JP2012072747A - 断熱構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの冷却損失の低減等に利用することができる断熱構造体を提供する。
【解決手段】金属製母材11の表面が多孔質体12で覆われ、該多孔質体12の表面が皮膜13で覆われている断熱構造体である。多孔質体12の金属製母材11側では、該金属製母材11の金属が多孔質体12の細孔に含浸して固化している。多孔質体12の皮膜13側では、該皮膜が該多孔質体12の細孔に食い込んでいる。多孔質体12の、金属製母材11側の金属の含浸固化部と皮膜13側の皮膜食込み部との間が断熱空間になっている。
【選択図】図5

Description

本発明は、エンジン等に適用する断熱構造体に関する。
エンジン部品のような高温ガスに晒される金属製品の場合、高温ガスからの熱伝達を抑制するために、その金属製母材の表面に断熱層を形成することが行なわれている。例えば、特許文献1には、エンジンのピストンに関し、そのクラウン部を、10%以上の微細な気孔を有すると共にセラミックウイスカー又は粒子が分散され、マトリックスを非晶質とした多孔質セラミックスで構成し、さらに、その表面を窒化ケイ素皮膜で覆うことが記載されている。
特開平4−231388号公報
自動車の燃費を高めるために、車体の軽量化、エンジンの熱効率の改善、機械抵抗の低減、電気負荷の低減、排気エネルギーの回収・利用等が図られている。このうち、エンジンの熱効率に関しては、理論的には、幾何学的圧縮比を高めるほど、また、作動ガスの空気過剰率を大きくする(比熱比を高める)ほど、その熱効率が高くなることが知られている。しかし、実際には、圧縮比を大にするほど、また、空気過剰率を大にするほど、冷却損失(外部に熱として奪われるエネルギー)が大きくなるため、圧縮比や空気過剰率の増大による熱効率の改善は頭打ちになる。
すなわち、冷却損失は、作動ガスからエンジン燃焼室壁への熱伝達率、その伝熱面積、並びにガス温と壁温との温度差に依存する。そのうち、熱伝達率はガス圧及び温度の関数である。従って、圧縮比及び空気過剰率の増大によりガス圧及び温度が高くなると、熱伝達率が高くなり、冷却損失が大きくなる。また、壁温とガス温との温度差も大きくなるから、そのことによっても、冷却損失が大きくなる。このため、例えば圧縮比20以上の超高圧縮比にすることは、高膨張比にもなり、排気損失の低減に有効であるにも拘わらず、上記冷却損失のために実現できていないのが現状である。
一方、圧縮比を大きく高めるのではなく、排気エネルギーを回収することによってエンジンの効率化(燃費改善)を図ることも考えられる。しかし、この場合も、冷却損失が大きいときには、それだけ排気エネルギーが小さくなるから、圧縮比を高める場合と同じく、冷却損失の低減が重要になる。
そこで、本発明は、上記エンジンの冷却損失の低減等に利用することができる断熱構造体を提供する。
本発明は、金属多孔体又は繊維集合体よりなる多孔質体の細孔を、金属製母材との結合、表面皮膜との結合、並びに断熱空間の形成に利用した。
すなわち、ここに提示する断熱構造体は、金属製母材の表面が金属多孔体又は繊維集合体よりなる多孔質体で覆われ、該多孔質体の表面が皮膜で覆われている断熱構造体であって、
上記多孔質体の上記金属製母材側では、該金属製母材の金属が上記多孔質体の細孔に含浸して固化し、
上記多孔質体の上記皮膜側では、該皮膜が該多孔質体の細孔に食い込んでおり、
上記多孔質体における、上記金属製母材側の金属の含浸固化部と上記皮膜側の皮膜食込み部との間に断熱空間が設けられていることを特徴とする。
かかる断熱構造体によれば、多孔質体における金属製母材側と皮膜側との間が断熱空間になっているから高い断熱性が得られる。また、空気により単位体積あたりの熱容量(容積比熱)が小さくなるので、断熱構造体表面温度が燃焼室ガス温に応答性良く追従することになり、冷却損失が改善する。しかも、金属製母材側からその金属が多孔質体の細孔に含浸して固化しているから、多孔質体と金属製母材との結合が強固なものになり、また、皮膜が多孔質体の表面に開口した細孔に食い込んでいるから、該皮膜と多孔質体との結合が強固なものになり、耐久性の確保に有利になる。
好ましい実施形態では、上記多孔質体は、複数の金属製の多孔質材が層状に重ねられて接合された積層構造体であり、該積層構造体の上記金属製母材側に配置された多孔質材に上記金属製母材の金属が含浸して固化している。多孔質体を積層構造体にし、該積層構造体を構成する各多孔質材として、気孔率が相違するものを採用すると、多孔質体の金属製母材側に金属の含浸固化部を形成しつつ、該多孔質体に上記断熱空間を設けることが容易になる。
すなわち、多孔質体の金属製母材側に金属を含浸させるには、多孔質体を母材成形用の鋳型内に配置して注湯すればよい。所謂鋳ぐるみである。その場合、同じ鋳造圧力であれば、多孔質体の気孔率が小さいほど溶融金属は多孔質体に含浸し難くなる。従って、気孔率が相違する多孔質材を積層して多孔質体を形成する場合、金属製母材側に配置される多孔質材の気孔率を、金属製母材の金属が含浸し得るように大きくし、該多孔質材に接する多孔質材の気孔率を金属製母材の金属が含浸しないように小さくすればよい。
例えば、多孔質体を二層構造とする場合は、金属製母材側に配置される一方の多孔質材の気孔率を大きくし、他方の多孔質材の気孔率を小さくすればよい。多孔質体を三層以上の積層構造体とする場合、金属製母材側に配置される多孔質材の気孔率を最も大きくすればよい。
好ましい実施形態では、上記皮膜の熱伝導率が上記多孔質体の断熱空間部分の熱伝導率よりも高いことである。すなわち、上記断熱空間部分の厚みが全体にわたって均一にならず、局部的に厚い部分や薄い部分を生じた場合、断熱性の違いによって皮膜温度に局部的なばらつきを生ずるおそれがある。例えば、上記皮膜がエンジンの燃焼室壁面を形成しているケースでは、皮膜温度が局部的に高くなった部分は異常燃焼の着火源となるおそれがある。そこで、上記皮膜の熱伝導率を高くすることにより、皮膜の広がり方向の熱拡散を良くし、皮膜温度が局部的に高くならないようにするというものである。このように皮膜温度の局部的なばらつきが問題になる場合は、皮膜の熱伝導率を断熱空間部分の熱伝導率の10倍以上にすること、さらには100倍以上にすることが好ましい。断熱構造体表面温度を燃焼室ガス温に応答性良く追従させるためには、皮膜の熱容量が断熱空間部分の熱容量よりも大きくならないようにすることが好ましく、そのため、皮膜の厚さは断熱空間部分の厚さの1/2以下にすることが好ましい。
一方、当該断熱構造体の断熱性をできるだけ高める観点からは、上記皮膜の熱伝導率が上記金属製母材の熱伝導率よりも低いことが好ましい。また、皮膜の容積比熱が金属製母材の容積比熱よりも小さいことが好ましい。
好ましい実施形態では、上記断熱構造体はエンジン部品を構成し、該エンジン部品のエンジン燃焼室に臨む面、吸気ポート内壁面又は排気ポート内壁面が上記多孔質体及び皮膜よりなる断熱層で形成される。
エンジン部品のエンジン燃焼室に臨む面が上記多孔質体及び皮膜よりなる断熱層で形成されている場合は、エンジンの冷却損失の低減に有利になる。
シリンダヘッドの吸気ポート内壁面が上記多孔質体及び皮膜よりなる断熱層で形成されている場合は、吸気が筒内に吸入されるまでにシリンダヘッドによって加熱されることを抑制することができる。すなわち、筒内への吸気の充填効率を高くする上で有利になる。或いは、幾何学的圧縮比が高い(例えばε=20〜50程度)エンジンにおいて、圧縮前の筒内ガス温度を低くすることができ、異常燃焼(早期着火)の防止に有利になり、また、燃焼温度が異常に高温になること(そのことによって冷却損失が大きくなること、NOxが発生し易くなること)を防止する上で有利になる。
シリンダヘッドの排気ポート内壁面が上記多孔質体及び皮膜よりなる断熱層で形成されている場合は、燃焼排ガスを温度が高い状態で排出することができ、排気エネルギーの回収に有利になる。
上記エンジン部品としては、ピストン、シリンダヘッド、シリンダブロック、シリンダライナ、吸気バルブ又は排気バルブがあげられる。
以上のように、本発明によれば、金属製母材の表面が金属多孔体又は繊維集合体よりなる多孔質体で覆われ、該多孔質体の表面が皮膜で覆われている断熱構造体において、多孔質体の上記金属製母材側では該金属製母材の金属が細孔に含浸して固化し、多孔質体の上記皮膜側では該皮膜が該多孔質体の細孔に食い込んでおり、且つ多孔質体における上記金属製母材側の金属の含浸固化部と上記皮膜側の皮膜材の食込み部との間が断熱空間になっているから、高い断熱性が得られるとともに、容積比熱が小さくなるので、断熱構造体表面温度が燃焼室ガス温に応答性良く追従することになり、冷却損失が改善し、しかも多孔質体と金属製母材との結合、並びに被膜と多孔質体との結合がそれぞれ強固なものになり、耐久性の確保に有利になる。
本発明の実施形態に係るエンジン構造を示す断面図である。 仕様が相異なるエンジンの幾何学的圧縮比と図示熱効率との関係を示すグラフ図である。 仕様が相異なるエンジンの空気過剰率λと図示熱効率との関係を示すグラフ図である。 本発明の実施形態に係るアルミ合金製ピストンの断熱構造を示す断面図である。 同ピストンの断熱層の拡大断面図である。 同ピストンを鋳造する鋳型の一部を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
この実施形態は、図1に示すエンジンのピストン1に本発明に係る断熱構造を採用したものである。
<エンジンの特徴>
図1において、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はシリンダヘッド3の吸気ポート5を開閉する吸気バルブ、6は排気ポート7を開閉する排気バルブ、8は燃料噴射弁である。エンジンの燃焼室は、ピストン1の頂面、シリンダブロック2、シリンダヘッド3、吸排気バルブ4,6の傘部前面(燃焼室に臨む面)で形成される。ピストン1の頂面には、キャビティ9が形成されている。なお、点火プラグの図示は省略している。
このエンジンは、幾何学的圧縮比ε=20〜50とされ、少なくとも部分負荷域での空気過剰率λ=2.5〜6.0で運転されるリーンバーンエンジンである。このため、先に説明したように、エンジンの冷却損失を大幅に低減させなければ、すなわち、エンジンの断熱性を高くしなければ、その圧縮比ε及び空気過剰率λに見合う所期の熱効率を得ることができない。この点をモデル計算による図示熱効率に基いて説明する。すなわち、圧縮比εを増大させていったとき、燃焼室を断熱構造にするか否かで、また、空気過剰率λの大小で、図示熱効率がどのように影響されるかをモデル計算した。
図2はその結果を示す。同図において、「断熱なし」は、燃焼室に断熱構造を採用していない従来のエンジンを意味し、「断熱あり」は、「断熱なし」の従来のエンジンよりも燃焼室の断熱率を50%高めたエンジンを意味する。「200kPa」及び「500kPa」はエンジン負荷の大きさを表す。
まず、「断熱なし 200kPa λ=1」の場合、圧縮比εの増大に伴って図示熱効率が増大しているが、圧縮比ε=50を越えても図示熱効率は大きく改善せず、圧縮比ε=50での理論効率は80%程度であるから、当該エンジンの図示熱効率はかなり低い。この差の大部分は冷却損失及び排気損失である。
「断熱なし 200kPa λ=2」の場合、空気過剰率の増加により比熱比が小さくなるため、図示熱効率が高くなっているが、それでも、理論効率からみれば低い。「断熱なし 200kPa λ=4」及び「断熱なし 200kPa λ=6」をみると、圧縮比εが15又は25を越えると、該圧縮比εが大きくなるほど図示熱効率が低下している。これは、空気過剰率λが大きい(混合気の空気密度が高い)ことから、高圧縮比になると燃焼時のガス圧が非常に高くなり、ガス圧及び温度の関数である熱伝達率が高くなって冷却損失が大きくなるためである。すなわち、空気過剰率λの増大(比熱比の増大)による熱効率の上昇を上回って冷却損失が大きくなるためである。
これに対して、「断熱あり 200kPa λ=2.5」では、圧縮比εの増大に伴って図示熱効率が増大している。空気過剰率λを高めた「断熱あり 200kPa λ=6」では、圧縮比εが40を越えると、図示熱効率が若干下がり気味になるものの、図示熱効率は圧縮比ε=20〜50において非常に高い値になっている。エンジン負荷を高めた「断熱あり 500kPa λ=2.5」でも、図示熱効率は圧縮比ε=20〜50において高い値になっている。
図3は空気過剰率λと図示熱効率との関係をみたグラフである。「断熱なし 200kPa ε=15」では、空気過剰率λ=4.5付近で図示熱効率がピークになり、それよりも空気過剰率λが増大するほど図示熱効率が低下している。これに対して、「断熱あり 200kPa ε=40」では、空気過剰率λ=6.0付近で図示熱効率がピークになっている。圧縮比εが高いことと、断熱による冷却損失抑制の効果である。
上記リーンバーンエンジンの場合、少なくとも部分負荷域では空気過剰率λ=2.5以上で運転するから、NOx発生の抑制に有利になる。圧縮比εが高くなると、燃焼温度が高くなるが、空気過剰率λをエンジン負荷が高くなるほど大きくなるように制御することにより、燃焼最高温度が1800Kを越えないようにしてNOx発生を抑制することができる。
また、図示は省略するが、上記エンジンの吸気系には吸気を冷却するインタークーラーが設けられている。これにより、圧縮開始時の筒内ガス温度が低くなり、燃焼時のガス圧及び温度の上昇が抑えられ、冷却損失の低減(図示熱効率の改善)に有利になる。
<断熱構造>
そこで、以下では、上記超高圧縮比ε=20〜50及び高空気過剰率λ=2.5〜6.0で運転されるエンジンにおける、図示熱効率を高める上で必要となる冷却損失低減のための断熱構造について説明する。
図4はピストン1の断熱構造を示す。ピストン1は、その頂面のキャビティ9を形成する面に断熱層10を備えている。この断熱層10は、ピストン母材11の表面を覆う多孔質体12と、該多孔質体12の表面を覆う皮膜13とによって形成されている。
図5に示すように、多孔質体12は、気孔率が異なる第1及び第2の多孔質材12a,12bを積層してなる。気孔率が大きい第1多孔質材12aがピストン母材11側に配置され、該第1多孔質材12aにピストン母材11の金属が含浸して固化している。気孔率が小さい第2多孔質材12bが皮膜12側に配置され、該第2多孔質材12bの表面に開口した細孔の開口部に皮膜12が食い込んでいる。そして、多孔質体12における、ピストン母材11側の金属の含浸固化部(第1多孔質材12a)と皮膜12側の皮膜食込み部との間、すなわち、第2多孔質材12bが細孔に金属が含浸していない断熱空間になっている。
−断熱層の形成−
ピストン母材11の金属を含浸させる気孔率が大きい第1多孔質材12aと金属を含浸させない気孔率が小さい第2多孔質材12bとを重ね、両者の境界面を通電溶接又はろう付けによって接合することによって多孔質体12を得る。この多孔質体12をピストン1のキャビティ9を形成する面に沿った形になるようにプレス成形した後、図6に示すように、ピストン成形用鋳型21のキャビティ成形部に配置し、その鋳型21に溶湯を鋳込む。これにより、溶湯の一部が多孔質体12の第1多孔質材12aに含浸して固化し、多孔質体12が一体に結合したピストン母材11が得られる。第2多孔質材12bの細孔は、気孔率が小さいため溶湯が含浸せず、中空状態で残る。
次いで、ピストン母材11に結合した多孔質体12の第2多孔質材12bの表面に皮膜13を皮膜材料の溶射によって形成する。この溶射により、皮膜13は、第2多孔質材12bの表面に開口した細孔の開口部に食い込む。
以上により、キャビティ9を形成する面に上記断熱層10を有するピストン1が得られる。この断熱層10においては、第2多孔質材12bの細孔は中空であって、この中空細孔が断熱空間になっている。
上記ピストン1の断熱構造によれば、多孔質体12の第2多孔質材12bによって断熱層10に断熱空間が設けられているから、高い空気断熱効果が得られる。すなわち、燃料の燃焼によって発生するエネルギーが熱としてピストン1を介して外部に奪われる量が少なくなる(冷却損失が小さくなる。)。また、ピストン母材11側からその金属が多孔質体12の第1多孔質材12aの細孔に含浸して固化しているから、ピストン母材11と多孔質体12との結合が強固なものになり、また、皮膜13が多孔質体12の第2多孔質材12bの表面に開口した細孔に食い込んでいるから、該皮膜13と多孔質体12との結合が強固なものになり、耐久性の確保に有利になる。
ピストン母材11は、例えば鋳物用アルミ合金AC8A(熱伝導率;141.7W/(m・K),容積比熱;2300kJ/(m・K))で成形することができ、或いは他のアルミ合金を採用することができる。或いは鋳鉄製ピストンとすることもできる。
第1及び第2の多孔質材12a,12bとしては、金属多孔体又は空隙を有する繊維集合体を採用することができる。金属多孔体は、骨格が三次元に連なって連続気孔が形成されたものであって、樹脂発泡体に導電処理を施し、これを電気めっきすることにより、所定の金属を付着させた後、焙焼・還元することで得られる。例えば、富山住友電工社のNi製又はNi−Cr製セルメット(登録商標)を採用することができる。繊維集合体は、金属繊維又は無機繊維よりなる不織布又は織物であり、無機繊維としては、繊維径3μm程度のアルミナ繊維(SAFFIL等)、繊維径2.8μm程度のアルミナ−シリカ繊維(Kaowool等)などのセラミック繊維、ガラス繊維等を採用することができ、金属繊維としては、ステンレス繊維等を採用することができる。金属繊維焼結不織布としては、日本精線社製ナスロンフィルター、セミテック社製積層金属不織布フィルター等がある。
アルミ合金製ピストン1の鋳造に重力鋳造法又は低圧鋳造法を採用する場合、第1多孔質材12aとして、例えば、直線長さ1インチ(2.54cm)に並ぶセル数37〜53、孔径0.5〜0.7mm、気孔率が95%以上のセルメットを採用すればよい。ピストン1の鋳造に気体加圧鋳造法(加圧力;0.4MPa程度)を採用する場合、第1多孔質材12aとして、上記セル数37〜53、孔径0.5〜0.7mm、気孔率80%以上のセルメットを採用すればよい。これにより、アルミ合金溶湯を第1多孔質材12aに含浸させることができる。
第2多孔質材12bについては、アルミ合金溶湯が含浸しないように、第1多孔質材12aに使用するセルメットを圧縮加工して気孔率を下げたものを採用する。例えば、第1多孔質材12aの気孔率の80%以下の気孔率となるように圧縮すればよい。
第1多孔質材12a及び第2多孔質材12bの気孔率についての考え方は、上記繊維集合体も、上記金属多孔体(セルメット)同様である。多孔質体12の断熱空間部分(第2多孔質材12b)の熱伝導率は、良好な断熱性を得る観点から、0.03〜0.3W/(m・K)程度とすることが好ましく、その容積比熱は200〜1900kJ/(m・K)程度にすることが好ましい。
断熱性を高めるべくピストン母材11よりも熱伝導率が低い皮膜13とする場合、皮膜材料としては、ZrO等の金属酸化物を採用すればよい。例えば、Y安定化ZrO(YSZ)を皮膜材料とした場合、皮膜13の熱伝導率は1.44W/(m・K)、その容積比熱は2760kJ/(kg・K)となる。この場合、皮膜13はプラズマ溶射によって多孔質とすることができ、例えば、気孔率10%では熱伝導率が0.87W/(m・K)、気孔率25%では熱伝導率が0.77W/(m・K)になる。
上記プラズマ溶射で生成したY安定化ZrO皮膜のような容積比熱が小さい皮膜13であれば、ピストン1のキャビティ9の表面温度自体は燃料の燃焼による燃焼室温度の上昇に伴って速やかに上昇する。よって、燃焼室のガス温とキャビティ9の表面温度との差が大きくならず、冷却損失が少なくなる。
また、皮膜材として、アルミ合金、Ni、Ni−Cr合金等を採用し、皮膜13の熱伝導率を多孔質体12の断熱空間部分の熱伝導率よりも高くしたケースでは、皮膜13の広がり方向の熱拡散が良好になる。従って、ピストン頂面に局部的に温度が高くなる部分(異常燃焼の着火源となる部分)を生ずることが避けられる。熱伝導率は、鋳物用アルミ合金AC8Aが141.7W/(m・K)、Ni−20Cr合金が12.6W/(m・K)、Niが97W/(m・K)であり、容積比熱は、鋳物用アルミ合金AC8Aが0.86kJ/(kg・K)、Ni−20Cr合金が3660kJ/(m・K)、Niが3980kJ/(m・K)となる。
多孔質体12の断熱空間部分の厚さは例えば10〜1000μm程度とし、皮膜13の厚さは例えば1〜500μm程度にすればよい。
1 ピストン(断熱構造体の一例)
2 シリンダブロック(エンジン部品の一例)
3 シリンダヘッド(エンジン部品の一例)
4 吸気バルブ(エンジン部品の一例)
5 吸気ポート
6 排気バルブ(エンジン部品の一例)
7 排気ポート
8 燃料噴射弁
9 キャビティ
11 ピストン母材(金属製母材の一例)
12 多孔質体
12a 第1多孔質材(金属が含浸固化している部分)
12b 第2多孔質材(断熱空間部分)
13 皮膜
21 鋳型

Claims (4)

  1. 金属製母材の表面が金属多孔体又は繊維集合体よりなる多孔質体で覆われ、該多孔質体の表面が皮膜で覆われている断熱構造体であって、
    上記多孔質体の上記金属製母材側では、該金属製母材の金属が上記多孔質体の細孔に含浸して固化し、
    上記多孔質体の上記皮膜側では、該皮膜が該多孔質体の細孔に食い込んでおり、
    上記多孔質体における、上記金属製母材側の金属の含浸固化部と上記皮膜側の皮膜食込み部との間に断熱空間が設けられていることを特徴とする断熱構造体。
  2. 請求項1において、
    上記多孔質体は、複数の金属製の多孔質材が層状に重ねられて接合された積層構造体であり、該積層構造体の上記金属製母材側に配置された多孔質材に上記金属製母材の金属が含浸して固化していることを特徴とする断熱構造体。
  3. 請求項2において、
    上記積層構造体を構成する各多孔質材は、気孔率が相違することを特徴とする断熱構造体。
  4. 請求項3において、
    上記積層構造体を構成する多孔質材のうちでは、上記金属製母材の金属が含浸して固化している多孔質材の気孔率が最も大きいことを特徴とする断熱構造体。
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