JP2012091228A - プレス成形品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】深絞り加工が可能な程度に成形性が良好なプレス成形品を、硬さバラツキ等の不都合を発生させることなく製造するための有用な方法、およびこうした製造方法によって得られたプレス成形品を提供する。
【解決手段】パンチおよびダイを用いて薄鋼板をプレス成形して成形品を製造するに当り、薄鋼板をAc3変態点以上の温度に加熱し、次いで臨界冷却速度以上の速度で冷却した後、または冷却しながら、マルテンサイト変態開始温度Ms以下から、マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃以上の温度域で成形を開始する。
【選択図】図2

Description

本発明は、主に自動車用車体に適用される薄鋼板成形品を製造する分野において、その素材となる鋼板(ブランク)をオーステナイト温度(Ac3変態点)以上に加熱し、その
後プレス成形して所定の形状に成形する際に、形状付与と同時に、鋼板を焼入れて所定の強度を得ることのできるプレス成形品を製造する方法、およびこうした製造方法によって得られるプレス成形品等に関するものであり、殊にプレス成形時に破断や割れなどを発生させずに良好な成形が実現できる成形品の製造方法、およびプレス成形品等に関するものである。
地球環境保護の観点から、低燃費化を目的とした自動車の軽量化が強く望まれており、車両を構成する部品に鋼板が使用される場合には、高強度鋼板を適用し、この鋼板の板厚を薄くすることによって、軽量化が図られている。その一方で、自動車の衝突安全性を向上させるために、ピラー等の自動車部品には、更なる高強度化が要求されており、引張強度がより高い超高強度鋼板に対するニーズも高まっている。
しかしながら、薄鋼板の強度をより高くすると、伸びELやr値(ランクフォード値)が低下し、プレス成形性や形状凍結性が劣化することになる。
こうした状況の下、高強度の自動車用構造部品を実現するために、プレス成形と焼入れによる部品の強度向上を同時に行なう熱間プレス方法(いわゆる「ホットプレス法」)が提案されている(例えば、特許文献1)。この技術は、鋼板をAc3変態点以上のオース
テナイト(γ)領域まで加熱して、熱間でプレス成形すると共に、プレス成形時に常温の金型と接触させることによって鋼板の焼入れを同時に行い、超高強度化を実現する方法である。
こうした熱間プレス方法によれば、低強度状態で成形されるので、スプリングバックも小さくなると共に(形状凍結性が良好)、急冷によって引張強度が1500MPa級の強度が得られることになる。尚、このような熱間プレス方法は、ホットプレス法の他、ホットフォーミング法、ホットスタンピング法、ホットスタンプ法、ダイクエンチ法等、様々な名称で呼ばれている。
図1は、上記のような熱間プレス成形(以下、「ホットプレス」で代表することがある)を実施するための金型構成を示す概略説明図であり、図中1はパンチ、2はダイ、3はブランクホルダー、4は鋼板(ブランク)、BHFはしわ押え力、rpはパンチ肩半径、rdはダイ肩半径、CLはパンチ/ダイ間クリアランスを夫々示している。また、これらの部品のうち、パンチ1とダイ2には冷却媒体(例えば水)を通過させることができる通路1a,2aが夫々の内部に形成されており、この通路に冷却媒体を通過させることによってこれらの部材が冷却されるように構成されている。
このような金型を用いてホットプレス(例えば、熱間深絞り加工)するに際しては、ブランク(鋼板4)をAc3変態点以上に加熱して軟化させた状態で成形を開始する。即ち
、高温状態にある鋼板4をダイ2とブランクホルダー3間に挟んだ状態で、パンチ1によってダイ2の穴内(図1の2,2間)に鋼板4を押し込み、鋼板4の外径を縮めつつパンチ1の外形に対応した形状に成形する。また、成形と並行してパンチ1およびダイ2を冷却することによって、鋼板4から金型(パンチ1およびダイ2)への抜熱を行なうと共に、成形下死点(パンチ先端が最上部に位置した時点:図1に示した状態)で更に保持冷却することによって素材の焼入れを実施する。こうした成形法を実施することによって、寸法精度の良い1500MPa級の成形品を得ることができ、しかも冷間で同じ強度クラスの部品を成形する場合に比較して、成形荷重が低減できることからプレス機の容量が小さくて済むことになる。
特開2002−102980号公報
これまでのホットプレスでは、鋼板をAc3変態点以上(例えば、900℃付近)のオ
ーステナイト領域まで加熱した後、高温状態のままでプレス成形用金型によって冷却されることになるので、パンチおよびダイからなる金型と接触する部分と接触しない部分とで温度差がつきやすくなり、相対的に高温となる部分に歪みが集中することや、例えば深絞り成形では縮みフランジが冷却されて縮まなくなることなどによって、成形性が悪くなり、特に深絞り成形が難しくなる。
こうしたことから、冷間プレスによってニアネット(成形品に近い状態)まで成形し、その後、加熱・ダイクエンチする、いわゆるインダイレクト工法も提案されているが、この方法では成形工程が増えるために成形時間が長くなるという欠点がある。従って、成形工程がそれほど多くならない、いわゆるダイレクト工法によって深絞り加工できるような技術が求められているのが実情である。
またホットプレスでは、金型によってプレス成形しながら冷却するため、金型との接触具合によっては、ブランク内で冷却速度が異なることになる。これによって、熱間プレス後の部分の硬さ分布にバラツキ(焼きムラ)が生じる場合があり、品質上の問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、深絞り加工が可能な程度に成形性が良好なプレス成形品を、硬さバラツキ等の不都合を発生させることなく製造するための有用な方法、およびこうした製造方法によって得られたプレス成形品を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明のプレス成形品の製造方法とは、パンチおよびダイを用いて薄鋼板をプレス成形して成形品を製造するに当り、薄鋼板をAc3変態点以
上の温度に加熱し、次いで臨界冷却速度以上の速度で冷却した後、または冷却しながら、マルテンサイト変態開始温度Ms以下から(マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃)以上の温度域で成形を開始する点に要旨を有するものである。
本発明方法においては、却した金属ロールと接触させる、等の方法が挙げられる。また、薄鋼板を冷却する際の冷却速度としては、25℃/秒以上が挙げられる。本発明で成形を開始する温度は、マルテンサイト変態開始温度Ms以下であるが、具体的には400℃以下が挙げられる。
本発明方法において、成形の終了温度については、マルテンサイト変態終了温度Mfよりも高い温度とすることが好ましい。また本発明方法は、しわ押えを使用して絞り成形する場合に特に有効であり、こうした成形法を採用しても破断や割れが生じることなく、良好な成形性を確保できる。本発明によって得られるプレス成形品では、ビッカース硬さHvが450以上のものとなる。
本発明によれば、薄鋼板をAc3変態点以上の温度に加熱し、次いで臨界冷却速度以上
の速度で冷却した後、または冷却しながら、マルテンサイト変態開始温度Ms以下から(マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃)以上の温度域で成形を開始するようにしたので、成形時に破断や割れなどを発生させることなく、生産性良くプレス成形品の製造が可能となった。
熱間プレス成形を実施するための金型構成を示す概略説明図である。 本発明方法を実施するときの熱処理パターンの一例を示すグラフである。 変形挙動を調査するための模擬実験における熱処理パターンを示すグラフである。 変形挙動を調査するための模擬実験での応力−歪み曲線である。 従来の熱間プレスライン(設備構成)の一例を示す概略説明図である。 本発明方法を実施するためのプレスライン(設備構成)の一例を示す概略説明図である。 各温度で深絞り成形を開始したときのタイミングを示すCCT曲線である。 成形が実施できた成形品の外観形状を模式的に示した斜視図である。
本発明者らは、薄鋼板をAc3変態点以上の温度に加熱した後プレス成形するに際して
、硬さバラツキ等の不都合を発生させることなく、成形性が良好なプレス成形品を製造するために、様々な角度から検討した。その結果、薄鋼板をAc3変態点以上の温度に加熱
した後、そのままプレス成形を開始するのではなく、薄鋼板をAc3変態点以上の温度に
加熱し、次いで臨界冷却速度以上の速度で冷却した後、または冷却しながら、マルテンサイト変態開始温度Ms以下から(マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃)以上の温度域でプレス成形を開始するようにすれば、硬さバラツキ等の不都合を発生させることなく、良好な成形性が確保できることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明が完成された経緯に沿って本発明について具体的に説明する。
本発明者らは、まず下記表1に示す化学成分組成を有する鋼板を、900℃に加熱し(この鋼板のAc3変態点:830℃、マルテンサイト変態開始温度Ms:411℃、マルテンサイト変態終了温度Mf:261℃)、前記図1に示した金型を用いて前述した手順で角筒絞り成形実験を行ったところ、マルテンサイト変態開始温度Msよりも高い温度でプレス成形を開始すれば、早期に成形限界に達していたが、マルテンサイト変態開始温度Msより低い温度である400℃以下でプレス成形を開始すれば(400℃まで臨界冷却速度以上で急冷)、良好な成形性が達成され、成形下死点まで深絞り成形ができることが判明した。
Figure 2012091228
尚、上記したAc3変態点は、鋼板を加熱したときのオーステナイトへの変態完了温度
Ac3の意味であり、下記(1)式によって求められるものである。また、マルテンサイ
ト変態開始温度Msおよびマルテンサイト変態終了温度Mfは、夫々下記(2)式および(3)式によって求められる値である(例えば、『熱処理』41(3),164〜169
,2001 邦武立朗「鋼のAc1,Ac3およびMs変態点の経験式による予測」)。
Ac3変態点(℃)=−230.5×[C]+31.6×[Si]−20.4×[Mn]
−39.8×[Cu]−18.1×[Ni]−14.8×[Cr]+16.8×[Mo]+912 …(1)
Ms(℃)=560.5−{407.3×[C]+7.3×[Si]+37.8×[Mn]+20.5×[Cu]+19.5×[Ni]+19.8×[Cr]+4.5×[Mo]} …(2)
Mf(℃)=Ms−150.0 …(3)
但し、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr]および[Mo]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,CrおよびMoの含有量(質量%)を示す。
鋼板を900℃に加熱した後、急冷してからマルテンサイト変態開始温度Ms以下の温度で成形を開始したときの熱処理パターンを図2に示す。この熱処理パターンは、本発明方法を実施するときのものに相当するが、図2に示すように、薄鋼板をAc3変態点以上
の温度に加熱した後、マルテンサイト変態開始温度Ms以下の温度まで急冷し、マルテンサイト変態開始温度Ms以下から(マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃)以上の温度域で成形を開始するようすれば、良好な成形性が得られたのである。但し、成形開始温度が(マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃)よりも低くなると、成形開始の段階で既に鋼板自体が硬くなってしまい、良好な成形性を発揮することができなくなる。
従来の熱間成形では、極力高温で成形を開始するのが技術常識と考えられていたのであるが、鋼板を一旦加熱した後、マルテンサイト変態開始温度Ms以下まで急速冷却し、マルテンサイト変態を生じる状態としてからプレス成形を開始すれば、絞り成形性が向上したのである。
上記のような変形挙動が生じる原因を解明するために、次のような模擬実験(引張試験)を実施し、変形過程での変形挙動に及ぼすマルテンサイト変態の影響を調査した。このときの熱処理パターンを図3に示す。即ち、鋼板の加熱温度を900℃とし、所定の温度(700℃、500℃、375℃)まで50℃/秒の冷却速度で急冷し、そのまま各所定温度で引張試験を実施した。ここで、所定温度700℃、500℃のときの組織は、過冷オーステナイト相であり、375℃では過冷オーステナイト相とマルテンサイト相の二相域になっている。
そして、図4(応力−歪み曲線)に示すように、マルテンサイト相が生じている375℃において、見掛け上の加工硬化が大きくなっていると共に、最も伸びが大きくなっている。一般に加工硬化係数nが高いと、深絞り成形性が良くなることが知られており、このことがMs点以下でのプレス成形で深絞り成形性が向上した要因であると考えられる。
上記のような条件でプレス成形すれば、プレス成形中の温度分布も小さくすることができ(金型との温度差が少なくなる)、深絞り成形性も向上するものとなる。また、プレス成形開始温度を比較的低温とすることもできるので、成形下死点での保持時間を短くすることができ、生産性向上を図ることができる。
本発明方法は、鋼板をAc3変態点以上の温度まで加熱した後、所定の温度まで急冷す
ることによって、成形時にマルテンサイト変態が生じる原理を利用したものであるが、こうした効果を発揮させるためには、Ac3変態点以上の温度まで加熱した後の冷却速度は
、臨界冷却速度(即ち下部臨界冷却速度)以上の冷却速度(表1に示した鋼板では25℃/秒以上)とする必要がある。即ち、鋼種にもよるが、冷却速度が臨界冷却速度よりも遅くなると、マルテンサイト変態による効果(プレス成形性向上効果)が有効に発揮されにくくなる。また、急冷時の冷却速度の上限については、限定するものでないが、ブランク内の温度均一性の確保という観点から、450℃/秒以下とすることが好ましい。
ところで、従来の熱間プレスライン(設備構成)は、図5(概略説明図)に示すような構成となっているのが一般的である。即ち、図5に示すように、コイル状態の鋼板10が
、切り出し機11によって切り出しされ(Blanking)、加熱炉12内で加熱された後、プレス成形機13に移動されてプレス成形品14とされる。
本発明では、薄鋼板をAc3変態点以上の温度に加熱した後、そのまま成形を開始する
のではなく、マルテンサイト変態開始温度Ms以下の温度まで急冷し、若干のマルテンサイト変態を生じさせてからプレス成形を開始するものであるが、こうした冷却を行うに際しては、例えば図6(概略説明図)に示すような設備構成を採用すれば良い。即ち、加熱炉12の後半領域に冷却帯15を配置し(図6において、図5に対応する部分には同一の参照符号が付してある)、鋼板10を加熱炉12からプレス成形機13に移動する際に、冷却帯15で冷却を行うようにすれば良い。冷却帯15で行う冷却では、上記した方法も含めて、例えば下記(1)〜(4)等の方法で冷却を実施することができる。
(1)ガス冷却手段を設けてガスジェット冷却する。
(2)冷媒としての金属と接触させる手段(例えば、水冷した金属ロール)を設けて抜熱する。
(3)ミスト冷却手段を設けて冷却する。
(4)ドライアイスショット手段(顆粒ドライアイスをブランク材に衝突させて冷却する)を設けて冷却する。
上記のような冷却帯15で所定温度までの冷却を行った後は、冷却をやめて成形を行っても良いが(成形を開始するまでに冷却を完了)、プレス成形機13に移動させた後、成形を開始してからも引き続き成形金型による冷却を行ないつつ成形を行っても良い。
本発明方法を実施するに当たっては、まず薄鋼板をAc3変態点以上の温度に加熱する
必要があるが、この加熱温度の上限は1000℃程度までとすることが好ましい。この温度が1000℃よりも高くなると、加熱炉12からプレス成形機13に搬送する間に酸化スケールの生成が著しくなって(例えば、100μm以上)、成形品の板厚(デスケーリング後)が所定のものよりも薄くなる恐れがある。
本発明を実施するに当り、成形開始温度はマルテンサイト変態開始温度Ms以下から(マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃)以上の温度域とする必要があるが、成形終了温度については、成形途中でマルテンサイト変態が完了すると成形性が悪くなるので、この温度(成形終了温度)はマルテンサイト変態終了温度Mfよりも高い温度とすることが好ましい。
尚、本発明方法は、成形開始温度を適切に制御することによって上記の目的を達成することができるのであり、こうした効果はしわ押さえを有する金型を用いて成形(即ち、絞り成形)する場合に顕著に発揮されることになる。但し、本発明方法は、しわ押さえを用いる絞り成形に限らず、通常のプレス成形を実施する場合(例えば、張り出し成形)も含むものであり、こうした方法によって成形品を製造する場合であっても本発明の効果が達成される。
以下、本発明の効果を実施例によって更に具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定するものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
前記表1に示した化学成分組成を有する鋼を通常の手段によって、厚さ1.4mmまで冷間圧延した。これから、直径(ブランク径):110mmの円形ブランクを打ち抜き、実験に用いた(従って、このブランクのAc3変態点:830℃、マルテンサイト変態開
始温度Ms:411℃、マルテンサイト変態終了温度Mf:261℃)。
上記円形ブランクを用い、パンチの頭部形状が正方形(一辺が45mm)の金型(角筒ダイおよび角筒パンチ)を用い(前記図1参照)、本発明方法に従って、角筒絞り成形を行った。このときブランクの加熱は、電気炉を用いて大気中で行い、その加熱温度を900℃に設定した。
成形実験は、前記図1に示した金型を用い、クランクプレス機に設置して実施した。金型がブランクに接触してから、成形下死点で停止するまでの時間は0.75秒とした。また成形開始温度は、760℃、720℃、650℃、600℃、550℃、400℃、370℃、350℃とした。以上の成形開始温度において、Ms点より高い場合には、従来通り空冷している(平均冷却速度:約10℃/秒)。また、Ms点以下の場合には、加熱温度から成形開始温度までは、金属板に挟むことによって30℃/秒の冷却速度で冷却した。その他のプレス成形条件は下記の通りである。
(他のプレス成形条件)
しわ押え力:3トン
ダイ肩半径rd:5mm
パンチ肩半径rp:5mm
パンチ−ダイ間クリアランスCL:1.32/2+1.4(鋼板厚さ)mm
成形高さ:37mm
また成形開始温度を340℃とした場合の成形性について調査したところ(他の条件についは、基本的に上記と同じ)、割れが生じて成形性が悪化していることが確認できた。その原因について調査するため、以下のような、追試実験を行った。成形開始温度を340℃として成形する際に、成形下死点で保持せずに、成形直後の成形品をサーモビューワ(赤外線サーモグラフィ装置 商品名「サーモトレーサTH9100MR/WR」NEC Avio赤外線テクノロジ−株式会社製)にて撮影し、その温度分布を調査した。その結果、しわ押え部のフランジからダイ肩半径部(ダイ肩半径rdに相当する部分)にかけて、Mf点以下の温度になっている領域が存在することが判明した。ダイ肩半径部は、ブランクとの接触圧が最も高くなるところであり、従って熱伝導係数も高くなり、金型への抜熱が促進され、ブランク温度が低下したものと推察される。そして、その部分がMf点以下となり、マルテンサイト変態が終了したため、成形性が悪化し、割れが生じたものと思われた。また(マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃)以上の範囲においても、同様の実験を実施したが、いずれも成形直後のブランク温度はMf点よりも高い温度となっていた。
各温度で深絞り成形を開始したときのタイミングを図7(CCT曲線:continuous cooling transformation diagram)に示す。図7において、「○」印は割れが発生することなく、成形が可能であったことを示し、「×」印は成形中に割れが発生したことを意味する。その結果、マルテンサイト変態が開始する温度(実際には411℃)以下で成形を開始した場合には(成形開始温度が400℃、370℃、350℃)、良好な成形性が発揮されていることが確認できた。
成形が実施できた成形品の外観形状を模式的に図8(斜視図)に示す。また、この成形品の硬さは、どの部分においてもビッカース硬さHvで450以上であった。これらの結果から明らかなように、成形開始までにマルテンサイト変態開始温度Ms以下の温度まで冷却することによって、深絞り性が向上するという本発明の有用性を示すものである。
1 パンチ
2 ダイ
3 ブランクホルダー
4,10 ブランク(鋼板)
11 切り出し機
12 加熱炉
13 プレス成形機
14 プレス成形品
15 冷却帯

Claims (4)

  1. パンチおよびダイを用いて薄鋼板をプレス成形して成形品を製造するに当り、薄鋼板をAc3変態点以上の温度に加熱し、次いで臨界冷却速度以上の速度で冷却した後、または
    冷却しながら、マルテンサイト変態開始温度Ms以下から(マルテンサイト変態開始温度Ms−60℃)以上の温度域で成形を開始することを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  2. マルテンサイト変態終了温度Mfよりも高い温度で成形を終了する請求項1に記載の製造方法。
  3. しわ押えを使用して絞り成形する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって得られたものであり、ビッカース硬さHvが450以上であるプレス成形品。
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