JP2012224755A - 高透明なポリイミド前駆体及びそれを用いた樹脂組成物、ポリイミド成形体とその製造方法、プラスチック基板、保護膜とそれを有する電子部品、表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明のポリイミド前駆体は、一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体が、一般式(II)で示される繰り返し単位を有することが好ましい。
本発明のポリイミド前駆体は、(a)一般式(I)で示される繰り返し単位を有する。
本発明の(a)成分であるポリイミド前駆体は、従来公知のポリアミド酸の合成方法で合成することができる。例えば、溶媒に所定量のジアミン類を溶解させた後、得られたジアミン溶液に、テトラカルボン酸を乾燥機で160℃、24時間加熱し脱水閉環させることで得られるテトラカルボン酸二無水物を所定量添加し、撹拌する。各モノマー成分を溶解させるときには、必要に応じて加熱してもよい。反応温度は−30〜200℃であることが好ましく、20〜180℃であることがより好ましく、30〜100℃であることがさらに好ましい。そのまま室温(20〜25℃)、あるいは適当な反応温度で撹拌を続け、ポリアミド酸の粘度が一定になった時点を反応の終点とする。粘度はE型粘度計(東機産業株式会社製)用い、25℃にて測定した。前記反応は、使用するテトラカルボン酸二無水物とジアミン類の種類にもよるが、通常3〜100時間で完了できる。
本発明の樹脂組成物は必要に応じて(b)有機溶剤を用いることが好ましい。(b)有機溶剤は、本発明のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を溶解できるものであれば特に制限はなく、このような溶媒としては前記(a)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)の合成時に用いることのできる溶媒として記載したものを用いることができる。(b)有機溶剤は(a)ポリアミド酸の合成時に用いられる反応溶媒と同一でも異なってもよい。(b)成分の含有量は樹脂組成物の25℃における粘度が、0.5Pa・s〜100Pa・sとなるように調整して加える。
本発明による樹脂組成物は、上記(a)成分、(b)成分の他に、(1)接着性付与剤、(2)界面活性剤又はレベリング剤、(3)溶剤等を含有しても良い。
本発明の樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、有機シラン化合物、アルミキレート化合物等の(1)接着性付与剤を含有しても良い。
また、本発明のポリイミド樹脂組成物は、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだりするために、適当な(2)界面活性剤あるいはレベリング剤を含有しても良い。このような界面活性剤あるいはレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等が挙げられる。
樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(a)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を合成した時の反応溶媒と(b)有機溶剤が同一の場合には、(a)ポリアミド酸溶液に、室温(25℃)〜80℃の温度範囲で、(b)成分及び必要に応じて他の添加剤を添加して、攪拌混合する方法が挙げられる。この攪拌混合は撹拌翼を備えたスリーワンモータ(新東化学株式会社製)、自転公転ミキサー等の装置を用いることができる。また必要に応じて40〜100℃の熱を加えても良い。(a)ポリアミド酸を合成した時の反応溶媒と(b)有機溶剤が異なる場合には、合成したポリアミド酸溶液中の反応溶媒を、再沈殿や溶媒留去の方法により除去し、(a)ポリアミド酸を得た後に、室温〜80℃の温度範囲で、(b)有機溶剤及び必要に応じて他の添加剤を添加して、攪拌混合することにより得る方法が挙げられる。
本発明のポリイミド成形体は、本発明の樹脂組成物を塗布、乾燥して得られた樹脂膜を形成し、これを加熱処理(イミド化)することにより得ることが出来る。また、該ポリイミド成形体は、使用用途・目的により、膜状、フィルム状、シート状等の形態から選ばれる。
塗布工程で使用される塗布方法は、特に制限はなく、所望の塗布厚や樹脂組成物の粘度などに応じて、公知の塗布方法を適宜選択して使用できる。具体的には、ドクターブレード、ナイフコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ロータリーコーター、フローコーター、ダイコーター、バーコーター等の塗布方法、スピンコート、スプレイコート、ディップコート等の塗布方法、スクリーン印刷やグラビア印刷等に代表される印刷技術を応用することもできる。樹脂組成物を塗布する基材としては、その後の工程の乾燥温度における耐熱性を有し、剥離性が良好であれば特に限定されない。例えば、ガラス、シリコンウエハ等からなる基材、PET(ポリエチレンテレフタレート)、OPP(延伸ポリプロピレン)等からなる支持体が挙げられる。また、基材としては他に、ガラス基板、ステンレス、アルミナ、銅、ニッケル等の金属基板、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレングリコールナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂基板などが用いられる。樹脂膜中に残留した有機溶剤が除去され、イミド化反応が進行する。
本発明のプラスチック基板及び保護膜は、上記ポリイミド成形体からなることを特徴とする。その製造方法は、従来公知の製造方法を用いることができる。例えば、本発明の樹脂組成物を仮固定基材に塗布し、乾燥及び加熱を行い、次いで上記レジストプロセスを行い、透明導電膜(ITO)基板、薄膜トランジスタ(TFT)基板として用いられるプラスチック基板として使用することができる。また、本発明の樹脂組成物を仮固定基材に塗布し、乾燥及び加熱を行い、仮固定基材から剥離してフィルムとして用いることができる。
攪拌機、温度計を備えた0.2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン63.2g(637mmol)と4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル11.1g(30.0mmol)を仕込み、撹拌溶解した後、シクロヘキサンテトラカルボン酸を乾燥機で(160℃、24時間)加熱し脱水閉環させた(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物6.72g(30.0mmol)を添加し、十分攪拌し完全に溶解させた。その後、分子量が一定となるまで約70時間撹拌しポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を得た(以下、ポリマーIとする)。ポリマーIのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は89,000、分散度は2.4であった。
ポリマーIと同様に、表1に示すように配合を行い、ポリマーII〜XIIを合成した。表1のアミン1〜9、酸1〜3及びNMPの数値の単位はmmolである。用いたアミン1〜9及び酸1、2は下記のものである。
アミン1:4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル
アミン2:p−フェニレンジアミン
アミン3:4,4′‐オキシジアニリン
アミン4:2,2′‐ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
アミン5:1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
アミン6:2,2′−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン
アミン7:ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン
アミン8:4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
アミン9:3,3′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
酸1:(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸
酸2:(1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸
酸3:3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル
合成したポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC、装置は、株式会社日立製作所製、カラムは日立化成工業株式会社製ゲルパック)を用いて、標準ポリスチレン換算により求めた。
具体的には、以下の装置及び条件にて、GPCにより各ポリマーの重量平均分子量を測定した。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所社製L4000UV
ポンプ:株式会社日立製作所社製L6000
株式会社島津製作所社製C−R4A Chromatopac
測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5×2本
溶離液:THF/DMF=1/1(容積比)
LiBr(0.03mol/l)、H3PO4(0.06mol/l)
流速:1.0ml/分、検出器:UV270nm
ポリマー0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mlの溶液を用いて測定した。
(硬化膜の作製)
ポリマーIを塗布しやすい粘度までNMPで希釈し、残存固形分(NV)を測定したところ14質量%であった。ここで、残存固形分は樹脂組成物中の樹脂不揮発分の割合であり、あらかじめ質量の分かっている金属シャーレに(1g程度を目安に)ポリアミド酸溶液をとり質量(金属シャーレ及びポリアミド酸の質量、以下、加熱前の質量という)を測定し、その後200℃のホットプレート上で2時間加熱して溶媒が十分に揮発したあとの質量(金属シャーレ及び溶質の質量、以下、加熱後の質量という)を測定し、(加熱後の質量−金属シャーレの質量)÷(加熱前の質量−金属シャーレの質量)×100を計算することで求められる。
これを5μmのフィルター(ミリポア(Millipore)社製、SLLS025NS)を用いてろ過を行った。得られた樹脂組成物をシリコンウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間乾燥し、乾燥膜厚14〜18μmの塗膜を形成した。これをさらにイナートガスオーブンを用いて窒素雰囲気下中フルキュアし、キュア膜厚9〜11μmの硬化膜を得た。イナートガスオーブンによるフルキュアの条件は以下の通りである。
装置:光洋サーモシステム株式会社製イナートガスオーブン
条件:昇温 室温〜200℃(5℃/分)
ホールド 200℃(20分)
昇温 200℃〜300℃(5℃/分)
ホールド 300℃(60分)
冷却 300℃〜室温(60分)
次に4.9質量%フッ酸水溶液を用いて、この硬化膜をシリコンウエハより剥離し、水洗、乾燥した後、ガラス転移点(Tg)、破断伸び、透過率を調べた。Tgはセイコーインスツル株式会社製TMA/SS6000を用い、昇温速度5℃/分にて熱膨張の変曲点より求めた。破断伸び及び弾性率は株式会社島津製作所製オートグラフAGS−100NHを用いて引っ張り試験より求めた。また、透過率はU−3310(株式会社日立製作所製スペクトロフォトメーター)を用いて測定し、Lambert−Beerの法則を用いて10μm換算した値を求めた。
上述の方法でシリコンウエハ上に形成された硬化膜を、ジメチルスルホキシド:モノエタノールアミン=30:70質量比の溶液に80℃で10分間浸漬し、硬化膜の薬液耐性を評価した。硬化膜にクラックが無いものを「○」、クラックが入ったものを「×」として評価した。また、薬液耐性の評価試験前後の膜厚の変化が±0.3%未満のものを「A」、±0.3%以上±0.5%以下のものを「B」、±0.5より大きいものを「C」として評価した。
実施例1と同様の方法で硬化膜を作製し、ガラス転移点(Tg)、破断伸び、透過率の測定及び薬液耐性の評価を行い、結果をまとめて表1に示した。
一方、ジアミンにエーテル結合とビフェニル骨格を有していない、アミン2のp-フェニレンジアミン(比較例1)、アミン3の4,4′‐オキシジアニリン(比較例2)、アミン4の2,2′‐ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(比較例3)を用いた場合、透過率は比較的に良いが、薬液耐性のクラックや膜厚変化に劣る。さらに、ジアミンにエーテル結合とビフェニル骨格を有していない、アミン5の1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(比較例4)、アミン6の2,2′−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(比較例5)、アミン7のビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(比較例6)、アミン8の4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(比較例7)、アミン9の3,3′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(比較例8)は、87.1〜89.1%の透過率で、実施例より大幅に劣り、薬液耐性のクラックや膜厚変化にも劣る。
本発明の酸成分にシクロヘキサンテトラカルボン酸、ジアミン成分にエーテル結合とビフェニル骨格を有するジアミンを用いることで得られるポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を用いたポリイミド樹脂は、透明性と薬液耐性に優れる。
Claims (10)
- 請求項1又は2に記載のポリイミド前駆体を含有する樹脂組成物。
- 有機溶剤を含有する請求項3に記載の樹脂組成物。
- 請求項4に記載の樹脂組成物を加熱することで得られるポリイミド成形体。
- 請求項5に記載のポリイミド成形体からなるプラスチック基板。
- 請求項5に記載のポリイミド成形体からなる保護膜。
- 請求項6に記載のプラスチック基板又は請求項7に記載の保護膜を有する電子部品。
- 請求項6に記載のプラスチック基板又は請求項7に記載の保護膜を有する表示装置。
- 請求項3又は4に記載の樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥して樹脂膜を形成する工程と、前記乾燥後の樹脂膜を加熱処理する工程とを含むポリイミド成形体の製造方法。
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