JP6115022B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源と駆動輪の間にクラッチが設けられ、スリップ締結したスリップ走行モードと完全締結した締結走行モードを有する車両の制御装置に関する。
従来、ハイブリッド車両の制御装置としては、モータと駆動輪との間のクラッチをスリップ締結させて走行するスリップ走行モードにおいて、モータトルクをドライバー要求に基づいて決定する一方、クラッチの伝達トルクをクラッチの入力側回転数(すなわちモータ回転数)が略一定となる伝達トルク容量に設定したものが知られている(特許文献1参照)。
特開2001−263383号公報
しかしながら、上記従来装置にあっては、クラッチの完全締結時における回転数にのみ着目し、各回転要素のイナーシャ(慣性)を考慮していないため、締結ショックを十分に回避できない、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、クラッチを完全締結状態からスリップ締結状態に遷移させる際、または、スリップ締結状態から完全締結状態に遷移させる際、駆動輪に出力されるトルクの変動を抑制することができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車両の制御装置では、駆動源と、クラッチと、動作指令値演算処理手段と、を備える手段とした。
前記クラッチは、前記駆動源と駆動輪との間に設けられ、スリップ締結したスリップ走行モードと完全締結した締結走行モードの間でモード遷移する。前記スリップ走行モードのときに前記駆動源の回転数制御を行い、前記締結走行モードのときに前記駆動源のトルク制御を行う。
前記動作指令値演算処理手段は、前記スリップ走行モードから前記締結走行モードへとモード遷移するとき、前記スリップ走行モードが開始されると、前記クラッチの伝達トルク容量指令値を、クラッチ出力軸への目標伝達トルクに設定し、前記駆動源を、前記クラッチの入力回転数と出力回転数の回転数差が所定の値を維持するように回転数制御を開始する。
前記スリップ走行モードから前記締結走行モードへモード遷移すると、前記クラッチの伝達トルク容量指令値を、前記クラッチのスリップを許容しないロックアップ指令値とし、前記駆動源のトルク制御を開始する。
そして、前記スリップ走行モードにおいて回転数制御するときに前記駆動源の回転上昇のためのイナーシャ分のトルクをイナーシャトルクというとき、前記締結走行モードにおいて、前記トルク制御による前記駆動源への駆動トルク指令値を、前記クラッチ出力軸への目標伝達トルクに、前記イナーシャトルクを加算した値とする。
例えば、締結走行モードにおいて、駆動源への駆動トルク指令値を、クラッチ出力軸への目標伝達トルクの値に設定すると、スリップ走行モードから締結走行モードへ遷移する際、実際にクラッチ出力軸へ伝達されるトルクは、駆動源の回転イナーシャ分だけクラッチ出力軸への目標伝達トルクよりも低下する。
これに対し、本発明では、締結走行モードにおいて、トルク制御による駆動源への駆動トルク指令値が、クラッチ出力軸への目標伝達トルクに、回転数制御するときに駆動源の回転上昇のためのイナーシャ分のトルクであるイナーシャトルクを加算した値とされる。
このように、駆動源への駆動トルク指令値として、駆動源の回転上昇のためのイナーシャトルクを予め加算した値を設定することで、イナーシャ分だけ低下するトルクが、加算したイナーシャトルクにより相殺される。したがって、実際にクラッチ出力軸を経由して駆動輪へ伝達されるトルクが、クラッチ出力軸への目標伝達トルクから乖離するのが抑えられる。
この結果、クラッチをスリップ締結状態から完全締結状態に遷移させる際、締結走行モードにおいて、駆動源の回転上昇のためのイナーシャトルクを予め加算した値を駆動源への駆動トルク指令値とすることで、駆動輪に出力されるトルクの変動を抑制することができる。
実施例1の制御装置が適用された前輪駆動または後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。 実施例1の統合コントローラにおける統合演算処理構成を示す統合演算処理ブロック図である。 実施例1の統合コントローラの目標駆動力演算部で用いられる目標駆動力マップの一例を示す図である。 実施例1の統合コントローラのモード選択部でのモード選択処理の際に用いられる推定勾配に対するモードマップ選択特性を示す図である。 実施例1の統合コントローラのモード選択部で選択される通常モードマップの一例を示す図である。 実施例1の統合コントローラのモード選択部で選択されるMWSC対応モードマップの一例を示す図である。 実施例1の統合コントローラにおける第1クラッチCL1・第2クラッチCL2・エンジンEng・モータジェネレータMGの動作指令値演算処理構成を示す動作指令値演算処理ブロック図である。 実施例1の統合コントローラで行われる第1クラッチCL1・第2クラッチCL2・エンジンEng・モータジェネレータMGの動作指令値演算処理の流れを示すフローチャートである。 比較例の装置を搭載したハイブリッド車両にてWSC走行モードからHEV走行モードへ遷移する発進時におけるENG+MOTトルク・ENG+MOTトルク指令値・クラッチ容量(CL2)・目標T/M入力目標トルク・CVT伝達トルクの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1の装置を搭載したハイブリッド車両にてWSC走行モードからHEV走行モードへ遷移する発進時におけるENG/MOT回転数・ENG/MOT回転数指令値・CVT入力回転数・イナーシャトルク・ENG+MOTトルク・ENG+MOTトルク指令値・クラッチ容量(CL2)・目標T/M入力目標トルク・CVT伝達トルクの各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1のハイブリッド車両(車両の一例)の制御装置の構成を、「システム構成」、「統合コントローラの統合演算処理構成」、「モード選択部の構成」、「動作指令値演算処理構成」に分けて説明する。
[システム構成]
図1は、実施例1の制御装置が適用された前輪駆動または後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。以下、図1に基づいて、システム構成を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEng(駆動源)と、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMG(駆動源)と、第2クラッチCL2(クラッチ)と、ベルト式無段変速機CVT(自動変速機)と、左駆動輪LTと、右駆動輪RTと、を備えている。そして、上記以外の駆動系構成として、メカオイルポンプM-O/Pと、変速機入力軸INと、変速機出力軸OUTと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、を有する。
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御や燃料カット制御、等が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
前記第1クラッチCL1は、エンジンEngとモータジェネレータMGの間に介装されたクラッチであり、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づき第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、締結・スリップ締結状態・解放が制御される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ピストン14aを有する油圧アクチュエータ14を用いたノーマルオープンの乾式多板クラッチ、等が用いられる。
前記モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(力行)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(回生)。
前記メカオイルポンプM-O/Pは、モータジェネレータMGのモータ軸MSに設けられ、モータジェネレータMGにより駆動される。このメカオイルポンプM-O/Pは、ベルト式無段変速機CVTに付設される油圧コントロールバルブユニットCVUと、これに内蔵している第1クラッチ油圧ユニット6と第2クラッチ油圧ユニット8に対する油圧源とされる。なお、メカオイルポンプM-O/Pからの吐出圧が見込めないときや不足するときのため、電動モータにより駆動される図外の電動オイルポンプが設けられる。
前記第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右駆動輪LT,RTの間のうち、モータ軸MSと変速機入力軸INの間に介装されたクラッチである。この第2クラッチCL2は、CVTコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づき、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、締結・スリップ締結・解放が制御される。この第2クラッチCL2としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できるノーマルオープンの湿式多板クラッチ、等が用いられる。
前記ベルト式無段変速機CVTは、第2クラッチCL2の下流位置に配置され、車速やアクセル開度等に応じて目標入力回転数を決め、無段階による変速比を自動的に変更する自動変速機である。このベルト式無段変速機CVTは、変速機入力軸IN側のプライマリプーリ31と、変速機出力軸OUT側のセカンダリプーリ32と、両プーリ31,32に掛け渡されたベルト33を主要構成とする。そして、ポンプ油圧を元圧とし、プライマリプーリ圧とセカンダリプーリ圧を作り出し、このプーリ圧によりプライマリプーリ31の可動プーリとセカンダリプーリ32の可動プーリを軸方向に動かし、ベルト33のプーリ接触半径を変化させることで、変速比を無段階に変更する。
前記ベルト式無段変速機CVTの変速機出力軸OUTには、図外の終減速機構を介してディファレンシャルDFが連結され、ディファレンシャルDFから、左ドライブシャフトDSLと右ドライブシャフトDSRを介してそれぞれに左右駆動輪LT,RTが設けられている。
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、CVTコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、各コントローラ1,2,5,7,9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
前記エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からのENGトルク指令値と、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
前記モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からのMOTトルク指令値またはMOT回転数指令値と、他の必要情報を入力する。そして、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2は、モータトルクを目標トルクとし、回転数を駆動系の回転に追従させるトルク制御を基本制御とするが、第2クラッチCL2のスリップ制御中等においては、モータ回転数を目標回転数とし、トルクを駆動系負荷に追従させる回転数制御を行う。また、このモータコントローラ2は、バッテリ4の充電容量をあらわすバッテリSOCを監視していて、このバッテリSOC情報を、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給する。
前記第1クラッチコントローラ5は、油圧アクチュエータ14の油圧を検出する第1クラッチ油圧センサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からのCL1容量指令値と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・スリップ締結・解放を制御する指令を油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
前記CVTコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18等からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる目標入力回転数をシフトマップにより検索し、検索された目標入力回転数(変速比)を得る制御指令を油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。この変速制御に加え、統合コントローラ10からCL2容量指令値を入力した場合、第2クラッチCL2へのクラッチ油圧を制御する指令を油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。
前記ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令値と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。
前記統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21やセカンダリプーリ回転数センサ22等からの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へENGトルク指令値、モータコントローラ2へMOTトルク指令値またはMOT回転数指令値、第1クラッチコントローラ5へCL1容量指令値、CVTコントローラ7へCL2容量指令値、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令値を出力する。
[統合コントローラの統合演算処理構成]
図2は、実施例1の統合コントローラ10における統合演算処理構成を示す統合演算処理ブロック図であり、図3は目標駆動力マップを示す。以下、図2及び図3に基づいて、統合コントローラ10の統合演算処理構成を説明する。
前記統合コントローラ10は、図2に示すように、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400と、を有する。
前記目標駆動力演算部100では、図3に示す目標駆動力マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力を演算する。
前記モード選択部200は、推定された路面勾配(=推定勾配)に基づいて、通常モードマップ(図5)とMWSC対応モードマップ(図6)のうち、いずれかのマップを選択し、車速VSPとアクセル開度APOに応じて目標モード(「HEV走行モード」、「EV走行モード」、「WSC走行モード」、「MWSC走行モード」等)を出力する。なお、このモード選択部200の詳しい構成の説明は後述する。
前記目標充放電演算部300では、図外の目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力を演算する。
前記動作点指令部400では、アクセル開度APOと目標駆動力と目標モードと車速VSPと目標充放電電力とに基づき、第1クラッチCL1と第2クラッチCL2とエンジンEngとモータジェネレータMGの動作点到達目標として、CL1容量指令値、CL2容量指令値、ENGトルク指令値、MOTトルク指令値、MOT回転数指令値を演算する。
[モード選択部の構成]
図4は、実施例1の統合コントローラ10のモード選択部200でのモード選択処理の際に用いられる推定勾配に対するモードマップ選択特性を示し、図5は、通常モードマップの一例を示し、図6は、MWSC対応モードマップの一例を示す。以下、図4〜図6に基づき、モード選択部200の構成を説明する。
前記モード選択部200では、例えば、前後Gセンサ値と車輪速加減速度値の差分により路面勾配の推定演算を行う。そして、図4に示すように、演算された推定勾配が第2閾値g2になるまでは、通常モードマップ(図5)を選択し、推定勾配が第2閾値g2以上になるとMWSC対応モードマップ(図6)を選択する。一方、MWSC対応モードマップ(図6)の選択時に推定勾配が第1閾値g1以下になると、通常モードマップ(図5)の選択に復帰する。そして、通常モードマップが選択されると、図5に示すように、車速VSPとアクセル開度APOに応じ、目標モードが、「HEV走行モード」、「EV走行モード」、「WSC走行モード」の何れかに決定される。また、MWSC対応モードマップが選択されると、図6に示すように、車速VSPとアクセル開度APOに応じ、目標モードが、「HEV走行モード」、「WSC走行モード」、「MWSC走行モード」の何れかに決定される。
前記モード選択部200で選択される目標モードとしては、上記のように、「EV走行モード」と、「HEV走行モード」、「WSC走行モード」、「MWSC走行モード」を有する。以下、各走行モードについて説明する。なお、「WSC」とは、「Wet Start Clutch」の略称である。
前記「EV走行モード(CL1解放/CL2締結走行モード)」は、第1クラッチCL1を解放状態とし、第2クラッチCL2を締結状態とし、モータジェネレータMGを駆動源として停止/走行するモードであり、モータ走行モード・回生走行モードを有し、何れかのモードにより走行する。この「EV走行モード」は、目標駆動力が低く、バッテリSOCが確保されているようなときに選択される。
前記「HEV走行モード(CL1締結/CL2締結走行モード)」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、第2クラッチCL2を締結状態とし、エンジンEngとモータジェネレータMGを駆動源として走行するモードであり、モータアシスト走行モード・発電走行モード・エンジン走行モードを有し、何れかのモードにより停止/走行する。この「HEV走行モード」は、目標駆動力が高くモータアシスト走行が要求されるようなとき、あるいは、バッテリSOCの不足によりエンジン発電が要求されるようなときに選択される。
前記「WSC走行モード(CL1締結/CL2スリップ締結走行モード)」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、第2クラッチCL2をスリップ締結状態に維持し、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、ドライバー要求に基づいて設定される目標駆動力になるようにCL2トルク容量をコントロールしながら停止/走行するモードである。この「WSC走行モード」は、目標駆動力が高い停車時や発進時等のように、エンジン回転数がアイドル回転数を下回る領域において、第2クラッチCL2により回転差を吸収する必要があるときに選択される。そして、「WSC走行モード」の選択状態での発進時、車速が上昇することで第2クラッチCL2により回転差を吸収するスリップ締結を要さない走行域になると「HEV走行モード」へモード遷移する。
前記「MWSC走行モード(CL1解放/CL2スリップ締結走行モード)」は、エンジンEngを作動状態のままで第1クラッチCL1を解放状態とし、第2クラッチCL2をエンジンアイドル回転数に拘束されずに目標スリップ回転数を抑えたスリップ締結状態に維持する。そして、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両停止状態や運転者操作に応じて決まる目標駆動力となるようにCL2トルク容量をコントロールしながら停止/走行するモードである。この「MWSC走行モード」は、目標スリップ回転数を大きく維持したままであると第2クラッチCL2への熱負荷が大きくなる勾配停車時や勾配路発進時等のように、第2クラッチCL2の熱保護が要求される領域において選択される。そして、「MWSC走行モード」の選択状態での勾配路発進時、アクセル踏み込み操作を行うと「WSC走行モード」→「HEV走行モード」へとモード遷移する。
[動作指令値演算処理構成]
図7は、実施例1の統合コントローラ10における第1クラッチCL1・第2クラッチCL2・エンジンEng・モータジェネレータMGの動作指令値演算処理構成を示し、図8は、動作指令値演算処理の流れを示す。以下、図7及び図8に基づき、動作指令値演算処理構成を説明する。
前記動作指令値演算処理構成としては、図7に示すように、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、動作点指令部400と、を備える。このうち、動作点指令部400は、T/M入力目標トルク演算部400aと、イナーシャトルク演算部400bと、トルク加算部400cと、クラッチ容量指令演算部400dと、ENG/MOTトルク配分部400eと、を有する。
前記T/M入力目標トルク演算部400aは、目標駆動力演算部100からの目標駆動力と、ベルト式無段変速機CVTの変速比(プライマリプーリ回転数とセカンダリプーリ回転数の比)を入力し、ベルト式無段変速機CVTを経由して左右駆動輪LT,RTに伝達される変速後のトルクが目標駆動力になるように、ベルト式無段変速機CVTへのT/M入力目標トルクを演算する。
前記イナーシャトルク演算部400bは、ベルト式無段変速機CVTの目標変速比Ratio0とセカンダリプーリ回転数OUTREVにより下記の式(1)により算出されるプライマリ回転加速度と、駆動源の回転によるイナーシャ(「ENGイナーシャ+MOTイナーシャ」)と、のによる下記の式(2)によりイナーシャトルクを演算する。
イナーシャトルク演算式は、
プライマリ回転加速度=d/dt(Ratio0×OUTREV)
=d/dt(Ratio0)×OUTREV+d/dt(OUTREV)×Ratio0 …(1)
式(1)で、d/dt(OUTREV)は、大きなノイズが出るので、強いフィルタをかける。
イナーシャトルク=プライマリ回転加速度×イナーシャ …(2)
である。
前記トルク加算部400cは、T/M入力目標トルク演算部400aからのT/M入力目標トルクと、イナーシャトルク演算部400bからのイナーシャトルクを加算し、加算した値をENG+MOT目標トルクとする。
前記クラッチ容量指令演算部400dは、T/M入力目標トルク演算部400aからのT/M入力目標トルクと、モード選択部200からの目標モードを入力し、第1クラッチCL1へのCL1容量指令値と第2クラッチCL2へのCL2容量指令値を演算する。CL1容量指令値は、目標モードが「HEV走行モード」と「WSC走行モード」のときにロックアップ指令値(L/U指令値)であり、「EV走行モード」と「MWSC走行モード」のときに解放指令値である。CL2容量指令値は、「HEV走行モード」と「EV走行モード」のときにロックアップ指令値(L/U指令値)であり、「WSC走行モード」と「MWSC走行モード」のときにT/M入力目標トルクによるスリップ締結指令値である。
前記ENG/MOTトルク配分部400eは、トルク加算部400cからのENG+MOT目標トルクを入力し、これをエンジンEngとモータジェネレータMGに配分することで、エンジンEngが受け持つ分をENGトルク指令値とし、モータジェネレータMGが受け持つ分をMOTトルク指令値とする。
図7に示す動作指令値演算処理構成による処理の流れを、図8に示すフローチャートに基づき説明する。
ステップS81では、目標駆動力演算部100にて目標駆動力を演算し、ステップS82へ進む。
ステップS82では、ステップS81での目標駆動力演算に続き、T/M入力目標トルク演算部400aにて、目標駆動力演算部100からの目標駆動力を、ベルト式無段変速機CVTの変速比により除算することで、T/M入力目標トルクを演算し、ステップS83へ進む。
ステップS83では、ステップS82でのT/M入力目標トルク演算に続き、イナーシャトルク演算部400bにて上記式(1),(2)によりイナーシャトルク(=慣性トルク)を演算し、ステップS84へ進む。
ステップS84では、ステップS83での慣性トルク演算に続き、トルク加算部400cにて、T/M入力目標トルク演算部400aからのT/M入力目標トルクと、イナーシャトルク演算部400bからのイナーシャトルクを加算することで、ENG+MOT目標トルクを演算し、ステップS85へ進む。
ステップS85では、ステップS84でのENG+MOT目標トルク演算に続き、ENG/MOTトルク配分部400eにて、ENG+MOT目標トルクをエンジントルクとモータジェネレータトルクに配分することで、ENGトルク指令値を演算し、ステップS86へ進む。
ステップS86では、ステップS85でのENGトルク指令値演算に続き、第2クラッチCL2をスリップ締結したスリップ走行モード(WSC)であるか、第2クラッチCL2を完全締結した締結走行モード(L/U)であるかどうかを判断する。スリップ走行モード(WSC)であると判断されるとステップS87へ進み、締結走行モード(L/U)であると判断されるとステップS89へ進む。
ここで、締結走行モード(L/U)とは、「HEV走行モード」、「EV走行モード」をいい、スリップ走行モード(WSC)とは、「WSC走行モード」、「MWSC走行モード」をいう。
ステップS87では、ステップS86でのスリップ走行モード(WSC)であると判断に続き、CL2容量指令値を演算し、ステップS86へ進む。
ここで、スリップ走行モード(WSC)でのCL2容量指令値は、ステップS82で演算されたT/M入力目標トルクの値に設定する。
ステップS88では、ステップS87でのCL2容量指令値の演算に続き、第2クラッチCL2の入力回転数と出力回転数の回転数差が所定の値を維持するように回転数制御するモータジェネレータMGへのMOT回転数指令値を演算し、リターンへ進む。
ステップS89では、ステップS86での締結走行モード(L/U)であると判断に続き、CL2容量指令値(=L/U指令値)を演算し、ステップS90へ進む。
ここで、CL2容量指令値は、スリップ走行モード(WSC)から締結走行モード(L/U)へモード遷移すると、時間の経過と共に徐々に高め、最終的に目標駆動力よりも十分大きく、第2クラッチCL2のスリップを許容しない値とする。
ステップS90では、ステップS89でのCL2容量指令値演算に続き、エンジン回転数検出値とエンジン性能マップ(ENG回転数に対するENGトルクの関係特性)に基づき、ENG推定トルクを演算し、ステップS91へ進む。
ステップS91では、ステップS90でのENG推定トルク演算に続き、モータジェネレータMGへのMOTトルク指令値を演算し、リターンへ進む。
ここで、MOTトルク指令値は、
MOTトルク指令値=「ENG+MOT目標トルク」−ENG推定トルク …(3)
の式により算出する。
次に、作用を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置における作用を、「比較例の課題」、「モード遷移時の動作指令値演算処理作用」、「WSC発進時におけるT/M入力目標トルク実現作用」に分けて説明する。
[比較例の課題]
例えば、スリップ走行モードにおいて、クラッチのトルク容量指令値を、T/M入力目標トルクに設定し、駆動源を、クラッチのスリップ締結を維持するように回転数制御する。そして、締結走行モードにおいて、駆動源への駆動トルク指令値を、T/M入力目標トルクの値に設定するものを比較例とする。
この比較例の場合、スリップ走行モードにおいて、クラッチ容量指令値を、T/M入力目標トルクに設定し、駆動源を回転数制御すると、駆動源は、イナーシャ分だけ多くトルクを出しながらスリップ締結を維持する。
すなわち、図9に示す時刻t0〜t1のスリップ走行モードにおいて、駆動源は、駆動系の負荷に合わせて目標回転数を維持する回転数制御を行っているため、目標回転数を維持しようとトルクを出すことで、結果的に、駆動源はイナーシャ分のトルクを多く出すことになる(図9の矢印A)。したがって、このスリップ走行モードにおいては、クラッチ容量指令値によるT/M入力目標トルク(図9の実線特性)と、実際に伝達している実T/M入力トルク(図9の破線特性)は、ほぼ一致したものとなる。
しかし、図9に示す時刻t1にてスリップ走行モードから締結走行モードへ遷移する際に、駆動源への駆動トルク指令値を、T/M入力目標トルクの値に設定すると、実際にクラッチの出力軸へ伝達される実T/M入力トルクは、駆動源の回転イナーシャ分だけT/M入力目標トルクの値よりも低下する。
すなわち、図9に示す時刻t1〜t2のモード遷移過渡期においては、クラッチの容量増に伴う上昇勾配を持つもののイナーシャ分だけ実T/M入力トルクがT/M入力目標トルクより低下する(図9の矢印B)。そして、図9に示す時刻t2以降の締結走行モードにおいては、イナーシャ分だけ実T/M入力トルクがT/M入力目標トルクより低下する(図9の矢印C)。したがって、スリップ走行モードから締結走行モードへ遷移する際、クラッチ容量指令値によるT/M入力目標トルク(図9の実線特性)と、実際に伝達している実T/M入力トルク(図9の破線特性)は乖離し、時刻t1にて実T/M入力トルク、つまり、駆動輪へ伝達される実駆動トルクが低下し、目標駆動力が得られない。
特に、ベルト式無段変速機CVTを搭載したハイブリッド車両では、クラッチがスリップ締結状態であっても完全締結状態であっても変速制御を継続しながら走行する。このために、イナーシャ分の実駆動トルクの低下に、変速比変化に伴う伝達トルク変動が加わり、駆動輪へ伝達される実駆動トルクの変動が大きくなる。
[モード遷移時の動作指令値演算処理作用]
上記比較例の課題を解決するには、締結走行モードにおいて、イナーシャ分の実駆動トルクの変動を抑える工夫が必要である。以下、図8に基づき、これを反映するモード遷移時の動作指令値演算処理作用を説明する。
停止/走行時には、選択されている走行モードにかかわらず、図8のフローチャートにおいて、ステップS81→ステップS82→ステップS83→ステップS84→ステップS85→ステップS86へと進む。ステップS81では、目標駆動力演算部100にて目標駆動力が演算され、ステップS82では、T/M入力目標トルク演算部400aにてT/M入力目標トルクが演算され、ステップS83では、イナーシャトルク演算部400bにてプライマリ回転加速度を用いてイナーシャトルク(=慣性トルク)が演算される。そして、ステップS84では、トルク加算部400cにてENG+MOT目標トルクが演算され、ステップS85では、ENG/MOTトルク配分部400eにて「目標駆動力+慣性トルク」をMOTトルクとENGトルクに配分することで、ENGトルク指令値が演算される。
次に、ステップS86にてスリップ走行モード(WSC)であると判断されると、図8のフローチャートにおいて、ステップS86からステップS87→ステップS88→リターンへと進む。ステップS87では、CL2容量指令値(=T/M入力目標トルク)が演算され、ステップS88では、第2クラッチCL2のスリップ締結を維持するモータジェネレータMGへのMOT回転数指令値(=目標モータ回転数)が演算される。
一方、ステップS86にて締結走行モード(L/U)であると判断されると、図8のフローチャートにおいて、ステップS86からステップS89→ステップS90→ステップS91→リターンへと進む。ステップS89では、CL2容量指令値(=L/U指令値)が演算され、ステップS90では、ENG推定トルクが演算され、ステップS91では、モータジェネレータMGへのMOTトルク指令値が演算される。
すなわち、締結走行モードにおいて、エンジンEng及びモータジェネレータMGへのENGトルク指令値及びMOTトルク指令値が、T/M入力目標トルク(=第2クラッチCL2の出力軸への目標伝達トルク)に、エンジンEng及びモータジェネレータMGの回転上昇のためのイナーシャ分のトルクであるイナーシャトルクを加算した値とされる。
[WSC発進時におけるT/M入力目標トルク実現作用]
上記モード遷移時の動作指令値演算処理を行うことで、「WSC走行モード」を選択しての発進時において「HEV走行モード」へモード遷移するとき、T/M入力目標トルクに沿った実T/M入力トルクの維持が実現される。以下、図10に基づき、これを反映するWSC発進時におけるT/M入力目標トルク実現作用を説明する。
発進時、図10に示す時刻t0〜t1の「WSC走行モード」において、エンジンENG及びモータジェネレータMGは、駆動系の負荷に合わせて目標回転数(=T/M入力回転数+スリップ回転数)を維持する回転数制御を行っている。このため、目標回転数を維持しようとトルクを出すことで、結果的に、エンジンENG及びモータジェネレータMGによる(ENG+MOTトルク)は、イナーシャ分のトルクを多く出すことになる(図10の矢印A)。したがって、「WSC走行モード」においては、クラッチ容量指令値によるT/M入力目標トルク(図10の実線特性)と、実際に伝達している実T/M入力トルク(図10の破線特性)は、ほぼ一致したものとなる。
そして、図10に示す時刻t1にて「WSC走行モード」から「HEV走行モード」へモード遷移する際、エンジンENG及びモータジェネレータMGへのENG+MOTトルク指令値を、T/M入力目標トルクに、エンジンENG及びモータジェネレータMGの回転上昇のためのイナーシャトルクを加えた値に設定している。したがって、「HEV走行モード」へモード遷移に伴いイナーシャ分だけ低下するトルクが、加算したイナーシャトルクにより相殺され、実際に第2クラッチCL2の出力軸へ伝達される実T/M入力トルクは、T/M入力目標トルクの値に沿ったものとなる。
すなわち、図10に示す時刻t1〜t2のモード遷移過渡期において、時刻t1にて実T/M入力トルクは、T/M入力目標トルクから低下することなく、時刻t2に向かって第2クラッチCL2の容量増に伴う上昇勾配を持つ特性を示す。この理由は、2クラッチCL2に差回転がある時刻t1〜t2の間は、第2クラッチCL2の容量増によって伝達トルクが決まるので、図10の破線で示す実T/M入力トルクは徐々に上がる。そのとき、ENG+MOTトルクの特性が変化しないのに実T/M入力トルクが徐々に上がるのは、ENG/MOT回転数が下がるときのイナーシャトルク(図10の時刻t1〜t2の間のイナーシャトルク特性)でバランスしていることによる。
そして、図10に示す時刻t2以降の「HEV走行モード」においては、ENG+MOTトルク指令値に、予めイナーシャトルクが加算されていることで(図10の矢印D)、実T/M入力トルクは、T/M入力目標トルクに沿ったものとなり、比較例のように、実T/M入力トルクがT/M入力目標トルクより低下することはない。
したがって、「WSC走行モード」を選択しての発進時において「HEV走行モード」へモード遷移するとき、実際に伝達している実T/M入力トルク(図10の破線特性)が、目標T/M入力目標トルク(図10の実線特性)に沿ったものとなるというように、T/M入力目標トルクに沿った実T/M入力トルクの維持が実現され、この結果、ドライバー要求の目標駆動力が左右駆動輪LT,RTへ伝達される。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)と、
前記駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)と駆動輪(左右駆動輪LT,RT)との間に設けられ、スリップ締結したスリップ走行モード(「WSC走行モード」等)と完全締結した締結走行モード(「HEV走行モード」等)の間でモード遷移するクラッチ(第2クラッチCL2)と、
前記締結走行モード(「HEV走行モード」等)において、前記駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)への駆動トルク指令値(ENGトルク指令値、MOTトルク指令値)を、クラッチ出力軸への目標伝達トルク(T/M入力目標トルク)に、前記駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)の回転上昇のためのイナーシャ分のトルクであるイナーシャトルク(慣性トルク)を加算した値とする動作指令値演算処理手段(図7)と、
を備える。
このため、クラッチ(第2クラッチCL2)を完全締結状態からスリップ締結状態に遷移させる際、または、スリップ締結状態から完全締結状態に遷移させる際、締結走行モード(「HEV走行モード」等)において、駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)の回転上昇のためのイナーシャトルクを予め加算した値を駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)への駆動トルク指令値とすることで、駆動輪(左右駆動輪LT,RT)に出力されるトルクの変動を抑制することができる。
(2) 前記動作指令値演算処理手段(図7)は、前記スリップ走行モード(「WSC走行モード」等)と前記締結走行モード(「HEV走行モード」等)の間でモード遷移するとき、前記スリップ走行モード(「WSC走行モード」等)において、前記クラッチ(第2クラッチCL2)の伝達トルク容量指令値を、前記クラッチ出力軸への目標伝達トルク(T/M入力目標トルク)に設定し、前記駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)を、前記クラッチ(第2クラッチCL2)の入力回転数と出力回転数の回転数差が所定の値を維持するように回転数制御する(図8)。
このため、(1)の効果に加え、スリップ走行モード(「WSC走行モード」等)と締結走行モード(「HEV走行モード」等)の間でモード遷移するとき、モード遷移の前後において、駆動輪(左右駆動輪LT,RT)に出力されるトルクの変動を抑制することができる。
(3) 前記クラッチ(第2クラッチCL2)と前記駆動輪(左右駆動輪LT,RT)との間の駆動伝達系に自動変速機(ベルト式無段変速機CVT)を有し、
前記動作指令値演算処理手段(図7)は、前記駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)の回転上昇のためのイナーシャ分のトルクであるイナーシャトルクを、前記自動変速機(ベルト式無段変速機CVT)の目標変速比Ratio0を使って演算するイナーシャトルク演算部400bを有する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、駆動系に自動変速機(ベルト式無段変速機CVT)を有する車両において、駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)の回転イナーシャに影響する目標変速比Ratio0を用いることで、精度良くイナーシャトルクを演算することができる。
(4) 前記自動変速機は、プライマリプーリ31とセカンダリプーリ32と両プーリ31,32に掛け渡されたベルト33とを有し、前記スリップ走行モード(「WSC走行モード」等)であるか前記締結走行モード(「HEV走行モード」等)であるかにかかわらず変速比の無段階制御を継続するベルト式無段変速機CVTであり、
前記イナーシャトルク演算部400bは、前記ベルト式無段変速機CVTの目標変速比Ratio0とセカンダリプーリ回転数OUTREVにより算出されるプライマリ回転加速度と、前記駆動源(エンジンEng、モータジェネレータMG)の回転に伴うイナーシャと、のによりイナーシャトルクを演算する。
このため、(3)の効果に加え、クラッチ(第2クラッチCL2)を完全締結状態からスリップ締結状態に遷移させる際、または、スリップ締結状態から完全締結状態に遷移させる際、モード遷移にかかわらず変速制御を継続するベルト式無段変速機CVTの変速比変化を原因とするトルク変動を抑制することができる。
以上、本発明の車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、動作指令値演算処理手段(図7、図8)として、第2クラッチCL2の伝達トルク容量が最大となった以降においても、イナーシャ分のトルクであるイナーシャトルクを加算したままとする例を示した。しかし、動作指令値演算処理手段としては、スリップ(WSC)からロックアップ(L/U)へのモード遷移が完了してから、駆動源のトルク指令値を徐々に減らしていき、ロックアップ走行中(トルク制御中)に、イナーシャ分のトルクであるイナーシャトルクを加算する補正を止めても良い。
実施例1では、自動変速機として、ベルト式無段変速機CVTを用いる例を示した。しかし、自動変速機としては、トロイダル式のベルト式無段変速機CVTや有段階の変速段を得る自動変速機AT等のように他の型式のものを用いても良い。
実施例1では、クラッチとして、モータジェネレータMGとベルト式無段変速機CVTの間に介装した第2クラッチCL2を用いる例を示した。しかし、クラッチとしては、自動変速機として、有段の自動変速機ATを用いる場合、自動変速機ATに内蔵した摩擦締結要素の中から選択する例としても良い。さらに、自動変速機と駆動輪との間に独立のクラッチを介装する例としても良い。
実施例1では、駆動源として、エンジンEngとモータジェネレータMGを搭載したハイブリッド車両への適用例を示した。しかし、駆動源として、モータジェネレータのみを搭載した電気自動車へも適用することができる。さらに、駆動源として、エンジンのみを搭載したエンジン車へも適用することができる。
Eng エンジン(駆動源)
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ(駆動源)
MS モータ軸
CL2 第2クラッチ(クラッチ)
CVT ベルト式無段変速機
IN 変速機入力軸
OUT 変速機出力軸
M-O/P メカオイルポンプ
LT 左駆動輪(駆動輪)
RT 右駆動輪(駆動輪)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 CVTコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
100 目標駆動力演算部
200 モード選択部
400 動作点指令部
400a T/M入力目標トルク演算部
400b イナーシャトルク演算部
400c トルク加算部
400d クラッチ容量指令演算部
400e ENG/MOTトルク配分部

Claims (3)

  1. 駆動源と、
    前記駆動源と駆動輪との間に設けられ、スリップ締結したスリップ走行モードと完全締結した締結走行モードの間でモード遷移するクラッチと、を有し、
    前記スリップ走行モードのときに前記駆動源の回転数制御を行い、前記締結走行モードのときに前記駆動源のトルク制御を行う車両の制御装置であって、
    前記スリップ走行モードから前記締結走行モードへとモード遷移するとき、前記スリップ走行モードが開始されると、前記クラッチの伝達トルク容量指令値を、クラッチ出力軸への目標伝達トルクに設定し、前記駆動源を、前記クラッチの入力回転数と出力回転数の回転数差が所定の値を維持するように回転数制御を開始し、前記スリップ走行モードから前記締結走行モードへモード遷移すると、前記クラッチの伝達トルク容量指令値を、前記クラッチのスリップを許容しないロックアップ指令値とし、前記駆動源のトルク制御を開始する動作指令値演算処理手段を備え、
    前記動作指令値演算処理手段は、前記スリップ走行モードにおいて回転数制御するときに前記駆動源の回転上昇のためのイナーシャ分のトルクをイナーシャトルクというとき、前記締結走行モードにおいて、前記トルク制御による前記駆動源への駆動トルク指令値を、前記クラッチ出力軸への目標伝達トルクに、前記イナーシャトルクを加算した値とする
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両の制御装置において、
    前記駆動源と前記駆動輪との間の駆動伝達系に自動変速機を有し、
    前記クラッチを、前記駆動源と前記自動変速機の間に介装した第2クラッチとし、
    前記動作指令値演算処理手段は、前記駆動源の回転上昇のためのイナーシャ分のトルクであるイナーシャトルクを、前記自動変速機の目標変速比を使って演算するイナーシャトルク演算部を有する
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項2に記載された車両の制御装置において、
    前記自動変速機は、プライマリプーリとセカンダリプーリと両プーリに掛け渡されたベルトとを有し、前記スリップ走行モードであるか前記締結走行モードであるかにかかわらず変速比の無段階制御を継続するベルト式無段変速機であり、
    前記イナーシャトルク演算部は、前記ベルト式無段変速機の目標変速比とセカンダリプーリ回転数により算出されるプライマリ回転加速度と、前記駆動源の回転に伴うイナーシャと、の積により前記イナーシャトルクを演算する
    ことを特徴とする車両の制御装置。
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