JP2012066673A - 変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変速プロセスにおいて、油圧制御が十分に応答できるように、回生トルク変動を規制することができる変速制御装置の提供。
【解決手段】駆動力源制御ユニットによってトルク出力が制御される回転電機から入力部材に入力される正トルク及び負トルクを算定する入力トルク算定部65と、負トルクの負方向への増加量を制限する負トルク増加量制限値を設定する負トルク制限値設定部64と、変速プロセスの間に入力トルク算定部65によって負トルクが算定された場合、回転電機が負トルク増加量制限値によって制限されたトルクを出力するように駆動力源制御ユニットに対してトルク出力制限指令を与える変速時トルク管理部63とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、少なくとも回転電機を有する駆動力源に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、複数の摩擦係合要素の係合状態に応じて複数の変速段が形成され、前記入力部材の回転速度を各変速段の変速比で変速して前記出力部材に伝達する変速機構と、を備えた変速装置を制御するための変速制御装置に関する。
上述したような変速制御装置として、モータの出力トルクを制御自在なモータ制御手段と、変速機における各種変速を制御する変速制御手段と、入力軸に入力される合計トルクを算出する入力トルク算出手段とを備えたものが下記の特許文献1に記載されている。この装置では、モータ制御手段が、変速制御手段による各種変速の制御中、合計トルクが所定トルク、好ましくはゼロになるようにモータの出力トルクを制御することで、変速ショックの低下や運転性の向上を図っている。このように、変速中において合計トルクをゼロにすることは変速ショックを低減することには有効であるが、回生トルクが得られないという欠点も生じる。
一方、駆動力源としてエンジンと回転電機とを併用するハイブリッド車両に用いる変速装置の一例として、例えば下記の特許文献2に記載された装置が知られている。このようなハイブリッド車両用の変速装置において、アクセルオフによるアップシフトであるオフアップ変速が行われる場合がある。この場合も、一般的には掛け替え変速が行われ、解放側要素は変速動作の初期段階で比較的速やかに完全に解放されると共に、係合される側の摩擦係合要素は半係合状態でスリップしながら徐々に係合させられる。なお、回転電機は、車両の減速要求に基づいて回生トルク(負トルク)を発生可能に構成されている。
ここで、駆動力源としてエンジンのみを備えた通常の車両の場合や、ハイブリッド車両であっても回転電機が回生トルクを出力しない場合等には、オフアップ変速時には入力部材に作用する負トルクが小さく、一般的な掛け替え変速を伴う変速制御を行ったとしても入力部材の回転速度はエンジン内の各部の摩擦力等により減速するだけであり、その変化は緩やかである。そのため、係合される側となる係合側要素を係合させた際に変速ショックが生じることが問題になることはほとんどない。しかし、特許文献2のハイブリッド車両用の変速装置において、アクセル開度が所定値以下の状態でアップシフトが行われる場合に車両の運転者の意思によりブレーキ操作が行われる場合には、回転電機による回生制動が行われる場合がある。そのような場合には、上記のような通常通りの掛け換え変速が行われると、回転電機が出力する比較的大きな負トルク(回生トルク)により入力部材の回転速度は大きく引き下げられて急激に変化し、変速ショックが生じる可能性が高い。そのため、特許文献2に記載された装置では、回転電機が回生を行う際には、回転電機が出力する負トルクの大きさを一定の大きさ以下に制限するように構成されている。これにより、回転電機に駆動連結される入力部材の回転速度が急激に低下して、車両に変速ショックが生じるのを抑制しようとしている。しかしながら、このような変速中の回生トルク変動に応じた油圧制御では、変速中に回生トルクが大きくなった場合には油圧制御が間に合わず変速ショックが発生してしまう。
特開2003−182405号公報(段落番号〔0006−0026〕、図4) 特開2008−094332号公報(段落番号〔0049−0092〕、図9)
そこで、変速プロセスにおいて、油圧制御が十分に応答できるように、回生トルク変動を規制することができる変速制御装置が望まれる。
少なくとも回転電機を有する駆動力源に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、複数の摩擦係合要素の係合状態に応じて複数の変速段が形成され、前記入力部材の回転速度を各変速段の変速比で変速して前記出力部材に伝達する変速機構と、を備えた変速装置を制御するための、本発明による変速制御装置は、前記駆動力源から前記入力部材に入力される正トルク及び負トルクを算定する入力トルク算定部と、
前記負トルクの負方向への増加量を制限する負トルク増加量制限値を設定する負トルク制限値設定部と、
第1の変速段から第2の変速段への変速プロセスの間に前記入力トルク算定部によって負トルクが算定された場合、前記駆動力源を制御する駆動力源制御ユニットに対して、前記駆動力源が出力する負トルクの負方向への増加量を前記負トルク制限値設定部によって設定された前記負トルク増加量制限値に基づいて制限するトルク出力制限指令を与える変速時トルク管理部とを備えている。
この特徴構成によれば、変速プロセス中に駆動力源の出力トルクが負トルク(回生トルク)である場合には、駆動力源から入力部材に入力される負トルクの負方向への増加量が所定の負トルク増加量制限値によって制限されるように、駆動力源は駆動力源制御ユニットによって制御される。この発明では、負トルク値そのものを所定値、例えばゼロにするのではなく、負トルクの増加量を所定値に制限することで、そのトルク変動を油圧制御が十分に応答できる範囲内の維持することができ、変速ショックが低減される。
なお、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
また、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合要素、例えば摩擦クラッチや噛み合い式クラッチ等が含まれていてもよい。
変速プロセスにおいて、変速ショックの低減に関しては、2つの対応する摩擦係合要素の係合と解放が行われるプロセス前半と、係合する側の摩擦係合要素が完全係合するプロセス後半が重要である。このプロセス前半とプロセス後半では、この変速プロセスにおいて変化する入力部材の回転速度も異なり、その動力伝達挙動も異なる。このことを考慮して、前記負トルク増加量制限値には第一負トルク増加量制限値と当該第一負トルク増加量制限値よりも緩い値を有する第二負トルク増加量制限値が含まれ、前記変速プロセスが当該変速プロセスの進行順に少なくとも第一段階と第二段階の2つに区分けされ、前記第一段階では前記第一負トルク増加量制限値が用いられ、前記第二段階では前記第二負トルク増加量制限値が用いられ、前記第一段階は、前記変速プロセスにおける負トルク発生時から前記入力部材の回転変化終了時までの区間におけるプロセスであり、かつ前記第二段階は、前記入力部材の回転変化終了時から前記変速プロセスの終了時までの区間におけるプロセスであるような構成を採用することも好適である。変速プロセスの後半では、係合する側の摩擦係合要素の完全係合への移行に伴って入力部材の回転変化はほぼなくなるので、このことを考慮して、第一負トルク増加量制限値による制限を弱めるような負トルク増加量制限値とすることで変速ショックを抑制しつつより多くの回生トルクを確保できる。さらに、上記ように定義された第一段階は、負トルクの変動が大きくなりやすい区間であり、この区間でその負トルクの増加量を所定値に制限することは良好な応答性の範囲内で油圧制御を実行するために有益である。変速プロセスの最終段階としての顕著な特徴である、変速プロセスのための入力部材の回転変化が終了してからの区間でのプロセスを第二段階とすることで、負トルクの増加量を前記第一段階と異なる形で制限することができ、有益である。
そのような、変速プロセスの進行に伴って使い分けられる第一負トルク増加量制限値と第二負トルク増加量制限値の、具体的で好適な設定を、以下に示す。
まず、前記第一負トルク増加量制限値は、前記変速プロセスにおける係合側の摩擦係合要素である係合側要素の油圧指令または解放側の摩擦係合要素である解放側要素の油圧指令に対する実油圧から定まる油圧応答性に応じて許容される負トルクの増加量に基づいて設定されることが好適である。変速プロセスの前半では、係合する側の摩擦係合要素または解放側の摩擦係合要素に対して高い応答性で油圧を供給する必要があるが、この好適な第一負トルク増加量制限値の設定により、過剰な応答性を要求することなく、変速ショックが抑制される。
また、前記第二負トルク増加量制限値は、前記変速プロセスにおける前記入力部材の回転変化終了時から当該変速プロセスの終了時までの間で、前記回転変化終了時における要求トルク指令値と、前記回転変化終了時における前記第一負トルク増加量制限値による制限を行った場合のトルク指令値との差を解消するに必要な負トルクの増加量に基づいて設定されることが好適である。この好適な第二トルク制限値の設定により、変速プロセスの終了時までに、回転電機が第一負トルク増加量制限値による制限を行わなかった場合のトルク指令値に応じたトルクを出力する状態とすることができる。よって変速プロセスの終了後から通常通りの制御を行うことができ、運転者に違和感を与えることなく変速を終了させる事ができる。
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記入力トルク算定部によって経時的に算定された負トルクに基づいて負トルク加速度を演算するトルク加速度演算部が備えられ、前記負トルク増加量制限値は負トルク加速度の上限値で取り扱われている。また、この負トルク増加量制限値必要に応じて負トルク加速度の下限値も含ませてよい。経時的に変化する事象の増加量は、差分演算、微分演算、ベクトル演算など種々の形で算定可能である。演算の元となる計測値または推定値が所定時間間隔で入力されるような場合、その偏差を時間で割って得られる加速度で増加量を取り扱うと正確であるとともに、種々のプログラムパッケージを利用できるので、コスト的にも好都合である。
本実施形態に係る変速制御装置の構成を示す模式図である。 本実施形態に係るAT制御ユニットの構成を示す機能ブロック図である。 本実施形態に係る負トルク時アップシフトプロセスにおける負トルク加速度制限を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態に係る負トルク時ダウンシフトプロセスにおける負トルク加速度制限を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態に係る正トルクから負トルクを経て正トルクに移行しながらのアップシフトプロセスにおける負トルク加速度制限を説明するためのタイムチャートである。 本実施形態に係る第一トルク制限値を決定するための説明図である。 本実施形態に係る負トルク時アップシフトプロセスにおける負トルク加速度制限処理手順を示すフローチャートである。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、本発明に係る変速制御装置をハイブリッド車両用の変速機構の制御装置に適用した場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係る変速制御装置を含む車両用駆動装置の駆動伝達系、変速制御系、油圧制御系の構成を示す模式図である。この図に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置は、概略的には、エンジン11及び回転電機13を駆動力源として備え、これらの駆動力源の駆動力をトルクコンバータ14及び変速装置20を介して車輪16へ伝達する構成となっている。また、この車両用駆動装置は、トルクコンバータ14や変速装置20等の各部に所定油圧の作動油を供給するための油圧回路30を備えている。油圧回路30に対する制御信号の生成を含む変速装置20の制御はオートマチックトランスミッション(以下ATと略称する)制御ユニット6によって行われる。このAT制御制御ユニット6が本発明における変速制御装置に相当する。
〔車両用駆動装置の駆動伝達系の構成〕
まず、本実施形態に係る車両用駆動装置の駆動伝達系の構成について説明する。図1に示すように、車両用駆動装置は、車両駆動用の駆動力源としてエンジン11及び回転電機13を備え、エンジン11と回転電機13とが直列に駆動連結されるパラレル方式のハイブリッド車両用の駆動装置となっている。その際、エンジン11が回転電機13より動力伝達上流側に配置され、エンジン11と回転電機13との間に動力遮断用の遮断クラッチ12が介装されている。変速装置20は、エンジン11及び回転電機13から出力された動力を、そのままあるいは必要に応じて変速して入力して差動ギヤ機構15に出力する。変速装置20における動力伝達を担う動力伝達軸群は、回転電機13とトルクコンバータ14並びに実質的な変速要素群(変速用摩擦係合要素としてのクラッチ及びブレーキ、一方向クラッチやギヤ群)との間の動力伝達を行う入力部材21(以後単に動力の伝達挙動を表す場合には入力側と称することがある)から構成された変速機構20Aと、当該変速要素群と差動ギヤ機構15の間の動力伝達を行う出力部材22(以後単に動力の伝達挙動を表す場合には出力側と称することがある)とに区分けすることができる。つまり、入力部材21は駆動力源に駆動連結されており、出力部材22は差動ギヤ機構15を介して車輪16に駆動連結されている。そして変速機構20Aにより、入力部材21と出力部材22の間の回転数とトルクの変更を伴う変速動力伝達が行われる。
エンジン11は、燃料の燃焼により駆動される内燃機関であり、例えば、ガソリンエン
ジンやディーゼルエンジンなどの公知の各種エンジンを用いることができる。本例では、エンジン11のクランクシャフト等の出力回転軸が、遮断クラッチ12を介して下流側に伝達される。
回転電機13は、それ自体公知であり、図示しないケースに固定されたステータと、このステータの径方向内側に回転自在に支持されたロータとを有している。この回転電機13のロータは、遮断クラッチ12とトルクコンバータ14とを接続する軸に一体回転するように連結されている。回転電機13は、蓄電装置としてのバッテリ52とインバータユニット51を介して接続されている。この回転電機13は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能と、を果たすことが可能である。すなわち、回転電機13は、バッテリ52からの電力供給を受けて力行し、或いはエンジン11や車輪16から伝達される回転駆動力により発電した電力をバッテリ52に蓄電する機能を有する。なお、バッテリ52は蓄電装置の一例であり、キャパシタなどの他の蓄電装置を用い、或いは複数種類の蓄電装置を併用することも可能である。
この車両用駆動装置では、エンジン11及び回転電機13の双方の回転駆動力を車輪16に伝達して車両を走行させる。その際、回転電機13は、バッテリ52の充電状態により、バッテリ52から供給される電力により駆動力を発生する状態と、エンジン11の回転駆動力により発電する状態と、のいずれともなり得る。また、車両の減速時(減速要求があった時)には、回転電機13は、回生トルクを発生させて車輪16から伝達される回転駆動力により発電する状態となる。回転電機13で発電された電力はバッテリ52に蓄電される。車両の停止状態では、遮断クラッチ12は解放状態とされ、エンジン11及び回転電機13は停止状態とされる。
変速装置20の入力部材21の直後には、トルクコンバータ14が配置されている。トルクコンバータ14は、駆動力源としてのエンジン11及び回転電機13からの回転駆動力を、必要に応じてトルク変動させながら変速機構20Aの変速要素群に伝達する。このトルクコンバータ14は、よく知られているように、図示は省略されているが、入力側回転部材としてのポンプインペラと、出力側回転部材としてのタービンランナと、これらの間に設けられたステータとを備えている。トルクコンバータ14は、内部に充填された作動油を介して、ポンプインペラとタービンランナとの間で駆動力の伝達を行う。
なお、トルクコンバータ14は、ポンプインペラとタービンランナとの間の回転差(スリップ)を無くして伝達効率を高めるために、ポンプインペラとタービンランナとを一体回転させるように連結するロックアップクラッチを装備しているが、その図示は省略されている。トルクコンバータ14は、ロックアップクラッチの係合状態では、作動油を介さずに、駆動力源であるエンジン11または回転電機13あるいはその両方の駆動力を直接変速機構20Aの変速要素群に伝達する。本実施形態においては、基本的にはトルクコンバータ14のロックアップクラッチが係合状態であるとみなされてよい。ただし、通常走行時での変速段のダウンシフトを行う場合等には、変速動作による衝撃(変速ショック)が車両に生じるのを抑制するため、ロックアップクラッチが解放される。ロックアップクラッチを含むトルクコンバータ14に対する油圧制御は、油圧回路30を通じて行われる。
変速機構20Aは、複数の変速段を有する有段のオートマチックトランスミッションとして構成されており、本実施形態においては、変速機構20Aは変速比(減速比)の異なる4つの変速段(第1速段、第2速段、第3速段、及び第4速段)を備えている。これらの変速段を構成するため、変速機構20Aは、遊星歯車機構等の歯車機構と、複数の摩擦係合要素とを備えて構成されている。図1には、複数の摩擦係合要素の一例として、クラッチC1及びブレーキB1が模式的に示されている。これら複数の摩擦係合要素の係合及び解放が油圧回路30を通じて制御される油圧により、4つの変速段が切り替えられる。
変速段の切り替えを行う際には、変速前において係合している摩擦係合要素のうちの一つを解放させると共に、変速前において解放されている摩擦係合要素のうちの一つを係合させる。これにより、歯車機構が有する複数の回転要素の回転状態が切り替えられて、変速前の変速段(第1の変速段)から変速後の変速段(第2の変速段)に移行する。変速機構20Aは、各変速段について設定された所定の変速比で、入力側の動力の回転速度を変速すると共にそのトルクを変換して出力側動力として差動ギヤ装置15へ伝達する。
〔油圧制御系〕
次に、上述した車両用駆動装置の油圧制御系について説明する。油圧制御系は、油圧回路とAT制御ユニット6の油圧制御機能部を中核構成要素とする。AT制御ユニット6で生成された制御信号は油圧機器ドライバ33によって油圧機器駆動信号に変換され、油圧回路30を構成する電動オイルポンプ(以下EOPと略称する)31やバルブユニット32に送られる。なお、この油圧回路30には、図示されていないが、エンジン11または回転電機13あるいはその両方の駆動力で動作する機械式ポンプも組み込まれている。但し、機械式ポンプはその動力構成上車両の停止中などでエンジン11と回転電機13が停止している間は駆動しない。EOP31はそのような状況下で機械式ポンプを補助する役割を持つ。
また、油圧回路30は、油圧調整用のリニアソレノイド弁からの信号圧に基づき一又は二以上の調整弁の開度を調整することにより、当該調整弁からドレインする作動油の量を調整して作動油の油圧を一又は二以上の所定圧に調整する。所定圧に調整された作動油は、それぞれ必要とされるレベルの油圧で、遮断クラッチ12、ロックアップクラッチ、トルクコンバータ14、及び変速機構20Aの複数の摩擦係合要素C1、B1、・・・に供給される。
ここで、油圧回路30から変速機構20Aの複数の摩擦係合要素C1、B1、・・・へ供給される圧油は、バルブユニット32を含む油圧回路30を通じてそれぞれ個別に供給される。バルブユニット32は、AT制御ユニット6から油圧機器ドライバ33を介して送られてくる駆動信号に応答して弁開度を調整することにより、AT制御ユニット6で算定された油圧値(指令圧)を各摩擦係合要素C1、B1、・・・で実現させる。
〔制御ユニットの構成〕
図1には、上述したAT制御ユニット6以外に、車両駆動系に関する制御ユニットとして、エンジン11を制御するエンジン制御ユニット4、回転電機13を制御する回転制御ユニット5、ブレーキペダルの操作変位を検出するブレーキペダルセンサ95からの信号に基づいてブレーキ制御を行うブレーキ制御ユニット7が示されている。これらの制御ユニットは車載LAN100で接続されており、相互データ交換可能となっている。各制御ユニットは、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えると共に、当該演算処理装置からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からデータを読み出し可能に構成されたROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置等を有して構成されている(不図示)。そして、ROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、あるいはそれらの両方により、種々の機能をつくりだしている。
エンジン制御ユニット4は、エンジン動作点を決定し、当該エンジン動作点でエンジン11を動作させるように制御する処理を行う。ここで、エンジン動作点は、エンジン11の制御目標点を表す制御指令値であって、回転速度及びトルクにより定まる。より詳細には、エンジン動作点は、車両要求出力(車両要求トルク及びエンジン回転速度に基づいて定まる)と最適燃費とを考慮して決定されるエンジン11の制御目標点を表す指令値であって、回転速度指令値とトルク指令値により定まる。
回転電機制御ユニット5は、回転電機13の動作制御をインバータ51を介して行なう機能部である。回転電機制御ユニット5は、回転電機動作点を決定し、当該回転電機動作点で回転電機13を動作させるように制御する処理を行う。ここで、回転電機動作点は、回転電機13の制御目標点を表す制御指令値であって、回転速度及びトルクにより定まる。より詳細には、回転電機動作点は、車両要求出力とエンジン動作点とを考慮して決定される回転電機13の制御目標点を表す指令値であって、回転速度指令値とトルク指令値により定まる。回転電機制御ユニット5は、バッテリ52から供給される電力により回転電機13に駆動力を発生させる状態と、エンジン11の回転駆動力等により回転電機13に発電させる状態とを切り替える制御も行なう。
本明細書では、エンジン制御ユニット4と回転電機制御ユニット5とを統合して、駆動力源制御ユニットと称している。
ここで、トルク指令値が正の場合には回転電機13は回転方向と同方向の駆動トルクを出力して駆動力を発生させ、トルク指令値が負の場合には回転電機13は回転方向とは反対方向の回生トルクを出力して発電する。いずれの場合においても、回転電機13の出力トルク(駆動トルク及び回生トルクを含む)は、回転電機制御ユニット5からのトルク指令値により定まることになる。本実施形態においては、回転電機制御ユニット5により決定された回転電機13のトルク指令値の情報は、AT制御ユニット6にも伝送される。ブレーキ制御ユニット7は、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダルセンサ95の検出信号を入力し、この検出信号を評価して油圧ブレーキシステムを制御する。また、ブレーキ制御ユニット7は、ブレーキペダルセンサ95の検出信号に基づいてブレーキ操作データを回転電機制御ユニット5に送り、回転電機13の回生トルクと協調したブレーキ制御を実現する。
本願発明の中核構成要素であるAT制御ユニット6には、変速装置20の入力側の回転速度を検知する入力側回転速度センサ93、トルクコンバータ14とトルクコンバータ14より後段の変速要素群との間の回転速度を検知する中間回転速度センサ94、変速装置20の出力側回転速度に対応する車速センサ(出力側回転速度センサ)92、アクセルペダルの操作量検出することによりアクセル開度を検出するアクセル開度検出センサ91などが接続されている。
図2に示すように、AT制御ユニット6は、説明を簡単にするために、摩擦係合要素制御モジュール6A、管理モジュール6B、評価モジュール6C、データ入出力部6Dに区分けして図示されているが、その区分けは本願発明を限定するものではなく、プログラム仕様等に応じて自由に変更可能である。摩擦係合要素制御モジュール6Aは、変速機構20Aを構成しているブレーキやクラッチなどの摩擦係合要素の油圧を制御するための指令圧を生成する。指令圧の生成アルゴリズムはよく知られているので、ここでの説明は省略するが、例えば、摩擦係合要素毎にマップ化された指令圧テーブルに基づいて指令圧を生成して、データ入出力部6Dを介して油圧機器ドライバ33に送り出す。データデータ入出力部6Dは、このAT制御ユニット6の入出力インターフェースであり、上述した各種センサ等からの信号の入力、油圧機器ドライバ33等への制御信号の出力、さらには車載LANを通じての各種データの入出力を行う。
摩擦係合要素制御モジュール6Aは、変速プロセスに関連する各摩擦係合要素の油圧制御のための制御信号を生成するが、ここでは、説明を簡単にするため、ある変速段への変速プロセスにおける係合される側の摩擦係合要素(係合側要素)の制御のための第1制御部60と解放される側の摩擦係合要素(解放側要素)の制御のための第2制御部61に便宜上区分けしておく。
管理モジュール6Bは、この車両における各種の変速制御プロセスの設定や実行を管理する機能を構築しており、特に本発明に関係する機能部として、変速指令生成部61、変速プロセス実行部62、変速時トルク管理部63、負トルク制限値設定部64が挙げられる。変速指令生成部61は、車両のアクセル開度及び車速等に基づいて変速機構20Aにおける目標変速段を決定し、決定された目標変速段に応じてバルブユニット32の動作を制御することにより、変速機構20Aの変速段を切り替える変速指令を生成する。このような目標変速段を生成するため、模式的に図示されている変速マップ60を参照する。車速とアクセル開度の関係線として示される変速マップ60には複数のアップシフト線と複数のダウンシフト線とが設定されている。ここでは、図面スペースの関係上、第1速段と第2速段との間のダウンシフト線とアップシフト線及び第2速段と第3速段との間のダウンシフト線とアップシフト線しか示されていないが、この実施形態の変速機構20Aは1速から4速の4つの変速段を有している。
変速機構20Aにおける目標変速段が決定されると、当該決定された目標変速段に応じた変速指令が生成され、最終的に対応する摩擦係合要素が油圧供給を受けて係合状態となり、当該目標変速段が形成される。車速及びアクセル開度が変化して、変速マップ60上でアップシフト線又はダウンシフト線を跨ぐと、変速指令生成部61は、車両のアクセル開度及び車速に基づいて新たな目標変速段を決定し、当該決定された目標変速段に応じた変速指令が生成される。変速プロセス実行部62は、変速指令生成部61によって生成された変速指令に基づいて、変速前において係合していた摩擦係合要素のうちの一つを解放させると共に、変速前において解放されている摩擦係合要素のうちの一つを係合させる変速プロセスの実行を管理する。例えば、変速機構20Aおける変速段が第3速段から第4速段へとアップシフトされる際には、第一クラッチC1が解放されると共に第一ブレーキB1が係合され、変速段が第4速段から第3速段へとダウンシフトされる際には、第一ブレーキB1が解放されると共に第一クラッチC1が係合される。なお、ここでは、上述したように、摩擦係合要素への制御信号は摩擦係合要素制御モジュール6Aにおいて生成される。
変速時トルク管理部63は、駆動力源(エンジン11または回転電機13あるいはその両方)を制御する駆動力源制御ユニット(エンジン制御ユニット4と回転電機制御ユニット5)に対して、駆動力源が出力する負トルクの負方向への増加量を負トルク制限値設定部64によって設定された負トルク増加量制限値に基づいて制限するトルク出力制限指令を与える機能を有する。ここでは、変速時トルク管理部63が回転電機制御ユニット5にトルク出力制限指令を与えるとして説明する。変速時トルク管理部63は、駆動力源から入力部材21に入力されるトルクの算定値が負トルクであるときに行われる変速プロセス(第1の変速段から第2の変速段)において、当該トルクの算定値に基づいて入力負トルクの増加量を所定値に制限するトルク出力制限指令を生成する。変速時トルク管理部63は、このトルク出力制限指令を生成する際に、負トルク制限値設定部64によって設定される負トルク増加量制限値を利用する。この負トルク増加量制限値に基づくトルク出力制限指令によって、駆動力源から入力部材21に入力される負トルクの負方向への増加量が制限される。
負トルク制限値設定部64によって設定される負トルク増加量制限値は、駆動力源から入力部材21に入力される負トルクの負方向への増加量の上限値である。なお、ここで増加量の下限値は0とされる。負トルク増加量制限値には、第一負トルク増加量制限値と当該第一負トルク増加量制限値よりも緩い値を有する第二負トルク増加量制限値が含まれている。前述したような負トルク時の変速プロセスは当該変速プロセスの進行順に少なくとも第一段階と第二段階の2つに区分けされる。変速時トルク管理部63は、第一段階では第一負トルク増加量制限値を用いて、第二段階では第二負トルク増加量制限値を用いて、トルク出力制限指令を生成する。本実施形態では、第一負トルク増加量制限値は、変速プロセスにおける係合側の摩擦係合要素である係合側要素の油圧指令または解放側要素の油圧指令に対する実油圧から定まる油圧応答性に応じて許容される負トルクの増加量に基づいて設定される。また、第二負トルク増加量制限値は、変速プロセスにおける入力部材21の回転変化終了時から当該変速プロセスの終了時までの間で、回転変化終了時における第一負トルク増加量制限値による制限を行わない場合のトルク指令値と、前記回転変化終了時における第一負トルク増加量制限値による制限を行った場合のトルク指令値との差を解消するに必要な負トルクの増加量に基づいて設定される。
評価モジュール6Cは、各種センサからの入力信号や他の制御モジュールから受け取ったデータに基づいて、変速プロセスで取り扱われる伝達動力の状態(速度、トルク、回転数など)を算定、評価する機能を有する。特に本発明に関係する機能として、入力トルク算定部65、トルク加速度演算部65a、回転評価部66、係合側伝達トルク推定部67、解放側係合圧推定部68が挙げられる。
入力トルク算定部65は、駆動力源から入力部材21に入力される正トルク及び負トルクを算定する。具体的には、入力トルク算定部65はエンジン11及び回転電機13のトルク指令値とクラッチ12の伝達トルク容量とに基づく入力部材21に入力されるトルクを算定する。トルク加速度演算部65aは、入力トルク算定部65によって経時的に算定されたトルクに基づいて、入力トルクの増加量の一例としてのトルク加速度を演算する。従って、この実施の形態では、本発明で重要な役割を果たしている、負トルクの増加量は、負トルク加速度として取り扱われる。
回転評価部66は、変速装置20の入力部材21の回転速度を評価する。その際、入力部材21の回転速度の変化は、一例として、変速装置20の出力部材22の回転速度と変速元となる変速段(第1の変速段)の変速比とに基づいて導出される第1の変速段での入力部材21の回転速度、及び変速装置20の出力部材22の回転速度と変速先となる変速段(第2の変速段)の変速比とに基づいて導出される第2の変速段での入力部材21の回転速度の回転速度差から導出される。
まず、タイムチャートを用いて負トルク時の変速プロセスにおける、入力負トルクの増加量を制限する処理を説明する前に、第1の変速段から第2の変速段へのアップシフト変速プロセスの基本的な挙動を説明する。変速プロセスでは、変速プロセス実行部62により、例えば図3における解放側油圧曲線で示されるような解放側要素に対する解放側油圧制御と、例えば図3における係合側油圧曲線で示されるような係合側要素に対する係合側油圧制御とが実行される。解放側油圧制御の中核は、変速プロセスの全体に亘って解放側要素をスリップ状態に維持させる制御であり、待機制御、変化率制御、回転速度制御、及び解放制御の各制御ステップからなる。
また、係合側油圧制御の中核は、変速プロセスの全体に亘って入力部材21の回転速度を適切に変化させるように係合側油圧を変化させる制御であり、第一係合制御及び第二係合制御の各制御ステップを経て実行される。
変速プロセスは、解放側油圧を完全係合圧より低下させた時点から係合側油圧を完全係合圧とした期間となる。このような変速プロセスは、図3から図5において、変速制御開始時点から変速制御終了時点までの期間として示されている。なお各係合要素の完全係合圧とは、各係合要素が定常的に完全係合状態(スリップのない状態)となる油圧である。
また、解放側要素がスリップを開始した時点から係合側要素の両側の入力側回転部材と出力側回転部材が同期した時点までの期間となる。
〔解放側油圧制御〕
待機制御では、車両のアクセル開度及び車速に基づいて目標変速段のアップシフトが要求されると、一定時間が経過するまで解放側油圧を入力部材21への入力トルクに応じた保持圧とする。このときの待機時間は、内部タイマーにより監視される。
アップシフト要求後一定時間が経過すると、次に変化率制御が実行される。この変化率制御は、回転電機5の出力トルク(入力部材21への入力トルク)の大きさに応じた変化率で解放側油圧を低下させる。本例では、更に回転電機5が負のトルク(回生トルク)を出力している場合には、出力トルクが小さいほど(回生トルクが大きいほど)解放側油圧を低下させる変化率の絶対値が小さくされ、出力トルクが大きいほど(回生トルクが小さいほど)解放側油圧を低下させる変化率の絶対値は大きくされる。この間、解放側要素は完全には係合も解放もしていない半係合状態に維持される。これにより、解放側要素の両係合部材が所定の回転速度差を有するスリップ状態に維持されたままで、駆動力の伝達が行われる。
変速プロセス実行中は、変速プロセス実行部62が変速動作の進行度を監視する。
変速動作の進行度は、変速プロセスにおいて変速段の切り替えがどの程度進行したかを表す指標となる。中間軸回転速度センサ94により検出される回転速度、出力軸回転速度センサ92により検出される出力部材22の実際の回転速度、及び変速前後の各変速段の変速比に基づいて変速進行度が導出される。
変化率制御は、進行度が所定割合に到達する時点を切替点とし、当該切替点まで実行される。例えば、変速動作が50%進行した(進行度50%)時点を切替点とし、当該切替点まで変化率制御が実行される。変速動作が50%進行して切替点に達すると、次に回転速度制御が実行される。この回転速度制御では、入力部材21の回転速度が、変速プロセスの各時点における目標回転速度となるように解放側油圧を変化させる。
目標回転速度から、更に各時点における目標回転加速度(目標回転速度変化率)が導出される。各時点における目標回転速度は二次曲線で表される経時軌跡を描くように設定されるので、各時点における目標回転加速度は、その絶対値が変速動作の終点に向かって直線的に徐々に小さくなり、最終的にはゼロとなるように設定される。解放側油圧制御では、入力部材21の実際の回転加速度が、各時点における目標回転加速度に追従するように解放側油圧を変化させる。変速プロセスの各時点における目標回転加速度と実際の回転加速度とを比較し、これらの間に偏差が生じている場合には、当該偏差を打ち消す方向に入力部材21の実際の回転加速度が変化するように解放側油圧を変化させる。この間、解放側要素は、上記のとおり完全には係合も解放もされない半係合状態に維持され、スリップ状態に維持されている。回転速度制御は、変化率制御からの切替の後、目標回転速度と入力部材21の実際の回転速度との間の回転速度差が所定値以下となるまで実行される。
〔係合側油圧制御〕
係合側油圧制御では、まず実質的な変速プロセスに入る前に、係合側油圧を変化させるための基準となる基準油圧変化量を決定する。ここで、基準油圧変化量は、入力部材21の回転速度を所定の目標回転加速度で変化させるのに必要な油圧変化量である。基準油圧変化量は、目標回転加速度と所定の係数との乗算値として導出される。ここで、入力部材21の目標回転加速度は、変速段の切り替えに要する目標時間を表す予め設定された目標変速時間と、変速段の切り替え前後における入力部材21の回転速度の差を表す回転速度変化幅と、に基づいて決定される。すなわち、回転速度変化幅を目標変速時間で除算した除算値として入力部材21の目標回転加速度が導出される。
係合側油圧制御では、導出された目標回転加速度に基づいて、入力部材21の実際の回転加速度が目標回転加速度に追従するように、係合側要素に対する油圧(係合側油圧)を変化させる第一係合制御を実行する。このような第一係合制御を実行するため、変速プロセスの開始時における係合側油圧を基準とし、変速プロセスの進行度と回転電機5の出力トルクとに応じて予め設定された所定の変化係数と、基準油圧変化量とに基づいて係合側油圧を変化させる。変速プロセスの進行度及び回転電機5の出力トルクと変化係数との関係はマップテーブルに設定されている。
変化係数は、回転電機5の出力トルクが変速プロセスの全体に亘って一定値に保たれるという条件の下では、変速プロセスの最初の段階では当該変速プロセスが進行するに従って大きくなると共に、変速プロセスの最後の段階では当該変速プロセスが進行するに従って小さくなる値に設定されている。
つまり、係合側油圧制御では、変速プロセス中における入力部材21の回転変化の開始時における係合側油圧を基準として、変速プロセスの進行度と回転電機5の出力トルクとに基づいて決まる変化係数と、基準油圧変化量と、に基づいて係合側油圧を変化させる。例えば、基準油圧変化量と変化係数Gとを乗算して得られる乗算値を、変速プロセスの進行度及び回転電機5の出力トルクに応じた係合側油圧の変化量として導出し、これを入力部材21の回転変化の開始時における係合側油圧に加算することにより、変速プロセスの各時点における係合側油圧の指令値を決定することができる。係合側油圧制御では、このように決定された係合側油圧の指令値に追従するように実際の係合側油圧を変化させる。これにより、係合側油圧は、回転電機5が出力する負トルク(回生トルク)の絶対値が小さいほど大きい変化幅で、変速プロセスの進行に伴って上昇〜固定〜低下〜固定〜緩上昇となる態様で変化する。なお、入力部材21の回転変化の開始時における係合側油圧は、当該係合側油圧を僅かに上昇させることにより速やかに係合側要素を係合させることができる係合開始直前の圧である。このような第一係合制御は、解放側油圧制御による解放側油圧の低下に同調して実行される。
ところで、回転電機5が出力する負トルク(回生トルク)の絶対値が小さいほど、解放側要素をスリップ状態に維持させることにより入力部材21の回転速度の低下が緩慢となって変速時間が徒に長くなる可能性がある。変速時間が長くなって間延びすると、変速フィーリングが悪化する可能性がある。この点、上記のように係合側基準油圧に従って係合側油圧を制御する構成を採用することで、解放側要素をスリップ状態に維持することで緩慢となりがちな入力部材21の回転速度の低下を係合側油圧の変化により補助して、目標変速時間内で変速動作を適切に終了させることが容易となっている。
第一係合制御は、特別変速制御移行条件が満たされている限り、切替後目標回転速度と入力部材21の回転速度との間の回転速度差が所定値以下となるまで実行される。
変速段の切り替え後の回転速度差が所定値以下となった場合には、次に第二係合制御が実行される。この第二係合制御では、回転速度差が所定値以下となって係合側要素を完全係合状態とさせるように係合側油圧を制御する。本実施形態ではこの第二係合制御により、係合側油圧は完全係合圧まで一気に上昇させる。これにより変速プロセスを終了する。
次に、変速時トルク管理部63と負トルク制限値設定部64とによる、図3に示された負トルク時のアップシフトプロセスにおける負トルクの加速度(増加量)の制限について説明する。
ここで示されているタイムチャートには、駆動力源トルク(入力軸21への入力トルク)経時変化曲線、駆動力源トルク(入力軸21への入力トルク)加速度経時変化曲線、負トルク増加量制限値(加速度)、入力部材回転数経時変化曲線、解放側油圧経時変化曲線、係合側油圧経時変化曲線が含まれている。タイムチャートの横軸が時間経過であり、変速プロセス内の時間経過が第一段階と第二段階に区分けされている。第一段階は、変速プロセスにおける負トルク発生時から入力部材21の回転変化終了時までの区間におけるプロセスである。第二段階は、入力部材21の回転変化終了時から変速プロセスの終了時までの区間におけるプロセスである。
変速時トルク管理部63と負トルク制限値設定部64とによる加速度制限として、駆動力源トルク(以下入力トルクと称する)が負トルクになった時点で、第一負トルク増加量制限値が付与される。この第一負トルク増加量制限値は、前記変速プロセスにおける係合側の摩擦係合要素である係合側要素の油圧指令または解放側要素の油圧指令に対する実油圧から定まる油圧応答性に応じて許容される負トルクの増加量に基づいて設定される値である。この第一負トルク増加量制限値の付与は第一段階のプロセスの間にわたって行われる。続く第二段階のプロセスの間は、第二負トルク増加量制限値が付与される。第二負トルク増加量制限値は、図から明らかなように第一負トルク増加量制限値よりも緩い値である。より具体的には、第二負トルク増加量制限値は、変速プロセスにおける入力部材21の回転変化終了時からこの変速プロセスの終了時までの間で、回転変化終了時における第一負トルク増加量制限値による制限を行わない場合に要求される要求負トルクに対応するトルク指令値と、回転変化終了時における第一負トルク増加量制限値による制限を行った場合のトルク指令値との差を解消するに必要な負トルクの増加量に基づいて設定される値である。
このタイムチャートには、比較のために、第一負トルク増加量制限値及び第二負トルク増加量制限値による負トルク制限が行われなかった場合(従来)での、駆動力源トルク経時変化曲線、駆動力源トルク加速度経時変化曲線、入力部材回転数経時変化曲線が一点鎖線で示されている。これから明らかなように、第一負トルク増加量制限値を付与することで、負トルク加速度が制限され、変速プロセスの第一段階における駆動力源トルク経時変化が大きな変動(傾斜)を伴わないで延びている。また、変速プロセスの第二段階では、第二負トルク増加量制限値の付与により、変速完了時にもたらされる駆動力源トルクにスムーズにつながる駆動力源トルク経時変化が実現している。
このような駆動力源トルク経時変化曲線が実現することで、要求される係合側油圧の経時曲線が緩やかになり、通常の油圧制御の応答性で十分間に合うことが理解できる。
以下、この負トルク時アップシフトの変速プロセスのタイムチャートを時間経過とともに具体的に説明する。図3に示すタイムチャートでは、まず、時間t01で変速指令があり、変速制御が監視される。時間間隔t01〜t02では、変速指令とともに下げられた解放側油圧がさらに緩やかに下げられ、係合側油圧も準備油圧まで上昇する。時間t02で入力軸21への入力トルク(駆動力源トルク)が負トルクとなっている。負トルクが発生すると、負方向へのトルクの加速度の上限値が第一負トルク増加量制限値に設定される。時間t02から、入力部材21の回転数が変化し始める時間t03では、負トルクの加速度が第一負トルク増加量制限値に制限されることから、入力部材21の入力トルクを示す曲線は緩やかな勾配で低下する(負トルクの増大)。この勾配が、図3から、この第一負トルク増加量制限値による制限を実施しなかった場合の経時変化曲線(一点鎖線)に比べて著しく低く抑えられていることが理解できる。時間間隔t03〜t04では、負トルクはさらに増大し、時間t04で負トルク限界値に一致する。この負トルク限界値は、負トルク限界値が、回転電機13で制動力(または回生力)を発生させるべく、回転電機13から入力部材21へ入力されるトルクとして要求される要求負トルク値である。ここでいう、回転電機13による制動力(または回生力)の発生の要求とは、運転者により操作指令される制動力の少なくとも一部を回転電機13によって発生させるための要求である。このような要求は、例えば、車両の走行中に、運転者の意思によりブレーキ操作が行われた場合や運転者の指示によってアクセル開度が所定値以下の状態でダウンシフトが行われた場合などで発生する。
負トルクが負トルク限界値に一致すると、その後は、負トルクが負トルク限界値より増大しないようにトルク制御が行われる。時間t05で入力部材21の回転数変化がなくなると、第一負トルク増加量制限値による負トルクの加速度制限に代えて第二負トルク増加量制限値による負トルクの加速度制限が行われる。同時に負トルク限界値によるトルク制御が終了するので、第二負トルク増加量制限値による負トルクの加速度制限のもとで、入力軸21への入力トルク(駆動力源トルク)が増大する。タイマー等によって、時間t06でこの変速プロセス終了のタイミングに達したとみなされると、解放側油圧が解放圧まで下げられ、係合側油圧が完全係合圧まで上げられる。同時に入力軸21への入力トルクは第2変速段に適合したトルクに達する。また、第二負トルク増加量制限値による負トルクの加速度制限も終了し、この変速プロセスが終了する。
図4には、負トルク時のダウンシフトプロセスにおける負トルクの加速度(増加量)の制限効果を示すタイムチャートが示されている。図4から明らかなように、入力部材回転数経時変化曲線が変速プロセスの進行に伴って上昇(回転数増大)することが示されている点で、図3のタイムチャートと異なっているが、それ以外は実質的に同じである。このことからも、上述した第一負トルク増加量制限値と第二負トルク増加量制限値を用いた、負トルクの加速度の制限が、ダウンシフトプロセスにも有効であることが理解できる。
さらに、本発明による負トルク加速度(増加量)の制限、負トルクと正トルクが混在する状況下での変速プロセスにおいても有効である。このことを、図5のタイムチャートを用いて説明する。このタイムチャートは、駆動力源トルクが正トルクから負トルクを経て正トルクに移行しながらのアップシフトプロセスにおける負トルク加速度制限の効果を示している。ここでの負トルク加速度制限は、入力部材21への入力トルクが正トルクから負トルクに移行した時点から再び正トルクに戻る時点までの期間に対して行われる。ここでも、比較のために描画された負トルク加速度制限を行わなかった場合での各経過曲線から明らかなように、入力トルクの変動は縮小されている。その結果、要求される係合側油圧の経時曲線が緩やかとなっており、通常の油圧制御の応答性で十分間に合うことが理解できる。
前述したように、第一負トルク増加量制限値は、変速プロセスにおける係合側の摩擦係合要素である係合側要素の油圧指令または解放側要素の油圧指令に対する実油圧から定まる油圧応答性に応じて許容される負トルクの増加量に基づいて設定される。このことを、図6のタイムチャートを用いて説明する。なお、このタイムチャートは係合側要素の実油圧の応答性を考慮する場合の例を示している。また、このタイムチャートには、駆動力源トルク(入力軸21への入力トルク)経時変化曲線と係合側油圧指令値の経過曲線が含まれている。
負トルク加速度制限を行わなかった場合、負トルクは、急激な傾きをもって負方向に増加している。その傾きは例えば-2000Nm/secにも及ぶ。このような大きなトルク変動に追従するために、係合側油圧指令値も初期段階で急激な立ち上がりを示すことになる。この急激な係合側油圧指令値の立ち上がりに対して、係合側の実油圧は遅れ(例えば100msec)を持つことになり、これにより変速ショックを発生させる。これに対して、第一負トルク増加量制限値に相当するレベルの負トルク加速度制限を行った場合には、負トルクの変動は、例えば-500Nm/sec程度に抑えられ、結果的に、係合側油圧指令値も初期段階ではほとんど緩やかな勾配での増加となる。これにより、係合側油圧指令値に対する実油圧の遅れが抑制され、変速ショックが抑制される。それゆえに、上記の第一負トルク増加量制限値は、係合側の実油圧の指令値に対するが遅れが変速ショックを生じさせないような油圧制御を実現できるための数値に設定されるのが適切となる。
第一負トルク増加量制限値の設定に際しては、解放側要素の実油圧の応答性も考慮されるとよい。すなわち、ダウンシフトでは係合側要素、アップシフトでは解放側要素の実油圧の応答性を考慮する必要がある。従って、ダウンシフトでの第一負トルク増加量制限値は、変速プロセスにおける係合側の摩擦係合要素である係合側要素の油圧指令に対する実油圧から定まる油圧応答性に応じて許容される負トルクの増加量に基づいて設定される。また、アップシフトでの第一負トルク増加量制限値は、変速プロセスにおける解放側の摩擦係合要素である解放側要素の油圧指令に対する実油圧から定まる油圧応答性に応じて許容される負トルクの増加量に基づいて設定される。解放側要素の実油圧の応答性を考慮して第一負トルク増加量制限値を設定する際にも、上述した係合側要素の実油圧の応答性を考慮する場合と同様の手法により、値を設定することができる。また、解放側要素と係合側要素の両方の要素によって入力軸の回転変化を制御する場合は、両方の実油圧の応答性を考慮するのが望ましい。そのような実施形態では、第一負トルク増加量制限値は、解放側及び係合側の摩擦係合要素の油圧指令に対する実油圧から定まる油圧応答性に応じて許容される負トルクの増加量に基づいて設定される。
次に、図7のフローチャートを参照して、変速プロセスにおける負トルク制限の処理手順の一例を説明する。
まず、変速指令生成部61によって生成される変速指令に基づく変速制御(変速プロセス)を開始するかどうかを判定する(#02)。変速制御を開始しない場合には(#02No分岐)、このルーチンは終了する。変速制御を開始する場合には(#02Yes分岐)、まず入力トルク算定部65により入力部材21に入力される入力トルクが負トルクであることが検知されたかどうか判定される(#04)。この入力トルクが正トルクであれば、負トルク制限は行われないのでこのルーチンは終了する。この入力トルクが負トルクであれば、さらに負トルク制限値設定部64によりその負トルクが増加傾向にあるかどうかが、トルク加速度演算部65aでの演算結果に基づいて判定される(#06)。本発明は負トルクの増加量を制限するのが特徴であるので、負トルクが増加傾向になければ(#06No分岐)、このルーチンは終了する。
負トルクが増加傾向にあれば(#06Yes分岐)、負トルク制限値設定部64により第一負トルク増加量制限値が設定され、変速時トルク管理部63によるトルク出力制限指令が生成されて、トルク加速度が制限される(#08)。この第一負トルク増加量制限値を用いた負トルク制限の開始後に、負トルクの負方向への増加がなくなれば(#10No分岐)、このルーチンは終了する。第一負トルク増加量制限値を用いた負トルク加速度の制限下において負トルクの負方向への増加が生じていれば(#10Yes分岐)、さらに入力部材21の回転数の変化が終了したかどうか回転評価部66によって判定される(#12)。ここで、まだ入力部材21の回転数の変化が続行中であると判定されると(#12No分岐)、さらに算定されている負トルクの絶対値が限界値を超えているかどうか変速時トルク管理部63によって判定される(#14)。負トルクの絶対値が限界値を超えていなければ(#14No分岐)、ステップ#08に戻って、第一負トルク増加量制限値を用いた負トルク加速度制限が続行される。負トルクの絶対値が限界値を超えていると(#14Yes分岐)、負トルクがこの限界値以下となるように、いわゆる負トルク制限制御(負トルク加速度制限ではなく負トルクの値に基づく制限制御)が変速時トルク管理部63によって、この負トルク加速度制限と並行して行われる(#16)。その後に、ステップ#12に戻る。
ステップ#12において、入力部材21の回転数の変化が終了していると判定されると(#12Yes分岐)、第一段階のプロセスが終了とみなして第二段階のためのタイマーをセットする(#18)。第二段階のプロセスでは、負トルク制限値設定部64により第二負トルク増加量制限値が設定され、変速時トルク管理部63によるトルク出力制限指令が生成されて、トルク加速度が制限される(#20)。
さらに、この第二負トルク増加量制限値を用いた負トルク制限の開始後に、負トルクの負方向への増加がなくなれば(#22No分岐)、このルーチンは終了する。第二負トルク増加量制限値を用いた負トルク制限下において負トルクの負方向への増加が生じていれば(#22Yes分岐)、タイマー経過判定が行われる。回転変化終了から所定時間経過したことがタイマーにより判定されなければ(#24No分岐)、ステップ#20に戻って、再び第二負トルク増加量制限値を用いた負トルク制限が続行される。回転変化終了から所定時間経過したことがタイマーにより判定されると(#24Yes分岐)、第二段階のプロセスも完了とみなされ、このルーチンは終了する。
なお、本発明の効果の1つとして、回転電機13で制動力を発生させるべく、回転電機13から入力部材21へ入力されるトルクを回転電機13に要求される目標負トルクへと変化させる制御の開始の前後、または開始と同時に変速が行われた場合のショックの抑制に有効であることが挙げられる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施の形態では、負トルクの負方向の増加量として、負トルクの時間当たりの変化であるトルク加速度を採用していたが、これに代えて、種々の形態の増加量を採用することができる。他の形態の増加量としては、差分演算、微分演算、ベクトル演算などで算定される演算値、時間以外の単位量で求められる変化量、あるいは時間当たりの加速度変化なども含まれる。
(2)上記実施の形態では、第一段階と第二段階のプロセスは連続していたが、第一段階と第二段階のプロセスの間に中間的なプロセスを挟んでもよい。また、変速プロセスを2つの段階に分けず、全体として1つの負トルク増加量制限値を設定し、あるいは変速プロセスを3つの以上の段階に分け、それぞれの異なる負トルク増加量制限値を設定するようにしてもよい。変速プロセスにおける各段階の分け方は、本発明の枠内で種々に可能である。
(3)第一負トルク増加量制限値や第二負トルク増加量制限値は、上述した求め方以外に、実験的または経験的に求められた値を採用してもよいし、複数の値を用意しておき、運転条件等によって選択できるようにしてもよい。
(4)上記実施の形態では、駆動力源としてエンジン11と回転電機13の両方を搭載したハイブリッド自動車が例示されていたが、本発明は駆動力源として回転電機13だけを搭載した電気自動車にも適用できる。
本発明は、少なくとも回転電機を有する駆動力源に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、複数の摩擦係合要素の係合状態に応じて複数の変速段が形成され、前記入力部材の回転速度を各変速段の変速比で変速して前記出力部材に伝達する変速機構と、を備えた変速装置を制御するための変速制御装置に好適に利用することができる。
11:エンジン
13:回転電機
20:変速装置
20A:変速機構
21:入力部材
22:出力部材
30:油圧回路
32:バルブユニット
6:AT制御ユニット
6A:摩擦係合要素制御モジュール
6B:管理モジュール
6C:評価モジュール
61:変速指令生成部
62:変速プロセス実行部
63:変速時トルク管理部
64:負トルク制限値設定部
65:入力トルク算定部
65a:トルク加速度演算部
66:回転評価部
67:係合側伝達トルク推定部
68:解放側係合圧推定部
C1:ブレーキまたはクラッチ(摩擦係合要素)
B1:ブレーキまたはクラッチ(摩擦係合要素)

Claims (5)

  1. 少なくとも回転電機を有する駆動力源に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、複数の摩擦係合要素の係合状態に応じて複数の変速段が形成され、前記入力部材の回転速度を各変速段の変速比で変速して前記出力部材に伝達する変速機構と、を備えた変速装置を制御するための変速制御装置であって、
    前記駆動力源から前記入力部材に入力される正トルク及び負トルクを算定する入力トルク算定部と、
    前記負トルクの負方向への増加量を制限する負トルク増加量制限値を設定する負トルク制限値設定部と、
    第1の変速段から第2の変速段への変速プロセスの間に前記入力トルク算定部によって負トルクが算定された場合、前記駆動力源を制御する駆動力源制御ユニットに対して、前記駆動力源が出力する負トルクの負方向への増加量を前記負トルク制限値設定部によって設定された前記負トルク増加量制限値に基づいて制限するトルク出力制限指令を与える変速時トルク管理部と、
    を備える変速制御装置。
  2. 前記負トルク増加量制限値には第一負トルク増加量制限値と当該第一負トルク増加量制限値よりも緩い値を有する第二負トルク増加量制限値が含まれ、前記変速プロセスが当該変速プロセスの進行順に少なくとも第一段階と第二段階の2つに区分けされ、前記第一段階では前記第一負トルク増加量制限値が用いられ、前記第二段階では前記第二負トルク増加量制限値が用いられ、
    前記第一段階は、前記変速プロセスにおける負トルク発生時から前記入力部材の回転変化終了時までの区間におけるプロセスであり、かつ
    前記第二段階は、前記入力部材の回転変化終了時から前記変速プロセスの終了時までの区間におけるプロセスである請求項1に記載の変速制御装置。
  3. 前記第一負トルク増加量制限値は、前記変速プロセスにおける係合側の摩擦係合要素である係合側要素の油圧指令または解放側の摩擦係合要素である解放側要素の油圧指令に対する実油圧から定まる油圧応答性に応じて許容される負トルクの増加量に基づいて設定される請求項2に記載の変速制御装置。
  4. 前記第二負トルク増加量制限値は、前記変速プロセスにおける前記入力部材の回転変化終了時から当該変速プロセスの終了時までの間で、前記回転変化終了時における要求トルク指令値と、前記回転変化終了時における前記第一負トルク増加量制限値による制限を行った場合のトルク指令値との差を解消するに必要な負トルクの増加量に基づいて設定される請求項2又は3に記載の変速制御装置。
  5. 前記入力トルク算定部によって経時的に算定された負トルクに基づいて負トルク加速度を演算するトルク加速度演算部が備えられ、前記負トルク増加量制限値は負トルク加速度の上限値である請求項1から4のいずれか一項に記載の変速制御装置。

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