JP2013023602A - 有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体および改質ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体および改質ポリプロピレン樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリプロピレン粉体中の有機過酸化物含有濃度の均一性が高く、粉体同士のブロッキング(互着)が起こりにくく、取り扱い性に優れ、かつ貯蔵時の品質変化が少ない有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を提供すること。
【解決手段】特定のプロピレン重合体粒子70〜99重量%と、有機過酸化物1〜30重量%との混合物からなり、見掛け嵩比重が0.30g/cm以上0.60g/cm未満である有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン粉体中の有機過酸化物含有濃度の均一性が高く、粉体同士のブロッキング(互着)が起こりにくく、取り扱い性に優れ、かつ貯蔵時の品質変化が少ない有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体、およびそれを用いる改質ポリプロピレン樹脂組成物に関するものである。
ポリプロピレン樹脂は成形性、耐薬品性に優れ、比重も小さく、また、工業的に安価で大量に製造されることから、汎用樹脂として幅広い用途分野に利用されている。中でもポリプロピレン樹脂は添加剤、ゴム、充填剤、さらには異種の高分子材料の配合によって改質され、ポリプロピレン樹脂の機械的物性、外観、成形加工性などの特性を幅広く改良ができることから新たな用途分野への展開が望まれている。
添加剤の中でも有機過酸化物は、発生ラジカルによる各種モノマーの重合開始剤としての用途のほか、ポリプロピレン樹脂に添加し熱処理することで生じる熱分解反応や架橋反応を利用して溶融流動特性が改良されたポリプロピレン樹脂を製造する用途や、ポリプロピレン樹脂を無水マレイン酸などの異種の単量体又は異種の樹脂やゴム等の重合体との共存下でグラフト反応により変性し、新たな高機能・高性能なポリプロピレン樹脂を製造する用途等に適用される添加剤であることが知られている。前記有機過酸化物を適用したポリプロピレン樹脂の生産性を向上するために取り扱い性の良い有機過酸化物の適用が望まれており、例えば、有機過酸化物を含有させたポリプロピレン粉粒体が知られている。
有機過酸化物が含有されたポリプロピレン重合体粒子として、例えば、特許文献1には、ポリオレフィン粉粒体に添加剤を付着させる方法であって、該添加剤が強く溶融付着したポリオレフィン粉粒体の製造が記載されている。詳しくは、添加剤が室温以上で融点をもつ有機過酸化物であること、ポリオレフィン粉粒体がポリエチレンとポリプロピレンであること、また、80メッシュの篩を通過しないポリプロピレン粉粒体を使用し、80メッシュの篩を通過しない有機過酸化物が付着したポリプロピレン粉粒体の製造が記載されている。
また、特許文献2には、ポリオレフィン粉粒体に常温で固体の有機過酸化物を含有させる方法であって、ブロッキング及び機器への付着がない有機過酸化物含有ポリオレフィン粉粒体の製造が記載されている。詳しくは、ポリオレフィン粉粒体を膨潤させうる有機溶媒と常温で固体の有機過酸化物とを混合し、該粉粒体を有機溶媒で膨潤させた後、その有機溶媒を除去し有機過酸化物だけをポリオレフィン粉粒体の内部に残留させ、ポリオレフィン粉粒体表面に付着した有機過酸化物を減らすことによる有機過酸化物含有ポリオレフィン粉粒体の製造が記載されている。
また、特許文献3には、有機過酸化物の配合物、およびポリオレフィン樹脂にポリオレフィン樹脂パウダー又はペレットに、該有機過酸化物の配合物を添加し熱処理してなる改質ポリオレフィン樹脂が記載されている。詳しくは、0.05〜10μmの孔径を有する微細な孔構造を持つポリオレフィン樹脂パウダー又はペレット25〜90重量%と常温で液状又は粉状の有機過酸化物75〜10重量%とを配合してなる有機過酸化物の配合物が記載されている。
また、特許文献4には、常温で固体の粉状又は粒状の有機過酸化物、粉状又はポリオレフィン及び40℃での動粘度が10mm/s以上であるパラフィン系オイルの混合により得られる均一な混合物からなる、原料ポリオレフィンの形状に対応した粉状又は粒状の有機過酸化物に関する発明である。
また、特許文献5には、機能性成分に対する含有能力の優れる多孔質ポリオレフィン、機能性成分を高含有率で含有する多孔質ポリオレフィン、及び多孔質ポリオレフィンの製造方法が記載されている。詳しくは、室温で固体のポリオレフィンと液体のポリブテンとの分散液を加熱して、ポリブテンをポリオレフィンに含浸した後、該ポリブテン含浸ポリオレフィンからポリブテンを除去することにより得られる多孔質ポリオレフィン、多孔質ポリオレフィンに機能性成分を含有させた機能性成分含有ポリオレフィン、その製造方法が記載されている。
特開昭61−231034号公報 特開平4−198323号公報 特開平10−45956号公報 特開2000−327852号公報 特開2005−105101号公報
しかし、上記特許文献1〜5に記載されている有機過酸化物含有ポリプロピレン粉粒体は、重合パウダーを用いることから、重合触媒や製造方法などのポリプロピレン製造工程の技術的改良や工程変更の影響を受けて、得られる重合パウダーの品質が変わることがあり、長期に安定して同一品質を有する重合パウダーの入手が難しいなどの問題があった。また、公知の有機溶媒を用いた方法、分散液を用いた方法、パラフィン系オイルを用いた方法等による有機過酸化物含有ポリプロピレン粉粒体の製造方法では、適用する有機溶媒、分散液、パラフィン系オイル等の不要な成分を取り除く後工程が必要であり、経済性の観点から改善が必要であった。
このため、有機過酸化物を高濃度に含有せしめたポリプロピレン粉体の取り扱い性や経済性に優れた製造方法について、さらなる改良が求められていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、ポリプロピレン粉体中の有機過酸化物含有濃度の均一性が高く、粉体同士のブロッキング(互着)が起こりにくく、取り扱い性に優れ、かつ貯蔵時の品質変化が少ない有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体、およびそれを用いる改質ポリプロピレン樹脂組成物を提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、本発明が上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
下記成分(A)70〜99重量%と、下記成分(B)1〜30重量%との混合物(但し、成分(A)と成分(B)との合計を100重量%とする。)からなり、見掛け嵩比重が0.30g/cm以上0.60g/cm未満である有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体に係るものである。
成分(A):下記要件(a)、下記要件(b)、下記要件(c)、下記要件(d)、下記要件(e)、下記要件(f)、下記要件(g)および下記要件(h)の全ての要件を満足するプロピレン重合体粒子
要件(a):20℃キシレン可溶部の量が0.5重量%以上20重量%未満である
要件(b):示差走査型熱量計(DSC)によって測定される融解を示す吸熱曲線のピーク温度(融点)が120℃以上160℃未満である
要件(c):見掛け嵩比重が0.20g/cm以上0.45g/cm未満である
要件(d):粒子径100μm未満の粒子の含有量が1重量%以上20重量%未満である
要件(e):粒子径300μm未満の粒子の含有量が5重量%以上80重量%未満である
要件(f):粒子径1000μm未満の粒子の含有量が80重量%以上である
要件(g):粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径(D50)が100μm以上700μm未満である
要件(h):粒子径加積曲線の重量百分率99%にあたる粒子径(D99)が500μm以上2000μm未満である
成分(B):有機過酸化物
また、本発明は、プロピレン重合体(成分(I))、および前記成分(I)100重量部に対して、上記の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(成分(II))0.001〜5重量部を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂組成物に係るものである。
本発明により、ポリプロピレン粉体中の有機過酸化物含有濃度の均一性が高く、粉体同士のブロッキング(互着)が起こりにくく、取り扱い性に優れ、かつ貯蔵時の品質変化が少ない有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を得ることができる。
染み出し性試験に用いる圧縮プレスの方法を示す図である。 流動性試験に用いる漏斗を示す図である。 流動性試験に用いるコイルフィルダーを示す図である。
(1)有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体
本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体は、下記成分(A)70〜99重量%と、下記成分(B)1〜30重量%との混合物(但し、成分(A)と成分(B)との合計を100重量%とする。)からなり、見掛け嵩比重が0.30g/cm以上0.60g/cm未満である。
成分(A):下記要件(a)、下記要件(b)、下記要件(c)、下記要件(d)、下記要件(e)、下記要件(f)下記要件(g)および下記要件(h)の全ての要件を満足するプロピレン重合体粒子
要件(a):20℃キシレン可溶部の量が0.5重量%以上20重量%未満である
要件(b):示差走査型熱量計(DSC)によって測定される融解を示す吸熱曲線のピーク温度(融点)が120℃以上160℃未満である
要件(c):見掛け嵩比重が0.20g/cm以上0.45g/cm未満である
要件(d):粒子径100μm未満の粒子の含有量が1重量%以上20重量%未満である
要件(e):粒子径300μm未満の粒子の含有量が5重量%以上80重量%未満である
要件(f):粒子径1000μm未満の粒子の含有量が80重量%以上である
要件(g):粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径(D50)が100μm以上700μm未満である
要件(h):粒子径加積曲線の重量百分率99%にあたる粒子径(D99)が500μm以上2000μm未満である
成分(B):有機過酸化物
1.プロピレン重合体粒子(成分(A))
本発明に用いる成分(A)におけるプロピレン重合体としては、プロピレン単独重合体、またはプロピレンに由来する構造単位と、エチレンに由来する構造単位および/または炭素数4〜10のα−オレフィンに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位(以下、「コモノマーに由来する構造単位」と記載することがある。)とを有するプロピレン共重合体であり、これらの混合物であってもよい。成分(A)として、好ましくは、プロピレンに由来する構造単位80〜100重量%と、エチレンに由来する構造単位および/または炭素数4〜10のα−オレフィンに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位0〜20重量%とを有するプロピレン重合体粒子(但し、プロピレンに由来する構造単位と、エチレンに由来する構造単位および/または炭素数4〜10のα−オレフィンに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位との合計を100重量%とする。)である。
前記プロピレン共重合体に含まれるプロピレンに由来する構造単位と、コモノマーに由来する構造単位との含有量として、好ましくは、プロピレンに由来する構造単位が80〜99.9重量%であり、コモノマーに由来する構造単位が0.1〜20重量%であり、より好ましくは、プロピレンに由来する構造単位が85〜99.9重量%であり、コモノマーに由来する構造単位が0.1〜15重量%であり、更に好ましくは、プロピレンに由来する構造単位が90〜99重量%であり、コモノマーに由来する構造単位が1〜10重量%であり、特に好ましくは、プロピレンに由来する構造単位が90〜97重量%であり、コモノマーに由来する構造単位が3〜10重量%である(但し、プロピレンに由来する構造単位と、コモノマーに由来する構造単位との合計を100重量%とする。)。
本発明において、「エチレンに由来する構造単位」のような用語中の「構造単位」とは、モノマーの重合単位を意味する。したがって、例えばエチレンに由来する構造単位は、−CHCH−なる構造単位を意味する。
炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンである。
プロピレン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体等が挙げられ、プロピレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体としては、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられ、プロピレンとエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体としては、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体等が挙げられ、これらの混合物であってもよく、プロピレン単独重合体との混合物であってもよい。
成分(A)として、好ましくは、プロピレン−エチレンランダム共重合体粒子、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体粒子またはプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体粒子であり、より好ましくは、プロピレンに由来する構造単位90〜97重量%と、エチレンに由来する構造単位3〜10重量%とを有するエチレン−プロピレンランダム共重合体粒子、プロピレンに由来する構造単位90〜97重量%と、1−ブテンに由来する構造単位3〜10重量%とを有するエチレン−プロピレンランダム共重合体粒子、またはプロピレンに由来する構造単位80〜98重量%と、エチレンに由来する構造単位1〜10重量%と、1−ブテンに由来する構造単位1〜10重量%とを有するエチレン−プロピレンランダム共重合体粒子であり、より好ましくは、プロピレンに由来する構造単位93〜97重量%と、エチレンに由来する構造単位3〜7重量%とを有するエチレン−プロピレンランダム共重合体粒子、プロピレンに由来する構造単位93〜97重量%と、1−ブテンに由来する構造単位3〜7重量%とを有するエチレン−プロピレンランダム共重合体粒子、プロピレンに由来する構造単位85〜98重量%と、エチレンに由来する構造単位1〜5重量%と、1−ブテンに由来する構造単位1〜10重量%とを有するエチレン−プロピレンランダム共重合体粒子である。
成分(A)としては、結晶性を示すプロピレンと他のオレフィンとの共重合体粒子であることが好ましい。結晶性は、該共重合体に含まれる20℃キシレン可溶部(CXS)の量により表すことができる。20℃キシレン可溶部(CXS)が多いと非晶部分が多く、結晶性が低いことを示し、20℃キシレン可溶部(CXS)が少ないと非晶部分が少なく、結晶性が高いことを示す。
成分(A)の20℃キシレン可溶部(CXS)としては、0.5重量%以上20重量%未満である。有機過酸化物含有ポリプロピレン粉末における成分(B)の含有量が高濃度であり、かつ良好な流動性を得るという観点から、前記CXSは、好ましくは、0.5重量%以上10重量%未満であり、より好ましくは、1重量%以上5重量%未満である。
CXSが20重量%より多い場合、成分(A)は結晶性が低すぎて表面が粘着性を示すため、本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉末の流動性が低下し、貯蔵時に粉末同士が互着することで塊化が生じたり、また、使用時に搬送性が低下したりする等、取り扱い性が悪化することがある。
また、前記CXSが0.5重量%より少ない場合、結晶性が高すぎて、本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉末における成分(B)の含有量を高濃度にすることができない。また、成分(A)と成分(B)とが均一に混合された状態の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体が得られず、成分(B)が高濃度に表面に付着することで粉体同士がブロッキングを起こし、該有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の流動性が低下する等、取り扱い性が悪化することがある。
成分(A)の示差走査型熱量計(DSC)によって測定される融解を示す吸熱曲線のピーク温度(融点)が120℃以上160℃未満である。融点は、前記20℃キシレン可溶部(CXS)の量と同様に、成分(A)の結晶性を決定する指標である。成分(A)と成分(B)とが均一に混合された状態の取り扱い性の良好な有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を製造することができるという観点から、好ましくは、130℃以上160℃未満であり、より好ましくは、130℃以上150℃未満である。
成分(A)の温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローメート(MFR)としては、本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉末を使用して製造するポリプロピレン樹脂のフィルム物性やフィッシュアイ(品質不良)を改善できる点で、好ましくは、1〜50g/10分であり、より好ましくは、1〜30g/10分であり、更に好ましくは、2〜20g/10分である。
成分(A)の135℃テトラリン中で測定される極限粘度([η])としては、本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉末を使用して製造するポリプロピレン樹脂のフィルム物性やフィッシュアイ(品質不良)を改善できる点で、好ましくは、1dl/g以上3dl/g未満であり、より好ましくは、1.3dl/g以上3dl/g未満であり、更に好ましくは、1.5dl/g以上2.5dl/gである。
成分(A)の見掛け嵩比重としては、0.20g/cm以上0.45g/cm未満である。
成分(A)は、特定範囲にある粒子径分布を有する粒子(厳密には粒子の混合体)である。その粒子径分布は、レーザー回折式粒子径分布測定法(但し、媒体を使用せずに測定する乾式法)で求められる粒子径分布で表される。レーザー回折式粒子径分布測定法とは、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置(Sympatec社製HELOS&RODOS(商品名)等を用いて、乾式法にて粒子径分布を測定する方法である。
成分(A)の100μm未満の粒子の含有量としては、1重量%以上20重量%未満であり、300μm未満の粒子の含有量としては、5重量%以上80重量%未満であり、1000μm未満の粒子の含有量としては、80重量%以上であり、粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径(D50)としては、100μm以上700μm未満であり、粒子径加積曲線の重量百分率99%にあたる粒子径(D99)としては、500μm以上2000μm未満である。
成分(A)の粒子径分布は、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体における成分(B)の高含有量化、その含有量の均一性、さらには有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の良好な取り扱い性の観点から、好ましくは、100μm未満の粒子の含有量が1重量%以上10重量%未満であり、300μm未満の粒子の含有量が10重量%以上70重量%未満であり、1000μm未満の粒子の含有量が80重量%以上であり、粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径(D50)が200μm以上700μm未満であり、粒子径加積曲線の重量百分率99%にあたる粒子径(D99)が700μm以上2000μm未満であり、より好ましくは、100μm未満の粒子の含有量が1重量%以上5重量%未満であり、300μm未満の粒子の含有量が10重量%以上50重量%未満であり、1000μm未満の粒子の含有量が80重量%以上であり、粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径(D50)が300μm以上700μm未満であり、粒子径加積曲線の重量百分率99%にあたる粒子径(D99)が900μm以上2000μm未満である。
成分(A)としては、公知の重合触媒を用いて、プロピレン単独またはプロピレンと他のオレフィンをモノマーとして用いて、公知の重合方法によって製造することができるプロピレン重合体粒子、公知の重合方法によって製造することができるプロピレン重合体を粉砕して得られる粒子、公知の重合方法によって製造することができるプロピレン重合体を融点以上の温度条件にて予め溶融混練し、これを冷却固化して加工して得られた成形体を粉砕して得られる粒子等が例示される。なお、公知の重合方法によって製造することができるプロピレン重合体粒子とは、酸化防止剤を含有せず、熱や酸素に対して安定化されていないプロピレン重合体粒子であると定義する。
前記プロピレン重合体粒子またはプロピレン重合体の製造の場合、重合触媒として、チーグラー型触媒系;チーグラー・ナッタ型触媒系;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンとからなる触媒系;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物と、それと反応してイオン性の錯体を形成する化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;ならびにシリカおよび粘土鉱物のような無機粒子に、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物のような触媒成分を担持した触媒系を例示することができる。これらの触媒系は、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報、特開2004−067850号公報に記載されている。重合触媒は、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒であってもよい。
プロピレン重合体粒子またはプロピレン重合体の製造方法として、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行うバルク重合法;プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような不活性炭化水素溶媒中で重合を行う溶液重合法やスラリー重合法;ならびに気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する気相重合法を例示することができる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式またはこれらの組み合わせで行われる。これらの重合方法はまた、連結された2以上の重合反応槽を用いて、各重合反応槽で重合体の組成や特性を調整する、連続的な多段式で行われてもよい。中でも、工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法、またはバルク重合法と気相重合法とを連続的に行うバルク−気相重合法が好ましい。これらの重合方法における重合工程の、重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量および重合時間のような条件は、成分(A)に応じて適宜、変更し、決定される。
プロピレン重合体粒子またはプロピレン重合体は、該重合体中の超低分子量オリゴマーのような副生物や残留溶媒を除去するために、その融解温度以下で乾燥してもよい。
成分(A)が、プロピレン重合体を融点以上の温度条件にて予め溶融混練し、これを冷却固化して加工して得られた成形体を粉砕して得られる粒子の場合、その溶融混練方法としては、溶融押出機やバンバリーミキサーのような公知の溶融混練装置を用いて、融点以上の温度条件、好ましくは、180℃以上、より好ましくは、180〜300℃、更に好ましくは、180〜250℃で溶融混練することによって製造する方法が挙げられる。
公知の溶融混練装置として、単軸押出機;Werner Pfleidlerer製のZSK(登録商標)、東芝機械(株)製のTEM(登録商標)、日本製鋼所(株)製のTEX(登録商標)、および(株)テクノベル製のKZW(登録商標)のような二軸同方向回転押出機;ならびに、日本製鋼所(株)製のCMP(登録商標)、および神戸製鋼所(株)製のFCM(登録商標)やNCM(登録商標)やLCM(登録商標)のような二軸異方向回転押出機を例示することができる。
プロピレン重合体を予め溶融混練して得られた成形体の形状としては、ストランド、シート、平板、およびストランドを適当な長さに裁断したペレットを例示することができる。
成分(A)には、貯蔵中の酸化劣化を抑制して安定化するために中和剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を含有してもよい。添加剤の配合は、ミキサーなどによる攪拌混合法や、溶融混練法等の公知の混合方法によって行ってもよい。前記添加剤を配合する場合の配合量は、通常、成分(A)100重量部に対して、添加剤が0.001〜0.5重量部であり、好ましくは、0.01〜0.2重量部の範囲である。
成分(A)として、プロピレン重合体を粉砕して得られる粒子、またはプロピレン重合体を融点以上の温度条件にて予め溶融混練し、これを冷却固化して加工して得られた成形体を粉砕して得られる粒子の場合、その粒子の製造は、公知の粉砕装置を用いることができる。
公知の粉砕装置として、スパイラルミル、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル、JETミル、ジェット気流粉砕機(シングルトラックジェットミル、ジェットオーミル)、カッターミル、ロータリーカッターミル、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、スターミル、ジョークラッシャーミル、インペラーミル、振動ミル、衝撃式粉砕機等を例示することができる。
目的の粒子径分布を有する成分(A)を得る好ましい粉砕方法としては、液体窒素を用いて粉砕する冷凍粉砕法が挙げられる。
冷凍粉砕法は、通常、液体窒素(約−196℃)雰囲気下でプロピレン重合体を粉砕して得られる粒子、またはプロピレン重合体を融点以上の温度条件にて予め溶融混練し、これを冷却固化して加工して得られた成形体を粉砕して得られる粒子を、その脆化点以下に冷却した後、ターボミル、ピンミル、ハンマーミル、リンレックスミル、インペラーミル、スパイラルミル等の粉砕機を用いて粉砕を行う方法である。
また、プロピレン重合体を粉砕して得られる粒子は、目的の粒子径分布を有する成分(A)を得るために、フィルターを通過させる方法により製造することができる。フィルターは公知の仕様のものを用いることができる。
公知のフィルターとして、織金網、クリンプ金網、溶接金網、デミスター、スパイラル金網、積層金属フィルター、金属焼結フィルター等が挙げられる。織金網としては、平織の織金網、綾織の織金網、繻子織の織金網、平畳織の織金網、綾畳織の織金網等を例示することができる。フィルターの材質は、金属製や樹脂製のいずれでもよく、好ましくは、ステンレス製である。フィルターは1枚でも複数枚積層させて使用してもよく、また、1段階でも2段階以上に分けて使用してもよく、異なる仕様(材質、形状、開き目等)のものを併用してもよい。フィルターの開き目は、目的の粒子径分布を得る条件であれば任意に決定することができる。好ましくは、100〜3000μmであり、より好ましくは、300〜2000μmであり、更に好ましくは、300〜1500μmである。フィルターの開き目とは、JIS−B8356の方法によりフィルターメディアを通過した最大グラスビーズの粒子径(μm)により決定され、フィルターを通過することのできる空間として測定された値である。
成分(A)が、プロピレン重合体を粉砕して得られる粒子である場合、成分(B)を高濃度に含有でき、かつ取扱い性に優れる有機過酸化物含有プロピレン重合体粉体を効率よく製造する観点から、特定の粒子径分布を満足するプロピレン重合体粒子である必要があり、粉砕に用いられるプロピレン重合体として、好ましくは、粒子径の大きいものである。
成分(A)が、プロピレン重合体を粉砕して得られる粒子の場合、粉砕前のプロピレン重合体の大きさは、レーザー回折式粒子径分布測定装置で求められる粒子径分布における、粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径(D50)で表され、好ましくは、700〜5000μm、より好ましくは、700〜3000μm、更に好ましくは、700〜1500μmである。
また、成分(A)が、プロピレン重合体を融点以上の温度条件にて予め溶融混練し、これを冷却固化して加工して得られた成形体を粉砕して得られる粒子の場合、該成形体の大きさは最も長い部分の長さで表され、通常、1〜50mmであり、好ましくは、2〜10mmであり、より好ましくは、2〜5mmある。また、該成形体の形状は、該成形体を粉砕して得られる粒子の生産性、生産安定性の観点から、好ましくは、直径が2〜5mmのペレット状である。
2.有機過酸化物(成分(B))
成分(B)は、10℃以上30℃未満で固体であるもの、10℃以上120℃未満で液体であるものである。10℃以上30℃未満で固体であっても加熱により120℃までの温度範囲で溶解し液体になるものも含まれる。成分(B)は1種または2種以上を混合して使用することができる。
また、成分(B)が10℃以上30℃未満で固体であるものとしては、粉状または粒状のものを例示することができる。その粒子径は特に制限はないが、取扱いの便利さや、均一な有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を製造することを目的とする観点から、通常、粒子径100〜2000μm(もしくは9メッシュ篩通過)であり、好ましくは、100〜1000μm(もしくは16メッシュ篩通過)であり、より好ましくは、100〜500μm(もしくは32メッシュ篩通過)である。ここで粒子径とは、粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径(D50)のことである。
本発明の有機過酸化物(B)としては、公知の有機過酸化物を適用することができる。具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、その他、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン等が例示される。
パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等が例示される。
ハイドロパーオキサイド類としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等)が例示される。
ジアルキルパーオキサイド類としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が例示される。
ジアシルパーオキサイド類としては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、オルソメチルベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が例示される。
パーオキシジカーボネート類としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等)が例示される。
パーオキシエステル類としては、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,6−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等が例示される。
成分(B)は、プロピレン重合体粒子に含有せしめる工程において、効率的に含浸濃度を高めことができる観点から、液体の状態であることが望ましい。このため、成分(B)の融点として、好ましくは、120℃未満であり、より好ましくは、80℃未満であり、更に好ましくは、60℃未満であり、特に好ましくは、常温で液体である。
成分(B)として、好ましくは、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナンである。常温での取扱い及び安全性の観点から、より好ましくは、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナンである。
本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体は、プロピレン重合体粒子(成分(A))と有機過酸化物(成分(B))との混合物であり、各成分の含有量は、成分(A)70〜99重量%、成分(B)1〜30重量%である(但し、成分(A)と成分(B)との合計を100重量%とする。)。経済性、取扱い性及び貯蔵時の安全性の観点から、好ましくは、成分(A)80〜97重量%、成分(B)3〜20重量%であり、より好ましくは、成分(A)80〜95重量%、成分(B)5〜10重量%である。
本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体は、見掛け嵩比重が0.30g/cm以上0.60g/cm未満を満足する粒子である。取扱い性の観点から、好ましくは、0.33g/cm以上0.60g/cm未満であり、より好ましくは、0.33g/cm以上0.50g/cm未満であり、更に好ましくは、0.33以上0.45g/cm未満である。
本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体は、公知の製造方法を適用して製造することができる。
本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の製造は、プロピレン重合体粒子(成分(A))と有機過酸化物(成分(B))との混合物が、通常、10℃以上〜成分(A)の融点未満の範囲の温度雰囲気下で混合し、その後、冷却されることにより行われる。有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の生産性の観点から、混合する温度は好ましくは、30℃以上〜成分(A)の融点未満の範囲の温度雰囲気下である。また、有機過酸化物の自己分解反応を抑制し、安全に混合物を製造する観点から、好ましくは10℃以上〜有機過酸化物(成分(B))のSADT−10℃未満の範囲であり、さらに好ましくは30℃以上〜有機過酸化物(成分(B))のSADT−20℃未満の範囲である。SADT(Self Accelerating Decomposition Temperature)とは、有機過酸化物(成分(B))の自己促進分解温度であり、詳しくは、有機過酸化物(成分(B))の商品形態(輸送物)の温度が7日以内で6℃以上の上昇又は分解に至る最低温度を示す。
本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の輸送及び貯蔵方法は、含有せしめた有機過酸化物の特性と含有量に応じて、適宜、取り決めることができる。輸送及び貯蔵時の環境温度は、好ましくは0℃以上常温以下の範囲である。また包装材料は、有機過酸化物の揮発性の抑制に配慮した包装材料を用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン製フィルムからなる包装材料、ポリオレフィン製フィルムとナイロンやPETなどの異樹脂との複層フィルムからなる包装材料等が挙げられる。また、前記包装材料に充填した状態で、さらにダンボール箱、クラフト包装袋、遮光を施したポリオレフィン包装袋及びアルミラミネート包装袋等に梱包した状態で保管する方法も採用することができる。
また、本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体は、色相や有機過酸化物含有量等の品質が著しく変化しない期間、貯蔵することができる。通常、製造後12ヶ月間、好ましくは6ヶ月間である。貯蔵場所は、通常、光を遮断した状態の倉庫内である。
本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の用途は、例えば、ポリオレフィン樹脂の熱分解や架橋反応、グラフト反応における開始剤、ポリオレフィン樹脂とマレイン酸などの単量体や異種の重合体との変性反応やグラフト反応における開始剤、ゴムの改質における開始剤としての適用が挙げられる。
(2)改質ポリプロピレン樹脂組成物
本発明の改質ポリプロピレン樹脂組成物は、プロピレン重合体(以下、「成分(I)」と記載することがある。)、および前記成分(I)100重量部に対して、本発明の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(以下、「成分(II)」と記載することがある。)0.001〜5重量部を溶融混練して得られる。
1.プロピレン重合体(成分(I))
成分(I)としては、例えば、プロピレン単独重合体、またはプロピレンに由来する構造単位と、エチレンに由来する構造単位および/または炭素数4〜10のα−オレフィンに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位(以下、「コモノマーに由来する構造単位」と記載することがある。)とを有するプロピレン共重合体であり、これらの混合物であってもよい。混合物として、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレン共重合体との混合物の場合には、慣用的には、耐衝撃性ポリプロピレンと呼称される場合がある。
前記プロピレン共重合体に含まれるプロピレンに由来する構造単位と、コモノマーに由来する構造単位との含有量として、好ましくは、プロピレンに由来する構造単位が80〜99.9重量%であり、コモノマーに由来する構造単位が0.1〜20重量%であり、より好ましくは、プロピレンに由来する構造単位が85〜99.9重量%であり、コモノマーに由来する構造単位が0.1〜15重量%であり、更に好ましくは、プロピレンに由来する構造単位が90〜99.5重量%であり、コモノマーに由来する構造単位が0.5〜10重量%であり、特に好ましくは、プロピレンに由来する構造単位が90〜99.5重量%であり、コモノマーに由来する構造単位が0.5〜10重量%である(但し、プロピレンに由来する構造単位と、コモノマーに由来する構造単位との合計を100重量%とする。)。
本発明において、「エチレンに由来する構造単位」のような用語中の「構造単位」とは、モノマーの重合単位を意味する。したがって、例えばエチレンに由来する構造単位は、−CHCH−なる構造単位を意味する。
炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテンである。
プロピレン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体等が挙げられ、プロピレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体としては、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−1−デセンランダム共重合体等が挙げられ、プロピレンとエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体としては、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−デセン共重合体等が挙げられ、これらの混合物であってもよく、プロピレン単独重合体との混合物であってもよい。
成分(I)がプロピレン共重合体の場合、好ましくは、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体であり、より好ましくは、プロピレンに由来する構造単位70〜99.9重量%と、エチレンに由来する構造単位0.1〜30重量%とを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンに由来する構造単位70〜99.9重量%と、ブテン−1に由来する構造単位0.1〜30重量%とを含有するプロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレンに由来する構造単位70〜99.8重量%と、エチレンに由来する構造単位0.1〜29.9重量%と、ブテン−1に由来する構造単位0.1〜29.9重量%とを含有するエチレン−プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体であり、更に好ましくは、プロピレンに由来する構造単位80〜97重量%と、エチレンに由来する構造単位3〜20重量%とを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンに由来する構造単位80〜97重量%と、ブテン−1に由来する構造単位3〜20重量%とを含有するプロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレンに由来する構造単位80〜98重量%と、エチレンに由来する構造単位1〜19重量%と、ブテン−1に由来する構造単位1〜19重量%とを含有するプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体である。
成分(I)としては、結晶性を示すプロピレンと他のオレフィンとの共重合体であることが好ましい。結晶性は、該共重合体に含まれる20℃キシレン可溶部(CXS)の量により表すことができる。20℃キシレン可溶部(CXS)が多いと非晶部分が多く、結晶性が低いことを示し、20℃キシレン可溶部(CXS)が少ないと非晶部分が少なく、結晶性が高いことを示す。結晶性が低すぎる場合、成分(I)は、表面が粘着性を示すため、使用時に搬送性が低下したりする等、取り扱い性が悪化することがある。
成分(I)は、上記の観点から20℃キシレン可溶部(CXS)として、好ましくは、50重量%未満であり、より好ましくは、40重量%未満であり、更に好ましくは、30重量%未満である。
成分(I)の示差走査型熱量計(DSC)によって測定される融解を示す吸熱曲線のピーク温度(融点)として、使用時の搬送性、取り扱い性の観点から、好ましくは、110℃以上180℃未満であり、より好ましくは、120℃以上180℃未満であり、更に好ましくは、130℃以上180℃未満である。融点は、前記20℃キシレン可溶部(CXS)の量と同様に、成分(I)の結晶性を決定する指標である。
成分(I)の温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローメート(MFR)としては、改質ポリプロピレン樹脂組成物の生産性の観点から、好ましくは、0.1〜500g/10分であり、より好ましくは、0.1〜300g/10分であり、更に好ましくは、0.1〜200g/10分である。
成分(I)としては、公知の重合触媒の存在下、プロピレン単独またはプロピレンと他のオレフィンをモノマーとして用いて、公知の重合方法によって製造することができる。
重合触媒として、チーグラー型触媒系;チーグラー・ナッタ型触媒系;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンとからなる触媒系;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物と、それと反応してイオン性の錯体を形成する化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;ならびにシリカおよび粘土鉱物のような無機粒子に、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物のような触媒成分を担持した触媒系を例示することができる。これらの触媒系は、例えば、特開昭61−218606号公報、特開平5−194685号公報、特開平7−216017号公報、特開平9−316147号公報、特開平10−212319号公報、特開2004−182981号公報、特開2004−067850号公報に記載されている。重合触媒は、上記の触媒系の存在下でエチレンやα−オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒であってもよい。
重合方法として、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行うバルク重合法;プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンのような不活性炭化水素溶媒中で重合を行う溶液重合法やスラリー重合法;ならびに気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する気相重合法を例示することができる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式またはこれらの組み合わせで行われる。これらの重合方法はまた、連結された2以上の重合反応槽を用いて、各重合反応槽で重合体の組成や特性を調整する、連続的な多段式で行われてもよい。中でも、工業的かつ経済的な観点から、連続式の気相重合法、またはバルク重合法と気相重合法とを連続的に行うバルク−気相重合法が好ましい。これらの重合方法における重合工程の、重合温度、重合圧力、モノマー濃度、触媒投入量および重合時間のような条件は、成分(I)に応じて適宜、変更し、決定される。
プロピレン重合体は、該重合体中の超低分子量オリゴマーのような副生物や残留溶媒を除去するために、その融解温度以下で乾燥してもよい。
本発明の改質ポリプロピレン樹脂組成物は、プロピレン重合体(成分(I))、および前記成分(I)100重量部に対して、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(成分(II))0.001〜5重量部を溶融混練して製造される。前記成分(II)の配合量は、好ましくは、0.005〜3重量部であり、より好ましくは、0.01〜1重量部であり、更に好ましくは、0.01〜0.5重量部である。
改質ポリプロピレン樹脂組成物を溶融混練して製造する方法において、通常、予め前記成分(I)と前記成分(II)とからなる混合物が製造される。混合物の製造は、公知の方法を用いることができる。具体的には、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タンブラーミキサー、連続式コイルフィーダー等での乾式混合法である。混合時間や混合温度は、効率よく本発明の改質ポリプロピレン樹脂組成物の製造が行える条件を任意に選定することができる。
溶融混練の方法は、公知の方法を用いることができる。具体的には、溶融押出機やバンバリーミキサーのような公知の溶融混練装置を用いて、融点以上の温度条件、好ましくは、180℃以上、より好ましくは、180〜300℃、更に好ましくは、180〜250℃で溶融混練することによって製造する方法を例示することができる。また、溶融混練は、窒素などの不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。
公知の溶融混練装置として、単軸押出機;Wernw Pfleideren製のZSK(登録商標)、東芝機械(株)製のTEM(登録商標)、日本製鋼所(株)製のTEX(登録商標)、および(株)テクノベル製のKZW(登録商標)のような二軸同方向回転押出機;ならびに、日本製鋼所(株)製のCMP(登録商標)、および神戸製鋼所(株)製のFCM(登録商標)やNCM(登録商標)やLCM(登録商標)のような二軸異方向回転押出機を例示することができる。
溶融混練して得られた改質ポリプロピレン樹脂組成物の形状としては、ストランド、およびストランドを適当な長さに裁断したペレットを例示することができる。
改質ポリプロピレン樹脂組成物は、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定されるメルトフローメート(MFR)が、好ましくは、0.1〜1000g/10分であり、より好ましくは、0.1〜500g/10分であり、更に好ましくは、0.5〜300g/10分である。
また、改質ポリプロピレン樹脂組成物は、その製造において、架橋反応における助剤、マレイン酸などの単量体、異種の重合体、異種の重合体とのグラフト反応に用いられる助剤を併用することができる。
また、改質ポリプロピレン樹脂組成物は、その製造工程において、本発明の目的を損なわない範囲で各種添加剤を併用することができる。
添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、造核剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、顔料、アンチブロッキング剤、滑剤、耐傷付防止剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、ステアリン酸カルシウム、水酸化金属化合物、ハイドロタルサイト等の中和剤、可塑剤、難燃剤等を例示することができる。これらの添加剤は単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの添加剤は、本発明で用いられる有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(成分(II))と同時に配合してもよく、また別の段階で配合してもよい。
また、改質ポリプロピレン樹脂組成物は、その製造工程において、必要に応じて充填剤を添加することができる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、無機繊維、有機繊維、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、ゼオライト、塩基性硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物等を例示することができ、これらは、必要に応じて炭化水素系ワックス、シリコ−ンオイル、アミノシランカップリング剤等で表面処理されたもの、焼成処理したものでもあってもよい。充填剤の配合量は、プロピレン重合体(成分(I))100重量部に対して、通常、0.5〜400重量部であり、好ましくは、0.5〜200重量部であり、より好ましくは、1〜100重量部である。
改質ポリプロピレン樹脂組成物は、各種成形体に加工することができる。成形体としては、フィルム、シート、射出成形体、プレス成形体、真空成形体、発泡成形体、紡糸、貼合成形体、或はペレット等を例示することができる。
フィルムとしては、単層フィルム、多層フィルムが挙げられる。これらの成形体の製造方法は、特に限定されることはなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、押出成形法、射出成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法、溶融紡糸法、改質ポリプロピレン樹脂組成物同士または他の樹脂と貼合する貼合成形法等を例示することができる。
フィルムの製造方法としては押出成形法、共押出成形法等であり、Tダイ製膜法、チューブラー製膜法等を例示することができ、好ましくは、大型製膜機により高速製膜が可能なTダイ製膜法である。
多層フィルムの製造方法としては、共押出成形法であり、ドライラミネート法、押出しラミネート法等を例示することができる。そして、本発明の改質ポリプロピレン樹脂組成物が多層フィルムの少なくとも一層として用いられ、多層フィルムの他の層は、特に制限されるものではなく、公知のフィルムが用いられる。多層フィルムの他の層としては、例えば、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、未延伸または延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルム、アルミ泊等が挙げられる。
フィルムの用途としては、食品(菓子類、液状食品、レトルト食品等)、繊維、雑貨等の包装用フィルムや袋等を例示することができる。
また、シート、射出成形体、プレス成形体、真空成形体、発泡成形体の用途としては、自動車材料、家電材料、モニター用材料、OA機器材料、医療用材料、排水パン、トイレタリー材料、ボトル、コンテナー、シート、フィルム、および建材を例示することができる。
自動車材料としては、ドアートリム、ピラー、インストルメンタルパネル、コンソール、ロッカーパネル、アームレスト、ドアーパネル、およびスペアタイヤカバーのような内装部品;バンパー、スポイラー、フェンダー、およびサイドステップのような外装部品;エアインテークダクト、クーラントリザーブタンク、フェンダーライナー、ファン、およびアンダーデフレクターのような部品;ならびにフロント・エンドパネルのような一体成形部品を例示することができる。
家電材料としては、外槽、内槽、蓋、パルセータおよびバランサーのような洗濯機用材料;乾燥機用材料;掃除機用材料;炊飯器用材料;ポット用材料;保温機用材料;食器洗浄機用材料;ならびに空気清浄機用材料を例示することができる。
また、ボトル、コンテナー、シート、フィルムとしては、食品の充填・包装材料、化粧品の充填・包装材料、衣類の包装材料、雑貨類の充填・包装材料等を例示することができる。
以下、実施例によって本発明を説明する。実施例および比較例において、以下の成分を使用した。
1.プロピレン重合体粒子(成分(A))
(A−1):プロピレン−エチレン−ブテン−1のランダム共重合体粒子の製造
(1)重合体の製造
プロピレン、エチレン、ブテン−1で十分置換されたSUS製型液相重合反応器に、トリエチルアルミニウム及びシクロヘキシルエチルジメトキシシランを供給した。該反応器の内温を55℃に調整し、該反応器の内圧(ゲージ圧力)をプロピレン、エチレン、ブテン−1及び水素で3.5MPaに調整し、特開2004−067850号公報の実施例1に記載された方法で合成した固体触媒成分を該反応器に連続供給して、液相中でプロピレン、エチレン、ブテン−1を共重合させた。生成したプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体を、後続の気相重合反応器へ断続的に移送した。
気相重合反応器の重合温度:85℃および重合圧力(ゲージ圧力):1.5MPaを一定に保つようにプロピレン、エチレン、ブテンー1を連続的に供給し、気相部の水素濃度を一定に保つように水素を供給しつつ、液相重合反応器から移送された前記共重合体の存在下、気相中で継続してプロピレン、エチレン、ブテン−1を共重合させ、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体の生成を完了させた。
気相重合反応器の粉末状の共重合体を連続的に失活槽へ導き、水で触媒成分の失活処理を行った後、95℃の窒素により乾燥して、白色粒子状のプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体を得た。なお、液相重合反応器、気相重合反応器の各槽における重合比率は、液相重合/気相重合=7/93であった。
(2)ペレットの製造
前記プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体100重量部と、添加剤(ミキサーで均一混合された水酸化カルシウムの粉体:0.002重量部、IRGANOX1010の粉体:0.125重量部からなる混合物)を、二軸混練機にて、ダイ部からの排出される溶融状態の前記共重合体の温度が約210〜230℃の範囲になるようにシリンダー温度・ダイ温度を調節し、溶融混練した。この溶融混練物を二軸混練機のシリンダー最下流部に取り付けたダイの内部の200メッシュの金属製フィルターを通過させた後に、ダイの樹脂排出孔から溶融状態の前記共重合体を押出し、この溶融押出物を冷水により冷却固化し、ダイ部後方部分に取り付けた水中カッターにより連続的に半溶融した共重合体を切断して、水中で冷却固化することにより該共重合体のペレット(直径2〜4mm、45〜60粒/g)を得た。
(3)粉砕粒子の製造
前記ペレットを液体窒素で十分に冷却し、液体窒素で冷却した粉砕装置内(インペラーミル)へ連続的に導入することによって、回転する粉砕カッターによりペレットの粉砕処理を行った。目的の粒子径分布を得るために、粉砕粒子はフィルターを通過させることで分級させた。粉砕粒子の温度を常温へ戻しながら粉砕粒子を回収して、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子(A−1)を得た。得られた粒子の物性及び粒子径分布を測定した。結果を表1に示す。
(A−2):プロピレン−エチレン−ブテン−1のランダム共重合体粒子の製造
(1)重合体の製造
(A−1)の製造で得られた共重合体を用いた。
(2)ペレットの製造
(A−1)の製造で得られたペレットを用いた。
(3)粉砕粒子の製造
前記(A−1)の(3)粉砕粒子の製造におけるフィルター仕様を開き目:800μmのフィルターに変更して、表1に示す粒子径分布、見掛け嵩比重の粒子が得られるように調製した。結果を表1に示す。
(A−3):プロピレン−エチレン−ブテン−1のランダム共重合体粒子の製造
(1)重合体の製造
(A−1)の製造で得られた共重合体を用いた。
(2)ペレットの製造
(A−1)の製造で得られたペレットを用いた。
(3)粉砕粒子の製造
前記(A−1)の(3)粉砕粒子の製造におけるフィルター仕様を開き目:1500μmのフィルターに変更して、表1に示す粒子径分布、見掛け嵩比重の粒子が得られるように調製した。結果を表1に示す。
(A−4):プロピレン単量体の単独重合体粒子の製造
(1)重合体の製造
プロピレンで十分置換されたSUS製型液相重合反応器に、トリエチルアルミニウム及びシクロヘキシルエチルジメトキシシランを供給した。該反応器の内温を57℃に調整し、該反応器の内圧(ゲージ圧力)をプロピレン及び水素で3.8MPaに調整し、特開2004−067850号公報の実施例1に記載された方法で合成した固体触媒成分を該反応器に連続供給して、液相中でプロピレンを単独重合させた。生成したプロピレン単量体の単独重合体を、後続の気相重合反応器へ連続的に移送した。
気相重合反応器の重合温度:86℃および重合圧力(ゲージ圧力):2.1MPaを一定に保つようにプロピレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度を一定に保つように水素を供給しつつ、液相重合反応器から移送された前記重合体の存在下、気相中で継続してプロピレンを重合させ、プロピレン単量体の単独重合体の生成を完了させた。ついで、気相重合反応器内の粉末状のプロピレン単量体の単独重合体を連続的に失活槽へ導き、水で触媒成分の失活処理を行った後、100〜110℃の窒素により乾燥して、白色粒子状のプロピレン単量体の単独重合体を得た。なお、液相重合反応器、気相重合反応器の各槽における重合比率は、液相重合/気相重合=15/85であった。得られたプロピレン単量体の単独重合体粒子(A−4)の物性及び粒子径分布を測定した。結果を表1に示す。
(A−5):プロピレン−エチレンランダム共重合体粒子の製造
プロピレン、エチレンで十分置換されたSUS製型液相重合反応器に、トリエチルアルミニウム及びシクロヘキシルエチルジメトキシシランを供給した。該反応器の内温を55℃に調整し、該反応器の内圧(ゲージ圧力)をプロピレン、エチレン及び水素で3.5MPaに調整し、特開2004−067850号公報の実施例1に記載された方法で合成した固体触媒成分を該反応器に連続供給して、液相中でプロピレン、エチレンを共重合させた。生成したプロピレン−エチレンランダム共重合体を、後続の気相重合反応器へ連続的に移送した。
気相重合反応器の重合温度:81℃および重合圧力(ゲージ圧力):2.1MPaを一定に保つようにプロピレン、エチレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度を一定に保つように水素を供給しつつ、液相重合反応器から移送された前記共重合体の存在下、気相中で継続してプロピレン、エチレンを共重合させ、プロピレン−エチレンランダム共重合体の生成を完了させた。
気相重合反応器の粉末状の共重合体を連続的に失活槽へ導き、水で触媒成分の失活処理を行った後、95℃の窒素により乾燥して、白色粒子状のプロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。なお、液相重合反応器、気相重合反応器の各槽における重合比率は、液相重合/気相重合=6/94であった。得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体粒子(A−5)の物性及び粒子径分布を測定した。結果を表1に示す。
(A−6):プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子
前記(A−1)の(1)重合体の製造で得られたプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体を用いた。(A−6)の物性及び粒子径分布を測定した。結果を表1に示す。
(A−7):プロピレン単量体の単独重合体粒子
住友化学株式会社製ノーブレンU101E9(登録商標)のペレットを、液体窒素を用いた低温粉砕法により製造した粉砕粒子を用いた。低温粉砕は、前記(A−1)の(3)粉砕粒子の製造方法と同様な方法により行った。フィルターは開き目:500μmの仕様のものを使用した。(A−7)の物性及び粒子径分布を測定した。結果を表1に示す。
2.プロピレン重合体(成分(I))
(I−1):プロピレン−エチレン共重合体の製造
プロピレンで十分置換されたSUS製型液相重合反応器に、トリエチルアルミニウム及びシクロヘキシルエチルジメトキシシランを供給した。該反応器の内温を57℃に調整し、該反応器の内圧(ゲージ圧力)をプロピレン及び水素で3.5MPaに調整し、特開2004−067850号公報の実施例1に記載された方法で合成した固体触媒成分を該反応器に連続供給して、液相中でプロピレンを単独重合させた。生成したプロピレン単独重合体を、後続の気相重合反応器へ断続的に移送した。
気相重合反応器の重合温度:86℃および重合圧力(ゲージ圧力):2.1MPaを一定に保つようにプロピレン、エチレンを連続的に供給し、気相部の水素濃度:0.095モル%を一定に保つように水素を供給しつつ、液相重合反応器から移送された前記プロピレン単独重合体の存在下、気相中で継続してプロピレン、エチレンを共重合させ、プロピレン−エチレン共重合体の生成を完了させた。
気相重合反応器の粉末状の共重合体を連続的に失活槽へ導き、水で触媒成分の失活処理を行った後、110℃の窒素により乾燥して、白色粒子状のプロピレン−エチレン共重合体の粉体(I−1)を得た。なお、液相重合反応器、気相重合反応器の各槽における重合比率は、液相重合/気相重合=10/90であった。該プロピレン−エチレン共重合体(I−1)の融点は158℃、CXSは3重量%、エチレン含有量は0.54重量%(気相重合反応器で製造した前記共重合体中のエチレン含有量は0.6重量%)、[η]は2dl/g(液相重合反応器で製造した前記重合体および気相重合反応器で製造した前記共重合体何れも[η]は2dl/g)、MFR(230℃、2.16kg荷重)は2.5g/10分であった。
3.有機過酸化物(成分(B))
(B−1):日油株式会社製パーヘキサ25−B(登録商標)
化学名:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
CAS番号:78−63−7
形状:液体(25℃)
分子量:290.45
沸点:65℃(0.7mmHg)
10時間半減期温度:117.9℃
1時間半減期温度:138.1℃
1分間半減期温度:179.8℃
SADT(自己促進分解温度):90℃
4.添加剤
ペレットの製造において、プロピレン重合体に配合した添加剤
[中和剤]
・水酸化カルシウム粉体(平均粒子径:約2μm)
・ステアリン酸カルシウム(共同薬品(株)製)
[ヒンダードフェノール系酸化防止剤]
BASFジャパン(株)製 IRGANOX1010(登録商標)
[リン系酸化防止剤]
BASFジャパン(株)製 IRGAFOS168(登録商標)
実施例および比較例において、各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)20℃キシレン可溶部:CXS(重量%)
測定試料(プロピレン重合体粒子):1gに対してキシレン200mLを加え、沸騰させて完全に溶解させた後降温し、20℃で1時間以上状態調整を行った。その後、濾紙を用いて可溶部と不溶部に分離した。可溶部は、濾液から溶剤を除去して乾固して試料とし、重量を測定して20℃キシレン可溶部の量を求めた。
(2)融点(℃)
JIS−K−7121−1987に規定された方法に従って測定した。詳しくは、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定した。融解温度の測定は、測定試料(プロピレン重合体粒子)が融解する温度の50℃以上の温度で一度完全に融解させ、その後、1分間に5℃の降温速度で冷却して試料が結晶化する温度よりも低い温度まで冷却した後(成分(A)では23℃まで、成分(B)では−20℃まで)、1分間に5℃の昇温速度で測定される際に観測される吸熱曲線のピークの温度とした。
(3)粒子径分布(粒子径単位:μm)
測定試料(プロピレン重合体粒子)について、レーザー回折式粒子径分布測定装置(Sympatec社製HELOS(商品名)を用いて測定した。
(4)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
測定試料(プロピレン重合体、プロピレン重合体粒子または改質ポリプロピレン樹脂組成物)について、JIS−K−7210−1999に規定された方法に従い、230℃で、荷重2.16kgにて測定した。
(5)極限粘度([η]、単位:dl/g)
テトラリンを溶媒とし、温度135℃で、ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定し、極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって、求めた。
(6)成分(A)中のエチレン単位およびα−オレフィン単位の含有量(重量%)
13C−NMR法を用いて測定した。詳しくは、「新版高分子分析ハンドブック」(日本化学会、高分子分析研究懇談会編紀伊国屋書店(1995))に記載されているNMR法(核磁気共鳴法)を用いて測定した。具体的には、13C−NMRスペクトル測定結果から、プロピレン−エチレンランダム共重合体のエチレン単位の含有量は、Kakugoらの報告(Macromolecules Volume 15, Issue 4, 1982, 1150−1152)に基づいて求め、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体のエチレン単位およびα−オレフィン単位の含有量は、LIXIN SUNおよびSHANGAN LINの報告(J of Polymer Science; Part A; Polymer Chemistry, Volume 28,1237−1254(1990))に基づいて求めた。なお、13C−NMRスペクトルの測定は、次のように行った。
10mmΦの試験管中で約200mgの前記重合体を3mlのオルトジクロロベンゼンに均一に溶解させて測定用試料を調整し、その試料の13C−NMRスペクトルの測定を行った。13C−NMRスペクトルの測定条件を以下に記す。
機種:Bruker AVANCE600
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
(7)染み出し性試験
圧縮プレス成形機を用い、一定の試験温度、試験圧力、試験時間の条件にて、2枚の乾燥濾紙に挟んだ有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体から乾燥濾紙への有機過酸化物の染み出し性の試験を行った。
染み出し性試験後の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の重量減少を測定することにより、染み出し割合を判定した。重量減少が少なく、染み出し割合が小さいほど、有機過酸化物が有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体中の有機過酸化物含有濃度の均一性が高いと判定した。
具体的には、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体10gを80℃で30分間乾燥させた直径76mmの円形濾紙(東京濾紙会社、ADVANTEC 50(登録商標)):2枚に挟み、さらに、その有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を挟んだ円形濾紙の両側を、厚さ0.1mmのアルミニウム板と0.3mmのアルミニウム板を重ね合わせで挟み、さらにその両側をSUS製の板(厚さ:3mm)で挟み(図1に示す)、温度:30℃、圧力:1MPaの条件を維持しながら30分間加圧を保持した。30分後、SUS板、アルミニウム板を取り外し、濾紙の間に挟んだ有機過酸化物ポリプロピレン粉体を全量回収して重量を測定し、重量減少から染み出し割合を測定した。

[算出式]
染み出し割合(%)
=(試験前の重量(g)−試験後の重量(g))/試験前の重量(g)×100
(8)見掛け嵩比重(g/cm
プロピレン重合体粒子又は有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(測定試料)を10g秤量し、メスシリンダーの中へ自然落下させて充填し、その体積を測定し、算出することにより求めた。

[算出式] 測定試料(g)/メスシリンダーの目盛り(充填体積:cm
(9)流動性試験(取扱い性)
1)漏斗による落下性評価
図2に示した漏斗の排出にゴム栓をした漏斗(排出の直径:25mm)に、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体150gを入れ、その後、ゴム栓を外してから全ての有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体が自然落下するまでの時間を測定した。自然落下しない場合には、漏斗に軽く衝撃を与えることで全量落下させた。その場合の衝撃回数を記録した。全ての有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の落下時間が短いほど流動性が良く取扱い性に優れており(○)、落下時間が短いまたは落下せずに衝撃回数が多いほど流動性が悪く取扱い性が劣る(×)と判定した。
2)コイルフィーダーによる流動性評価
有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体2kgを、図3に示す原料供給フィーダー(コイルフィーダー仕様)の原料ホッパーに投入して、原料ホッパーの下部に設置したコイル(直径:17mm)の回転数を試験回転数に合わせて、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体をコイルフィーダー前方の排出口から排出させることにより流動性評価を行った。排出口からの排出量が安定した後、1分間当たりの有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の排出量を測定して、1時間当たりの吐出量(単位:kg/h)を求めた。コイルフィーダーの回転数は100rpm、150rpm、300rpmの3条件にて行った。各試験回転数における有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の排出量が多いほど流動性が良く取扱い性に優れると判定した。
[実施例1]
(1)有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の製造
前記プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子(A−1)96重量%、有機過酸化物(B−1)4重量%の配合比率で合計量100gを正確に秤量し、500mlの3つ口付きセパラブルフラスコ内へ投入した。ついで、セパラブルフラスコを60℃に保持された温水に浸けて、セパラブルフラスコ内を攪拌羽根により回転数50rpmで攪拌しながら常温から50℃へ昇温を開始した。プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子の温度(含浸温度)が50℃へ到達した後(約15分間)、含浸温度50〜55℃を保持しながら、さらに30分間攪拌を継続することにより、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を製造した。その後、セパラブルフラスコ内の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を全量取り出し、蓋付きのガラス容器へ入れて室温まで放冷することにより、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の製造を完了した。有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を入れたガラス容器は、アルミホイルを巻いて遮光し常温で保存した。
得られた有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の見掛け嵩比重は0.40(g/cm)、染み出し性試験での染み出し割合は0.17(重量%)であり、粉体の流動性は良好で取扱い性に優れるものであった。
[比較例1]
成分(A−1)を、前記プロピレン単量体の単独重合体粒子(A−4)96重量%に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1および表2に示す。
[実施例2]
成分(A−1)92重量%、前記(B−1)8重量%に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1および表2に示す。
[実施例3]
成分(A−1)を(A−3)92重量%に変更し、(B−1)を8重量%に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1および表2に示す。
[比較例2]
成分(A−1)を、前記プロピレン−エチレンランダム共重合体粒子(A−5)92重量%に変更し、(B−1)を8重量%に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1および表2に示す。
[比較例3]
成分(A−1)を、前記プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子(A−6)92重量%に変更し、(B−1)を8重量%に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1および表2に示す。
[比較例4]
成分(A−1)を、前記プロピレン単量体の単独重合体粒子(A−7)92重量%に変更し、(B−1)を8重量%に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表1および表2に示す。
Figure 2013023602
粒子径分布:レーザー回折式粒子径分布測定法で得られた値
50:粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径
99:粒子径加積曲線の重量百分率99%にあたる粒子径
Figure 2013023602
[比較例5]
含浸温度を約20℃(19〜21℃)に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
[比較例6]
成分(A−1)を、前記プロピレン単量体の単独重合体粒子(A−4)96重量%に変更し、含浸温度を約20℃(19〜21℃)に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3および表2に示す。
[比較例7]
成分(A−1)を、前記プロピレン−エチレンランダム共重合体粒子(A−5)96重量%に変更し、含浸温度を約20℃(19〜21℃)に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
[比較例8]
成分(A−1)を、前記プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子(A−6)96重量%に変更し、含浸温度を約20℃(19〜21℃)に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
[比較例9]
成分(A−1)92重量%、(B−1)を8重量%に変更し、含浸温度を約20℃(19〜21℃)に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
[比較例10]
成分(A−1)を前記プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子(A−3)92重量%に変更し、(B−1)を8重量%に変更し、含浸温度を約20℃(19〜21℃)に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
[比較例11]
成分(A−1)を前記プロピレン単量体の単独重合体粒子(A−7)92重量%に変更し、(B−1)を8重量%に変更し、含浸温度を約20℃(19〜21℃)に変更した以外は実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
Figure 2013023602
[実施例4]
実施例1の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の製造について、実施スケールを拡大して行った。詳しくは、配合組成をプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子(A−1)92重量%と有機過酸化物(B−1)8重量%に変更し、セパラブルフラスコを100リットルのミキサー(温調可能)に変更し、有機過酸化物の含浸温度を50〜60℃の範囲に変更した以外は実施例1と同様に行い、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体を製造した。製造量は約120kgであった。得られた有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体は、ラミネートフィルム製の袋へ充填し、さらにダンボール箱に梱包した状態にして、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の製造を完了した。少量(約1kg)の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体は、蓋付きの不透明高密度ポリエチレン製容器へ入れて遮光し常温で保存した。
得られた有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の見掛け嵩比重は0.39(g/cm)、染み出し性試験での染み出し割合は0.19(重量%)であり、粉体の流動性は良好で取扱い性に優れるものであった。また、製造から2週間ダンボール箱内で貯蔵した有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の流動性試験(取扱い性)を行った結果、1)漏斗による落下性評価では3秒以内で全量落下し、2)コイルフィーダーによる流動性評価では、コイルフィーダー回転数100(rpm)では4.5(kg/h)、150(rpm)では6.6(kg/h)、300(rpm)では13.9(kg/h)であり、流動性は良好で取扱い性に優れていた。また、約2.5ヶ月間経過した後で、再度、流動性試験(取扱い性)を行った結果、1)漏斗による落下性評価では3秒以内で全量落下し、2)コイルフィーダーによる流動性評価では、コイルフィーダー回転数100(rpm)では4.6(kg/h)、150(rpm)では6.5(kg/h)、300(rpm)では13.7(kg/h)であり、良好な流動性を維持していた。結果を表4に示す。
[実施例5]
実施例4で使用したプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子(A−1)を(A−2)に変更した以外は、実施例4と同様に行なった。結果を表4に示す。
[実施例6]
実施例4で使用したプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体粒子(A−1)を(A−3)に変更した以外は、実施例4と同様に行なった。結果を表4に示す。
Figure 2013023602
[実施例7]
(1)改質ポリプロピレン樹脂組成物の製造
プロピレン重合体(成分(I))として、前記のプロピレン−エチレン共重合体(I−1)100重量部に対し、成分(II)として、成分(A−1)96重量%と成分(B−1)4重量%からなる有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(実施例1で製造):0.8重量部(最終配合量:0.032重量部)、さらに、ステアリン酸カルシウム:0.05重量部、酸化防止剤IRGANOX1010:0.1重量部、酸化防止剤IRGAFOS168:0.05重量部を添加し、窒素置換されたヘンシェルミキサーで3分間あらかじめ混合した。この混合物を、窒素で置換されたホッパーに供給し、内径40mmの単軸押出機(田辺プラスチックス機械(株)製)にてバレル設定温度(C1:190℃、C2:230℃、C3:250℃、C4:250℃)で加熱溶融混合した。そして、加熱溶融混合物を単軸押出機の先端部のダイスからストランド状に押し出し、冷却水で固化させた後、ストランドカッターを用いて直径2〜3mmのペレットを調製した。このペレットのMFRは10.9(g/10分)であった。各成分の配合量と物性の測定結果を表5に示した。
[実施例8]
(1)改質ポリプロピレン樹脂組成物の製造
実施例7で使用した成分(II)有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(実施例1で製造)0.8重量部の代わりに、実施例2で製造した成分(A−1)92重量%と成分(B−1)8重量%からなる有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体:0.4重量部(最終配合量:0.032重量部)を用いた以外は、実施例7に記載の方法と同様に行ない、改質ポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造した。
このペレットのMFRは10.5(g/10分)であった。各成分の配合量と物性の測定結果を表5に示した。
[比較例12]
(1)改質ポリプロピレン樹脂組成物の製造
実施例7で使用した成分(II)有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(実施例1で製造)0.8重量部の代わりに、比較例7で製造した成分(A−5)96重量%と成分(B−1)4重量%からなる有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体:0.8重量部(最終配合量:0.032重量部)を用いた以外は、実施例7に記載の方法と同様に行ない、改質ポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造した。
このペレットのMFRは9.5(g/10分)であった。各成分の配合量と物性の測定結果を表5に示した。
[比較例13]
(1)改質ポリプロピレン樹脂組成物の製造
実施例7で使用した成分(II)有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(実施例1で製造)0.8重量部の代わりに、比較例8で製造した成分(A−6)96重量%と成分(B−1)4重量%からなる有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体:0.8重量部(最終配合量:0.032重量部)を用いた以外は、実施例7に記載の方法と同様に行ない、改質ポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造した。
このペレットのMFRは8.6(g/10分)であった。各成分の配合量と物性の測定結果を表5に示した。
実施例7と実施例8で得られた改質ポリプロピレン樹脂組成物は、MFRの値が大きく、成分(B−1)によるMFRの向上効果(改質効果)が高いことが分かり、一方で、比較例12、比較例13で得られた改質ポリプロピレン樹脂組成物は、MFRの値が小さく、MFRの向上効果(改質効果)が低いことが分かる。
Figure 2013023602

Claims (8)

  1. 下記成分(A)70〜99重量%と、下記成分(B)1〜30重量%との混合物(但し、成分(A)と成分(B)との合計を100重量%とする。)からなり、見掛け嵩比重が0.30g/cm以上0.60g/cm未満である有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体。
    成分(A):下記要件(a)、下記要件(b)、下記要件(c)、下記要件(d)、下記要件(e)、下記要件(f)、下記要件(g)および下記要件(h)の全ての要件を満足するプロピレン重合体粒子
    要件(a):20℃キシレン可溶部の量が0.5重量%以上20重量%未満である
    要件(b):示差走査型熱量計(DSC)によって測定される融解を示す吸熱曲線のピーク温度(融点)が120℃以上160℃未満である
    要件(c):見掛け嵩比重が0.20g/cm以上0.45g/cm未満である
    要件(d):粒子径100μm未満の粒子の含有量が1重量%以上20重量%未満である
    要件(e):粒子径300μm未満の粒子の含有量が5重量%以上80重量%未満である
    要件(f):粒子径1000μm未満の粒子の含有量が80重量%以上である
    要件(g):粒子径加積曲線の重量百分率50%にあたる粒子径(D50)が100μm以上700μm未満である
    要件(h):粒子径加積曲線の重量百分率99%にあたる粒子径(D99)が500μm以上2000μm未満である
    成分(B):有機過酸化物
  2. 成分(A)が、プロピレンに由来する構造単位80〜100重量%と、エチレンに由来する構造単位および/または炭素数4〜10のα−オレフィンに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位0〜20重量%とを有するプロピレン重合体粒子(但し、プロピレンに由来する構造単位と、エチレンに由来する構造単位および/または炭素数4〜10のα−オレフィンに由来する構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位との合計を100重量%とする。)であることを特徴とする請求項1に記載の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体。
  3. 成分(A)が、重合工程で得られたプロピレン重合体および/または該プロピレン重合体を予め溶融混練して得られた成形体を粉砕して得られるプロピレン重合体粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体。
  4. 成分(A)が、プロピレン重合体を予め溶融混練して得られた成形体を、液体窒素を用いて冷凍粉砕して得られるプロピレン重合体粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体。
  5. 成分(B)が、10℃以上30℃未満で固体の有機過酸化物または10℃以上120℃未満で液体の有機過酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体。
  6. 成分(A)と、成分(B)とを、30℃以上〜成分(A)の融点未満の温度雰囲気下で混合し、その後、冷却する工程を有する請求項1〜5のいずれかに記載の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体の製造方法。
  7. プロピレン重合体(成分(I))、および前記成分(I)100重量部に対して、請求項1〜5のいずれかに記載の有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(成分(II))0.001〜5重量部を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂組成物。
  8. 成分(A)と、成分(B)とを、30℃以上〜成分(A)の融点未満の温度雰囲気下で混合し、その後、冷却して有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(成分(II))を得る工程、およびプロピレン重合体(成分(I))と、有機過酸化物含有ポリプロピレン粉体(成分(II))とを、溶融混練して改質ポリプロピレン樹脂組成物を得る工程を有する請求項7に記載の改質ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
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