JP2005166384A - プロトン伝導性膜の製造方法およびプロトン伝導性膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】 固体高分子形燃料電池、特にはメタノール直接固体高分子形燃料電池の電解質膜として有用なプロトン伝導性高分子膜及び、その生産性の高い製造方法を提供することである。
【解決手段】 芳香族高分子化合物と無機充填剤からなるフィルムにプロトン伝導性基を付与する製造方法にてプロトン伝導性膜を得る。得られたプロトン伝導性膜は、固体高分子形燃料電池の電解質膜として使用したときに、高い耐久性を示し、かつ、大きなプロトン伝導度と小さなメタノール透過係数とを併せ持つ電解質膜となる。また、本発明の製造方法は、製膜時に多量の溶媒が不必要で、かつ、生産性の高いプロトン伝導性膜の製造方法となる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池、特にはメタノール直接固体高分子形燃料電池の電解質膜として有用なプロトン伝導性高分子膜及びその製造方法に関する。
プロトン伝導性高分子膜は、固体高分子形燃料電池、湿度センサー、ガスサンサー、エレクトクロミック表示素子などの電気化学素子の主要な構成材料である。これら電気化学素子のなかでも、固体高分子形燃料電池は、将来の新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。高分子化合物からなるプロトン伝導性高分子膜を電解質膜として使用する固体高分子形燃料電池(PEFCまたはPEMFC)は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体、家庭用コージェネレーションシステム、および民生用小型携帯機器などへの適用が検討されている。とくに、メタノールを燃料とする直接メタノ‐ル形燃料電池(DMFC)は、単純な構造と燃料供給やメンテナンスの容易さ、さらには高エネルギー密度などの特徴を有し、リチウムイオン二次電池代替として、携帯電話やノート型パソコンなどの民生用小型携帯機器への応用が期待されている。
実用的な安定性を有するプロトン伝導性膜として、ナフィオン(Nafion)(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が開発され、PEFCをはじめとする多くの電気化学素子への応用が提案されている。パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、高いプロトン伝導度を有し、耐酸性、耐酸化性などの化学的安定性に優れている。しかし、製造が困難で、非常に高価であるという欠点がある。さらに、民生用携帯機器に搭載される燃料電池の燃料として有望視されているメタノールなどの水素含有液体などの透過(クロスオーバーともいう)が大きく、いわゆる化学ショート反応が起こる。これにより、カソード電位が低下するだけでなく、燃料効率の低下が起こり、セル特性低下の主要因となっている。従って、このようなパーフルオロカーボンスルホン酸膜を直接メタノール形燃料電池の電解質膜として用いるには課題が多い。
このような背景から、製造が容易で、より安価なプロトン伝導性高分子膜として、芳香族系高分子化合物のスルホン化物などからなる非パーフルオロカーボンスルホン酸型プロトン伝導性高分子膜が種々提案されている。しかし、高いプロトン伝導度が要求されるPEFCの電解質膜として使用するには、プロトン伝導度が不充分である。また、それを改善するために、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、機械的特性の低下(強度低下、伸び低下)や、水溶性になったり、膜の吸水率が上昇して著しく膨潤するなどハンドリング性が著しく損なわれる。また、小型携帯機器用燃料電池の燃料として有望なメタノールに対しても、これと同様の傾向を示し、その使用が制限される恐れがある。
さらに、特許文献1には、スルホン化ポリフェニレンサルファイドなどのスルホン化芳香族系高分子膜の製造方法が開示されている。このスルホン化芳香族高分子膜の製造方法において、スルホン化剤としてクロロスルホン酸、溶媒としてジクロロメタンを使用することが記載されている。しかし、この製造方法で得られたスルホン化高分子膜も、高いプロトン伝導度を得るためにスルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、メタノールの透過が大きくなることが容易に想定される。このように、直接メタノール形燃料電池の電解質膜には、プロトン伝導度を低下させずにメタノール透過を抑制することが要求されているが、プロトン伝導度とメタノール遮断性がトレードオフの関係にあり、これらの特性を両立させることは難しい。
一方、特許文献2には層状/網状ケイ酸塩が含有するプロトン伝導性複合体が記載されている。しかし、このプロトン伝導性複合体の製造方法は陽イオン交換ポリマーなどの溶液と層状もしくは網状ケイ酸塩などを混合し得られた懸濁液から溶媒を蒸発させることによりプロトン伝導性複合膜を作製することが開示されている。この作製方法では、製膜時に多量の溶媒を使用し、この溶媒を蒸発させるため生産性の面で問題がある。また、溶媒に不溶である無機充填剤や陽イオン交換ポリマーなどはこの製造方法では製造できないという問題点があった。
国際公開第02/062896号パンフレット 特表2003−501516
本発明の目的は、上記問題を鑑みてなされたものであり、固体高分子形燃料電池の電解質膜として有用なプロトン伝導性膜、及びその生産性の高い製造方法を提供することである。
すなわち本発明は 無機充填剤を含むプロトン伝導基と高分子化合物からなるプロトン伝導性膜の製造方法であって、高分子化合物と無機充填剤からなるフィルムにプロトン伝導性基を付与するプロトン伝導性膜の製造方法に関する。この製造方法とすることで、製膜時に多量の溶媒が不必要で、かつ、生産性の高いプロトン伝導性膜の製造方法となる。
前記高分子化合物および/またはプロトン伝導性高分子化合物が溶媒不溶であることが好ましい。このようにして製造したプロトン伝導性膜は、固体高分子形燃料電池の電解質膜として使用したときに、高い耐久性を示す。
前記無機充填剤が有機化処理をした層状および/または網状化合物であることが好ましい。
さらには、本発明は、下記(A)〜(C)の構成成分を有するプロトン伝導性膜。
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を構成成分とする高分子化合物、
(B)前記構成成分の芳香族単位の一部分に置換されたプロトン伝導性置換基、
(C)無機充填剤
Figure 2005166384
(式中、Ar1は2価の芳香族単位、Xは0〜2の整数)
に関する。このようなプロトン伝導性膜は、大きなプロトン伝導度と小さなメタノール透過係数とを併せ持つ電解質膜となる。
前記無機充填剤が有機化処理をした層状および/または網状化合物であることが好ましい。
前記プロトン伝導性膜が下記(D)に示す溶媒のいずれかに5重量%以上溶解しないことが好ましい。
(D)メタノール、エタノール、i−プロパノール、N−メチルピロリドン
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法により、メタノール遮断性等にすぐれるプロトン伝導性膜を製造することができる。
本発明に係るプロトン伝導性膜の製造方法について具体的に説明する。本発明は無機充填剤を含むプロトン伝導基と高分子化合物からなるプロトン伝導性膜の製造方法であって、高分子化合物と無機充填剤からなるフィルムにプロトン伝導性基を付与するプロトン伝導性膜の製造方法である。
本発明に使用される高分子化合物が、下記(A)群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(A)群:フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリアリールエーテルスルホン(PAS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルホキシド(PPSO)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンスルフィドスルホン(PPS/SO2)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン、シアン酸エステル樹脂。
これらの高分子化合物は、単独、あるいは、それらの誘導体、あるいは、2種以上の共重合体、あるいは、必要に応じて2種以上を混合したものを使用しても良い。さらには、得られる膜の特性を考慮して、可塑剤や酸化防止剤、フィラーなどを適宜添加、混合しても構わない。これによって、本発明の製造方法で得られるスルホン化高分子膜は、優れたプロトン伝導度、耐加水分解性・耐酸化性に代表される化学的安定性、水素やメタノールなどのアルコール類の燃料遮断性、酸素や空気などの酸化剤遮断性に優れ、好ましい。
また、高分子化合物および/またはプロトン伝導性高分子化合物が溶媒不溶であることがプロトン伝導性膜の耐溶剤性、メタノール燃料などへの安定性の点から好ましい。溶媒不要とは具体的な例としてプロトン伝導性膜が下記(D)に示す溶媒のいずれかに5重量%以上溶解しないことである。
(D)メタノール、エタノール、i−プロパノール、N−メチルピロリドン
いずれかの溶媒に溶解した場合、耐溶剤性に問題があったり、燃料電池の燃料の一例であるあるアルコールに溶解する場合は電解質膜の耐久性に問題がおこる場合がある。溶媒への溶解量を求めるのためには例えば各溶剤中に沸点以下(例えばメタノールの場合64℃)でプロトン伝導膜を1時間〜1週間放置し沸前後の重量により以下の式で算出すればよい。
(放置後重量−放置前重量)/放置前重量×100=溶解量(重量%)
この場合、放置前後の重量は真空オーブン等で付着や含浸している溶媒などを十分に乾燥させてから計測する。
これらの芳香族高分子化合物の中でも、得られたスルホン化高分子膜のプロトン伝導度、機械的特性、化学的安定性、水素やメタノールなどの燃料遮断性、酸素や空気などの酸化剤遮断性などの特性を考慮した場合、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、シンジオタクチックポリスチレンなどの結晶性高分子化合物であることが好ましい。
さらに、スルホン酸基の導入のし易さや、高いプロトン伝導度、優れた機械的特性、高いメタノール遮断性を有することから、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であることが好ましい。
本発明のプロトン伝導性高分子膜は、プロトンを伝導可能な、置換基および/または物質が膜中に含まれることが必須である。プロトンを伝導可能な置換基としては、前述のスルホン酸基以外にも、リン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。これらのなかでも、置換基の導入の容易さや得られた膜のプロトン伝導度に代表される特性を考慮すると、スルホン酸基および/またはスルホン酸基を含む置換基であることが好ましい。
本発明においてスルホン酸基とは、下記式(2)で表わされるスルホン酸基や下記一般式(3)で表わされるスルホン酸基を含む置換基をいう。
−SO3H (2)
−R−SO3H (3)
[式中、Rはアルキレン、ハロゲン化アルキレン、アリーレン、ハロゲン化アリーレンからなる群から選択される少なくとも1種の結合単位からなる2価の有機基、またはエーテル結合を含んでいてもよい]
また、プロトンを伝導可能な物質としては、硫酸やリン酸などの強酸性溶液、酸化タングステン水和物(WO3・nH2O)、酸化モリブデン水和物(MoO3・nH2O)などの無機酸化物、タングストリン酸、モリブドリン酸などの無機固体酸が挙げられる。
本発明に使用される無機充填剤としては重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭酸マグネシウム、マイカ、カリオン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタンホワイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、溶融シリカなどがあげられ、これらは単独または2 種以上を混合して用いることができる。
また無機充填剤が層状および/または網状化合物がメタノール遮断性を上げるために使用することが好ましい。層状化合物とは、ケイ酸塩、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩、タングステン酸ナトリウム等のタングステン酸塩、ウラン酸ナトリウム等のウラン酸塩、バナジン酸カリウム等のバナジン酸塩、モリブデン酸マグネシウム等のモリブデン酸塩、ニオブ酸カリウム等のニオブ酸塩、黒鉛から成る群より選択される1種以上である。入手の容易性、取扱い性等の点から層状ケイ酸塩が好ましく用いられる。
層状ケイ酸塩としては、カオリン族粘土鉱物、タルク、および雲母族粘土鉱物等が挙げられる。
膨潤性ケイ酸塩は、主として酸化ケイ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体シートから成り、その例としては、例えば、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。
また、該スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約1 〜1.7nmであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒径はおおよそ100nm〜100000nmである。
また膨潤性雲母は天然または合成されたものどちらでもかまわない。これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
層状および/または網状化合物を有機処理を実施し高分子化合物に均一に分散しやすくすることが好ましい。このとき、有機化処理した層状および/または網状化合物を高分子化合物の原料モノマーやオリゴマーと溶媒中で混合し重合しても良いし、高分子と有機化処理した層状および/または網状化合物を溶液中で混合しても良いし高分子と溶融混練して均一に分散させても良い。この場合、300層以下で凝集した層状および/または網状化合物が分散状態で混合されていてもかまわない。
層状および/または網状化合物を特には層状化合物を有機処理したものを使用することが高分子への分散性を良好にする意味で好ましい。有機化処理としてはアミン処理、アンモニウム塩処理、有機リン系処理、有機シラン処理等公知の方法が使用できる。
層状および/または網状化合物を特にはケイ酸塩の層を劈開し易くする目的からすでに公開されている方法を使用しても良い。例えばヘキサメチレンジアミン等の低分子化合物(インターカラントモノマー)を層状ケイ酸塩の層間にインターカレートして粘土層間化合物とする技術(特開平9 −175816 号、欧州特許0780340号)が開示されている。また、無機フィラーの微分散化技術として)結晶性熱可塑性樹脂中に層状ケイ酸塩が分子レベルの結晶核としてアスペクト比20以上で分散された樹脂組成物に関する発明(特開平9−183910号公報)、熱可塑性樹脂中に平均層厚が25〜1000 Åでアスペクト比が20〜300である層状ケイ酸塩が分散された樹脂組成物に関する発明(特開平9−124836号公報)に開示されている方法を使用してもかまわない。
本発明において、高分子原料フィルム得るには公知の方法が使用できる。例えば、原料フィルムは、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、キャスト法、切削法、エマルション法、ホットプレス法、などで得られるものが使用可能である。また、分子配向などを制御するため二軸延伸などの処理を施したり、結晶化度を制御するための熱処理を施しても構わない。
高分子フィルムを得るまでに上記、無機充填剤と高分子を混合するがこれは公知の方法が適用できる。例えば無機充填剤と高分子化合物の原料モノマーやオリゴマーと溶媒中で混合し重合しても良い。キャスト法の場合などは高分子と無機充填剤を溶液中で混合しても良い。また高分子と溶融混練して均一に分散させても良い。この場合は無機充填剤が混合しやすいように溶融混練を2度おこなっても良いし、事前に無機充填剤を高分子に対して多く混ぜた混合物を作製しておき、これと高分子を溶融混練するようなマスターバッチ化しても良い。またフィルム作製時に無機充填剤と高分子を混合しても良い。
本発明において、前記高分子化合物からなる原料フィルムの厚さは、用途に応じて任意の厚さを選択することが可能である。均一に原料フィルム内部までプロトン伝導性基特にはスルホン酸基を導入することや、プロトン伝導性高分子膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、原料フィルム厚みは薄い程良い。一方、ハンドリング性を考慮すると、原料フィルム厚みは薄すぎると好ましくない。これらを考慮すると、原料フィルムの厚みは、1.2〜350μmであるのが好ましい。前記原料フィルムの厚さが1.2μmより薄いと、製造が困難であるとともに、加工時にシワになったり、破損が生じるなどハンドリング性がわるくなる傾向があり、350μmをこえると、内部まで均一にスルホン化するのが困難になるとともに、得られたプロトン伝導性高分子膜の内部抵抗も大きくなり、プロトン伝導度が低下する恐れがある。
以下プロトン伝導性基の好ましい例としてのスルホン酸基を導入を例にして説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
スルホン化剤としては、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄−トリエチルフォスフェート、濃硫酸、トリメチルシリルクロロサルフェート、トリメチルベンゼンスルホン酸などの公知のスルホン化剤などが使用できる。工業的入手の容易さ、スルホン酸基の導入の容易さや得られるプロトン伝導性高分子膜の特性を考慮すると、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、濃硫酸からなる群から選択させる少なくとも1種であることことが好ましい。とくに本発明においては、スルホン酸基の導入の容易さや得られた膜の特性、工業的入手の容易さなどから、クロロスルホン酸を使用するのがより好ましい。
また、反応系を適正化することによって、フリーデル−クラフツ反応にしたがって、塩化アルミニウムなどの触媒存在下で、プロパンサルトンや1,4−ブタンサルトンなどの環状含硫黄化合物と炭化水素系高分子化合物中の芳香族単位を接触させて、スルホプロピル基やスルホブチル基などのスルホン酸基を含む置換基を導入する方法なども使用することができる。
さらに、本発明のプロトン伝導性高分子膜は、前記高分子化合物からなる原料フィルムと、スルホン化剤とを溶媒存在下で接触させて製造することが好ましい。本発明においては、炭素数3以上のハロゲン化物を使用するのが好ましい。これらは、炭化水素系化合物のスルホン化時に一般的に使用されている、ジクロロメタンや1,2−ジクロロエタンなどの炭素数2以下のハロゲン化物を使用するのと比較して、沸点が高く、揮発しにくいため、溶媒の揮発防止や揮発した溶媒の回収のためなどの付帯設備が必要とならず、付帯設備に係る製造コストを低減することが可能となる。また、得られたプロトン伝導性高分子膜のメタノール遮断性が低下しにくくなり、高いプロトン伝導度と高いメタノール遮断性が両立したプロトン伝導性高分子膜を得ることができる。特に、ポリフェニレンサルファイドなどの結晶性高分子化合物からなる原料フィルムを使用した場合には、製造過程おける原料フィルムの劣化が生じにくく、プロトン伝導度やメタノール遮断性、機械的特性が優れたプロトン伝導性高分子膜が得ることができ、好ましい。
本発明に使用可能な炭素数3以上のハロゲン化物としては、たとえば、炭化水素系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイドを使用する場合には、従来から使用されているジクロロメタンや1,2−ジクロロエタンなどの低炭素数のハロゲン化炭化水素の代わりに、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、1−ヨードプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨード−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−ヨードペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1−ヨードヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン、ヨードシクロヘキサンなどが例示できる。特に使用する溶媒の扱いやすさ、得られるプロトン伝導性高分子膜の特性を考慮すると、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサンおよびブロモシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。更に工業的な入手のし易さから1−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、クロロシクロヘキサンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。前記溶媒のなかでも、工業的入手の容易さや得られるプロトン伝導性高分子膜の特性などの点から、1−クロロブタンが好ましい。
スルホン化剤の使用量としては、炭化水素系高分子化合物中の芳香族単位に対して、0.5〜30当量、さらには0.5〜15当量であるのが好ましい。スルホン化剤の使用量が、0.5当量よりも少ない場合には、スルホン酸基の導入量が少なくなったり、導入に要する時間が長くなるなどの傾向がある。一方、30当量を超える場合には、高分子原料フィルムが化学的に劣化し、得られるプロトン伝導性高分子膜の機械的強度が低下し、ハンドリングが困難となったり、スルホン酸基の導入量が多くなりすぎて、メタノール遮断性が低下するなど、かえってプロトン伝導性高分子膜の実用的な特性が損なわれる傾向がある。
溶媒中のスルホン化剤の濃度は、スルホン酸基の目標とする導入量や反応条件(温度・時間)を勘案して適宜設定すればよい。具体的には、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましい範囲は、0.2〜5重量%である。0.1重量%より低いとスルホン化剤と高分子化合物中の芳香族単位とが接触しにくくなり、所望のスルホン酸基が導入できなかったり、導入するのに時間がかかりすぎたりする傾向がある。一方、10重量%をこえるとスルホン酸基の導入が不均一となったり、得られたプロトン伝導性高分子膜の機械的特性が損なわれる傾向がある。
また、接触させる際の反応温度、反応時間についてはとくに限定はないが、0〜100℃、さらには10〜30℃、0.5時間以上、さらには2〜100時間の範囲で設定するのが好ましい。反応温度が、0℃より低い場合は、設備上冷却等の措置が必要になるとともに、反応に必要以上の時間がかかる傾向があり、100℃をこえると反応が過度に進行したり、副反応を生じたりして、膜の特性を低下させる傾向がある。また、反応時間が、0.5時間より短い場合は、スルホン化剤と高分子化合物中の芳香族単位との接触が不充分となり、所望のスルホン酸基が導入しにくくなる傾向があり、反応時間が100時間をこえる場合は、生産性が著しく低下する傾向を示すとともに、膜特性の大きな向上は期待できなくなる傾向がある。実際には、使用するスルホン化剤や溶媒などの反応系、目標とする生産量などを考慮して、所望の特性を有するプロトン伝導性高分子膜を効率的に製造することができるように設定すればよい。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、上記のスルホン酸基の導入工程の後、未反応のスルホン化剤や溶媒の除去を行うため、水洗することが好ましい。このとき、スルホン酸基の導入工程後のプロトン伝導性高分子膜を回収することなく、連続的に水洗を行い、適切な条件で乾燥を実施し、プロトン伝導性高分子膜を得ることが好ましい。また、水洗の代わりに、水酸化ナトリウム水溶液などで中和洗浄した後、酸処理を行って、プロトン伝導性高分子膜を得ても良い。
また、本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、スルホン化剤が三酸化硫黄であって、三酸化硫黄を含むガスと炭化水素系高分子化合物からなる原料フィルムとを接触させて製造することが好ましい。この場合、スルホン酸基の導入工程が、乾式処理となり、スルホン化に溶媒を使用することなく、原材料や再生処理に係る工程や費用を低減できる。
使用するスルホン化剤やスルホン化の反応条件によっては、例えば、炭化水素系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイドを使用した場合、高分子原料フィルム中のスルフィド単位(−S−)がスルホキシド単位(−SO−)やスルホン単位(−SO2−)に酸化されたり、また、スルホキシド単位(−SO−)がスルホン単位(−SO2−)に酸化されたり、また、フェニレン単位の水素が−Clなどの置換基で置換される副反応が生じる可能性がある。しかし、得られたプロトン伝導性高分子膜の特性を著しく低下させるものでなけば、前記副反応の結果生じた構造単位が含まれていても構わない。
また、本発明の製造方法により製造されるプロトン伝導性高分子膜を製造する際に、その高分子膜に、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、表面活性剤、各種有機フィラーなどの添加剤を適量含有させてもよい。
本発明のプロトン伝導性膜は下記(A)〜(C)の構成成分を有することがプロトン伝導性膜の強度、メタノール遮断性、プロトン導電性、化学的安定性などの観点で好ましい。
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を構成成分とする高分子化合物、
(B)前記構成成分の芳香族単位の一部分に置換されたプロトン伝導性置換基、
(C)無機充填剤
Figure 2005166384
(式中、Ar1は2価の芳香族単位、Xは0〜2の整数)
またメタノール遮断性、プロトン導電性の観点から高分子化合物はPPSであることが好ましい。
この場合無機充填剤が有機化処理をした層状および/または網状化合物であることが無機充填剤の分散性、しいてはプロトン伝導性膜のメタノール遮断性の観点から好ましい。具体的な無機充填剤の種類は前述したものと同様である。
またプロトン伝導性膜が下記(D)に示す溶媒のいずれかに5重量%以上溶解しないことが好ましい。
(D)メタノール、エタノール、i−プロパノール、N−メチルピロリドン
いずれかの溶媒に溶解した場合、耐溶剤性に問題があったり、燃料電池の燃料の一例であるあるアルコールに溶解する場合は電解質膜の耐久性に問題がおこる場合がある。溶媒への溶解量を求めるのためには例えば各溶剤中に沸点以下(例えばメタノールの場合64℃)でプロトン伝導膜を1時間〜1週間放置し沸前後の重量により以下の式で算出すればよい。
(放置後重量−放置前重量)/放置前重量×100=溶解量(重量%)
この場合、放置前後の重量は真空オーブン等で付着や含浸している溶媒などを十分に乾燥させてから計測する。
本発明のプロトン伝導性膜は、JIS K 7127に準じて測定した破断伸びが5%以上であることが好ましい。より好ましくは10%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。破断伸びが5%よりも小さいと、たとえば、固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質として使用した場合に、燃料や酸化剤に含まれる水や反応で生成する水を吸収し、膜が膨潤して寸法変形した場合に充分に追従できなくなり、破壊する恐れがある。プロトン伝導性高分子膜の破断伸びを前記範囲に設定するには、プロトン伝導性高分子膜の構成成分である炭化水素系高分子化合物や結晶性芳香族高分子化合物の種類、所望のプロトン伝導度を発現させるために必要なイオン交換容量、などを考慮して適宜設定する必要がある。基本的には、イオン交換容量が高くなるほど破断伸びは低下する傾向を生じるため、所望のプロトン伝導度と破断伸びを満たすように、イオン交換容量を適正化したプロトン伝導性高分子膜を製造する必要がある。
本発明のプロトン伝導性高分子膜のイオン交換容量は、好ましくは0.4ミリ当量/g以上であり、より好ましくは0.5ミリ当量/g以上であり、さらに好ましくは1.0ミリ当量/g以上である。イオン交換容量が、0.3ミリ当量/gよりも低い場合には、所望のプロトン伝導度を発現しない恐れがあり、好ましくない。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の、室温におけるプロトン伝導度は、好ましくは1.0×10-3S/cm以上であり、より好ましくは1.0×10-2S/cm以上である。プロトン伝導度が1.0×10-3S/cmよりも低い場合には、本発明のプロトン伝導性高分子膜を固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜として使用した場合に、充分な発電特性を示さない恐れがある。プロトン伝導性高分子膜のプロトン伝導度を前記範囲に設定するには、プロトン伝導性高分子膜の構成成分である炭化水素系高分子化合物や結晶性芳香族高分子化合物の種類などを考慮して、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基やプロトン伝導性物質の導入量を制御すればよい。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の厚みは、用途に応じて任意の厚みが選択可能である。膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、実用的な機械的強度を有する範囲で、固体高分子形燃料電池の電解質膜に使用する場合には、燃料および酸化剤の遮断性を有する範囲で、それぞれ薄いほどよい。電解質膜としての特性は、イオン交換容量やプロトン伝導度が同等であれば、厚みが薄くなるほど、膜としての抵抗値が低くなる。したがって、膜の厚みは、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは20〜150μmである。この厚みが、5μmより薄い場合は、使用時にピンホールの発生や膜割れが生じやすくなる傾向がある。また、固体高分子形燃料電池の電解質膜として使用した場合に、燃料や酸化剤の遮断性が不充分となり、性能低下の要因となる傾向がある。さらに直接メタノール形燃料電池の電解質膜として使用した場合には、メタノール遮断性が不充分となり、メタノール透過による性能低下の要因となる傾向がある。一方、200μmを超える場合は、プロトン伝導性高分子膜の抵抗が大きくなり、性能低下の要因となる傾向がある。
本発明の製造方法で得られるスルホン化高分子膜は、プロトン伝導性、化学的・熱的安定性、機械的特性を備えており、固体高分子形燃料電池やメタノールなどのアルコール類を使用する直接アルコール形燃料電池に使用可能な燃料電池用膜として好ましい。実際に、燃料電池用膜として使用する場合には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜で適用されている公知の方法で、触媒や電極を膜上に接合し、これらと燃料および酸化剤の供給路、集電体から燃料電池セルが構成することができる。また、必要な出力を得るため、セルを複数枚配置して、スタックを構成し、使用することもできる。燃料としては、純水素、メタノール・天然ガス・ガソリンなどの改質水素ガス、メタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテルなどが使用可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
ポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業社製:ML320)100重量部と無機充填剤として有機修飾マイカ(コープケミカル社製:ME/PX416、有機修飾C1633(C493P+有機修飾成分含有量34重量%)を5重量部添加した樹脂混合物を二軸押出機にて290℃で溶融押出しペレット化した。このペレットを熱プレス成形にて加圧加熱(300℃-50 kgf/cm2)をおこない厚さ90μmのポリフェニレンサルファイドフィルムを得た。
このポリフェニレンサルファイドフィルムを重さ0.34gを計り取りスルホン化処理をおこなった。
ガラス容器に、1−クロロブタン145.7g、クロロスルホン酸2.19gを秤量し、クロロスルホン酸溶液を調製した。上記ポリフェニレンサルファイドフィルムを、クロロスルホン酸溶液に浸漬し、室温で20時間、放置した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して6当量)。室温で20時間放置後に、ポリフェニレンサルファイドフィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後のポリフェニレンサルファイドフィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、プロトン伝導性膜として、スルホン酸基が導入されたポリフェニレンサルファイド膜(以下、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜)(厚み:150μm)を得た。このプロトン伝導性膜はメタノール中64℃で1週間置いても溶解しなかった。エタノール、i−プロパノール、N−メチルピロリドンについても同様に溶解しなかった。
このプロトン伝導性高分子膜の各種特性を下記方法で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2005166384
(イオン交換容量の測定方法)
プロトン伝導性膜(約10mm×40mm、厚み:任意)を塩化ナトリウム飽和水溶液に浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間反応させる。室温まで冷却した後、サンプルをイオン交換水で充分に洗浄し、フェノールフタレイン溶液を指示薬として、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、イオン交換容量を算出した。
(プロトン伝導度の測定方法)
このプロトン伝導性膜のプロトン伝導度を次の方法で測定した。イオン交換水中に保管したスルホン化高分子膜(10mm×40mm)を取り出し、試験体表面の水をろ紙で拭き取った。電極間距離30mmとなるよう、試験体表面に電極を設置し、2極非密閉系のテフロン(登録商標)製に装着した。25℃で電圧0.2Vの条件で、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜5MHz)により、膜表面の電極間の抵抗を測定し、プロトン伝導度を算出した。この膜の特性評価を表1に示す。
(メタノール透過係数の測定方法)
さらにこのプロトン伝導性高分子膜のメタノール透過係数を次の方法で求めた。ビードレックス社製膜透過実験装置を使用して、イオン交換水と64重量%メタノール水溶液を膜で隔離して設置した。所定時間経過後にイオン交換水側に透過したメタノール量をガスクロマトグラフで定量した。これからメタノール透過係数を下記(式1)で算出した。
Figure 2005166384
(比較例1)
ポリフェニレンサルファイド樹脂ペレット(大日本インキ化学工業社製:ML320)を熱プレス成形にて加圧加熱(300℃-50 kgf/cm2)をおこない厚さ70μmのポリフェニレンサルファイドフィルムを得たこと以外は実施例1と同様にスルホン酸基が導入されたポリフェニレンサルファイド膜(以下、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜)(厚み:117μm)を得た。結果を表1に示す。
(比較例2)
非炭化水素系高分子化合物からなるスルホン酸基含有膜として、デュポン社製ナフィオン115を使用した。この膜の特性評価結果を表1に示す。このプロトン伝導性膜はメタノール中64℃で1週間置くと5重量%以上溶解した。
実施例と比較例を比較すると、実施例は十分なプロトン伝導度を示し、その上メタノール透過係数が比較例に比べて低く有用な電解質膜であるといえる。また、比較例2と比較して実施例はメタノールを燃料として使用した場合に溶解せず耐溶剤性についても問題ないと考えられる。

Claims (6)

  1. 無機充填剤を含むプロトン伝導基と高分子化合物からなるプロトン伝導性膜の製造方法であって、高分子化合物と無機充填剤からなるフィルムにプロトン伝導性基を付与するプロトン伝導性膜の製造方法。
  2. 高分子化合物および/またはプロトン伝導性高分子化合物が溶媒不溶である請求項1記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
  3. 無機充填剤が有機化処理をした層状および/または網状化合物である請求項1または請求項2記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
  4. 下記(A)〜(C)の構成成分を有するプロトン伝導性膜。
    (A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位を構成成分とする高分子化合物、
    (B)前記構成成分の芳香族単位の一部分に置換されたプロトン伝導性置換基、
    (C)無機充填剤
    Figure 2005166384
    (式中、Ar1は2価の芳香族単位、Xは0〜2の整数)
  5. 無機充填剤が有機化処理をした層状および/または網状化合物である請求項4記載のプロトン伝導性膜。
  6. プロトン伝導性膜が下記(D)に示す溶媒のいずれかに5重量%以上溶解しない請求項4または請求項5に示すプロトン伝導性膜。
    (D)メタノール、エタノール、i−プロパノール、N−メチルピロリドン
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