JP2012095390A - モータ制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ制御システムにおいて、矩形波制御方式からPWM制御方式への切替えを適時に行ってモータ過電流の発生を抑制する。
【解決手段】モータ制御システムは、バッテリ電圧をコンバータ35で必要に応じて昇圧してインバータ38に供給し、交流モータ14の運転条件に応じて、インバータ38の制御方式を矩形波制御、過変調PWM制御、正弦波PWM制御の間で選択的に設定する制御装置を備える。制御装置は、モータ電流の電流位相をdq平面上における閾値ラインと比較して矩形波制御方式からPWM制御方式への切り替えを行う制御方式切替部と、矩形波制御方式の実行中で且つインバータ入力電圧であるシステム電圧VHが所定閾値Vthrよりも小さいときにdq平面上における閾値ラインを進角側または低q軸電流側に変更する閾値変更部とを含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、モータ制御システムに係り、特に、矩形波制御方式とこれとは別の制御方式との間でモータの制御方式を切り替えてモータを駆動するモータ制御システムに関する。
従来、交流モータを駆動する場合のインバータの制御方法として、正弦波パルス幅変調制御方式(以下、適宜に「正弦波PWM(Pulse Width Modulation)制御方式」と記す)、過変調パルス幅変調制御方式(以下、適宜に「過変調PWM制御方式」と記す)、および、矩形波制御方式を使い分けることが行われている。すなわち、低速領域から中速領域にかけては制御応答性に優れた正弦波PWM制御方式を用い、中速領域から高速領域にかけては過変調PWM制御方式を用い、より高速領域では矩形波制御方式を用いるというように、制御方式の切替を行いながらモータを最適に制御している。
ここで、正弦波PWM制御方式と過変調PWM制御方式(以下、両者をまとめて「PWM制御方式」ということがある)とは、電流フィードバック制御であり、トルク指令に基づいて生成される電圧指令と搬送波(キャリア)とを比較することでパルス幅変調された多数のパルス状電圧をモータに出力する制御である。一方、矩形波電圧位相制御方式は、電気角に応じて所定の1制御周期内で1つの矩形波電圧をモータに印加する制御であり、電圧振幅は最大値に固定され、矩形波電圧の位相を制御することでトルクをフィードバック制御している。
正弦波PWM制御方式から過変調PWM制御方式、過変調PWM制御方式から矩形波電圧位相制御方式への3つの制御モードの間の切替は、変調率、あるいは変調率に相当する電圧指令振幅によって行われるが、矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替は、矩形波制御方式において電圧指令振幅が一定であるので、モータを流れる実電流の位相によって切替のタイミングを判定することで行われる。
例えば、特開2010−81660号公報(特許文献1)には、矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替の際に、モータ実電流を構成するd軸電流が作動領域を外れるのを抑制することを解決課題としたモータ制御システムが開示されている。このモータ制御システムの制御部は、定常的運転状態において、検出されたモータ実電流に対し高調波成分のフィルタ処理を行ったなまし電流の電流位相を用いて、矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替を行う定常的切替モジュールと、過渡的運転状態において、検出されたモータ実電流の電流位相を用いて矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替を行う過渡的切替モジュールとを含んでおり、モータ実電流の電流位相は、なまし電流の電流位相と比較される切替ラインとは別に予め設定される過渡的切替ラインと比較されて制御モードの切替が実行されることが記載されている。
特開2010−81660号公報
上記特許文献1のように、トルク指令の降下や回転数の低下が速く起こる過渡的な場合には、高調波成分がフィルタ処理されたなまし電流ではなくモータ実電流の電流位相を用いて、比較する切替ラインを定常的運転状態におけるものから過渡的切替ラインに切り替えて比較を行うことにより、矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替タイミングをより適切に判定して制御方式の切替を行うことができ、その結果、切替点を行過ぎてd軸電流の作動領域を外れてしまうことを抑制することができるという利点がある。
しかしながら、上記のように制御方式が切り替えられるモータが車両動力源として搭載されて矩形波制御方式で駆動されているとき、モータ実電流を検出するタイミングであるサンプリング周期がPWM制御方式に比べて長いために、検出されたモータ電流値のばらつき具合によってはモータ実電流を正確に把握することができず、矩形波制御方式からPWM制御方式への緊急切替が遅れてしまってモータ過電流となることが起こり得る。特に、このような事態は、たとえば、インバータへの入力電圧が低い状態で矩形波制御が実行されているときにアクセルとブレーキの両方を同時に踏んだ場合などに発生しやすい。この場合、モータの実トルクがトルク指令からはずれていき、その結果としてモータ相電流が大きくなって過電流にいたる懸念がある。
本発明の目的は、矩形波制御方式で駆動されている交流モータについてPWM制御方式への緊急切替判定をより適切に行うことでモータ過電流が発生するのを抑制できるモータ制御システムを提供することである。
本発明は、バッテリから供給される直流電圧をコンバータで必要に応じて昇圧してからインバータに供給し、インバータで交流電圧に変換して印加することにより交流モータを駆動制御するモータ制御システムであって、前記コンバータの出力電圧であるシステム電圧を検出する電圧検出部と、前記交流モータに流れるモータ電流を検出する電流検出部と、前記交流モータの運転条件に応じて、前記インバータにおける前記電圧変換の制御方式を選択的に設定する制御方式選択する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記インバータへの入力電圧と前記交流モータの必要電圧との関係から前記インバータにおける前記電圧変換の制御方式を矩形波制御方式と、前記矩形波制御方式よりも交流電圧の基本波成分が小さい別の制御方式との間で選択的に設定する制御方式設定部と、前記制御方式設定部により前記矩形波制御が選択されたときに、前記電流検出部によって検出されるモータ電流に基づいて求められる前記交流モータの実際トルクがトルク指令値となるようにトルク偏差の比例積分制御にしたがってトルク制御する矩形波制御部と、前記電流検出部により検出されたモータ電流の電流位相をdq平面上における閾値と比較して前記電流位相が前記閾値を超えたときに前記矩形波制御方式から前記別の制御方式へと切り替える制御方式切替部と、前記矩形波制御方式の実行中で且つ前記システム電圧が所定閾値よりも低くなったときに前記制御方式切替部における前記電流位相の比較対象を前記dq平面上における第1閾値から前記dq平面上で進角側または低q軸電流側にある第2閾値へ変更する閾値変更部と、を含む。
本発明に係るモータ制御システムにおいて、前記閾値変更部は、前記システム電圧が所定閾値よりも低い状態が所定時間継続したときに前記閾値変更処理を実行してもよい。
また、本発明に係るモータ制御システムにおいて、前記閾値変更部は、さらに、前記モータの回転数が所定値以下のときに前記閾値変更処理を実行してもよい。
また、本発明に係るモータ制御システムにおいて、前記別の制御方式は、正弦波パルス幅変調制御方式および過変調パルス幅変調制御方式を含み、前記制御方式切替部は、前記交流モータの制御方式を、前記矩形波制御方式から前記過変調パルス幅変調制御方式を経て正弦波パルス幅変調制御方式へ切り替えるか、または、前記矩形波制御方式から前記正弦波パルス幅変調制御方式へ直に切り替えてもよい。
さらに、本発明に係るモータ制御システムにおいて、前記閾値切替部は、前記閾値変更処理を実行してから予め規定された一定時間を経過したときに前記閾値を前記第2閾値から前記第1閾値へと戻す処理を実行してもよい。
本発明に係るモータ制御システムによれば、矩形波制御方式の実行中で且つシステム電圧が所定閾値よりも小さいとき制御方式切替部における電流位相の比較対象をdq平面上における第1閾値からdq平面上で進角側または低q軸電流側にある第2閾値へ変更する構成とした。これにより、モータ電流のサンプリング周期が比較的長い矩形波制御において検出されるモータ電流値にばらつきがあっても、例えばアクセルとブレーキの両踏み等に起因して実トルクがトルク指令からはずれていくような場合に、上記システム電圧に基づく判定によって適切なタイミングで矩形波制御方式からPWM制御方式へと制御モードを切り替えることができ、その結果、モータ過電流の発生を効果的に抑制できる。
本発明の一実施の形態であるモータ制御システムを搭載したハイブリッド車両の概略構成図である。 ハイブリッド車両に搭載された交流モータの3つの制御方式を示す図である。 制御装置においてモータ制御方式を選択的に設定するための制御方式設定ルーチンを示すフローチャートである。 図2に示す3つの制御方式の領域をトルクと回転数との関係で規定するマップを示す図である。 制御装置においてPWM制御を実行するPWM制御部を示すブロック図である。 制御装置において矩形波制御を実行する矩形波制御部を示すブロック図である。 dq平面上で規定される切替ラインを示す図である。 アクセルとブレーキが両踏みされたときのトルク指令と実際トルクとの関係をマップ上で説明するための図である。 矩形波制御からPWM制御への緊急切替が遅れたことによりモータ電流が一時的に過電流となった状態を示す図である。 制御装置において実行される矩形波制御緊急切替ルーチンを示すフローチャートである。 dq平面上に規定される緊急切替ラインを進角側に変更する様子を示す図である。 緊急切替ラインの変更処理を実行したときのモータ電流の波形を図8と同様の図である。
以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
以下では、本実施形態のモータ制御システムがモータおよびエンジンを動力源とするハイブリッド車両に適用された例について説明するが、モータのみを動力源とする電気自動車に用いられてもよい。
また、この車両には、1台でモータ機能と発電機機能とを有するモータ・ジェネレータを2台用いるものとして説明するが、これは例示であって、モータ機能のみを有するモータを1台、発電機機能のみを有するモータを1台用いるものとしてもよい。あるいは、モータ・ジェネレータを1台のみ用いるものとしてもよく、3台以上用いるものとしてもよい。
さらに、以下では、モータを、その回転子あるいは固定子が突極を有しない非突極形式として、その作動領域が負のd軸電流のところにあるものを説明するが、突極を有する形式のモータであってもよい。突極を有する形式のモータの場合の作動領域はd軸電流が正であるので、矩形波制御方式から過変調PWM制御方式に切り替わる領域はd軸電流が正の領域となる。したがって、非突極形式のモータについての説明におけるd軸電流の符号を反転させることで、突極形式のモータの説明とすることができる。例えば、非突極形式のモータの場合、負のd軸電流値であるが、突極形式のモータの場合には、正のd軸電流値となる。
図1は、本実施形態のモータ制御システムが適用されるハイブリッド車両10の概略構成を示す。図1中、動力伝達系は丸棒状の軸要素として図示され、電力系は実線で図示され、信号系は破線で図示されている。図1に示すように、ハイブリッド車両10は、走行用動力源としてのエンジン12と、別の走行用動力源であるモータ(MG2)14と、エンジン12の出力軸18が連結される動力分配機構20を介して回転軸22が接続されるモータ(MG1)24と、各モータ14,24に駆動電力を供給可能なバッテリ16と、上記エンジン12およびモータ14,24の各作動を統括的に制御するとともに、バッテリ16の充放電を制御する制御装置100とを備える。
エンジン12は、ガソリンや軽油等を燃料とする内燃機関であり、制御装置100からの指令に基づいてクラッキング、スロットル開度、燃料噴射量、点火タイミング等が制御されて、エンジン12の始動、運転、停止等が制御される。
エンジン12から動力分配機構20へと延伸する出力軸18の近傍にはエンジン回転数Neを検出する回転数センサ28が設けられている。また、エンジン12には、エンジン冷却媒体である冷却水の温度Twを検出する温度センサ13が設けられている。回転数センサ28および温度センサ13による各検出値は、制御装置100に送信されるようになっている。
動力分配機構20は、例えば遊星歯車機構によって好適に構成されることができる。エンジン12から出力軸18を介して動力分配機構20に入力された動力は、変速機30および車軸32を介して駆動輪34に伝達されて、車両10がエンジン動力によって走行することができる。
変速機30は、エンジン12およびモータ14の少なくとも一方から入力される回転を減速して車軸32に出力することができ、制御装置100からの指令に応じて複数の変速段の間で切り替え可能であってもよい。変速機30に用いられる変速機構は、如何なる公知構成のものが用いられてもよく、また、階段状の変速ではなく滑らかに連続して変速する無段階変速機構が用いられてもよい。
上記動力分配機構20は、出力軸18を介して入力されるエンジン12の動力の一部または全部を、回転軸22を介してモータ24に入力することができる。このとき、モータ24は、例えば三相同期型交流モータによって好適に構成される。モータ24は発電機として機能することができ、発電された三相交流電圧がインバータ36によって直流電圧に変換されてバッテリ16に充電されるか、または、モータ14の駆動電圧として用いられる。
また、モータ24は、バッテリ16からコンバータ35およびインバータ36を介して供給された電力により回転駆動される電動機としても機能することができる。モータ24が回転駆動されて回転軸22に出力される動力は、動力分配機構20および出力軸18を介してエンジン12に入力されてクランキングを行うことができる。さらに、モータ24をバッテリ16から供給される電力により回転駆動して、その動力を動力分配機構20および変速機30を介して車軸32に出力することにより走行用動力として用いることも可能である。
主として電動機として機能するモータ14は、例えば三相同期型交流モータによって好適に構成されることができ、バッテリ16から供給される直流電圧が、必要に応じてコンバータ35で昇圧され、その後インバータ38で三相交流電圧に変換されて駆動電圧として印加されることにより回転駆動される。モータ14が駆動されて回転軸15に出力される動力は、変速機30および車軸32を介して駆動輪34に伝達され、これによりエンジン12が停止した状態でいわゆるEV走行が行われる。また、モータ14は、運転者のアクセル操作により急加速要求があった場合等に、走行用動力を出力してエンジン出力をアシストする機能も有する。
バッテリ16には、例えばリチウムイオン電池等の二次電池およびキャパシタ等の充放電可能な蓄電装置を好適に用いることができる。バッテリ16とコンバータ35との間の電気回路には電圧センサ(電圧検出部)40および電流センサ(電流検出部)42が設けられており、これらにより検出されるバッテリ電圧Vbおよびバッテリ電流Ibが制御装置100に入力されるようになっている。また、コンバータ35とインバータ36,38との間には電圧センサ(電圧検出部)42がさらに接続されており、これにより検出されるコンバータ出力電圧、すなわちインバータ入力電圧であるシステム電圧VHが制御装置100に入力されるようになっている。
制御装置100は、各種の制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムや制御用マップ等を予め記憶するROM、このROMから読み出された制御プログラムや各センサによる検出値などを一時的に記憶するRAM等からなるマイクロコンピュータにより好適に構成される。制御装置100は、エンジン回転数Ne、バッテリ電流Ib、バッテリ電圧Vb、バッテリ温度Tb、アクセル開度信号Acc、車速Sv、ブレーキ操作信号Br、エンジン冷却水の水温Tw、コンバータ35の出力電圧またはインバータ36,38の入力電圧であるシステム電圧VH、およびモータ14,24を流れるモータ電流等が入力される入力ポート、ならびに、エンジン12、コンバータ35およびインバータ36,38等の運転または作動を制御する制御信号を出力する出力ポートを含む。
なお、本実施形態では、1つの制御装置100でエンジン12、モータ14,24、コンバータ35、インバータ36,38、バッテリ16等の作動制御や状態監視を行うものとして説明するが、例えば、エンジン12の運転状態を制御するエンジンECU(Electronic Control Unit、以下に同じ)、コンバータ35およびインバータ36,38を作動制御してモータ14,24の駆動を制御するモータECU、バッテリ16のSOCを管理するバッテリECU等を個別に設けて、上記制御装置100がハイブリッドECUとして上記個別の各ECUを統括制御するように構成してもよい。
次に、制御装置100によって制御される、インバータ36,38における電力変換について説明するが、いずれのインバータも同じ制御が可能であることから、ここでは主として走行用動力を出力するモータ14に接続されたインバータ38を例に説明する。
図2に示すように、制御装置100では、インバータ38における電力変換について正弦波PWM制御方式、ならびに、別の制御方式である過変調PWM制御方式および矩形波制御方式の3つの制御方式を切り替えて使用する。
正弦波PWM制御方式は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、インバータ38に含まれる例えばIGBT等のスイッチング素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令値と搬送波(通常は三角波)との電圧比較にしたがって制御する。この結果、インバータ38からは、所定の1制御周期内で基本波成分が正弦波となるようにパルス幅が調整された多数のパルス状電圧がモータ14へ出力される。周知のように、正弦波PWM制御方式では、インバータ入力電圧に対する上記基本波成分の振幅の比率(以下、適宜に「変調率」という)を{(3)1/2}/2{(2)1/2}=0.61までしか高めることができない。
過変調PWM制御方式では、振幅が上記搬送波よりも大きくなった正弦波状の電圧指令値と搬送波との電圧比較にしたがって上記正弦波PWM制御方式と同様のPWM制御を行うものである。これにより、基本波成分は少し歪んだ正弦波状のものになるが、変調率を0.61から0.78の範囲で高めることができる。
矩形波制御方式では、上記1制御周期内で、オンデューティ比50%の1つの矩形波パルス電圧がモータ14へ出力される。これにより変調率は{(6)1/2}/π=0.78に高めることができ、過変調PWM制御の場合よりもさらに歪んだ略正弦波状の基本波成分となるものの、その振幅はPWM制御方式よりも大きくなる。
モータ14では、回転数や出力トルクが増加すると誘起電圧または逆起電圧が高くなり、その必要電圧が高くなる。コンバータ35による昇圧電圧、すなわち、インバータ入力電圧であるシステム電圧VHは、このモータ必要電圧よりも高く設定する必要がある。その一方で、コンバータ35による昇圧電圧すなわちシステム電圧VHには限界値(VH最大電圧)が存在する。
したがって、モータ必要電圧がシステム電圧の最大値より低い領域では、変調率の大きさにしたがって正弦波PWM方式または過変調PWM制御方式による最大トルク制御が適用され、ベクトル制御にしたがったモータ電流制御によって出力トルクTrがトルク指令値Tr*となるよう制御される。
一方、モータ必要電圧がシステム電圧の最大値に達すると、システム電圧VHおよび変調率を維持した上で弱め界磁制御にしたがった矩形波制御方式が適用される。矩形波制御方式では、基本波成分の振幅が固定されるため、電力演算によって求められるモータ14の実際トルクTrとトルク指令値T*との偏差ΔTrに基づく、矩形波パルスの電圧位相制御によってトルク制御が実行される。
図3は、制御装置100において実行される制御方式設定ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、システム駆動時に所定時間ごとに繰り返し実行されるもので、本発明における制御方式設定部に相当する。
具体的には、図3に示すように、制御装置100は、ステップS10によって、入力されたアクセル開度Acc等に基づく車両要求出力からモータ14のトルク指令値Tr*を算出する。続いて、制御装置100は、ステップS12において、予め記憶されたマップ等を参照することにより、モータ14のトルク指令値Tr*および回転数からモータ必要電圧Vmを算出する。そして、制御装置100は、ステップS14によって、モータ必要電圧Vmとシステム電圧VHとの関係にしたがって、弱め界磁制御(矩形波制御方式)および最大トルク制御(正弦波または過変調PWM制御方式)のいずれを適用してモータ制御を行うかを選択的に設定する。最大トルク制御適用時に、正弦波PWM制御方式および過変調PWM制御方式のいずれを用いるかについては、ベクトル制御にしたがう電圧指令値の変調率範囲に応じて決定する。このような制御方式制御ルーチンが実行されることにより、モータ14の運転条件にしたがって、図2に示した複数の制御方式のうちから適正な制御方式が選択される。
その結果、図4に示されるように、低回転域から中回転域にかけての領域A1はトルク変動を小さくするために正弦波PWM制御方式が用いられ、中回転域から高回転域にかけての領域A2では過変調PWM制御方式、より高回転領域A3では矩形波制御方式が適用される。特に、過変調PWM制御方式および矩形波制御方式の適用により、モータ14の出力向上が実現される。このように図2に示した3つの制御方式のいずれを用いるかについては、実現可能な変調率の範囲内で決定される。
図5は、制御装置100によって実行される正弦波PWM制御方式および過変調PWM制御方式における制御ブロックを示す。図5に示す制御ブロック50は、制御装置100によって実行される所定プログラムに従った制御演算処理によって実現されるが、その一部又は全部がハードウェア要素によって実現されてもよい。
図5を参照すると、PWM制御ブロック50は、電流指令生成部52と、PI演算部54と、2軸3軸変換部56と、PWM信号生成部58と、3軸2軸変換部60と、回転数演算部62とを含む。
電流指令生成部52は、予め作成されたテーブル等に従って、モータ14のトルク指令値Tr*に応じたd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を生成する。
モータ14には、三相コイルのうちU相およびV相に流れるモータ電流Iu,IVを検出するための電流センサ39が設けられており、これらのセンサ39によって検出されたU相電流IuおよびV相電流Ivが3軸2軸変換部60に入力される。なお、W相電流Iw=−(Iu+Iv)の関係から3軸2軸変換部60において算出される。
また、モータ14には、ロータ回転角θを検出するための例えばレゾルバ等からなる回転角センサ41が設けられており、このセンサ41によって検出された回転角θが回転数演算部62に入力されて、モータ回転数Nmが求められる。
3軸2軸変換部60は、回転角センサ41によって検出されるモータ14の回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、検出および算出されたモータ電流Iu,Iv,Iwを基に、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。
PI演算部54には、電流指令生成部52によって求められたd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*に対する、3軸2軸変換部60によって求められたd軸電流Idおよびq軸電流Iqの各偏差ΔId(ΔId=Id*−Id),ΔIq(ΔIq=Iq*−Iq)が入力される。PI演算部54は、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqのそれぞれについて、所定ゲインによるPI演算(比例積分演算)を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を生成する。この生成ではモータ14の回転数Nmも参照される。
2軸3軸変換部56は、モータ14の回転角θを用いた座標変換(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*をU相、V相、W相の各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する。このとき、d軸,q軸電圧指令値Vd*,Vq*から各相電圧指令値Vu,Vv,Vwへの変換には、システム電圧VHも反映される。
PWM信号生成部58は、各相における電圧指令値Vu,Vv,Vwと所定の搬送波との比較に基づいて、インバータ38に含まれる複数(例えば6つ)のスイッチング素子をオン・オフさせるためのスイッチング制御信号S1〜S6を生成する。インバータ38が、PWM制御ブロック50によって生成されたスイッチング制御信号S1〜S6に従ってスイッチング制御されることにより、モータ14に対してトルク指令値Tr*に従ったトルクを出力するための交流電圧が印加される。
本実施形態のモータ制御システムの制御装置100には、制御モード設定部64と、VH指令値生成部66と、PWM信号生成部68とがさらに設けられている。
制御モード設定部64は、図3に示したフローチャートに従って最大トルク制御(正弦波PWM制御方式または過変調PWM制御方式)が選択されたときに、以下に示す変調率演算に従って、正弦波PWM制御方式および過変調PWM制御方式の一方を選択する。
制御モード設定部64は、PI演算部54によって生成されたd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を用いて、下記(1),(2)式に従ってモータ必要電圧の振幅Vm_ampを算出する。
Vm_amp=|Vd*|・cosα+|Vq*|・sinα …(1)
tanα=Vq*/Vd* …(2)
さらに、制御モード設定部64は、システム電圧VHに対する上記演算によるモータ必要電圧振幅Vm_ampの比である変調率Kmdを下記(3)式に従って演算する。
Kmd=Vm_amp/VH* …(3)
制御モード設定部64は、上記の演算により求められた変調率Kmdに従って、正弦波PWM制御方式および過変調PWM制御方式の一方を選択する。なお、制御モード設定部64による制御方式の選択はPWM信号生成部68における搬送波の切替えに反映されてもよい。すなわち、過変調PWM制御方式時には、PWM信号生成部58におけるPWM変調時に用いられる搬送波が、正弦波PWM制御方式時の一般的なものから切り替えられてもよい。
VH指令値生成部66は、図3に示したフローチャートに従い、モータ14のトルク指令値Tr*および回転数Nmに応じて、システム電圧VHの制御指令値VH*(以下、電圧指令値VH*ともいう)を生成する。
PWM信号生成部68は、電圧センサ40によって検出されたバッテリ電圧Vbと現在のシステム電圧VHとに基づき、コンバータ35の出力電圧VHが電圧指令値VH*となるように、所定のPWM制御方式に従って、コンバータ35に含まれる例えばIGBT等のスイッチング素子をオン・オフさせるためのスイッチング制御信号S7,S8を生成する。
このような構成により、モータ14の出力トルクがトルク指令値Tr*と一致するように、モータ電流Id,Iqのフィードバック制御が行なわれる。なお、過変調PWM制御方式の適用時には、3軸2軸変換部60におけるモータ実電流Iu,Iv,Iwからd軸電流Id,q軸電流Iqへの変換時に、高調波成分を除去するためのフィルタ処理が併せて実行されてもよい。
次に、図6を参照して、矩形波制御方式に用いられる制御ブロック70について説明する。
図6に示すように、矩形波制御ブロック70は、電力演算部72と、トルク演算部74と、PI演算部76と、矩形波発生部78と、信号発生部80とを含む。なお、図6に示す制御ブロックについても、制御装置100によって実行される所定プログラムに従った制御演算処理によって実現されるが、その一部又は全部がハードウェア要素によって実現されてもよい。
電力演算部72は、電流センサ39によって検出されるU相電流IuおよびV相電流Ivから求められる各相電流Iu,Iv,Iwと、各相電圧Vu,Vv,Vwとにより、下記(4)式に従ってモータ14への供給電力Pmを算出する。
Pm=Iu・Vu+Iv・Vv+Iw・Vw …(4)
トルク演算部74は、電力演算部72によって求められたモータ電力Pmおよび回転角センサ41によって検出されるモータ14の回転角θから算出される角速度ωを用いて、下記(5)式に従ってトルク推定値または実際トルクTrを算出する。
Tr=Pm/ω …(5)
PI演算部76へは、トルク指令値Tr*に対する実際トルクTrのトルク偏差ΔTr(ΔTr=Tr*−Tr)が入力される。PI演算部76は、トルク偏差ΔTrについて所定の比例ゲインGpおよび積分ゲインGiによるPI演算を行なって制御偏差を求め、求められた制御偏差に応じて矩形波電圧の位相Φvを設定する。具体的には、正トルク発生(Tr>0)時には、トルク不足時には電圧位相を進める一方で、トルク過剰時には電圧位相を遅らせるとともに、負トルク発生(Tr<0)時には、トルク不足時には電圧位相を遅らせる一方で、トルク過剰時には電圧位相を進める。なお、本実施形態ではトルク偏差ΔTrを解消するためにPI演算部76において比例積分制御を実行するものとして説明するが、これに限定されるものではなく、比例積分微分制御(PID制御)を行ってもよい。
矩形波発生部78は、PI演算部76によって設定された電圧位相Φvに従って、各相電圧指令値(矩形波パルス)Vu,Vv,Vwを発生する。信号発生部80は、各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに従ってスイッチング制御信号S1〜S6を発生する。インバータ38がスイッチング制御信号S1〜S6に従ったスイッチング動作を行なうことにより、電圧位相Φvに従った矩形波パルスが、モータ14の各相電圧Vu,Vv,Vwとして印加される。
このように、矩形波制御方式時には、トルク(電力)のフィードバック制御により、モータトルク制御を行なうことができる。ただし、矩形波制御方式ではモータ印加電圧の操作量が位相のみとなるので、モータ印加電圧の振幅および位相を操作量とできるPWM制御方式と比較して、その制御応答性は低下する。また、電力演算部72における電力演算(上記(4)式)の際には、検出されたモータ電流(Iu,Iv)から高調波成分を除去するためのフィルタ処理が併せて実行されてもよい。
上述したように、本実施形態のモータ制御システムでは、正弦波PWM制御方式から過変調PWM制御方式、過変調PWM制御方式から矩形波電圧位相制御方式への制御モードの切替は、変調率Kmd、あるいは変調率に対応する電圧指令振幅Vm_ampに基づいて行われるが、矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替は、矩形波制御方式において電圧指令振幅Vm_ampが一定であるので、モータ14を流れる実電流の位相と予めdq平面上で規定される閾値との比較によって切替のタイミングを判定することで行われる。
図7は、dq平面上で規定される切替ライン82を示す図である。この切替ライン82は、モータ14のベクトル制御に用いられるd軸電流(横軸)とq軸電流(縦軸)とによって規定されるdq平面上において、モータ実電流であるd軸電流Idおよびq軸電流Iqの電流位相と比較される多数の閾値ポイント(第1閾値)を繋いで描かれる曲線である。この切替ライン82の下側または進角側が矩形波制御方式が適用される領域A3に相当し、この切替ライン82の上側または遅角側が過変調PWM制御方式が適用される領域A2に相当する。
制御装置100は、矩形波制御方式によりモータ14を駆動制御しているとき、モータ14を流れる実電流Iq,Idと上記切替ライン82とを比較して、矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替タイミングを判定する。ここでモータ実電流としてのq軸電流Iqおよびd軸電流Idは、PWM制御ブロック50に含まれる3軸2軸変換部60を用いて、電流センサ39で検出されたU相電流IuおよびV相電流Ivから生成されたものを用いることができる。ただし、上記3軸2軸変換部60と同様の機能を実行するブロックを矩形波制御ブロック70内に含んでもよい。
例えば、図7において、モータ14の実電流位相が点X1で示すd軸q軸の電流位相ポイントで矩形波制御されている状態から、点X2で示すd軸q軸の電流位相ポイントへと移行して切替ライン82を下側から上側へ、又は進角側から遅角側へと超えたとき、制御装置100は、モータ14(すなわちインバータ38)の制御方式を矩形波制御方式から過変調PWM制御方式へと切り替える。
通常時には、上記のようにして矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替が実行される。しかし、矩形波制御方式では、電流センサ39によるモータ実電流の検出タイミングであるサンプリング周期がPWM制御方式に比べて長いために、検出されたモータ電流値のばらつき具合によってはモータ実電流を正確に把握することができず、矩形波制御方式からPWM制御方式への緊急切替が遅れてしまってモータ過電流となることが起こり得る。
特に、このような事態は、インバータ38への入力電圧、すなわちシステム電圧VHが低い状態で矩形波制御方式が適用されているときに、アクセルとブレーキの両方を同時に踏んだ場合などに発生しやすい。上記のようにシステム電圧VHが例えばバッテリ電圧Vbを少し超える程度に低い状態で矩形波制御が適用される場合とは、コンバータでの昇圧時の損失低減およびインバータでのスイッチング損失低減等によって電力損失をできるだけ抑えて燃費(または電費)を向上させるために実行される場合が該当する。ここでシステム電圧VHが低い状態には、コンバータ35を作動させずにバッテリ電圧Vbがそのままインバータ38に供給されている場合を含む。
上記のようにシステム電圧VHが低い状態で矩形波制御方式が適用されているときにアクセルとブレーキが両踏みされた場合、図8のマップ上で示すように、トルク指令値Tr*が変化していないにもかかわらず、実際トルクまたはトルク推定値Trが増大してトルク指令値Tr*からはずれていく。すると、図9に示すように、矩形波制御方式からPWM制御方式への制御モードの切替を行う前に、モータ実電流が点線で示す過電流ライン(IUL:モータ電流上限値、ILL:モータ電流下限値)を超えて増加してしまうことになる。
そこで、本実施形態のモータ制御システムでは、制御装置100において、dq平面上で規定される切替ライン82を所定の条件下で変更することにより、矩形波制御方式で駆動されているモータ14についてPWM制御方式への切替判定をより適切に行えるようにした。
次に、制御装置100において実行される矩形波制御緊急切替ルーチンについて説明する。図10は、矩形波制御緊急切替ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間ごとに繰り返し実行される。
まず、制御装置100は、ステップS20によって、矩形波制御が実行中であるか否かを判定する。この判定は、図3に示す制御方式設定ルーチンのステップS14において現在どの制御方式が選択されているかを参照することによって行われる。
ステップS20において、矩形波制御が実行されていないと否定判定されるとき、すなわちPWM制御が実行されているとき、このルーチン処理をそのまま終了する。一方、矩形波制御が実行されていると肯定判定されたとき、続くステップS22で、システム電圧VHが所定閾値VHthr(例えば、300V)より低いか否かを判定する。この判定では、電圧センサ44によって検出される電圧値VHを、予め記憶されている閾値VHthrと比較することにより行われる。ここで、閾値VHthrは、例えばアクセルとブレーキとが両踏みされたとき等にモータの実際トルクがトルク指令値から次第に離れて大きくなるような状況を適切に検知できる値として、経験、実験、シュミレーション等に基づいて求められたものである。
上記ステップS22において、肯定的判定、すなわちシステム電圧VHが上記閾値VHthrより小さいと判定されたとき、図11に示すように切替ライン82を進角側または低q軸電流側にある別の切替ライン84へ矢印86方向に変更する。
上記の切替ラインの変更について換言すれば、dq平面上で矩形波制御方式の適用領域A3が狭くなる一方で過変調PWM制御方式の適用領域A2が広がるように切替ラインが変更されることになる。これにより、切替ライン変更前には矩形波制御が適用される電流位相ポイントX1についても、この変更処理が実行されることで、直ちに矩形波制御方式から過変調PWM制御方式を経て正弦波PWM制御方式へと緊急的に切り替えられる。このように切替ラインの緊急切替処理が実行されるときに矩形波制御から正弦波PWM制御方式まで制御モードを切り替えることとするのは、正弦波PWM制御方式が過変調PWM制御方式よりもモータ印加電圧の基本波成分の振幅がより小さくモータ実電流を迅速に低下させるのに有利だからである。ただし、このように過変調PWM制御を経由して正弦波PWM制御へと制御モードを緊急切替する場合に限定されるものではなく、矩形波制御方式から正弦波PWM制御方式へと直に切り替えられてもよい。
この制御モードの緊急切替の様子を図12に示す。図12のうち、上側に示されるのがモータ実電流の波形であり、下側に示されるのがモータの制御方式(または制御モード)であり、緊急切替ラインの変更タイミングが三角印90で示されている。図示されるように、モータ実電流が過電流ラインIUL,ILLを超えて増加する前に、モータ14の制御モードを三角印90のタイミングで矩形波制御方式から過変調PWM制御を経て正弦波PWM制御へと緊急切替を行うことによってモータ14で過電流が発生するのを効果的に抑制することができる。
再び図10を参照すると、続くステップS26によって、上記のように切替ラインが緊急的に変更されてから予め規定した一定時間を経過したか否かが判定される。そして、この一定時間を経過するのを待って、続くステップS28によって、dq平面上で規定される切替ラインを元の切替ライン82に戻す処理を実行する。ここでの一定時間とは、制御モードを正弦波PWM制御に移行してモータ実電流を低減するのに十分な時間であり、経験、実験、シュミレーション等により得られたものを予め記憶させておくことができる。このように緊急切替ラインを元に戻す処理を実行して、このルーチンの処理を終了する。
なお、本実施形態において、通常時にモータ14の実電流の電流位相がdq平面上で規定される切替ライン82を下側から上側へ、又は進角側から遅角側へ超えたときに制御モードを矩形波制御方式から過変調PWM制御方式へ切り替える処理を実行する制御装置100が本発明における制御方式切替部に対応し、制御装置100において実行される矩形波制御緊急切替ルーチンにおけるステップS24が本発明における閾値変更部に対応する。
上述したように本実施形態のモータ制御システムによれば、矩形波制御方式の実行中であってシステム電圧VHが所定閾値VHthrより小さいときにモータ電流の電流位相の比較対象をdq平面上における切替ライン82からdq平面上で進角側または低q軸電流側にある切替ライン84に緊急的に変更する構成とした。これにより、モータ電流のサンプリング周期が比較的長い矩形波制御において検出されるモータ電流値にばらつきがあっても、例えばアクセルとブレーキの両踏み等に起因して実トルクがトルク指令からはずれていくような場合に、適時のタイミングで矩形波制御方式からPWM制御方式へと制御モードを切り替えることができ、その結果、モータ過電流の発生を効果的に抑制できる。
なお、本発明に係るモータ制御システムは、上記において例示した実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更または改良が可能である。
例えば、上記においてはシステム電圧VHが閾値VHthrよりも小さくなると直ちに緊急切替ラインの進角側または低q軸電流側への変更を行うようにしたが、その状態が所定時間t1だけ継続したときに緊急切替ラインの変更を行ってもよい。矩形波制御の実行中に車両10が悪路や低μ路等を走行した場合などに車輪34が一時空転してから路面をグリップする、いわゆるスリップ・グリップが発生したときも上記のようなモータの実際トルクのトルク指令値からの乖離が大きくなることがあるが、このような場合に上記緊急切替ラインの変更を実行しないようにするためである。上記所定時間t1は、車輪のスリップ・グリップ時とアクセル・ブレーキ両踏みとを判別するのに適した値として、経験、実験、シュミレーション等から求められて予め記憶しておけばよい。
また、上記においてはシステム電圧VHだけに基づいて緊急切替ラインの変更を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、モータ回転数も考慮して判定してもよい。例えば、システム電圧VHが所定閾値VHthrよりも小さく且つモータ回転数Nmが所定回転数(例えば2500rpm)以下のときに上記切替ラインの緊急変更処理を実行してもよい。システム電圧VHが所定電圧よりも低いときに矩形波制御方式が適用されるのはモータ回転数が比較的低いときであり、このように低回転域では電流センサによるモータ電流のサンプリング周期が更に長くなって検出電流値にばらつきが生じやすく、矩形波制御方式から過変調PWM制御方式への切替えの遅れが発生しやすくなるからである。
また、上記においては切替ラインの変更処理を実行した後、一定時間経過後に元に戻す処理を実行するものとして説明したが、これに限定されず、変調率Kmdに基づき選択されるモータの制御方式が矩形波制御方式以外の別の制御方式、すなわちPWM制御方式となったときに、上記切替ラインを元に戻す処理を実行してもよい。
さらに、上記においては矩形波制御実行中にシステム電圧に基づきPWM制御方式への緊急切替を判定するものとしたが、制御装置は、矩形波制御実行中にアクセル開度信号およびブレーキ操作信号に基づきアクセルとブレーキの両踏みを検知したときに上記のような切替ラインの変更を行って矩形波制御方式からPWM制御方式への緊急切替を実行してもよい。
10 ハイブリッド車両、12 エンジン、13 温度センサ、14,24 モータ、15 回転軸、16 バッテリ、18 出力軸、20 動力分配機構、22 回転軸、28 回転数センサ、30 変速機、32 車軸、34 駆動輪または車輪、35 コンバータ、36,38 インバータ、39 電流センサ、40,44 電圧センサ、41 回転角センサ、42 電流センサ、50 PWM制御ブロック、52 電流指令生成部、54 PI演算部、56 2軸3軸変換部、58 PWM信号生成部、60 3軸2軸変換部、62 回転数演算部、64 制御モード設定部、66 VH指令値生成部、68 PWM信号生成部、70 矩形波制御ブロック、72 電力演算部、74 トルク演算部、76 PI演算部、78 矩形波発生部、80 信号発生部、82,84 切替ライン、100 制御装置。

Claims (5)

  1. バッテリから供給される直流電圧をコンバータで必要に応じて昇圧してからインバータに供給し、インバータで交流電圧に変換して印加することにより交流モータを駆動制御するモータ制御システムであって、
    前記コンバータの出力電圧であるシステム電圧を検出する電圧検出部と、
    前記交流モータに流れるモータ電流を検出する電流検出部と、
    前記交流モータの運転条件に応じて、前記インバータにおける前記電圧変換の制御方式を選択的に設定する制御方式選択する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記インバータへの入力電圧と前記交流モータの必要電圧との関係から前記インバータにおける前記電圧変換の制御方式を矩形波制御方式と、前記矩形波制御方式よりも交流電圧の基本波成分が小さい別の制御方式との間で選択的に設定する制御方式設定部と、
    前記制御方式設定部により前記矩形波制御が選択されたときに、前記電流検出部によって検出されるモータ電流に基づいて求められる前記交流モータの実際トルクがトルク指令値となるようにトルク偏差の比例積分制御にしたがってトルク制御する矩形波制御部と、
    前記電流検出部により検出されたモータ電流の電流位相をdq平面上における閾値と比較して前記電流位相が前記閾値を超えたときに前記矩形波制御方式から前記別の制御方式へと切り替える制御方式切替部と、
    前記矩形波制御方式の実行中で且つ前記インバータ入力電圧が所定閾値よりも低くなったときに前記制御方式切替部における前記電流位相の比較対象を前記dq平面上における第1閾値から前記dq平面上で進角側または低q軸電流側にある第2閾値へ変更する閾値変更部と、を含む、
    モータ制御システム。
  2. 請求項1に記載のモータ制御システムであって、
    前記閾値変更部は、前記システム電圧が所定閾値よりも低い状態が所定時間継続したときに前記閾値変更処理を実行する、モータ制御システム。
  3. 請求項1または2に記載のモータ制御システムであって、
    前記閾値変更部は、さらに、前記モータの回転数が所定値以下のときに前記閾値変更処理を実行する、モータ制御システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御システムであって、
    前記別の制御方式は、正弦波パルス幅変調制御方式および過変調パルス幅変調制御方式を含み、前記制御方式切替部は、前記交流モータの制御方式を、前記矩形波制御方式から前記過変調パルス幅変調制御方式を経て正弦波パルス幅変調制御方式へ切り替えるか、または、前記矩形波制御方式から前記正弦波パルス幅変調制御方式へ直に切り替える、モータ制御システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御システムであって、
    前記閾値切替部は、前記閾値変更処理を実行してから予め規定された一定時間を経過したときに前記閾値を前記第2閾値から前記第1閾値へと戻す処理を実行する、モータ制御システム。
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