JP2012162598A - π共役系導電性高分子複合体およびその製造方法、導電性高分子溶液ならびに帯電防止塗膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸とπ共役系導電性高分子とを含むπ共役系導電性高分子複合体は、大量製造が容易であり、該π共役系導電性高分子複合体を含有する帯電防止塗膜は、耐熱性に優れる。
【選択図】なし
Description
π共役系導電性高分子の中でもポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)のポリスチレンスルホン酸複合体(以下、PEDOT/PSSと略すことがある)は導電性が高く、透明性に優れるため、様々な分野への応用が進められている。
π共役系導電性高分子を含む導電性塗膜を形成する方法として、質量平均分子量が2,000〜500,000のポリスチレンスルホン酸の存在下で、酸化剤を用いて、3,4−ジアルコキシチオフェンを化学酸化重合してポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)溶液を製造し、その溶液を基材に塗布する方法が提案されている(特許文献1参照)。
耐熱性を向上させるため、特許文献2では高分子のドーパントの存在下で、導電性高分子前駆体モノマーを水中または水と水混和性溶剤との混合液からなる水性液中で、陽極と陰極とをセパレータで隔離しつつ、電解酸化重合することによって導電性高分子の分散液を製造する方法が開示されている。
特許文献3には、ニトロベンゼン誘導体塩をドーパントとして用いた導電性高分子の製造する方法が開示されている。
特許文献4には、数平均分子量が1万〜30万のポリスチレンスルホン酸塩と芳香族スルホン酸塩とからなる有機スルホン酸塩であって、ポリスチレンスルホン酸塩のポリスチレンスルホン酸部分に対して芳香族スルホン酸塩の芳香族スルホン酸部分が質量基準で20〜50%である有機スルホン酸塩と、過硫酸塩とを用いてピロールまたはその誘導体を酸化重合して合成された導電性高分子を含む導電性組成物が開示されている。
特許文献3の方法は、低分子化合物をドーパントとして用いる方法であるが、低分子化合物は熱により熱拡散し脱ドープすることが知られており、厳しい温度条件下では耐熱性が低下する場合があった。特許文献4の方法は、数平均分子量が1万〜30万のポリスチレンスルホン酸塩と芳香族スルホン酸塩をドーパントとして併用する方法であるが、やはり低分子成分によって耐熱性が損なわれ、さらに低分子成分の移行を完全に防ぐことはできず、金属部分の腐食や、透明性の低下などが起こることがあった。
そこで、本発明は、大量製造が容易で、厳しい温度条件下でも耐熱性が低下しないπ共役系導電性高分子複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。また、該π共役系導電性高分子複合体を含有するπ共役系導電性高分子溶液、及び該π共役系導電性高分子溶液が塗布されて形成された帯電防止塗膜を提供することを目的とする。
[1]シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸とπ共役系導電性高分子とを含有することを特徴とするπ共役系導電性高分子複合体。
[2][1]に記載のπ共役系導電性高分子複合体を含有することを特徴とする導電性高分子溶液。
[3]1種以上のアミン化合物および1種以上の有機溶剤を含有することを特徴とする[2]に記載の導電性高分子溶液。
[4][1]に記載のπ共役系導電性高分子複合体を含有することを特徴とする帯電防止塗膜。
[5]シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸の存在下で、π共役系導電性高分子前駆体モノマーを重合することを特徴とするπ共役系導電性高分子複合体の製造方法。
本発明のπ共役系導電性高分子複合体の製造方法によれば、耐熱性に優れたπ共役系導電性高分子複合体を容易に大量製造できる。
本発明の帯電防止塗膜は、耐熱性が高いため、各種電子部品、電子部品包装用キャリアテープ及びトレイ、光学用透明プラスチックフィルム等の帯電防止、剥離フィルムの帯電防止等に好適に用いることができる。
本発明のπ共役系導電性高分子複合体(以下、「複合体」と略す。)は、シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸とπ共役系導電性高分子とを含有する。シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸はπ共役系導電性高分子に配位しているため、π共役系導電性高分子とシンジオタクチックポリスチレンスルホン酸とは複合体を形成している。
本発明で用いられるシンジオタクチックポリスチレンスルホン酸は、シンジオタクチックポリスチレンを前駆体とし、これをスルホン化することで得られる。シンジオタクチックポリスチレンは耐熱性の高い高分子であり、これをスルホン化したものも耐熱性が高い。したがって、シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸を含む複合体も耐熱性に優れる。
上記方法で得たシンジオタクチックポリスチレンは、例えば特許第3030444号公報、特許第2884189号公報等に記載の公知の方法でスルホン化することにより、シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸にすることができる。スルホン化の割合は、スチレンユニットに対し、80%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。スルホン化の割合が80%以下では、得られる導電性高分子の導電性が低くなる場合がある。
前記シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸以外にπ共役系導電性高分子へのドーピング可能なアニオンが併用されてもよい。この場合、π共役系導電性高分子からの脱ドープ特性及び複合体の溶剤溶解性、他成分への相溶性、分散性、及び耐熱性、耐環境特性を調整する等の観点からは、有機酸が好ましい。有機酸としては、有機カルボン酸、フェノ−ル類、有機スルホン酸等が挙げられる。
有機カルボン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にカルボキシ基を一つ又は二つ以上を含むものを使用できる。例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。フェノ−ル類としては、クレゾ−ル、フェノール、キシレノール等のフェノ−ル類が挙げられる
前駆体モノマーとシンジオタクチックポリスチレンスルホン酸との質量比率は、前駆体モノマー:シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸=1:20〜5:1が好ましく、10:1〜1:1がより好ましい
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であり、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。なかでも、重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
ポリアニリン類の製造に用いられるアニリンまたはその誘導体モノマーの具体例としては、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
さらに、導電性、透明性の点から、3,4−エチレンジオキシチオフェンがより好ましい。
本発明の複合体の製造方法は、シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸の存在下で、π共役系導電性高分子前駆体モノマーを重合する方法である。
具体的には、本発明の複合体は、上記シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸の水溶液または水・有機溶剤混合溶液中に上記π共役系導電性高分子前駆体モノマーを加え、酸化剤及び場合により酸化触媒を添加し、酸化重合を行うことで得ることができる。この方法は、通常の酸化重合を適用する方法であるから、複合体を容易に大量製造できる。
シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸がアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩等の形で溶解している場合には、系中に硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸や有機酸を加え、反応液を酸性にすることが好ましい。
細粒化には、高い剪断力を付与できる混合分散機を用いることが好ましい。混合分散機としては、例えば、ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、ビーズミル等が挙げられ、中でも、高圧ホモジナイザが好ましい。
高圧ホモジナイザの具体例としては、吉田機械興業製の商品名ナノマイザー、マイクロフルイディスク製の商品名マイクロフルイダイザー、スギノマシン製のアルティマイザーなどが挙げられる。
高圧ホモジナイザを用いた分散処理としては、例えば、分散処理を施す前の複合体溶液を高圧で対向衝突させる処理、オリフィスやスリットに高圧で通す処理等が挙げられる。
細粒化の前または後に、ろ過、限外ろ過、透析等の手法により不純物を除去し、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、キレート樹脂等で精製しても良い。
本発明の導電性高分子溶液は、上記複合体を含む溶液である。
導電性高分子溶液において、複合体の合計の含有量は、全固形分を100質量%とした際の0.05〜99.5質量%であることが好ましく、0.5〜99.5質量%であることがより好ましい。複合体の合計の含有量が前記下限値未満であると、充分な導電性が得られないことがあり、前記上限値を超えると、均一な塗膜が得られないことがある。
本発明の導電性高分子溶液は、アミン化合物を配合することで、有機溶剤中で安定に分散した液体とすることができる。なお、有機溶剤としては、上記反応溶媒として用いたものが挙げられる。
アミン化合物としては、シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸のスルホ基に配位あるいは結合するものであれば限定されない。ここで、配位あるいは結合とは、スルホ基とアミン化合物とが電子を互いに供与/受容することにより、それらの分子間距離が短くなる結合形態のことである。
本発明で用いられるアミン化合物としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、複素環式アミン等が挙げられる。
2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
3級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルヘキサデシルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等が挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、イミダゾール、N−メチル−イミダゾール、N−エチル−イミダゾール、N−プロピル−イミダゾール、N−ブチル−イミダゾール、N−ペンチル−イミダゾール、N−ヘキシル−イミダゾール、N−ヘプチル−イミダゾール、N−オクチル−イミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キナゾリン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。
上記のうちでも、脱ドープなどπ共役系導電性高分子の導電性への影響が小さいことから、3級アミンが好ましい。
アミン化合物の分子量は、有機溶剤への溶解性を考慮すると、50〜2000であることが好ましい。
アミン化合物の量が0.1モル当量以下であれば、有機溶剤への安定分散性を高める効果が得られないことがある。また、2.0モル当量以上であれば、余剰なアミン化合物により、得られる導電性塗膜の導電性や機械的物性が低下する場合がある。
有機溶剤または有機溶剤及びアミン化合物を添加混合して得た場合の導電性高分子溶液は、ホモジナイザやボールミルなどで細粒化して用いることが好ましい。
細粒化には、高い剪断力を付与できる混合分散機を用いることが好ましい。混合分散機としては、例えば、ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、ビーズミル等が挙げられ、中でも、高圧ホモジナイザが好ましい。
高圧ホモジナイザの具体例としては、吉田機械興業製の商品名ナノマイザー、マイクロフルイディスク製の商品名マイクロフルイダイザー、スギノマシン製のアルティマイザーなどが挙げられる。
高圧ホモジナイザを用いた分散処理としては、例えば、分散処理を施す前の複合体溶液を高圧で対向衝突させる処理、オリフィスやスリットに高圧で通す処理等が挙げられる。
ここで、キュムラント平均粒子径は、動的光散乱法による粒径分布の測定から求められる。キュムラント平均粒子径は、分散工程での混合条件(例えば、圧力等)により調整される。具体的には、圧力が高い程、平均粒子径は小さくなる。
分散工程では、上記複合体固形物に有機溶剤およびアミン化合物を添加して複合体溶液を調製し、該複合体溶液を分散処理する。
有機溶剤を添加する際には、有機溶剤およびアミン化合物の一方を先に添加してもよいし、両方を同時に添加してもよい。
導電性高分子溶液には、得られる帯電防止塗膜の導電性を向上させる下記(a)〜(h)の化合物から選ばれる1種以上の導電性向上剤が含まれていることが好ましい。
(a)窒素含有芳香族性環式化合物
(b)2個以上のヒドロキシ基を有する化合物
(c)2個以上のカルボキシ基を有する化合物
(d)1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物
(e)アミド基を有する化合物
(f)イミド基を有する化合物
(g)ラクタム化合物
(h)グリシジル基を有する化合物
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、一つの窒素原子を含有するピリジン類及びその誘導体、二つの窒素原子を含有するイミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体、ピラジン類及びその誘導体、三つの窒素原子を含有するトリアジン類及びその誘導体等が挙げられる。溶媒溶解性等の観点からは、ピリジン類及びその誘導体、イミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体が好ましい。
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、チオジエタノール、グルコース、酒石酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等の多価脂肪族アルコール類;
セルロース、多糖、糖アルコール等の高分子アルコール;
1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸及びその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸及びその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸及びその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸及びその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸及びその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸及びその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)等の芳香族化合物、ヒドロキノンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
2個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マロン酸、1,4−ブタンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸、クエン酸等の脂肪族カルボン酸類化合物;
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、5−スルホイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の、芳香族性環に少なくとも一つ以上のカルボキシ基が結合している芳香族カルボン酸類化合物;ジグリコール酸、オキシ二酪酸、チオ二酢酸(チオジ酢酸)、チオ二酪酸、イミノ二酢酸、イミノ酪酸等が挙げられる。
1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、酒石酸、グリセリン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等が挙げられる。
アミド基を有する化合物は、−CO−NH−(COの部分は二重結合)で表されるアミド結合を分子中に有する単分子化合物である。すなわち、アミド化合物としては、例えば、上記結合の両末端に官能基を有する化合物、上記結合の一方の末端に環状化合物が結合された化合物、上記両末端の官能基が水素である尿素及び尿素誘導体などが挙げられる。
アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、メタクリルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グリコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、ピルボアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素及びこれらの誘導体等が挙げられる。
アミド化合物としては、導電性がより高くなることから、イミド結合を有する単分子化合物(以下、イミド化合物という。)が好ましい。イミド化合物としては、その骨格より、フタルイミド及びフタルイミド誘導体、スクシンイミド及びスクシンイミド誘導体、ベンズイミド及びベンズイミド誘導体、マレイミド及びマレイミド誘導体、ナフタルイミド及びナフタルイミド誘導体などが挙げられる。
さらに、脂肪族イミド化合物は、分子内の炭素間に不飽和結合を有する飽和脂肪族イミド化合物と、分子内の炭素間に不飽和結合を有する不飽和脂肪族イミド化合物とに分類される。
飽和脂肪族イミド化合物は、R1−CO−NH−CO−R2で表される化合物であり、R1,R2の両方が飽和炭化水素である化合物である。具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、アラントイン、ヒダントイン、バルビツル酸、アロキサン、グルタルイミド、スクシンイミド、5−ブチルヒダントイン酸、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,5,5−トリメチルヒダントイン、5−ヒダントイン酢酸、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、セミカルバジド、α,α−ジメチル−6−メチルスクシンイミド、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、α−メチル−α−プロピルスクシンイミド、シクロヘキシルイミドなどが挙げられる。
不飽和脂肪族イミド化合物は、R1−CO−NH−CO−R2で表される化合物であり、R1,R2の一方又は両方が1つ以上の不飽和結合である化合物である。具体例は、1,3−ジプロピレン尿素、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,8−ビスマレイミドオクタン、N−カルボキシヘプチルマレイミドなどが挙げられる。
ラクタム化合物とは、アミノカルボン酸の分子内環状アミドであり、環の一部が−CO−NR−(Rは水素又は任意の置換基)である化合物である。ただし、環の一個以上の炭素原子が不飽和やヘテロ原子に置き換わっていてもよい。
ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル等のグリシジル化合物などが挙げられる。
導電性高分子溶液には、得られる導電性塗膜の耐熱性を向上させるため、耐熱性向上剤を添加してもよい。
耐熱性向上剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリン−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系化合物、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート、2,2'−チオジグリコール酸等のイオウ系化合物、トリス(モノ及びジノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)フォスファイト等のリン系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[(6−モルフォリノ−S−トリアジン−2,4−ジイル)〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル〕イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]等のヒンダートアミン系化合物、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物等が挙げられる。
本発明の導電性高分子溶液には、形成した塗膜の耐水性、耐溶剤性、硬度等を向上させるため、バインダ樹脂を混合することができる。
バインダ樹脂としては、前記複合体と相溶又は混合分散可能であれば熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド;ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂;エポキシ樹脂;オキセタン樹脂;キシレン樹脂;アラミド樹脂;ポリイミドシリコーン;ポリウレタン;ポリウレア;メラミン樹脂;フェノール樹脂;ポリエーテル;アクリル樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
また、バインダ樹脂には、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶媒、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
ここで、熱エネルギーにより硬化する液状重合体としては、反応型重合体及び自己架橋型重合体が挙げられる。
反応型重合体は、置換基を有する単量体が重合した重合体であり、置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、酸無水物、オキセタン系、グリシジル基、アミノ基などが挙げられる。具体的な単量体としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多官能アルコール、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、ピメリン酸、アスコルビン酸、フタル酸、アセチルサルチル酸、アジピン酸、イソフタル酸、安息香酸、m−トルイル酸等のカルボン酸化合物、無水マレイン酸、無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸、ジクロル無水マレイン酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ピメリット酸等の酸無水物、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、アジドメチルメチルオキセタン等のオキセタン化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジル−p−アミノフェノールグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(すなわち、2,2−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン)等のグリシジルエーテル化合物、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N−ジグリシジル−5,5−ジアルキルヒダントイン等のグリシジルアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、DHP30−トリ(2−エチルヘクソエート)、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素、モノエチルアミン、メタンジアミン、キシレンジアミン、エチルメチルイミダゾール等のアミン化合物、1分子中に2個以上のオキシラン環を含む化合物のうち、ビスフェノールAのエピクロロヒドリンによるグリシジル化合物、あるいはその類似物が挙げられる。
光エネルギーによって硬化する液状重合体を構成する単量体単位としては、例えば、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のアクリレート類、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アルキルメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート類、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーデル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、アクリロイルピペリジン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリル(メタクリル)アミド類、2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル等のビニルエーテル類、酪酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類の単官能モノマー並びに多官能モノマーが挙げられる。
また、カチオン重合開始剤としては、アリールジアゾニウム塩類、ジアリールハロニウム塩類、トリフェニルスルホニウム塩類、シラノール/アルミニウムキレート、α−スルホニルオキシケトン類等が挙げられる。
本発明の帯電防止膜は、上記複合体を含有する塗膜であり、耐熱性に優れる。
本発明の帯電防止膜は、具体的には、上記導電性高分子溶液を基材に塗布し、乾燥及び硬化させることで形成される。
基材としては、例えば、樹脂フィルム、ガラス板などが用いられるが、透明性及び可撓性が高いことから、樹脂フィルムが好ましい。
樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらの樹脂材料の中でも、強度等の点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
塗布方法としては、例えば、コンマコーティング、リバースコーティング、リップコーティング、マイクログラビアコーティング等が適用される
硬化方法としては、加熱または光照射が適用される。加熱方法としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。また、光照射により硬化する場合には、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。
シンジオタクチックポリスチレン(数平均分子量57800)20質量部に1,2−ジクロルエタン100質量部を加え、60℃で1時間攪拌し、スラリーを得た。このスラリーに、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸55質量部を含む1,2−ジクロルエタン溶液110質量部を1時間かけて滴下し、88℃(還流状態)まで昇温し、そのまま88℃で15時間反応を行った。反応終了後冷却し、溶液から分離していたポリマーをろ過し、水を加えて溶解し、限外ろ過膜(分画分子量:30K)を用いて未反応試薬等を除去した。次いでイオン交換樹脂IR120BH(オルガノ株式会社製)10質量部(wet)及びIRA96BS(オルガノ株式会社製)10質量部(wet)を加えて3時間攪拌し、ろ過した。このイオン交換樹脂による処理を計3回行い、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮し、凍結乾燥し、シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸を得た。
こうして得たシンジオタクチックポリスチレンスルホン酸の質量平均分子量は170000であった。
<GPC測定条件> カラム:TSKgel GMPWXL(東ソー(株)製)、検出器:UV検出器、254nm、溶離液:0.1M硫酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル(7/3容積比)混合溶液、流速 1ml/min、分子量標準:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
1.42g(0.01mol)の3,4−エチレンジオキシチオフェンと、100mlのイオン交換水に溶解した4.26gの製造例1で得たシンジオタクチックポリスチレンスルホン酸及び濃硫酸4.26gを溶かした溶液とを20℃で混合して、モノマー分散液を得た。
これにより得られたモノマー分散液を20℃に保ち、かき混ぜながら、20mlのイオン交換水に溶かした2.84g(0.012mol)の過硫酸アンモニウムと0.14g(0.35mmol)の硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とを添加し、16時間攪拌して反応させた。
得られた反応液を透析し、未反応モノマー、酸化剤、酸化触媒を除去し、高圧ホモジナイザ(吉田機械興業社製ナノマイザー)を用いて、圧力100MPaで分散処理後、イオン交換樹脂IR120BH(オルガノ株式会社製)20g(wet)及びIRA96BS(オルガノ株式会社製)10g(wet)を加えて3時間攪拌し、ろ過した。このイオン交換樹脂による処理を計3回行い、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮し、約1.5質量%の青色のシンジオタクチックポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)溶液(以下、「複合体溶液A」という。)を得た。
1.42g(0.01mol)の3,4−エチレンジオキシチオフェンと、30mlのイオン交換水に85.2gのポリスチレンスルホン酸樹脂(固形分5.0質量%、質量平均分子量:約150,000)及び濃硫酸4.26gを溶かした溶液とを20℃で混合して、モノマー分散液を得た。
これにより得られたモノマー分散液を20℃に保ち、かき混ぜながら、20mlのイオン交換水に溶かした2.84g(0.012mol)の過硫酸アンモニウムと0.14g(0.35mmol)の硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とを添加し、16時間攪拌して反応させた。
得られた反応液を実施例1と同様な処理を行い、約1.5質量%の青色のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)溶液(以下、「複合体溶液B」という。)を得た。
実施例1で得た複合体溶液Aをイオン交換水で希釈して固形分1.0質量%に調整した。その1.0質量%の複合体溶液Aの10.0gに、ジエチレングリコール1.0g、ペスレジンA−210(高松油脂株式会社製、固形分30質量%)6.0g、イオン交換水12.0g、及びメタノール45.0gを混合し、均一な導電性高分子溶液Aを調製した。この溶液を#8のバーコータによりガラスプレート上に塗布し、100℃、1分間加熱して、塗膜を形成した。その塗膜の表面抵抗値(初期値)を、三菱化学社製ハイレスタを用いて測定した。さらに塗膜を125℃のオーブンで6時間及び24時間加熱し、同様に表面抵抗値を測定した。表面抵抗値の測定結果を表1に示す。
複合体溶液Aの代わりに複合体溶液Bを用いたこと以外は実施例2と同様にして塗膜を形成し、その表面抵抗値を測定した。表面抵抗値の測定結果を表1に示す。
これに対し、比較例2の塗膜では、加熱時間が長くなるに従い、大幅に表面抵抗値が上昇した。
Claims (5)
- シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸とπ共役系導電性高分子とを含有することを特徴とするπ共役系導電性高分子複合体。
- 請求項1に記載のπ共役系導電性高分子複合体を含有することを特徴とする導電性高分子溶液。
- 1種以上のアミン化合物および1種以上の有機溶剤を含有することを特徴とする請求項2に記載の導電性高分子溶液。
- 請求項1に記載のπ共役系導電性高分子複合体を含有することを特徴とする帯電防止塗膜。
- シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸の存在下で、π共役系導電性高分子前駆体モノマーを重合することを特徴とするπ共役系導電性高分子複合体の製造方法。
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