以下、本発明の使い捨ておむつを実施するための形態について具体的に説明する。
[1]本発明の使い捨ておむつの基本的な構成:
本発明の使い捨ておむつは、図1A、図1B及び図1Dに示す使い捨ておむつ1のように、着用者の胴周りを被包する前被包部2及び後被包部6と、吸収体22が配置され、着用者の股下を被包する股下被包部4とを有するものである。
[1−1]使い捨ておむつ:
「使い捨ておむつ」には、パンツ型、テープ型等の各種形態が含まれる。但し、本発明はその特定事項を備える使い捨ておむつを広く包含し、以下に示すパンツ型、テープ型等に限定されるものではない。
[1−2]前被包部及び後被包部:
「前被包部」及び「後被包部」は、使い捨ておむつのうち、着用者の胴周りを被包する部分である。
本明細書においては、吸収体が、股下被包部から前被包部及び後被包部にかけて連続的に配置されている場合において、前被包部及び後被包部における、吸収体の端縁及び前記端縁の延長線よりウエスト端縁側の部分を「ウエスト被包部」、前記吸収体の端縁及び前記端縁の延長線より股下側の部分を「タミー被包部」と称することにする。
「胴周りを被包する」とは、使い捨ておむつの一部によって、着用者の胴を取り囲む筒状構造が形成された形態又は前記筒状構造が形成され得る形態であることを意味する。「筒状構造が形成された形態」のおむつとしては、パンツ型の使い捨ておむつを挙げることができる。
「パンツ型」とは、図1Aに示す使い捨ておむつ1のように、予め一つのウエスト開口部10及び左右一対のレッグ開口部12が形成されたパンツ型を呈する使い捨ておむつを指す。
図1A、図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1は、前外装体62の側縁62a,62bと後外装体65の側縁65a,65bが相互に接合されて、着用者の胴を取り囲む筒状構造が形成された形態である。このような形態においては、外装体16のうち、左右の接合部7,8の間の領域によって前記筒状構造が形成される。従って、前記領域を前被包部2又は後被包部6と称することにする。
図1A、図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1は、外装体16が前外装体62と後外装体65から構成されている。但し、外装体が前後に分離されず、一体的に構成され、予め一つのウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されているものも「パンツ型」の一形態である。
例えば、図12A、図12B及び図12Eに示す使い捨ておむつ201は、一体的に構成された外装体216の側縁202a,202bと側縁206a,206bが相互に接合されて、着用者の胴を取り囲む筒状構造が形成された形態である。このような形態においては、外装体216のうち、左右の接合部207,208の間の領域によって前記筒状構造が形成される。従って、前記領域を前被包部202又は後被包部206と称することにする。
「筒状構造が形成され得る形態」のおむつとしては、疑似パンツ型又はテープ型の使い捨ておむつを挙げることができる。
「疑似パンツ型」とは、図1A、図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1又は図12A、図12B及び図12Eに示す使い捨ておむつ201と同様の形態において、接合部7,8又は接合部207,208に代えて、着脱可能なファスナー(メカニカルファスナー等)を付設した形態の使い捨ておむつを指す。
このような「疑似パンツ型」では、ファスナーの係合力によって、外装体のうち着用者の前側を覆う部分と後側を覆う部分とをこれらの両側縁で着脱可能に係合させることができる。従って、着用者の胴を取り囲む筒状構造を形成することができる。「疑似パンツ型」については、外装体のうち、左右の両側縁のファスナーの間の領域によって前記筒状構造が形成される。従って、前記領域を前被包部又は後被包部と称することにする。
「テープ型」は、図13A及び図13Dに示す使い捨ておむつ301のように、着用者の後側を被包する部分の左右の各側縁(図示の例では後サイドフラップ374の側縁374a,374b)から延出するように止着テープ311が付設された使い捨ておむつを指す。
「テープ型」は、図13A及び図13Dに示すように、止着テープ311を構成する基材350にファスニング部材(図示の例ではメカニカルファスナーのフック材348)を有している。従って、着用者の前側を被包する部分のファスニング部材(図示の例ではフロントパッチ313を形成するメカニカルファスナーのループ材346)に止め付けることで、着用者の胴を取り囲む筒状構造を形成することができる。
「テープ型」は「パンツ型」のように予め筒状構造が形成されているわけではない。従って、「テープ型」における「前被包部」、「後被包部」は、吸収体及び前記吸収体を被服するシート材(トップシート、バックシート、サイドシート等)により構成されるおむつ本体の形状に応じて以下のように定義することとする。
おむつ本体が砂時計型(前後のウエスト端縁が幅広く、股下側に幅狭い括れを有する形状。図12Bに示す外装体216と同様の形状)に形成されている場合には、おむつ前側のウエスト端縁側の前記括れの起点同士を結ぶ直線と、おむつ前側のウエスト端縁との間の領域を「前被包部」、おむつ後側のウエスト端縁側の前記括れの起点同士を結ぶ直線と、おむつ後側のウエスト端縁との間の領域を「後被包部」と称することにする。
図13A及び図13Dに示す使い捨ておむつ301のように、おむつ本体370のウエスト端縁370c側に、おむつ本体370とは別体の後サイドフラップ374が付設されるとともに、ウエスト端縁370d側にも、おむつ本体370とは別体の前サイドフラップ372が付設されている場合には、おむつ股下側における前サイドフラップ372とおむつ本体370の側縁370a,370bとの交点同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁370dとの間の領域を「前被包部」、おむつ股下側における後サイドフラップ374とおむつ本体370の側縁370a,370bとの交点同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁370cとの間の領域を「後被包部」と称することにする。
なお、おむつ本体に、おむつ本体とは別体の後サイドフラップのみが付設され、前サイドフラップが付設されていない場合には、おむつ股下側における後サイドフラップとおむつ本体の側縁との交点同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁との間の領域を「後被包部」、おむつ本体をウエスト端縁同士が重なるように折り畳んだ際に「後被包部」と重畳する領域を「前被包部」と称することにする。
[1−3]股下被包部:
「股下被包部」は、使い捨ておむつのうち、着用者の股下を被包する部分を指す。換言すれば、前被包部と後被包部の間の部分である。
股下被包部には、***物を吸収・保持させるための吸収体が配置される。吸収体の構成については特に限定されず、従来公知の吸収性物品に用いられる吸収体を用いることができる。吸収体の具体的な構成については後述する。
図1A、図1B、図1D及び図1Eに示す使い捨ておむつ1においては、前外装体62と後外装体65との間に架け渡されるように吸収性本体14が配置され、接合されている(接合部28)。この形態においては、前外装体62によって前被包部2が、後外装体65の一部によって後被包部6が、後外装体65の一部と吸収性本体14の一部によって股下被包部4が形成されている。吸収体22は吸収性本体14の構成部材として配置されている。
図12A、図12B、図12D及び図12Eに示す使い捨ておむつ201においては、吸収性本体14及び外装体216によって股下被包部204が形成されている。そして、外装体216の側縁におけるウエスト端縁202c側の括れの起点同士を結ぶ直線と、ウエスト端縁206c側の括れの起点同士を結ぶ直線との間の領域が股下被包部204である。
図13A及び図13Dに示す使い捨ておむつ301においては、おむつ本体370によって股下被包部304が形成されている。そして、おむつ股下側における前サイドフラップ372とおむつ本体370の側縁370a,370bとの交点同士を結ぶ直線と、おむつ股下側における後サイドフラップ374とおむつ本体370の側縁370a,370bとの交点同士を結ぶ直線との間の領域が股下被包部304である。
[2]本発明の使い捨ておむつの特徴的な構成:
本発明の使い捨ておむつは、図1B及び図1Dに示す使い捨ておむつ1のように、後被包部6等に、伸縮性不織布からなる伸縮部80が形成され、伸縮部80が胴周りに沿う方向等に収縮するように形成された使い捨ておむつである。そして、1)伸縮部80が形成された部分における肌当接面の一部に不織布からなるセル形成シート82が配置されていること、2)セル形成シート82と伸縮部80とを接合する接合部84が形成され、接合部84によって、セル形成シート82と伸縮部80の層間に、伸縮部80の収縮方向と交差する交差方向に延びるセル86が区画形成されていること、3)セル86は一端が開口され、他端が閉塞された非貫通のセルであること、を特徴とするものである。
このような使い捨ておむつは、図1F及び図1Gに示すように、伸縮部80の収縮によって、セル形成シート82及び伸縮部80の接合部84間の距離も狭められる。これにより、セル形成シート82及び伸縮部80が撓んで波型に変形され、セル形成シート82と伸縮部80のうち接合部84以外の部分(非接合部)が離間し、通気管、クッションとして機能するセル86が形成される。
前記の構造においては、セル86の内部に、おむつの内部空間に滞留する湿気を取り込むことができる。従って、伸縮部80に積層されたセル形成シート82の表面(伸縮部80直上の肌当接面)に湿気が溜まって結露し、スキントラブルが発生することを抑制することができる。また、伸縮部80直上の肌当接面に湿気が結露し難いため、当該肌当接面の乾燥状態を維持することができ、快適な着用感を得ることができる。
また、着用者が動作(立位から座位をとる動作、歩行する動作等)する際、おむつが変形し、その変形に追従してセル86も変形する。セル86の変形に伴って、おむつの内部空間の空気や湿気がセル86内に取り込まれ、排出される工程が繰り返される。特に、前記構造においては、図1F及び図2Bに示すようにセル86の一端が開口され、当該開口部におけるセル形成シート82の端部が自由端となっている。従って、前記開口部においてセル形成シート82及び伸縮部80の動きは制約されず、セル形成シート82及び伸縮部80を十分に撓ませることができる。即ち、セル86を大きく開口させることができる。従って、おむつの内部空間の通気や除湿が促進され、おむつの内部空間を快適な環境にすることができる。
更に、セルは、エアクッションのように緩衝機能を発揮する。従って、肌当たりが柔らかく、おむつのウエスト周りの柔軟性を向上させることができる。即ち、着用者は快適な着用感を得ることができる。特に、前記構造においては、セル形成シート82及び伸縮部80を十分に撓ませることができるため、セル形成シート82及び伸縮部80によって高い凸部を形成させることができる。従って、セル86が嵩高い構造となり、着用者の肌と伸縮部80の隙間を埋める効果が高い。即ち、柔軟性、クッション性、漏れ防止効果に優れる。
更にまた、本発明の使い捨ておむつにおいては、セルは一端が開口され、他端が閉塞された非貫通のセルであるため、セルを通過して***物が漏れることがない。また、流れてきた***物をセル内に捕捉することもできる。従って、***物の漏れを防止しつつ、伸縮部の柔軟性・通気性を向上させることができる。
[2−1]伸縮部:
伸縮部は、伸縮性不織布からなる。「伸縮性不織布」には、不織布自体が伸縮性を有するものの他、基材となる不織布に、伸張状態の伸縮材(ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性材)が固着(接合等)されて伸縮性を付与された不織布も含まれる。
不織布自体が伸縮性を有するものとしては、例えば、市販のエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布等を挙げることができる。具体的には、以下全て商品名で、ストラフレックス(出光ユニテック社製)、エスパンシオーネ(KBセーレン社製)等を好適に用いることができる。これらのエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布は、不織布自体が伸縮性を有するものである。
不織布に伸張状態の伸縮材が固着されて伸縮性を付与された不織布は、不織布と伸縮材を適宜組み合わせ接合等することによって構成することができる。例えば図13A及び図13Cに示す使い捨ておむつ301は、伸縮部381を構成する材料として、図14A〜図14Cに示すような複数の不織布シート397,398の層間に伸張状態の伸縮材399が配置されるとともに、伸縮材399が複数の不織布シート397,398に対して固着され、複数の不織布シート397,398及び伸縮材399が一体的に挙動する伸縮性不織布を用いている。このような不織布と伸縮材が一体的に挙動する伸縮性不織布を用いることにより、特許文献1〜5のパンツ型吸収性物品とは異なり、伸縮材がシート幅以上に伸張することがなくなる。また、伸縮材が理想的な伸張率を超えて過度に伸張されることがない。
一般に、使い捨ておむつは、不織布の層間に線状の伸縮材を配した構造を有している。従って、必ずしも独立した伸縮性不織布を配して伸縮部を構成する必要はなく、従来の使い捨ておむつの構造の一部を伸縮性不織布として利用して伸縮部を構成してもよい。
図1Dに示す使い捨ておむつ1は、前外装体62を構成するアウターシート63の折り返し部88と押さえシート68との層間、後外装体65を構成するアウターシート66の折り返し部88と押さえシート68との層間に、伸張状態のウエスト伸縮材42が配置されている。そして、ウエスト伸縮材42は折り返し部88及び押さえシート68に対して固着されている。即ち、折り返し部88、押さえシート68及びウエスト伸縮材42によって一体的に挙動する伸縮性不織布(伸縮部80)が構成されている。
また、図12Cに示す使い捨ておむつ201は、立体ギャザー26を構成する不織布シート32の基部と折り返し部との層間に、伸張状態の立体ギャザー伸縮材36が配置されている。そして、立体ギャザー伸縮材36は不織布シート32の基部と折り返し部に対して固着されている。即ち、不織布シート32の基部、折り返し部及び立体ギャザー伸縮材36によって一体的に挙動する伸縮性不織布(伸縮部280)が構成されている。
また、図13Bに示す使い捨ておむつ301は、おむつ本体370を構成するサイドシート319とカバーシート324との層間に、伸張状態のレッグ伸縮材340が配置されている。レッグ伸縮材340はサイドシート319及びカバーシート324に対して固着されている。即ち、サイドシート319、カバーシート324及びレッグ伸縮材340によって一体的に挙動する伸縮性不織布(伸縮部380)が構成されている。
伸縮部は前被包部、後被包部及び股下被包部のうちの少なくとも1つの部分に、胴周りに沿う方向及び股下被包部の側縁に沿う方向のうちの少なくとも1つの方向に収縮するように形成されている。
例えば図1Dに示す使い捨ておむつ1は、前被包部2を構成する前外装体62の胴周りに沿う方向に収縮するように伸縮部80が形成されている。そして、後被包部6を構成する後外装体65に、胴周りに沿う方向に収縮するように伸縮部80が形成されている。また、図12Cに示す使い捨ておむつ201は、股下被包部を構成する吸収性本体14に、その側縁に沿う方向に収縮するように伸縮部280が形成されている。更に、図13Cに示す使い捨ておむつ301は、前被包部302及び後被包部306を構成するおむつ本体370に、その胴周りに沿う方向(即ち、ウエスト端縁370c,370dに沿う方向)に収縮するように伸縮部381(伸縮性不織布396)が形成されている。
「胴周りに沿う方向に収縮するように形成」とは、おむつの胴周りに沿う方向に伸張・収縮が可能であるように、伸縮性不織布が配置されていることを意味する。最も簡単な構造としては、図1Eに示す使い捨ておむつ1のように、前被包部2のウエスト端縁(この例では前外装体62のウエスト端縁62c)又は後被包部6のウエスト端縁(この例では後外装体65のウエスト端縁65c)に沿って線状の伸縮材(この例ではウエスト伸縮材42)を配置する構成を挙げることができる。
「股下被包部の側縁に沿う方向に収縮するように形成」とは、股下被包部の側縁に沿う方向に伸張・収縮が可能であるように、伸縮性不織布が配置されていることを意味する。最も簡単な構造としては、図13B及び図13Dに示す使い捨ておむつ301のように、股下被包部304の側縁(この例ではおむつ本体370の側縁370a,370b)に沿って線状の伸縮材(この例ではレッグ伸縮材340)を配置する構成を挙げることができる。
但し、伸縮性不織布が胴周りに沿う方向及び股下被包部の側縁に沿う方向のうちの少なくとも1つの方向に収縮する限り、前記構成には限定されない。例えばおむつの胴周りに沿う方向に対して上に凸ないし下に凸のカーブを描くように伸縮材が配置されていてもよいし、股下被包部の側縁に沿う方向に対して左に凸ないし右に凸のカーブを描くように伸縮材が配置されていてもよい。
本発明の使い捨ておむつにおいては、前被包部、後被包部及び股下被包部のうちの少なくとも1つの部分に前記伸縮部が形成されていればよい。これらの部分に対してセル形成シートを接合することで、***物の漏れを防止しつつ柔軟性を付与することができる。即ち、伸縮部の形成部位は既に説明したウエスト端縁近傍や股下被包部の側縁近傍に限定されない。
例えば、図12Cに示す使い捨ておむつ201は、股下被包部204を構成する吸収性本体14の側縁に沿って付設された立体ギャザー26の上端に線状の伸縮材(この例では立体ギャザー伸縮材36)が配置され、伸縮部280が形成されている。この伸縮部280にセル形成シート282が接合されている。
また、図1B及び図1Eに示すように、前被包部2又は後被包部6にタミー伸縮材44が配置され、タミー伸縮部が形成されている場合には、このタミー伸縮部にセル形成シートを接合してもよい。
更に、図1A、図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1のように、前被包部2の股下被包部4側の端部においてタミー伸縮材44によって形成された伸縮部、股下被包部4の側縁部においてレッグ伸縮材38又は立体ギャザー伸縮材36によって形成された伸縮部及び股下被包部4の後被包部6側の端部においてレッグ伸縮材40によって形成された伸縮部が連続的に配置されている場合には、これらの伸縮部にセル形成シートを接合することが好ましい。このような形態は、着用者の脚周りを取り囲むようにセル構造を形成することができる。従って、レッグ開口部からの***物の漏れを防止しつつ、レッグ開口部周りに柔軟性を付与することができる。
[2−2]セル形成シート:
本発明の使い捨ておむつは、図1D及び図1Fに示す使い捨ておむつ1のように伸縮部80が形成された部分における肌当接面の一部に撥水性不織布からなるセル形成シート82が配置される。このセル形成シート82によって、通気管、クッションとして機能するセル構造が形成される。
「肌当接面」とは、使い捨ておむつの着用時に、着用者の肌に直接当たる面、即ち使い捨ておむつの最内面を意味する。「撥水性不織布」としては、後述するサイドシートと同様の素材を用いることができる。撥水性不織布を用いることで、セル形成シートを伝った***物の漏れが生じ難くなる。
「一部」とは、伸縮部が形成されている部分の肌当接面の全部にセル形成シートが配置されていなくてもよいことを意味する。セル形成シートを配置する部位については特に限定されない。
但し、図1Dに示すように、後被包部6のウエスト端縁(この例では後外装体65のウエスト端縁65c)近傍にセル形成シート82を配置することが好ましく、更に前被包部2のウエスト端縁(この例では前外装体62のウエスト端縁62c)近傍にセル形成シート82を配置することが好ましい。また、図13Aに示すように、股下被包部4の左右の側縁部(この例ではおむつ本体370の側縁370a,370b近傍)にセル形成シート382を配置することが好ましい。いずれの場合も、ウエスト端縁や股下被包部の側縁の60%以上をカバーするように配置することが好ましく、ウエスト端縁や股下被包部の側縁の全部をカバーするように配置することが更に好ましい。
セル形成シートの坪量は10〜50g/m2とすることが好ましい。10g/m2未満とすると、シートの嵩が小さ過ぎて伸縮材を固定する接着剤がシートを透過して染み出す等の不具合を生ずるおそれがある。一方、50g/m2を超えると、1)シートの剛性が高過ぎて伸縮材の収縮に連動して撓み難くなり、セル構造を形成し難くなる、2)シートの嵩が大き過ぎて伸縮部がゴワゴワし、着用感が低下する等のおそれがある。
図12B及び図12Cに示すセル形成シート282、図13A及び図13Bに示すセル形成シート382は、他の部材から独立した部材として構成されている。但し、セル形成シートが独立した部材として構成されている必要はない。例えば図1Dに示す使い捨ておむつ1においては、伸縮性不織布(伸縮部80)を構成するアウターシート66の一部を折り返して折り返し部88を形成し、折り返し部88をセル形成シート82として利用している。同様に、図12Cに示す使い捨ておむつ201において、立体ギャザー26を構成する不織布シート32の一部を折り返して折り返し部を形成し、その折り返し部をセル形成シートとして利用する構成を採用することもできる。
なお、図12B及び図12Cに示す使い捨ておむつ201においては、セル形成シート282を立体ギャザー26の内側面に配置している。使い捨ておむつ201の使用時においては、図12Fに示すように立体ギャザー26は外側に倒れた形で着用者の肌に当接する。従って、立体ギャザー26の内側面に配置されたセル形成シート282が着用者の肌に対して当接し、本発明の効果を発揮する。なお、図12F中の一点鎖線は着用者の臀部を示す。
セル形成シートには、おむつの内部空間と、セル形成シートによって形成されたセルとを連通させる孔が形成されていてもよい。このような構造とすることで、おむつの内部空間から孔を経由してセルに湿気が流入するため、おむつの肌当接面に新規が結露し難くなる。
「孔」とは、おむつの内部空間とセルとを連通させる開口部を意味し、その形状は特に限定されない。例えば、円形、楕円形、多角形(三角形、四角形等)等の形状を挙げることができる。
なお、「孔」には常時開口しているもののみならず、開閉可能な構造のものも含まれる。例えばセル形成シートに軌跡が凸形状のスリット又は交差する複数本のスリットを形成することにより、弁として機能する舌片を有する孔とすることができる。前記舌片により、セルに尿や体液が侵入することを抑制しつつ、湿気を通過させることができる。
スリットの形態は特に限定されない。「軌跡が凸形状のスリット」としては、a)湾曲部を有するスリット(逆U字状スリット等)、b)屈曲部を有するスリット(逆V字状スリット等)等を挙げることができる。また、「交差する複数本のスリット」としては、c)二本のスリットを交差させて形成した十字状のスリット、d)3本のスリットを交差させて形成した星型のスリット等を挙げることができる。
前記の孔は、セル形成シートのうちセルが形成される部位(即ち、接合部間領域)に形成されることが好ましい。特に、図1Dに示す使い捨ておむつ1のようにセル形成シート82が折り返し部88により形成されたものである場合には、折り返し部の先端部近傍に孔が形成され、当該孔よりも更に折り返し部の先端寄りの部分が伸縮部に対して接合されていることが好ましい。このような形態は伸縮部の収縮によって孔が強制的に開放されるため好ましい。
前記構成では強制的に開放された孔がセルの端部開口となる。従って、おむつ内部空間の湿気は、強制的に開放された孔からセルの内部に流入し、セルを通過し、折り返し線の部分(図1Dの例ではウエスト端縁62c,65c)でセル形成シートを透過しておむつの外部空間に排出される。このような構成は単にセル形成シートに孔を形成した構造と比較して、湿気がセルに流入し易く、湿気をおむつ外部に排出し易い点において好ましい。
また、セル形成シートには孔を複数形成してもよい。孔を複数形成することによって、通気性が向上し湿気をおむつ外部に排出し易くなる。
「複数」の具体的な数は特に限定されない。孔の開口面積によっても異なる。開口面積が0.5〜10mm2の孔であれば5〜200個形成することが好ましく、10〜100個形成することが更に好ましい。5個以上とすることで通気性向上効果を得ることができる。一方、200個以下とすることで尿や体液がセルに流入することを有効に防止することができる。
セル形成シートに薬剤を付着させておくことも好ましい形態の一つである。薬剤を付着させることにより、着用者の肌と直接接触するセル形成シートに当該薬品に基づく薬効を付与することができる。
薬剤の種類は特に限定されない。例えば保湿剤(アロエエキス、プロピレングリコール等);保湿効果を奏することに加え、ウレアーゼ阻害活性を有するスキンケア用添加物(ユーカリ抽出物等);の他、消毒剤、抗菌剤(エデト酢酸、塩化ベンザルコニウム等)、消臭剤(各種ポリフェノール化合物等)等を挙げることができる。
[2−3]セル:
本発明の使い捨ておむつにおいては、図1D及び図1Fに示すようにセル形成シート82と伸縮部80とを接合する接合部84が形成されている。そして、接合部84によって、セル形成シート82と伸縮部80の層間に、伸縮部80の収縮方向と交差する交差方向に延びるセル86が区画形成されている。セル86は一端が開口され、他端が閉塞された非貫通のセルである。
前記構造においては、伸縮部80の収縮に追従してセル形成シート82及び伸縮部80の接合部84間距離も狭められ、セル86が形成される。このセル86によりおむつの通気性・柔軟性が向上する。また、前記構造であれば、特許文献1〜5に記載のパンツ型吸収性物品のように伸縮材の位置を考慮してシート同士を接合する等の精密な接合技術は不要である。従って、容易に製造することができる。また、セル86は一端が開口され、他端が閉塞されているため、セル86の内部空間を伝って***物が漏れることはない。
セルを確実に形成するためには、自然状態(伸縮部に伸張力が作用していない状態)の伸縮性不織布に対し、セル形成シートが弛みを持った状態で接合された構造が好ましい。即ち、自然状態における接合部間距離が、伸縮性不織布よりもセル形成シートの方が長くなっている構造が好ましい。前記構造によれば、セル形成シートによって伸縮部の伸張が妨げられ難い。また、自然状態においてセルが確実に形成される。
前記構造は、例えば以下の方法により形成することができる。エラスチック不織布等の不織布自体が伸縮性を有する伸縮性不織布は、自然状態(張力をかけていない状態)において原寸の状態となっている。従って、前記伸縮性不織布によって伸縮部を形成する場合には、伸縮性不織布を原寸より伸張させた状態でセル形成シートを接合することが好ましい。
一方、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置された伸縮性不織布は、自然状態において原寸より収縮された状態となっている。従って、前記伸縮性不織布によって伸縮部を形成する場合には、伸縮性不織布を収縮状態から伸張させた状態でセル形成シートを接合することが好ましい。
また、複数の不織布シートの層間に伸張状態の伸縮材が配置された伸縮性不織布によって伸縮部を形成する場合には、伸縮性不織布の構成材料となる不織布シートとセル形成シートを積層し、接合することによって予めセルを形成しておく。その後、前記セル形成シートが接合された不織布シートと、他の不織布シートとの層間に伸張状態の伸縮材を配置し、固定する方法で伸縮性不織布を形成することが好ましい。
前記方法においては、収縮力が作用しない不織布シートに対してセル形成シートを接合する。従って、伸縮性不織布に対してセル形成シートを接合する場合と比較してセル形成シートを容易に接合することができる。一方、伸縮性不織布に対してセル形成シートを接合する場合、伸縮性不織布を伸張させた状態で接合を行う必要がある。従って、セル形成シートを所望の状態に接合することができず、セル形成シートにシワができる、或いは接合のための装置が複雑化する等の問題が発生するおそれがある。
伸縮性不織布とセル形成シートとの接合は、接着剤を用いた接着、熱や超音波等による溶着によって固定することができる。前記接着剤としてはホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いることができる。溶着の方法としてはヒートシール等を挙げることができる。
伸縮部の収縮方向と交差する交差方向に延び、かつ、一端が開口され、他端が閉塞された非貫通のセルを形成できる限り、接合部の形態は特に限定されない。但し、伸縮部の収縮方向と交差する交差方向に延びるセルを形成するため、接合部は伸縮部の収縮方向に対して間欠的に形成されることになる。
このような形態としては、例えば図1F及び図2Aに示す接合部84、図7Aに示す接合部84D、図8Aに示す接合部84E、図9Aに示す接合部84Fのように、伸縮部80の収縮方向に連続するジグザグ状とする形態を挙げることができる。また、図4Aに示す接合部84A、図5Aに示す接合部84B、図6Aに示す接合部84Cのように、伸縮部80の収縮方向に連続する波線状とする形態としてもよい。
セルの開口端における接合部同士の間隔は2〜50mmとすることが好ましく、5〜10mmとすることが特に好ましい。
図1Dに示す使い捨ておむつ1では伸縮部80(伸縮性不織布)を構成する押さえシート68に対し、セル形成シート82となるアウターシート63,66の折り返し部88が接合されている(接合部84)。図2Aは図1Bに示す使い捨ておむつ1の接合部84の形態を拡大して模式的に示す概略平面図である。
図2Aに示すように接合部84はおむつの胴周り方向(図面左右方向)に向かう、ジグザグ状に形成されている。即ち、接合部84は伸縮部80の収縮方向(図面左右方向)に向かって間欠的に形成されている。セル86はいずれも平面視した形状が三角形状となるように形成されている。
そして、セルとして、図2A及び図2Cに示すような、おむつの外部空間に近い方の端部(ウエスト端縁65c側の端部)が開口され、おむつの外部空間から遠い方の端部が閉塞されたセル86(外向セル)と、図2A及び図2Bに示すような、おむつの外部空間から遠い方の端部が開口され、おむつの外部空間に近い方の端部が閉塞されたセル86(内向セル)とが形成されている。
また、図2A〜図2Cに示す例では、複数個のセル86が、伸縮部80の収縮方向に並列的に配置されたセル列が形成されている。従って、湿気等がおむつの前後方向に向かって流れ易く、おむつの内部空間からの湿気等の排気を促進することができる。また、着用者のウエスト周りの曲線的な形状におむつを追従させ易く、フィット性、着用感にも優れる。
また、このセル列は、外向セルと内向セルとが交互に配置されたものである。このような形態においては、外向セルにおむつの外部空間の空気が取り込まれるとともに、内向セルにおむつの内部空間の湿気が取り込まれる。従って、隣接する外向セルと内向セルの間で前記空気と前記湿気が交換され、前記湿気の排気が促進される。なお、図2Aに示す例は、ジグザグ状の接合部84によって、外向セルと内向セルとを交互に区画形成したものである。
図2Aに示す接合部84は連続的な線状に形成されている。但し、複数のドット状接合部の集合体として形成してもよい。このような形態は、触感が硬くなり易い接合部が肌に当たっても痛みを生じ難いという効果を奏する。なお、複数のドット状接合部が「集合体」と把握されるためには、隣接するドット状接合部との間隔が5mm以下であることを要する。ドット状接合部の形状としては円形状等を挙げることができる。
図3A及び図3Bに示す形態は、1)接合部84によって、複数個のセル86が、伸縮部80の収縮方向に向かって並列的に配置されたセル列が形成されている点、2)セル列に外向セルと内向セルとが交互に配置されている点において、図2A〜図2Cに示す形態と共通する。従って、これらの形態から生ずる効果は図2A〜図2Cに示す形態と同様である。一方、図3A及び図3Bに示す形態は、セル形成シート82のウエスト端縁65c近傍にスリット89が形成されている点において、図2A〜図2Cに示す形態とは異なる。スリット89を形成することで外向セルの開口部をウエスト端縁65c側に露出させることができ、通気性、除湿性を向上させることができる。
図4A〜図4Cに示す形態は、セル形成シート82Aとして不織布シート69を用い、1)接合部84Aによって、複数個のセル86Aが、伸縮部80の収縮方向に向かって並列的に配置されたセル列が形成されている点、2)セル列には外向セルと内向セルとが交互に配置されている点において、図2A〜図2Cに示す形態と共通する。従って、これらの形態から生ずる効果は図2A〜図2Cに示す形態と同様である。但し、図4A〜図4Cに示す形態は、接合部84Aが、おむつの胴周り方向に向かう波線状に形成されたものである。
図5A及び図5Bに示す形態は、セル形成シート82Aとして不織布シート69を用い、1)接合部84Bによって、複数個のセル86Bが、伸縮部80の収縮方向に向かって並列的に配置されたセル列が形成されている点において、図2A〜図2Cに示す形態と共通する。従って、これらの形態から生ずる効果は図2A〜図2Cに示す形態と同様である。
但し、図5A及び図5Bに示す形態は、伸縮部80の収縮方向とは交差する交差方向に向かって複数段(この例では2段)のセル列が配置されている点において、図2A〜図2Cに示す形態とは異なる。また、ウエスト端縁65cに近いセル列(図面上方のセル列)は外向セルが並列的に配置され、ウエスト端縁65cから遠いセル列(図面下方のセル列)は内向セルが並列的に配置されたものである。このような形態は、図2A〜図2Cに示す形態と比較すると、セル列が多段に区分されているため、セルが着用者の動作に追従して変形し易い。即ち、柔軟性やフィット性が高い点において好ましい。なお、図5A及び図5Bに示す形態は、接合部84Bが、おむつの胴周り方向に向かってU字型が連続するように配置された波線状に形成されたものである。
図6A〜図6Cに示す形態は、セル形成シート82Bとしてアウターシート66の折り返し部88、セル形成シート82Cとして不織布シート67を用い、1)伸縮部80の収縮方向とは交差する交差方向に向かって複数段(この例では2段)のセル列が配置されている点、2)接合部84Cが、おむつの胴周り方向に向かってU字型が連続するように配置された波線状に形成されている点において、図5A及び図5Bに示す形態と共通する。従って、これらの形態から生ずる効果は図5A及び図5Bに示す形態と同様である。但し、図6A〜図6Cに示す形態においては、全てのセル列において内向セルが並列的に配置されている。
また、図6A〜図6Cに示す形態においては、一のセル列(図面下側のセル列)におけるセル86Cを区画形成する接合部84Cのうち伸縮部80の収縮方向(図面左右方向)と交差する交差方向(図面上下方向)に延びる部分と、前記一のセル列と隣接するセル列(図面上側のセル列)におけるセル86Cを区画形成する接合部84Cのうち前記交差方向に延びる部分とが、一直線上に配置されないように、前記複数のセル列が配置されている。
換言すると、一のセル列(図面下側のセル列)におけるセル86Cを区画形成する接合部84Cのうち前記交差方向(図面上下方向)に延びる部分の延長線が、前記一のセル列と隣接するセル列におけるセル86Cを通過するように、複数のセル列が配置されている。
伸縮部80の収縮によってセル86Cが***すると、接合部84Cの部分は谷部となり、その谷部を伝って***物の漏れを生ずるおそれがある。しかし、図6A〜図6Cに示す形態は、多段に形成されたセル列の谷部が連続しないよう、接合部84Cの位置がずらされている。従って、谷部を伝って***物の漏れが生じ難いという利点がある。また、図面上側のセル列において内向セルが並列的に配置されていることによって、図面下側のセル列の接合部84Cを伝ってきた***物を図面上側のセル列における内向セルが捕捉することができ、漏れ防止効果に優れる。
図7A〜図7Cに示す形態は、セル形成シート82Cとして不織布シート67を用い、1)接合部84Dがおむつの胴周り方向(図面左右方向)に向かう、ジグザグ状に形成されている点、2)複数個のセル86Dが伸縮部80の収縮方向に向かって並列的に配置されたセル列が形成されている点、3)セル列は、外向セルと内向セルとが交互に配置されたものである点において、図2A〜図2Cに示す形態と共通する。従って、これらの形態から生ずる効果は図2A〜図2Cに示す形態と同様である。
また、図7A〜図7Cに示す形態は、伸縮部80の収縮方向とは交差する交差方向に向かって複数段(この例では2段)のセル列が配置されている点において、図5A及び図5Bに示す形態と共通する。従って、この形態から生ずる効果は図5A及び図5Bに示す形態と同様である。
更に、図7A〜図7Cに示す形態においては、各々のセル列に対応する独立したセル形成シート82Cを2枚備えている。即ち、アウターシート66の折り返し部88をセル形成シートとして利用していない。独立したセル形成シート82Cを備えることによって、全てのセル86Dがおむつの内部空間、ウエスト端縁65cに向かって露出される。
図8A〜図8Cに示す形態は、セル形成シート82Cとして不織布シート67を用い、1)接合部84Eがおむつの胴周り方向(図面左右方向)に向かう、ジグザグ状に形成されている点、2)複数個のセル86Eが伸縮部80の収縮方向に向かって並列的に配置されたセル列が形成されている点、3)セル列は、外向セルと内向セルとが交互に配置されたものである点、4)伸縮部80の収縮方向とは交差する交差方向に向かって複数段(この例では2段)のセル列が配置されている点、5)各々のセル列に対応するセル形成シート82A,82Bを備えている点において、図7A〜図7Cに示す形態と共通する。従って、この形態から生ずる効果は図7A〜図7Cに示す形態と同様である。
但し、図8A〜図8Cに示す形態においては、一のセル列(図面下側のセル列)におけるセル86Eを区画形成する接合部84Eのうち伸縮部80の収縮方向(図面左右方向)と交差する交差方向(図面上下方向)に延びる部分と、前記一のセル列と隣接するセル列(図面上側のセル列)におけるセル86Eを区画形成する接合部84Eのうち前記交差方向に延びる部分とが、一直線上に配置されないように、前記複数のセル列が配置されている。
換言すると、一のセル列(図面下側のセル列)におけるセル86Eを区画形成する接合部84Eのうち前記交差方向(図面上下方向)に延びる部分の延長線が、前記一のセル列と隣接するセル列におけるセル86Eを通過するように、複数のセル列が配置されている。従って、図6A〜図6Cに示す形態と同様の効果を奏する。
図9に示す形態は、図8A〜図8Cに示す形態と同様の形態でセル列を2段から3段に増加させたものである。この形態においてはセル形成シート82Dとして各々のセル列に対応する独立した不織布シート71を3枚用いている。そして、おむつの胴周り方向(図面左右方向)に向かうジグザグ状に形成された接合部84Fによって複数個のセル86Fが形成されている。この形態は図8A〜図8Cの形態と同様の効果を奏する。そして、セル列を3段としたことによって、図8A〜図8Cに示す形態と比較して柔軟性やフィット性が更に向上する。
図10A又は図10Bに示す形態は図8A〜図8Cに示す形態と同様の形態でセル形成シート82E,82Fの形態のみが異なるものである。図10A又は図10Bに示す形態は、セル形成シート82E,82Fとして不織布シート73,75を用い、そのセル開口端側端部を複層構造としたものである。複層構造とすることでセル形成シート82E,82Fの腰を強くすることができる。従って、体圧でセル86Eが圧縮されてもセル開口部が潰れ難く、セル86Eを開口状態のまま保持し易くなる。
また、図10A又は図10Bに示す形態は、セル形成シート82E,82Fのセル非開口端側端部も複層構造としている。このような構造であると、セル形成シート82E,82Fがセル非開口端側端部側から立ち上がり易くなり、セル86Eを開口状態のまま保持することが容易となる。
なお、セル開口端側端部を複層構造とする方法は特に限定されない。図10Aに示すようにセル形成シート82Eの端部を下側に折り返して複層構造を形成してもよいし、図10Bに示すようにセル形成シート82Fを上側に折り返して複層構造を形成してもよい。また、セル形成シートに別体のシートを貼り合わせて複層構造を形成してもよい。
[2−4]適用箇所:
本発明の使い捨ておむつにおいてはセル構造を形成させる部位について特に限定はされない。例えば、以下のような部位に適用することができる。
[2−4a]ウエスト伸縮材配置部:
ウエスト伸縮材の配置部は、不織布シートの層間に伸張状態のウエスト伸縮材が固定され、伸縮性不織布の構造を有する。そして、ウエスト伸縮材は前被包部又は後被包部のウエスト端縁に沿って配置されることが多い。従って、ウエスト伸縮材配置部にセル形成シートを間欠的に接合することにより、ウエスト伸縮材配置部にセル構造を形成することができる。
例えば図1B及び図1Dに示す使い捨ておむつ1は、アウターシート63,66の折り返し部88と押さえシート68の層間に伸張状態のウエスト伸縮材42が固定された伸縮性不織布(伸縮部80)の構造を有する。即ち、伸縮部80は、前被包部2又は後被包部6のウエスト端縁(この例では前外装体62のウエスト端縁62c、後外装体65のウエスト端縁65c)近傍の領域に形成されている。そして、この伸縮部80にセル形成シート82を接合している(接合部84)。
[2−4b]レッグ伸縮材配置部:
レッグ伸縮材の配置部は、不織布シートの層間に伸張状態のレッグ伸縮材が固定され、伸縮性不織布の構造を有する。そして、レッグ伸縮材は股下被包部の側縁に沿って配置されることが多い。従って、レッグ伸縮材配置部にセル形成シートを接合することにより、レッグ伸縮材配置部にセル構造を形成することができる。
例えば図13Bに示す使い捨ておむつ301は、サイドシート319とカバーシート324の層間に伸張状態のレッグ伸縮材340が固定された伸縮性不織布(伸縮部380)の構造を有する。即ち、伸縮部380は、立体ギャザー326の固定端(下端)と股下被包部304の側縁(この例ではおむつ本体370の側縁370a,370b)との間の領域に形成されている。そして、この伸縮部380にセル形成シート382を接合している(接合部384)。
[2−4c]立体ギャザー伸縮材配置部:
立体ギャザーの配置部は、不織布シートの層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材が固定され、伸縮性不織布の構造を有する。そして、立体ギャザーは股下被包部の側縁に沿う方向に形成されることが多い。従って、立体ギャザー伸縮材配置部にセル形成シートを間欠的に接合することにより、立体ギャザー伸縮材配置部にセル構造を形成することができる。
例えば図12Cに示す使い捨ておむつ201は、不織布シート32の一部によって立体ギャザー26が形成されている。また、不織布シート32の基部と折り返し部の層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材36が固定された伸縮性不織布(伸縮部280)の構造を有する。即ち、伸縮部280は、立体ギャザー26の固定端(下端)と、自由端(上端)との間の領域に形成されている。そして、この伸縮部280にセル形成シート282を接合している(接合部284)。
[2−5]製造方法:
本発明の使い捨ておむつの製造方法について説明する。
図1A〜図1Eに示す使い捨ておむつ1は、例えば図11A及び図11Bに示すような工程により製造することができる。図11Aは図1A〜図1Eに示す使い捨ておむつ1を製造する工程を模式的に示す工程図である。この図は作図上の都合により、一のパンツ型おむつの後被包部におけるウエスト端縁近傍に対応する部分のみを拡大して示している。図11Bは図11Aに示す各工程を図11Aに示す構造単位の幅方向中央で切断した切断端面を模式的示す概略端面図である。
まず、図11A及び図11Bの(a)図に示すように、セル形成シート82となるアウターシート66と、伸縮部を構成する不織布シートとなる押さえシート68を用意する。アウターシート66には、予めその一部(露出部78)が露出するように、インナーシート64を接合しておく。この接合はホットメルト接着剤等により行う。
次いで、図11A及び図11Bの(b)図に示すように、アウターシート66の折り返し部88に押さえシート68を接合し、接合部84を形成する。この際、アウターシート66の端縁から押さえシート68がはみ出すように接合を行う。図示の例ではヒートシールにより接合部84を形成している。そして、接合部84は、おむつの胴周り方向(図面左右方向)に連続するジグザグ状に形成する。
更に、図11A及び図11Bの(c)図に示すように、アウターシート66の露出部78に、ウエスト伸縮材42を伸張状態で配置し、接着する。これに併せて吸収性本体14を付設する。ウエスト伸縮材42を挟む露出部78と押さえシート68は連続面で接着する。
ウエスト伸縮材42の接着は、1)伸縮部80を構成するアウターシート66の露出部78又は押さえシート68にホットメルト接着剤を連続的に塗工し、その塗工部分にウエスト伸縮材42を伸張状態で配置し、接着する方法、2)ウエスト伸縮材42に直接ホットメルト接着剤を塗布ないしスプレーし、当該ウエスト伸縮材42を伸張状態で接着する方法、3)露出部78又は押さえシート68の上部に、ウエスト伸縮材42を伸張状態で配置しておき、その状態でホットメルト接着剤をスプレーし、露出部78又は押さえシート68とウエスト伸縮材42の双方にホットメルト接着剤を付着させ、接着する方法、4)露出部78又は押さえシート68の表面に、ウエスト伸縮材42を伸張状態で配置しておき、その状態でホットメルト接着剤をスプレーないし連続的に塗工し、露出部78又は押さえシート68とウエスト伸縮材42の双方にホットメルト接着剤を付着させ、接着する方法等により行うことができる。
これらの形態における「連続的に塗工」には接着剤を全面にベタ塗り又は全面にスプレーする形態のみならず、スパイラル状に塗工する形態等も含む。即ち、使い捨ておむつの胴周り方向に向かって接合部が連続的に形成されている形態であればよい。前記1)〜4)のいずれの方法を採用した場合でも、使い捨ておむつの胴周り方向に向かって接合部が連続的に形成される。従って、伸縮部80を構成する露出部78と押さえシート68との層間には使い捨ておむつの前後方向に向かう連続的な空間は形成されないことになる。一方、押さえシート68とセル形成シート82(折り返し部88)との層間には前記セルが形成され、このセルによって通気性、柔軟性が向上する。
前記1)の接着方法は、スリットコーター(シムコーター)、カーテンスプレー、スパイラルスプレー、オメガコート等の手法により、前記2)の接着方法は、コームガン、オメガコート、シュアラップ等の手法により、前記3)及び4)の接着方法は、オメガコート、サミット等の手法により、実施することができる。なお、オメガコートは、例えばオメガノズルヘッド(ITWダイナテック社製)を用いることにより、サミットは、サミットノズル(ノードソン社製)、シュアラップは、シュアラップノズル(ノードソン社製)を用いることにより実施することができる。
最後に、図11A及び図11Bの(d)図に示すように、アウターシート66の折り返し部88及びアウターシート66に対して接合された押さえシート68をウエスト端縁65cに相当する位置で折り返してアウターシート66の露出部78に対して重畳させる。その後、押さえシート68の一部で吸収性本体14の一部を被覆するように、押さえシート68をホットメルト接着剤で固定する。これにより不織布シートの層間にウエスト伸縮材42が挟み込まれた伸縮部80が形成される。
前記のような一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。長尺のシート材をローラーから連続的に送出する等の方法・装置を採用することにより、多数の使い捨ておむつを連続的に製造することが可能となる。例えば、長尺シート材、長尺伸縮材を図面左右方向に送り出すようにして、図示の構造単位が図面左右方向に複数繰り返されるように連続させた形で製造を行うことが好ましい。
[3]使い捨ておむつの構成部材:
本発明の使い捨ておむつは、図1C及び図1Dに示す使い捨ておむつ1のように、少なくとも吸収体22を備える。そして、通常は、吸収体22の他に、トップシート18、バックシート20等を構成部材として備える。また、目的に応じて、立体ギャザー、各種伸縮材等の他の構成部材を備えていてもよい。
[3−1]吸収体:
「吸収体」は、吸収性材料によって構成された構造体である。着用者の尿等を吸収し保持する目的で用いられる。前記吸収性材料としては、例えばフラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。前記フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したもの等を、前記SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウム等を、前記親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
「吸収体」としては、1種又は2種以上の吸収性材料をマット状に成形したものを用いることが好ましい。マットは単層であっても複層であってもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させてもよいし、複数のフラッフパルプマットの層間に層状に配置して用いてもよい。
なお、SAPの脱落を防止し、形状安定性を付与するために、吸収体全体を前記親水性シートによって被包しておくことが好ましい。図1C及び図1Dに示すように吸収体22は、親水性シートである上ティシュ54及び下ティシュ56によって吸収体22全体が被包されている。図13Bに示す吸収体322も同様の構造である。即ち、図示されない上ティシュ及び下ティシュによって吸収体322全体が被包されている。
「吸収体」は、目的に応じて矩形状、砂時計型等の所望の形状に成形されたものを用いればよい。例えば、図1C及び図1Dに示す吸収体22は、矩形状の吸収体を用いた例である。なお、「吸収体」は、通常、図1C及び図1Dに示す吸収体22のように、その表面側をトップシート18によって被覆されるとともに、その裏面側をバックシート20によって被覆される。即ち、吸収体22はトップシート18とバックシート20の層間に配置されることが一般的である。
[3−2]トップシート:
「トップシート」は、吸収体の表面(おむつの装着時に着用者の肌と対向する側の面)を被覆するように配置されるシートである。着用者の尿等を透過させる必要があるため、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
前記液透過性材料としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
前記不織布としては、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。前記親水化処理は、不織布の原綿に対して界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行うことができる。
トップシートは「少なくとも一部」が液透過性材料によって構成されている。その位置については特に限定されない。但し、平面視した場合に股下被包部における吸収体の配置位置と重畳する部分が液透過性材料により構成されていることが好ましい。
なお、本発明の使い捨ておむつは、着用者の肌と対向する側の面全てがトップシートによってカバーされている必要はない。例えば、テープ型使い捨ておむつにおいては、図13A〜図13Cに示すように、おむつの胴周り方向中央部のみに液透過性材料からなるトップシート318を配置する場合がある。この際、おむつの胴周り方向側縁部には通気撥水性材料からなるサイドシート319を配置する形態を採用することが多い。前記通気撥水性材料としては、カードエンボス、スパンボンド等の製法により得られた不織布シートを用いることが好ましい。特に防水性が高いSMS、SMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
[3−3]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(おむつの装着時に着用者の肌と背向する側の面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止するため、液不透過性材料によって構成される。
バックシートの配置位置については特に制限はない。吸収体に吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の配置位置をカバーするようにバックシートが配置されていることが好ましい。
前記液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されたフィルムであり、液不透過性であるが透湿性を有する。従って、防漏性を確保しつつ、おむつ内部空間の蒸れを防止することができる。
テープ型使い捨ておむつにおいては、図13B〜図13Dに示すようにバックシート320の外表面側にカバーシート324を貼り合わせる形態とすることが多い。このカバーシート324は、バックシート320を補強し、バックシート320の手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[3−4]立体ギャザー:
「立体ギャザー」は、おむつの肌当接面に配置された、立体的に起立する防漏壁である。着用者の肌に対して当接させ、レッグ伸縮材と相俟って***物の横漏れを防止する目的で用いられる。図1Cに示す立体ギャザー26のように、不織布シート32によって構成され、不織布シート32の層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材36が挟み込まれて固定された構造のものを用いることが多い。このような構造とすれば、立体ギャザー伸縮材36の収縮力によって立体ギャザー26が立体的に起立する。
図1B及び図1Cに示すように立体ギャザー26は、吸収体22の両側に左右一対配置することが多い。但し、吸収体の両側に左右二対以上の立体ギャザーを配置してもよい。例えば、主として着用者の股下部に当接して横漏れを防ぐ一対の立体ギャザーをおむつの胴周り方向内側に配置し、主として着用者の脚周りに当接して横漏れを防ぐもう一対の立体ギャザー(「立体レグギャザー」と称される場合がある。)をおむつの胴周り方向外側に配置する形態を採用することができる。
不織布シートの材質は特に限定されない。但し、サイドシートと同様に、通気撥水性材料からなる不織布シートを好適に用いることができる。
不織布シートは、専ら立体ギャザーを形成するものであってもよいし、立体ギャザーとおむつの他の部材を形成するものであってもよい。パンツ型使い捨ておむつの場合、図1Cに示すように専ら立体ギャザーを形成する不織布シート32を用い、これを吸収性本体14に対して付設し、吸収性本体14と一体的に立体ギャザー26を構成する形態とすることが多い。一方、テープ型使い捨ておむつの場合、図13A及び図13Bに示すように撥水性不織布等からなる不織布シート332によって立体ギャザー326とサイドシート319を構成する形態とすることが多い。
[3−5]吸収性本体:
「吸収性本体」は、吸収体が内包された吸収パッドである。吸収性本体は後述する外装体と一体となってパンツ型使い捨ておむつを構成する。「吸収パッド」とは、吸収体、トップシート及びバックシートが一体的に構成されたパッド状の部材を指す。
例えば図1C及び図1Dに示す吸収性本体14のように、吸収体22の表面を被覆するトップシート18と、吸収体22の裏面を被覆するバックシート20とが、吸収体22の周縁部において貼り合わされ、トップシート18とバックシート20との層間に吸収体22が内包された構造のものを挙げることができる。なお、図12B〜図12Dに示す吸収性本体14は、図1A〜図1Eに示す吸収性本体14と同一の構造を有する。
[3−6]外装体:
「外装体」とは、着用者の胴周りを被包する構造体である。「外装体」は単独で又は吸収性本体と一体となって一つのウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型を呈する。
図1Bに示す外装体16は、着用者の胴周りを被包する前外装体62及び後外装体65を備えている。そして、吸収性本体14と一体となって一つのウエスト開口部10及び一対のレッグ開口部12が形成されたパンツ型を呈する。また、図12Aに示す外装体216は、前被包部202、股下被包部204及び後被包部206が一体的に構成され、外装体216単独で一つのウエスト開口部210及び一対のレッグ開口部212が形成されたパンツ型を呈する。
外装体16,216において接合部7,8(接合部207,208)に代えて係合可能なファスナー部材が付設され、そのファスナー部材同士を相互に係合させることによってパンツ型とすることが可能な形態、又は前記ファスナー部材同士が予め係合されてパンツ型を呈している形態のものも「外装体」に含まれる。前記ファスナー部材としては、例えばメカニカルファスナー等を挙げることができる。
外装体の材質は特に限定されない。但し、おむつ内部空間の蒸れを防止するべく通気性に優れた素材により構成することが好ましい。前記素材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の合成繊維からなる不織布等を挙げることができる。
外装体は2枚以上の不織布が貼り合わされて構成されることが多い。例えば、図1Dに示す外装体16は2枚以上の不織布(インナーシート61,64、アウターシート63,66、押さえシート68)を貼り合わせた積層体によって構成されている。図12Dに示す外装体216も2枚以上の不織布(インナーシート15、アウターシート17、押さえシート68)を貼り合わせた積層体によって構成されている。通常、前記2枚以上の不織布の層間には伸張状態の各種伸縮材が固定される。
[3−7]おむつ本体:
テープ型の使い捨ておむつは、吸収性本体と外装体の2ピース構成を採らないことが多い。テープ型の使い捨ておむつにおいて、吸収体と、吸収体を被覆する各種シートが一体的に構成された構造体は「おむつ本体」と称される。「おむつ本体」は、各種シートの層間に吸収体が内包されており、おむつの本質的機能である吸収・保持機能を発揮する部材である。一方、吸収体を内包せず、吸収・保持機能が発揮されない部材(サイドシートとは別体のサイドフラップ、止着テープ等)は「おむつ本体」の構成部材ではない。
例えば図13A及び図13Bに示す使い捨ておむつ301は、吸収体322と、吸収体322を被覆するトップシート318、サイドシート319、バックシート320及びカバーシート324が一体的に構成されたおむつ本体370を備えている。使い捨ておむつ301において、止着テープ311、前サイドフラップ372及び後サイドフラップ374は、おむつ本体370を構成しない。
[3−8]各種伸縮材:
本発明の使い捨ておむつには、ウエスト伸縮材、レッグ伸縮材、タミー伸縮材等の伸縮材を配置することが好ましい。既述の如く、レッグ伸縮材等を本発明に言う「伸縮部」、「伸縮性不織布」を構成する伸縮材として利用することもできる。
[3−8a]ウエスト伸縮材:
ウエスト伸縮材は、ウエスト被包部に配置される伸縮材である。ウエスト伸縮材によってウエスト被包部にウエストギャザーが形成される。
ウエスト伸縮材は、おむつのウエスト端縁に沿って配置することが好ましい。「沿って」とは、基準となる部分に対して概ね平行であることを意味する。即ち、厳密な意味で平行である必要はない。但し、図12A、図12D及び図12Eに示すウエスト伸縮材242は前被包部202のウエスト端縁202c、後被包部206のウエスト端縁206cと平行となるように配置されている。
パンツ型の使い捨ておむつの場合、図12A、図12D及び図12Eに示すように、ウエスト伸縮材242として、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、ウエスト端縁202c,206cに沿って、前被包部202と後被包部206の双方にウエスト伸縮材242を配置することが多い。図1A、図1D及び図1Eに示す使い捨ておむつ1のウエスト伸縮材42も同様の構成を採用している。
一方、テープ型使い捨ておむつの場合、ウエスト伸縮材として、1枚の面状伸縮材(伸縮性フォーム等)を用いることが多い。ウエスト伸縮材は、ウエスト端縁に沿って、前被包部及び後被包部の双方に配置してもよいし、後被包部のウエスト端縁に沿って、後被包部のみに配置してもよい。
[3−8b]レッグ伸縮材:
レッグ伸縮材は、股下被包部に配置される伸縮材である。レッグ伸縮材によって股下被包部にレッグギャザーが形成される。
パンツ型使い捨ておむつの場合、図12A、図12B及び図12Eに示すように、レッグ伸縮材240として、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、外装体216のレッグ開口部212の外縁に沿って、レッグ伸縮材240を曲線的に配置する形態を採用することが多い。この形態においては、図12Eに示すようにレッグ伸縮材240が股下被包部204における胴周り方向中央を横断しないように配置することが好ましい。この形態によれば、股下被包部204における胴周り方向中央にレッグ伸縮材240の収縮力が作用し難い。従って、吸収体22のヨレが防止され、着用者の股下に対し吸収体22がフィットし易くなる。
図1A、図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1は、後外装体65のうち股下被包部4に、レッグ伸縮材40を直線的に配置している。レッグ伸縮材40は後外装体65のウエスト端縁65cと平行になるように配置されている。この構造においては、後外装体65のうち股下被包部4に位置する部分がレッグ伸縮材40の収縮に追従して吸収性本体14の側縁に向かって収縮する。従って、前記部分が着用者の脚周りに沿った形状に変形し、着用者の脚周りに対するフィット性を向上させる。
また、図1A、図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1は、吸収性本体14における吸収体22の両側縁に沿って、レッグ伸縮材38を直線的に配置している。このような形態においてはレッグ伸縮材38,40及び前外装体62のタミー伸縮材44が一体となって着用者の脚周りに対するフィット性を向上させる。
また、レッグ伸縮材38を配置すると、おむつの着用時において、吸収性本体14の両側縁が吸収体22よりも立ち上がった形態になり易い。このような形態は、排尿後に吸収性本体14の幅方向中央部(即ち吸収体22が配置されている部分)に尿が集まり易くなる。従って尿漏れを発生し難くすることができる。
テープ型使い捨ておむつの場合、図13B及び図13Dに示すように、レッグ伸縮材340として、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、少なくとも股下被包部304に、吸収体322の両側縁に沿うように、左右複数対の線状伸縮材を直線的に配置する形態を採用することが多い。
[3−8c]タミー伸縮材:
タミー伸縮材は、タミー被包部に配置される伸縮材である。タミー伸縮材によってタミー被包部にタミーギャザーが形成される。主としてパンツ型の使い捨ておむつに配置される伸縮材である。
パンツ型使い捨ておむつの場合、図12A、図12B及び図12Eに示すように、タミー伸縮材244として、複数本の線状伸縮材を用いることが多い。また、ウエスト端縁202c,206cに沿って直線的に、また、前被包部202と後被包部206の双方にタミー伸縮材244を配置することが多い。レッグ伸縮材の場合と同様の理由から、図12Eに示すように吸収体22の配置部位を横断しないようにタミー伸縮材244を配置することが好ましい。図1A、図1B及び図1Eに示す使い捨ておむつ1のタミー伸縮材44も同様の構成を採用している。
[3−8d]伸縮材の構成、その他:
伸縮材としては、天然ゴムからなる平ゴム、合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴム等を好適に用いることができる。また、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を用いることもできる。
伸縮材は、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することが好ましい。この範囲とすることで着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることができる。伸縮材は、接着剤を用いた接着、熱や超音波等による溶着によって固定することができる。前記接着剤としてはホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いることができる。溶着の方法としてはヒートシール等を挙げることができる。
伸縮材の固定の方法は特に限定されない。但し、伸縮材及び前記伸縮材を挟み込む不織布シートの少なくとも一つに、接着剤を塗工ないし噴霧し、固定する方法等を挙げることができる。塗工方法としては、例えばスパイラル塗工等を挙げることができる。
パンツ型使い捨ておむつの場合、ウエスト伸縮材、レッグ伸縮材、タミー伸縮材とも、外装体を構成する複数のシートの層間に挟み込むように固定する等の方法で配置することができる。
例えば、図1Dに示す使い捨ておむつ1においては、押さえシート68とアウターシート63,66の層間に挟み込むように、ウエスト伸縮材42を固定している。一方、図12Dに示す使い捨ておむつ201は、押さえシート268とアウターシート217の層間に挟み込むように、ウエスト伸縮材242を固定している。
また、図1Eに示す使い捨ておむつ1においては、インナーシート61,64とアウターシート63,66の層間に挟み込むように、レッグ伸縮材40及びタミー伸縮材44を固定している。一方、図12Eに示す使い捨ておむつ201においては、インナーシート215とアウターシート217の層間に挟み込むように、レッグ伸縮材240及びタミー伸縮材244を固定している。
但し、レッグ伸縮材については、吸収性本体を構成する複数のシートの層間に挟み込むように固定する等の方法で配置してもよい。例えば、図1Cに示す使い捨ておむつ1は、立体ギャザー26を形成するために吸収性本体14に貼り合わされる不織布シート32同士の層間又は不織布シート32とカバーシート24との層間に挟み込むように、レッグ伸縮材38を固定している。
一方、テープ型使い捨ておむつの場合、ウエスト伸縮材、レッグ伸縮材とも、おむつ本体を構成する複数のシートの層間に挟み込むように固定する等の方法で配置することができる。例えば、バックシートとカバーシートの層間に挟み込むように、ウエスト伸縮材を固定することができる。
また、図13Bに示す使い捨ておむつ301は、不織布シート332によって構成されるサイドシート319と、カバーシート324との層間に挟み込むように、レッグ伸縮材340を固定している。但し、トップシートとカバーシートの層間に挟み込むように、レッグ伸縮材を固定してもよい。
[3−9]止着テープ:
「止着テープ」は、前被包部及び後被包部のいずれか一方を他方に対して止め付けるためのテープである。通常は、図13A及び図13Dに示す止着テープ311のように、後被包部306の左右の側縁(後サイドフラップの側縁374a,374b)から腰周り方向外側に延出するように付設される。
止着テープはファスニング部材を有することが好ましい。ファスニング部材の種類は特に限定されない。但し、メカニカルファスナー(面状ファスナー)を用いることが好ましい。メカニカルファスナーは止着力が高く、複数回の脱着を行っても止着力が低下し難い点で好ましい。例えば、図13A及び図13Dに示すように止着テープ311を構成する基材350の先端近傍にメカニカルファスナーのフック材348を付設する。一方、図13Dに示すように前被包部302に、メカニカルファスナーのループ材346からなるフロントパッチ313を付設する形態とすることが多い。
止着テープの数は特に限定されない。但し、着用者の体型(具体的には、ウエスト周り、脚周り等)の寸法に合わせて、適当な数の止着テープを付設すればよい。一般的には、乳幼児用の使い捨ておむつであれば一対(左右1個ずつ)、成人用の使い捨ておむつであれば二対(左右2個ずつ)が付設される。
本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の使い捨ておむつは、その発明特定事項を備えた使い捨ておむつを全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
実施例1の使い捨ておむつとして、パンツ型使い捨ておむつを製造した。具体的な構造は、図1A〜図1Eに示す使い捨ておむつ1の構造とした。この使い捨ておむつ1は、乳児用Lサイズのものであり、前後方向長さが485mm、前被包部2及び後被包部6の幅(側縁2a,2b間、側縁6a,6b間の長さ)が325mmのものである。製造方法は、図11A及び図11Bに示すような工程により行った。
使い捨ておむつ1においては、図1F及び図2A〜図2Cに示すように、セル形成シート82が伸縮部80のうち肌当接面の側に配置され、セル形成シート82が伸縮部80を構成する一の不織布である押さえシート68に対して接合され、その接合部84がおむつの胴周り方向に向かってジグザグ状に形成されている。図1B及び図1Dに示すようにセル構造はおむつの後被包部6側のみならず、前被包部2側にも形成されている。
使い捨ておむつ1においては、図1B及び図1Dに示すように、セル形成シート82は前外装体62、後外装体65を構成するアウターシート63,66の折り返し部88を利用している。セル形成シート82は坪量19g/m2のスパンボンド不織布が用いられている。
使い捨ておむつ1においては、アウターシート63,66の一の端部がウエスト端縁62c,65cにおいてトップシート18側に折り返されることによって、折り返し部88が形成されている。折り返し部88の前後方向の長さは80mmである。
押さえシート68としては、インナーシート61,64、アウターシート63,66とは別体の不織布シートが配置されている。押さえシート68としてはセル形成シート82と同種のスパンボンド不織布、即ち、坪量19g/m2の撥水性不織布が用いられている。
図1D及び図1Fに示すように、押さえシート68の先端は折り返し部88の先端からはみ出すように構成されている。そして、そのはみ出し部分によって吸収性本体14の一部が被覆されている。このはみ出し部分はセル形成シート82の端部から40mmだけはみ出すように構成されており、吸収性本体14の端部から25mmの部分を被覆するように構成されている。
押さえシート68は長さ80mm(おむつの前後方向の寸法)のものを用い、押さえシート68に対して折り返し部88が接合されている。接合部84はセル86の開口端部の開口幅が8.5mm、セルの奥行きが38mmとなるように形成し、この構造がおむつの胴周り方向に向かって外向セル、内向セルが合計76個形成される構造とした。
図1Dに示すように、伸縮部80は押さえシート68とアウターシート63,66との層間に、ウエスト端縁62c,65cに沿ってウエスト伸縮材42を伸張率300%(元の長さの3倍)の伸張状態で6本配置したものである。ウエスト伸縮材42としては天然ゴムからなる平ゴム(厚さ0.35mm×幅0.65mm)を用いた。
〔実施例2〕
実施例2の使い捨ておむつとして、パンツ型使い捨ておむつを製造した。具体的な構造は、図12A〜図12Eに示す使い捨ておむつ201の構造とした。この使い捨ておむつ201は、前後方向長さが520mm、後被包部6の幅(側縁6a,6b間の長さ)が380mmのものである。
吸収性本体は実施例1の使い捨ておむつと同一構造の吸収性本体14を用いた。吸収性本体14の前後方向長さは420mmとした。立体ギャザー伸縮材36及びレッグ伸縮材38は股下被包部204のうち前後方向長さ260mmの部分だけに固定した。外装体216は、実施例1の使い捨ておむつのような前後分離型ではなく、前被包部、股下被包部及び後被包部が一体的に形成された一体型のものを用いた。股下被包部の最狭部(A−A’端面の位置)の幅は175mmとした。外装体216に配されるレッグ伸縮材240は、外装体216のレッグ開口部212の外縁に沿って曲線的に配置した。
図12Cに示す使い捨ておむつ201においては、セル形成シート282が伸縮部280のうち肌当接面の側に配置され、セル形成シート282が伸縮部280を構成する一の不織布である不織布シート32に対して接合され、その接合部284が股下被包部の側縁に沿う方向に向かってジグザグ状に形成されている。
図12Cに示す使い捨ておむつ1においては、セル形成シート282として、立体ギャザー26を構成する不織布シート32とは別体の不織布シートを用いている。具体的には坪量15g/m2の撥水性のSMS不織布シートを用いている。セル形成シートの幅(おむつ胴周り方向の寸法)は17mm、長さ(おむつ前後方向の寸法)は420mmとした。そして、セル形成シートの前後端が吸収性本体の前後端に揃うように接合した。
図12Bに示すように、接合部284はセルの開口端部の開口幅が6.5mm、セルの奥行きが15mmとなるように形成し、この構造が股下被包部204の側縁に沿う方向に向かって内向セル、外向セルが合計80個形成される構造とした。
図12Cに示すように、伸縮部280は不織布シート32の基部と折り返し部との層間に、立体ギャザー26の上端に沿って立体ギャザー伸縮材36を伸張率300%(元の長さの3倍)の伸張状態で3本配置したものである。立体ギャザー伸縮材36としては天然ゴムからなる平ゴム(厚さ0.35mm×幅0.65mm)を用いた。
〔実施例3〕
実施例3として、図13A〜図13Dに示すテープ型の使い捨ておむつ301を作製した。このテープ型使い捨ておむつ301は、乳児用Lサイズのものであり、おむつ本体370の前後方向長さを485mm、幅を230mmの矩形状に構成した。
おむつ本体370の側縁部にはレッグ伸縮材340として糸ゴムを配置した。レッグ伸縮材340は7mmピッチで左右3本ずつ配置した。おむつ本体370の側縁370a,370bから7mmの位置に最も外側に配されるレッグ伸縮材340が位置するように配置した。サイドシート319とカバーシート324の層間に300%の伸張状態でレッグ伸縮材340を固定し、伸縮部380を構成した。
サイドシート319の肌当接面には、セル形成シート382を接合した。セル形成シート382の幅は26mmとした。接合部384は股下被包部304の側縁(おむつ本体370の側縁370a,370b)に沿う方向に向かってジグザグ状に形成した。接合部384の幅は0.4mmとした。セル形成シート382はスパンボンド不織布からなり、坪量18g/m2のポリプロピレン製不織布シートを用いた。このセル形成シート382を超音波シールにてサイドシート319の肌当接面に接合した。接合部384はセルの開口端部の開口幅が6mm、セルの奥行きが25mmとなるように形成し、この構造が股下被包部204の側縁に沿う方向に向かって80個(外向セル40個、内向セル40個)形成される構造とした。
おむつ本体370のウエスト端縁370c,370d近傍の肌当接面にはおむつの胴周り方向に向かって間欠的に伸縮性不織布396を接合した。伸縮性不織布を構成する不織布シート397,398としては、坪量15g/m2の撥水性のSMS不織布シートを用いた。不織布シート397,398の層間には、伸縮材399として10本の糸ゴムを5mmピッチで配し300%の伸張状態で固定した。
伸縮性不織布396を超音波シールにておむつ本体370のウエスト端縁370c,370d近傍の肌当接面に接合した(接合部386)。即ち、おむつ本体370のウエスト端縁370c,370d近傍の部分(ウエスト被包部)をセル形成シートとして利用した。接合部385は、セルの開口端部の開口幅が8.5mm、セルの奥行きが30mmとなるように形成し、この構造がおむつの胴周りに沿う方向に向かって36個(外向セル18個、内向セル18個)形成される構造とした。