JP2012206204A - ドリルホルダ及び刃先交換式ドリル - Google Patents
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Abstract
【課題】ホルダ基端側へのクーラントの流出を抑制して、ホルダ本体の先端部にクーラントを十分に留まらせることができ、切れ刃の耐摩耗性を高め、安定して切削加工が行えること。
【解決手段】軸状のホルダ本体2と、ホルダ本体2の先端部に、径方向の内方と外方とに少なくとも2つ形成され、切れ刃3a、3bを有する切削インサート3が着脱可能に装着されるインサート取付座4と、ホルダ本体2の外周面に周方向に間隔をあけて複数形成され、このホルダ本体2の先端面5に開口するとともにインサート取付座4を含み、該ホルダ本体2の基端側に向けて延びる切屑排出溝6と、ホルダ本体2の先端部にクーラントを供給するクーラント供給孔7と、を備えたドリルホルダ1であって、ホルダ本体2の外周面のうち、周方向に隣り合う切屑排出溝6同士の間のランド部12に、先端面5に開口する凹部13が形成されている。
【選択図】図5
【解決手段】軸状のホルダ本体2と、ホルダ本体2の先端部に、径方向の内方と外方とに少なくとも2つ形成され、切れ刃3a、3bを有する切削インサート3が着脱可能に装着されるインサート取付座4と、ホルダ本体2の外周面に周方向に間隔をあけて複数形成され、このホルダ本体2の先端面5に開口するとともにインサート取付座4を含み、該ホルダ本体2の基端側に向けて延びる切屑排出溝6と、ホルダ本体2の先端部にクーラントを供給するクーラント供給孔7と、を備えたドリルホルダ1であって、ホルダ本体2の外周面のうち、周方向に隣り合う切屑排出溝6同士の間のランド部12に、先端面5に開口する凹部13が形成されている。
【選択図】図5
Description
本発明は、ドリルホルダ及びこれを用いた刃先交換式ドリルに関するものである。
従来、この種のドリルホルダとして、例えば下記特許文献1に示されるように、軸状をなし、軸線回りに回転されるホルダ本体と、前記ホルダ本体の先端部に、前記軸線を挟むように径方向の内方と外方とに少なくとも2つ形成され、切れ刃を有する切削インサートが着脱可能に装着されるインサート取付座と、前記ホルダ本体の外周面に周方向に間隔をあけて複数形成され、このホルダ本体の先端面に開口するとともに前記インサート取付座を含み、該ホルダ本体の基端側に向けて延びる切屑排出溝と、を備えたものが知られている。尚、ホルダ本体の外周面のうち、周方向に隣り合う切屑排出溝同士の間に位置する部位は、ランド部と呼ばれている。
一般に、このようなドリルホルダには、ホルダ本体の内部を貫通するように形成され、該ホルダ本体の先端部にクーラントを供給するクーラント供給孔が形成されている。そして、クーラント供給孔から切削インサートの切れ刃近傍にクーラントが供給されることにより、切れ刃が冷却されて耐摩耗性が高められることで、切れ味が維持されるとともに、切削により生じた切屑が切屑排出溝を通ってホルダ本体の基端側に向けて搬送されるようになっている。
また、刃先交換式ドリル以外のソリッドタイプのドリルとしては、例えば下記特許文献2〜4に記載されたものが知られている。
また、刃先交換式ドリル以外のソリッドタイプのドリルとしては、例えば下記特許文献2〜4に記載されたものが知られている。
しかしながら、前記従来のドリルホルダ及び刃先交換式ドリルにおいては、下記の課題があった。
すなわち、この種の刃先交換式ドリルでは、鋼材等からなるホルダ本体の外周面(ランド部)は加工(切削以外のバニシングも含む)に寄与することはなく、よって通常ランド部は、インサート取付座に装着された切削インサートの径方向外方の端縁よりも径方向内方に一段後退させられている。つまり、ドリリングにより被削材に穿設された加工穴の内周面と、ランド部との間には、隙間が形成されている(特許文献1の第2図を参照)。このような隙間があることにより、ホルダ本体の先端部に供給されたクーラントが、切れ刃を冷却し該切れ刃の耐摩耗性に寄与したり、切屑を搬送することなく、前記隙間を通って該ホルダ本体の基端側に向けて流出してしまい、十分なクーラント効果を得ることができなかった。また、十分なクーラント効果を得るために、クーラント供給量を多く確保しなければならなかった。
すなわち、この種の刃先交換式ドリルでは、鋼材等からなるホルダ本体の外周面(ランド部)は加工(切削以外のバニシングも含む)に寄与することはなく、よって通常ランド部は、インサート取付座に装着された切削インサートの径方向外方の端縁よりも径方向内方に一段後退させられている。つまり、ドリリングにより被削材に穿設された加工穴の内周面と、ランド部との間には、隙間が形成されている(特許文献1の第2図を参照)。このような隙間があることにより、ホルダ本体の先端部に供給されたクーラントが、切れ刃を冷却し該切れ刃の耐摩耗性に寄与したり、切屑を搬送することなく、前記隙間を通って該ホルダ本体の基端側に向けて流出してしまい、十分なクーラント効果を得ることができなかった。また、十分なクーラント効果を得るために、クーラント供給量を多く確保しなければならなかった。
一方、このような隙間をなくす目的で、ランド部を切削インサートの径方向外方の端縁に面一となるように形成した場合には、ホルダ基端側へのクーラントの流出は抑制されるものの、ホルダ本体と加工穴とが擦れ合い、大きな切削抵抗が生じると共に穴面の加工品位を損なうこととなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、切削抵抗を増大させるようなことなく、ホルダ基端側へのクーラントの流出を抑制して、ホルダ本体の先端部にクーラントを十分に留まらせることができ、切れ刃の耐摩耗性を高め、安定して切削加工が行えるドリルホルダ及び刃先交換式ドリルを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、軸状をなし、軸線回りに回転されるホルダ本体と、前記ホルダ本体の先端部に、前記軸線を挟むように径方向の内方と外方とに少なくとも2つ形成され、切れ刃を有する切削インサートが着脱可能に装着されるインサート取付座と、前記ホルダ本体の外周面に周方向に間隔をあけて複数形成され、このホルダ本体の先端面に開口するとともに前記インサート取付座を含み、該ホルダ本体の基端側に向けて延びる切屑排出溝と、前記ホルダ本体の内部を貫通するように形成され、該ホルダ本体の先端部にクーラントを供給するクーラント供給孔と、を備えたドリルホルダであって、前記ホルダ本体の外周面のうち、周方向に隣り合う切屑排出溝同士の間のランド部に、前記先端面に開口する凹部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の刃先交換式ドリルは、前述のドリルホルダと、前記切削インサートと、を備えたことを特徴としている。
すなわち、本発明は、軸状をなし、軸線回りに回転されるホルダ本体と、前記ホルダ本体の先端部に、前記軸線を挟むように径方向の内方と外方とに少なくとも2つ形成され、切れ刃を有する切削インサートが着脱可能に装着されるインサート取付座と、前記ホルダ本体の外周面に周方向に間隔をあけて複数形成され、このホルダ本体の先端面に開口するとともに前記インサート取付座を含み、該ホルダ本体の基端側に向けて延びる切屑排出溝と、前記ホルダ本体の内部を貫通するように形成され、該ホルダ本体の先端部にクーラントを供給するクーラント供給孔と、を備えたドリルホルダであって、前記ホルダ本体の外周面のうち、周方向に隣り合う切屑排出溝同士の間のランド部に、前記先端面に開口する凹部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の刃先交換式ドリルは、前述のドリルホルダと、前記切削インサートと、を備えたことを特徴としている。
本発明のドリルホルダ及びこれを用いた刃先交換式ドリルによれば、ホルダ本体の外周面におけるランド部に、該ホルダ本体の先端面に開口する凹部が形成されているので、下記の効果を奏する。
すなわち、クーラント供給孔からホルダ本体の先端部に供給されたクーラントは、その一部が、ホルダ先端面からランド部と加工穴の内周面との間の隙間を通って該ホルダ本体の基端側へ向けて流出しようとするが、この際、ランド部に形成された凹部内において、クーラントの乱流が生じることになる。つまり、凹部に流入したクーラントが該凹部内で渦を巻くように流れ、これにより、クーラントの流速が低下するとともに圧力損失が大きくなって、ホルダ先端面から前記隙間に向けてクーラントが流出することが抑制される。
すなわち、クーラント供給孔からホルダ本体の先端部に供給されたクーラントは、その一部が、ホルダ先端面からランド部と加工穴の内周面との間の隙間を通って該ホルダ本体の基端側へ向けて流出しようとするが、この際、ランド部に形成された凹部内において、クーラントの乱流が生じることになる。つまり、凹部に流入したクーラントが該凹部内で渦を巻くように流れ、これにより、クーラントの流速が低下するとともに圧力損失が大きくなって、ホルダ先端面から前記隙間に向けてクーラントが流出することが抑制される。
このように、ホルダ基端側へのクーラントの流出が抑制されるので、クーラントがホルダ本体の先端部に留まりやすくなり、従ってクーラント供給量を増大させることなく、ホルダ本体の先端部へのクーラント供給量が十分に確保されて、切れ刃の耐摩耗性を高めることで切削インサートの工具寿命の延長が可能となり、安定して切削加工が行える。
また、この構成によれば、例えばホルダ基端側へのクーラントの流出を抑制する目的で、ランド部を加工穴の内周面に当接させる必要はないので、切削抵抗が増大することもない。
また、この構成によれば、例えばホルダ基端側へのクーラントの流出を抑制する目的で、ランド部を加工穴の内周面に当接させる必要はないので、切削抵抗が増大することもない。
また、本発明のドリルホルダにおいて、少なくとも前記凹部は、前記インサート取付座のうち径方向の外方に配置された一のインサート取付座の工具回転方向の前方に位置する前記ランド部に形成されていることとしてもよい。
本発明において、ホルダ本体の先端部には、軸線を挟むように径方向内方と径方向外方とに少なくとも2つのインサート取付座が形成されている。つまり、これらインサート取付座のうち、径方向外方に位置する一のインサート取付座に装着された切削インサートの切削速度は、径方向内方に位置する他のインサート取付座に装着された切削インサートの切削速度よりも速くなる。
本発明によれば、少なくとも凹部が、前記一のインサート取付座の工具回転方向の前方に位置するランド部に形成されているので、前述の乱流作用によって該ランド部からホルダ基端側へのクーラントの流出が抑制されるとともに、該一のインサート取付座に装着された切削インサートに対するクーラントの供給量が十分に確保される。すなわち、切削速度が速くクーラント供給量を多く必要とする径方向外方の切削インサートに対して、クーラントを十分に供給することができるので、より高精度で安定した切削加工が行える。
また、本発明のドリルホルダにおいて、前記凹部は、前記軸線方向に延びるように溝状をなしており、該軸線方向に垂直な断面が凹曲線状とされていることとしてもよい。
この場合、凹部が、軸線方向に延びるように溝状をなしているので、ホルダ先端面に開口する凹部をランド部に容易に形成できるとともに、該凹部内のクーラント量(凹部に一時的に貯留されるクーラントの容量)を確保でき、十分な乱流作用を得ることができる。
また、凹部は、軸線方向に垂直な断面が凹曲線状とされているので、該凹部における局所的な応力集中が防止されて、ホルダ本体の機械的強度が確保されている。
また、凹部は、軸線方向に垂直な断面が凹曲線状とされているので、該凹部における局所的な応力集中が防止されて、ホルダ本体の機械的強度が確保されている。
また、本発明のドリルホルダにおいて、前記凹部は、前記ランド部に周方向に間隔をあけて複数形成されていることとしてもよい。
この場合、ランド部を通ってホルダ基端側へクーラントが流出してしまうことがより確実に抑制されて、前述した効果が顕著に得られることになる。
また、本発明のドリルホルダにおいて、前記凹部は、前記ホルダ本体の先端部にのみ形成されていることとしてもよい。
この場合、前述の効果を奏しつつも、ホルダ本体の剛性が十分に確保される。
また、本発明のドリルホルダにおいて、前記凹部は、前記ホルダ本体の先端から基端側に向けて、前記切屑排出溝に沿うように延びていることとしてもよい。
この場合、ホルダ先端面から、ランド部と加工穴の内周面との隙間を通ってホルダ本体の基端側へ流出しようとするクーラントが、凹部内において長い距離に亘って乱流作用を受けることになり、よって前述の効果が顕著に得られる。
本発明のドリルホルダ及び刃先交換式ドリルによれば、切削抵抗を増大させるようなことなく、ホルダ基端側へのクーラントの流出を抑制して、ホルダ本体の先端部にクーラントを十分に留まらせることができ、切れ刃の耐摩耗性が安定して高められ、安定して切削加工が行える。
以下、本発明の一実施形態に係るドリルホルダ1及びこれを用いた刃先交換式ドリル10について、図1〜図9を参照して説明する。
本実施形態のドリルホルダ1及び刃先交換式ドリル10は、ドリリングにより、鋼材等からなる被削材に加工穴を穿設するものである。
本実施形態のドリルホルダ1及び刃先交換式ドリル10は、ドリリングにより、鋼材等からなる被削材に加工穴を穿設するものである。
図1〜図4に示されるように、ドリルホルダ1は、軸状をなし、軸線O回りに回転されるホルダ本体2と、ホルダ本体2の先端部に、軸線Oを挟むように径方向の内方と外方とに少なくとも2つ形成され、切れ刃を有する切削インサート3が着脱可能に装着されるインサート取付座4と、ホルダ本体2の外周面に周方向に間隔をあけて複数形成され、このホルダ本体2の先端面5に開口するとともにインサート取付座4を含み、該ホルダ本体2の基端側に向けて延びる切屑排出溝6と、ホルダ本体2の内部を貫通するように形成され、該ホルダ本体2の先端部にクーラントを供給するクーラント供給孔7とを備えている。また、刃先交換式ドリル10は、このドリルホルダ1と、切削インサート3とを有する。
尚、以下の説明では、軸線O方向に垂直な方向を径方向と言い、軸線Oを中心に周回する方向を周方向と言うことがある。
尚、以下の説明では、軸線O方向に垂直な方向を径方向と言い、軸線Oを中心に周回する方向を周方向と言うことがある。
図3〜図5において、ホルダ本体2は、鋼材等により形成されており、軸線O方向(図3及び図4における上下方向)の基端側(図3及び図4における上側)部分がシャンク部8とされ、該シャンク部8の先端側(図3及び図4における下側)には、シャンク部8より大径のフランジ部9を介して、シャンク部8より小径の刃部11が形成されている。フランジ部9は、その基端側部分が最も大径とされており、該フランジ部9の先端側部分は、軸線O方向に沿って先端側に向かうに従い漸次径方向内方に向かって傾斜して形成されているとともに、刃部11の基端部に滑らかに連なっている。
この刃先交換式ドリル10は、ホルダ本体2のシャンク部8が不図示の工作機械の主軸に把持されて、軸線O回りに工具回転方向Tに回転させられることにより、切削インサート3の切れ刃で被削材に切れ込み、被削材を穴明け加工する。図5に示されるように、本実施形態における工具回転方向Tは、刃先交換式ドリル10を軸線O方向の先端側から見て、軸線Oを中心とした周方向のうち反時計回りの方向となっている。
図3〜図5において、ホルダ本体2の外周面には、刃部11の先端からフランジ部9に亘って、ホルダ先端から基端側に向かうに従い漸次工具回転方向Tの後方に向かって捩れるように、切屑排出溝6が螺旋状に延びて形成されている。本実施形態では、切屑排出溝6は、軸線Oを挟むように一対形成されている。図6〜図8に示されるように、切屑排出溝6の軸線O方向に垂直な断面は、工具回転方向Tの前方を向く壁面が直線状とされ、該壁面以外の部分が凹曲線状となっている。
また、図3〜図5において、ホルダ本体2の外周面のうち、周方向に隣り合う切屑排出溝6同士の間に位置する部位は、ランド部12となっている。ランド部12は、ホルダ本体2の先端面5の外周端縁に交差稜線を介して連なっており、この交差稜線から基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tの後方に向かって捩れるように、螺旋状に延びて形成されている。本実施形態では、ランド部12は、一対の切屑排出溝6に対応して、軸線Oを挟むように一対形成されている。
インサート取付座4は、多角形穴状又は円形穴状をなし、切屑排出溝6の先端部における工具回転方向Tの前方を向く壁面に形成されている。本実施形態では、インサート取付座4は、軸線Oを挟むように各切屑排出溝6に1つずつ、計2つ(一対)形成されている。
これらインサート取付座4のうち、径方向の外方に位置する一のインサート取付座4Aは、ホルダ本体2の先端面5及びランド部12に開口して形成されている。また、径方向の内方に位置する他のインサート取付座4Bは、軸線O近傍に配置されて、ホルダ本体2の先端面5に開口している。
このように、ホルダ本体2の先端部には、軸線Oに関して回転非対称に配置された複数のインサート取付座4が形成されている。
このように、ホルダ本体2の先端部には、軸線Oに関して回転非対称に配置された複数のインサート取付座4が形成されている。
切削インサート3は、超硬合金等からなり、多角形板状又は円形板状をなしている。本実施形態では、切削インサート3が正方形板状をなしており、これに対応して、前記インサート取付座4は正方形穴状に切り欠かれるように形成されている。切削インサート3は、厚さ方向を向く一対の正方形面のうち、一方を向く面がすくい面とされ、他方を向く面が着座面とされている。また、切削インサート3において厚さ方向に垂直な側方向を向く側面は、逃げ面となっている。そして、切削インサート3のすくい面と逃げ面との交差稜線が、前記切れ刃とされている。
切削インサート3には、厚さ方向に貫通する取付孔が形成されている。また、インサート取付座4において工具回転方向Tの前方を向く壁面には、ネジ孔が形成されている。そして、切削インサート3の取付孔にクランプネジが挿通されるとともに、該クランプネジがインサート取付座4のネジ孔にねじ込まれることにより、切削インサート3はインサート取付座4に着脱可能に装着される。
切削インサート3がインサート取付座4に装着された状態において、該切削インサート3のすくい面は工具回転方向Tの前方を向き、着座面はインサート取付座4において工具回転方向Tの前方を向く壁面に着座される。本実施形態では、一のインサート取付座4Aに装着される切削インサート3と、他のインサート取付座4Bに装着される切削インサート3とが互いに同一の構成を有する共通品とされている。
図1〜図5において、一のインサート取付座4Aに装着された切削インサート3は、すくい面の外周端縁に形成された複数の切れ刃のうち、一の切れ刃3aを先端面5から先端側へ向けて突出させ、他の切れ刃3bをランド部12から径方向外方に向けて突出させている。また、他のインサート取付座4Bに装着された切削インサート3は、一の切れ刃3aを先端面5から先端側へ向けて突出させている。
クーラント供給孔7は、ホルダ本体2の周方向に隣り合う切屑排出溝6同士の間(すなわちランド部12の径方向内方)に対応するように配置されている。本実施形態では、クーラント供給孔7は、一対のランド部12に対応して、軸線Oを挟むように一対形成されている。クーラント供給孔7は、ホルダ先端から基端側に向かうに従い漸次工具回転方向Tの後方に向かって捩れるように延びて形成されている。
特に図示しないが、これらクーラント供給孔7は、シャンク部8の基端面に開口されている。また、図5において、これらクーラント供給孔7のうち、一のクーラント供給孔7Aは、ホルダ本体2の先端面5に開口している。具体的に、一のクーラント供給孔7Aは、ホルダ本体2の先端面5における一のインサート取付座4Aの工具回転方向Tの前方に位置するように開口されている。また、これらクーラント供給孔7のうち、他のクーラント供給孔7Bは、ホルダ本体2の先端部に向けて、切屑排出溝6に開口している。具体的に、他のクーラント供給孔7Bは、他のインサート取付座4Bが配置された切屑排出溝6の先端部に開口されている。
そして、ランド部12には、ホルダ本体2の先端面5に開口する凹部13が形成されている。図1〜図3に示されるように、凹部13は、軸線O方向に延びるように溝状をなしており、その先端部は先端面5とランド部12との交差稜線を切り欠くように形成されて、先端側へ向け開口されている。また、図8及び図9に示されるように、凹部13は、軸線O方向に垂直な断面が凹曲線状とされている。本実施形態では、凹部13の断面は、凹円弧状となっている。
図3及び図5において、少なくとも凹部13は、インサート取付座4のうち径方向の外方に配置された一のインサート取付座4Aの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12に形成されている。本実施形態では、凹部13が、一のインサート取付座4Aの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12と、他のインサート取付座4Bの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12とに、それぞれ形成されている。
また、凹部13は、ランド部12に周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、凹部13が、各ランド部12に周方向に間隔をあけて2つずつ形成されている。また、図5、図8及び図9に示されるように、凹部13は、少なくともランド部12において工具回転方向Tの後方に位置する部位に形成されている。本実施形態では、凹部13は、ランド部12における工具回転方向Tの後方に位置する部位と、この部位に隣り合うように該部位より工具回転方向Tの前方に位置する部位とに形成されている。
図5において、具体的に、一のインサート取付座4Aの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12に形成された一対の凹部13のうち、工具回転方向Tの前方に位置する凹部13は、一のクーラント供給孔7Aが先端面5に開口する部位(開口部)に対して、径方向外方に接近して配置されている。また、前記一対の凹部13のうち、工具回転方向Tの後方に位置する凹部13は、一のクーラント供給孔7Aの開口部に接近しつつ、該開口部よりも工具回転方向Tの後方に配置されている。
ここで、図1に示される例では、凹部13は、ホルダ本体2の先端部にのみ形成されている。具体的に、図1において、凹部13は、軸線O方向に沿って直線状に延びており、凹部13の軸線O方向に沿う長さ(先端面5から凹部13の基端側の端縁までの長さ)は、インサート取付座4の軸線O方向に沿う長さ(先端面5からインサート取付座4の基端側の端縁までの長さ)より若干長く、よって該凹部13の基端部は、インサート取付座4より僅かに軸線O方向の基端側に位置するように配置されている。
また、凹部13の基端部には、先端側を向くように凹球面状をなす壁面が形成されており、該壁面の開口端縁(つまり当該壁面とランド部12との交差稜線)は、基端側に向けて窪む凹曲線状となっている。また、各ランド部12に形成された一対の凹部13のうち、工具回転方向Tの前方に位置する凹部13の長さ(先端面5から凹部13の基端側の端縁までの長さ)は、工具回転方向Tの後方に位置する凹部13の前記長さよりも長くなっている。
また、図1で説明した凹部13と同様の構成を有しつつも、図2〜図4に示される例では、凹部13の構成が下記の点で異なっている。すなわち、図2〜図4において、凹部13は、ホルダ本体2の先端から基端側に向けて、軸線O方向に延びるように形成されつつ、切屑排出溝6に沿うように延びている。具体的に、図3において、凹部13は、その先端側部分が軸線O方向に沿って直線状に延びており、該先端側部分以外の部分が、基端側に向かうに従い漸次工具回転方向Tの後方に向かって捩れるように、螺旋状に延びて形成されている。図2〜図4において、凹部13の軸線O方向に沿う長さは、刃部11の軸線O方向に沿う長さの1/3以上1/2以下となっている。
以上説明したように、本実施形態のドリルホルダ1及び刃先交換式ドリル10によれば、ホルダ本体2の外周面におけるランド部12に、該ホルダ本体2の先端面5に開口する凹部13が形成されているので、下記の効果を奏する。
すなわち、クーラント供給孔7からホルダ本体2の先端部に供給されたクーラントは、その一部が、ホルダ先端面5からランド部12と加工穴の内周面との間の隙間を通って該ホルダ本体2の基端側へ向けて流出しようとするが、この際、ランド部12に形成された凹部13内において、クーラントの乱流が生じることになる。つまり、凹部13に流入したクーラントが該凹部13内で渦を巻くように流れ、これにより、クーラントの流速が低下するとともに圧力損失が大きくなって、ホルダ先端面5から前記隙間に向けてクーラントが流出することが抑制される。
すなわち、クーラント供給孔7からホルダ本体2の先端部に供給されたクーラントは、その一部が、ホルダ先端面5からランド部12と加工穴の内周面との間の隙間を通って該ホルダ本体2の基端側へ向けて流出しようとするが、この際、ランド部12に形成された凹部13内において、クーラントの乱流が生じることになる。つまり、凹部13に流入したクーラントが該凹部13内で渦を巻くように流れ、これにより、クーラントの流速が低下するとともに圧力損失が大きくなって、ホルダ先端面5から前記隙間に向けてクーラントが流出することが抑制される。
このように、ホルダ基端側へのクーラントの流出が抑制されるので、クーラントがホルダ本体2の先端部に留まりやすくなり、従ってクーラント供給量を増大させることなく、ホルダ本体2の先端部へのクーラント供給量が十分に確保されて、切れ刃3a、3bの耐摩耗性を高めることで切削インサート3の工具寿命の延長が可能となり、安定して切削加工が行える。
また、この構成によれば、例えばホルダ基端側へのクーラントの流出を抑制する目的で、ランド部12を加工穴の内周面に当接させる必要はないので、切削抵抗が増大することもない。
また、この構成によれば、例えばホルダ基端側へのクーラントの流出を抑制する目的で、ランド部12を加工穴の内周面に当接させる必要はないので、切削抵抗が増大することもない。
また本実施形態において、ホルダ本体2の先端部には、軸線Oを挟むように径方向内方と径方向外方とに少なくとも2つのインサート取付座4が形成されている。つまり、これらインサート取付座4のうち、径方向外方に位置する一のインサート取付座4Aに装着された切削インサート3の切削速度は、径方向内方に位置する他のインサート取付座4Bに装着された切削インサート3の切削速度よりも速くなる。
そして、本実施形態によれば、少なくとも凹部13が、一のインサート取付座4Aの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12に形成されているので、前述の乱流作用によって該ランド部12からホルダ基端側へのクーラントの流出が抑制されるとともに、該一のインサート取付座4Aに装着された切削インサート3に対するクーラントの供給量が十分に確保される。すなわち、切削速度が速くクーラント供給量を多く必要とする径方向外方の切削インサート3に対して、クーラントを十分に供給することができるので、より安定した切削加工が行える。
尚、本実施形態では、凹部13は、一のインサート取付座4Aの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12のみならず、他のインサート取付座4Bの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12にも形成されていることから、これらインサート取付座4A、4Bに装着される各切削インサート3に対して、クーラントを十分に供給できる。
尚、本実施形態では、凹部13は、一のインサート取付座4Aの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12のみならず、他のインサート取付座4Bの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12にも形成されていることから、これらインサート取付座4A、4Bに装着される各切削インサート3に対して、クーラントを十分に供給できる。
また、凹部13が、軸線O方向に延びるように溝状をなしているので、ホルダ先端面5に開口する凹部13をランド部12に容易に形成できるとともに、該凹部13内のクーラント量(凹部13に一時的に貯留されるクーラントの容量)を確保でき、十分な乱流作用を得ることができる。
また、凹部13は、軸線O方向に垂直な断面が凹曲線状とされているので、該凹部13における局所的な応力集中が防止されて、ホルダ本体2の機械的強度が確保されている。
また、凹部13は、軸線O方向に垂直な断面が凹曲線状とされているので、該凹部13における局所的な応力集中が防止されて、ホルダ本体2の機械的強度が確保されている。
また、凹部13が、ランド部12に周方向に間隔をあけて複数形成されているので、該ランド部12を通ってホルダ基端側へクーラントが流出してしまうことがより確実に抑制されて、前述した効果が顕著に得られることになる。
また、図1に示される例では、凹部13がホルダ本体2の先端部にのみ形成されているので、前述の効果を奏しつつも、ホルダ本体2の剛性が十分に確保される。
また、図2〜図4に示される例では、凹部13がホルダ本体2の先端から基端側に向けて、切屑排出溝6に沿うように延びているので、ホルダ先端面5から、ランド部12と加工穴の内周面との隙間を通ってホルダ本体2の基端側へ流出しようとするクーラントが、凹部13内において長い距離に亘って乱流作用を受けることになり、よって前述の効果が顕著に得られる。
また、図5において、凹部13が、少なくともランド部12において工具回転方向Tの後方に位置する部位に形成されているので、ホルダ先端面5からランド部12に向けて流出したクーラントが、この凹部13に捕捉されやすくなる。すなわち、クーラントが、例えばランド部12における凹部13よりも工具回転方向Tの前方に向けてホルダ先端面5から流出したとしても、該凹部13が工具回転方向Tの後方から追いかけるようにクーラントを捕捉するので、クーラントが凹部13内に流入しやすくなり、従って前述の乱流作用が得られやすい。
また、一のインサート取付座4Aの工具回転方向Tの前方に位置するランド部12には、一対の凹部13が形成されており、これら凹部13のうち、工具回転方向Tの前方に位置する凹部13がクーラント供給孔7Aの開口部に対応するようにその径方向外方に配置され、工具回転方向Tの後方に位置する凹部13がクーラント供給孔7Aの開口部より工具回転方向Tの後方に配置されている。このような配置により、クーラント供給孔7Aから送出されたクーラントが、その接近するランド部12と加工穴の内周面との隙間を通ってホルダ基端側へ向けて流出することが効果的に抑制される。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述した実施形態では、切屑排出溝6、ランド部12及びクーラント供給孔7が、それぞれ一対ずつ形成されているとしたが、これら切屑排出溝6、ランド部12及びクーラント供給孔7の数は、前述の実施形態に限定されない。
また、インサート取付座4が、各切屑排出溝6の先端部に1つずつ形成されているとしたが、インサート取付座4の数についても前述の実施形態に限定されるものではなく、各切屑排出溝6に複数(例えば2つずつ)形成されていてもよい。
また、ランド部12には、凹部13が複数形成されているとしたが、これに限らず、ランド部12には、凹部13が1つだけ形成されていてもよい。
また、インサート取付座4が、各切屑排出溝6の先端部に1つずつ形成されているとしたが、インサート取付座4の数についても前述の実施形態に限定されるものではなく、各切屑排出溝6に複数(例えば2つずつ)形成されていてもよい。
また、ランド部12には、凹部13が複数形成されているとしたが、これに限らず、ランド部12には、凹部13が1つだけ形成されていてもよい。
また、図1に示される例では、凹部13がホルダ本体2の先端部にのみ形成され、図2〜図4に示される例では、凹部13の軸線O方向に沿う長さが刃部11の軸線O方向に沿う長さの1/3以上1/2以下であるとしたが、凹部13の軸線O方向に沿う長さは、前述の実施形態に限定されない。すなわち、例えば凹部13は、刃部11の軸線O方向に沿う全長に亘り形成されていてもよい。この場合、凹部13内における切屑詰まりをより確実に防止することができる。
また、前述の実施形態では、凹部13が軸線O方向に延びるように溝状をなしているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、凹部13は、ランド部12に形成されているとともに、ホルダ先端面5に開口していればよいことから、前述した溝状以外の円穴状や多角形穴状等でも構わない。
また、前述の実施形態では、複数のインサート取付座4A、4Bに対して、共通品である切削インサート3がそれぞれ装着されるとしたが、これに限定されず、各インサート取付座4A、4Bに対応して、互いに異なる形状の切削インサート3が装着されることとしても構わない。ただし、本実施形態のように切削インサート3を共通品とした場合には、部品点数を削減できるとともに、管理が容易である。
1 ドリルホルダ
2 ホルダ本体
3 切削インサート
3a、3b 切れ刃
4 インサート取付座
4A 径方向外方に配置された一のインサート取付座
5 ホルダ本体の先端面
6 切屑排出溝
7 クーラント供給孔
10 刃先交換式ドリル
12 ランド部
13 凹部
O 軸線
T 工具回転方向
2 ホルダ本体
3 切削インサート
3a、3b 切れ刃
4 インサート取付座
4A 径方向外方に配置された一のインサート取付座
5 ホルダ本体の先端面
6 切屑排出溝
7 クーラント供給孔
10 刃先交換式ドリル
12 ランド部
13 凹部
O 軸線
T 工具回転方向
Claims (7)
- 軸状をなし、軸線回りに回転されるホルダ本体と、
前記ホルダ本体の先端部に、前記軸線を挟むように径方向の内方と外方とに少なくとも2つ形成され、切れ刃を有する切削インサートが着脱可能に装着されるインサート取付座と、
前記ホルダ本体の外周面に周方向に間隔をあけて複数形成され、このホルダ本体の先端面に開口するとともに前記インサート取付座を含み、該ホルダ本体の基端側に向けて延びる切屑排出溝と、
前記ホルダ本体の内部を貫通するように形成され、該ホルダ本体の先端部にクーラントを供給するクーラント供給孔と、を備えたドリルホルダであって、
前記ホルダ本体の外周面のうち、周方向に隣り合う切屑排出溝同士の間のランド部に、前記先端面に開口する凹部が形成されていることを特徴とするドリルホルダ。 - 請求項1に記載のドリルホルダであって、
少なくとも前記凹部は、前記インサート取付座のうち径方向の外方に配置された一のインサート取付座の工具回転方向の前方に位置する前記ランド部に形成されていることを特徴とするドリルホルダ。 - 請求項1又は2に記載のドリルホルダであって、
前記凹部は、前記軸線方向に延びるように溝状をなしており、該軸線方向に垂直な断面が凹曲線状とされていることを特徴とするドリルホルダ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のドリルホルダであって、
前記凹部は、前記ランド部に周方向に間隔をあけて複数形成されていることを特徴とするドリルホルダ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のドリルホルダであって、
前記凹部は、前記ホルダ本体の先端部にのみ形成されていることを特徴とするドリルホルダ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のドリルホルダであって、
前記凹部は、前記ホルダ本体の先端から基端側に向けて、前記切屑排出溝に沿うように延びていることを特徴とするドリルホルダ。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のドリルホルダと、前記切削インサートと、を備えたことを特徴とする刃先交換式ドリル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011073418A JP2012206204A (ja) | 2011-03-29 | 2011-03-29 | ドリルホルダ及び刃先交換式ドリル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011073418A JP2012206204A (ja) | 2011-03-29 | 2011-03-29 | ドリルホルダ及び刃先交換式ドリル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012206204A true JP2012206204A (ja) | 2012-10-25 |
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ID=47186442
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2011073418A Withdrawn JP2012206204A (ja) | 2011-03-29 | 2011-03-29 | ドリルホルダ及び刃先交換式ドリル |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2012206204A (ja) |
-
2011
- 2011-03-29 JP JP2011073418A patent/JP2012206204A/ja not_active Withdrawn
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