JP2012070950A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に介装される吸収体と、を備え、人体に装着される外装体に取り付けられて使用される吸収性物品であって、吸収体が、不透液性のシート破砕物を含み、当該吸収体の幅方向中心軸に対して線対称に長手方向に沿って形成される第1吸収部と、シート破砕物を含まず、第1吸収部に並設された第2吸収部と、を有する。
【選択図】図5
Description
このような吸収性物品は、通常、木材から生成したパルプを主原料とする吸収体を備えており、製造過程で発生する製品ロスから吸収体を取り出して再利用することは、環境負荷や製品コストの低減を図る上で有用である。例えば、特許文献1では、紙おむつの廃材粉砕物を吸収体として利用した衛生シートが提案されている。以下において、吸収性物品の製品ロスから回収される資材を回収資材と称する。
また、着用者に装着位置を案内する目印部を設けた吸収性物品が提案されている(例えば特許文献2)。
したがって、上記特許文献1に記載の技術では、着色された異物が回収資材に混入する場合があるため、これを利用した製品の見栄えが悪くなる。また、回収資材に混入する異物は、パルプや吸収性ポリマーに比較して吸収性に乏しく、これを利用した吸収体の吸収性能が低下する虞がある。
さらには、パルプや吸収性ポリマーだけを回収資材として完全に分離しようとすると、資材の回収コストが嵩むために製品コストを効果的に低減することはできない。
このような事情から、回収資材を吸収体原料として有効に再利用することは困難とされている。
前記吸収体が、不透液性のシート破砕物を含み、当該吸収体の幅方向中心軸に対して線対称に長手方向に沿って形成される第1吸収部と、
前記シート破砕物を含まず、前記第1吸収部に並設された第2吸収部と、を有することを特徴とする。
本実施形態の吸収性物品1は、例えば夜用又は長時間用の尿とりパッドであり、おむつやおむつカバー、パンツなどの人体に装着される外装体(図示略)に着脱・交換自在に取り付けられて使用される。
背側部12は、前後方向の長さが腹側部11よりも長く形成されており、かつ、左右方向の幅が腹側部11や股下部13よりも幅広に形成されている。これにより、背側部12によって着用者の背側を広く覆うことができるようになっている。
図2〜5に示すように、吸収性物品1は、装着時に着用者との接触面側(上側)となるトップシート20、装着時に着用者との接触面と反対側(下側)となるバックシート30、トップシート20とバックシート30との間に介装される吸収体40、吸収体40の幅方向両側に長手方向(前後方向)に沿って設けられる一対のギャザーシート50、50、及びバックシート30の下面の腹側部11に対応する位置に設けられる固定部材60等を備えて構成される。
また、バックシート30は、ムレ防止の観点から透湿性を有することが好ましい。遮水性と透湿性とを具備するシート材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶媒混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート材が好適に用いられる。また、その他にも、ポリエチレン等からなる遮水性を有するフィルムシートに、透湿性を有する不織布を積層したラミネート不織布を用いることができる。
図5に示すように、ギャザーシート50の幅方向外側縁部は、吸収体40の側方において、トップシート20及びバックシート30の上面に固着されている。また、ギャザーシート50の幅方向内側縁部は、ギャザーシート50が起立できるように自由端となっており、長手方向(前後方向)に沿って糸ゴム等の立体ギャザー用弾性部材72が配設されている。ギャザーシート50が幅方向外側縁部を基端に起立することにより、着用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能な一対の立体ギャザーが形成される。
なお、固定部材60は、粘着テープに限定されず、吸収性物品1を外装体に固定できる部材であれば任意であり、面ファスナ等を適用することもできる。ただし、着用者の身体の動きに追従して固定状態が保持されるように、できるだけやわらかい素材で構成するのが望ましい。
吸収体40は、綿やパルプなどの吸収性素材に高吸収性ポリマーを混入してなる吸収体コア41が、透液性のクレープ紙42により覆われて構成されている。なお、吸収体40においては、クレープ紙42に代えて、透液性の不織布や多孔性シート材で吸収体コア41を覆うようにしてもよい。
第1吸収部412aに利用される回収資材としては、上述した素材を有する一般的な吸収性物品を破砕したものを適用できるが、第1吸収部412aにおける局所的な液持ちを防止するためには、クレープ紙の混入量が少なく、不織布として撥水性のものを含む回収資材が好適である。
なお、第1吸収部412aは、回収資材のみで形成してもよいし、回収資材とバージン資材を混合して形成してもよい。
これにより、体液がシート破砕物RSを伝って長手方向に拡散しやすくなるため、吸収体40全体(特に体液が直接浸透しない腹側部11や背側部12)を有効利用することができる。
例えば、回収資材には、不透液性のシートや糸ゴム等のように着色がなされているものも多いので、このような回収資材を用いて第1吸収部412aを形成すればよい。または、回収資材に混入している着色物の割合が低い場合、又は着色が統一されていない場合など、明確なラインが形成されない場合には、第1吸収部412aを形成する回収資材又はバージン資材に予め着色を施すようにしてもよい。
例えば、バージン資材用と回収資材用の積繊ドラムを1つずつ用意し、吸収体40の両側部に対応する領域に1つ目の積繊ドラムでバージン資材を積繊して第2吸収部412bを形成し、吸収体40の中央部に対応する領域に2つ目の積繊ドラムで回収資材を積繊して第1吸収部412aを形成することで、下層吸収体412を製造できる。
また例えば、積繊領域を3分割するパターリングを備えた1つの積繊ドラムを利用し、中央部に回収資材を積繊して第1吸収部412aを形成するとともに、両側部にバージン資材を積繊して第2吸収部412bを形成することで、下層吸収体412を製造できる。
実施形態の吸収性物品1のように、吸収体40の一部を回収資材からなる第1吸収部412aで形成する場合、不透液性のシート破砕物RSが含まれることによる吸収性能の低下が懸念される。そこで、第1吸収部412aに添加するシート破砕物の添加量について検討した。
この実験例では、下層吸収体412に相当する吸収体を試験片とし、中央部(第1吸収部412aに相当)に含まれるシート破砕物の添加量(吸収体全体に対するシート破砕物の割合(質量%))を0%(現行品、バージン資材からなる吸収体)、3%、5%、10%、20%とした。なお、試験片においては、シート破砕物の添加量による影響を調べるため、吸収体用のバージン資材にポリエチレンシートの破砕物を一様に混入して、吸収体の中央部を形成した。
逆戻りは、人口尿を注入してから10分後に、注入箇所にろ紙(10cm×10cm)を載せて0.05kg/cm2の荷重を加え、10秒後に負荷を取り除いて、吸収前後のろ紙の重量差により評価した。
拡散性は、人口尿を注入してから5分後に、試験片の長手方向に拡散した距離のうち、最も短い長さを拡散距離として測定することにより評価した。
測定結果を表1に示す。
また、シート破砕物の添加量を変化させても、逆戻り、拡散性はほとんど変化しなかった(有意差なし)。
これより、シート破砕物を添加しても現行品(シート破砕物の添加量0%)と同等以上の吸収性能が保持され、特に、シート破砕物の添加量を10%未満、望ましくは5%以下とすることで、吸収体における吸収速度を向上できることが確認された。
また、第1吸収部412aに含まれるシート破砕物RSに、製造過程で発生する製品ロスから回収された資材を破砕したものを利用している。
また、回収資材を材質ごとに分離する必要がないので、高いリサイクル率を実現でき、回収コストが低減される。したがって、回収資材の再利用により確実に製品コストを低減することができる上、環境負荷の低減にも寄与できる。
すなわち、吸収性物品1によれば、製品ロスからの回収資材を有効利用して製品コストを低減できるとともに、従来と同等の吸収性能を保持しうる吸収性物品が提供される。
これにより、吸収性物品1を外装体に装着するときの当て方ミスを防止することができる。具体的には、着用者は、第1吸収部412aによって形成されたラインを目安とすることで、外装体の所定の位置に吸収性物品1を容易に装着することができる。
なお、第1吸収部412aによって装着時の目安ラインを形成する場合、ラインの視認性を高めるために、バックシート30を白色で白色度の低いものとするのが望ましい。また、第1吸収部412aの幅は、装着時の目安ラインとしての機能を発揮させるため、腹側部11及び股下部13における吸収体40の全体幅の1/3以下とするのが望ましい。
これにより、吸収体40にシート破砕物RS等の着色物が含まれることで、尿色の視認性が低下するのを防止できる。つまり、着用者は、上層吸収体411において尿色を確実に視認できるので、尿色によって健康状態を確認することができる。また、吸収体40に回収資材が含まれていると、バージン資材だけで形成した場合に比較して少なからず肌触りが低下し、着用者に不快感を与える虞があるが、バージン資材だけで形成された上層吸収体411を備えることにより、かかる問題を解消できる。
図6は、変形例1に係る吸収体を下側から見た平面展開図である。
変形例1の吸収体40では、回収資材を利用した第1吸収部413aが、装着時に着用者の股下に位置する領域(股下部13に対応する領域)で幅方向に膨出して略円形状に形成されている。
これにより、股下部13において回収資材を利用した第1吸収部413aの面積が広くなるので、排尿直後の拡散効果が高まり、吸収性能が向上する。また、吸収性物品1の装着時に、幅方向の装着位置だけでなく、長手方向の装着位置の目安になるため、装着ズレを効果的に防止することができる。さらには、実施形態に比較して回収資材が多く利用されることになるので、リサイクル率が高まり、その分製品コストを低減することができる。
図7は、変形例2に係る吸収体を下側から見た平面展開図である。
変形例2の吸収体40では、バージン資材で形成された第2吸収部414bが吸収体40の幅方向中央部に形成されており、この第2吸収部414bの両側方に回収資材を利用した第1吸収部414aが並設されている。すなわち、実施形態と比較すると第1吸収部と第2吸収部の配置が逆になっている。
これにより、実施形態に比較して回収資材が多く利用されることになるので、リサイクル率が高まり、その分製品コストを低減することができる。また、第2吸収部414bによって目安ラインが形成されるので、装着時の利便性が損なわれることはない。
なお、変形例2の吸収体40においては、体液が第2吸収部414bで速やかに吸収され、側方から第1吸収部414aに染み出した後、第1吸収部414aの内部で拡散されることとなる。
例えば、図8に示すように、第1吸収部412aと第2吸収部412bの境界に沿って形成される着色接着剤80により、吸収体40とバックシート30を接着するようにしてもよい。これにより、装着時の目安ラインを際立たせることができるので、視認性が高まるとともに、デザイン性に優れた製品となる。
11 腹側部
12 背側部
13 股下部
14 脚周り部
20 トップシート
30 バックシート
40 吸収体
41 吸収体コア
42 クレープ紙
411 上層吸収体
412 下層吸収体
412a 第1吸収体
412b 第2吸収体
50 ギャザーシート
60 固定部材
71 平面ギャザー用弾性部材
72 立体ギャザー用弾性部材
RS シート破砕物
Claims (9)
- 透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に介装される吸収体と、を備え、人体に装着される外装体に取り付けられて使用される吸収性物品であって、
前記吸収体が、不透液性のシート破砕物を含み、当該吸収体の幅方向中心軸に対して線対称に長手方向に沿って形成される第1吸収部と、
前記シート破砕物を含まず、前記第1吸収部に並設された第2吸収部と、を有することを特徴とする吸収性物品。 - 前記シート破砕物が、製造過程で発生する製品ロスから回収された資材を破砕したものであることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記シート破砕物が着色され、前記バックシートを介して前記第1吸収部が視認可能となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記第1吸収部が幅方向中央部に形成され、この第1吸収部の両側方に前記第2吸収部が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の吸収性物品。
- 前記第1吸収部が、装着時に着用者の股下に位置する領域で幅方向に膨出して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の吸収性物品。
- 前記第2吸収部が幅方向中央部に形成され、この第2吸収部の両側方に前記第1吸収部が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の吸収性物品。
- 前記吸収体が、前記第1吸収部と前記第2吸収部で構成された下層吸収体と、この下層吸収体の上側に配設された前記シート破砕物を含まない上層吸収体からなる二層構造を有していることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の吸収性物品。
- 前記シート破砕物の長手方向が前記吸収体の長手方向と一致するように、前記シート破砕物が配置されていることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の吸収性物品。
- 前記吸収体と前記バックシートが、前記第1吸収部と前記第2吸収部の境界に沿って形成される着色接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の吸収性物品。
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