ/Nm3)とそのときの噴出速度とで(1)式によって定められる、流路出口における単位断面積あたりの投入熱量(kJ/(mm2・分))に換算し、この投入熱量と安定着火との関係を求めた。求めた投入熱量と安定着火との関係を図3に示す。図3において、「丸印」がプロパンガスの結果、「三角」印が液化天然ガスの結果であり、「黒塗り印」が失火を示している。
図3に示すように、投入熱量が800kJ/(mm2・分)を超えると失火の確率が高くなるので、バーナー火炎を安定的に着火させるためには、燃料ガス噴射孔における単位断面積あたりの投入熱量を800kJ/(mm2・分)以下とする必要があることが分った。一方、燃料ガス噴射孔における単位断面積あたりの投入熱量が少なくなりすぎると、溶銑の加熱量が少なくなるので、燃料ガス噴射孔における単位断面積あたりの投入熱量は250kJ/(mm2・分)を確保することが必要である。
また、燃焼用酸化性ガス噴射孔の円環状スリット幅を種々変更した上吹きランスを用い、上吹きランスから燃料ガスと燃焼用酸素ガスとを吹き込み、安定的な火炎を形成させた後、上吹きランスの粉状精錬剤供給流路から不活性ガス(窒素ガス)とともにクロム鉱石を吹き込み、火炎を通過した直後のクロム鉱石の温度を二色温度計で測定した。測定結果を図4に示す。
図4に示すように、燃焼用酸素ガスの噴出速度が変化すると、火炎から粉状精錬剤へ着熱する熱量が変化することが分った。即ち、燃焼用酸素ガスの噴出速度が315Nm/秒を超えると、吹き込まれる粉状精錬剤への伝熱量が急激に低下することから、燃焼用酸素ガスの噴出速度は315Nm/秒以下に抑制することが好ましいことが分った。
図1に示す転炉設備において、本発明を適用して、鉄スクラップの添加された溶銑の脱燐処理試験を行った(本発明例11、本発明例12)。使用した上吹きランスは、図2に示す上吹きランスと同様に、6重管構造のものである。また、比較のために、燃料ガスの噴出速度を変更し、燃料ガス供給流路の出口(燃料ガス噴射孔)における単位断面積あたりの投入熱量が本発明の範囲外となる比較例11、比較例12、並びに、上吹きランス先端下方に火炎を形成させない試験操業も行った(比較例13)。上吹きランスから供給する精錬剤としては生石灰を使用した。表1に本発明例及び比較例の操業条件を示す。
Figure 2013049917
試験では、同じ寸法を有するランス本体14を複数用意し、それぞれ設計変更がなされた複数のランスチップ15を用意した。複数のランスチップ15は、中心孔16の内径が55mmであり、周囲孔19は、スロート径が50mmの5孔ラバールノズルで、ランス中心軸に対して15°の傾斜角度で配置されている。また、複数のランスチップ15の各々は、燃料ガス噴射孔17及び燃焼用酸化性ガス噴射孔18について設計変更がなされている。具体的には、燃料ガス噴射孔17及び燃焼用酸化性ガス噴射孔18は円環状スリットノズルであり、この円環状スリット隙間の幅が、燃料ガス噴射孔17では5.5mm〜20.0mmの範囲で、また、燃焼用酸化性ガス噴射孔18では8.3mm〜25.4mmの範囲で、それぞれ異なる任意の寸法を有するものである。
この複数のランスチップ15と複数のランス本体14とを溶接して、燃料ガス噴射孔17及び燃焼用酸化性ガス噴射孔18の隙間が相異なる複数の上吹きランス3を準備した。このように設定した上吹きランスを使用することで、火炎の形成に際して、燃料ガスや燃焼用酸化性ガスを同一流量(m3/秒)としても、燃料ガスや燃焼用酸化性ガスの噴出速度(吐出速度(Nm/秒))を変更させることが可能であった。
燃料ガスとしては、液化天然ガス(発熱量:45.9MJ/Nm3)を用いた。液化天然ガスの供給流量(供給速度)は、25Nm3/分とした。この場合、燃料ガスの噴出速度は、87Nm/秒〜331Nm/秒となる。また、燃焼用酸化性ガスは酸素ガスを用い、液化天然ガスを完全燃焼させるために、供給流量(供給速度)は、57Nm3/分とした。酸素ガスの噴出速度は、242Nm/秒〜331Nm/秒であった。
本発明例11、12、及び比較例11、12では、40トンの鉄スクラップを炉本体に装入した後、300トンの溶銑を炉本体に装入し、酸素ガスを上吹きして約13分間の脱燐処理を行った。これと同時に液化天然ガスを燃料ガスとして供給し、上吹きランス先端下方に火炎を形成させ、粉状精錬剤供給流路から窒素ガスとともに粉状精錬剤として生石灰を火炎中に吹き込んだ。脱燐処理終了後、溶銑を溶銑保持容器に出湯した。
本発明例11、12では、出湯後、炉本体の内部には未溶解の鉄スクラップは見られず、添加した40トンの鉄スクラップは脱燐処理中に完全に溶解したことが確認できた。一方、比較例11、12は、燃料ガスの噴出速度を変更し、燃料ガス供給流路の出口における単位断面積あたりの投入熱量が本発明の範囲外となる条件での脱燐処理であり、脱燐処理終了後に溶銑を出湯した結果、炉本体の内部に未溶解の鉄スクラップが残留しており、脱燐処理中に完全に溶解することはできなかった。
また、比較例13は、上吹きランス先端下方に火炎を形成させない以外は、本発明例11、12と同一の条件で溶銑の脱燐処理を行ったが、脱燐処理終了後に溶銑を出湯した結果、炉本体の内部には未溶解の鉄スクラップが残留しており、40トンの鉄スクラップを脱燐処理中に完全に溶解することはできなかった。
このように、本発明を適用することにより、未溶解の鉄スクラップを発生することなく、安定した操業を行うことができた。また、表1に、副原料使用量、上吹き酸素量、溶銑の脱燐処理前後の成分組成及び溶銑温度を併記するように、本発明例においても脱燐特性は比較例と変わらず、副原料や酸素使用量の増大も伴わないことが確認できた。
実施例2で使用した転炉及び上吹きランスを用い、燃料ガスをプロパンガスとした条件で脱燐処理を行った(本発明例21、22)。また、比較のために、燃料ガスの噴出速度を変更し、燃料ガス供給流路の出口における単位断面積あたりの投入熱量が本発明の範囲外となる比較例21、比較例22、並びに、上吹きランス先端下方に火炎を形成させない試験操業も行った(比較例23)。表2に本発明例及び比較例の操業条件を示す。燃料ガスを変更した以外は実施例2と同様の条件である。
Figure 2013049917
燃料ガスとしては、プロパンガス(発熱量:100.5MJ/Nm3)を用い、プロパンガスの供給流量(供給速度)は、12Nm3/分とした。燃料ガスの噴出速度は、42Nm/秒〜172Nm/秒であった。また、燃焼用酸化性ガスは酸素ガスを用い、液化天然ガスを完全燃焼させるために、供給流量(供給速度)は、57Nm3/分とした。酸素ガスの噴出速度は、242Nm/秒〜331Nm/秒となった。
本発明例21、22及び比較例21、22では、40トンの鉄スクラップを炉本体に装入した後、300トンの溶銑を炉本体に装入し、酸素ガスを上吹きして約13分間の脱燐処理を行った。これと同時にプロパンガスを燃料ガスとして供給し、上吹きランス先端下方に火炎を形成させ、粉状精錬剤供給流路から窒素ガスとともに粉状精錬剤として生石灰を火炎中に吹き込んだ。脱燐処理終了後、溶銑を溶銑保持容器に出湯した。
本発明例21、22では、出湯後、炉本体の内部には未溶解の鉄スクラップは見られず、添加した40トンの鉄スクラップは脱燐処理中に完全に溶解したことが確認できた。一方、比較例21、22は、燃料ガスの噴出速度を変更し、燃料ガス供給流路の出口における単位断面積あたりの投入熱量が本発明の範囲外となる条件での脱燐処理であり、脱燐処理終了後に溶銑を出湯した結果、炉本体の内部に未溶解の鉄スクラップが残留しており、脱燐処理中に完全に溶解することはできなかった。
また、比較例23は、上吹きランス先端下方に火炎を形成させない以外は、本発明例21、22と同一の条件で溶銑の脱燐処理を行ったが、脱燐処理終了後に溶銑を出湯した結果、炉本体の内部には未溶解の鉄スクラップが大量に残留しており、40トンの鉄スクラップを脱燐処理中に完全に溶解することはできなかった。
このように、本発明を適用することにより、未溶解の鉄スクラップを発生することなく、安定した操業を行うことができた。
1 転炉設備
2 炉本体
3 上吹きランス
4 鉄皮
5 耐火物
6 出湯口
7 底吹き羽口
8 ガス導入管
9 粉状精錬剤供給管
10 燃料ガス供給管
11 燃焼用酸化性ガス供給管
12 精錬用酸化性ガス供給管
13 ディスペンサー
14 ランス本体
15 ランスチップ
16 中心孔
17 燃料ガス噴射孔
18 燃焼用酸化性ガス噴射孔
19 周囲孔
20 最内管
21 仕切り管
22 内管
23 中管
24 外管
25 最外管
26 溶銑
27 スラグ
28 攪拌用ガス
29 粉状精錬剤

Claims (6)

  1. 転炉の上方に配置された、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路を有する上吹きランスを用い、
    前記燃料ガス供給流路から、該燃料ガス供給流路の出口における単位断面積あたりの投入熱量が250kJ/(mm2・分)以上800kJ/(mm2・分)以下となる燃料ガスを供給すると同時に、前記燃焼用酸化性ガス供給流路から酸化性ガスを供給して、上吹きランスの先端下方に火炎を形成させながら、
    前記粉状精錬剤供給流路から、粉状精錬剤として、酸化鉄、石灰系媒溶剤、可燃性物質のうちの1種以上を不活性ガスとともに転炉内溶銑浴面に向けて供給し、且つ、前記精錬用酸化性ガス供給流路から精錬用酸化性ガスを溶銑浴面に向けて供給し、
    転炉内の冷鉄源の添加された溶銑を酸化精錬することを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法。
  2. 前記燃焼用酸化性ガス供給流路の出口における燃焼用酸化性ガスの噴出速度を75Nm/秒以上315Nm/秒以下に制御することを特徴とする、請求項1に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
  3. 前記燃料ガスとしてプロパンガスを使用し、前記燃料ガス供給流路の出口におけるプロパンガスの噴出速度を133Nm/秒以下に制御することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
  4. 前記燃料ガスとして液化天然ガスを使用し、前記燃料ガス供給流路の出口における液化天然ガスの噴出速度を290Nm/秒以下に制御することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
  5. 前記上吹きランスは、横断面構造において中心側から、粉状精錬剤供給流路、燃料ガス供給流路、該燃料ガスの燃焼用酸化性ガス供給流路、精錬用酸化性ガス供給流路、冷却水の給水及び排水の2つの冷却水流路を構成する6重管構造であることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
  6. 前記酸化精錬が溶銑の脱燐処理であることを特徴とする、請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
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