JP2012158327A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】惰性走行開始時t1から加速操作時t2まで間、モータトルク目標値tTmを、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに接近して両者の回転差が目標値tΔNowc=-50rpmとなるようtTmslipとなす。よって、t2にNowciとNowcoとの回転差が小さくされ、t2〜t3の加速遅れを短縮し得ると共に、t3の直後におけるワンウェイクラッチ係合ショックを小さくし得る。更に、t2以後tΔNowcが-50rpmから徐々に0になるようにし、これが実現されるようtTm=tTmslipにするため、ワンウェイクラッチ係合ショックを更に確実に緩和し得る。
【選択図】図11
Description
このハイブリッド駆動装置は、エンジン回転を変速機に向かわせる軸に結合して、これらエンジンおよび変速機間にモータ/ジェネレータを具え、エンジンおよびモータ/ジェネレータ間を切り離し可能に結合する第1クラッチを有すると共に、モータ/ジェネレータおよび変速機出力軸間を切り離し可能に結合する第2クラッチをトルクコンバータの代わりに有した構成になるものである。
一方ハイブリッド車両においては、上記のコースティング走行中、燃費向上のために動力源であるエンジンおよびモータ/ジェネレータを停止させておくのが普通であり、このこととも相まってハイブリッド車両の加速時に以下のような問題を生ずる。
コースティング走行開始時t1から加速操作時t2までのコースティング走行中は、上記のごとく燃費向上のために動力源であるエンジンおよびモータ/ジェネレータを停止させておくことから、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciは0にされ、
これと、ワンウェイクラッチの出力側回転数Nowcoとの回転差が大きな状態でワンウェイクラッチは解放されている。
かかるコースティング走行中におけるモータ/ジェネレータの回転速度制御により上記の問題を解消し得るようにしたハイブリッド車両の制御装置を提案することを目的とする。
まず前提となるハイブリッド車両につき説明するに、これは、
動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間に伝達トルク容量を変更可能な第1クラッチを介在させ、モータ/ジェネレータから駆動車輪に至る変速機を含む車輪駆動系に伝達トルク容量を変更可能な第2クラッチを挿置し、
エンジンを停止させ、第1クラッチを解放すると共に第2クラッチを締結することによりモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行モードを選択可能で、第1クラッチおよび第2クラッチを共に締結することによりエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行モードを選択可能にしたものである。
前記変速機がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入されている状態でのコースティング走行中、前記モータ/ジェネレータの回転速度制御により、前記ワンウェイクラッチの入力側回転数および出力側回転数間の回転速度差が設定値となるようワンウェイクラッチ入力側回転数を上昇させてワンウェイクラッチ出力側回転数に接近させておくよう構成したことを特徴とするものである。
変速機がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入されている状態でのコースティング走行中、モータ/ジェネレータを回転速度制御することにより、ワンウェイクラッチの入力側回転数および出力側回転数間の回転速度差が設定値となるようワンウェイクラッチ入力側回転数を上昇させてワンウェイクラッチ出力側回転数に接近させておくため、
加速よりも前のコースティング走行中にワンウェイクラッチの入力側回転数が、ワンウェイクラッチの出力側回転数に対し、両者間の回転速度差が上記の設定値となるよう接近していることとなり、
加速操作時から、ワンウェイクラッチ入力側回転数が出力側回転数に一致するワンウェイクラッチの係合時(加速開始時)までの応答遅れを小さくすることができると共に、加速開始時の直後に大きなワンウェイクラッチ係合ショックが発生する事態をも解消することができる。
図1は、本発明の一実施例になる制御装置を具えたハイブリッド車両の車輪駆動系(パワートレーン)を、その制御システムと共に示し、
1は、第1動力源としてのモータ/ジェネレータ、2は、第2動力源としてのエンジン、3L,3Rはそれぞれ、左右駆動車輪(左右後輪)である。
このモータ/ジェネレータ1およびエンジン2間、詳しくは、軸5とエンジンクランクシャフト2aとの間に第1クラッチ6を介挿し、この第1クラッチ6によりエンジン2およびモータ/ジェネレータ1間を切り離し可能に結合する。
ここで第1クラッチ6は、伝達トルク容量を連続的または段階的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
第2クラッチ7も第1クラッチ6と同様、伝達トルク容量を連続的または段階的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
従って自動変速機4は、入力軸4aからの回転を選択変速段に応じたギヤ比で変速して出力軸4bに出力する。
この出力回転は、ディファレンシャルギヤ装置を含む終減速機8により左右後輪3L,3Rへ分配して伝達され、車両の走行に供される。
ただし自動変速機4は、ワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段を有し、本実施例においては、前進第1速がそれに相当する。
この状態でモータ/ジェネレータ1を駆動すると、当該モータ/ジェネレータ1からの出力回転のみが変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置を含む終減速機8を経て左右後輪3L,3Rに至り、車両をモータ/ジェネレータ1のみによって電気走行(EV走行)させることができる。
この状態では、エンジン2からの出力回転、または、エンジン2からの出力回転およびモータ/ジェネレータ1からの出力回転の双方が変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、終減速機8を経て左右後輪3L,3Rに至り、車両をエンジン2およびモータ/ジェネレータ1の双方によってハイブリッド走行(HEV走行)させることができる。
この制御システムは図1に示すように、パワートレーンの動作点を統合制御する統合コントローラ20を具え、パワートレーンの動作点を、エンジントルク目標値tTeと、モータ/ジェネレータトルク目標値tTm(モータ/ジェネレータ回転数目標値tNmでもよい)と、第1クラッチ6の伝達トルク容量目標値tTc1(クラッチ油圧ソレノイド電流Ic1でもよい)と、第2クラッチ7の伝達トルク容量目標値tTc2(クラッチ油圧ソレノイド電流Ic2でもよい)と、自動変速機4の目標変速段Gmとの組み合わせにより規定する。
このときバッテリ21が過充電にならないよう、バッテリコントローラ23によりバッテリ21を充電制御する。
このためバッテリコントローラ23は、バッテリ21の蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)を検出し、これに関する情報を統合コントローラ20に供給する。
エンジントルク目標値tTeはエンジンコントローラ24に供給され、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmはモータ/ジェネレータコントローラ25に供給される。
モータ/ジェネレータコントローラ25はモータ/ジェネレータ1のトルクTmがモータ/ジェネレータトルク目標値tTmとなるよう、バッテリ21からの電力によりインバータ22を介してモータ/ジェネレータ1を制御する。
クラッチコントローラ26は、一方で第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1に対応したクラッチ油圧ソレノイド電流Ic1を第1クラッチ6の油圧制御ソレノイドに供給し、第1クラッチ6の伝達トルク容量Tc1が伝達トルク容量目標値tTc1に一致するよう第1クラッチ6を締結制御する。
クラッチコントローラ26は他方で、第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2に対応したクラッチ油圧ソレノイド電流Ic2を第2クラッチ7の油圧制御ソレノイドに供給し、第2クラッチ7の伝達トルク容量Tc2が第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2に一致するよう第2クラッチ7を締結制御する。
これがため、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iとしてモータ/ジェネレータ1の回転数を検出する第2クラッチ入力側回転数センサ13(第2クラッチ入力側回転数検出手段に相当する)、および、第2クラッチ7の出力側回転数Nc2oとして変速機入力軸4aの回転数を検出する第2クラッチ出力側回転数センサ14(第2クラッチ出力側回転数検出手段に相当する)、並びに、第2クラッチ7の作動油温Tempを検出する油温センサ16を設け、これら回転センサ13,14および油温センサ16からの信号をクラッチコントローラ26を経て統合コントローラ20に入力する。
図3の制御プログラムは定時割り込みにより繰り返し実行されるもので、
先ずステップS1において、各コントローラ23〜27からのデータを受信し、バッテリ蓄電状態SOCや、エンジン回転数Neや、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iおよび出力側回転数Nc2oや、第2クラッチ7の作動油温Tempや、自動変速機4の選択変速段(選択ギヤ比)Gmを読み込む。
ステップS3においては、アクセル開度APOからハイブリッド車両が、アクセルペダルを踏み込んだ状態(APO>0)のドライブ走行であるのか、アクセルペダルを釈放した状態(APO=0)のコースティング走行であるのかを判定する。
従ってステップS3は、図2におけるドライブ/コースト判定手段31に相当する。
従ってステップS4は、図2における車輪駆動トルク目標値演算手段32に相当する。
詳細は本発明と関係ないため省略するが、緩加速発進のような低負荷、低車速のもとでは、エンジン2の燃焼効率が比較的悪いため、エンジン2を使わずモータ/ジェネレータ1のみによるEV走行を行わせるため、第1クラッチ6を解放させるべきと判定して第1クラッチ制御モードフラグfCL1=0と決定する。
かかる第2クラッチ制御モードフラグCL2MODEは、図4の制御プログラムを実行して決定する。
一方ステップS50においてコースティング走行中でないと判定する場合、つまり車両がドライブ走行中であれば、制御をステップS51に進め、ここでは、第1クラッチ制御モードフラグfCL1が0か否かを、つまり、第1クラッチ6を解放させるべきか否かをチェックする。
fCL1=0であれば、つまり、第1クラッチ6を解放してエンジン2の停止によりEV走行すべきであれば、制御をステップS52に進め、ここで車速VSPが0の停車状態か否かをチェックする。
停車状態であればステップS53において、第2クラッチ7を発進に備えて締結させておくべきであるから第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=1(締結)に設定する。
しかし、ステップS52で車速VSPが0でないと判定する時は、つまり、車両が走行している(EV走行している)時は、ステップS54において、第2クラッチ7をエンジン始動に備えてスリップ締結させておくべきであるから第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=2(スリップ)に設定する。
ステップS56で駆動トルク目標値tTd<0と判定する逆駆動要求時は、EV走行中から第2クラッチ7をスリップ締結させておくと好適なエンジン始動が行われないから制御をステップS57に進め、第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=0(解放)に設定する。
なお第2クラッチ7をスリップ締結させる目的は、エンジン始動時にモータ/ジェネレータ1に発生するトルク変動を駆動車輪に伝えないようにするためである。
ステップS58でCL2MODE(前回)=1と判定する時、つまり、第2クラッチが前回締結されていた場合は、ステップS53において第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=1(締結)に保つ。
ステップS59で第2クラッチ7のスリップ条件が成立したと判定する時は、第2クラッチ7をスリップ締結させるべきであるから、ステップS54において第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=2(スリップ)に設定し、
ステップS59で第2クラッチ7のスリップ条件が成立していないと判定する時は、第2クラッチ7をスリップさせるべきでないから、ステップS53において第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=1(締結)に設定する。
基本エンジントルク目標値tTebaseはステップS4において、そのままエンジントルク目標値tTeとしてエンジンコントローラ24に指令する。
なお車輪駆動トルク目標値tTdの分担方法は任意であり、発明と関係ないため詳細な説明をここでは省略する。
このチェックに当たっては、例えば、ステップS6で設定した第2クラッチ制御モードCL2MODEが2(第2クラッチ7をスリップ締結させるべき)であり、且つ、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iおよび出力側回転数Nc2o間におけるスリップ量が設定値以上である間は、第2クラッチ7のスリップ回転(締結)制御を行うべき(ON)と判定し、それ以外では第2クラッチ7の当該スリップ回転(締結)制御を行うべきでない(OFF)と判定する。
この基本第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2baseは、例えばステップS4でアクセル開度APOおよび車速VSPから求めた車輪駆動トルク目標値tTdと同じ値にしてもよいが、以下のようにして求めることもできる。
つまり、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iに対する出力側回転数Nc2oの比で表される速度比E(=Nc2o/Nc2i)から、図6に例示するトルクコンバータ特性に基づき第2クラッチ7の伝達トルク容量係数Cc2を求め、これと、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iとを用いた次式の演算により、基本クラッチ伝達トルク容量目標値tTclbaseを求めてもよい。
tTc2base=Cc2×Nc2i2 ・・・(1)
図3のステップS10においては、ステップS4で求めた駆動トルク目標値tTdから後述するごとく、第2クラッチ7の出力側回転数目標値tNc2oを求めると共に、第2クラッチスリップ回転数目標値と、第2クラッチ出力側回転数検出値Nc2o(センサ14による検出値)とから、第2クラッチスリップ回転数目標値を達成するのに必要な第2クラッチ入力側回転数目標値tNc2iを求める。
図7に第2クラッチ出力側回転数目標値演算部52として示すごとく、駆動トルク目標値tTdと、車両慣性モーメントJoと、車輪駆動系における自動変速機4の選択変速段で決まる変速比Gmと、車輪駆動系における終減速機8の最終減速比Gfとに基づき、第2クラッチ7のクラッチ出力側回転数目標値tNc2oを次式
tNc2o={(Gm・Gf)2/Jo}×(1/s)×tTd ・・・(2)
の演算により求める。
Tc2ff=GFF(s)×tTc2base
={Gc2ref(s)/Gc2(s)}×tTc2base
={(τc2・s+1)/(τc2ref・s+1)}×tTc2base ・・・(3)
但し、Gc2ref(s):第2クラッチの規範モデル
Gc2(s):第2クラッチの実際モデル
τc2:第2クラッチのモデル時定数
τc2ref:第2クラッチ制御用規範応答時定数
Nc2oref=Gc2ref(s)×tNc2o
={1/(τc2ref・s+1)}×tNc2o ・・・(4)
但し、τc2ref:第2クラッチ制御用規範応答時定数
この第2クラッチ伝達トルク容量補正値Tc2fbの演算に当たっては実際には、タスティン近似などで離散化して得られた以下の漸化式を用いて当該演算を行うこととする。
Tc2fb={Kc2p+(Kc2i/s)}・Nc2oerr ・・・(5)
但し、Kc2p:比例制御ゲイン
Kc2i:積分制御ゲイン
ステップS5で設定した第1クラッチ制御モードフラグfCL1が1で、第1クラッチ6を締結させるべきとの判定にもかかわらず、未だ第1クラッチ6が締結していない(Ne≠Nc2iである)場合、
エンジン始動時第2クラッチ伝達トルク容量補正値ΔTc2eを、エンジン始動用モータトルクTengstと、アクセル開度APOとの関数として求め、例えば、図8に示すようなマップを基にエンジン始動用モータトルクTengstおよびアクセル開度APOから、エンジン始動時第2クラッチ伝達トルク容量補正値ΔTc2eを検索する。
ステップS15においては、前記したフィードフォワード制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2ffと、前記した第2クラッチ伝達トルク容量補正値Tc2fbとを合算した後、この合算値から前記したエンジン始動時第2クラッチ伝達トルク容量補正値ΔTc2eを差し引いて、第2クラッチスリップ回転制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値Tc2fbonを求め、
ステップS18において、この第2クラッチスリップ回転制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値Tc2fbonを第2クラッチスリップ制御用伝達トルク容量目標値tTc2slipとする。
なお、第2クラッチ7を締結状態にしたり、この定常状態に保つためのクラッチ通常制御用クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboffは、第2クラッチ7が実現可能な最大値とし、
第2クラッチ7を解放状態にしたり、この定常状態に保つためのクラッチ通常制御用クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboffは、第2クラッチ7の現在における伝達トルク容量から徐々に低下させる。
(1)第2クラッチの締結時
tTc2(前回値)<tTd×Ksafeであれば、
tTc2fboff=tTc2(前回値)+ΔTc2(L/U)とし、
tTc2(前回値)≧tTd×Ksafeであれば、
tTc2fboff=tTd×Ksafeとする。
但し、Ksafe:第2クラッチ伝達トルク容量安全率(>1)
ΔTc2(L/U):第2クラッチ締結進行時トルク容量増加率
(2)第2クラッチの解放時
無条件にtTc2fboff=0とする。
(3)第2クラッチの締結状態からスリップ制御への移行時
無条件にtTc2fboff=tTc2(前回値)−ΔTc2(SLIP)とする。
但し、ΔTc2(SLIP):第2クラッチスリップ移行時トルク容量低下率
ステップS16およびステップS17を通るループが選択される場合、第2クラッチ7のスリップ締結制御を行うべきでないと判定したのに呼応して、ステップS17で求めた第2クラッチ通常制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboffをスリップ制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2slipとする。
そしてステップS18では、上記のようにして定めたスリップ制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2slipを第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2にセットする。
つまり、ステップS5で設定した第1クラッチ制御モードフラグfCL1が1(第1クラッチ6を締結させるべき)で、且つ、第2クラッチ7の実スリップ回転数Nc2slipが第2クラッチスリップ回転目標値(エンジン始動時はエンジン始動時第2クラッチスリップ回転目標値)以上である場合は、第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1を第1クラッチ6の実現可能最大伝達トルク容量Tc1maxとし、
第1クラッチ制御モードフラグfCL1が0(第1クラッチ6を解放させるべき)である場合は、第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1を0にする。
つまり、先ず図9に例示する予定のマップをもとに第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2および第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1を実現する第2クラッチ7および第1クラッチ6のクラッチ油圧を検索し、
次いで図10に例示するマップをもとに当該クラッチ油圧を発生する第2クラッチ7および第1クラッチ6の油圧ソレノイド電流Ic2,Ic1をそれぞれ決定する。
かように決定した第2クラッチ7および第1クラッチ6の油圧ソレノイド電流をステップS24において、対応するクラッチコントローラ26へ供給し、このコントローラにより第2クラッチ7および第1クラッチ6を、それぞれの伝達トルク容量が目標値tTc2,tTc1に一致するよう締結制御する。
ステップS3(図2のドライブ/コースト判定手段31)における判定結果、つまり、ハイブリッド車両が、アクセルペダルを踏み込んだ(APO>0)ドライブ走行か、アクセルペダルを釈放した(APO=0)コースティング走行かに応じ、前記したワンウェイクラッチを経て動力伝達を行う変速段が選択されている間における当該ワンウェイクラッチの入出力相対回転数目標値tΔNowcを決定し、これをモータ/ジェネレータ1の回転数制御により実現する時に必要なワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipを演算する。
ワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値演算手段35は、ワンウェイクラッチの入力側回転数から出力側回転数を差し引いた入出力相対回転数の目標値tΔNowcを、コースティング走行中に例えばごく僅かな-50rpmと定め、更に好ましくは、加速操作時から、ワンウェイクラッチ係合ショックの問題を生じない所定の時間変化割合で徐々に0に向かわせる。
ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値演算手段37は、ワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値tΔNowcおよびワンウェイクラッチ出力側回転数Nowcoから、ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値tNowciを次式の演算により求める。
tNowci=Nowco+tΔNowc
減算器39は、ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値tNowciからワンウェイクラッチ入力側回転数Nowciを差し引いて、ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値tNowciに対するワンウェイクラッチ入力側回転数Nowciの偏差Nowcerrを求める。
ステップS3(図2のドライブ/コースト判定手段31)による判定結果に応じ、アクセルペダルを踏み込んだ(APO>0)ドライブ走行であれば、ステップS7(図2のトルク配分手段33)で求めた駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseをモータトルク目標値tTmとして選択し、
アクセルペダルを釈放した(APO=0)コースティング走行中であれば、ステップS22(図2のワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値演算手段40)で求めたワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipをモータトルク目標値tTmとして選択する。
入出力相対回転数の目標値tΔNowcを前記したごとくコースティング走行中に例えばごく僅かな-50rpmと定め、加速操作時から所定の時間変化割合で徐々に0に向かわせるよう定めた場合、
ステップS3(図2のドライブ/コースト判定手段31)で、アクセルペダルの踏み込みによる加速操作があったと判定する時ではなく、それよりも後であって、入出力相対回転数目標値tΔNowcが0になった時に、モータトルク目標値tTmをtTmslipからtTmbaseへ切り替える。
ステップS3(図2のドライブ/コースト判定手段31)で、アクセルペダルの踏み込みによる加速操作があったと判定時に、モータトルク目標値tTmをtTmslipからtTmbaseへと切り替えるのは言うまでもない。
図11は、自動変速機4がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入された状態で、瞬時t1〜t2にアクセルペダルの釈放(アクセル開度APO=0)によるコースティング走行が行われ、瞬時t2にアクセルペダルの踏み込み(加速操作)により加速が開始された場合の動作タイムチャートを示す。
コースティング走行開始時t1から加速操作時t2までのコースティング走行中は、従来なら前記のごとくモータ/ジェネレータトルク目標値tTmを0にしておくところながら、本実施例においてはこのモータ/ジェネレータトルク目標値tTmを、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに接近(上昇)して両者間の相対回転が前記の目標値tΔNowc=-50rpmとなるよう、tTmslipに制御する。
しかも本実施例においては更に、加速操作時t2以後ワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値tΔNowcが-50rpmから徐々に0になるよう、モータ/ジェネレータトルク目標値tTm=tTmslipを図11の加速操作時t2直後に実線で示すごとく決定するため、
ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに更に接近(上昇)して、ついには瞬時t3に出力側回転数Nowcoと一致する。
これによりワンウェイクラッチは係合し、このワンウェイクラッチ係合瞬時t3より、モータ/ジェネレータ1から車輪へ駆動力が伝達される(加速が行われる)ようになる。
なおワンウェイクラッチ係合瞬時(加速開始時)t3以後は、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmは、ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用の目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の目標値tTmbaseに切り替わり、通常の駆動力(トルク)制御が実行される。
この加速操作時t2から加速開始時t3までの加速遅れを図11から明らかなように、図13に示す従来の制御に比べて短縮し得ると共に、加速開始時t3の直後における車両加速度変化も図13に示す従来の制御に比べて小さくすることができる。
図11に示す加速開始時t3の直後における車両加速度変化から明らかなように、車両加速度変化を益々小さくすることができる。
加速操作時t2に、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmを破線Aで示すごとく、ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用の目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の目標値tTmbaseに切り替えるようにしても、上記した加速応答の改善効果とワンウェイクラッチ係合ショックの緩和とを両立させることができる。
図2の手段41によるモータトルク目標値tTmの選択要領、および、手段35で設定するワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値tΔNowcを上記した各実施例と異ならせることにより当該動作は実現される。
つまり本実施例においては、瞬時t1〜t2間のコースティング走行中、モータトルク目標値選択手段41がワンウェイクラッチ入出力相対回転(回転)制御用のモータトルク目標値tTmslipをモータトルク目標値tTmとして選択するようになす。
この選択を指令される図2のモータ/ジェネレータコントローラ25は、モータトルク目標値tTmをワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseへ切り替えるに際し、
τLPFの時定数を持った次式で表される伝達関数GLPF
GLPF(s)=1/{τLPF・s+1}
のローパスフィルタにより、モータトルク目標値tTmを図12の瞬時t2〜t3における時系列変化として示すごとき所定の時間変化割合で、ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseへと徐々に変化させる。
なお、モータトルク目標値tTmのtTmslipからtTmbaseへの時間変化割合は、モータトルクの急変によるショックが問題とならない範囲で最も大きな値として、当該ショック対策と加速応答遅れの回避との両立を図る。
また、加速操作時におけるモータトルク目標値tTmのtTmslipからtTmbaseへの切り替えが加速操作時t2からt3までの時間をかけて所定の時間変化割合で徐々に行われることから、瞬時t2〜t3間における車両加速度変化により明らかなごとくモータトルクの切り替えによるショックが問題にならないし、t2〜t3間の加速応答遅れが大きくなるという問題を生ずることもない。
ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに一致したワンウェイクラッチの係合瞬時(加速開始瞬時)t3に、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmをワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用の目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の目標値tTmbaseへ切り替える際、前記のローパスフィルタを用いて所定の時間変化割合で徐々に当該切り替えを行って、モータトルクの切り替えによるショックが大きくなるのを防止することができる。
2 エンジン
3L,3R 左右駆動車輪
4 自動変速機
5 モータ/ジェネレータ軸
6 第1クラッチ
7 第2クラッチ
8 終減速機
11 アクセル開度センサ
12 車速センサ
13 第2クラッチ入力側回転センサ
14 第2クラッチ出力側回転センサ
15 エンジン回転センサ(第1クラッチ入力側回転センサ)
16 第2クラッチ作動油温センサ
20 統合コントローラ
21 バッテリ
22 インバータ
23 バッテリコントローラ
24 エンジンコントローラ
25 モータ/ジェネレータコントローラ
26 クラッチコントローラ
27 変速機コントローラ
31 ドライブ/コースト判定手段
32 駆動トルク目標値演算手段
33 トルク配分手段
34 第2クラッチ伝達トルク容量目標値演算手段
35 ワンウェイクラッチ入出力相対回転目標値演算手段
36 ワンウェイクラッチ出力側回転数演算手段
37 ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値演算手段
38 ワンウェイクラッチ出力側回転数演算手段
39 減算器
40 ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値演算手段
41 モータトルク目標値選択手段
51 フィードフォワード補償演算部
52 第2クラッチ出力側回転数目標値演算部
53 第2クラッチ出力側回転数規範値演算部
54 第2クラッチ出力側回転数偏差演算部
55 第2クラッチ伝達トルク容量補正値演算部
56 最終クラッチ伝達トルク容量目標値演算部
Claims (3)
- 動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間に伝達トルク容量を変更可能な第1クラッチを介在させ、モータ/ジェネレータから駆動車輪に至る変速機を含む車輪駆動系に伝達トルク容量を変更可能な第2クラッチを挿置し、
エンジンを停止させ、第1クラッチを解放すると共に第2クラッチを締結することによりモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行モードを選択可能で、第1クラッチおよび第2クラッチを共に締結することによりエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行モードを選択可能なハイブリッド車両において、
前記変速機がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入されている状態でのコースティング走行中、前記モータ/ジェネレータの回転速度制御により、前記ワンウェイクラッチの入力側回転数および出力側回転数間の回転速度差が設定値となるようワンウェイクラッチ入力側回転数を上昇させてワンウェイクラッチ出力側回転数に接近させておくようにするとともに、
前記コースティング走行状態での加速操作時は、該加速操作に起因して生じる前記モータ/ジェネレータの駆動要求から切り離して、該モータ/ジェネレータの回転速度制御により、前記ワンウェイクラッチ入力側回転数および出力側回転数間の回転速度差が前記設定値よりも小さくなるようワンウェイクラッチ入力側回転数を更に上昇させて出力側回転数に一層接近させる構成としたことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載の制御装置において、
前記加速操作時の前記モータ/ジェネレータの回転速度制御による前記ワンウェイクラッチ入力側回転数の更なる上昇は、ワンウェイクラッチ入出力側回転数差を0にするものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1または2に記載の制御装置において、
コースティング走行からの加速があり、且つ、前記モータ/ジェネレータの回転速度制御により前記ワンウェイクラッチの入力側回転数が出力側回転数に一致した時に行うべきモータ/ジェネレータの回転速度制御からトルク制御への切り替え時に、モータ/ジェネレータのモータトルク目標値を回転速度制御用の目標値からトルク制御用の目標値へ変化させるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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