JP2012218989A - 光学素子成形用型の製造方法および光学素子成形用型 - Google Patents

光学素子成形用型の製造方法および光学素子成形用型 Download PDF

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Abstract

【課題】開角の大きな複数の光学素子成形用型に対して、成形用型の周辺部において、離型不良、融着不良、成膜剥れ不良が発生のない、ガラスプレス用テトラヘドラルアモルファスカーボン膜成膜方法を提供する。
【解決手段】成形面が凸状の型母材3の内部に磁石4を配置し、前記各型母材3の外側にはリング状磁石5を配置し、複数の型母材3を同心円状に配置した状態で、前記磁石4とリング状磁石5により形成される磁場が、前記型母材3の頂点部の法線方向の磁束密度が最も高くし、前記各型母材3に電圧を印加しながら、フィルタードカソ−ディックバキュームアーク法によって、前記型母材3の成形面にテトラヘドラルアモルファスカーボン膜を成膜する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レンズ、プリズムなどの光学素子をガラス素材のプレス成形により製造する際に使用される光学素子成形用型の製造方法に関するものである。
ガラス研磨工程を必要とせず、ガラス素材のプレス成形によってレンズを製造する技術は、従来の光学素子成形用型の製造方法において必要とされた複雑な工程を省き、簡単かつ安価にレンズを製造することを可能とした。このような、ガラスの光学素子のプレス成形に使用される型材に要求される性質としては、硬度、耐熱性、離型性、鏡面加工性などに優れていることが挙げられる。
従来、この種の型材として、金属、セラミックスや、それらをコーティングした材料など、数多くの提案がなされている。そのなかでも、ダイヤモンド状炭素膜、水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H膜)、硬質炭素膜、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜(taC膜)などの炭素膜を用いた型は、型とガラスとの離型性が良く、ガラスとの融着を起こしにくい利点を持っている。
そこで、耐熱性の良い炭素膜としては、特許文献1に開示されたようにフィルタードカソーディックバキュームアーク法(FCVA法)で得られたtaC膜が知られている。従来のメタン系ガスを用いるダイヤモンド状炭素膜(硬質炭素膜)は、水素を含み、高温成形時に炭素と水素の結合が切れて、炭素同士がグラファイト結合(sp2結合)して硬度低下し易い。これに対してtaC膜は、その製法であるFCVA法がグラファイトを原料とするため、水素レスのダイヤモンド状炭素膜(高強度なsp3結合)を得ることが可能である。
特開2004−075529号公報
一般的にダイヤモンド状炭素膜、a−C:H膜、硬質炭素膜、taC膜を用いた型は、型とガラスとの離型性が良く、ガラスとの融着を起こしにくい利点がある。しかしながら、型と膜の密着性が一般に低く、成形操作を数百回以上繰り返して行うと、膜が剥離し、十分な成形性能が得られないことがある。
前述のFCVA法によるtaC膜の成膜方法は、陰極点からのイオン放出と同時に発生する陰極材料の微粒子を、プラズマ磁気輸送中のトラップ除去しながら、炭素イオンだけを型母材(成形用型基板)へ到達させて成膜している。しかしながらFCVA法の場合、型の周辺部の耐熱性が低いという問題点があった。特に、開角(型の光学軸中心と光学有効径位置における法線方向とが為す角度)の大きな形状の型の周辺部は、頂点部に比べて耐熱性が劣る傾向があった。そのため、型の周辺部において、成形回数の増加とともにtaC膜が剥離し、耐久劣化を引き起こしていた。
また、複数の型母材に対してtaC膜を形成するためには、FCVA装置の中に複数の型母材を配置し、同時に成膜することが必要となる。この場合、FCVA装置内における各型母材の磁場の状態を等しくする必要がある。
本発明は、複数の型母材に対してtaC膜を形成する際に、型母材の頂点部から周辺部まで均一な膜質のtaC膜を有する光学素子成形用型を製造することを目的とするものである。
本発明は、成形面が凸状の光学素子成形用型の製造方法において、内部に磁石が配置された複数の型母材を、真空チャンバー内において成形用型保持具を介して同心円状に配置し、前記各型母材の周りにはリング状磁石が配置されており、前記磁石とリング状磁石により形成される磁場は、前記型母材の頂点部の法線方向の磁束密度が最も高くなるように形成されており、前記各型母材に電圧を印加しながら、フィルタードカソーディックバキュームアーク法によって、前記型母材の成形面にテトラヘドラルアモルファスカーボン層を成膜するものである。
FCVA法によってtaC膜を成膜する工程において、型母材の法線方向に磁場を形成し、成形用型保持具に電圧を印加することで、型の周辺部において膜質が劣るのを防ぐ。均一な膜質のtaC膜を設けることで、光学素子成形用型のプレス成形耐久回数を増し、光学素子の生産コストを大幅に低減することができる。
本発明におけるFCVA成膜法装置の断面図である。 本発明における光学素子成形用型とリング状磁石の配置を示した模式図 本発明における光学素子成形用型の断面図
(第1の実施の形態)
本発明のtaC膜(テトラヘドラルアモルファスカーボン膜)を形成するフィルタードカソーディックバキュームアーク(FCVA)法の成膜装置の模式面を図1示す。真空チャンバー1内において、成形用型保持具2に複数の光学素子成形用型3は保持されている。光学素子成形用型3は凸状の成形面を有している。成形用型保持具2は、回転軸17を中心に不図示の機構により回転し、不図示の機構により、所定の電圧を印加することができる。光学素子成形用型3の内部には、磁石の長さ方向(図面の水平方法)に着磁された磁石4が設けられている。各光学素子成形用型3の周りには、磁石4と逆方向の磁界を形成するリング状磁石5が設けられている。バキュームアーク電源6により、アークプラズマ生成室7で炭素プラズマ(炭素イオン)を生成する。フィルターコイル8に所望の電流を流すことにより磁界が発生し、形成される磁力線により、炭素イオンは矢印9の方向に搬送される。炭素プラズマが搬送される原理は、炭素イオンの電子が、磁力線に絡むように、サイクロトロン運動し、前記電子に炭素イオンが、クーロン力により、追随するためである。なお真空チャンバー1内は、真空度が1×10−4Pa以下に不図示の真空ポンプにより排気されている。
図2は成形用型保持具2における光学素子成形用型3とリング状磁石5の配置を示した模式図である。図2に示したように、光学素子成形用型3の中心軸17を中心に、同心円状(2重の円周15、16の上)に複数の光学素子成形用型3が均等に配置されている。各光学素子成形用型3に設けられたリング状磁石5は、お互いが干渉しないよう配置されている。
本発明において、炭素イオンは、スキャニングコイル10によって発生する磁場により、複数ある光学素子成形用型3の頂点に当るように制御されている。すなわち、イオンビーム径以内に、光学素子成形用型ガラス成形面が入るようイオンビーム径のスキャンの制御を行って、炭素イオンを光学素子成形用型3に到達させる。イオンビーム径スキャンの制御を行わない場合、光学素子成形用型3の成形面に成膜しTaC膜の膜厚分布と膜質が不均一になる。特に光学素子成形用型3の周辺部の膜厚が薄く、膜密度が低下するため、成形耐久性が大幅に劣化する。
また、磁石4とリング状磁石5の配置や強度は、形成された磁力線の磁束密度が、光学素子成形用型3の頂点部の法線方向が最も強くなるように調整されている。これにより、炭素イオンは光学素子成形用型3の頂点部に引き寄せられる。光学素子成形用型3の頂点部以外の磁束密度が最も強くなると、炭素イオンの光学素子成形用型3への垂直入射分の成膜レートが低下し、ガラス成形面の膜厚分布と膜質が不均一になる。
成形用型保持具2及び光学素子成形用型3に印加した電場と、光学素子成形用型3の内部に設けられた磁石4と、リング状磁石5により形成される磁場により、炭素イオンが、光学素子成形用型3方向に引き寄せられる。これにより、開角の大きな光学素子成形用型の成形面の法線方向に炭素イオンを効率的に入射させ、光学素子成形用型の頂点部と周辺部の膜厚分布と膜質の均質化が図られる。このようにして、光学素子成形用型3へtaC膜は成膜される。
この時、光学素子成形用型3の頂点部の法線方向の磁束密度は0.003テスラ以上0.015テスラ以下とすることが好ましい。磁束密度が0.003テスラよりも小さいと、炭素イオンが型に引き寄せられる効果がなく、成膜レートが低下する。また、成形用型保持具2及び光学素子成形用型3に印加する電場は、10V以上100V以下の正電圧が好ましい。正電圧が10Vより低くなると、炭素イオンを曲げる効果が小さくなり、100Vより大きくなると、炭素イオンが反発して、成膜レートが低下する。
さらに、光学素子成形用型3は絶縁部材を介して成形用型保持具2により保持することで、光学素子成形用型3を浮遊電位としても良い。この時、成形用型保持具2に10Vから100Vの正電圧を印加することにより、光学素子成形用型3の正電位が低くなる。この効果により、光学素子成形用型3の方が、炭素イオンを近づけるため、成膜レートが高くなる。
図3は、taC膜を成膜することで製造された光学素子成形用型の断面図である。型母材11から順に、SiC膜12、taC膜13が成膜されている。14は磁石4が挿入される型母材の開口部である。型母材11は、WCを主成分とする超硬合金が好ましいが、SiCの焼結体にCVD法で形成されたSiC膜を用いた型母材でも適用される。ただしその場合は、型母材に直接、FCVA法によりtaC膜が形成される。なお、型母材11とSiC膜12の間に、Ti膜、TiAlN膜を形成しても良い。
(実施例1)
図1、図2に示す装置により、図3に示すような光学素子成形用型を形成した。光学素子成形用型形状としては、直径18mm、ガラス成形面の直径14mm、凸形状で開角は60度である。
まずに、WCを主成分とする超硬合金11に、スパッタリング装置を用いて光学素子成形面側に、SiC膜12を60nm成膜した。これは、後述するtaC膜を超硬合金11に成膜する上で、密着力を向上させるため中間層として成膜がなされている。本実施例では、スパッタ成膜法を用いたが、その他の成膜法としてプラズマソースイオンインプラテーション法(Plasma−Souce−Ion−Implatation、以下PSII法)を用いても勿論可能である。
次に型母材11に設けた直径7mm、深さ48mmの開口部14に、外径6.5mm、高さ48mm、残留磁束密度0.5テスラを長さ方向に着磁した磁石4のN極を型頂点に向けて挿入した後、図1及び図2に示すFCVA法の成膜装置に設置した。設置条件として、成形用型保持具2上の光学素子成形用型配置外周円15の直径を181mmとし、均等に光学素子成形用型を12個配置した。成形用型保持具2上の光学素子成形用型配置内周円16の直径を110mmとし、均等に直径18mmの光学素子成形用型を6個、外周に配置型と均等な距離になるよう配置した。
リング形状の磁石5としては、外径37mm、内径30mm、高さ3mm、残留磁束密度0.05テスラ長さ方向に着磁した磁石5のS極をFCVA源方向に向けて装着した。
この時の、外周の型頂点部の磁束密度は0.006テスラ、内周の型頂点部の磁束密度は0.007テスラであり、0.007テスラより大きな磁束密度を有する箇所は、成形用型保持具3上に無かった。
次に、成形用型保持具3に、プラス電位20Vとなる様に電圧を印加して、taC膜13を900秒成膜した。taCの成膜条件としては、スキャニングコイル10によって発生する磁場(磁界の向きは磁石4と同じ)により、外周円15と内周円16にイオンビーム径の中心が当るよう制御した。本実施例のイオンビーム径は28mmであった。
本実施例の膜厚を計測した結果、型頂点部での膜厚は110nmで、型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.54〜0.86の範囲であった。taC膜の膜質評価として、700℃の窒素雰囲気中で3時間加熱後のラマン・スペクトルの1360cm−1の強度Idと15800cm−1の強度Igの比Id/Igを用いた。一般的に、成形後のId/Igが小さいほど、耐熱性が良いと言われている。本実施例の成形後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが0.3〜0.61の範囲であった。
次に、上記、光学素子成形用型材を用いて光学レンズのプレス成形を、連続的に500ショット行った。成形ガラスは、希土類を含む棚珪酸系ガラス(Tg:610℃、屈折率:1.85)で、成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度690℃で行った。成形の結果、型と成形された光学素子との間で、離型性は良好であり且つ、融着不良、成膜剥れ不良の無いプレス成形が行なわれた。また、成形用型保持具3に、プラス電位を10V、30Vにしても同様の成形結果が得られた。これらの結果を表1に示す。
(実施例2)
光学素子成形用型3と成形用型保持具2を絶縁状態にする以外は、実施例1と同様に、taC膜を900秒成膜した。中間層としてのSiC膜は、実施例1と同様スパッタ装置を用いて60nm成膜した。本実施例の型膜厚を計測した結果、型頂点部での膜厚は130nmで、型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.69〜0.81の範囲であった。本実施例の加熱後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが0.4〜0.5の範囲であった。
実施例1と同様に、成形評価を行なった結果、型と成形された光学素子との間で、離型性は良好であり且つ、融着不良、成膜剥れ不良の無いプレス成形が行なわれた。これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
リング形状の磁石5の残留磁束密度を0.09テスラにする以外は、実施例2と同様に、taC膜を900秒成膜した。中間層としてのSiC膜は、実施例1と同様スパッタ装置を用いて60nm成膜した。
本実施例の外周の型頂点部の磁束密度は0.008テスラ、内周の型頂点部の磁束密度は0.009テスラであり、0.009テスラより大きな磁束密度を有する箇所は、成形用型保持具3上に無かった。本実施例の膜厚を計測した結果、型頂点部での膜厚は98nmで、型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.75〜1.1の範囲であった。本実施例の加熱後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが0.31〜0.54の範囲であった。
実施例1と同様に、成形評価を行なった結果、型と成形された光学素子との間で、離型性は良好であり且つ、融着不良、成膜剥れ不良の無いプレス成形が行なわれた。また、成形用型保持具3に、プラス電位を10V、30Vにしても同様の成形結果が得られた。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
リング形状の磁石5の残留磁束密度を0.18テスラにする以外は、実施例2と同様に、taC膜を900秒成膜した。中間層としてのSiC膜は、実施例1と同様スパッタ装置を用いて60nm成膜した。
本比較例の外周の型頂点部の磁束密度は0.008テスラ、内周の型頂点部の磁束密度は0.010テスラであり、0.013テスラの磁束密度を有する箇所が、リング形状の磁石間に存在した。本比較例の型膜厚を計測した結果、型頂点部での膜厚は70nmで、型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.07〜2.29の範囲であった。本比較例の加熱後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが0.4〜1.1の範囲であった。
次に、この光学素子成形用型材を用いて実施例1と同様に光学レンズの成形を行なったが、150ショットで、taC膜の周辺部の剥離が一部発生した。これらの結果を表1に示す。
(比較例2)
リング形状の磁石5の残留磁束密度を0.28テスラにする以外は、実施例2と同様に、taC膜を900秒成膜した。本比較例の外周の型頂点部の磁束密度は0.012テスラ、内周の型頂点部の磁束密度は0.014テスラであり、0.018テスラの磁束密度を有する箇所が、リング形状の磁石間に存在した。本比較例の型膜厚を計測した結果、外周部に設置した型頂点部での膜厚は80nmで、内周部に設置した型頂点部での膜厚は260nmであった。内周部型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.08〜0.79の範囲であった。本比較例の加熱後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが0.5〜1.5の範囲であった。
次に、この光学素子成形用型材を用いて実施例1と同様に光学レンズの成形を行なったが、130ショットで、凸型周辺部の剥離が一部発生した。これらの結果を表1に示す。
(比較例3)
型母材に入れる磁石を外径6.5mm、高さ6mm、残留磁束密度0.5テスラ、長さ方向に着磁した磁石4にする以外は、実施例2と同様に、taC膜を900秒成膜した。
本比較例の外周の型頂点部の磁束密度は0.004テスラ、内周の型頂点部の磁束密度は0.005テスラであり、0.005テスラより大きな磁束密度を有する箇所は、成形用型保持具3上に無かった。本比較例の膜厚を計測した結果、外周部に設置した型頂点部での膜厚は96nmで、内周部に設置した型頂点部での膜厚は145nmであった。内周部型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.21〜1.74の範囲であった。本比較例の加熱後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが0.6〜1.7の範囲であった。
次に、この光学素子成形用型材を用いて実施例1と同様に光学レンズの成形を行なったが、140ショットで、凸型周辺部の剥離が一部発生した。これらの結果を表1に示す。
(比較例4)
成形用型保持具3に、プラス電位を5Vにする以外は、実施例2と同様に、taC膜を900秒成膜した。本比較例の型膜厚を計測した結果、型頂点部での膜厚は150nmで、型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.6〜0.9の範囲であった。本比較例の加熱後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが1.2〜1.9の範囲であった。
次に、この光学素子成形用型材を用いて実施例1と同様に光学レンズの成形を行なったが、100ショットで、凸型周辺部の剥離が一部発生した。これらの結果を表1に示す。
(比較例5)
成形用型保持具3に、プラス電位を35Vにする以外は、実施例2と同様に、taC膜を900秒成膜した。本比較例の型膜厚を計測した結果、型頂点部での膜厚は60nmで、型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.4〜0.7の範囲であった。本比較例の加熱後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが0.3〜0.5の範囲であった。
次に、この光学素子成形用型材を用いて実施例1と同様に光学レンズの成形を行なったが、220ショットで、凸型周辺部の剥離が一部発生した。これらの結果を表1に示す。
(比較例6)
スキャニングコイル10によって発生する磁場により、外周円15と内周円16に設置された光学素子成形用型の光学有効径外にイオンビーム径中心が当るよう制御する以外は実施例2と同様に、taC膜を900秒成膜した。本比較例の型膜厚を計測した結果、型頂点部での膜厚は50nmで、型頂点部での膜厚に対する型開角60度での膜厚の比率が0.05〜1.15の範囲であった。本比較例の加熱後のId/Igを計測した結果、型頂点部及び型開角60度でのId/Igが0.4〜1.1の範囲であった。
次に、この光学素子成形用型材を用いて実施例1と同様に光学レンズの成形を行なったが、160ショットで、凸型周辺部の剥離が一部発生した。これらの結果を表1に示す。
(実施例4)
光学素子成形用型3(凸形状で開角は55度)と成形用型保持具2を絶縁状態にし、実施例1と同様にしてtaC膜を成膜した。中間層としてのSiC膜は、実施例1と同様スパッタ装置を用いて60nm成膜した。
光学素子成形用型3の光学成形面の略法線方向に向けて−0.003、+0.003、+0.004、+0.015、+0.016テスラの磁束密度中に設置した。また、型保持部材5(型母材3とは絶縁状態)に、−10、±0、+10、+50、+100、+105ボルトを印加し、taC膜13を200nm成膜した。
次に、上記、光学素子成形用型材を用いて光学レンズのプレス成形を、連続的に800ショット行った。成形ガラスは、希土類を含む棚珪酸系ガラス(Tg:610℃、屈折率:1.85)で、成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度700℃で行った。成形の結果、型と成形された光学素子との間で、離型性は良好であり且つ、融着不良、成膜剥れ不良の無いプレス成形が行なわれた。成形結果について表2にまとめた。
表2から分かるように、磁束密度が0.004、0.015であり、印加電圧が+10、+50、+100の場合、型と成形された光学素子との間の離型性は『良好』であり、融着不良、成膜剥れ不良の無いプレス成形を行うことができた。またこのときの膜厚は、型の頂点部での膜厚に対する型開角55度での膜厚の比率は0.8〜1.0の範囲であった。また、同計測位置での膜の抵抗値を測定した結果、頂点部にて1010.8〜1012.5Ω・cm、型開角55度部にて109.5〜1011.7Ω・cmであり、膜厚、膜質ともに均一なものであった。
磁束密度が−0.003、+0.003、+0.016であり、印加電圧が+10、+50、+100の場合は、成形時に離型不良現象がみられ、型とガラスの融着現象を含む型の膜耐久は500ショット以下であった。このとき型の周辺部ではtaC膜の剥離が一部発生した。同様に、磁束密度が0.004、+0.015であり、印加電圧が−10、±0、+105の場合も、同様に成形時に離型不良現象がみられ、型とガラスの融着現象を含む型の膜耐久は500ショット以下であった。このとき型の周辺部ではtaC膜の剥離が一部発生した。
また、磁束密度が−0.003、+0.003、+0.016であり、印加電圧が−10、±0、+105の場合は、十分な成膜を行うことができず、プレス成形を行うことができなかった。
(実施例5)
光学素子成形用型3(凸形状で開角は45度)と成形用型保持具2を絶縁状態にし、実施例1と同様にしてtaC膜を成膜した。中間層としてのSiC膜は、実施例1と同様スパッタ装置を用いて60nm成膜した。また実施例4と同様にしてガラス成形テストを行い型の膜評価を行なった。その結果を表3に示す。
表2から分かるように、磁束密度が0.003、0.004であり、印加電圧が+10、+50、+100、+105の場合、型と成形された光学素子との間の離型性は(良好)であり、融着不良、成膜剥れ不良の無いプレス成形を行うことができた。また磁束密度が0.015であり、印加電圧が+10、+50、+100の場合、型と成形された光学素子との間の離型性は『良好』であり、融着不良、成膜剥れ不良の無いプレス成形を行うことができた。
また、上記以外の条件で成膜した場合、型とガラスの融着現象を含む型の膜耐久は500ショット以下であった。このとき型の周辺部ではtaC膜の剥離が一部発生した。
1 真空チャンバー
2 成形用型保持具
3 光学素子成形用型
4 磁石
5 リング状磁石
6 バキュームアーク電源
7 アークプラズマ生成室
8 フィルターコイル
10 スキャニングコイル
11 型母材
12 SiC膜
13 taC膜
14 開口部
17 中心軸

Claims (4)

  1. 成形面が凸状の光学素子成形用型の製造方法において、内部に磁石が配置された複数の型母材を、真空チャンバー内において成形用型保持具を介して同心円状に配置し、前記各型母材の周りにはリング状磁石が配置されており、前記磁石とリング状磁石により形成される磁場は、前記型母材の頂点部の法線方向の磁束密度が最も高くなるように形成されており、前記各型母材に電圧を印加しながら、フィルタードカソーディックバキュームアーク法によって、前記型母材の成形面にテトラヘドラルアモルファスカーボン膜を成膜することを特徴とする光学素子成形用型の製造方法。
  2. 前記磁場において、前記型母材の成形面に対して法線方向の磁束密度は、0.003テスラ以上0.015テスラ以下であり、前記型母材に印加する電圧は10V以上100V以下の正電圧であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用型の製造方法。
  3. 前記光学素子成形用型は絶縁部材を介して成形用型保持具により保持されており、前記光学素子成形用型を浮遊電位にした状態で、前記テトラヘドラルアモルファスカーボン膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用型の製造方法。
  4. 請求項1又は3に記載の光学素子成形用型の製造方法によって製造されたことを特徴とする光学素子成形用型。
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