JP2012179607A - 銅又は銅合金の連続鋳造方法およびそれに使用する鋳造リング - Google Patents
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Abstract
【課題】高い冷却能力を持ち生産性に優れ、かつ鋳塊表面品質に優れた、銅又は銅合金の連続鋳造方法およびその方法に使用する鋳造リングを提供する。
【解決手段】ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の鋳造において、導電率20%IACS以上50%IACS以下の鋳造リング23を使用する連続鋳造方法。
【選択図】図2
【解決手段】ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の鋳造において、導電率20%IACS以上50%IACS以下の鋳造リング23を使用する連続鋳造方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、銅線材または自動車用ワイヤーハーネスやロボット用ケーブルやその他の信号用線などとして使用する銅合金線材の製造に関し、特に、銅または銅合金をベルト&ホイール法で連続鋳造する方法およびそれに利用する鋳造リングに関する。
一般に鋳型として使用される合金は高温強度と高熱伝導度が要求される。現在ベルト&ホイール法に使用されている鋳造リングの材質は、熱伝導の良い高導電率(80〜95%IACS)銅合金のCu−Cr−Zr合金やCu−Ag合金が中心である。熱伝導が良いため鋳塊の冷却能力に優れ、高い生産能力を発揮することができる。
また、ベルト&ホイール鋳造機が開発された初期においては、鉄製の鋳造リングを使用して鋳造を行っていた。鉄製の鋳造リングは導電率が17%IACSであり、銅の鋳造リングと比較して熱伝達率が小さいために冷却能力が弱く、鋳造速度を上げることが困難でであった。また、鉄の脆性によってリング表面に割れ欠陥が発生し、長時間の鋳造作業を行うことはできなかった。
また、ベルト&ホイール鋳造機が開発された初期においては、鉄製の鋳造リングを使用して鋳造を行っていた。鉄製の鋳造リングは導電率が17%IACSであり、銅の鋳造リングと比較して熱伝達率が小さいために冷却能力が弱く、鋳造速度を上げることが困難でであった。また、鉄の脆性によってリング表面に割れ欠陥が発生し、長時間の鋳造作業を行うことはできなかった。
特異な例としてCu−Cr−Zr−Alのような低導電率の銅合金鋳型材料を使用することがあるが、この鋳型は冷却条件変更を目的とするものではなく電磁攪拌用として使われているのみである(例えば、特許文献1参照)。
一般にCu−Ag合金(EC:92%IACS)やCu−Cr−Zr合金(EC:80%IACS)を用いた銅合金鋳造リングは溶湯が鋳型に接触した直後は熱伝導が良いため強冷されることにより、凝固初期スキンが凝固収縮によるエアーギャップで冷却が阻害されてしまう。そのため凝固開始後の冷却が不均一になり凝固シェルの厚さにバラつきが生じ、脆弱な箇所で割れが発生する。この微細割れは圧延工程を経て荒引線となったときに表面欠陥として現れ、伸線工程で断線する等深刻な問題を引き起こす原因となる。また、この表面欠陥部分を除去するために圧延後皮ムキすることで歩留も低下してしまう。
このように高導電率の銅合金鋳造リングは鋳塊の生産性に優れるが鋳塊の表面品質に問題がある。
そこで本発明は、高い冷却能力を持ち生産性に優れ、かつ鋳塊表面品質に優れた、銅又は銅合金の連続鋳造方法およびその方法に使用する鋳造リングを提供することを目的とする。
このように高導電率の銅合金鋳造リングは鋳塊の生産性に優れるが鋳塊の表面品質に問題がある。
そこで本発明は、高い冷却能力を持ち生産性に優れ、かつ鋳塊表面品質に優れた、銅又は銅合金の連続鋳造方法およびその方法に使用する鋳造リングを提供することを目的とする。
上記課題の達成のため、さまざまな導電率の鋳造リングを作成し、鋳塊の表面品質と生産性を両立する条件の探索を行い、20%IACS未満の導電率の鋳造リングで鋳造する場合は、冷却能力が不十分であり生産性が著しく低下してしまうので、この点を克服する所定の導電率の鋳造リングを見出した。
すなわち本発明は、以下の解決手段により課題を解決するものである。
すなわち本発明は、以下の解決手段により課題を解決するものである。
(1)ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の鋳造において、導電率20%以上50%IACS以下の銅合金鋳造リングを使用する連続鋳造方法。
(2)ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の鋳造において、鋳造金属の導電率A(%IACS)に対し、下記の式(I)を満足する導電率B(%IACS)を有する鋳造リングを使用する連続鋳造方法。
20≦B<0.225×A+27.5 (I)
A:鋳造金属の導電率(%IACS)
B:鋳造リングの導電率(%IACS)
(2)ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の鋳造において、鋳造金属の導電率A(%IACS)に対し、下記の式(I)を満足する導電率B(%IACS)を有する鋳造リングを使用する連続鋳造方法。
20≦B<0.225×A+27.5 (I)
A:鋳造金属の導電率(%IACS)
B:鋳造リングの導電率(%IACS)
(3)ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の連続鋳造において使用する、導電率20%IACS以上50%IACS以下の鋳造リング。
(4)銅又は銅合金の連続鋳造に用いられるベルト&ホイール型の連続鋳造装置であって、導電率20%IACS以上50%IACS以下の鋳造リングを用いることを特徴とする連続鋳造装置。
(4)銅又は銅合金の連続鋳造に用いられるベルト&ホイール型の連続鋳造装置であって、導電率20%IACS以上50%IACS以下の鋳造リングを用いることを特徴とする連続鋳造装置。
本発明では、50%IACS以下の低導電率の銅合金鋳造リングを使用することで注湯直後のエアーギャップの生成を抑制することができる。そのため凝固初期のエアーギャップによる熱伝達の阻害が緩和され安定した冷却をすることができ、その結果脆弱な箇所のない均一の安定した凝固シェルを形成することができる。また、過冷却が大きくなることで核生成頻度が高くなり、鋳塊表面近傍の鋳塊組織を微細化することができる。これらの効果により鋳塊の表面品質を向上させることができ、鋳塊表面の割れを抑制することができる。さらに、鋳塊品質の改善によって荒引線の表面欠陥を抑制することができ、荒引線の高品質化とともに歩留向上を実現することができる。
本発明のベルト&ホイール法で、銅または銅合金を連続鋳造し、線材とする工程について図面を参照して説明する。
図1は本発明の連続鋳造法によって得る鋳塊をさらに線材とする全工程の一例を示す説明図である。銅(又は銅合金)線材の製造方法は、電気銅の地金等を例えば図に示すように、シャフト炉1を用いて還元性雰囲気で溶解して溶銅を得て、該溶銅を樋2を経てタンディッシュ3内に連続的に導く。該タンディッシュ3内の溶湯5を注湯ノズル4から、ターンロールにより回動するベルト6とホイール7により構成されたベルト&ホイール鋳造機8内に注入し、冷却固化して鋳塊9とし、鋳塊9を前記鋳型から連続的に引き出す。この凝固した鋳塊9の温度をできるだけ低下させない状態(好ましくは800℃以上)で、連続圧延機10(2方ロール方式、又は3方ロール方式)で所定の線径まで圧延を行い、荒引線材11とする。その荒引線材11はそのまま巻き取られるか、または図1に示される伸線圧延機12で更に圧延し、伸線材13としパレット14に巻き取る。図1において、伸線圧延機12の設置は任意である。
図1は本発明の連続鋳造法によって得る鋳塊をさらに線材とする全工程の一例を示す説明図である。銅(又は銅合金)線材の製造方法は、電気銅の地金等を例えば図に示すように、シャフト炉1を用いて還元性雰囲気で溶解して溶銅を得て、該溶銅を樋2を経てタンディッシュ3内に連続的に導く。該タンディッシュ3内の溶湯5を注湯ノズル4から、ターンロールにより回動するベルト6とホイール7により構成されたベルト&ホイール鋳造機8内に注入し、冷却固化して鋳塊9とし、鋳塊9を前記鋳型から連続的に引き出す。この凝固した鋳塊9の温度をできるだけ低下させない状態(好ましくは800℃以上)で、連続圧延機10(2方ロール方式、又は3方ロール方式)で所定の線径まで圧延を行い、荒引線材11とする。その荒引線材11はそのまま巻き取られるか、または図1に示される伸線圧延機12で更に圧延し、伸線材13としパレット14に巻き取る。図1において、伸線圧延機12の設置は任意である。
次に、本発明に係るベルト&ホイール法で利用するベルト&ホイール鋳造機について、その断面図を図2に示す。
移動鋳型式であるベルト&ホイール鋳造機は、ホイール21、駆動ロール24で可動する冷却作用をもつ鋳造ベルト22およびホイール21の外周に設けられた鋳造リング23を有する。注湯ノズル25から金属溶湯26をホイール21の外周の鋳造リング23へ注湯する。注湯された金属溶湯26は回転移動する鋳造リング内で冷却し、徐々に凝固し鋳塊27を形成する。図2では溶湯が凝固し、鋳塊を形成するのを模式的に示している。鋳造速度は、通常の操業において実用化されている6〜15m/min(100〜250mm/sec)であり、鋳塊断面積は1930mm2〜6450mm2である。
移動鋳型式であるベルト&ホイール鋳造機は、ホイール21、駆動ロール24で可動する冷却作用をもつ鋳造ベルト22およびホイール21の外周に設けられた鋳造リング23を有する。注湯ノズル25から金属溶湯26をホイール21の外周の鋳造リング23へ注湯する。注湯された金属溶湯26は回転移動する鋳造リング内で冷却し、徐々に凝固し鋳塊27を形成する。図2では溶湯が凝固し、鋳塊を形成するのを模式的に示している。鋳造速度は、通常の操業において実用化されている6〜15m/min(100〜250mm/sec)であり、鋳塊断面積は1930mm2〜6450mm2である。
従来のベルト&ホイール法での連続鋳造では、周知のDC鋳造や水平横型連続鋳造方式に比較して圧倒的に鋳造速度が速い為に、固液共存領域は鋳造方向に長く存在し、金属銅や銅合金において最終凝固部位にも凝固シェルの厚さのバラつきが発生しやすくなる。そして、高導電率の鋳造リングは溶湯がリングに接触した直後は熱伝導が良いため強冷されることにより、すぐに凝固収縮によるエアーギャップが発生し冷却が阻害され、冷却が不均一となり、凝固シェルの厚さが一定しないことが分かった。これにより、荒引線の表面欠陥となり伸線での断線を招くものとなる。
そこで発明者らは、鋳造リングの導電率を低くすることを考え、導電率の小さい、すなわち熱伝導の悪い鋳造リングは凝固速度が遅いため、より初期冷却を安定的に行い得ることができると思われ、処理される銅または銅合金の導電率と鋳造リングの導電率との関係を調べた。
導電率の異なる各種合金を用いて検討した結果、鋳造リングの導電率(%IACS)は20%IACS以上50%IACS以下が望ましいことが明らかとなった。
以上のことより、銅又は銅合金の鋳造に当たっては、鋳造リングの導電率は、20%IACS以上50%IACS以下、好ましくは20%IACS以上40%IACS以下である材質を選択することが望ましい。
このような材料としては、Cu−Cr−Zr−Al合金、Cu−Be合金、りん青銅、コルソン合金、Cu−1%Cr合金などがある。
このような材料としては、Cu−Cr−Zr−Al合金、Cu−Be合金、りん青銅、コルソン合金、Cu−1%Cr合金などがある。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、たとえばサンプルおよびその作製条件などは具体的一例にすぎず、本発明はこれに制限されるものではない。
[実施例1]
表1〜3に示すように、各13〜80%IACSの導電率を有する鋳塊断面積3220mm2の鋳造リングを使って、鋳造速度20ton/時でΦ8mmの0.7%Sn含有のタフピッチ銅(表1参照)、Cu−1%Cr合金(表2参照)およびCu−2.5%Ni−0.6%Siコルソン合金(表3参照)の合金荒引線をSCR法で製造し、Φ0.1mmまで伸線を行った。表1〜3に荒引線製造時の渦流探傷器の検出結果と荒引線皮ムキしての伸線した時の断線の有無により製品の良否判定を行った結果を示す。
表1〜3に示す渦流探傷器の検出結果については、皮ムキを行わなかった場合、断線には至らないような微少な欠陥を「s」、まれに断線を引き起こすような欠陥を「m」、断線の原因となる深刻な欠陥を「l」とし、1ton当りで検出されたそれぞれの個数をカウントした。さらに、それぞれの欠陥をs=1、m=20、l=100と重み付けをし、その合計値dで探傷結果の総合的な評価を行った。該合計値dが50未満のものを「◎」、50以上のものを「○」、100以上のものを「×」と評価した。また、皮ムキ量と断線判定は、Φ8mm荒引線5000kgを表示のように片側0〜0.3mm厚さで皮ムキをしてΦ0.1mmまで伸線した時、断線したものを「×」、断線しなかったものを「○」と評価した。
表1〜3の最右欄の「評価」において、片側の皮ムキが0mmまたは0.1mmのときに断線しなかったものを「○」、片側の皮ムキが0mmおよび0.1mmのときに断線し、片側の皮ムキが0.2mmのときに断線しなかったものを「△」、片側の皮ムキが0.2mmのときに断線したものを「×」と評価した。
[実施例1]
表1〜3に示すように、各13〜80%IACSの導電率を有する鋳塊断面積3220mm2の鋳造リングを使って、鋳造速度20ton/時でΦ8mmの0.7%Sn含有のタフピッチ銅(表1参照)、Cu−1%Cr合金(表2参照)およびCu−2.5%Ni−0.6%Siコルソン合金(表3参照)の合金荒引線をSCR法で製造し、Φ0.1mmまで伸線を行った。表1〜3に荒引線製造時の渦流探傷器の検出結果と荒引線皮ムキしての伸線した時の断線の有無により製品の良否判定を行った結果を示す。
表1〜3に示す渦流探傷器の検出結果については、皮ムキを行わなかった場合、断線には至らないような微少な欠陥を「s」、まれに断線を引き起こすような欠陥を「m」、断線の原因となる深刻な欠陥を「l」とし、1ton当りで検出されたそれぞれの個数をカウントした。さらに、それぞれの欠陥をs=1、m=20、l=100と重み付けをし、その合計値dで探傷結果の総合的な評価を行った。該合計値dが50未満のものを「◎」、50以上のものを「○」、100以上のものを「×」と評価した。また、皮ムキ量と断線判定は、Φ8mm荒引線5000kgを表示のように片側0〜0.3mm厚さで皮ムキをしてΦ0.1mmまで伸線した時、断線したものを「×」、断線しなかったものを「○」と評価した。
表1〜3の最右欄の「評価」において、片側の皮ムキが0mmまたは0.1mmのときに断線しなかったものを「○」、片側の皮ムキが0mmおよび0.1mmのときに断線し、片側の皮ムキが0.2mmのときに断線しなかったものを「△」、片側の皮ムキが0.2mmのときに断線したものを「×」と評価した。
いずれの合金も20%以上50%IACS以下の鋳造リングを使ったときの方が探傷結果、断線判定ともに優れた結果となった。また、20%IACS未満の鋳造リングを使った場合は冷却能力が不十分であったため鋳塊中心部への溶湯供給が足りず、これが大きなシュリンケージとなって断線不良の原因となった。
50%IACSを越える鋳造リングでは、前述のように鋳塊表面に微細割れが発生し表面品質が悪化するため好ましくない。
50%IACSを越える鋳造リングでは、前述のように鋳塊表面に微細割れが発生し表面品質が悪化するため好ましくない。
[実施例2]
表4に示した導電率を有する各種合金に対し、表示の導電率を有する鋳造リングを使用して、実施例1と同様の条件で鋳造、伸線を実施し、実施例1と同様に評価を行った。この結果の中で、特に結果が良好であったものとそうでないものを表4及び図3に示した。なお、表4に示す「より望ましい導電率b」とは、合金導電率aを下記式(II)の(0.225×a+27.5)にあてはめた値であるのに対し、「鋳造リング導電率」とは実際に使用した鋳造リングの導電率のことである。この場合、「bとの適合」とは「実際に使用した鋳造リングの導電率と下記式(II)との適合」を意味し、実際に使用した鋳造リングの導電率が下記式(II)のbの範囲内にあったものを「○」、実際に使用した鋳造リングの導電率が下記式(II)のbの上限より大きく、かつ50%IACS以下であったものを「△」と評価した。
導電率の異なる各種合金で実験した結果、以下の式(II)に従い鋳造リング材質を選択することが特に望ましいことが明らかとなった。
20≦b<0.225×a+27.5 (II)
a:鋳造合金導電率(%IACS)
b:鋳造リング導電率(%IACS)
表4に示した導電率を有する各種合金に対し、表示の導電率を有する鋳造リングを使用して、実施例1と同様の条件で鋳造、伸線を実施し、実施例1と同様に評価を行った。この結果の中で、特に結果が良好であったものとそうでないものを表4及び図3に示した。なお、表4に示す「より望ましい導電率b」とは、合金導電率aを下記式(II)の(0.225×a+27.5)にあてはめた値であるのに対し、「鋳造リング導電率」とは実際に使用した鋳造リングの導電率のことである。この場合、「bとの適合」とは「実際に使用した鋳造リングの導電率と下記式(II)との適合」を意味し、実際に使用した鋳造リングの導電率が下記式(II)のbの範囲内にあったものを「○」、実際に使用した鋳造リングの導電率が下記式(II)のbの上限より大きく、かつ50%IACS以下であったものを「△」と評価した。
導電率の異なる各種合金で実験した結果、以下の式(II)に従い鋳造リング材質を選択することが特に望ましいことが明らかとなった。
20≦b<0.225×a+27.5 (II)
a:鋳造合金導電率(%IACS)
b:鋳造リング導電率(%IACS)
[実施例3]
鋳造速度を変化させたときの実施例である。
Cu−2.5%Ni−0.6%Siのコルソン合金を鋳塊断面積3220mm2で、表5に示す導電率を有する各種の鋳造リングを使用し、鋳造速度を変更し、それ以外は実施例1と同様に鋳造した。
80%IACSの鋳造リングで通常の鋳造速度V0(200mm/秒)を基準とし、実施した鋳造速度Vにより、相対速度である鋳造速度Vrを評価した。Vr=V/V0である。
鋳造速度が冷却速度に対して速すぎると鋳塊温度が高くなりすぎて鋳塊強度が低下して割れが生じたり、鋳塊中心部に大きなシュリンケージが残存したりして断線の原因となる。そこで、実施結果の良否判定はΦ8mmの荒引線5000kgを片側0.1mm皮ムキして伸線した時に断線しなかったものを「○」、断線したものを「×」と評価した。
結果を表5に示した。
鋳造速度を変化させたときの実施例である。
Cu−2.5%Ni−0.6%Siのコルソン合金を鋳塊断面積3220mm2で、表5に示す導電率を有する各種の鋳造リングを使用し、鋳造速度を変更し、それ以外は実施例1と同様に鋳造した。
80%IACSの鋳造リングで通常の鋳造速度V0(200mm/秒)を基準とし、実施した鋳造速度Vにより、相対速度である鋳造速度Vrを評価した。Vr=V/V0である。
鋳造速度が冷却速度に対して速すぎると鋳塊温度が高くなりすぎて鋳塊強度が低下して割れが生じたり、鋳塊中心部に大きなシュリンケージが残存したりして断線の原因となる。そこで、実施結果の良否判定はΦ8mmの荒引線5000kgを片側0.1mm皮ムキして伸線した時に断線しなかったものを「○」、断線したものを「×」と評価した。
結果を表5に示した。
本発明で規定する範囲の導電率を有する鋳造リングでは、エアーギャップの生成を抑制できることで、凝固初期段階では高導電率の鋳造リングよりもむしろ強力に冷却することができ、さらに鉄製鋳造リングより導電率が高いため、全体の冷却能力を高導電率リングより高くすることができた。各種導電率の鋳造リングを使った実験で導電率20〜50%IACSの領域で現状より最大1.2倍鋳造速度を上げることができた。
[実施例4]
各種合金を導電率の異なる鋳造リングを使用して実施例1と同様に鋳造、圧延、伸線を行なった。鋳塊の結晶粒径(μm)を鋳塊表面から2mmの場所の結晶粒の成長方向と垂直方向に交線法で測定した。また、実施例1と同様に評価を行った。
得られた結果を表6に示した。
各種合金を導電率の異なる鋳造リングを使用して実施例1と同様に鋳造、圧延、伸線を行なった。鋳塊の結晶粒径(μm)を鋳塊表面から2mmの場所の結晶粒の成長方向と垂直方向に交線法で測定した。また、実施例1と同様に評価を行った。
得られた結果を表6に示した。
比較例に比べ本発明で規定する範囲の低導電率の鋳造リングを使用することで、鋳型近傍の過冷却が大きくなって核生成頻度が高くなり、鋳塊表面近傍の鋳塊組織が微細化し鋳塊表面品質を向上させることができるのが明らかになった。その結果、表面欠陥を軽減することができ、より少ない皮ムキ量でも断線することなく伸線することができた。
1 シャフト炉
2 樋
3 タンディッシュ
4 スパウト
5 溶湯
6 ベルト
7 ホイール
8 ベルト&ホイール鋳造機
9 鋳塊
10 連続圧延機
11 荒引線材
12 伸線圧延機
13 伸線材
14 パレット
21 ホイール
22 ベルト
23 鋳造リング
24 駆動ロール
25 注湯ノズル
26 溶湯
27 鋳塊
2 樋
3 タンディッシュ
4 スパウト
5 溶湯
6 ベルト
7 ホイール
8 ベルト&ホイール鋳造機
9 鋳塊
10 連続圧延機
11 荒引線材
12 伸線圧延機
13 伸線材
14 パレット
21 ホイール
22 ベルト
23 鋳造リング
24 駆動ロール
25 注湯ノズル
26 溶湯
27 鋳塊
Claims (4)
- ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の鋳造において、導電率20%IACS以上50%IACS以下の鋳造リングを使用する連続鋳造方法。
- ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の鋳造において、鋳造金属の導電率A(%IACS)に対し、下記の式(I)を満足する導電率B(%IACS)を有する鋳造リングを使用する連続鋳造方法。
20≦B<0.225×A+27.5 (I)
A:鋳造金属の導電率(%IACS)
B:鋳造リングの導電率(%IACS) - ベルト&ホイール法での銅又は銅合金の連続鋳造において使用する、導電率20%IACS以上50%IACS以下の鋳造リング。
- 銅又は銅合金の連続鋳造に用いられるベルト&ホイール型の連続鋳造装置であって、導電率20%IACS以上50%IACS以下の鋳造リングを用いることを特徴とする連続鋳造装置。
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