JP2011211839A - 電動車両の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータに接続されたインバータのスイッチング素子のオープン故障をより正確に検出できるようにする。
【解決手段】ハイブリッド車両の駆動装置は、モータ、インバータ、および制御装置を備える。制御装置は、モータが矩形波制御の動作点で駆動されているときにモータ動作点を過変調制御が適用される領域に変更する動作点変更処理部(S10〜S16)と、動作点変更処理部により動作点が変更されてモータが過変調制御されているときにモータに流れる電流に基づいて導出されるq軸電流Iqが動作点変更閾値Iqthを超えた回数をカウントし、このカウント値が所定時間内に所定回数以上であるときにスイッチング素子にオープン故障が発生していると判定するオープン故障判定部(S18)と、を含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、電動車両の駆動装置に関し、特に、インバータに接続されるモータを搭載した電動車両の駆動装置に関する。
従来、走行用動力源として内燃機関であるエンジンとモータとを搭載したハイブリッド車両が知られている。このモータにはその駆動用としてインバータが接続されることがある。インバータは、複数のスイッチング素子とダイオードとを組み合わせた回路で、上アームスイッチング素子と上アームダイオードを並列接続したものを上アーム素子とし、下アームスイッチング素子と下アームダイオードを並列接続したものを下アーム素子としてこれらを直列接続したものを1つの相の単位として、複数相並列に接続して構成される。例えば、3相交流モータには、U相、V相、W相の各相に対応して、それぞれ上アーム素子と下アーム素子とを直列接続された各相用アームが3相分並列接続されたインバータが用いられる。
このように、各相ごとに2つのスイッチング素子を用いるので、3相回転電機に接続されるインバータには、6つのスイッチング素子が含まれる。これらの各スイッチング素子のうち1つの動作に不具合が生じると、そのスイッチング素子が含まれる相の交流電流波形のプラス側あるいはマイナス側が欠けたものとなり、いわゆるオープン故障となる。スイッチング素子がオープン故障するとモータ動作が正常でなくなるので、オープン故障の検出を正確に行うことが必要となる。
例えば、特開2008−92690号公報(特許文献1)には、インバータのスイッチング素子のオープン故障を検知できるモータ制御システムとして、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを見ると、正常状態ではId=0でIqは指令値の一定値になるが、オープン故障時には、Idの絶対値は0を中心に歪んだ波形となり、Iqの絶対値はIq指令値を中心に歪んだ波形となり、その比は0ではなく或る値をとることになると記載されている。そして、Id絶対値が或る閾値を超えてId絶対値とIq絶対値との比が所定範囲にあるときにオープン故障を検知できると記載されている。
特開2008−92690号公報
上記のように、従来技術においては、インバータが接続されるモータにおいて、モータの各相に流れる電流に関する評価に基づいてオープン故障の判定を行なっている。すなわち、各相に流れる電流に関する評価としては、周知のように各相電流の総和がゼロから乖離するオフセット電流を用いる方法の他に、特許文献1に記載されているId電流の絶対値とIq電流の絶対値を用いる方法がある。
特許文献1に記載されるように、Id電流についての評価基準となる閾値、および、Id絶対値とIq絶対値との比についての評価基準となる閾値範囲をそれぞれ設定して、得られる評価値との比較によってオープン故障か否かを判断することができる。このように閾値を用いる方法では、もともとの電流値が小さいと、閾値との差も小さくなり、オープン故障判定を正確に行うのが難しくなることがある。
本発明の目的は、インバータを構成するスイッチング素子のオープン故障判定をより正確に行うことが可能な電動車両の駆動装置を提供することにある。
本発明に係る電動車両の駆動装置は、蓄電装置から供給される直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータと、インバータの出力電圧により駆動されるモータと、インバータに含まれるスイッチング素子を作動制御して過変調制御を含む複数の制御モードを切り替えて前記モータを駆動制御する制御装置とを備える電動車両の駆動装置であって、前記制御装置は、前記モータが矩形波制御またはPWM制御が適用される動作点で駆動されているときに前記モータの動作点を前記過変調制御が適用される領域に変更する動作点変更処理部と、前記動作点変更処理部により動作点が変更されて前記モータが過変調制御されているときに前記モータに流れる電流に基づいて導出されるq軸電流が動作点変更閾値を超えた回数をカウントし、このカウント値が所定時間内に所定回数以上であるときに前記スイッチング素子にオープン故障が発生していると判定するオープン故障判定部と、を含む。
本発明に係る電動車両の駆動装置において、前記電動車両は走行用動力源として内燃機関を搭載したハイブリッド車両であり、前記モータは動力分配機構を介して前記内燃機関の出力軸に連結されており、前記制御装置は前記内燃機関の作動を制御することが可能であり、前記動作点変更処理部は、前記モータが矩形波制御またはPWM制御が適用される動作点で駆動されているときに前記内燃機関の回転数を変更することにより前記動力分配機構を介して前記モータの回転数を前記過変調制御が適用される領域の動作点のものに変更するものとしてもよい。
また、本発明に係る電動車両の駆動装置において、前記電動車両は前記モータの出力が複数段に変速可能な変速機を介して車軸に出力されるように構成され、前記制御装置は前記変速機の変速段を選択制御可能であり、前記動作点変更処理部は、前記モータが矩形波制御またはPWM制御が適用される動作点で駆動されているときに前記変速機の変速段を変更することにより車速を実質的に変更することなく前記モータの回転数を前記過変調制御が適用される領域の動作点のものに変更するものとしてもよい。
また、本発明に係る電動車両の駆動装置において、前記電動車両は前記蓄電装置からの直流電圧を昇圧して前記インバータへ出力することができる電力変換装置を備えており、前記制御装置は前記電圧変換装置の作動を制御することにより昇圧電圧を設定することが可能であり、前記動作点変更処理部は、前記モータが矩形波制御またはPWM制御が適用される動作点で駆動されているときに前記電圧変換装置による昇圧電圧を変更することにより前記モータの動作点を前記過変調制御が適用される領域の動作点に変更するものとしてもよい。
また、本発明に係る電動車両の駆動装置において、前記制御装置は、前記オープン故障判定部によりq軸電流が動作点変更閾値を超えたと判定されたときに、前記モータの制御モードを過変調制御からPWM制御へ一時的に切り替える制御を実行するものとしてもよい。
また、本発明に係る電動車両の駆動装置において、前記動作点変更処理部は、前記モータが、前記スイッチング素子のオープン故障を検出可能なモータ回転数範囲よりも高回転領域で矩形波制御されているとき、または、前記モータ回転数範囲よりも低回転領域でPWM制御されているときに、モータ動作点を過変調制御領域の動作点に変更する処理を実行するものとしてもよい。
さらに、本発明に係る電動車両の駆動装置において、前記動作点変更処理部は、前記オープン故障判定部により、q軸電流が動作点変更閾値を超えた回数のカウント値が所定時間内に所定回数未満であって前記スイッチング素子にオープン故障が発生していないと判定されるとき、前記所定時間経過後に前記モータの動作点を変更前の動作点に戻す処理を実行してもよい。
本発明に係る電動車両の駆動装置によれば、モータ動作点を過変調制御領域に変更した上で、q軸電流を動作点変更閾値と比較してインバータのスイッチング素子のオープン故障を判定する。このような過変調制御では、他の制御モードであるPWM制御および矩形波制御と比較するとオープン故障によるモータの各相電流の乱れがより大きく現れる。したがって、電流の乱れが大きくなる過変調制御へとモータ動作点を変更した上でq軸電流の評価を行うことにより、インバータのスイッチング素子のオープン故障をより正確に行うことができる。その結果、オープン故障したままモータ駆動が継続されたときに永久磁石が消磁してトルクを出力できなくなるという二次故障を防止することができる。
本発明の一実施の形態である電動車両の駆動装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成図である。 図1に示す駆動装置に含まれるコンバータおよびインバータの回路構成を示す図である。 モータの制御モードを規定するマップを示す図である。 制御装置により実行される動作点変更およびオープン故障判定の処理手順を示すフローチャートである。 モータの動作点を矩形波制御領域から過変調制御領域へ変更する様子を図3と同様のマップ上で示す図である。 制御装置により実行される動作点変更処理を示すタイミングチャートである。 制御装置により実行されるオープン故障判定処理を示すタイミングチャートである。 制御装置により実行される動作点変更処理の別の例を示すフローチャートである。 図8の動作点変更の処理を示すタイミングチャートである。 制御装置により実行される動作点変更処理のさらに別の例を示すフローチャートである。 図10の動作点変更処理をマップで示す図である。
以下に、本発明に係る実施の形態(以下、実施形態という)について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
図1は、本発明の一実施形態である電動車両の駆動装置を搭載したハイブリッド車両1の概略構成を示す。図1中、動力伝達系は丸棒状の軸要素として図示され、電力系は実線で図示され、信号系は破線で図示されている。また、図2は、本実施形態の駆動装置を構成するコンバータ35およびインバータ36,38の回路構成等を示す。なお、下記においては2モータ式のハイブリッド自動車を例に説明するが、本発明は1モータ式のハイブリッド自動車に適用されてもよいし、あるいは、本発明の態様によってはモータのみを走行用動力源として有する電気自動車に適用されてもよい。
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、走行用動力源としてのエンジン12と、別の走行用動力源であるモータ(MG2)14と、エンジン12の出力軸18が連結される動力分配機構20を介して回転軸22が接続されるモータ(MG1)24と、各モータ14,24に駆動電力を供給可能なバッテリ(蓄電装置)16と、上記エンジン12およびモータ14,24の作動を統括的に制御するとともに、バッテリ16の充放電を制御する制御装置(ECU(Electronic Control Unit))10とを備える。
エンジン12は、ガソリンや軽油等を燃料とする内燃機関であり、制御装置10からの指令に基づいてクラッキング、スロットル開度、燃料噴射量、点火タイミング等が制御されて、エンジン12の始動、運転、停止等が制御される。
エンジン12から動力分配機構20へと延伸する出力軸18の近傍にはエンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ28が設けられている。また、エンジン12には、エンジン冷却媒体である冷却水の温度Twを検出する温度センサ13が設けられている。回転数センサ28および温度センサ13による各検出値は、制御装置10に送信される。
動力分配機構20は、例えば遊星歯車機構によって好適に構成されることができる。エンジン12から出力軸18を介して動力分配機構20に入力された動力は、変速機30および車軸32を介して駆動輪34に伝達されて、車両1がエンジン動力によって走行することができる。
変速機30は、エンジン12およびモータ14の少なくとも一方から入力される回転を減速して車軸32に出力することができ、制御装置10からの指令に応じて複数の変速段の間で切り替え可能である。変速機30に用いられる変速機構は、如何なる公知構成のものが用いられてもよく、また、階段状の変速ではなく滑らかに連続して変速する無段階変速機構が用いられてもよい。
上記動力分配機構20は、出力軸18を介して入力されるエンジン12の動力の一部または全部を、回転軸22を介してモータ(MG1)24に入力することができる。このとき、例えば三相同期型交流モータによって好適に構成されるモータ24は発電機として機能し、発電された三相交流電圧がインバータ36によって直流電圧に変換された後バッテリ16に充電されるか、または、モータ(MG2)14の駆動電圧として用いられる。
また、モータ(MG1)24は、バッテリ16からコンバータ(電圧変換装置)35およびインバータ36を介して供給された電力により回転駆動される電動機としても機能することができ、モータ(MG1)24が回転駆動されて回転軸22に出力される動力は動力分配機構20および出力軸18を介してエンジン12に入力されてクランキングを行う。さらに、モータ24をバッテリ16から供給される電力により回転駆動して、その動力を動力分配機構20および変速機30を介して車軸32に出力することにより走行用動力として用いることも可能である。
主として電動機として機能するモータ(MG2)14は、例えば三相同期型交流モータによって好適に構成されることができ、バッテリ16から供給される直流電圧が、必要に応じてコンバータ35で昇圧され、その後インバータ38で三相交流電圧に変換されて駆動電圧として印加されることにより回転駆動される。モータ(MG2)14が駆動されて回転軸15に出力される動力は、変速機30および車軸32を介して駆動輪34に伝達され、これによりエンジン12が停止した状態でいわゆるEV走行が行われる。また、モータ(MG2)14は、運転者のアクセル操作により急加速要求があった場合等に、走行用動力を出力してエンジン出力をアシストする機能も有する。
さらに、モータ(MG2)14は、車両の回生制動時に発電機として機能することができ、駆動輪34から変速機30および回転軸15を介して入力される動力によって交流電力を発電する。モータ14で発電されて出力される三相交流電圧は、インバータ38によって直流電圧に変換された後、バッテリ16に充電されることができる。
バッテリ16としては、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充放電可能な二次電池、または、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置を好適に用いることができる。バッテリ16には、バッテリ電圧Vbを検出する電圧センサ40と、バッテリ16に出入りするバッテリ電流Ibを検出する電流センサ42と、バッテリ温度Tbを検出する温度センサ44とが設けられている。各センサ40,42,44による検出値は、制御装置10に入力されてバッテリ16の充電状態(SOC)を制御するために用いられる。
図2に示すように、バッテリ16の正極および負極の各端子には正極母線50と負極母線52がそれぞれ接続されている。正極母線50および負極母線52には、システムメインリレーSMR1,SMR2が設けられている。システムメインリレーSMR1,SMR2は、モータ14,24の運転停止等のときに高圧の電源系をモータ14,24等から切り離すことができるようにするための遮断と接続の切替が可能なリレーである。システムメインリレーSMR1,SMR2は、制御装置10から送信される制御信号S1,S2に応じて、その遮断と接続が制御される。
バッテリ16からコンバータ35へは、電圧および電流の変動を抑制し平滑化する平滑コンデンサ54を介して電力が供給される。コンバータ35は、リアクトルと、それぞれダイオードが逆並列接続された2つのスイッチング素子(例えばIGBT)を含んで構成される。コンバータ35は、バッテリ16側の直流電圧をリアクトルのエネルギ蓄積作用を利用して昇圧する機能を有する回路である。なお、コンバータ35は双方向機能を有し、インバータ36,38側からの電力をバッテリ16側に充電電力として供給するときには、インバータ36,38側の高圧をバッテリ16の充電に適した電圧に降圧する機能も有する。
コンバータ35は、制御装置10から送信される制御信号S3,S4に応じて各スイッチング素子がオンオフ制御されることによりバッテリ電圧Vbを所望の電圧値へ昇圧することができる。これにより、モータ14,24の動作状況に応じて、インバータ38,36に最適な電圧を供給することができる。インバータ36,38の正極母線50と負極母線52との間の電圧はシステム電圧VHと呼ばれることがあるが、その意味で、コンバータ35は、モータ14,24の動作状況に合わせてシステム電圧VHを変更する機能を有することになる。例えば、高トルク高回転でモータ14,24を運転するときには、システム電圧VHを高くするように昇圧し、省エネルギ運転をする場合にはシステム電圧VHを低くするように設定する。ここでシステム電圧VHは、コンバータ35の不作動によりバッテリ電圧Vbがそのままインバータ36,38側に供給されるときが最小値となり、一方、コンバータ35の性能上の制約等から昇圧上限値であるシステム電圧最大値VHmaxが存在する。
コンバータ35の出力電圧は、電圧および電流の変動を抑制し平滑化する平滑コンデンサ56を介してインバータ36,38へ供給される。平滑コンデンサ56の端子間電圧すなわちシステム電圧VHが電圧センサ57により検出されて制御装置10へ入力される。制御装置10は、検出されたシステム電圧VHとシステム電圧指令値VH*との比較に基づいてコンバータ35をフィードバック制御する。これにより、コンバータ35による昇圧電圧を迅速且つ正確にシステム電圧指令値VH*に合致させることができる。
上記平滑コンデンサ56が線間に接続された正極母線50および負極母線52には、MG1用インバータ36とMG2用インバータ38とが並列接続されている。各インバータ36,38は、交流電力と直流電力との間の電力変換を行う回路である。
そして、モータ(MG1)24を発電機として機能させるとき、インバータ36は、モータ(MG1)24で発電された交流3相回生電力を直流電力に変換し、バッテリ16側に充電電流として供給する交直変換機能を有する。また、モータ(MG2)14に接続されるインバータ38は、車両1が力行のとき、バッテリ16側からの直流電力を交流3相駆動電力に変換し、モータ(MG2)14に駆動電力として供給する直交変換機能と、車両1が制動のときにはモータ(MG2)14からの交流3相回生電力を直流電力に変換し、バッテリ16側に充電電流として供給する交直変換機能とを有する。
このようなインバータ36,38は、複数のスイッチング素子(例えばIGBT)と複数のダイオードとを組み合わせた回路で、上アームスイッチング素子に上アームダイオードを逆並列接続したものを上アーム素子とし、下アームスイッチング素子に下アームダイオードを逆並列接続したものを下アーム素子としてこれらを直列接続したものを1つの相の単位として、複数相並列に接続して構成される。例えば、3相交流モータには、U相、V相、W相の各相に対応して、それぞれ上アーム素子と下アーム素子とを直列接続した各相アームが3相分並列接続されたインバータが用いられる。インバータ36,38にそれぞれ含まれる6つのスイッチング素子は、制御装置10から送信される制御信号S5〜S10、および、S11〜S16に応じてオンオフ制御され、これにより上述した直交変換機能おび交直変換機能を奏することができる。
例えば、U相アームの上スイッチング素子と下スイッチング素子との接続点から引き出された配線がモータ14,24のU相コイルに接続される。同様に、V相アームの上スイッチング素子と下スイッチング素子との接続点から引き出された配線がモータ14,24のV相コイルに接続され、W相アームの上スイッチング素子と下スイッチング素子との接続点から引き出された配線がモータ14,24のW相コイルに接続される。図2の例では、モータ14,24において、各相コイルは中性点で共通接続されているので、インバータ38,36の各相アームから引き出された配線は、各相コイルの中性点でない方の端子にそれぞれ接続されることになる。
このようにして、インバータ36,38のそれぞれの各相アームからモータ24,14の各相コイルに配線が行なわれる。そして、この配線を通して、モータ駆動時にはインバータ36,38から駆動電流がモータ24,14に供給され、回生時にはモータ14,24から発電電流がインバータ38,36に供給される。このようにモータ14,24の各相コイルに流れる電流は、インバータ38,36とモータ14,24とを接続する各配線を通る。
インバータ36とモータ24とを接続する3つの各配線のうちV相およびW相に対応する配線を流れる電流Iv、Iwは、モータ24のU相およびW相コイルを流れる電流として、適当な電流検出センサ58を用いてそれぞれ検出され、制御装置10に送信される。残るU相電流Iuは、制御装置10において、Iu+Iv+Iw=0の関係からIvおよびIwの各検出値より算出される。同様に、インバータ38とモータ14とを接続する3つの各配線のうちV相およびW相に対応する配線を流れる電流Iv、Iwは、モータ14のU相およびW相コイルに流れる電流として、適当な電流検出センサ58を用いて検出され、制御装置10に送信される。この場合も同様に、制御装置10において、残るU相電流Iuが算出される。
また、モータ14,24には、例えばレゾルバ等からなる回転角センサ60がそれぞれ設置されている。各回転角センサ60によって検出されるモータ14,24のロータ回転角θ1,θ2は制御装置10に送信され、モータ回転数の算出やモータ電流指令値の生成等に用いられる。
制御装置10は、各種の制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムや制御用マップ等を予め記憶するROM、このROMから読み出された制御プログラムや各センサによる検出値などを一時的に記憶するRAM等からなるマイクロコンピュータにより好適に構成される。制御装置10は、図1および2に示すように、エンジン回転数Ne、バッテリ電流Ib、バッテリ電圧Vb、バッテリ温度Tb、アクセル開度信号Acc、車速Sv、エンジン冷却水の水温Tw、システム電圧VH、モータ電流Iu,Iw、ロータ回転角θ1,θ2等が入力される入力ポート、ならびに、エンジン12、システムメインリレーSMR1,SMR2、コンバータ35およびインバータ36,38等の運転または作動を制御する制御信号を出力する出力ポートを含む入出力インターフェースを有する。
また、制御装置10は、動作点変更処理部62と、オープン故障判定部64とを含む。具体的には、動作点変更処理部62およびオープン故障判定部64は、CPUにおいて実行される制御プログラムによって機能するものであるが、その詳細については後述する。
なお、本実施形態では、1つの制御装置10でエンジン12、モータ14,24、コンバータ35、インバータ36,38、バッテリ16等の作動制御や状態監視を行うものとして説明するが、例えば、エンジン12の運転状態を制御するエンジンECU、コンバータ35およびインバータ36,38を作動制御してモータ14,24の駆動を制御するモータECU、バッテリ16のSOCを管理するバッテリECU等を個別に設けて、上記制御装置がハイブリッドECUとして上記個別の各ECUを統括制御するように構成してもよい。
図3は、モータ14,24の制御に用いられるマップを示す。このマップは、モータの回転数とトルクとの関係を規定するもので、制御装置10内のROMに予め記憶されている。制御装置10は、このマップを参照することにより、太線で示される略台形状の外形線内において下記の複数の制御モードの動作点でモータ14,24を駆動することができる。
一般に、交流モータの制御モードとして、PWM制御、過変調制御、矩形波制御の3つの制御方式が知られている。図3に示すマップにおいて、低速回転域から中速回転域にかけての領域がPWM制御領域A1、中速回転域から高速回転域にかけての領域が過変調制御領域A2、最も高速回転側の領域が矩形波制御領域A3になっており、各制御領域A1,A2,A3の境界が点線で示されている。
PWM制御方式は、一般的な正弦波PWM制御として用いられるものであり、各相アームにおけるスイッチング素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令値と搬送波(一般に三角波)との電圧比較にしたがって制御する。この結果、上アームスイッチング素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でモータ入力電圧が正弦波となるようにデューティ比が制御される。PWM制御方式では、比較的低回転域であっても滑らかな回転が得られるものの、インバータ入力電圧であるシステム電圧VHに対するモータ入力電圧の振幅の比である変調率(または電圧利用率)を最大で0.61までしか高めることができない。
一方、矩形波制御方式では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1対1の矩形波1パルス分を交流モータに印加する。これにより、変調率を0.78まで高めることができ、比較的高回転域での出力を向上させることができる。また、弱め界磁電流を減少させることができるため、交流モータでの銅損の発生を抑えてエネルギ効率を向上させることができる。さらに、インバータ36,38でのスイッチング回数を少なくすることができるため、スイッチング損失も抑えることができるという利点もある。
過変調制御方式は、PWM制御と矩形波制御との間の中間的な制御方式であって、正弦波状の電圧指令値の振幅が搬送波の振幅よりも大きくなるように増幅した状態で上記PWM制御方式と類似のPWM制御を行うことで、電圧増加方向にシフトさせた略正弦波状に歪んだモータ入力電圧を生成することができ、これにより変調率を0.61〜0.78の範囲に高めることができる。ただし、過変調制御方式は、PWM制御に比べて制御応答性が悪く、電流指令値に対する実電流の外れまたは乱れが大きく現れやすいという特性がある。
交流モータでは、回転数や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなり、それに伴って必要電圧も高くなる。コンバータによる昇圧電圧、すなわちシステム電圧VHは、このモータ必要電圧よりも高く設定する必要がある。その一方で、上述したようにコンバータ35によって昇圧可能な電圧値には上限(システム電圧最大値VHmax)が存在する。
したがって、モータ必要電圧がシステム電圧VHの最大値、例えば650Vより低い領域では、PWM制御方式または過変調制御方式による最大トルク制御が適用されて、ベクトル制御にしたがったモータ電流制御によって出力トルクがトルク指令T*に合致するよう制御される。一方、モータ必要電圧がシステム電圧最大値VHmaxを超えると、システム電圧VHを最大値VHmaxに維持した上で弱め磁界制御にしたがって矩形波制御方式が適用される。この場合、モータ入力電圧の振幅が固定されるため、トルク推定値とトルク指令値との偏差に基づく矩形波パルスの電圧位相制御によってトルク制御が行われる。
図2の例では、3相交流モータであるモータ14,24に接続されるインバータ38,36が各相ごとに2つのスイッチング素子を用いるので、インバータ38,36のそれぞれに6つのスイッチング素子が含まれる。これらの各スイッチング素子のうち1つの動作に不具合が生じると、そのスイッチング素子が含まれる相の交流電流波形のプラス側あるいはマイナス側が欠けたものとなり、いわゆるオープン故障となる。このようなオープン故障が生じると、モータ入力電流の乱れによってバッテリから過大な電流が放出されてバッテリの性能低下を招くことになる。したがって、インバータにおけるスイッチング素子のオープン故障を適時に検出する必要がある。
一方、モータの動作状況によっては、インバータのスイッチング素子のオープン故障を検出できないか又は検出しにくい動作点が存在する。これは、モータ電流の乱れ量が比較的小さいために判定閾値との比較で検出するのが困難であるからである。上記判定閾値をより小さく設定することが1つの方法として考えられるが、そうするとスイッチング素子が正常に動作していても例えばノイズ等に起因してモータ電流が振れた場合にオープン故障ありと判定される可能性が大きくなり、オープン故障判定の精度が低下することになる。
そこで、本実施形態の制御装置10では、インバータのスイッチング素子のオープン故障を検出可能なモータ回転数範囲よりも高回転領域で矩形波制御によりモータが駆動されているとき、他の制御モードに比べてオープン故障時の電流乱れ量が大きくなる過変調制御領域にモータ動作点を変更した上で、モータ電流のうちのq軸電流について動作点変更閾値と比較してインバータのスイッチング素子のオープン故障を判定することとした。以下に、制御装置10において実行されるスイッチング素子のオープン故障判定について詳細に説明する。
まず、図4〜7を参照して、MG1用インバータ36のスイッチング素子のオープン故障判定について説明する。図4は、動作点変更およびオープン故障判定の処理手順を示すフローチャートである。図5は、モータ(MG1)24の動作点を矩形波制御領域から過変調制御領域へ変更する様子を図3と同様のマップ上で示す図である。図6は、制御装置10により実行される動作点変更処理においてモータ回転数を変更するタイミングを共線図で示す図である。図7は、制御装置10により実行されるオープン故障判定処理を示すタイミングチャートである。なお、図7では、インバータ36のU相の上アームスイッチング素子がオープン故障していることを想定した例を示している。
図4に示す処理は、エンジン12が運転中にモータ24が駆動されている条件下で、予め規定された一定時間ごとにROMまたはRAMから読み出されてCPUにより実行される。ただし、これに限らず、モータ24を流れる電流に所定量以上の乱れが検出されたときに実行されるようにしてもよい。
まず、ステップS10によって、モータ24の回転数Nm1がオープン故障を検出できない又は検出しにくい高回転領域にあるか否かを判定する。ここでは、図5に示すように一相オープン故障を検出可能なモータ回転数範囲Rは予め記憶されているので、回転角センサ60の検出値から算出されるモータ回転数Nm1が上記モータ回転数範囲Rよりも高回転数であるか否かで判定する。また、このステップS10では、現在のモータ制御方式が矩形波制御であるかどうかも確認される。これは現在の制御モードが過変調制御である場合には動作点変更が不要となるからである。このステップS10において肯定判定されると次のステップS12に進み、一方、否定判定されるとそのまま処理を終了する。
続いて、ステップS12によって、q軸電流Iqが動作点変更閾値Iqthよりも大きいか否かを判定する。ここで判定対象値としてq軸電流を用いるのは、q軸電流Iqは、電流検出センサ58により検出および算出された各相電流Iu,Iv,Iwを基にモータ回転角θ1を考慮して3相2相変換されたd軸電流Idおよびq軸電流Iqのうち、トルク電流とも呼ばれるq軸電流Iqを判定対象とすることによりオープン故障を正確に検出しやすいからである。また、上記動作点変更閾値Iqthは、実験等により求められて予め記憶されており、ノイズ等の別要因による電流乱れをオープン故障と判定しないように大きく且つ一相オープン故障を正確に検出できる値に設定される。上記q軸電流Iqと上記動作点変更閾値Iqthとは、正負のいずれの場合もあるため、それぞれ絶対値で比較されるのが好ましい。このステップS12において肯定判定されると次のステップS14に進み、一方、否定判定されるとそのまま処理を終了する。
次に、ステップS14によって、モータ24の制御モードが過変調制御に切り替わるのに必要となるモータ回転数変化量を算出する。ここでは、上記回転数範囲Rに含まれて過変調制御が適用される同一トルクの動作点68が選択され、この動作点68の回転数を目標回転数Nm1*に設定し、この目標回転数Nm1*から現在の動作点66の回転数Nm1を減算することにより上記モータ回転数変化量が算出される。なお、現在の動作点66の制御モードおよび回転数Nm1がRAMに一時的に記憶される。
そして、続くステップ16によって、モータ24の回転数が上記目標回転数Nm1*となるように、エンジン12の回転数Neを低下させる。この様子が図6の共線図に示される。図示するように、q軸電流Iqが動作点変更閾値Iqthを下回ったタイミングt0で、エンジン12の回転数を低下させて、モータ24の回転数を目標回転数Nm*1とする。このとき、エンジン12の回転数の低下は、スロットルバルブ開度や点火タイミング等を調整することにより行われる。
続くステップS18によって、オープン故障判定が実行される。このオープン故障判定の様子が図7に示される。図示するように、矩形波制御から過変調制御に切り替えられたタイミングt0以降、q軸電流Iqが動作点変更閾値Iqthを下回ると異常としてカウントする。また、本実施形態では、q軸電流Iqが動作点変更閾値Iqthを下回るごとに、モータ24の制御モードを緊急的に過変調制御からPWM制御に一時的に切り替える制御を実行する。このように、制御応答性に優れてモータ電流も比較的小さいPWM制御へ一時的に切り替えることにより、電流乱れによってバッテリから過大電流が引き出される可能性がある過変調制御がそのまま継続されるのを回避して、バッテリ16を保護している。
そして、このカウント値が故障検知確定時間(例えば2秒)内で所定回数以上であるときインバータ36のスイッチング素子にオープン故障有りと判定し、一方、上記カウント値が所定回数未満のときはオープン故障なしと判定する。オープン故障が有る判定されると、制御装置10は、例えば、オープン故障の発生を運転者に視覚および/または聴覚を通じて報知する等の必要な処置を採ってもよい。
図4を再び参照すると、上記のようなオープン故障判定処理が終わった後であって、上記タイミングt0から所定時間t1(例えば3〜4秒)が経過したとき(ステップS20でYES)、ステップS22によって、エンジン12の回転数を元に戻す処理を実行する。これにより、図6中の右側の共線図に示されるように、モータ24の回転数が元の回転数Nm1に戻される。ただし、上記ステップS18によってオープン故障有りと判定された場合には、例えば、モータ24の駆動を停止する、制御モードをPWM制御に限定する等の処理を併せて行ってもよい。
上述したように、本実施形態の制御装置10では、過変調制御では矩形波制御と比較するとスイッチング素子のオープン故障によるモータの各相電流の乱れがより大きく現れることから、電流の乱れが大きくなる過変調制御へとモータ動作点を変更した上でq軸電流Iqの評価を行うことにより、インバータ36のスイッチング素子のオープン故障判定をより正確に行うことができる。その結果、オープン故障したままモータ24の駆動が継続されたときに消磁してトルクを出力できなくなるという二次故障を防止することができる。
次に、図8および9を参照して、MG2用インバータ38のオープン故障判定のための動作点変更について説明する。図8は、制御装置10により実行される動作点変更処理およびオープン故障判定処理を示すフローチャートである。図9は、図8の動作点変更の処理を示すタイミングチャートである。ここでは、上述したMG1用インバータ36の動作点変更処理およびオープン故障判定処理とは異なる点について主として説明することとし、同様の処理については同じステップ番号を付してその説明を援用により省略する。
図8に示す処理は、モータ14が駆動されている条件下で、予め規定された一定時間ごとにROMまたはRAMから読み出されてCPUにより実行される。ただし、これに限らず、モータ14を流れる電流に所定量以上の乱れが検出されたときに実行されてもよい。また、図8におけるステップS10、S12、S14、S18およびS20の処理は、図4に示すものと同様である。
図8に示すように、ステップS14に続いて、ステップS24によって、変速機30の変速段を選定する。変速機30は、複数の変速段を有するものとして上述したが、ここでは例えばHIおよびLOの2つの変速段を有しており、制御装置10からの指令に応じてHIまたはLOのいずれかの変速段への切り替えが可能である例を示している。
図9を参照すると、q軸電流Iqが動作点変更閾値Iqthを下回ったタイミングt0で、変速機30の変速段をLOからHIへ切り替える。これにより、車軸32および車輪34の回転数、すなわち車速Svを実質的に保ったままで、モータ14の動作点を矩形波制御領域から過変調制御領域A2に変更してモータ回転数を低下させることができる。このようにしてモータ14の動作点を過変調制御が適用される動作点に変更した後に、上述したステップS18のオープン故障判定を実行する。
それから、上記ステップS18のオープン故障判定が終わった後であって、上記タイミングt0から所定時間t1(例えば3〜4秒)が経過したとき(ステップS20でYES)、ステップS26によって、変速機30の変速段をHIからLOに変更して、モータ14の動作点を元の動作点に戻す処理を実行する。ただし、上記ステップS18によってインバータ38のスイッチング素子にオープン故障が有ると判定された場合には、例えば、モータ14の駆動を停止する、制御モードをPWM制御に限定する等の処理を行ってもよい。
このように本実施形態の制御装置10では、過変調制御では矩形波制御と比較するとスイッチング素子のオープン故障によるモータの各相電流の乱れがより大きく現れることから、変速機30の変速段を切り替えることによってモータ動作点を矩形波制御から過変調制御へと変更した上でq軸電流Iqの評価を行うことにより、インバータ38のスイッチング素子のオープン故障判定をより正確に行うことができる。その結果、オープン故障したままモータ14の駆動が継続されたときに消磁してトルクを出力できなくなるという二次故障を防止することができる。
次に、図10および11を参照して、モータの動作点変更処理のさらに別の例について説明する。図10は、制御装置10により実行されるさらに別の動作点変更処理のフローチャートである。図11は、図10の動作点変更処理をマップで示す図である。
図10に示す処理は、モータ14,24のいずれにも適用可能であり、予め規定された一定時間ごとにROMまたはRAMから読み出されてCPUにより実行される。ただし、これに限らず、モータ14,24を流れる電流に所定量以上の乱れが検出されたときに実行されてもよい。また、図10におけるステップS10、S12、S18およびS20の処理は図4に示すものと同様であるため、ここでの説明を援用により省略する。
図10を参照すると、ステップS12によってq軸電流Iqが動作点変更閾値Iqthよりも大きくなったと判定されると(ステップS12でYES)、ステップS28によってコンバータ35による昇圧電圧(すなわちシステム電圧VH)を変更する処理を実行する。具体的には、図11に示すように、システム電圧VHが最大昇圧電圧VHmaxよりも低いシステム電圧VH1でモータ14,24が矩形波制御されているとき、システム電圧VHを最大昇圧電圧VHmaxまで引き上げることによって、参照されるマップが変更される。これにより、図11中の上側に示すマップではシステム電圧VH1では矩形波制御が適用される動作点70が、モータ回転数Nmを変えることなく、図11中の下側に示すマップでは過変調制御が適用される動作点72に変更することができる。
昇圧電圧の変更処理に続いて、ステップS30によって、モータ14,24が過変調制御で駆動されているか否かを判定する。この判定において、制御装置10は、システム電圧VHに対するモータ入力電圧の振幅の比である変調率(または電圧利用率)が0.61より大きく0.78未満であれば過変調制御により駆動されていると判断することができる。このようにしてモータ14,24の動作点を過変調制御が適用される動作点に変更した後に、上述したステップS18のオープン故障判定を実行する。
そして、上記ステップS18のオープン故障判定が終わった後であって、上記タイミングt0から所定時間t1(例えば3〜4秒)が経過したとき(ステップS20でYES)、ステップS30によって、昇圧電圧を変更してモータ14,24の動作点を元の動作点に戻す処理を実行する。図11に示す例では、システム電圧VHをVHmaxからVH1に低下させることになる。ただし、上記ステップS18によってインバータ36,38のスイッチング素子にオープン故障が有ると判定された場合には、例えば、モータ14,24の駆動を停止する、制御モードをPWM制御に限定する等の処理を行ってもよい。
このように本実施形態の制御装置10では、過変調制御では矩形波制御と比較するとスイッチング素子のオープン故障によるモータの各相電流の乱れがより大きく現れることから、昇圧電圧を高くすることによってモータ動作点を矩形波制御から過変調制御へと変更した上でq軸電流Iqの評価を行うことにより、インバータ36,38のスイッチング素子のオープン故障判定をより正確に行うことができる。その結果、オープン故障したままモータ14,24の駆動が継続されたときに消磁してトルクを出力できなくなるという二次故障を防止することができる。
なお、本発明に係る電動車両の駆動装置は、上記で説明した実施形態の構成のものに限定されるものではなく、種々の改良や変形を含む。
上記においては、モータ動作点を矩形波制御から過変調制御に変更した上でインバータのスイッチング素子のオープン故障判定を行うものとして説明したが、上記モータ回転数範囲Rよりも低回転域でPWM制御により駆動されているモータに接続されるインバータのオープン故障判定を行うときにも、モータ動作点をPWM制御から過変調制御に変更した上で行ってもよい。上述した例に従えば、エンジン回転数Neを上昇させる、変速機30の変速段をHIからLOに切り替える、昇圧電圧を低下させることにより実現可能である。
また、上記においては、モータがスイッチング素子のオープン故障を検出可能なモータ回転数範囲Rよりも高回転領域で矩形波制御されているとき、または、上記モータ回転数範囲Rよりも低回転領域でPWM制御されているときに、モータ動作点を過変調制御領域の動作点に変更する処理を実行するものとして説明したが、上記スイッチング素子のオープン故障判定を行う際にモータが矩形波制御またはPWM制御されているときは、モータ回転数にかかわらずモータ動作点を過変調制御領域の動作点に変更する処理を実行してもよい。
さらに、上記においては、オープン故障判定の終了後にモータ動作点を変更前の動作点に戻すものとして説明したが、ステップS18のオープン故障判定によって、q軸電流Iqが動作点変更閾値Iqthを超えた回数のカウント値が故障検知確定時間内に所定回数未満であってスイッチング素子のオープン故障が発生していないと判定されるときだけモータ動作点を元に戻す処理を実行してもよい。
1 ハイブリッド車両、10 制御装置、12 エンジン、13 温度センサ、14,24 モータ、15 回転軸、16 バッテリ、18 出力軸、20 動力分配機構、22 回転軸、28 エンジン回転数センサ、30 変速機、32 車軸、34 駆動輪、35 コンバータ、36,38 インバータ、40,57 電圧センサ、42 電流センサ、44 温度センサ、50 正極母線、52 負極母線、54,56 平滑コンデンサ、58 電流検出センサ、60 回転角センサ、62 動作点変更処理部、64 オープン故障判定部、66,68,70,72 動作点、A1 PWM制御領域、A2 過変調制御領域、A3 矩形波制御領域、Acc アクセル開度信号、Ib バッテリ電流、Id d軸電流、Iq q軸電流、Iqth 動作点変更閾値、Iu U相電流、Iv V相電流、Iw W相電流、Ne エンジン回転数、Nm,Nm1,Nm2 モータ回転数
、R 回転数範囲、S1〜S16 制御信号、SMR1,SMR2 システムメインリレー、Sv 車速、T* トルク指令、t0 タイミングまたは所定時間、Tb バッテリ温度、Tw 冷却水温度、Vb バッテリ電圧、VH,VH1 システム電圧、VH* システム電圧指令値、VHmax システム電圧最大値または最大昇圧電圧、θ1,θ2 ロータ回転角。

Claims (7)

  1. 蓄電装置から供給される直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータと、インバータの出力電圧により駆動されるモータと、インバータに含まれるスイッチング素子を作動制御して過変調制御を含む複数の制御モードを切り替えて前記モータを駆動制御する制御装置とを備える電動車両の駆動装置であって、
    前記制御装置は、
    前記モータが矩形波制御またはPWM制御が適用される動作点で駆動されているときに前記モータの動作点を前記過変調制御が適用される領域に変更する動作点変更処理部と、
    前記動作点変更処理部により動作点が変更されて前記モータが過変調制御されているときに前記モータに流れる電流に基づいて導出されるq軸電流が動作点変更閾値を超えた回数をカウントし、このカウント値が所定時間内に所定回数以上であるときに前記スイッチング素子にオープン故障が発生していると判定するオープン故障判定部と、を含む電動車両の駆動装置。
  2. 請求項1に記載の電動車両の駆動装置において、
    前記電動車両は走行用動力源として内燃機関を搭載したハイブリッド車両であり、前記モータは動力分配機構を介して前記内燃機関の出力軸に連結されており、前記制御装置は前記内燃機関の作動を制御することが可能であり、前記動作点変更処理部は、前記モータが矩形波制御またはPWM制御が適用される動作点で駆動されているときに前記内燃機関の回転数を変更することにより前記動力分配機構を介して前記モータの回転数を前記過変調制御が適用される領域の動作点のものに変更することを特徴とする電動車両の駆動装置。
  3. 請求項1または2に記載の電動車両の制御装置において、
    前記電動車両は前記モータの出力が複数段に変速可能な変速機を介して車軸に出力されるように構成され、前記制御装置は前記変速機の変速段を選択制御可能であり、前記動作点変更処理部は、前記モータが矩形波制御またはPWM制御が適用される動作点で駆動されているときに前記変速機の変速段を変更することにより車速を実質的に変更することなく前記モータの回転数を前記過変調制御が適用される領域の動作点のものに変更することを特徴とする電動車両の制御装置。
  4. 請求項1に記載の電動車両の制御装置において、
    前記電動車両は前記蓄電装置からの直流電圧を昇圧して前記インバータへ出力することができる電力変換装置を備えており、前記制御装置は前記電圧変換装置の作動を制御することにより昇圧電圧を設定することが可能であり、前記動作点変更処理部は、前記モータが矩形波制御またはPWM制御が適用される動作点で駆動されているときに前記電圧変換装置による昇圧電圧を変更することにより前記モータの動作点を前記過変調制御が適用される領域の動作点に変更することを特徴とする電動車両の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動車両の駆動装置において、
    前記制御装置は、前記オープン故障判定部によりq軸電流が動作点変更閾値を超えたと判定されたときに、前記モータの制御モードを過変調制御からPWM制御へ一時的に切り替える制御を実行することを特徴とする電動車両の駆動装置
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動車両の駆動装置において、
    前記動作点変更処理部は、前記モータが、前記スイッチング素子のオープン故障を検出可能なモータ回転数範囲よりも高回転領域で矩形波制御されているとき、または、前記モータ回転数範囲よりも低回転領域でPWM制御されているときに、モータ動作点を過変調制御領域の動作点に変更する処理を実行することを特徴とする電動車両の駆動装置。
  7. 請求項1〜6にいずれか一項に記載の電動車両の駆動装置において、
    前記動作点変更処理部は、前記オープン故障判定部により、q軸電流が動作点変更閾値を超えた回数のカウント値が所定時間内に所定回数未満であって前記スイッチング素子にオープン故障が発生していないと判定されるとき、前記所定時間経過後に前記モータの動作点を変更前の動作点に戻す処理を実行することを特徴とする電動車両の駆動装置。
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