JP2013021932A - 関節リウマチに対する抗il−6受容体抗体療法の有効性の予測方法 - Google Patents

関節リウマチに対する抗il−6受容体抗体療法の有効性の予測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来法よりも高い感度で、関節リウマチに対する抗IL-6受容体抗体療法の有効性を予測する方法を提供する。
【解決手段】関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための方法であって、(1)対象関節リウマチ患者から単離された末梢血単核球における、薬効マーカー遺伝子群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを測定すること、並びに、(2)(1)において測定した発現レベルと、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性とを相関付けることを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、関節リウマチに対する抗IL-6受容体抗体療法の有効性を予測する方法、及びそれに使用する診断薬等に関する。
関節リウマチ(RA)は破壊性関節炎を特徴とする全身性の炎症性疾患であり、その患者数は日本全国で約70万人と推定され、さらに毎年1.5万人が新規に発病している。RAの治療には、マクロファージ等の抗原提示細胞が産生する炎症性サイトカインを標的に多くの生物学的製剤が開発され、既存薬DMARDsによる治療を一変した。さらに近年、RAにおける非可逆的な関節破壊が従来予測されていたより早期から始まることが明らかとなり、DMARDsより高い関節破壊抑制作用を示す生物学的製剤を早期から積極的に使用することが推奨されている。
しかし一方で、生物学的製剤は薬剤費が高く(例:142〜185万円/年)、無効例も一定の割合で存在し、感染症(肺炎、結核など)等、重篤な副作用も比較的高頻度に認められる(非特許文献1)ため、生物学的製剤を使用可能な症例は限定される。各生物学的製剤の有効性を予測するバイオマーカーの確立とそれを利用したテーラーメイド医療の達成が、非可逆的な関節破壊を最小限にするとともに、無駄な薬剤の使用を抑え、医療経済にも大きく寄与すると期待される。しかし、患者背景、臨床所見、血清所見、あるいは遺伝子多型解析を用いた生物学的製剤の効果予測法の開発がこれまでに多数試みられてきたが、いずれも一致した結果が得られず、実用化には至っていない。
一方、末梢血全血の網羅的遺伝子発現をDNAマイクロアレイにより解析し、効果予測バイオマーカーを同定する手法が注目されている。抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤では、インフリキシマブの投与14週後の治療の効果を、マイクロアレイによる遺伝子発現解析を用いて予測する診断支援サービスが株式会社DNAチップ研究所にて開始されている(非特許文献2、特許文献1)。
トシリズマブは、日本で開発されたヒト化抗ヒトIL-6受容体抗体製剤であり、膜結合型IL-6受容体及び可溶性IL-6受容体に結合し、IL-6の受容体への結合を阻止することによりIL-6シグナルを抑制する。トシリズマブは、関節リウマチに対して、抗TNF-α抗体製剤と同等の高い有効性と寛解率を奏することが報告されている。しかしながら、トシリズマブは、発熱を抑制したり、CRP等の炎症マーカーの発現を強く抑制したりするため、肺炎等の重篤な感染症になっても、それに伴う生体の変化をマスクしてしまい、感染症の発見が遅れ、重篤化してしまう場合がある。また、抗TNF-α抗体製剤と比較して、トシリズマブは効果発現が遅いため、薬効を予測する方法の開発への期待度は高い。抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブの治療効果を予測するのに有用な、196種のマーカー遺伝子を抽出したことが報告されている(特許文献2)。
特開2011-4743号公報 特開2009-92508号公報
Ann. Rheum Dis 66, 1162-9, 2007 Biochemical and Biophysical Research Communications. 387(2), 261-265, 2009
従来のインフリキシマブおよびトシリズマブの薬効予測マーカーの抽出では、末梢血全血を試料としてDNAマイクロアレイ解析がなされている。しかしながら、本発明者らが鋭意検討したところ、自己免疫疾患である関節リウマチのバイオマーカー検索では、リンパ球及び単球系細胞、例えば単球やマクロファージ等における遺伝子発現が重要であり、全血中に存在する顆粒球が遺伝子発現解析の妨げとなっている可能性があることが判明した。
更に、特許文献2において見出されたバイオマーカーは、血液中の炎症反応を含む効果判定を用いて抽出されている。しかしながら、トシリズマブ投与患者では治療効果の有無に関わらず高率に炎症反応が著明に低下するため、効果判定基準に問題がある可能性が判明した。
本発明の目的は、従来法よりも高い感度で、関節リウマチに対する抗IL-6受容体抗体療法の有効性を予測する方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、末梢血白血球から顆粒球を除くことにより得られる末梢血単核球の遺伝子発現変動を解析し、更に遺伝子抽出のための薬効判定に炎症反応マーカーを用いず、且つCDAIを含めた複数の判定方法を採用することにより、新たな薬効マーカー遺伝子を抽出することに成功した。そしてこの新たな薬効マーカー遺伝子を用いることにより、より高い感度で、関節リウマチに対する抗IL-6受容体抗体療法の有効性を予測し得ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下に関する。
[1]関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための方法であって、
(1)対象関節リウマチ患者から単離された末梢血単核球における、表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを測定すること;並びに
(2)(1)において測定した発現レベルと、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性とを相関付けること
を含む、方法。
[2]抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体がトシリズマブである、[1]記載の方法。
[3]表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の転写産物又はその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブ又は核酸プライマー、或いは表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の翻訳産物に特異的に結合し得る抗体を含む、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための診断薬。
[4]以下の(A)及び(B)を含むキット:
(A)抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体、及び
(B)表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の転写産物又はその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブ又は核酸プライマー、或いは表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の翻訳産物に特異的に結合し得る抗体。
[5]抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体がトシリズマブである、[4]記載のキット。
本発明の方法は、末梢血単核球における遺伝子発現解析を用いている。従って、本発明の方法を用いれば、従来の全血を用いた方法と比較して、顆粒球の影響を排除し、免疫機能を適切に反映した、感度の高い、関節リウマチに対する抗IL-6受容体抗体療法の有効性の予測が可能である。
また、本発明の方法に用いられる薬効マーカー遺伝子は、炎症反応マーカーを含まない薬効判定により、抗IL-6受容体抗体療法の効果と有意な相関が認められた遺伝子である。従って、本発明の方法を用いれば、炎症反応の低下という表面的な作用ではなく、関節リウマチの根本治療への有効性の予測が可能となる。
本発明の方法を用いれば、治療の有効性を予め確認した上で、抗IL-6受容体抗体療法を実施することができる。その結果、例えば、当該療法の有効性が見込める患者に対しては、抗IL-6受容体抗体療法を行い、有効性が見込めない患者に対しては治療方針を変更する等、治療方針の選択判断が可能となる。従って、本発明の方法は、寛解に至るまでの期間を短縮し、非可逆的な関節破壊を最小限にとどめると共に、医薬の使用効率を上げることにより、医療経済に貢献する。
著効群(Good Response)と無効群(No Response)との間で、遺伝子発現パターンをクラスター解析により比較した結果を示す。
1.関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための方法
本発明は、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための方法であって、
(1)対象関節リウマチ患者から単離された末梢血単核球における、表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを測定すること;並びに
(2)(1)において測定した発現レベルと、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性とを相関付けること
を含む、方法を提供するものである。
抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体とは、ヒトIL-6受容体(好ましくはヒトIL-6受容体の細胞外ドメイン)に特異的に結合し、ヒトIL-6の当該受容体への結合を阻止することにより、ヒトIL-6刺激による当該受容体を介した生体反応を阻害する抗体をいう。
ヒトIL-6受容体は公知の受容体であり、そのアミノ酸配列も公知である。ヒトIL-6受容体の代表的なアミノ酸配列を配列番号160(NP_000556.1 REGION: 20..468)に示す。ヒトIL-6は公知のサイトカインであり、そのアミノ酸配列も公知である。ヒトIL-6の代表的なアミノ酸配列を配列番号161(NP_000591.1 REGION: 30..212)に示す。
本明細書において、タンパク質について、「生物Xタンパク質Y」とは、タンパク質Yのアミノ酸配列が、生物Xにおいて天然に発現している該タンパク質のアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列を有することを意味する。同様に、本明細書において、遺伝子について、「生物X遺伝子Z」とは、遺伝子Zのヌクレオチド配列(好ましくはcDNA配列)が、生物Xにおいて天然に発現している該遺伝子のヌクレオチド配列(好ましくはcDNA配列)と同一又は実質的に同一のヌクレオチド配列を有することを意味する。「実質的に同一」とは、着目したアミノ酸配列又はヌクレオチド配列が、生物Xにおいて天然に発現している因子のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上)の同一性を有しており、且つ当該タンパク質又は遺伝子の機能が維持されていることを意味する。
本明細書において、抗体の抗原Agへの「特異的な結合」とは、抗原抗体反応における、抗体の抗原Agに対するアフィニティが、抗原Ag以外の抗原に対するアフィニティよりも強いことを意味する。
本明細書において、抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)等の天然型抗体;及び遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体や一本鎖抗体等が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体である。抗体のクラスは、特に限定されず、IgG、IgM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有する抗体をも包含する。
抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体は、該ヒトIL-6受容体タンパク質やその抗原性を有する部分ペプチドを免疫原として用い、既存の一般的な製造方法によって抗ヒトIL-6受容体抗体のクローンを複数作成し、その中から、所望の阻害活性を有するクローンを選択することにより得ることができる。
モノクローナル抗体は、ケーラー及びミルシュタインらの方法[Nature, vol.256, p.495 (1975)]や、組換えDNA法(Cabillyら、米国特許第4816567号)を用いて作製することができる。
キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来の定常領域とからなる。キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来モノクローナル抗体のV領域をコードするDNAを、ヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域と、ヒト抗体由来のフレームワーク領域およびC領域とからなる。ヒト化抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植することにより作成することができ、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(EP125023、WO96/02576参照)。
キメラ抗体及びヒト化抗体のC領域には、ヒト抗体のものが使用され、例えばH鎖では、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4を、L鎖ではCκ、Cλを使用することができる。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾してもよい。
ヒト抗体は、免疫する非ヒト動物としてヒト抗体産生マウス(特許第3030092号、US6632976、US2004073957、US2009253902等)を用いることにより、上述のモノクローナル抗体の製造方法と同様にして製造することが出来る。
ヒト化抗体及びヒト抗体は、ヒトに対する抗原性が低いため、関節リウマチの治療のためにヒトに投与する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体として好ましい。
また、本明細書において、抗体には、上記ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体や一本鎖抗体の結合性断片が包含される。結合性断片とは、特異的結合活性を有する前述の抗体の一部分の領域を意味し、具体的には例えばF(ab')2、Fab'、Fab、Fv、sFv、dsFv、sdAb等が挙げられる(Exp. Opin. Ther. Patents, Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。
抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体は市販されており、これらの市販品を使用することもできる。市販の抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体としては、トシリズマブを挙げることが出来る。
抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体は、最も好ましくはトシリズマブである。トシリズマブは、配列番号162で表されるアミノ酸配列を含む2本の軽鎖、及び配列番号163で表されるアミノ酸配列を含む2本の重鎖を含む。
関節リウマチの診断は、1984年米国リウマチ学会診断基準に基づき実施することが出来る。本発明の方法の対象となる関節リウマチ患者は、好ましくはDAS28が3.2を上回る患者である。
本発明の方法の対象となる関節リウマチ患者は、ヒトである。
関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性とは、当該治療による関節リウマチの寛解の程度又は有無をいう。関節リウマチの寛解の程度又は有無は、骨の変形や破壊、関節の腫れ、痛み等の症状の改善の程度を、EULAR改善基準又はCDAI(好ましくは、CDAI)に基づき評価することにより判断することが出来る。好ましくは、治療の有効性は、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の開始から、遅くとも6ヶ月以内に関節リウマチが部分的又は完全に寛解するか否かで判断される。尚、関節の腫れ、痛み、こわばり等の症状の改善を伴わず、CRP等の炎症性マーカーの低下のみが認められるケースは、関節リウマチの寛解(改善)には含まない。
本発明の方法においては、対象関節リウマチ患者から単離された末梢血単核球における、表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87(好ましくは#1〜82、より好ましくは#1〜77)からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを測定する。
表中、「Entrez GeneID」は、NCBIが提供するGeneデータベース中の各薬効マーカー遺伝子のID番号を示す。「相関」は、各薬効マーカー遺伝子の末梢血単核球における発現レベルと、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性との相関を示す。「down」は、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効な患者において、該治療が無効な患者と比較して、末梢血単核球における当該薬効マーカー遺伝子の発現レベルが低いことを意味する。「up」は、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効な患者において、該治療が無効な患者と比較して、末梢血単核球における当該薬効マーカー遺伝子の発現レベルが高いことを意味する。「cDNA配列」は、各薬効マーカー遺伝子の代表的なcDNA配列の配列番号を意味する。「アミノ酸配列」は、各薬効マーカー遺伝子の翻訳産物の代表的なアミノ酸配列の配列番号を意味する。「プローブ名」は、Agilent Technologiesが提供する核酸アレイ上の、各薬効マーカー遺伝子に対応するプローブのコード番号を示す。尚、薬効マーカー遺伝子#83〜87は、Agilent Technologiesの各プローブにより特異的に検出されるcRNAに対応する遺伝子を意味する。
末梢血からの単核球の単離は、ヘパリンやクエン酸等の抗凝固剤で処理した末梢血を、単核球分離用に適切に比重が調整された分離剤(例、フィコール、リンホプレップ)に積層、又は該分離剤と混合し、遠心分離に付し、単核球を単核球以外の血球成分から分離することにより実施することが出来る。
「細胞の単離」とは、目的とする細胞以外の細胞を除去する操作がなされていることを意味する。「単離された単核球」における単核球の純度は、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは実質的に100%である。尚、本発明の方法において使用する単核球からは、顆粒球が出来る限り除かれていることが好ましい。本発明の方法において使用する単離された単核球中に混入する顆粒球の頻度は、通常1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下である。最も好ましくは、単離された単核球は、顆粒球の混入を実質的に含まない。
各薬効マーカー遺伝子の発現レベルは、各薬効マーカー遺伝子の翻訳産物(即ち、タンパク質)に特異的に結合する抗体を用いて、免疫学的手法により、該翻訳産物量を定量することにより測定することができる。免疫学的手法としては、フローサイトメトリー解析、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、ELISA法(Methods in Enzymol. 70: 419-439 (1980))、ウェスタンブロッティング、免疫組織染色等を挙げることができる。
また、各薬効マーカー遺伝子の発現レベルは、各薬効マーカー遺伝子の転写産物(即ち、各遺伝子をコードするmRNA)やその相補的核酸(cRNA又はcDNA)を特異的に検出し得る核酸プローブ又は核酸プライマーを用いて、自体公知の方法により測定することが出来る。該測定方法としては、例えば、cDNAアレイ、RT-PCR、ノザンブロッティング、in situ ハイブリダイゼーション等を挙げることができる。
各遺伝子の転写産物やその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブとしては、各遺伝子のcDNA配列に含まれる、約15塩基以上、好ましくは約18〜約500塩基、より好ましくは約18〜約200塩基、いっそう好ましくは約18〜約50塩基の連続したヌクレオチド配列又はその相補配列を含むポリヌクレオチドを挙げることが出来る。
各薬効マーカー遺伝子の転写産物やその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プライマーは、各薬効マーカー遺伝子のcDNA配列からなるポリヌクレオチドの一部又は全部の領域を特異的に増幅し得るように設計されたものであればいかなるものであってもよい。例えば、各薬効マーカー遺伝子のcDNA配列の相補配列の一部にハイブリダイズする、約15〜約50塩基、好ましくは約18〜約30塩基のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと、このハイブリダイゼーション部位より3’側の当該cDNA配列の一部にハイブリダイズする、約15〜約50塩基、好ましくは約18〜約30塩基のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドとの組み合わせであり、それらによって増幅される核酸の断片長が約50〜約1,000塩基、好ましくは約50〜約500塩基、より好ましくは約50〜約200塩基である、一対のポリヌクレオチドが挙げられる。
核酸プローブ及び核酸プライマーは、特異的検出に支障を生じない範囲で付加的配列(検出対象のポリヌクレオチドと相補的でないヌクレオチド配列)を含んでいてもよい。
また、核酸プローブ及び核酸プライマーは、適当な標識剤、例えば、放射性同位元素(例:125I、131I、H、14C、32P、33P、35S等)、酵素(例:β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等)、蛍光物質(例:フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート等)、発光物質(例:ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)、ビオチンなどで標識されていてもよい。あるいは、蛍光物質(例:FAM、VIC等)の近傍に該蛍光物質の発する蛍光エネルギーを吸収するクエンチャー(消光物質)がさらに結合されていてもよい。かかる実施態様においては、検出反応の際に蛍光物質とクエンチャーとが分離して蛍光が検出される。
核酸プローブ及び核酸プライマーは、DNAであってもRNAであってもよく、また、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖の場合は二本鎖DNA、二本鎖RNA、DNA/RNAハイブリッドのいずれであってもよい。従って、本明細書においてあるヌクレオチド配列を有する核酸について記載する場合、特に断らない限り、該ヌクレオチド配列を有する一本鎖ポリヌクレオチド、該ヌクレオチド配列と相補的な配列を有する一本鎖ポリヌクレオチド、それらのハイブリッドである二本鎖ポリヌクレオチドをすべて包含する意味で用いられていると理解されるべきである。
上記核酸プローブ及び核酸プライマーは、例えば、本明細書に記載されたヌクレオチド配列の情報に基づいて、DNA/RNA自動合成機を用いて常法に従って合成することができる。
測定対象の各薬効マーカー遺伝子の翻訳産物に特異的に結合する抗体や、各薬効マーカー遺伝子の転写産物やその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブを、適切な支持体の上に結合して、抗体アレイや、核酸アレイとして提供してもよい。支持体としては、当該分野で通常用いられている支持体であれば特に限定されず、例えば、メンブレン(例えば、ナイロン膜)、ビーズ、ガラス、プラスチック、金属などが挙げられる。
次に、工程(1)において測定した薬効マーカー遺伝子の発現レベルと、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性とを相関付ける。例えば、測定した薬効マーカー遺伝子の発現レベルを、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効であった関節リウマチ患者の当該治療開始前の末梢血単核球における当該薬効マーカー遺伝子の発現レベル、及び抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が無効であった関節リウマチ患者の当該治療開始前の末梢血単核球における当該薬効マーカー遺伝子の発現レベルと比較する。あるいは、測定した薬効マーカー遺伝子の発現レベルを、あらかじめ求めておいた、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効であった関節リウマチ患者の当該治療開始前の末梢血単核球における当該薬効マーカー遺伝子の発現レベルの平均値、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が無効であった関節リウマチ患者の当該治療開始前の末梢血単核球における当該薬効マーカー遺伝子の発現レベルの平均値、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効/無効であった多数の関節リウマチ患者の当該治療開始前の末梢血単核球における当該薬効マーカー遺伝子の発現レベルの分布図などと比較してもよい。遺伝子発現レベルの比較は、好ましくは、有意差の有無に基づいて行われる。
後述の実施例に示すように、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効な関節リウマチ患者においては、表1において「相関」が「up」で表示された各薬効マーカー遺伝子の末梢血単核球における発現が、当該治療が無効な関節リウマチ患者と比較して高かった。即ち、末梢血単核球における、表1において「相関」が「up」で表示された薬効マーカー遺伝子の発現レベルと、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性との間の正の相関に基づき、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測することができる。例えば、末梢血単核球における、表1において「相関」が「up」で表示された薬効マーカー遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの薬効マーカー遺伝子の発現レベルが相対的に高い場合には、当該関節リウマチ患者は抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効である可能性が高いと判定することができる。
一方、後述の実施例に示すように、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効な関節リウマチ患者においては、表1において「相関」が「down」で表示された各薬効マーカー遺伝子の末梢血単核球における発現が、当該治療が無効な関節リウマチ患者と比較して低かった。即ち、末梢血単核球における、表1において「相関」が「down」で表示された薬効マーカー遺伝子の発現レベルと、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性との間の負の相関に基づき、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測することができる。例えば、末梢血単核球における、表1において「相関」が「down」で表示された薬効マーカー遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの薬効マーカー遺伝子の発現レベルが相対的に低い場合には、当該関節リウマチ患者は抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効である可能性が高いと判定することができる。
また、末梢血単核球中の各薬効マーカー遺伝子の発現レベルのカットオフ値をあらかじめ設定しておき、測定した対象関節リウマチ患者の末梢血単核球中の各薬効マーカー遺伝子の発現レベルとこのカットオフ値とを比較してもよい。例えば、表1において「相関」が「up」で表示された各薬効マーカー遺伝子の末梢血単核球における発現レベルが、前記カットオフ値以上である場合には、当該関節リウマチ患者は抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効である可能性が高いと判定することができる。また、表1において「相関」が「down」で表示された各薬効マーカー遺伝子の末梢血単核球における発現レベルが、前記カットオフ値以下である場合には、当該関節リウマチ患者は抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効である可能性が高いと判定することができる。
「カットオフ値」は、その値を基準として治療の有効性の判定をした場合に、高い診断感度及び高い診断特異度の両方を満足できる値である。例えば、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効である関節リウマチ患者で高い陽性率を示し、かつ、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が無効である関節リウマチ患者で高い陰性率を示す、末梢血単核球中の薬効マーカー遺伝子の発現レベルをカットオフ値として設定することが出来る。
カットオフ値の算出方法は、この分野において周知である。例えば、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が有効であった関節リウマチ患者及び抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療が無効であった関節リウマチ患者の、当該治療開始前に採取した末梢血単核球中の各薬効マーカー遺伝子の発現レベルを測定し、測定された値における診断感度および診断特異度を求め、これらの値に基づき、市販の解析ソフトを使用してROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を作成する。そして、診断感度と診断特異度が可能な限り100%に近いときの値を求めて、その値をカットオフ値とすることができる。また、例えば、検出された値における診断効率(全症例数に対する、治療が有効であった患者を「有効」と正しく診断した症例と、治療が無効であった患者を「無効」と正しく診断した症例との合計数の割合)を求め、最も高い診断効率が算出される値をカットオフ値とすることができる。
尚、本発明の方法においては、対象関節リウマチ患者の末梢血単核球中の、薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを測定すれば足りるが、これらの遺伝子のうちの複数(例えば2以上、好ましくは10以上)の濃度を測定し、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性と相関付けることにより、より高い精度での、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性の予測が期待できる。
2.診断薬
本発明は、表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87(好ましくは#1〜82、より好ましくは#1〜77)からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の転写産物又はその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブ又は核酸プライマー、或いは表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87(好ましくは#1〜82、より好ましくは#1〜77)からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の翻訳産物に特異的に結合し得る抗体を含む、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための診断薬を提供するものである。本発明の診断薬を用いれば、上記本発明の方法により、容易に関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測することが可能となる。
測定対象の各薬効マーカー遺伝子の翻訳産物に特異的に結合する抗体や、各薬効マーカー遺伝子の転写産物やその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブを、適切な支持体の上に結合して、抗体アレイや、核酸アレイとして提供してもよい。支持体としては、当該分野で通常用いられている支持体であれば特に限定されず、例えば、メンブレン(例えば、ナイロン膜)、ビーズ、ガラス、プラスチック、金属などが挙げられる。
本発明の診断薬は、単核球分離用に適切に比重が調整された分離剤(例、フィコール、リンホプレップ)を更に含んでいてもよい。
本発明の診断薬に含まれる各構成要素は、各々別個に(あるいは可能であれば混合した状態で)水もしくは適当な緩衝液(例:TEバッファー、PBSなど)中に適当な濃度となる
ように溶解されるか、あるいは凍結乾燥された状態で、適切な容器中に収容される。
本発明の診断薬は、薬効マーカー遺伝子の発現レベルの測定方法に応じて、当該方法の実施に必要な他の成分を構成としてさらに含んでいてもよい。
例えば、本発明の診断薬が、薬効マーカー遺伝子の翻訳産物に特異的に結合する抗体を含むものであれば、免疫学的手法により薬効マーカー遺伝子の発現レベルを測定することにより、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測することができる。この場合、本発明の診断薬は、標識二次抗体、発色基質、ブロッキング液、洗浄緩衝液、ELISAプレート、ブロッティング膜等をさらに含むことができる。
本発明の診断薬が、薬効マーカー遺伝子の転写産物又はその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブ又は核酸プライマーを含むものであれば、RT-PCR、ノザンブロッティング、in situ ハイブリダイゼーション、cDNAアレイ等により薬効マーカー遺伝子の発現レベルを測定することにより、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測することができる。RT-PCRを測定に用いる場合には、本発明の診断薬は、10×PCR反応緩衝液、10×MgCl2水溶液、10×dNTPs水溶液、Taq DNAポリメラーゼ(5U/μL)、逆転写酵素等をさらに含むことができる。ノザンブロッティングや核酸アレイを測定に用いる場合には、本発明の診断薬は、ブロッティング緩衝液、標識化試薬、ブロッティング膜等をさらに含むことができる。in situ ハイブリダイゼーションを測定に用いる場合には、本発明の診断薬は、標識化試薬、発色基質等をさらに含むことができる。
また、本発明は、上記本発明の診断薬と抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体とを組み合わせて含む、キットを提供するものである。本発明のキットは、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による慢性関節リウマチの治療用キットであり得る。本発明のキットを用いることにより、抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を上記本発明の方法により予測した上で、該治療が有効と見込まれる患者に対して抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療を施すことが可能である。
本発明のキットに含まれる抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体は、最も好ましくはトシリズマブである。
本発明の診断薬及び本発明のキットに関連する各用語の定義は、「1.関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための方法」の項で述べた通りである。
本明細書中で挙げられた特許及び特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、本明細書での引用により、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
1984年米国リウマチ学会診断基準により関節リウマチと診断され、DAS28が3.2を上回る20歳以上の同意患者19例で、薬効予測バイオマーカーの抽出を行った。ヘパリン採血試料より末梢血中の単核球を分離し、その遺伝子発現をDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。
I.患者末梢血からの末梢血単核球(PBMC)の分離およびtotal RNAの抽出は以下の要領で行った。
PBMCの分離
予めLeucoSepリンパ球分離チューブでFicoll-Paque TM PLUS 15mLを遠心分離した(RT 1000G 30sec)。ヘパリン入り採血管で採取した関節リウマチ患者の末梢血 15mLをPBS 15mLと混和し、上記LeucoSepリンパ球分離チューブに加え、遠心分離した(RT 1000G 10min)。上清を除去し、残りの水層をピペットマンで50mL遠沈管に移し、PBSで2回洗浄した。ACKバッファー2mLで撹拌、2分間常温に置いたのち、PBSで2回洗浄した。トリパンブルー染色で生存細胞数を計測した。
PBMCのtotal RNA抽出
分離したPBMCを再度遠心分離した(RT 15,000rpm 10min)。上清除去後のペレット状の細胞にTrizol 1mlを加えピペッティングを行い、細胞を溶解させた。クロロホルム200mlを加え、遠心分離し(4℃ 15000rpm 15min)、水層を抽出した。抽出した水層にエタノールを終濃度55%になるように加えた。
溶液をピペッティングした後、RNeasy Kit (Qiagen)のRNeasyカラムに溶液を移し、遠心分離後(RT 10000rpm 15sec)ろ液を捨てた。次に、RW1バッファー700μlをカラムに加え、遠心分離した(RT 10000rpm 15sec)。続いてコレクションチューブを新しくし、RPEバッファー(エタノール添加済み)500μlを加え、遠心分離後(RT 10000rpm 15sec)、ろ液を捨てた。再度RPEバッファー(エタノール添加済み)500μlを加え、遠心分離後(RT 10000rpm 2min)、ろ液を捨て再度遠心分離した(RT 10000rpm 1min)。最後に1.5mlエッペンドルフチューブにカラムを換え、Nuclease free water 30μl加え、1分間室温で放置した後、遠心分離(RT 10000rpm 1min)を行いtotal RNAを抽出した。得られたtotal RNAはサンプルごとに全て-80℃で保存した。
濃度測定及びクオリティーチェック
抽出したtotal RNAの1μlを用いて、NanoDrop(NanoDrop Technologies Inc.)により吸光度測定を行い、濃度の算出及びクオリティーチェックを行った(OD260nm/OD280nmが1.8から2.0の間の値、OD260nm/OD230nmが1.5倍以上)。続いてtotal RNAの1μlを用いて、Agilent 2100 Bioanalyzer (Agilent Technologies)により、RNAのクオリティーチェックを行った(28S rRNA/ 18S rRNAが1.5以上、RIN(RNA Integrity Number)値が7.0以上)。クオリティーが低いものは、細胞からの再抽出またはエタノール沈殿による再精製を行った。
エタノール沈殿による再精製
抽出したtotal RNAに全量が50μlになるようにNuclease free Waterを加え、3M 酢酸ナトリウム(Applied Biosystems) 5μlと100%エタノール(Wako) 125μlを加え、ピペッティング後、-80℃ 30min放置した。続いて遠心分離を行い(4℃ 15000rpm 30min)、上清を取り除き、70%エタノール180μlを加え、さらに遠心分離を行い(4℃ 15000rpm 30min)、上清を取り除き、室温で放置して乾燥させた。最後にNuclease free water 30μlを加えて、再度濃度測定及びクオリティーチェックを行い、精製できたことを確認した。
DNAマイクロアレイは、以下の要領で実施した。
ラベル化cRNAの合成
末梢血由来total RNAから、Quick Amp Labeling Kit(Agilent Technologies)を用いて、各々のラベル化cRNAを調製した。詳細は以下の1)〜4)のとおりである。
1) cDNAの合成
1-1) Spike-Mixの調製
キット付属のSpike-Mixをヒートブロックでインキュベーションし(37℃ 5min)、ボルテックス(10sec)、遠心分離を行った(1000rpm 10sec)。Spike-Mix 2μlにDilution Buffer 38μlを加え、ボルテックス(10sec)、遠心分離(1000rpm 10sec)を行い、Spike-Mix希釈溶液1を調製した。2μl のSpike-Mix希釈溶液1にDilution Buffer 8μlを加え、ボルテックス(10sec)、遠心分離を行い(1000rpm 10sec)、Spike-Mix希釈溶液2を調製した。4μl のSpike-Mix希釈溶液2にDilution Buffer 16μlを加え、ボルテックス(10sec)、遠心分離(1000rpm 10sec)を行い、Spike-Mix希釈溶液3を調製した。10μl のSpike-Mix希釈溶液3にDilution Buffer 30μlを加え、ボルテックス(10sec)、遠心分離を行い(1000rpm 10sec)、Spike-Mix希釈溶液4を調製した。
1-2) cDNAの合成
1サンプル当たりtotal RNA 250ng、Spike-Mix希釈溶液1μl、T7 Promoter Primer 0.6μl、Nuclease free waterを全量が5.75μlになるように加え反応溶液を調製した。ヒートブロックでインキュベーション(65℃ 10min)後、氷上で5min放置した。続いて1サンプル当たり5×First Strand Buffer 2μl、0.1M DTT 1μl、10mM dNTP mix 0.5μl、MMLV-RT 0.5μl、RNase Inhibitor 0.25μlを加え、cDNAマスターミックスを調製した。ピペッティング後、各反応溶液にcDNAマスターミックスを4.25μlずつ加え(total volume 10μl)、ウォーターバスでインキュベーションした(40℃ 2hr)。反応終了後、反応溶液をヒートブロックでインキュベーション(65℃ 15min)し、氷上で5min放置した。
2) cRNAの増幅及びラベル化
1サンプル当たりNuclease free water 7.65μl、4×Transcription Buffer 10μl、0.1M DTT 3μl、NTP mix 4μl、50% PEG 3.2μl、RNase Inhibitor 0.25μl、Inorganic Pyrophosphatase 0.3μl、T7 RNA Polymerase 0.4μl、Cyanine 3-CTP 1.2μlを加え、Cy3 Transcription mixを調製した。ピペッティングでよく混合させた後、Cy3 Transcription mixを各反応溶液に30μlずつ加えて、ウォーターバスでインキュベーションした(遮光 40℃ 2hr)。反応終了後、氷上で放置した。
3) ラベル化cRNAの精製
ラベル化cRNAの精製は、RNAeasy Kit (Qiagen)を用いて行った。各反応溶液にNuclease free water 60μl、RLTバッファー 350μl、100%エタノール 250μlを加えた。ピペッティングでよく混合した後、RNeasyカラムに反応溶液を500μl程度移し、遠心分離(4℃ 13000rpm 30sec)を行い、ろ液は捨てた。この作業を繰り返し、サンプルごとに溶液全量をRNeasyカラムに移した。各RNeasyカラムを新しいコレクションチューブに移し、RPEバッファー 500μlをカラムに加え、遠心分離(4℃ 13000rpm 1min)を行い、ろ液は捨てた。再度RPEバッファー 500μlをカラムに加え、遠心分離を行い(4℃ 13000rpm 1min)、ろ液は捨てた。各RNeasyカラムを新しいコレクションチューブに移し、遠心分離を行った(4℃ 13000rpm 1min)。各RNeasyカラムを1.5mlエッペンドルフチューブに移し、Nuclease free water 30μl加えて室温で1分間遮光放置した後、遠心分離(4℃ 13000rpm 1min)、カラムを捨て、ろ液を-80℃で遮光して保存した。
4) ラベル化cRNAの濃度測定とクオリティーの確認
3)で得られたラベル化cRNA 1μlを用いて、NanoDrop(NanoDrop Technologies Inc.)により吸光度測定を行い、濃度とラベル化cRNA(Cy3)の取り込み率の算出を行った(Cy3取り込み効率は9pmol/μl以上が望ましい)。続いてtotal RNAの1μlを用いてAgilent 2100 Bioanalyzer (Agilent Technologies)によりラベル化cRNAのクオリティーチェックを行った。
ハイブリダイゼーション
各ラベル化cRNAを氷上で融解した後、遠心分離(1000rpm 10sec)を行った。1.5ml low-bind Nuclease free tubeにラベル化cRNA 1.65μg、10×Blocking Agent 11μl、25×Fragmentation Buffer 2.2μl、Nuclease free waterを最終液量 55μlになるように加え、ボルテックス(10sec)、遠心分離後(1000rpm 10sec)、ヒートブロックでインキュベーションし(遮光 60℃ 30min)、氷上で1min放置した。遠心分離後(1000rpm 10sec)、2×GE Hybridization Buffer HI-RPM 55μlを加えピペッティング、遠心分離後(4℃ 13000rpm 1min)、氷上で放置し、ハイブリダイゼーション溶液を調製した。
ハイブリダイゼーションチャンバー(Agilent Technologies)を用意した。チャンバーベースの上に4×44k ガスケットスライドをセットし、ハイブリダイゼーション溶液 100μlをガスケットのウェルにアプライした後、Whole Human Genome 4×44k マイクロアレイスライドをガスケットスライドの上に載せ、チャンバーカバーをマイクロアレイスライドの上に載せ、クランプアッセンブリでチャンバーを固定した。チャンバーを回転させハイブリ溶液がガスケットスライド全面に行きわたることを確認した(動かない気泡がある場合はチャンバーを振って気泡を移動させた)。チャンバーをハイブリダイゼーションオーブン(Agilent Technologies)にセットし、ハイブリダイゼーションを行った(65℃ 10rpm 17hr)。
反応終了後、ガスケット解体用Agilent Gene Expression Wash Buffer1中でガスケットとマイクロアレイスライドを取り外し、新しいAgilent Gene Expression Wash Buffer 1の中で室温1分間洗浄し(洗浄用液の回転数は中程度)、続いて37℃でインキュベーションしてあるAgilent Gene Expression Wash Buffer 2の中で1分間洗浄(洗浄用液の回転数は中程度)した後、溶液からゆっくりマイクロアレイスライドを取り出し、遮光スライドケースに入れて乾燥保存した。
測定及びクオリティーチェックと数値化
マイクロアレイスライドをスライドホルダーに入れ、Agilent DNA microarray Scanner(Agilent Technologies)にセットし測定を行った。測定した画像データはFeature extraction software(Agilent Technologies)を用いて、クオリティーチェックと数値化を行った。
II.DNAアレイ試料採取後速やかにトシリズマブ8mg/kg/4weekの加療を開始し、6ヶ月後に医師全般評価、EULAR改善基準、CDAIの変化値、効果発現の早さにより治療効果判定を行った。効果発現の早さにより著効、有効ならびに無効のいずれかを判定し、著効群(n=5)と無効群(n=3)の治療前の単核球遺伝子発現を比較したところ、正規化したシグナル値に2群間で有意に差があり(t検定、p<0.05)、かつ平均値に2群間で1.5倍を超える差があるプローブ1107個が抽出された。それらの2群間における遺伝子発現パターンをクラスター解析したところ、著効例と無効例が分離可能であることが示された(図1)。これらの候補遺伝子をさらに正規化シグナル値の強さ(少なくとも片方の群において補正シグナル値が0以上)と有意水準(p<0.01)により限定し、87プローブを抽出した。それらのプローブに対応する各遺伝子を薬効予測候補遺伝子とした(表2)。
表中、「プローブ名」は、アレイ上の抽出されたプローブの名称(Agilent Technologiesのコード番号)を示す。
「Gene Symbol」は、各プローブに対応する遺伝子名を示す。
「Entrez GeneID」は、NCBIが提供するGeneデータベース中の各遺伝子のID番号を示す。
「ttest welch p-value」は、T検定による危険率を示す。
「FC Absolute」は、「無効」群に対する「著効」群のシグナル値(平均値)の比を絶対値にした値を示す。
「regulation」は、「無効」群のシグナルと比較した「著効」群のシグナルの差異を示す。「down」は「無効」群よりも「著効」群のシグナルが低いことを意味する。「up」は 「無効」群よりも「著効」群のシグナルが高いことを意味する。
「無効」群は、トシリズマブ治療による効果が認められない群を示す。
「著効」群は、トシリズマブ治療による著効が認められた群を示す。
本発明の方法は、末梢血単核球における遺伝子発現解析を用いている。従って、本発明の方法を用いれば、従来の全血を用いた方法と比較して、顆粒球の影響を排除し、免疫機能を適切に反映した、感度の高い、関節リウマチに対する抗IL-6受容体抗体療法の有効性の予測が可能である。
また、本発明の方法に用いられる薬効マーカー遺伝子は、炎症反応マーカーを含まない薬効判定により、抗IL-6受容体抗体療法の効果と有意な相関が認められた遺伝子である。従って、本発明の方法を用いれば、炎症反応の低下という表面的な作用ではなく、関節リウマチの根本治療への有効性の予測が可能となる。
本発明の方法を用いれば、治療の有効性を予め確認した上で、抗IL-6受容体抗体療法を実施することができる。その結果、例えば、当該療法の有効性が見込める患者に対しては、抗IL-6受容体抗体療法を行い、有効性が見込めない患者に対しては治療方針を変更する等、治療方針の選択判断が可能となる。従って、本発明の方法は、寛解に至るまでの期間を短縮し、非可逆的な関節破壊を最小限にとどめると共に、医薬の使用効率を上げることにより、医療経済に貢献する。

Claims (5)

  1. 関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための方法であって、
    (1)対象関節リウマチ患者から単離された末梢血単核球における、表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを測定すること;並びに
    (2)(1)において測定した発現レベルと、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性とを相関付けること
    を含む、方法。
  2. 抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体がトシリズマブである、請求項1記載の方法。
  3. 表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の転写産物又はその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブ又は核酸プライマー、或いは表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の翻訳産物に特異的に結合し得る抗体を含む、関節リウマチに対する抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体による治療の有効性を予測するための診断薬。
  4. 以下の(A)及び(B)を含むキット:
    (A)抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体、及び
    (B)表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の転写産物又はその相補的核酸を特異的に検出し得る核酸プローブ又は核酸プライマー、或いは表1の薬効マーカー遺伝子#1〜87からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子の翻訳産物に特異的に結合し得る抗体。
  5. 抗ヒトIL-6受容体阻害性抗体がトシリズマブである、請求項4記載のキット。
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