JP2012241687A - 船外機 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、樹脂製ヘッドカバー及び樹脂製ケーシングを備えた船外機において、放射ノイズを低減することにある。
【解決手段】船外機は、エンジン5と、ケーシングとを備える。エンジン5は、シリンダ部22と、ヘッドカバー23aと、点火コイル装置24aを含む。シリンダ部22は、金属製である。ヘッドカバー23aは、樹脂製であり、シリンダ部22に取り付けられる。点火コイル装置24aは、ヘッドカバー23aに取り付けられる。ケーシングは、樹脂製であり、エンジン5を覆う。点火コイル装置24aは、放射ノイズ低減部を含む。放射ノイズ低減部は、点火コイル装置24aから放射されるノイズを低減させる。
【選択図】図2
【解決手段】船外機は、エンジン5と、ケーシングとを備える。エンジン5は、シリンダ部22と、ヘッドカバー23aと、点火コイル装置24aを含む。シリンダ部22は、金属製である。ヘッドカバー23aは、樹脂製であり、シリンダ部22に取り付けられる。点火コイル装置24aは、ヘッドカバー23aに取り付けられる。ケーシングは、樹脂製であり、エンジン5を覆う。点火コイル装置24aは、放射ノイズ低減部を含む。放射ノイズ低減部は、点火コイル装置24aから放射されるノイズを低減させる。
【選択図】図2
Description
本発明は、船外機に関する。
近年、船外機には、数多くの電子機器が搭載されるようになっている。例えば、エンジンを制御するECUや、速度などの情報を表示するデジタルメーターなどの装置が搭載されている。また、これらの装置にバッテリーからの電力を供給するためのバッテリケーブルや、これらの装置間で電気信号を伝達するワイヤーハーネスが船外機内に配置されている。
一方、特許文献1に開示するように、船外機エンジンの軽量化を目的として、ヘッドカバーを金属製から樹脂製に変更する試みがされている。
上述した電子機器から放射されるノイズは、他の電子機器の制御に影響を与える可能性がある。従って、ノイズを低減させる対策を講じることが望ましい。一般的に、電子機器から放射されるノイズは、金属部材によってグランドあるいはシールドされて低減される。このため、上述のようにエンジン部品の一部を樹脂製にすることは、エンジンの軽量化には有効である反面、ノイズ低減対策とは逆行してしまう。
また、船外機においてエンジンを覆うケーシングは、通常、樹脂製である。このため、船外機では、自動車のように金属製のボンネットによるノイズ低減効果を期待することはできない。
本発明の課題は、樹脂製ヘッドカバー及び樹脂製ケーシングを備えた船外機において、放射ノイズを低減することにある。
本発明の一態様に係る船外機は、エンジンと、ケーシングとを備える。エンジンは、シリンダ部と、ヘッドカバーと、点火コイル装置を含む。シリンダ部は、金属製である。ヘッドカバーは、樹脂製であり、シリンダ部に取り付けられる。点火コイル装置は、ヘッドカバーに取り付けられる。ケーシングは、樹脂製であり、エンジンを覆う。点火コイル装置は、放射ノイズ低減部を含む。放射ノイズ低減部は、点火コイル装置から放射されるノイズを低減させる。
本発明の発明者は、ヘッドカバー及びケーシングが樹脂製である船外機においては、電子機器に影響を与える可能性が大きいノイズの発生源が点火コイル装置であることを見い出した。本発明の一態様に係る船外機では、点火コイル装置にノイズ低減部を具備させることで、点火コイル装置から放射されるノイズを低減することができる。これにより、樹脂製ヘッドカバー及び樹脂製ケーシングを備えた船外機において、放射ノイズを低減することができる。
以下、本発明の実施形態に係る船外機について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る船外機1を示す側面図である。船外機1は、上部ケーシング2、下部ケーシング3、エキゾーストガイド部4、エンジン5を有する。上部ケーシング2、下部ケーシング3、エンジン5はエキゾーストガイド部4に固定されている。上部ケーシング2は樹脂製である。上部ケーシング2は、本発明のケーシングに相当する。エキゾーストガイド部4は、例えばアルミ合金などの金属製である。下部ケーシング3は樹脂製である。
エンジン5は、上部ケーシング2内に配置される。すなわち、上部ケーシング2は、エンジン5を覆っている。エンジン5は、クランク軸12を有する。下部ケーシング3内には、ドライブシャフト11が配置される。ドライブシャフト11は、下部ケーシング3内において上下方向に沿って配置される。ドライブシャフト11は、エンジン5のクランク軸12に連結されている。下部ケーシング3の下部には、プロペラ13が配置される。プロペラ13は、エンジン5の下方に配置されている。プロペラ13にはプロペラシャフト14が連結されている。プロペラシャフト14は、前後方向に沿って配置されている。プロペラシャフト14は、ベベルギヤ15を介してドライブシャフト11の下部に連結される。
船外機1では、エンジン5により発生される駆動力がドライブシャフト11およびプロペラシャフト14を介してプロペラ13に伝達される。それにより、プロペラ13が正回転または逆回転する。その結果、船外機1が取り付けられた船体を前進または後進させる推進力が発生する。
次に、エンジン5の構成について詳細に説明する。図2は、エンジン5の模式的側面図である。図3はエンジン5の模式的背面図である。なお、エンジン5の説明においては、船外機1が船体に取り付けられた状態での船体の進行方向を前方とする。すなわち、図2の紙面における左方に相当する方向を、エンジン5の説明における前方と呼ぶ。また、図2の紙面における右方に相当する方向を、エンジン5の説明における後方と呼ぶ。また、図3の紙面における左方に相当する方向を、エンジン5の説明における左方と呼ぶ。図3の紙面における右方に相当する方向を、エンジン5の説明における右方と呼ぶ。
エンジン5は、クランクケース21と、シリンダ部22と、ヘッドカバー23a,23bと、複数の点火コイル装置24a,24bとを有する。クランクケース21は例えばアルミ合金などの金属製である。クランクケース21内には、上述したクランク軸12が配置される。クランク軸12は上下方向に延びている。図2に示すように、クランクケース21の前面にはECU25(Engine Control Unit)が取り付けられている。すなわち、ECU25は、エンジン5の前面に取り付けられている。ECU25は、後述するセンサからの情報に基づいてエンジン5の運転を制御する。
シリンダ部22は、例えばアルミ合金などの金属製である。シリンダ部22は、エキゾーストガイド部4に固定される。エンジン5はいわゆるV型のエンジンであり、シリンダ部22は、V字形に組み合わされた第1シリンダ部22aと第2シリンダ部22bとを含む。第1シリンダ部22aは、後方且つ左方へ向けて斜めに延びている。第2シリンダ部22bは、後方且つ右方へ向けて斜めに延びている。第1シリンダ部22aは複数のシリンダ(図示せず)を有し、各シリンダの内部には、ピストン(図示せず)が配置されている。第2シリンダ部22bは複数のシリンダ(図示せず)を有し、複数のピストン(図示せず)が配置されている。本実施形態においては、第1シリンダ部22aは4つのシリンダを有する。また、第2シリンダ部22bは4つのシリンダを有する。従って、シリンダ部22は、合計8つのシリンダおよび合計8つのピストンを有している。
ヘッドカバー23a,23bは、シリンダ部22に取り付けられている。ヘッドカバー23a,23bは、樹脂製である。ヘッドカバー23a,23bは、第1ヘッドカバー23aと第2ヘッドカバー23bとを有する。第1ヘッドカバー23aは、第1シリンダ部22aに取り付けられる。具体的には、第1ヘッドカバー23aは、第1シリンダ部22aの後面に取り付けられる。第2ヘッドカバー23bは、第2シリンダ部22bに取り付けられる。具体的には、第2ヘッドカバー23bは、第2シリンダ部22bの後面に取り付けられる。
図3に示すように、エンジン5の後面には、配線取付部26が、取り付けられている。配線取付部26は、板状の部材である。配線取付部26は、第1シリンダ部22aと第2シリンダ部22bとの間に配置されている。配線取付部26は、複数の電子機器を互いに電気的に接続するための配線が取り付けられる部材である。具体的には、配線取付部26には、ECU25と各種のセンサを接続する配線が取り付けられる。また、配線取付部26には、ECU25と各種のスイッチを接続する配線が取り付けられる。センサは、例えば、水圧センサ31および速度センサ32を含む。水圧センサ31は、配線取付部に取り付けられている。水圧センサ31は、水圧を検出する。速度センサ32は、船外機1の外部に配置される。速度センサ32は、船外機1が取り付けられた船体の速度を検出する。スイッチは、例えば、PTTスイッチ33を含む。PTTスイッチ33は、船外機1の外部に配置される。PTTスイッチ33は、船外機1のチルト機能とトリム機能を操作するためのスイッチである。各種のセンサ及びスイッチは、ワイヤーハーネス34を介してECU25に接続されている。ワイヤーハーネス34は、配線取付部26から第1シリンダ部22aの下方を通るように配置されている。図2に示すように、ワイヤーハーネス34は、エンジン5の側方を通るように配置されている。ワイヤーハーネス34は、前方へ向かって延びており、ECU25に接続されている。
また、図3に示すように、第1シリンダ部22aには第1カム角センサ35aが取り付けられている。第1カム角センサ35aは、第1シリンダ部22aのカムシャフトの回転角を検出する。第1カム角センサ35aは、第1シリンダ部22aの一方の側面に取り付けられている。第1カム角センサ35aは、第1シリンダ部22aと第2シリンダ部22bとの間に配置されている。第1カム角センサ35aは、後述する複数の第1点火コイル装置24aのうち最も上方に位置する第1点火コイル装置24aよりも上方に位置している。第1カム角センサ35aは、配線取付部26よりも上方に位置している。第1カム角センサ35aは、配線36aを介してECU25に接続されている。配線36aは、第1シリンダ部22aの後方を通るように配置されている。配線36aは、後述する複数の第1点火コイル装置24aの間を通るように配置されている。第2シリンダ部22bには第2カム角センサ35bが取り付けられている。第2カム角センサ35bは、第2シリンダ部22bのカムシャフトの回転角を検出する。第2カム角センサ35bは、第2シリンダ部22bの一方の側面に取り付けられている。第2カム角センサ35bは、後述する複数の第2点火コイル装置24bのうち最も上方に位置する第2点火コイル装置24bよりも上方に位置している。第2カム角センサ35bは、配線取付部26よりも上方に位置している。第2カム角センサ35bは、第1カム角センサ35aと同様に、配線(図示せず)を介してECU25に接続されている。
複数の点火コイル装置24a,24bは、第1ヘッドカバー23aと第2ヘッドカバー23bとに取り付けられる。点火コイル装置24a,24bは、シリンダ部22の内部に配置された点火プラグ65(図4参照)に接続される。点火コイル装置24a,24bは、配線41a,41bを介してバッテリー(図示せず)に接続されている。点火コイル装置24a,24bは、点火プラグ65に電力を供給する。以下、第1ヘッドカバー23aに取り付けられる点火コイル装置を第1点火コイル装置24aと呼ぶ。また、第2ヘッドカバー23bに取り付けられる点火コイル装置を第2点火コイル装置24bと呼ぶ。複数の第1点火コイル装置24aは、上下方向に並んで配置されている。複数の第1点火コイル装置24aは、それぞれ第1配線41aに接続されている。図3に示すように、第1配線41aは、複数の第1点火コイル装置24aの側方を通り、上方へ向かって延びている。図2に示すように、第1配線41aは、エンジン5の上方を通り、後方へ向かって延びている。第1配線41aは、バッテリーに接続されている。複数の第2点火コイル装置24bは、上下方向に並んで配置されている。複数の第2点火コイル装置24bは、それぞれ第2配線41bに接続されている。第2配線41bは、複数の第2点火コイル装置24bの側方を通り、上方へ向かって延びている。第2配線41bは、第1配線41aと同様に、エンジン5の上方を通り、後方へ向かって延びている。第2配線41bは、バッテリーに接続されている。上述したECU25は、第1点火コイル装置24a及び第2点火コイル装置24bへの電力の供給を制御する。
次に、点火コイル装置24a,24bの構成について詳細に説明する。図4は、第1点火コイル装置24a、第1ヘッドカバー23aの一部、及び、第1シリンダ部22aの一部を示す断面図である。なお、第2点火コイル装置24bは、第1点火コイル装置24aと同様の構成であり、詳細な説明を省略する。第1点火コイル装置24aは、コイル42と、コイルケーシング43と、コネクタ部44と、高圧タワー45と、プラグブーツ46と、抵抗器47と、第1接続部材48と、第2接続部材49とを有する。
コイル42は、入力された電圧を低電圧から高電圧に変圧する。コイル42は、鉄芯51と、一次巻線52と、二次巻線53とを有する。鉄芯51は、例えば、積層された複数の薄板鋼板によって構成されている。一次巻線52及び二次巻線53は鉄芯51に巻回されている。
コイルケーシング43は、絶縁性を有する樹脂製である。コイルケーシング43は、コイル42を収納している。コイルケーシング43は、底面54と、天面55と、側面56とを有する。天面55は、底面54の反対側に位置する。側面56は、底面54と天面55とを接続する。側面56は、第1側面56aと第2側面56bとを含む。第2側面56bは第1側面56aの反対側に位置している。コネクタ部44は、コイルケーシング43の第1側面56aに接続されている。コネクタ部44は、コイルケーシング43と一体に形成されている。コネクタ部44の内部には、低圧入力端子61が配置されている。低圧入力端子61は一次巻線52に接続されている。また、低圧入力端子61には、上述した第1配線41aが接続される。また、コイルケーシング43の第2側面56bには、固定部62が接続されている。固定部62は、コイルケーシング43をヘッドカバー23a,23bに固定するための部分である。固定部62は、第2側面56bから突出したリブである。固定部62は貫通孔62aを含む。この貫通孔62aには、コイルケーシング43を第1ヘッドカバー23aに固定するためのボルトが通される。
高圧タワー45は、コイルケーシング43の底面54に接続されている。高圧タワー45は、コイルケーシング43の内部に連通する開口部45aを有する。開口部45aには、高圧出力端子63が配置されている。高圧出力端子63は、二次巻線53に接続されている。高圧出力端子63は、二次巻線53への励磁電流の通電が遮断された際に発生する高電圧を出力する。
プラグブーツ46は、第1ヘッドカバー23a及び第1シリンダ部22aの内部に配置される。プラグブーツ46は、本発明の挿入部に相当する。プラグブーツ46は、コイルケーシング43の底面54に接続され、高圧タワー45を覆う。プラグブーツ46は、ゴムなどの絶縁性を有する弾性材料で形成されている。プラグブーツ46は、貫通孔46aを有する。貫通孔46aは、プラグブーツ46の軸線に沿って配置されている。貫通孔46aは、高圧タワー45の開口部45aに連通している。
抵抗器47は、プラグブーツ46の貫通孔46a内に配置される。抵抗器47は、巻線抵抗である。図5に示すグラフにおいて、ラインL1は、抵抗器47の周波数特性を示している。このグラフにおいて、横軸は周波数であり、縦軸は抵抗値である。図5のラインL1で示されているように、抵抗器47は、30MHz以上80MHz以下の周波数帯で抵抗値(インピーダンス)のピークを有する。これにより、抵抗器47は、第1点火コイル装置24aからの放射ノイズを低減させる。抵抗器47は、本発明の放射ノイズ低減部に相当する。
第1接続部材48は、プラグブーツ46の貫通孔46a内に配置される。第1接続部材48は、抵抗器47と高圧出力端子63とを接続する。第1接続部材48は、貫通孔46aの軸線方向に弾性変形可能であり、例えば、コイルスプリングである。第2接続部材49は、プラグブーツ46の貫通孔46a内に配置される。第2接続部材49は、抵抗器47と点火プラグ65とを接続する。第2接続部材49は、貫通孔46aの軸線方向に弾性変形可能であり、例えば、コイルスプリングである。第1接続部材48と抵抗器47と第2接続部材49とによって、高圧出力端子63と点火プラグ65とが電気的に接続される。
本実施形態に係る船外機1は、以下の特徴を有する。
点火コイル装置24a,24bにノイズ低減部として抵抗器47を具備させることで、点火コイル装置24a,24bから放射されるノイズを低減することができる。これにより、樹脂製のヘッドカバー23a,23b、及び、樹脂製の上部ケーシング2を備えた船外機1において、船外機1の外部に放射されるノイズを低減することができる。図6(a)は、本実施形態に係る抵抗器47が用いられた場合の放射ノイズの周波数と大きさとの関係を示している。図6(b)は、従来の抵抗器が用いられた場合の放射ノイズの周波数と大きさとの関係を示している。従来の抵抗器は、図5においてラインL2で示す周波数特性を有している。なお、本実施形態において示される放射ノイズの周波数と大きさとの関係は、国際電気標準会議のCISPR12規格に基づく測定法により、測定されている。
図6に示されているように、本実施形態の抵抗器47が用いられた場合には、30MHz以上60MHz以下の周波数帯での放射ノイズの大きさが低減されている。特に、30MHz以上40MHz以下の周波数帯のノイズの大きさが低減されている。このような低周波数帯の放射ノイズは、上述したECU25などの電子機器に与える影響が大きい。このため、本実施形態に係る船外機1では、他の電子機器に大きな影響を与える周波数帯における放射ノイズを効果的に低減することができる。また、点火コイル装置24a,24bからのノイズの発生自体が抑えられるので、放射ノイズにより他の電子機器が影響を受けることをより確実に防止することができる。
巻線抵抗である抵抗器47を用いることによってノイズを低減することができるので、ノイズ低減部として別部品を追加する場合と比べて、部品点数の増大を抑えることができる。これにより、組立工数の増大を抑えることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、放射ノイズ低減部として巻線抵抗である抵抗器47が用いられているが、抵抗器47に代えて、放射ノイズを低減する他の手段が用いられてもよい。例えば、図7及び図8に示すように、放射ノイズ低減部として、カバー部材66が用いられてもよい。図7は、第1点火コイル装置24aを示す斜視図である。図8は、第1点火コイル装置24aを天面55側から見た図である。なお、図示されていないが、第2点火コイル装置24bも、第1点火コイル装置24aと同様に、放射ノイズ低減部として、カバー部材66を有する。
カバー部材66は、金属製であり、コイルケーシング43の少なくとも一部を覆う。図7及び図8に示すカバー部材66は、コイルケーシング43の側面56を覆っている。側面56は、上述した第1側面56a及び第2側面56bに加えて、第3側面56cと第4側面56dとをさらに有する。第3側面56cは、第1側面56aの一端と第2側面56bの一端とを接続している。第4側面56dは、第1側面56aの他端と第2側面56bの他端とを接続している。カバー部材66は、第3側面56cと第4側面56dとを覆っている。具体的には、カバー部材66は、第3側面56cの一部と第4側面56dの一部とを覆っている。カバー部材66は、屈曲した板状の形状を有する。図8に示すように、カバー部材66は、第1カバー部71と、第2カバー部72と、連結部73とを有する。
なお、以下の説明では、コイルケーシング43の底面54から天面55へ向かう方向を上方と呼ぶ。コイルケーシング43の天面55から底面54へ向かう方向を下方と呼ぶ。また、第2側面56bから第1側面56aへ向かう方向を前方と呼ぶ。第1側面56aから第2側面56bへ向かう方向を後方と呼ぶ。すなわち、コイルケーシング43からコネクタ部44が突出している方向を前方とし、その反対方向を後方とする。また、第3側面56cから第4側面56dへ向かう方向を左側方とし、第4側面56dから第3側面56cへ向かう方向を右側方とする。
第1カバー部71は、板状の形状を有しており、コイルケーシング43の第3側面56cを覆っている。第2カバー部72は、板状の形状を有しており、コイルケーシング43の第4側面56dを覆っている。コイルケーシング43は、第1カバー部71と第2カバー部72との間に配置されている。第1カバー部71の前端は、開放端となっている。第2カバー部72の前端は、開放端となっている。第1カバー部71は、第1基端部71aと第1中間部71bと第1先端部71cとを有する。第1中間部71bは第1基端部71aの前方に位置している。第1先端部71cは、第1中間部71bの前方に位置している。すなわち、第1中間部71bは、第1基端部71aと第1先端部71cとの間に位置している。第2カバー部72は、第2基端部72aと第2中間部72bと第2先端部72cとを有する。第2中間部72bは第2基端部72aの前方に位置している。第2先端部72cは、第2中間部72bの前方に位置している。すなわち、第2中間部72bは、第2基端部72aと第2先端部72cとの間に位置している。
第1基端部71aと第2基端部72aとは、連結部73によって連結されている。第1基端部71aと第2基端部72aとは、左右方向に互いに距離を隔てて配置されている。第1基端部71aと第2基端部72aとの間の距離は、後方へ向かうほど狭くなっている。すなわち、第1基端部71aは、後方へ向かうほどコイルケーシング43に近づくように傾斜している。また、第2基端部72aは、後方へ向かうほどコイルケーシング43に近づくように傾斜している。
第1中間部71bと第2中間部72bとは、左右方向に互いに距離を隔てて配置されている。第1中間部71bと第2中間部72bとの間の距離は、前方へ向かうほど狭くなっている。すなわち、第1中間部71bは、前方へ向かうほどコイルケーシング43に近づくように傾斜している。また、第2中間部72bは、前方へ向かうほどコイルケーシング43に近づくように傾斜している。これにより、コイルケーシング43は、第1カバー部71と第2カバー部72とによって挟まれており、第1カバー部71と第2カバー部72との間に保持されている。
第1先端部71cと第2先端部72cとは、左右方向に互いに距離を隔てて配置されている。第1先端部71cと第2先端部72cとの間の距離は、前方へ向かうほど広くなっている。すなわち、第1先端部71cは、前方へ向かうほどコイルケーシング43から離れるように傾斜している。また、第2先端部72cは、前方へ向かうほどコイルケーシング43から離れるように傾斜している。これにより、カバー部材66をコイルケーシング43に取り付ける際に、第1先端部71cと第2先端部72cとの間にコイルケーシング43を容易に挿入することができる。なお、第1先端部71cの先端は、第3側面56cへ向けて折り返されている。また、第1カバー部71と第3側面56cとの間の距離は、4mm以下である。また、第2カバー部72と第4側面56dとの間の距離は、4mm以下である。
連結部73は、上述したように第1カバー部71と第2カバー部72とを連結している。連結部73にはアース配線76が接続される。連結部73は、連結本体部77と第1突起部78と第2突起部79とを有する。連結本体部77は板状の形状を有している。連結本体部77は貫通孔77aを含む。貫通孔77aは、コイルケーシング43の固定部62の貫通孔62a(図4参照)と重なる位置に配置されている。ボルトが、連結本体部77の貫通孔77aと、コイルケーシング43の固定部62の貫通孔62aと、アース配線76の端子76bの貫通孔76aとに挿入される。これにより、カバー部材66とコイルケーシング43とアース配線76の端子76bとが、第1ヘッドカバー23aに固定される。
第1突起部78は、連結本体部77から上方へ突出している。第1突起部78は、連結本体部77の貫通孔77aの右側方に配置されている。連結本体部77の後縁部には、右側方へ延びる第1延出部77bが設けられている。第1突起部78は、第1延出部77bの端部が上方へ向けて折り曲げられることによって形成されている。第2突起部79は、連結本体部77から上方へ突出している。第2突起部79は、連結本体部77の貫通孔77aの左側方に配置されている。第2突起部79は、連結本体部77の貫通孔77よりも前方に位置している。第2突起部79は、第1突起部78よりも前方に位置している。連結本体部77の前縁部には、後方へ凹んだ凹部77cが設けられている。また、凹部77c内には、前方へ向けて延びる第2延出部77dが設けられている。第2突起部79は、第2延出部77dの端部が上方へ向けて折り曲げられることによって形成されている。また、連結本体部77の前縁部には、脱落防止用の返し80が設けられている。
図8に示すように、第1突起部78と第2突起部79とは、アース配線76の端子76bが連結部73に取り付けられる際に、端子76bの回り止めとして機能する。具体的には、アース配線76を、貫通孔77aから第1突起部78に向かう方向に延びるようにアース配線76が配置される場合には、第1突起部78が端子76bの回り止めとして機能する。また、図9に示すように、貫通孔77aから第2突起部79へ向かう方向に延びるように、アース配線76が配置される場合には、第2突起部79が端子76bの回り止めとして機能する。
上記のように、点火コイル装置24a,24bにノイズ低減部としてカバー部材66を具備させることで、点火コイル装置24a,24bから放射されるノイズを低減することができる。これにより、樹脂製のヘッドカバー23a,23b及び樹脂製の上部ケーシング2を備えた船外機1において、放射ノイズを低減することができる。図10(a)は、ノイズ低減部として上述したカバー部材66が用いられた場合の放射ノイズの周波数と大きさとの関係を示している。図10(b)は、図6(b)と同様に、従来の抵抗器が用いられた場合の放射ノイズの周波数と大きさとの関係を示している。図10に示されているように、カバー部材66が用いられた場合も、上述した実施形態の抵抗器47が用いられた場合と同様に、30MHz以上60MHz以下の周波数帯でのノイズの大きさが低減されている。特に、30MHz以上40MHz以下の周波数帯のノイズの大きさが低減されている。
図11は、コイルケーシング43とカバー部材66との間の距離と、放射ノイズの大きさとの関係を示すグラフである。コイルケーシング43とカバー部材66との間の距離が異なる複数のサンプルに対して、30MHz以上60MHz以下の周波数帯での放射ノイズのQP値(準尖頭値(Quasi Peak value))を放射ノイズの大きさとして計測した。計測された計測点P1〜P7からラインL3で示すような近時曲線が、コイルケーシング43とカバー部材66との間の距離と、放射ノイズの大きさとの関係を示すグラフとして得られた。ラインL3から明らかなように、コイルケーシング43とカバー部材66との間の距離が4mmを越えると、放射ノイズの増大が顕著に表れている。従って、上記のように、第1カバー部71と第3側面56cとの間の距離、及び、第2カバー部72と第4側面56dとの間の距離が4mm以下であることにより、点火コイル装置24a,24bからの放射ノイズを有効に低減することができる。
なお、放射ノイズ低減部として、図12に示すようなカバー部材67が用いられてもよい。カバー部材67は、コイルケーシング43の側面56ではなく天面55を覆う。図13(a)は、ノイズ低減部として、カバー部材67が用いられた場合の放射ノイズの周波数と大きさとの関係を示している。図13(b)は、図6(b)と同様に、従来の抵抗器が用いられた場合の放射ノイズの周波数と大きさとの関係を示している。図13に示されているように、カバー部材67が用いられた場合も、抵抗器47が用いられた場合と同様に、30MHz以上60MHz以下の周波数帯でのノイズの大きさが低減されている。特に、30MHz以上40MHz以下の周波数帯のノイズの大きさが低減されている。
また、放射ノイズ低減部として、図14に示すようなカバー部材68が用いられてもよい。カバー部材68は、コイルケーシング43の側面56と天面55との両方を覆う。
上記の実施形態では、放射ノイズ低減部としての抵抗器47又はカバー部材66−68は、30MHz以上60MHz以下の周波数帯のノイズを低減している。しかし、放射ノイズ低減部は、上記の周波数帯より広い範囲の周波数帯のノイズを低減してもよい。また、放射ノイズ低減部は、上記の周波数帯より狭い範囲の周波数帯のノイズを低減してもよい。例えば、放射ノイズ低減部は、30MHz以上50MHz以下の範囲に含まれる所定の周波数帯のノイズを低減してもよい。さらに、放射ノイズ低減部は、30MHz以上40MHz以下の範囲に含まれる所定の周波数帯のノイズを低減してもよい。また、放射ノイズ低減部は、30MHzより低い範囲を含む周波数帯のノイズを低減してもよい。さらに、放射ノイズ低減部は、60MHzより高い範囲を含む周波数帯のノイズを低減してもよい。
上記の実施形態では、カバー部材66−68の連結部73にアース配線76が接続されているが、カバー部材66−68の他の場所にアース配線76が接続されてもよい。例えば、第1カバー部71にアース配線76が接続されてもよい。あるいは、第2カバー部72にアース配線76が接続されてもよい。
上記の実施形態では、抵抗器47とカバー部材66とのいずれか一方が放射ノイズ低減部として用いられているが、抵抗器47とカバー部材66との両方が放射ノイズ低減部として用いられてもよい。
上記の実施形態では、エンジン5はV型8気筒のエンジンであるが、シリンダ部22の形状はV型に限られない。また、シリンダ部22のシリンダの数は8つに限られず、8つより少ない、又は8つより多くてもよい。
本発明によれば、樹脂製ヘッドカバー及び樹脂製ケーシングを備えた船外機において、放射ノイズを低減することができる。
2 上部ケーシング
5 エンジン
22 シリンダ部
23a,23b ヘッドカバー
24a,24b 点火コイル装置
42 コイル
43 コイルケーシング
46 プラグブーツ
47 抵抗器
54 底面
55 天面
56 側面
66−68 カバー部材
5 エンジン
22 シリンダ部
23a,23b ヘッドカバー
24a,24b 点火コイル装置
42 コイル
43 コイルケーシング
46 プラグブーツ
47 抵抗器
54 底面
55 天面
56 側面
66−68 カバー部材
Claims (11)
- 金属製のシリンダ部と、前記シリンダ部に取り付けられる樹脂製のヘッドカバーと、前記ヘッドカバーに取り付けられる点火コイル装置と、を含むエンジンと、
前記エンジンを覆う樹脂製のケーシングと、
を備え、
前記点火コイル装置は、前記点火コイル装置から放射されるノイズを低減させる放射ノイズ低減部を含む、
船外機。 - 前記放射ノイズ低減部は、30MHz以上60MHz以下の範囲に含まれる所定の周波数帯のノイズを低減する、
請求項1に記載の船外機。 - 前記放射ノイズ低減部は、30MHz以上50MHz以下の範囲に含まれる所定の周波数帯のノイズを低減する、
請求項2に記載の船外機。 - 前記放射ノイズ低減部は、30MHz以上40MHz以下の範囲に含まれる所定の周波数帯のノイズを低減する、
請求項3に記載の船外機。 - 前記放射ノイズ低減部は、少なくとも30MHz以上40MHz以下の周波数帯のノイズを低減する巻線抵抗である、
請求項1から4のいずれかに記載の船外機。 - 前記巻線抵抗は、30MHz以上80MHz以下の周波数帯で抵抗値のピークを有する、
請求項5に記載の船外機。 - 前記点火コイル装置は、コイルと、前記コイルを収容する樹脂製のコイルケーシングと、をさらに含み、
前記放射ノイズ低減部は、前記コイルケーシングの少なくとも一部を覆う金属製のカバー部材である、
請求項1から4のいずれかに記載の船外機。 - 前記カバー部材にはアースが接続されている、
請求項7に記載の船外機。 - 前記点火コイル装置は、前記ヘッドカバー内に配置される挿入部をさらに含み、
前記コイルケーシングは、前記挿入部が接続される底面と、前記底面の反対側に位置する天面と、前記底面と前記天面とを接続する側面とを含み、
前記カバー部材は、少なくとも前記コイルケーシングの前記側面を覆う、
請求項7又は8に記載の船外機。 - 前記点火コイル装置は、前記ヘッドカバー内に配置される挿入部をさらに含み、
前記コイルケーシングは、前記挿入部が接続される底面と、前記底面の反対側に位置する天面と、前記底面と前記天面とを接続する側面とを含み、
前記カバー部材は、少なくとも前記コイルケーシングの前記天面を覆う、
請求項7又は8に記載の船外機。 - 前記カバー部材と前記コイルケーシングとの間の距離は4mm以下である、
請求項7から10のいずれかに記載の船外機。
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