JP5581945B2 - 断熱構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、断熱構造体及びその製造方法に関する。
エンジン部品のような高温ガスに晒される金属製品の場合、高温ガスからの熱伝達を抑制するために、その金属製母材の表面に断熱層を形成することが行なわれている。例えば、特許文献1には、空隙を有する繊維集合体よりなる耐熱層、中間層及び断熱層の三層構造体を工業用断熱材として使用すること、これら三層各々はムライト繊維及びシリカ繊維を含有し且つそのムライト繊維とシリカ繊維との含有比率が相違することが記載されている。特許文献2には、エンジンのシリンダブロックのシリンダボア摺動部を、シリンダブロックを形成する金属を含浸させてなる金属多孔体によって形成することが記載されている。
特開平10−226582号公報 特開2003−10961号公報
自動車の燃費を高めるために、車体の軽量化、エンジンの熱効率の改善、機械抵抗の低減、電気負荷の低減、排気エネルギーの回収・利用等が図られている。このうち、エンジンの熱効率に関しては、理論的には、幾何学的圧縮比を高めるほど、また、作動ガスの空気過剰率を大きくする(比熱比を高める)ほど、その熱効率が高くなることが知られている。しかし、実際には、圧縮比を大にするほど、また、空気過剰率を大にするほど、冷却損失(外部に熱として奪われるエネルギー)が大きくなるため、圧縮比や空気過剰率の増大による熱効率の改善は頭打ちになる。
すなわち、冷却損失は、作動ガスからエンジン燃焼室壁への熱伝達率、その伝熱面積、並びにガス温と壁温との温度差に依存する。そのうち、熱伝達率はガス圧及び温度の関数である。従って、圧縮比及び空気過剰率の増大によりガス圧及び温度が高くなると、熱伝達率が高くなり、冷却損失が大きくなる。また、壁温とガス温との温度差も大きくなるから、そのことによっても、冷却損失が大きくなる。このため、例えば圧縮比20以上の超高圧縮比にすることは、高膨張比にもなり、排気損失の低減に有効であるにも拘わらず、上記冷却損失のために実現できていないのが現状である。
一方、圧縮比を大きく高めるのではなく、排気エネルギーを回収することによってエンジンの効率化(燃費改善)を図ることも考えられる。しかし、この場合も、冷却損失が大きいときには、それだけ排気エネルギーが小さくなるから、圧縮比を高める場合と同じく、冷却損失の低減が重要になる。
そこで、本発明は、上記エンジンの冷却損失の低減等に利用することができる断熱構造体及びその製造方法を提供する。
本発明は、空隙を有する断熱層を、金属製多孔質材に金属が含浸固化してなる金属含浸層で両側から挟んだサンドイッチ型断熱構造をとった。
すなわち、ここに開示する金属製母材に断熱層が設けられている断熱構造体は、その断熱層が空隙を有する繊維集合体によって形成され、該空隙を有する断熱層を挟んでその両側に、金属製多孔質材に上記金属製母材の金属が含浸して固化してなる金属含浸層が設けられ、上記両側の金属含浸層のうちの一方が当該断熱構造体の表面に露出していることを特徴とする。
かかる断熱構造体によれば、断熱層は空隙を有する繊維集合体よりなるから、高い断熱性が得られる。しかも、この空隙を有する断熱層は、金属製多孔質材に金属製母材の金属が含浸固化してなる金属含浸層で両側から挟まれて、該金属含浸層を介して金属製母材に保持されているから、耐久性の確保に有利になる。ここに、上記両側の金属含浸層各々は、その少なくとも一部が上記金属製母材に連続一体化していればよい。
また、当該断熱構造体では、上記両側の金属含浸層のうちの一方が当該断熱構造体の表面に露出している。これにより、断熱構造体の表面温度に局部的なばらつきを生ずることを避けながら、空隙を有する繊維集合体によって高い断熱性を得ることができる。
すなわち、上記空隙を有する断熱層を例えばセラミックス等の溶射皮膜で覆う構造にすることも考えられる。しかし、その場合、断熱層の厚みが全体にわたって均一にならず、局部的に厚い部分や薄い部分を生じているときは、断熱性の違いによって断熱構造体の表面温度に局部的なばらつきを生ずるおそれがある。例えば、当該断熱構造体によってエンジンの燃焼室壁面を形成するケースでは、表面温度が局部的に高くなった部分は異常燃焼の着火源となるおそれがある。
これに対して、上記金属含浸層が断熱構造体の表面を形成しているときは、該金属含浸層は金属の含浸によって熱伝導率が高くなっているから、金属含浸層の広がり方向の熱拡散が良好になる。よって、表面温度が局部的に高くなることが避けられ、当該断熱構造体をエンジンの燃焼室に適用したときの異常燃焼の発生を防止する上で有利になる。
好ましい実施形態では、上記繊維集合体の少なくとも一部はセラミック繊維よりなる。これにより、当該断熱構造体の耐熱性の確保に有利になる。上記繊維集合体はセラミック繊維成形体とすることができる。
好ましい実施形態では、上記断熱構造体はエンジン部品を構成し、該エンジン部品のエンジン燃焼室に臨む面、吸気ポート内壁面又は排気ポート内壁面に上記断熱層及び金属含浸層よりなる断熱構造が採用される。
エンジン部品のエンジン燃焼室に臨む面に上記断熱層及び金属含浸層よりなる断熱構造を採用した場合は、エンジンの冷却損失の低減に有利になる。
シリンダヘッドの吸気ポート内壁面に上記断熱層及び金属含浸層よりなる断熱構造を採用した場合は、吸気が筒内に吸入されるまでにシリンダヘッドによって加熱されることを抑制することができる。すなわち、筒内への吸気の充填効率を高くする上で有利になる。或いは、幾何学的圧縮比が高い(例えばε=20〜50程度)エンジンにおいて、圧縮前の筒内ガス温度を低くすることができ、異常燃焼(早期着火)の防止に有利になり、また、燃焼温度が異常に高温になること(そのことによって冷却損失が大きくなること、NOxが発生し易くなること)を防止する上で有利になる。
シリンダヘッドの排気ポート内壁面に上記断熱層及び金属含浸層よりなる断熱構造を採用した場合は、燃焼排ガスを温度が高い状態で排出することができ、排気エネルギーの回収に有利になる。
上記エンジン部品としては、ピストン、シリンダヘッド、シリンダブロック、シリンダライナ、吸気バルブ又は排気バルブがあげられる。
また、ここに提示する金属製母材に断熱層が設けられている断熱構造体の製造方法は、
空隙を有する繊維集合体をその両側から金属製多孔質材で挟んで一体化した多孔質積層体を得る工程と、
上記多孔質積層体を鋳型内に、上記両側の金属製多孔質材のうちの一方を当該鋳型の成形面に密接させて設置する工程と、
上記金属製母材を形成する金属溶湯を、上記多孔質積層体の上記金属製多孔質材に含浸し且つ上記繊維集合体には含浸しない圧力で上記鋳型に注入する工程とを備え
上記鋳型の成形面に密接させた一方の上記金属製多孔質材が上記金属溶湯の含浸によって当該断熱構造体の表面に露出している金属含浸層を形成することを特徴とする。
これにより、金属溶湯が繊維集合体両側の金属製多孔質材に含浸して、金属製母材と連続一体化した金属含浸層が得られ、両側の金属含浸層のうちの一方が当該断熱構造体の表面に露出する一方、繊維集合体には金属溶湯が含浸せずにその空隙が確保され、この空隙を有する繊維集合体によって断熱性が高い断熱層が得られる。上記多孔質積層体は、所定形状に成形した状態で上記鋳型内に設置することができる。
以上のように、本発明に係る断熱構造体によれば、空隙を有する断熱層を挟んでその両側に、金属製多孔質材に金属製母材の金属が含浸して固化してなる金属含浸層が設けられ、上記両側の金属含浸層のうちの一方が当該断熱構造体の表面に露出しているから、空隙を有する断熱層によって高い断熱性が得られるとともに、金属含浸層を介して上記断熱層と金属製母材と一体化しているから、耐久性の確保に有利になり、さらに、断熱構造体の表面温度に局部的なばらつきを生ずることが避けられる。
本発明の実施形態に係るエンジン構造を示す断面図である。 仕様が相異なるエンジンの幾何学的圧縮比と図示熱効率との関係を示すグラフ図である。 仕様が相異なるエンジンの空気過剰率λと図示熱効率との関係を示すグラフ図である。 本発明の実施形態に係るピストンの断熱構造を示す断面図である。 同ピストンを鋳造する鋳型の一部を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るシリンダライナの断熱構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係る断熱構造を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
この実施形態は、図1に示すエンジンに本発明に係る断熱構造を採用したものである。
<エンジンの特徴>
図1において、1はピストン、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はシリンダヘッド3の吸気ポート5を開閉する吸気バルブ、6は排気ポート7を開閉する排気バルブ、8は燃料噴射弁である。エンジンの燃焼室は、ピストン1の頂面、シリンダブロック2、シリンダヘッド3、吸排気バルブ4,6の傘部前面(燃焼室に臨む面)で形成される。ピストン1の頂面には、キャビティ9が形成されている。なお、点火プラグの図示は省略している。
このエンジンは、幾何学的圧縮比ε=20〜50とされ、少なくとも部分負荷域での空気過剰率λ=2.5〜6.0で運転されるリーンバーンエンジンである。このため、先に説明したように、エンジンの冷却損失を大幅に低減させなければ、すなわち、エンジンの断熱性を高くしなければ、その圧縮比ε及び空気過剰率λに見合う所期の熱効率を得ることができない。この点をモデル計算による図示熱効率に基いて説明する。すなわち、圧縮比εを増大させていったとき、燃焼室を断熱構造にするか否かで、また、空気過剰率λの大小で、図示熱効率がどのように影響されるかをモデル計算した。
図2はその結果を示す。同図において、「断熱なし」は、燃焼室に断熱構造を採用していない従来のエンジンを意味し、「断熱あり」は、「断熱なし」の従来のエンジンよりも燃焼室の断熱率を50%高めたエンジンを意味する。「200kPa」及び「500kPa」はエンジン負荷の大きさを表す。
まず、「断熱なし 200kPa λ=1」の場合、圧縮比εの増大に伴って図示熱効率が増大しているが、圧縮比ε=50を越えても図示熱効率は大きく改善せず、圧縮比ε=50での理論効率は80%程度であるから、当該エンジンの図示熱効率はかなり低い。この差の大部分は冷却損失及び排気損失である。
「断熱なし 200kPa λ=2」の場合、空気過剰率の増加により比熱比が小さくなるため、図示熱効率が高くなっているが、それでも、理論効率からみれば低い。「断熱なし 200kPaλ=4」及び「断熱なし 200kPa λ=6」をみると、圧縮比εが15又は25を越えると、該圧縮比εが大きくなるほど図示熱効率が低下している。これは、空気過剰率λが大きい(混合気の空気密度が高い)ことから、高圧縮比になると燃焼時のガス圧が非常に高くなり、ガス圧及び温度の関数である熱伝達率が高くなって冷却損失が大きくなるためである。すなわち、空気過剰率λの増大(比熱比の増大)による熱効率の上昇を上回って冷却損失が大きくなるためである。
これに対して、「断熱あり 200kPa λ=2.5」では、圧縮比εの増大に伴って図示熱効率が増大している。空気過剰率λを高めた「断熱あり 200kPaλ=6」では、圧縮比εが40を越えると、図示熱効率が若干下がり気味になるものの、図示熱効率は圧縮比ε=20〜50において非常に高い値になっている。エンジン負荷を高めた「断熱あり 500kPaλ=2.5」でも、図示熱効率は圧縮比ε=20〜50において高い値になっている。
図3は空気過剰率λと図示熱効率との関係をみたグラフである。「断熱なし 200kPa ε=15」では、空気過剰率λ=4.5付近で図示熱効率がピークになり、それよりも空気過剰率λが増大するほど図示熱効率が低下している。これに対して、「断熱あり 200kPaε=40」では、空気過剰率λ=6.0付近で図示熱効率がピークになっている。圧縮比εが高いことと、断熱による冷却損失抑制の効果である。
上記リーンバーンエンジンの場合、少なくとも部分負荷域では空気過剰率λ=2.5以上で運転するから、NOx発生の抑制に有利になる。圧縮比εが高くなると、燃焼温度が高くなるが、空気過剰率λをエンジン負荷が高くなるほど大きくなるように制御することにより、燃焼最高温度が1800Kを越えないようにしてNOx発生を抑制することができる。
また、図示は省略するが、上記エンジンの吸気系には吸気を冷却するインタークーラーが設けられている。これにより、圧縮開始時の筒内ガス温度が低くなり、燃焼時のガス圧及び温度の上昇が抑えられ、冷却損失の低減(図示熱効率の改善)に有利になる。
<断熱構造>
そこで、以下では、上記超高圧縮比ε=20〜50及び高空気過剰率λ=2.5〜6.0で運転されるエンジンにおける、図示熱効率を高める上で必要となる冷却損失低減のための断熱構造について説明する。
−実施形態1−
図4は本発明をピストン1に適用する実施形態を示す。ピストン1は、その頂面のキャビティ9を形成する面が断熱構造になっており、空隙を有する断熱層12と、該断熱層12を両側から挟む金属含浸層13,14とを備えている。空隙を有する断熱層12は繊維集合体によって形成されている。金属含浸層13,14は、金属製多孔質材にピストン母材11の金属が含浸して固化してなる。片側の金属含浸層13がピストン1のキャビティ面を形成している。
上記ピストン1の断熱構造を得る方法を図5を参照して説明する。すなわち、空隙を有するシート状の繊維集合体12aの両側にシート状の金属製多孔質材13a,14aを重ね、キャビテイ面に倣った形状にプレス成形する。プレス成形により金属製多孔質材13a,14aの端部同士が接合し、一体化した多孔質積層体15を得る。このプレス成形した多孔質積層体15をピストン成形用鋳型16のキャビティ成形部に、上記両側の金属製多孔質材13a,14aのうちの一方の金属製多孔質材13を鋳型16の成形面に密接させて配置し、その鋳型16にピストン母材11を形成する金属溶湯を注入する。このとき、その注入圧力を、金属溶湯が金属製多孔質材13a,14aに含浸し且つ繊維集合体12aには含浸しない圧力に調整する。
以上により、多孔質積層体15が鋳ぐるまれたピストン1が得られる。そして、上記注湯圧力の調整により、金属製多孔質材13a,14aは金属溶湯が含浸固化してなる金属含浸層13,14となり、繊維集合体12aは金属溶湯が含浸せずに空隙がそのまま残って上記断熱層12となる。
ピストン母材11は、例えば鋳物用アルミ合金AC8A(熱伝導率;141.7W/(m・K),容積比熱;2300kJ/(m・K))で成形することができ、或いは他のアルミ合金を採用することができる。
繊維集合体12aは、金属繊維又は無機繊維よりなる不織布又は織物であり、無機繊維としては、繊維径3μm程度のアルミナ繊維(SAFFIL等)、繊維径2.8μm程度のアルミナ−シリカ繊維(Kaowool等)などのセラミック繊維、ガラス繊維等を採用することができ、金属繊維としては、ステンレス繊維等を採用することができる。金属繊維焼結不織布としては、日本精線社製ナスロンフィルター、セミテック社製積層金属不織布フィルター等を利用することができる。
金属多孔質材13a,14aとしては、骨格が三次元に連なって連続気孔が形成された金属多孔体を採用することができる。このような金属多孔体は、樹脂発泡体に導電処理を施し、これを電気めっきすることにより、所定の金属を付着させた後、焙焼・還元することで得られる。例えば、富山住友電工社のNi製又はNi−Cr製セルメット(登録商標)を採用することができる。
アルミ合金製ピストン1の鋳造に重力鋳造法又は低圧鋳造法を採用する場合、金属多孔質材13a,14aとして、例えば、直線長さ1インチ(2.54cm)に並ぶセル数37〜53、孔径0.5〜0.7mm、気孔率が95%以上のセルメットを採用すればよい。ピストン1の鋳造に気体加圧鋳造法(加圧力;0.4MPa程度)を採用する場合、金属多孔質材13a,14aとして、上記セル数37〜53、孔径0.5〜0.7mm、気孔率80%以上のセルメットを採用すればよい。これにより、アルミ合金溶湯を金属多孔質材13a,14aに含浸させることができる。
これに対して、上記セラミックス繊維等の繊維集合体12aの場合、セルメットに比べてアルミ合金溶湯の濡れ性が悪いため、上記重力鋳造法又は低圧鋳造法、或いは気体加圧鋳造法レベルの注湯圧力ではアルミ合金溶湯の含浸は生じない。なお、繊維集合体12aとして、アルミ合金溶湯の濡れ性が比較的良い金属繊維を採用する場合は、アルミ合金溶湯が当該繊維集合体に含浸しないように、その繊維密度を高く(気孔率を小さく)すればよい。
そうして、上記ピストン1の断熱構造によれば、断熱層12が空隙を有する繊維集合体12aよりなるから、高い空気断熱効果が得られる。すなわち、燃料の燃焼によって発生するエネルギーが熱としてピストン1を介して外部に奪われる量が少なくなる(冷却損失が小さくなる。)。また、キャビティ面を形成する金属含浸層13は、金属の含浸によって、断熱層12よりも熱伝導率が高くなっている。従って、金属含浸層13の広がり方向の熱拡散が良好であり、表面温度が局部的に高くなることが避けられる。すなわち、ピストン頂面に局部的に温度が高くなる部分(異常燃焼の着火源となる部分)を生ずることが避けられる。
また、ピストン母材11側からその金属が金属製多孔質材13a,14aに含浸固化して金属含浸層13,14が断熱層12の両側に形成されているから、ピストン母材11と断熱層12との結合が強固なものになり、耐久性の確保に有利になる。
上記空隙を有する断熱層12の熱伝導率は、良好な断熱性を得る観点から、0.03〜0.3W/(m・K)程度とすることが好ましく、その容積比熱は200〜1900kJ/(m3・K)程度にすることが好ましい。
−実施形態2−
図6は本発明をエンジンのシリンダライナ17に適用した実施形態を示す。シリンダライナ17は、そのピストンが摺動する内周面が断熱構造になっており、空隙を有する繊維集合体によって形成された断熱層19と、金属製多孔質材にシリンダライナ母材18の金属が含浸して固化してなる金属含浸層20,21とを備える。空隙を有する断熱層19を挟んでその両側に金属含浸層20,21が積層されており、金属含浸層21がシリンダライナ17の摺動面を形成している。
実施形態1のピストン1の場合と同じく、シリンダライナ母材18は、アルミ合金製又は鋳鉄製とすることができ、断熱層19を形成する繊維集合体は、金属繊維又は無機繊維よりなる不織布又は織物によって形成することができ、金属含浸層20,21の金属製多孔質材としては、金属多孔体を採用することができる。
シリンダライナ17の製造にあたっては、シート状繊維集合体を2枚のシート状金属製多孔質材で挟んで一体化した多孔質積層体を円筒状に成形し、これをシリンダライナ成形用鋳型内に設置する。そして、金属溶湯を鋳型に注入する。これにより、多孔質積層体が鋳ぐるまれたシリンダライナ17が得られる。その際、金属溶湯が金属製多孔質材に含浸し、繊維集合体には含浸しないように注湯圧力を調整する。
シリンダライナ17に上述のような断熱構造を採用することにより、高い空気断熱効果が得られ、燃料の燃焼によって発生するエネルギーが熱としてシリンダブロックを介して外部に奪われる量が少なくなる(冷却損失が小さくなる。)。
−断熱構造の他の実施形態−
上記実施形態1,2では、空隙を有する断熱層と金属含浸層とが単に積層された構造になっているが、図7に示すように、空隙を有する断熱層26全体を金属含浸層27,28によって包み込んだ構造にしてもよい。同図において、25は金属製品を形成する金属製母材であり、該金属製品の表面を形成する一方の金属含浸層28の縁に他方の金属含浸層27の端面に重なるフランジ28aが設けられ、この両金属含浸層27,28によって断熱層26が包み込まれている。
かかる断熱構造によれば、一方の金属含浸層28のフランジ28aが突っ張りとなるため、空隙を有する断熱層26の外力による潰れ防止に有利になる。また、フランジ28aによって金属溶湯の断熱層26への含浸が抑制され、断熱層26の空隙確保に有利になる。
なお、以上に説明した各実施形態において、金属製品の表面側に配置された一方の金属含浸層の表面を、例えばZrO等のセラミックスの溶射皮膜(断熱皮膜)で覆うようにしてもよい。
1 ピストン(断熱構造体の一例)
2 シリンダブロック(エンジン部品の一例)
3 シリンダヘッド(エンジン部品の一例)
4 吸気バルブ(エンジン部品の一例)
5 吸気ポート
6 排気バルブ(エンジン部品の一例)
7 排気ポート
8 燃料噴射弁
9 キャビティ
11 ピストン母材(金属製母材の一例)
12,19,26 空隙を有する断熱層
12a 繊維集合体
13,14,20,
21,27,28 金属含浸層
13a,14a 金属製多孔質材
16 鋳型
17 シリンダライナ
18 シリンダライナ母材(金属製母材の一例)
25 金属製母材

Claims (6)

  1. 金属製母材に断熱層が設けられている断熱構造体であって、
    上記断熱層は、空隙を有する繊維集合体によって形成され、該断熱層を挟んでその両側に、金属製多孔質材に上記金属製母材の金属が含浸して固化してなる金属含浸層が設けられ
    上記両側の金属含浸層のうちの一方が当該断熱構造体の表面に露出していることを特徴とする断熱構造体。
  2. 請求項1において、
    上記両側の金属含浸層各々の少なくとも一部が上記金属製母材に連続一体化していることを特徴とする断熱構造体。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記繊維集合体の少なくとも一部はセラミック繊維よりなることを特徴とする断熱構造体。
  4. 請求項1又は請求項2において、
    上記繊維集合体はセラミック繊維成形体であることを特徴とする断熱構造体。
  5. 請求項1に記載されている、金属製母材に断熱層が設けられている断熱構造体の製造方法であって、
    空隙を有する繊維集合体をその両側から金属製多孔質材で挟んで一体化した多孔質積層体を得る工程と、
    上記多孔質積層体を鋳型内に、上記両側の金属製多孔質材のうちの一方を当該鋳型の成形面に密接させて設置する工程と、
    上記金属製母材を形成する金属溶湯を、上記多孔質積層体の上記金属製多孔質材に含浸し且つ上記繊維集合体には含浸しない圧力で上記鋳型に注入する工程とを備え
    上記鋳型の成形面に密接させた一方の上記金属製多孔質材が上記金属溶湯の含浸によって当該断熱構造体の表面に露出している金属含浸層を形成することを特徴とする断熱構造体の製造方法。
  6. 請求項5において、
    上記多孔質積層体は、所定形状に成形した状態で上記鋳型内に設置することを特徴とする断熱構造体の製造方法。
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