以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の遊技機の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。
[パチンコ遊技機1の概略構成]
まず、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の一例の概略正面図である。図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2と所定の間隔を隔てて遊技盤2の表面側(図1の紙面手前側)に平行に配置された透明なガラス板(図示なし)を支持する部材であり、遊技盤2に対して蝶番(図示なし)を介して開閉可能に構成されると共に、遊技盤2に対して着脱可能に構成されている。
枠部材3に支持されたガラス板と遊技盤2との間には、遊技球が移動する遊技領域20が形成されている。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計回りに回転させると、ハンドル31の回転角度に応じた打球力で発射装置(図示なし)から遊技球が発射される。遊技盤2には、発射装置から発射された遊技球を遊技領域20へ案内するガイド部材(図示なし)が設けられており、遊技球は、このガイド部材によって遊技領域20の上部位置へ案内される。遊技球は、遊技領域20に配置された遊技クギや風車等(図示なし)に接触することでその移動方向を変化させながら、遊技盤2の表面に沿って落下する。
遊技領域20には、入賞や抽選に関する役物として、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、普通入賞口24、及びゲート25が設けられている。また、遊技領域20における大入賞口23の下方には、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24のいずれにも入らなかった遊技球を遊技領域20の外へ排出する排出口26が設けられている。
第1始動口21及び第2始動口22は、後述する液晶表示器5の下方に設けられている。第1始動口21及び第2始動口22は、第1始動口21を第2始動口22の上側として所定の間隔を隔てて上下に並んで配置されている。パチンコ遊技機1では、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞することで、大当たり抽選が実行される。なお、以下の説明では、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を第1特別図柄抽選と呼び、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を第2特別図柄抽選と呼び、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選を総称して特別図柄抽選と呼ぶものとする。
第1始動口21と第2始動口22との間には、チューリップの花を模した一対の羽根部材を有する電動チューリップ27が配置されている。電動チューリップ27は、一対の羽根部材が閉じた閉姿勢(図1参照)と、一対の羽根部材が開いた開姿勢(図示なし)との間で姿勢変化可能に構成されており、電動ソレノイド(図示なし)が作動することによって姿勢変化する。
電動チューリップ27の一対の羽根部材が閉姿勢の状態では、第1始動口21を構成する部材及び電動チューリップ27によって第2始動口22への遊技球の進入経路が塞がれており、遊技球が第2始動口22へ入ることはない。これに対して、遊技球がゲート25を通過すると、普通図柄抽選(電動チューリップ27の開閉抽選)が実行され、この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ27の一対の羽根部材が規定時間だけ開姿勢を維持した後に閉姿勢に戻る動作が規定回数行われる。このように、普通図柄抽選に当選することで、第2始動口22への進入経路が開放されて、遊技球が第2始動口22に入賞可能となる。つまり、第2特別図柄抽選の実行が可能な状態となる。なお、電動チューリップ27の動作に関する規定時間及び規定回数は、パチンコ遊技機1の遊技状態に応じて変更されることがある。
普通入賞口24は、ゲート25の下方に配置されている。普通入賞口24に遊技球が入賞した場合、抽選は実行されないが、第1始動口21や第2始動口22に遊技球が入賞した場合よりも多い賞球が払い出される。
大入賞口23は、第2始動口22の下方に配置されている。大入賞口23は、特別図柄抽選の結果に応じて開放される。大入賞口23の開口部には、大入賞口23を開閉するプレートが設けられている。特別図柄抽選に当選していない状態では、このプレートが遊技盤2の表面と同一平面を形成する姿勢となっているために、大入賞口23に遊技球が入らない。これに対して、特別図柄抽選に当選すると、プレートの下端側を軸としてプレートの上端側が遊技盤2の表面側へ傾倒して、大入賞口23が開放され、遊技球が入賞可能となる。
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入って入賞すると、入賞した場所に応じた個数の賞球(遊技球)が払い出される。例えば、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が1個入賞すると4個の賞球が払い出され、大入賞口23に遊技球が1個入賞すると13個の賞球が払い出され、普通入賞口24に遊技球が1個入賞すると10個の賞球が払い出される。なお、遊技球がゲート25を通過しても賞球が払い出されることはない。
遊技盤2の中央部には、演出のための各種の画像を表示する液晶表示器5及びEL表示器6が設けられている。液晶表示器5及びEL表示器6については、本発明の主要な構成であるため後に詳述する。
液晶表示器5と近接する位置には、各種の演出に用いられる盤ランプ8及び可動役物7が設けられている。盤ランプ8は、遊技者による遊技の進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。可動役物7は、遊技盤2に対して可動に構成されており、例えば内蔵された発光素子を発光させながら回動することによって各種の演出を行う。なお、本実施形態では、遊技盤2に対して可動に構成された装飾役物が可動役物7のみである場合について説明するが、更に他の可動役物が設けられていてもよい。
図2は、パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図である。図1及び図2に示すように、枠部材3には、上記ハンドル31及びレバー32の他に、停止ボタン33、取り出しボタン34、スピーカ35、枠ランプ36、演出ボタン37、演出キー38、及び皿39が設けられている。
皿39は、枠部材3からパチンコ遊技機1の正面側へ突出するように設けられており、上述の発射装置へ供給される遊技球を一時的に溜めるものである。この皿39には、上述のように払い出された賞球が排出される。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計回りに回転させると、皿39に溜められた遊技球が発射装置へ供給されて、遊技領域20へ所定の時間間隔で発射される。この発射は、遊技者が停止ボタン33を押下することによって一時的に停止される。
取り出しボタン34は、皿39と近接する位置に設けられている。遊技者が取り出しボタン34を操作すると、皿39の下面の一部が開口されて、皿39に溜まった遊技球が皿39の下方に配置された箱(図示なし)へ落下する。
スピーカ35は、楽曲や音声、効果音等を出力して音による演出を行う。枠ランプ36は、点灯又は点滅のパターンの変更、発光色の変更、光の照射方向の変更等の光による各種の演出を行う。
演出ボタン37及び演出キー38は、それぞれ、遊技者が演出等に関する操作入力を行うために設けられている。演出ボタン37は、皿39の横に設けられており、演出キー38は、中央キーと中央キーの周辺に配列された複数(ここでは4つ)の周辺キーとを有しており、演出ボタン37に隣接して配置されている。後述するが、遊技者が周辺キーのいずれかを押下することによって、EL表示器6を遊技盤2に対して移動させることができる。つまり、遊技者が演出キー38の周辺キーを操作することによって、EL表示器6の移動する方向(上下左右方向)を指示することができる。また、遊技者が演出キー38の周辺キーを操作することによって、例えば、液晶表示器5に表示された複数の選択肢の中からいずれかを選択指示することができる。このように、演出キー38は、遊技者が操作情報を入力するための入力手段として機能する。
図3は、図1における表示器4の拡大図である。表示器4は、特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する情報を表示する。図3に示すように、表示器4は、第1特別図柄表示器41、第2特別図柄表示器42、第1特別図柄保留表示器43、第2特別図柄保留表示器44、普通図柄表示器45、普通図柄保留表示器46、及び遊技状態表示器47を備えている。
第1特別図柄表示器41は、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として特別図柄を変動表示してから第1特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示する。第1特別図柄保留表示器43は、第1特別図柄抽選の保留数を表示する。第2特別図柄表示器42は、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として特別図柄を変動表示してから第2特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示する。第2特別図柄保留表示器44は、第2特別図柄抽選の保留数を表示する。普通図柄表示器45は、遊技球がゲート25を通過したことを契機として普通図柄を変動表示してから普通図柄抽選の結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留表示器46は、普通図柄抽選の保留数を表示する。遊技状態表示器47は、パチンコ遊技機1の電源投入時点における遊技状態(通常遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態等)を表示する。
以上ではパチンコ遊技機1の概略構成について説明したが、上述したパチンコ遊技機1の構成は単なる一例であって、遊技盤2の盤面構成(入賞や抽選に関する役物の配置)等は、適宜変更されてもよい。例えば本発明がいわゆる右打ちが必要なパチンコ遊技機に適用される場合には、大入賞口23やゲート25等を液晶表示器5に対して右側の遊技領域20に配置するといった変更が行われる。
[パチンコ遊技機1が行う特徴的な表示]
ところで、液晶表示器5は遊技者が視認し易い位置に固定されているので、長時間遊技を続けた場合に遊技者の視点が固定され易く、遊技が単調になるおそれがある。そこで、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、自動的に或いは遊技者による演出キー38の操作に基づいてEL表示器6を移動させ、液晶表示器5の液晶画面50(図1参照)に変動表示されている装飾図柄がEL表示器6のEL画面60を通して視認可能となったときに、この変動表示されている装飾図柄に関する情報をEL画面60に表示する。このことによって、パチンコ遊技機1は、遊技者の視点が固定されにくい効果的な演出及び情報の提供を行うことができる。
例えば図4(A)に例示するように、液晶画面50に変動表示されている装飾図柄をEL画面60を通して遊技者が視認可能な位置にEL表示器6が移動したときに、この変動表示されている装飾図柄の停止図柄がEL画面60に前もって表示される。図4(A)では、最初に停止する左側の装飾図柄(以下、第1装飾図柄という)が「4」で停止しており、2番目に停止する右側の装飾図柄(以下、第2装飾図柄という)が変動しており、3番目に停止する中央の装飾図柄(以下、第3装飾図柄という)が変動している状態において、変動中の第2装飾図柄上にEL画面60が位置して、変動中の第2装飾図柄が停止する図柄「3」がEL画面60に前もって表示されている。
また、例えば図4(B)に例示するように、第1装飾図柄と第2装飾図柄が同じ図柄で停止したリーチ状態において、液晶画面50に変動表示されている第3装飾図柄をEL画面60を通して遊技者が視認可能な位置にEL表示器6が移動したときに、この変動表示されている第3装飾図柄が第1装飾図柄及び第2装飾図柄と同じ図柄で停止する(つまり、大当たりする)確率がEL画面60に表示される。図4(B)では、第1装飾図柄及び第2装飾図柄が「7」で停止しており、第3装飾図柄が変動しているリーチ状態において、変動中の第3装飾図柄上にEL画面60が位置して、変動中の第3装飾図柄が「7」で停止して大当たりする確率(15%)がEL画面60に表示されている。このことによって、液晶画面50だけでは表現できない特別な態様で装飾図柄の変動表示を伴う演出を遊技者に提供できるので、遊技者の視点が固定されにくく興趣性の高い効果的な演出を行うことができる。
以下では、このような効果的な表示演出を実現させるためのパチンコ遊技機1の構成及び動作について説明する。
[液晶表示器5の構成]
液晶表示器5は、遊技盤2を支持するパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。このため、液晶表示器5は、遊技盤2に対して固定されている。液晶表示器5としては、例えば垂直方向11の画素数が「600」で、水平方向12の画素数が「800」という画面解像度(垂直画素数×水平画素数)の液晶画面50を有する液晶ディスプレイが使用される。液晶表示器5は、後述する画像音響制御部140(図11参照)から出力される画像を液晶画面50に表示する。液晶画面50には、例えば、特別図柄抽選の結果を報知するための装飾図柄、予告演出を行うキャラクタやアイテム、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像等のオブジェクトが表示される。
図5は、液晶画面50の概略構成を示す図である。図5に示すように、液晶画面50は、多数の画素ユニット51を有している。画素ユニット51は、垂直方向11に600個、水平方向12に800個並んで配置されているが、説明の便宜上、図5(A)では、実際よりも少なく画素ユニット51が表記されている。
画素ユニット51は、カラー液晶素子52及び光センサ56を有している。カラー液晶素子52は、光の3原色のそれぞれの色を表示するR(Red)色液晶素子53、G(Green)色液晶素子54、及びB(Blue)色液晶素子55から構成されている。光センサ56は、液晶画面50の前方から入射する光を検知する受光素子であり、R色液晶素子53、G色液晶素子54、及びB色液晶素子55と隣接して配置されている(図5(B)参照)。このように、光センサ56は、各カラー液晶素子52のそれぞれに近接配置されている。
光センサ56が光を受光すると、受光した光の輝度に応じた電気信号が生成される。液晶画面50が有する各光センサ56は、後述する演出制御部130(図11参照)に接続されており、各光センサ56で生成された電気信号は演出制御部130に出力される。演出制御部130は、各光センサ56から出力される電気信号に基づいて、EL表示器6のEL画面60の位置を検出する。具体的には、後述するEL表示器6のフレーム61(図7参照)は、液晶表示器5の液晶画面50と対向する面が黒色であり、このことによって、液晶画面50において、フレーム61によって覆われた領域に位置する光センサ56からは、フレーム61によって覆われていない領域に位置する光センサ56から出力される電気信号とは異なるレベルの電気信号が出力される。図6には、液晶表示器5の液晶画面50に対してEL表示器6のEL画面60が左下方に位置したときにフレーム61によって覆われた領域16(ハッチングされた領域)が示されている。演出制御部130は、各光センサ56から出力される電気信号のレベルの違いに基づいてフレーム61の位置を検出ことによって、EL画面60の位置を検出できる。
図5(B)に示すように、画素ユニット51には、画素ユニット51と隣接する他の画素ユニットとを区画する外壁57、及び画素ユニット51を構成するカラー液晶素子52と光センサ56とを区画する内壁58が設けられている。外壁57は、カラー液晶素子52及び光センサ56の外側を囲み、且つ画素ユニット51の基部から液晶画面50の前方へ向けて突出するように形成されている。内壁58は、カラー液晶素子52と光センサ56との間に画素ユニット51の基部から液晶画面50の前方へ向けて突出するように形成されている。この外壁57及び内壁58が設けられていることによって、光センサ56に対して近接するカラー液晶素子52から光が直接入射することが防止される。このことによって、液晶画面50の前方から入射する光は各光センサ56で正確に検知されて、EL表示器6の位置が精度良く検出される。
[EL表示器6の構成]
EL表示器6は、液晶表示器5の前面側に液晶画面50と所定の間隔を隔てて配置されており、後述する駆動機構10を介して伝達される第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動力を受けて液晶画面50の表面に沿って上下左右に移動可能である。本実施形態におけるEL表示器6は、透明なEL画面60に画像を単色表示する透明ELディスプレイである。EL画面60は、樹脂製のフレーム61に形成された開口部に嵌め込まれることによってフレーム61に固定されている。EL画面60としては、例えば垂直方向11の画素数が「240」で、水平方向12の画素数が「320」という画面解像度を有するものが使用される。したがって、液晶表示器5及びEL表示器6は、EL画面60よりも液晶画面50の方が画面解像度が大きくなるように構成されている。
EL表示器6として透過型のELディスプレイが使用されるので、EL画面60に画像が表示された状態であっても、遊技者はEL表示器6の裏面側に位置するオブジェクト(液晶画面50に表示されたキャラクタやアイテムといったオブジェクト、可動役物7等)をEL画面60を通して視認できる。なお、EL表示器6のフレーム61の裏面(液晶画面50と対向する面)は、上述のように、黒色である。
[駆動機構10の構成及び動作]
次に、図7〜図10を用いて、EL表示器6を移動させる駆動機構10について説明する。図7は、駆動機構10の構成を示す斜視図であり、液晶画面50に表示された装飾図柄をEL画面60を通して視認可能な位置にEL表示器6が移動した状態の一例を示している。図8は、駆動機構10の構成を示す斜視図であり、可動役物7の一部をEL画面60を通して視認可能な位置にEL表示器6が移動した状態の一例を示している。図9は、駆動機構10の分解斜視図である。図10は、EL表示器6の拡大斜視図である。
駆動機構10は、EL表示器6を液晶表示器5の液晶画面50に沿って上下左右に移動させるものである。本実施形態において、駆動機構10は、第1ステッピングモータ29(図11参照)の駆動力をEL表示器6に伝達して、EL表示器6を液晶画面50に沿って垂直方向11(図1参照)に移動させる昇降駆動機構200と、第2ステッピングモータ30(図11参照)の駆動力をEL表示器6に伝達して、EL表示器6を液晶画面50に沿って水平方向12(図1参照)に移動させるスライド駆動機構220とから構成されている。
昇降駆動機構200は、大別して、第1支持部材201、ガイド部材202、ガイド部材203、第1回転軸204、第2回転軸205、第1駆動ベルト206、及び第2駆動ベルト207を備えている。
第1支持部材201は、水平方向12を長手方向とする薄い板状部材である。この第1支持部材201は、図1に示すように、液晶表示器5の液晶画面50の手前に配置されるため、液晶画面50に表示された画像の視認性の低下を最低限に抑えるために、透明な樹脂で形成されている。EL表示器6のフレーム61には、水平方向12に貫通する挿通孔62(図9及び図10参照)が形成されており、第1支持部材201は、挿通孔62に挿通されることによってフレーム61を水平方向12へ移動可能に支持する。
図10に示すように、第1支持部材201は、その一端側に連結部材194が固定されると共に、その他端側に連結部材197が固定されている。連結部材194は、ガイド部材202(図9参照)が挿通される円筒状の挿通孔195と、第1駆動ベルト206(図9参照)を挟持する挟持片196とを有している。ガイド部材202は、断面外形が円形の棒状部材であり、その長手方向が垂直方向11と一致するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。ガイド部材202の外径寸法は、挿通孔195の内径寸法よりも若干小さく設定されており、連結部材194は、挿通孔195にガイド部材202が挿通されることによって、垂直方向11へ移動可能にガイド部材202によって支持される。
連結部材197は、連結部材194と同形状の部材であって、ガイド部材203(図9参照)が挿通される挿通孔198と、第2駆動ベルト207(図9参照)を挟持する挟持片199とを有している。ガイド部材203は、ガイド部材202と同形状の部材であって、ガイド部材202と所定の間隔を隔てて対向するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。連結部材197は、挿通孔198にガイド部材203が挿通されることによって、垂直方向11へ移動可能にガイド部材203によって支持される。
このように連結部材194及び連結部材197がガイド部材202及びガイド部材203に支持されているので、第1支持部材201は、垂直方向11へスライド可能である。
ガイド部材202,203の上側に第1回転軸204が設けられると共に、ガイド部材202,203の下側に第2回転軸205が設けられている(図7及び図8参照)。第1回転軸204及び第2回転軸205は、それぞれ軸方向が水平方向12と一致するように、軸受け(図示なし)に回転可能に支持されている。図9に示すように、第1回転軸204は、その一端側にギヤ212及びプーリ208が固定されると共に、その他端にプーリ209が固定されている。第2回転軸205は、その一端にプーリ210が固定されると共に、その他端にプーリ211が固定されている。
プーリ208とプーリ210との間には、内側に歯(ギヤ形状)が形成された無端環状の第1駆動ベルト206が張り渡されている。プーリ209とプーリ211との間には、第1駆動ベルト206と同じ構成の第2駆動ベルト207が張り渡されている。
第1回転軸204のギヤ212(図7参照)には、第1ステッピングモータ29(図11参照)の駆動力が入力される。これにより、ギヤ212が固定された第1回転軸204が回転する。プーリ208〜211の外周には、第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207の歯(ギヤ形状)と噛合する歯(ギヤ形状)が形成されており、第1回転軸204の回転力がプーリ208,209を介して第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207に伝達される。その結果、第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207が同期して周運動すると共に、第1回転軸204及び第2回転軸205が同期回転する。この第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207には、第1支持部材201の両端に固定された連結部材194,197が挟持片196,199によって固定されているので、第1ステッピングモータ29の駆動力が第1支持部材201にも伝達されて、第1支持部材201に支持されたEL表示器6が垂直方向11へ移動する。なお、第1ステッピングモータ29の回転方向を正回転又は逆回転に切り換えることで、垂直方向11におけるEL表示器6の移動方向を切り換えることができる。
一方、スライド駆動機構220は、大別して、第2支持部材221、ガイド部材222、ガイド部材223、第1回転軸224、第2回転軸225、第1駆動ベルト226、及び第2駆動ベルト227を備えている。
第2支持部材221は、垂直方向11を長手方向とする薄い板状部材である。この第2支持部材221は、第1支持部材201と同様に、透明な樹脂で形成されている。EL表示器6のフレーム61には、垂直方向11に貫通する挿通孔63(図9及び図10参照)が形成されており、第2支持部材221は、挿通孔63に挿通されることによってフレーム61を垂直方向11へ移動可能に支持する。
図10に示すように、第2支持部材221は、その一端側に連結部材214が固定されると共に、その他端側に連結部材217が固定されている。連結部材214は、ガイド部材222(図9参照)が挿通される円筒状の挿通孔215と、第2駆動ベルト227(図9参照)を挟持する挟持片216とを有している。ガイド部材222は、断面外形が円形の棒状部材であり、その長手方向が水平方向12と一致するように、パチンコ遊技機1の筐体に固定されている。ガイド部材222の外径寸法は、挿通孔215の内径寸法よりも若干小さく設定されており、連結部材214は、挿通孔215にガイド部材222が挿通されることによって、水平方向12へ移動可能にガイド部材222によって支持される。
連結部材217は、連結部材214と同形状の部材であって、ガイド部材223(図9参照)が挿通される挿通孔218と、第1駆動ベルト226(図9参照)を挟持する挟持片219とを有している。ガイド部材223は、ガイド部材222と同形状の部材であって、ガイド部材222と所定の間隔を隔てて対向するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。連結部材217は、挿通孔218にガイド部材223が挿通されることによって、水平方向12へ移動可能にガイド部材223によって支持される。
このように連結部材214及び連結部材217がガイド部材222及びガイド部材223に支持されているので、第2支持部材221は、水平方向12へスライド可能である。
水平方向12におけるガイド部材222,223の外側に、第1回転軸224及び第2回転軸225が設けられている(図7及び図8参照)。第1回転軸224及び第2回転軸225は、それぞれ軸方向が垂直方向11と一致するように、軸受け(図示なし)に回転可能に支持されている。図9に示すように、第1回転軸224は、その一端側にギヤ232及びプーリ228が固定されると共に、その他端にプーリ229が固定されている。第2回転軸225は、その一端にプーリ230が固定されると共に、その他端にプーリ231が固定されている。
プーリ228とプーリ230との間には、内側に歯(ギヤ形状)が形成された無端環状の第1駆動ベルト226が張り渡されている。プーリ229とプーリ231との間には、第1駆動ベルト226と同じ構成の第2駆動ベルト227が張り渡されている。
第1回転軸224のギヤ232(図7参照)には、第2ステッピングモータ30(図11参照)の駆動力が入力される。これにより、ギヤ232が固定された第1回転軸224が回転する。プーリ228〜231の外周には、第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227の歯(ギヤ形状)と噛合する歯(ギヤ形状)が形成されており、第1回転軸224の回転力がプーリ228,229を介して第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227に伝達される。その結果、第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227が同期して周運動すると共に、第1回転軸224及び第2回転軸225が同期回転する。この第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227には、第2支持部材221の両端に固定された連結部材214,217が挟持片216,219によって固定されているので、第2ステッピングモータ30の駆動力が第2支持部材221にも伝達されて、第2支持部材221に支持されたEL表示器6が水平方向12へ移動する。なお、第2ステッピングモータ30の回転方向を正回転又は逆回転に切り換えることで、水平方向12におけるEL表示器6の移動方向を切り換えることができる。
このように、EL表示器6は、昇降駆動機構200によって垂直方向11へ移動し、スライド駆動機構220によって水平方向12へ移動する。なお、本実施形態では、演出キー38から入力される操作情報に応じてEL表示器6が移動するので、遊技者は、所望の位置へEL表示器6を移動させることができる。なお、第1支持部材201及び第2支持部材221を除く駆動機構10の各構成部材は、液晶表示器5等が設けられた領域と遊技領域20とを区画する化粧カバー14(図1参照)によって覆われているために、図1には現れていない。
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
遊技盤2の裏面側(図1の紙面奥側)には、賞球として払い出される遊技球を溜めておく球タンク(図示なし)の他に、パチンコ遊技機1の動作を制御する制御装置(図示なし)が設けられている。この制御装置は、メイン基板及びサブ基板を有している。メイン基板は、内部抽選や当選の判定等を行う遊技制御部100(図11参照)として機能するメイン制御基板、賞球の払い出しを制御する払出制御部120として機能する払出制御基板等から構成されている。このメイン基板は、メイン基板が改変された場合にその痕跡が残るように、透明部材で構成されたケース内に密閉状態で配置されている。一方のサブ基板は、演出を統括的に制御する演出制御部130として機能する演出制御基板、画像や音による演出を制御する画像音響制御部140として機能する画像音響制御基板、及び各種のランプ(枠ランプ36や盤ランプ8等)や可動役物7による演出を制御するランプ制御部150として機能するランプ制御基板等から構成されている。
以下、図11を参照して、パチンコ遊技機1の制御装置の構成について説明する。図11は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図11に示すように、パチンコ遊技機1の制御装置は、遊技制御部100、払出制御部120、演出制御部130、画像音響制御部140、及びランプ制御部150を備えている。
[遊技制御部100の構成及び主な機能]
遊技制御部100は、CPU101、ROM102、及びRAM103を備えている。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、内部抽選や当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。ROM102には、上記プログラムの他に、第1特別図柄抽選の最大保留数、第2特別図柄抽選の最大保留数等が記憶されている。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
遊技制御部100は、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞すると特別図柄抽選(大当たり抽選)を実行し、この特別図柄抽選で当選したか否か、及び当選した場合当選した大当たりの種類等を示す判定結果データを演出制御部130へ送信する。また、遊技制御部100は、特別図柄抽選に応じて決定した当選確率の変動設定(例えば1/300から1/30への変動設定)を示すデータ、特別図柄変動時間の短縮設定を示すデータ等のパチンコ遊技機の遊技状態を示す情報を演出制御部130へ送信する。
遊技制御部100は、電動チューリップ27の羽根部材が開姿勢となる開時間、羽根部材が開閉する回数、及び羽根部材が閉じてから次に開くまでの時間間隔を制御する。また、遊技制御部100は、遊技球が第1始動口21又は第2始動口22へ入賞したことによる特別図柄抽選の保留数、及び遊技球がゲート25を通過したことによる普通図柄抽選(電動チューリップ27の開閉抽選)の保留数を管理する。
遊技制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口23の開閉動作を制御する。例えば、所定条件(例えば、大入賞口23が開いてから30秒が経過、又は大入賞口23への10個の遊技球の入賞)を満たすまで、大入賞口23のプレートが突出傾倒して大入賞口23の開状態を維持するラウンドを所定回数(例えば15回)繰り返す。
遊技制御部100は、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入賞すると、入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを払出制御部120に指示する。払出制御部120が遊技制御部100の指示に応じて賞球の払い出しを行った場合、払い出された賞球の個数に関する情報が払出制御部120から遊技制御部100へ送られる。遊技制御部100は、払出制御部120から取得したこの情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。
これらの機能を実現するために、遊技制御部100には、第1始動口スイッチ(SW)111、第2始動口スイッチ(SW)112、電動チューリップ開閉部113、ゲートスイッチ(SW)114、大入賞口スイッチ(SW)115、大入賞口開閉部116、及び普通入賞口スイッチ(SW)117が接続されている。
第1始動口スイッチ111は、第1始動口21に遊技球が入賞したことを検出し、その検出信号を遊技制御部100へ送る。第2始動口スイッチ112は、第2始動口22に遊技球が入賞したことを検出し、その検出信号を遊技制御部100へ送る。電動チューリップ開閉部113は、例えば電動ソレノイドから成り、遊技制御部100からの制御信号に応じて、電動チューリップ27の一対の羽根部材を姿勢変化させる。ゲートスイッチ114は、遊技球がゲート25を通過したことを検出し、その検出信号を遊技制御部100へ送る。大入賞口スイッチ115は、大入賞口23に遊技球が入賞したことを検出し、その検出信号を遊技制御部100へ送る。大入賞口開閉部116は、例えば電動ソレノイドから成り、遊技制御部100からの制御信号に応じて、大入賞口23を開閉させる。普通入賞口スイッチ117は、普通入賞口24に遊技球が入賞したことを検出し、その検出信号を遊技制御部100へ送る。
また、遊技制御部100には、表示器4(図3参照)が接続されている。遊技制御部100は、第1特別図柄抽選の結果を第1特別図柄表示器41に表示させ、第1特別図柄抽選実行の保留数を第1特別図柄保留表示器43に表示させる。遊技制御部100は、第2特別図柄抽選の結果を第2特別図柄表示器42に表示させ、第2特別図柄抽選実行の保留数を第2特別図柄保留表示器44に表示させる。遊技制御部100は、普通図柄抽選の結果を普通図柄表示器45に表示させ、普通図柄抽選実行の保留数を普通図柄保留表示器46に表示させる。遊技制御部100は、パチンコ遊技機1の電源投入時に、遊技状態表示器47にパチンコ遊技機1の遊技状態を表示させる。
[払出制御部120の構成及び主な機能]
払出制御部120は、CPU121、ROM122、及びRAM123を備えている。CPU121は、ROM122に記憶されたプログラムに基づいて、賞球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。RAM123は、CPU121が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
払出制御部120は、遊技制御部100からの指示に基づいて、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球が皿39へ払い出されるように払出モータ125を制御する。ここで、払出モータ125は、遊技盤2の裏面側に配置された球タンクから遊技球を送り出すモータである。
払出制御部120には、払出モータ125の他に、払出球検出部126、球有り検出部127、及び満タン検出部128が接続されている。払出球検出部126は、払出モータ125により球タンクから皿39へ払い出された賞球の数を検出する。球有り検出部127は、球タンクにおける遊技球の有無を検出する。満タン検出部128は、皿39が遊技球で満タンになったことを検出する。払出制御部120は、払出球検出部126、球有り検出部127、及び満タン検出部128の検出結果に応じて所定の処理を実行する。
[演出制御部130の構成及び主な機能]
演出制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。CPU131は、ROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時(時刻)を計測する。
演出制御部130は、遊技制御部100から送られる特別図柄抽選の結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン37又は演出キー38からの操作情報の入力を受け付けて、その操作情報に応じた演出内容を設定する場合もある。また、演出制御部130は、演出の進行に応じて、又は演出キー38から入力される操作情報に応じて、画像音響制御部140を介してEL表示器6を移動させる。更に、演出制御部130は、特別図柄抽選の当選確率の変動設定を示すデータ、特別図柄抽選の変動時間の短縮設定を示すデータ等の遊技状態情報を遊技制御部100から受信した場合には、これらの遊技状態情報に応じて演出内容を設定する。演出制御部130は、このようにして設定した演出内容の演出実行を指示するコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。
演出制御部130には、液晶表示器5が備える光センサ56が接続されている。演出制御部130のCPU131は、各光センサ56から入力される電気信号に基づいてEL表示器6のEL画面60の位置を検出し、検出位置等に応じた画像を、画像音響制御部140を介してEL表示器6に表示させる。
[ランプ制御部150の構成及び主な機能]
ランプ制御部150は、CPU151、ROM152、及びRAM153を備えている。CPU151は、盤ランプ8、枠ランプ36及びボタンランプ40の発光、及び可動役物7の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM152には、CPU151によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM153は、CPU151が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
ランプ制御部150のCPU151は、ROM152に記憶されている発光パターンデータの中から、演出制御部130から送信されたコマンドに対応する発光パターンデータを読み出して、盤ランプ8、枠ランプ36、及び可動役物7の発光を制御する。また、CPU151は、演出制御部130から送信されたコマンドにEL表示器6の移動が可能な状態になったことを示す情報が含まれている場合に、遊技者に対して演出キー38の操作を促すために、演出キー38に内蔵されているボタンランプ40の発光を制御する。また、CPU151は、ROM152に記憶されている動作パターンデータの中から、演出制御部130から送信されたコマンドに対応する動作パターンデータを読み出して、可動役物7を動作させるモータ(図示なし)の回転を制御する。
ランプ制御部150は、演出制御部130から送信されたコマンドに演出キー38の操作情報が含まれていた場合、その操作情報に基づいて、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の回転を制御する。第1ステッピングモータ29は、その回転軸が昇降駆動機構200のギヤ212(図7参照)と噛合するように配置されており、第1ステッピングモータ29の駆動力がギヤ212に入力されることによって、EL表示器6が垂直方向11へ移動する。一方、第2ステッピングモータ30は、その回転軸がスライド駆動機構220のギヤ232(図7参照)と噛合するように配置されており、第2ステッピングモータ30の駆動力がギヤ232に入力されることによって、EL表示器6が水平方向12へ移動する。
[画像音響制御部140の構成及び主な機能]
図12は、画像音響制御部140の構成を例示するブロック図である。画像音響制御部140は、図12に示すように、各種演出の実行を指示するための制御信号を生成するCPU141と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を表現する画像を生成するVDP(Video Display Processor)142と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を実現するための音響データを生成する音響DSP(Digital Signal Processor)143とを備えている。
CPU141には、制御用ROM144、及びRAM145が接続されている。制御用ROM144には、CPU141によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM145は、CPU141が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。CPU141は、演出制御部130から受信したコマンドに基づいて、VDP142及び音響DSP143の動作を制御するための制御信号を生成して、その制御信号をVDP142及び音響DSP143に出力する。
音響DSP143には、音響用ROM146、及びSDRAM147が接続されている。音響用ROM146には、スピーカ35から出力させる楽曲や音声、効果音等に関する各種音響データが記憶されている。SDRAM147は、音響DSP143によるデータ処理等の作業領域として使用される。
音響DSP143は、CPU141によって生成された制御信号に対応する音響データを音響用ROM146からSDRAM147に読み出し、その音響データに対して必要なデータ処理を行う。そして、液晶画面50やEL画面60による画像表示と同期させて、又は画像表示とは非同期に、データ処理後の音響データを増幅器(図示なし)を介してスピーカ35に出力する。
VDP142は、CPU141から入力された制御信号に基づいて画像を描画して、液晶表示器5及びEL表示器6に出力する表示制御手段として機能する。VDP142は、CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、VRAM_RS1425、VRAM_FB1426、及び出力回路1427を備えている。
VDP142には、内部バス1428及び内部バス1429が設けられている。CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、及びVRAM_RS1425は、内部バス1428を介して通信可能に接続されている。また、描画エンジン1424、VRAM_FB1426、及び出力回路1427は、内部バス1429を介して通信可能に接続されている。
CPU I/F1421は、VDP142とCPU141とを通信可能に接続するインターフェースである。CPU141によって生成された制御信号は、CPU I/F1421を介してVDP142に入力される。ROM I/F1423は、画像用ROM148から画像データを読み出すためのインターフェースである。
画像用ROM148には、液晶表示器5及びEL表示器6に表示される演出画像を構成する素材となる素材データが記憶されている。具体的には、画像用ROM148には、装飾図柄や大当たり期待度の大きさに応じた演出を行うためのキャラクタ等に関する画像データ、液晶表示器5に背景画面として表示される背景画像に関する画像データ、「激アツ」、「7で停止は15%」等の文字に関する画像データといった素材データが記憶されている。これらの素材データによって、いわゆるスプライト機能が実現される。
VRAM_RS1425は、画像用ROM148から読み出された素材データを一時的に記憶する記憶領域又は描画エンジン1424が実行する描画処理などの作業領域として使用されるメモリである。なお、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)方式で符号化された画像データが画像用ROM148から読み出される場合には、デコーダ1422によって復号された画像データが素材データとしてVRAM_RS1425に格納される。VRAM_RS1425に格納された素材データは、描画エンジン1424が行う描画処理に使用される。このため、描画処理で頻繁に使用される素材データをVRAM_RS1425にバッファリングしておくことによって、描画エンジン1424による描画処理を効率良く実行することができる。
描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に基づいて、液晶表示器5の液晶画面50及びEL表示器6のEL画面60に表示すべき画像をVRAM_FB1426に描画する。具体的には、CPU141からの制御信号、及びVRAM_RS1425に格納された素材データに基づいて、各ピクセルの色を計算し、計算した色の値をVRAM_FB1426に書き込むレンダリング処理を行う。VRAM_FB1426に描画された画像は、1フレーム分の画像に対応する複数の画素データから構成されており、各画素データは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)を示す色情報と、画素の透過度を示すアルファ値とを含んでいる。出力回路1427は、VRAM_FB1426に描画された画像を所定の表示タイミングで液晶表示器5及びEL表示器6に出力して、液晶画面50及びEL画面60に画像を表示させる。なお、液晶表示器5のみを使用する場合には、描画エンジン1424は、液晶画面50に表示するための画像のみをVRAM_FB1426に描画して、出力回路1427がその画像を液晶表示器5に出力する。
図13は、VRAM_FB1426の構成について説明するための図である。図13に示すように、VRAM_FB1426は、描画エンジン1424によって描画される1フレーム分の画像をそれぞれ記憶する第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bを備えるダブルバッファ方式のメモリである。描画エンジン1424は、第1フレームバッファ1426A内の画像を液晶表示器5及びEL表示器6に出力している間には、次のフレームの画像を第2フレームバッファ1426Bに描画する。一方、第2フレームバッファ1426B内の画像を液晶表示器5及びEL表示器6に出力している間には、次のフレームの画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する。このように、描画エンジン1424は、一方のフレームバッファから画像を出力している間に他方のフレームバッファに描画処理を行うことで、高いフレームレートで描画処理を行うことができる。
ここで、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bは、本実施形態においては、いずれも垂直方向11に720ドット、水平方向12に960ドットの画素データを格納可能なメモリ領域を有している(図16(A)参照)。これに対して、液晶表示器5の液晶画面50に表示される画像(以下、メイン画像という)は、垂直方向11に600ドット、水平方向12に800ドットの画素データから構成されている(図16(A)参照)。このため、EL表示器6のEL画面60には画像を表示せずに液晶表示器5の液晶画面50にのみ画像を表示する場合には、何ら問題なく描画処理を行うことができる。しかしながら、EL表示器6のEL画面60に表示される画像(以下、サブ画像という)が垂直方向11に240ドット、水平方向12に320ドットの画素データから構成されており(図16(C)参照)、メイン画像及びサブ画像を並べて描画した場合に垂直方向11又は水平方向12の画素数が第1フレームバッファ1426Aに格納可能な画素データの画素数を超える。このため、そのままでは、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像及びサブ画像を一緒に描画することは不可能である。これは、第2フレームバッファ1426Bについても同様である。そこで、本実施形態に係るVDP142は、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した後にできる空き領域(図16(B)参照)にサブ画像を複数の領域に分割した状態で描画することによって、第1フレームバッファ1426A(又は第2フレームバッファ1426B)にメイン画像及びサブ画像を一緒に描画することを可能にしている。以下、このような描画処理を実現するためのパチンコ遊技機1の動作について詳細に説明する。なお、以下の説明では、第1フレームバッファ1426Aを使用して描画処理が行われる場合を例に説明するが、第2フレームバッファ1426Bを使用して描画処理を行う場合にも同様の処理が行われる。
[分割画像サイズ及び分割数の設定]
第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bには、メイン画像が描画された場合に、描画処理に使用されていない空き領域が生じる(図15(D)参照)。サブ画像は、この空き領域に描画されるが、この空き領域にそのまま描画できない場合には複数の領域に分割された分割画像としてこの空き領域に描画される。サブ画像を分割画像として描画する処理は、予め設定された分割画像サイズSS及び分割数SNに基づいて行われる。
以下、図14〜図16を参照して、分割画像サイズSS及び分割数SNを設定する処理について説明する。ここで、図14は、画像音響制御部140のCPU141によって実行される設定処理の一例を示すフローチャートである。図15は、メイン画像サイズ、サブ画像サイズ、フレームバッファサイズ、及び空き領域のサイズについて説明するための図である。図16は、画像音響制御部140のCPU141によって実行される設定処理について説明するための図である。なお、図14以降のフローチャートに基づいて説明する画像音響制御部140で行われる処理は、制御用ROM144に記憶されているプログラムに基づいてCPU141自身又はCPU141が発行する命令に従って行われる。
例えばパチンコ遊技機1の電源が投入されたときや、液晶表示器5を用いた1画面表示から液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示に切り替えられるとき等に、分割画像サイズSS及び分割数SNの設定処理を指示する設定指示コマンドが演出制御部130から画像音響制御部140へ送信される。これに対して、図14のステップS1において、画像音響制御部140のCPU141は、設定指示コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS1での判定がYESの場合、処理はステップS2に移る。一方、ステップS1での判定がNOの場合、ステップS1の処理が繰返されて待機状態となる。
ステップS2において、CPU141は、メイン画像サイズ、サブ画像サイズ、及びフレームバッファ(FB)サイズを取得する。具体的には、CPU141は、VDP142から第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのフレームバッファサイズを取得してRAM145に格納すると共に、液晶画面50の画面解像度及びEL画面60の画面解像度をメイン画像サイズ及びサブ画像サイズとしてVDP142を介して液晶表示器5及びEL表示器6から取得してRAM145に格納する。その後、処理はステップS3に移る。ここで、フレームバッファサイズは、図15(A)に示すように、第1フレームバッファ1426A(或いは第2フレームバッファ1426B)に格納可能な画素データの垂直方向11の画素数L1及び水平方向12の画素数C1を示す情報であり、本実施形態では720×960(垂直画素数L1×水平画素数C1)である(図16(A)参照)。メイン画像サイズは、図15(B)に示すように、メイン画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数L2及び水平方向12の画素数C2を示す情報であり、液晶画面50の画面解像度と等しく、本実施形態では600×800(垂直画素数L2×水平画素数C2)である(図16(A)参照)。サブ画像サイズは、図15(C)に示すように、サブ画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数L3及び水平方向12の画素数C3を示す情報であり、EL画面60の画面解像度と等しく、本実施形態では240×320(垂直画素数L3×水平画素数C3)である(図16(C)参照)。
ステップS3において、CPU141は、取得したメイン画像サイズ、及びフレームバッファサイズに基づいて、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した後に生じる空き領域のサイズを算出する。具体的には、CPU141は、以下の演算式を用いて、空き領域に描画可能な画素データの最低垂直画素数L4(図15(D)参照)、及び最低水平画素数C4(図15(D)参照)を算出する。
最低垂直画素数L4=垂直画素数L1−垂直画素数L2
最低水平画素数C4=水平画素数C1−水平画素数C2
本実施形態では、図16に示すように、垂直画素数L1が「720」であり、垂直画素数L2が「600」であるため、最低垂直画素数L4として「120」が算出され、水平画素数C1が「960」であり、水平画素数C2が「800」であるため、最低水平画素数C4として「160」が算出される(図16(B)参照)。その後、処理はステップS4に移る。
ステップS4において、CPU141は、以下の演算式を用いて、サブ画像を構成する画素データの総数ST、及び空き領域に描画可能な画素データの総数VTを算出し、総数STが総数VTよりも小さいか否かを判定する。
総数ST=垂直画素数L3×水平画素数C3
総数VT=垂直画素数L4×水平画素数C1+水平画素数C4×(垂直画素数L1−垂直画素数L4)
ここで、垂直画素数L3は、サブ画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数であり、水平画素数C3は、サブ画像を構成する画素データの水平方向12の画素数である。総数STが総数VTよりも小さければ、サブ画像をそのまま或いは分割して第1フレームバッファ1426Aに描画することができると判断できる。一方、総数STが総数VTよりも大きければ、サブ画像を分割したとしてもそのままの解像度では第1フレームバッファ1426Aに描画することはできないと判断できる。ステップS4での判定がYESの場合、処理はステップS5に移る。一方、ステップS4での判定がNOの場合、処理はステップ9に移る。
ステップS5において、CPU141は、サブ画像を空き領域に描画するためにサブ画像を分割する必要があるか否かを判定する。具体的には、CPU141は、サブ画像を構成する画素データの垂直画素数L3(図15(C)参照)が空き領域の最低垂直画素数L4(図15(D)参照)よりも小さいか、又はサブ画像を構成する画素データの水平画素数C3(図15(C)参照)が空き領域の最低水平画素数C4(図15(D)参照)よりも小さいかの少なくとも一方の条件を満たしているか否かを判定する。ここで、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4よりも小さい場合、又は水平画素数C3が最低水平画素数C4よりも小さい場合は、サブ画像を分割することなく空き領域に描画することが可能であると判定できる。一方、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4よりも大きく且つ水平画素数C3が最低水平画素数C4よりも大きい場合は、サブ画像を空き領域にそのまま描画できないので、サブ画像を分割して描画する必要があると判定できる。このように、CPU141は、空き領域のサイズ、及びサブ画像サイズに基づいて、サブ画像の分割の必要性を判定する。ステップS5での判定がYESの場合、処理はステップS7に移る。一方、ステップS5での判定がNOの場合、処理はステップS6に移る。
ステップS6において、CPU141は、分割数SNを「0」に設定する。ここで、分割数SNは、空き領域に描画される分割画像の数を示す情報である。言い換えれば、分割数SNは、サブ画像を構成する分割画像の数を示す情報である。ステップS6で設定された分割数SNは、設定情報としてRAM145に格納される。この設定情報は、VDP142へ出力される制御信号に含められて、VDP142へと送られる。後に詳述するが、分割数SNが「0」に設定された場合、空き領域には分割画像が描画されず、サブ画像がそのまま描画されることになる。
一方、ステップS7において、CPU141は、空き領域サイズ及びサブ画像サイズに基づいて、分割画像サイズSS及び分割数SNを算出する。ここで、分割画像サイズSSは、サブ画像が分割数SNで示される個数の分割画像に分割された場合に、1個の分割画像のサイズ(垂直画素数、及び水平画素数)を示す情報である。ステップS7では、以下の演算式を用いて、分割画像サイズSS(分割画像の垂直画素数SSLと分割画像の水平画素数SSC)及び分割数SNを算出する。
分割画像の垂直画素数SSL=最低垂直画素数L4
分割画像の水平画素数SSC=最低水平画素数C4
分割数SN=(垂直画素数L3/最低垂直画素数L4)×(水平画素数C3/最低水平画素数C4)
図16(B)及び(C)に示すように、本実施形態では、最低垂直画素数L4として「120」が算出され、最低水平画素数C4として「160」が算出される。このため、ここでの分割画像サイズSSは、120×160(垂直画素数SSL×水平画素数SSC)となる。また、分割数SNは、(240/120)×(320/160)により「4」となる。その後、処理はステップS8に移る。
ステップS8において、CPU141は、ステップS7で算出した分割画像サイズSS及び分割数SNを設定情報としてRAM145に格納する。この設定情報は、VDP142へ出力される制御信号に含められて、VDP142へと送られる。なお、ステップS8の設定処理に代えてステップS6の設定処理が行われた場合には、サブ画像を分割する必要がないので分割画像サイズSSは算出されず、設定情報として、分割数SNが「0」であることを示す情報のみがVDP142へ送られる。
ここで、分割画像サイズSS及び分割数SNを変化させた場合の分割画像サイズSSと空き領域サイズとの関係について、図16(C)に基づいて説明する。垂直画素数L3が「240」であり水平画素数C3が「320」であるサブ画像に対して、仮に分割数SNが「0」に設定された場合(ステップS6の処理が行われた場合)、図16(B)及び図16(C)から明らかなように、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4を超え且つ水平画素数C3が最低水平画素数C4を超えているので、第1フレームバッファ1426Aの空き領域にサブ画像をそのまま描画することはできない。
また、仮に分割数SNが「2」に設定された場合、サブ画像を垂直画素数が「240」で水平画素数が「160」である2個の分割画像として空き領域に描画する第1の方法と、サブ画像を垂直画素数が「120」で水平画素数が「320」である2個の分割画像として空き領域に描画する第2の方法とが考えられる(図16(C)の真ん中の図を参照)。しかしながら、第1の方法でサブ画像を描画することを考えた場合、空き領域内の垂直方向11に延びる領域(図16(B)参照)に2個の分割画像を描画することは可能であるが、空き領域内の水平方向12に延びる領域に分割画像を描画することはできない。なぜなら、分割画像の垂直画素数「240」が、空き領域の最低垂直画素数L4(=120)を超えているからである。また、第2の方法でサブ画像を描画することを考えた場合、空き領域内の横方向に延びる領域(図16(B)参照)に2個の分割画像を描画することは可能であるが、空き領域内の垂直方向11に延びる領域に2個の分割画像を描画することはできない。なぜなら、分割画像の水平画素数「320」が、空き領域の最低水平画素数C4(=160)を超えているからである。このように、本実施形態で例示したサブ画像を分割画像として空き領域に描画する際に分割数SNを「2」に設定すると、分割画像を描画する位置によっては、分割画像を空き領域に描画できないケースが生じ得る。
これに対して、上述のように分割数SNが「4」に設定された場合、図16(B)及び図16(C)の右側の図から明らかなように、垂直画素数SSLが空き領域の最低垂直画素数L4と同じ「120」に設定され、且つ水平画素数SSCが空き領域の最低水平画素数C4と同じ「160」に設定される。そして、この分割画像サイズSSの分割画像が空き領域に4個描画されることになる。この場合、各分割画像は、空き領域内の垂直方向11に延びる領域と水平方向12に延びる領域とのいずれにも描画可能である。したがって、分割数SNが「2」に設定された場合とは異なり、分割画像を描画する位置によって空き領域に分割画像を描画できないケースが生じることはない。このように、分割数SN及び分割画像サイズSSは、分割画像をどのような配列で空き領域に描画したとしても確実に空き領域に収まるように、適切な値に設定される。
一方、ステップS4において総数STが総数VTよりも大きいと判定された場合(ステップS4でNO)、たとえサブ画像を分割したとしても、サブ画像を構成する全ての画素データを空き領域に描画することは不可能である。このため、CPU141は、総数STが総数VTよりも大きいと判定した場合(ステップS4でNO)、CPU141は、ステップS9において縮小倍率を算出して、その後、ステップS10において、算出された縮小倍率を設定情報としてRAM145に格納する。そして、ステップS7,S8へ処理が進められて、分割画像サイズSS及び分割数SNが設定される。
ここで、縮小倍率の設定方法について説明する。例えばステップS9で縮小倍率が「0.5」に設定された場合、垂直画素数L3が「240」であり水平画素数C3が「320」であるサブ画像(図16(C)の左側の図を参照)が、垂直画素数L3が「120」(=240×0.5)であり水平画素数C3が「160」(=320×0.5)であるサブ画像として、ステップS7,S8の処理が行われる。この場合、描画処理に際して、VRAM_RS1425上で垂直方向11及び水平方向12の画素数を1/2にしたサブ画像が生成されて、そのサブ画像が、分割画像サイズSS及び分割数SNに基づく分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画されることになる。そして、これらの分割画像は、垂直方向11及び水平方向12の画素数を2倍にするスケーリング処理(拡大処理)が描画エンジン1424によって行われてからEL表示器6へ出力される。これにより、分割したとしても空き領域に描画できないサブ画像を空き領域に描画することが可能になる。したがって、空き領域サイズに対して画面解像度が大きい画像表示器を備えるパチンコ遊技機において、従来の描画処理ではその画像表示器に画像を表示することができないという問題を、分割画像サイズSS及び分割数SNに加えて縮小倍率を設定することで解決できる。
なお、縮小倍率は、例えば縮小後のサブ画像の総画素数(=垂直画素数×水平画素数)が、空き領域に描画可能な画素データの総数VT以下(好ましくは総数VTより所定数以上小さい値)となるように設定すればよい。これにより、サブ画像を分割画像として空き領域に描画することが可能となる。ただし、縮小倍率を小さくし過ぎると、スケーリング処理の結果としてEL表示器6に表示される画像の画質が低下するおそれがあるので、縮小倍率は、縮小後のサブ画像の総画素数が総数VTを超えない範囲で、できるだけ大きな値に設定することが好ましい。
以上に説明した図14のフローチャートに基づく設定処理が行われることにより、第1フレームバッファ1426Aへのメイン画像及びサブ画像の描画に際してサブ画像の縮小が必要か否かを示す情報、縮小が必要な場合には縮小倍率、サブ画像の分割が必要か否かを示す情報、分割が必要な場合には分割画像サイズSS及び分割数SN(分割数SN=0の場合は分割数SNのみ)が、設定情報としてRAM145に格納される。後述する描画エンジン1424による2画面表示のための描画処理は、この設定情報に基づいて実行される。
CPU141は、液晶表示器5のみを用いた1画面表示を実行する際には、上記設定処理によってRAM145に格納した設定情報を含まない制御信号をVDP142へ出力する。これにより、VRAM_FB1426にメイン画像のみが描画されて、液晶表示器5のみを用いた1画面表示が行われる。一方、液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示を実行する際には、CPU141は、設定情報を含む制御信号をVDP142へ出力する。これにより、VRAM_FB1426にメイン画像及びサブ画像が描画されて、液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示が行われる。このように、CPU141が設定情報を含まない制御信号と設定情報を含む制御信号とを切り換えて出力することにより、VDP142が描画処理を適切に行うことができる。また、上記設定処理が行われることにより、例えばEL表示器6のリユースによってEL画面60の画面解像度、すなわちサブ画像サイズが変化した場合でも、第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426Bの空き領域へのサブ画像の描画を適切に行うことができる。
[遊技制御部100の主要動作]
次に、遊技制御部100の主要動作について簡単に説明する。図17は、遊技制御部100によって行われる主要動作の一例を示すフローチャートである。遊技制御部100は、電源投入時や電源遮断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、図17に示す一連の処理を一定時間(例えば4ミリ秒)毎に繰り返し実行する。なお、図17以降のフローチャートに基づいて説明する遊技制御部100の処理は、ROM102に記憶されているプログラムに基づいてCPU101自身又はCPU101が発行する命令に従って行われる。
まず、ステップS11の乱数更新処理において、遊技制御部100は、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、及び普通図柄乱数等の各種の乱数の更新を行う。ここで、大当たり乱数は、特別図柄抽選の当選(大当たり)又は落選(ハズレ)を決定するための乱数である。図柄乱数は、特別図柄抽選に当選した場合に、当たりの種類(特別図柄抽選の当選確率が上昇(確変)するか否か、時短遊技状態に移行するか否か等)を決定するための乱数である。リーチ乱数は、特別図柄抽選に落選した場合に、リーチ有りの演出を行うか或いはリーチ無しの演出を行うかを決定するための乱数である。変動パターン乱数は、特別図柄が表示器4に変動表示される際の変動パターン(変動時間)を決定するための乱数である。普通図柄乱数は、普通図柄抽選(電動チューリップ27の開閉抽選)の当選又は落選を決定するための乱数である。大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、及び普通図柄乱数等の値は、ステップS11の処理が行われる毎に「1」加算される。そして、各抽選が行われた時点の乱数値が、ステップS12の始動口スイッチ(SW)処理やステップS13のゲートスイッチ(SW)処理で取得され、ステップS14の特別図柄処理やステップS15の普通図柄処理で使用される。なお、このステップS11の処理を行うカウンタには典型的にはループカウンタが使用され、各乱数値は最大値に達した後に再び「0」に戻る。
次に、ステップS12の始動口スイッチ(SW)処理において、遊技制御部100は、特別図柄抽選に使用される乱数(大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数)を取得等する処理を実行する。具体的には、遊技制御部100は、第1始動口スイッチ111及び第2始動口スイッチ112の状態を監視する。そして、遊技制御部100は、第1始動口スイッチ111から遊技球の検出信号が出力された場合、第1特別図柄抽選の保留数を例えば4を上限として1づつ加算し、第1特別図柄抽選に使用される乱数(大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数)を取得する。また、遊技制御部100は、第2始動口スイッチ112から遊技球の検出信号が出力された場合、第2特別図柄抽選の保留数を例えば4を上限として1づつ加算し、第2特別図柄抽選に使用される乱数(大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数)を取得する。
次に、ステップS13のゲートスイッチ(SW)処理において、遊技制御部100は、ゲートスイッチ114の状態を監視し、遊技球がゲート25を通過してゲートスイッチ114から検出信号が出力された場合に、普通図柄抽選の保留数を例えば4を上限として1づつ加算し、ステップS15の普通図柄処理で使用される普通図柄乱数を取得する。
次に、ステップS14の特別図柄処理において、遊技制御部100は、特別図柄抽選(大当たり抽選)を実行し、表示器4に特別図柄を変動表示してから特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示すると共に、演出制御部130に対して、特別図柄抽選の結果に基づいた演出を指示するための処理等を実行する。
具体的には、遊技制御部100は、ステップS12で取得した大当たり乱数がROM102に予め格納されている所定の当選値と一致するか否かに基づいて、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選で大当たりしたか否かを判定し、実行した抽選の保留数を1減算する。そして、大当たりしたと判定した場合、遊技制御部100は、ステップS12で大当たり乱数と同時に取得した図柄乱数がROM102に予め格納されている所定の値のいずれと一致するかに基づいて、大当たりの種類(例えば確変大当たりか通常大当たりか)を判定する。一方、大当たりしていないと判定した場合(つまり、ハズレたと判定した場合)、遊技制御部100は、ステップS12で大当たり乱数と同時に取得したリーチ乱数がROM102に予め格納されている所定の値のいずれと一致するかに基づいて、リーチ演出のあるハズレ演出を行うのか、或いはリーチ演出の無いハズレ演出を行うのかを決定する。また、遊技制御部100は、ステップS12で大当たり乱数と同時に取得した変動パターン乱数がROM102に予め格納されている所定の値のいずれと一致するかに基づいて、表示器4に表示させる特別図柄の変動時間(変動パターン)を決定する。
その後、遊技制御部100は、遊技制御部130に対して装飾図柄の変動を伴う演出(以下、装飾図柄変動演出という)の開始を指示する変動演出開始コマンドを、RAM103にセットし、併せて、表示器4に特別図柄の変動表示を開始させる。なお、変動演出開始コマンドには、特別図柄処理で決定した情報(大当たりしたか否か、大当たりの場合大当たりの種類、ハズレの場合リーチ演出を行うか否か、特別図柄の変動時間(つまり装飾図柄変動演出の実行時間)等の情報)が含まれる。
その後、遊技制御部100は、特別図柄の変動時間が経過した時点で、遊技制御部130に対して装飾図柄変動演出の終了を指示する変動演出停止コマンドを、RAM103にセットし、併せて、特別図柄の変動表示を終了させて表示器4に特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示させる。
次に、ステップS15の普通図柄処理において、遊技制御部100は、ステップS13で取得した普通図柄乱数が、ROM102に予め格納されている所定の当選値と一致するか否かを判定する。そして、遊技制御部100は、表示器4に、普通図柄を変動表示させた後にこの判定結果を示す普通図柄を停止表示させる。
次に、ステップS16の大入賞口処理において、遊技制御部100は、特別図柄抽選に当選した場合に(つまり、大当たりした場合に)、大入賞口開閉部116を介して大入賞口23の開閉を制御する。具体的には、遊技制御部100は、ステップS14の特別図柄処理で当選して大当たりが発生した場合、ROM102に予め格納されている大入賞口23の開閉動作パターンに基づいて、大入賞口開閉部116を制御して大入賞口23を開閉させる。より具体的には、遊技制御部100は、大当たり遊技中において、大入賞口開閉部116を制御して、30秒間を上限として遊技球が10個大入賞口23に入賞するまで大入賞口23を開放させてから閉塞させる動作(ラウンド)を、例えば15回実行する。このことによって、遊技者は、多量(例えば1500個前後)の賞球を獲得できる。
次に、ステップS17の電動チューリップ処理において、遊技制御部100は、ステップS15の普通図柄処理で普通図柄乱数が所定の当選値と一致すると判定された場合に、電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27の一対の羽根部材を作動させる。電動チューリップ27が作動することによって第2始動口22へ遊技球が入賞可能な状態となり、第2始動口22に遊技球が入賞することで第2特別図柄抽選が実行されることとなる。
次に、ステップS18の賞球処理において、遊技制御部100は、賞球の払い出しを指示するコマンドをRAM103にセットする処理等を行い、遊技球の入賞個数の管理及び入賞に応じた賞球の払い出しを制御する。
次に、ステップS19の出力処理において、遊技制御部100は、ステップS14の特別図柄処理等でRAM103にセットされた各種コマンドや演出に必要な情報を演出制御部130へ送る。また、遊技制御部100は、ステップS18の賞球処理でRAM103にセットされた賞球の払い出しを指示するコマンドを払出制御部120へ送る。
[演出制御部130による演出制御処理]
演出制御部130のCPU131は、装飾図柄変動演出の内容(変動演出パターン)を決定(抽選)するための変動演出乱数等の各種乱数を更新する乱数更新処理を繰り返し実行する。そして、演出制御部130は、電源投入時や電源遮断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、乱数更新処理を繰り返しつつ、図18に示す一連の処理を一定時間(例えば4ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
以下、図18〜図20を用いて、演出制御部130によって行われる演出制御処理について説明する。ここで、図18は、演出制御部130によって行われる演出制御処理の一例を示す詳細フローチャートである。図19及び図20は、液晶画面50及びEL画面60による2画面表示について説明するための図である。なお、図18のフローチャートに基づいて説明する演出制御部130で行われる処理は、ROM132に記憶されているプログラムに基づいてCPU131自身又はCPU131が発行する命令に従って行われる。
まず、ステップS101において、演出制御部130のCPU131は、液晶表示器5による装飾図柄変動演出が実行中であるか否かを、画像音響制御部140から取得した情報に基づいて判定する。ステップS101での判定がYESの場合、処理はステップS106に移る。一方、ステップS101での判定がNOの場合、処理はステップS102に移る。
ステップS102において、CPU131は、図17のステップS14の特別図柄処理でRAM103にセットされた変動演出開始コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS102での判定がYESの場合、処理はステップS103に移る。一方、ステップS102での判定がNOの場合、処理はステップS101に戻る。
ステップS103において、CPU131は、ステップS102で受信した変動演出開始コマンドを解析して、変動演出開始コマンドに含まれている設定情報をRAM133に格納する。その後、処理はステップS104に移る。
ステップS104において、CPU131は、ステップS103で解析した変動演出開始コマンドに含まれている設定情報に基づいて、装飾図柄変動演出のパターン(変動演出パターン)を決定する。具体的には、CPU131は、設定情報に含まれる、特別図柄抽選で大当たりしたか否かを示す情報、大当たりした場合大当たりの種類を示す情報、ハズレた場合リーチ演出を行うか否かを示す情報、特別図柄の変動パターン(つまり演出時間)を示す情報によって定まる条件を満たす変動演出パターンを、ROM132に予め記憶された多数の変動演出パターンから選択する。そして、CPU131は、この条件を複数の変動演出パターンが満たす場合、変動演出乱数を用いた抽選によって、1つの変動演出パターンを決定する。例えば、特別図柄抽選でハズレたことを示す情報とリーチ演出を行うことを示す情報が設定情報に含まれていた場合、CPU131は、ROM132に予め記憶されたリーチの後にハズレる複数の変動演出パターンの内から、変動演出乱数を用いた抽選によって1つの変動演出パターンを決定する。また、特別図柄抽選で大当たりしたことを示す情報が設定情報に含まれていた場合、CPU131は、ROM132に予め記憶されたリーチの後に大当たりする複数の変動演出パターンの内から、変動演出乱数を用いた抽選によって1つの変動演出パターンを決定する。その後、処理はステップS105に移る。
ステップS105において、CPU131は、ステップS104で決定した変動演出パターンの装飾図柄変動演出を開始する。具体的には、CPU131は、決定した変動演出パターンの演出の開始を指示する演出開始コマンドをRAM133にセットして画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。これに対して、画像音響制御部140のCPU141は、受信した演出開始コマンドに応じた装飾図柄変動演出の実行を指示する制御信号をVDP142へ出力し、VDP142の描画エンジン1424は、この制御信号によって指示された演出表示を実行するのに必要な素材データを画像用ROM148から読み出してVRAM_RS1425に格納し、その素材データを基にVRAM_FB1426にメイン画像を描画して出力回路1427を介して液晶表示器5へ出力する。これにより、液晶画面50上で装飾図柄変動演出の表示、つまり液晶画面50による1画面表示が開始される。また、ランプ制御部150のCPU151は、受信した演出開始コマンドに応じた動作パターン及び発光パターンで可動役物7、盤ランプ8、及び枠ランプ36を作動させる。これにより、液晶画面50上で行われる演出表示と連動した音と光による演出が行われる。その後、処理はステップS101に戻る。
一方、ステップS106において、CPU131は、実行中である装飾図柄変動演出がリーチ中であるか否かを判定する。なお、特別図柄抽選で当選して大当たりした場合及び特別図柄抽選で落選したがリーチ演出が行われる場合に、装飾図柄変動演出においてリーチの演出が行われる。ここで、リーチとは、演出上、複数の装飾図柄のうち1つの図柄が変動しており他の図柄は既に停止した状態であって、この変動している1つの図柄が所定の図柄で停止した場合に大当たりが発生する状態である(図20(A)参照)。本実施形態では、一例として、図4(B)のように、第1装飾図柄及び第2装飾図柄が同じ図柄で既に停止しており第3装飾図柄が変動している状態を、リーチという。ステップS106での判定がYESの場合、処理はステップS114に移る。一方、ステップS106での判定がNOの場合、処理はステップS107に移る。
ステップS107において、CPU131は、ボタンランプ40(図11参照)の発光を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信して、演出キー38に内蔵されたボタンランプ40を発光させる(図19(A)参照)。このことによって、遊技者に対して、演出キー38の操作によってEL表示器6の移動が可能な状態になったことが報知される。その後、処理はステップS108に移る。
ステップS108において、CPU131は、演出キー38から出力される操作情報の有無に基づいて、遊技者によって演出キー38が操作されたか否かを判定する。ステップS108での判定がYESの場合、処理はステップS110に移る。一方、ステップS108での判定がNOの場合、処理はステップS109に移る。
ステップS109において、CPU131は、液晶画面50によって実行されている1画面表示を画像音響制御部140に継続させる。その後、処理はステップS118に移る。
一方、ステップS110において、CPU131は、演出キー38から出力された操作情報に基づいて、EL表示器6を移動させる。具体的には、CPU131は、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、演出キー38から出力された操作情報が含まれており、CPU151は、この操作情報に基づいて第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を制御する。これにより、駆動機構10(図7参照)が駆動して、演出キー38の操作に応じた位置へEL表示器6が移動する(図19(B)参照)。このように、CPU151は、CPU131によって演出キー38からの操作情報の入力が受け付けられた場合に、その操作情報に基づいてEL表示器6を移動させる。その後、処理はステップS111に移る。
ステップS111において、CPU131は、RAM133に記憶されているEL画面60の位置情報を更新する。具体的には、CPU131は、液晶画面50に設けられた各光センサ56による検知結果(各光センサ56から出力される電気信号の変化)に基づいてEL表示器6の最新の位置を検出して、その検出結果に基づいてEL画面60の位置情報を書き換える。その後、処理はステップS112に移る。
ステップS112において、CPU131は、EL画面60の位置が、液晶画面50上で変動表示されている第2装飾図柄をEL画面60を通して視認可能な位置であるか否かを判定する。例えば、CPU131は、第2装飾図柄が変動表示されている領域の重心座標を、画像音響制御部140から取得する。そして、CPU131は、RAM133に記憶されているEL画面60の位置情報に対応する位置に配置されたEL画面60の領域を設定し、取得した重心座標がこの領域に含まれるか否かを判定する。ステップS112での判定がYESの場合、処理はステップS113に移る。一方、ステップS112での判定がNOの場合、処理はステップS109に移る。
ステップS113において、CPU131は、液晶画面50及びEL画面60による2画面表示を実行すると共に、変動中の第2装飾図柄の停止図柄をEL画面60に表示させる指示を画像音響制御部140に対して行う。具体的には、CPU131は、ステップS104で決定して実行中の変動演出パターンにおける第2装飾図柄の停止図柄をサブ画像としてEL画面60に表示する2画面表示を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。例えば、CPU131は、ステップS104で決定した変動演出パターンにおける第2装飾図柄の停止図柄が「3」である場合、変動中の第2装飾図柄の停止図柄である「3」をサブ画像としてEL画面60に表示する2画面表示を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。その後、処理はステップS118に移る。なお、ステップS113において演出制御部130から画像音響制御部140へ送信されるコマンドにはEL画面60に表示させる画像を特定する情報(以下、表示画像情報という:ここでは、第2装飾図柄の停止図柄に関する情報)が含まれており、画像音響制御部140のCPU141は、表示画像情報及び図14の設定処理によって生成された設定情報を含む制御信号をVDP142へ出力する。これにより、メイン画像が液晶画面50に表示されると共に、表示画像情報に応じた画像(ここでは、第2装飾図柄の停止図柄)がサブ画像としてEL画面60に表示される(図19(C)及び図4(A)参照)。この液晶画面50及びEL画面60を用いた2画面表示を可能にするVDP142の描画処理については後に詳述する。
一方、ステップS114において、CPU131は、第3装飾図柄が変動表示されている領域及びEL表示器6の位置情報に基づいて、EL表示器6を移動させる。具体的には、CPU131は、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、CPU131によって算出された、第3装飾図柄が変動表示されている領域にEL表示器6を移動させるための操作情報が含まれている。CPU151は、この操作情報に基づいて第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を制御する。これにより、駆動機構10(図7参照)が駆動して、第3装飾図柄が変動表示されている領域に向けてEL表示器6が自動的に移動する(図20(B)参照)。その後、処理はステップS115に移る。
ステップS115において、CPU131は、ステップS111と同様に、RAM133に記憶されているEL画面60の位置情報を更新する。その後、処理はステップS116に移る。
ステップS116において、CPU131は、EL画面60の位置が、液晶画面50上で変動表示されている第3装飾図柄をEL画面60を通して視認可能な位置であるか否かを判定する。例えば、CPU131は、第3装飾図柄が変動表示されている領域の重心座標を、画像音響制御部140から取得する。そして、CPU131は、RAM133に記憶されているEL画面60の位置情報に対応する位置に配置されたEL画面60の領域を設定し、取得した重心座標がこの領域に含まれるか否かを判定する。ステップS116での判定がYESの場合、処理はステップS117に移る。一方、ステップS116での判定がNOの場合、処理は、ステップS114に戻りステップS114〜116の処理が繰返される。
ステップS117において、CPU131は、液晶画面50及びEL画面60による2画面表示を実行すると共に、変動中の第3装飾図柄が既に停止している第1装飾図柄及び第2装飾図柄と同じ図柄で停止する可能性(例えば大当たりする確率)に関する画像をEL画面60に表示させる指示を画像音響制御部140に対して行う。具体的には、CPU131は、ステップS104で決定して実行中の変動演出パターン(リーチの有る変動演出パターン)が、大当たりする変動演出パターンである可能性を示す画像を、サブ画像としてEL画面60に表示する2画面表示を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。例えば、CPU131は、ステップS104で決定して実行中の変動演出パターン(リーチの有る変動演出パターン)が、大当たりする変動演出パターンである確率を示す文字を、サブ画像としてEL画面60に表示する2画面表示を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。その後、処理はステップS118に移る。なお、ステップS117において演出制御部130から画像音響制御部140へ送信されるコマンドには表示画像情報(ここでは、大当たりする変動演出パターンである可能性に関する情報)が含まれており、画像音響制御部140のCPU141は、この表示画像情報及び図14の設定処理によって生成された設定情報を含む制御信号をVDP142へ出力する。これにより、メイン画像が液晶画面50に表示されると共に、表示画像情報に応じた画像(ここでは、大当たりする確率の表示)がサブ画像としてEL画面60に表示される(図20(C)及び図4(B)参照)。この液晶画面50及びEL画面60を用いた2画面表示を可能にするVDP142の描画処理については後に詳述する。
ステップS118において、CPU131は、図17のステップS14の特別図柄処理でRAM103にセットされた変動演出停止コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS118での判定がYESの場合、処理はステップS119に移る。一方、ステップS118での判定がNOの場合、処理はステップS101に戻る。
ステップS119において、CPU131は、ステップS105の処理で開始した変動演出を終了する。具体的には、CPU131は、ステップS105の処理で開始した変動演出の終了を指示する演出終了コマンドをRAM133にセットして画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。このことによって、装飾図柄変動演出が終了して特別図柄抽選の結果を報知する装飾図柄の停止図柄全てが液晶表示器5によって表示され、スピーカ35や盤ランプ8等による演出が終了する。その後、処理はステップS101に戻る。
以上に説明したように、演出制御部130は、画像音響制御部140及びランプ制御部150を制御して、装飾図柄変動演出を開始し、リーチ中ではない期間は遊技者の操作入力に応じてEL表示器6を移動させて変動中の第2装飾図柄の停止図柄を前もってEL表示器6に表示させ、リーチ中にはEL表示器6を自動的に移動させて変動中の第3装飾図柄が大当たりする図柄で停止する可能性に関する画像をEL表示器6に表示させる。
[画像音響制御部140によるコマンド実行処理]
次に、図21及び図22を用いて、画像音響制御部140によって行われるコマンド実行処理について説明する。図21は、画像音響制御部140によって行われるコマンド実行処理の一例を示すフローチャートである。図22は、液晶画面50による1画面表示が行われる際のVDP142による描画処理について説明するための図である。なお、図21以降のフローチャートに基づいて説明する画像音響制御部140で行われる処理は、制御用ROM144(図12参照)に記憶されているプログラムに基づいてCPU141自身又はCPU141が発行する命令に従って行われる。
まず、ステップS301において、画像音響制御部140のCPU141は、図18のステップS105の処理によって演出制御部130から送信された演出開始コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS301での判定がYESの場合、処理はステップS302に移る。一方、ステップS301での判定がNOの場合、処理はステップS303に移る。
ステップS302において、CPU141は、演出開始コマンドに含まれている情報に基づいて、演出制御部130のCPU131が決定した装飾図柄変動を実現するための制御信号をVDP142及び音響DSP143へ出力して、液晶表示器5やスピーカ35等による遊技演出を開始する。その後、処理はステップS303に移る。
ステップS303において、CPU141は、図18のステップS119の処理によって演出制御部130から送信された演出終了コマンドを受信したか否かを判定する。ステップS303での判定がYESの場合、処理はステップS304に移る。一方、ステップS303での判定がNOの場合、処理はステップS305に移る。
ステップS304において、CPU141は、ステップS302で開始した装飾図柄変動演出を終了する。その後、処理はステップS301に戻る。
ステップS305において、CPU141は、図18のステップS109、ステップS113、又はステップS117による指示のいずれの指示が入力されるかに応じて、液晶画面50及びEL画面60の両方を用いた2画面表示を行うか否かを判定する。ステップS309での判定がYESの場合、処理はステップS307に移る。一方、ステップS305での判定がNOの場合、処理はステップS306に移る。
ステップS306において、CPU141は、メイン画像のみを描画して液晶表示器5へ出力する1画面表示をVDP142に指示するために、図14の設定処理によって生成された設定情報を含まない制御信号をVDP142へ出力する。これに応じて、VDP142の描画エンジン1424は、図22に例示するように、例えば、装飾図柄及びキャラクタを示す第1画像と、装飾図柄等の背景を示す背景画像としての第2画像と、文字画像としての第3画像とを画像用ROM148からVRAM_RS1425に読み出して、これらの画像を合成した画像であるメイン画像を第1フレームバッファ1426A(又は第2フレームバッファ1426B)に描画し、出力回路1427は、第1フレームバッファ1426A(又は第2フレームバッファ1426B)からメイン画像を読み出して液晶表示器5へ出力する。その後、処理はステップS301に戻る。
一方、ステップS307において、CPU141は、メイン画像及びサブ画像を描画して液晶表示器5及びEL表示器6へ出力する2画面表示をVDP142に指示するために、図18のステップS113又はステップS117で生成された表示画像情報、及び図14の設定処理によって生成された設定情報を含む制御信号をVDP142へ出力する。これにより、装飾図柄変動演出の画像が液晶画面50に表示されると共に、第2装飾図柄の停止図柄又は第3装飾図柄が大当たりする図柄で停止する可能性の表示がEL画面60に表示される。
[2画面表示のための描画処理]
1画面表示のためにVDP142によって行われる描画処理は、図22を用いて上述した通りである。以下では、図23〜図26を用いて、2画面表示のためにVDP142によって行われる描画処理について詳細に説明する。ここで、図23は、2画面表示のためにVDP142によって行われる描画処理の一例を示すフローチャートである。図24は、分割数SNが「0」に設定されている場合にVDP142によって行われる描画処理について説明するための図である。図25は、分割数SNが「4」に設定されている場合にVDP142によって行われる描画処理について説明するための図である。図26は、出力回路1427による分割画像の出力処理について説明するための図である。なお、図23のフローチャートに基づいて説明するVDP142で行われる描画処理は、制御用ROM144に記憶されているプログラムに基づいてCPU141が生成する制御信号に基づいて行われる。また、以下の説明では、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのうち、第1フレームバッファ1426Aを使用して描画処理が行われる場合を例に説明するが、第2フレームバッファ1426Bを使用した描画処理も第1フレームバッファ1426Aを使用した描画処理と同様に行われる。
CPU141から設定情報を含む制御信号がVDP142に入力されると、まず、図23のステップS401において、描画エンジン1424は、メイン画像及びサブ画像の描画処理に使用するフレームバッファを選択する。具体的には、描画エンジン1424は、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのうち、液晶表示器5とEL表示器6へ画像を出力しているフレームバッファを特定して、画像を出力していない方のフレームバッファを今回のフレームの描画処理に使用するフレームバッファとして選択する。その後、処理はステップS402に移る。
ステップS402において、描画エンジン1424は、ステップS401で第1フレームバッファ1426Aが選択された場合、液晶表示器5に表示されるメイン画像を第1フレームバッファ1426Aに描画し、ステップS401で第1フレームバッファ1426Bが選択された場合、液晶表示器5に表示されるメイン画像を第1フレームバッファ1426Bに描画する。以下では、ステップS402において、液晶表示器5に表示されるメイン画像が第1フレームバッファ1426Aに描画された場合について説明を行う。この処理によって、例えば、装飾図柄及びキャラクタを示す第1画像と、装飾図柄等の背景を示す背景画像としての第2画像と、文字画像としての第3画像とを画像用ROM148からVRAM_RS1425に読み出して、これらの画像を合成した画像であるメイン画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する(図24参照)。その後、処理はステップS403に移る。
ステップS403において、描画エンジン1424は、演出制御部130から送信された表示画像情報に基づいて、サブ画像としてEL画面60に表示すべきサブ画像を決定して生成する。具体的には、画像用ROM148には、全ての第2装飾図柄の停止図柄の画像(例えば1〜9の第2装飾図柄の画像)及び大当たりする可能性に関する情報(図4(B)及び図20(C)参照)を示すサブ画像情報が記憶されており、描画エンジン1424は、演出制御部130から送信された表示画像情報に対応するサブ画像を画像用ROM148からVRAM_RS1425に読み出す。その後、処理はステップS405に移る。
ステップS405において、描画エンジン1424は、CPU141から出力された制御信号に図14のステップS10の処理によって設定された縮小倍率を示す情報が設定情報として含まれているか否かに基づいて、縮小倍率が設定されているか否かを判定する。ステップS405での判定がYESの場合、処理はステップS406に移る。一方、ステップS405での判定がNOの場合、処理はステップS407に移る。
ステップS406において、描画エンジン1424は、制御信号から抽出した縮小倍率を示す情報に基づいて、ステップS403の処理で生成されたサブ画像に対して縮小処理を行う。例えば縮小倍率が「0.5」に設定されている場合、描画エンジン1424は、垂直画素数L3が例えば「480」で水平画素数C3が「640」のサブ画像から垂直画素数L3が「240」(=480×0.5)で水平画素数C3が「320」(=640×0.5)のサブ画像を生成する。その結果、分割したとしても空き領域に描画できなかったサブ画像の描画が可能となる。その後、処理はステップS407に移る。
ステップS407において、描画エンジン1424は、CPU141から出力された制御信号に含まれている分割数SNが「0」であるか否かを判定する。ステップS407での判定がYESの場合、VRAM_RS1425内のサブ画像を分割することなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画することができるので、処理はステップS408に移る。一方、ステップS407での判定がNOの場合、VRAM_RS1425内のサブ画像を分割して第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する必要があるので、処理はステップS413に移る。
ステップS408において、描画エンジン1424は、サブ画像を分割せず空き領域に描画する。その後、処理はステップS409に移る。図24には、サブ画像が分割されることなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画される例が示されている。図24に例示するように、垂直画素数L2が「600」で水平画素数C2が「800」のメイン画像に対して上述した例とは異なり垂直画素数L1が「840」で水平画素数C1が「1120」であるフレームバッファが用意されている場合、そのフレームバッファの空き領域の最低垂直画素数L4は「240」(=840−600)で、最低水平画素数C4は「320」(=1120−800)である。このような空き領域に垂直画素数L3が「240」であり水平画素数C3が「320」であるサブ画像を描画する場合、サブ画像の垂直画素数L3が最低垂直画素数L4と等しく、且つ水平画素数C3が最低水平画素数L4と等しいので、サブ画像の分割は不要である。このような場合に分割数SNが「0」に設定され、描画エンジン1424は、サブ画像を分割することなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。
ステップS409において、描画エンジン1424は、第2フレームバッファ1426Bに格納されている前のフレームの画像を表示する処理が完了して、ステップS402及びS408の処理で第1フレームバッファ1426Aに描画した次のフレームの画像を表示するタイミングになったか否かを判定する。ステップS409での判定がYESの場合、処理はステップ410に移る。一方、ステップS409での判定がNOの場合、ステップS409の処理が繰返されて待機状態となる。
ステップS410において、出力回路1427は、図24に示すように、メイン画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して液晶表示器5へ出力する。その後、処理はステップS411に移る。
ステップS411において、出力回路1427は、図24に示すように、サブ画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出してEL表示器6へ出力する。その後、処理はステップS401に戻り、次のフレームに対してステップS401以降の処理が行われる。
一方、ステップS413において、描画エンジン1424は、ステップS403の処理でVRAM_RS1425に生成したサブ画像、又はステップS406の処理で縮小したサブ画像を、分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。図25には、分割数SNが「4」であり、垂直画素数L3が「240」で水平画素数C3が「320」であるサブ画像が4個の分割画像(図16(C)参照)に対して分割画像サイズSSが120×160(垂直画素数×水平画素数)に設定されている場合に(図16(C)の右側の図を参照)、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した場合に生じた空き領域に対して、サブ画像が4個の分割画像として描画される様子が示されている。サブ画像の分割が必要であるとCPU141によって予め判定されている場合、描画エンジン1424は、図25に例示するように、サブ画像を複数の領域に分割して得られる分割画像(ここでは4個の分割画像)として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。このように、描画エンジン1424は、CPU141によって分割が必要であると判定されて分割画像サイズSS及び分割数SNが予め設定されている場合、その設定に基づいてサブ画像を分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。その後、処理はステップS414に移る。
ステップS414において、描画エンジン1424は、ステップS402及びS413の処理で第1フレームバッファ1426Aに描画した次のフレームの画像を表示するタイミングになったか否かを判定する。ステップS414での判定がYESの場合、処理はステップS415に移る。一方、ステップS414での判定がNOの場合、ステップS414の処理が繰返されて待機状態となる。
ステップS415において、出力回路1427は、図25に示すように、メイン画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して液晶表示器5に出力する。その後、処理はステップS416に移る。
ステップS416において、描画エンジン1424は、ステップS405と同様に、CPU141からの制御信号に縮小倍率を示す情報が含まれているか否かに基づいて、縮小倍率が設定されているか否かを判定する。ステップS416での判定がYESの場合、処理はステップS418に移る。一方、ステップS416での判定がNOの場合、処理はステップS417に移る。
ステップS417において、出力回路1427は、分割画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して、サブ画像としてEL表示器6に出力する。その後、処理はステップS401に戻り、次のフレームに対してステップS401以降の処理が行われる。
ところで、メイン画像は、液晶画面50を構成する画素(カラー液晶素子52)と同じ配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。このため、メイン画像を構成する各画素データに関しては、そのままの順番で液晶表示器5に出力すればよい。また、サブ画像が縮小や分割されることなく第1フレームバッファ1426Aに描画された場合(図24参照)、このサブ画像は、EL画面60を構成する画素と同じ配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。このため、このサブ画像を構成する各画素データに関しては、そのままの順番でEL表示器6に出力すればよい。
これに対して、サブ画像が分割画像として第1フレームバッファ1426Aに描画された場合(図25参照)、このサブ画像は、EL画面60を構成する画素とは異なる配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。そこで、サブ画像がEL画面60に正しく表示されるように、出力回路1427は、サブ画像を構成する各画素データが本来出力されるべき所定の順序で出力されるように、分割画像を構成する各画素データを読み出す。例えば図25に例示された配列で4個の分割画像が第1フレームバッファ1426Aに格納されている場合、出力回路1427は、図26に示すように、サブ画像の左上方の領域と同じ表示内容を示す第1分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理と、サブ画像の右上方の領域と同じ表示内容を示す第2分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理とを交互に繰り返す。これにより、サブ画像の上半分に対応する画素データが出力されたことになる。続いて、サブ画像の左下方の領域と同じ表示内容を示す第3分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理と、サブ画像の右下方の領域と同じ表示内容を示す第4分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理とを交互に繰り返す。これにより、分割画像の下半分に対応する画素データが出力されたことになる。
このように、出力回路1427は、サブ画像が分割画像として描画された場合であってもそのサブ画像が正しくEL画面60に表示されるように、分割画像の読み出しを行う。
一方、ステップS418において、描画エンジン1424は、分割画像を拡大してから、サブ画像としてEL表示器6に出力する。具体的には、縮小倍率の逆数を拡大倍率として第1フレームバッファ1426A内の各分割画像に対して拡大処理を行い、拡大処理された分割画像を出力回路1427に出力させる。その結果、EL画面60の画面解像度と同じ画素数のサブ画像が出力される。例えば縮小倍率が「0.5」に設定されている場合、描画エンジン1424は、拡大倍率2倍(=1/0.5)に設定する。そして、第1フレームバッファ1426Aに格納されている各分割画像をVRAM_RS上で2倍に拡大して、拡大処理した各分割画像を、サブ画像として出力回路1427に出力させる。その後、処理はステップS401に戻り、次のフレームに対してステップS401以降の処理が行われる。
[本実施形態の作用効果]
以上に説明したように、本実施形態によれば、EL表示器6が移動可能に構成され、EL表示器6が液晶画面50に変動表示されている装飾図柄をEL画面60を通して視認可能な位置へ移動したときに、この装飾図柄の停止図柄や大当たり確率等を示すサブ画像がEL画面60に表示される。例えば、装飾図柄変動演出中のリーチ中ではない期間において、遊技者がEL表示器6を変動中の第2装飾図柄上に移動させることによって、第2装飾図柄の停止図柄が前もってEL画面60に表示される。また、例えば、装飾図柄変動演出中のリーチ中において、EL表示器6が自動的に変動中の第3装飾図柄上に移動して、第3装飾図柄が大当たり図柄で停止する確率等がEL画面60に表示され、遊技者の期待感は高まる。このように、それぞれ別の画像表示器に表示された画像を重ねて表示する2画面表示によって興趣性が高い効果的な情報提示や表示演出を行うことができ、遊技者による遊技が単調になるのを効果的に防止することができる。
また、本実施形態によれば、サブ画像が第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426Bの空き領域に収まるように分割された状態で描画される。このため、必要以上に容量が大きいフレームバッファを設けることなく、液晶画面50に表示されるメイン画像、及びEL画面60に表示されるサブ画像を1個の描画手段(本実施形態では描画エンジン1424)によって1個のフレームバッファ(第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426B)に描画することができる。したがって、液晶表示器5及びEL表示器6を備えることによる製造コストの上昇を最低限に抑えることができる。
また、装飾図柄等を表示する液晶表示器5とは別の画像表示器(例えばEL表示器6)を追加した遊技機を製造する場合、EL表示器6の画面解像度(=サブ画像の垂直画素数×水平画素数)は、どのような画面解像度のEL表示器6が追加されるかによって大きく異なる。本実施形態によれば、サブ画像が第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426Bの空き領域に収まるように分割画像サイズSS及び分割数SNが算出されて、その算出結果に基づいてサブ画像が分割画像として描画される。このため、液晶画面50又はEL画面60の画面解像度が変化したとしても、第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426Bへの描画処理を適切に行うことができる。
また、本実施形態によれば、メイン画像を描画した後の第1フレームバッファ1426A(又は第2フレームバッファ1426B)の空き領域にサブ画像を分割しなければ描画できない場合にのみサブ画像が分割画像として描画され(図25参照)、分割が不要な場合にはサブ画像が空き領域にそのまま描画される(図24参照)。このため、第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426Bの空き領域に対するサブ画像のサイズに応じた適切な描画処理を行うことができる。
[変形例]
図27は、駆動機構10の変形例について説明するための図である。上記した実施形態においては、昇降駆動機構200及びスライド駆動機構220からなる駆動機構10によってEL表示器6が移動する場合について説明した。しかし、EL表示器6は、他の駆動機構によって移動するものであってもよい。例えば、図27(A)に例示するように、基台601に対して軸605を介して回動可能に連結されたアーム602と、アーム602に対して軸606を介して回動可能に連結されたアーム603と、アーム603に対して軸607を介して回動可能に連結されると共にEL表示器6が固定されたアーム604とを備える駆動機構を用いてもよい。
また、図27(B)に例示するように、アーム701の先端に固定された透明ELディスプレイ700が軸702を中心に回動することによって透明ELディスプレイ700が移動する駆動機構を用いてもよい。この場合、駆動機構10に比べて駆動機構の構成が簡素であるため、パチンコ遊技機1の製造コストを更に低減させることができる。
また、上記した実施形態では、CPU141が分割画像サイズSS及び分割数SNを算出する算出手段として機能する場合について説明したが、パチンコ遊技機1は、必ずしも算出手段を備えている必要はない。例えば、分割画像サイズSS及び分割数SNは、設定処理によって算出される代わりに例えば予め制御用ROM144に記憶されていてもよい。
また、上記した実施形態では、パチンコ遊技機1がサブ画像の分割が必要か否かを判定する分割判定手段(上記実施形態ではCPU141)を備えている場合について説明したが、例えば分割が必要であることが明らかである場合等には、分割が必要か否かの判定処理を行うことなくサブ画像を分割画像として描画するようにしてもよい。すなわち、本発明の遊技機は、必ずしも分割判定手段を備えている必要はない。
また、上記した実施形態では、1個の描画エンジン1424がメイン画像及びサブ画像の両方の描画処理を行う場合について説明したが、メイン画像の描画処理を行う描画エンジンとは別の描画エンジンによってサブ画像の描画処理を行うようにしてもよい。
また、上記した実施形態では、光センサ56の検知結果に基づいてEL画面60の位置を検出する場合について説明したが、これに代えて、第1ステッピングモータ29、及び第2ステッピングモータ30のステップ数に基づいて、EL画面60の位置を検出するようにしてもよい。また、液晶表示器5のバックライトからEL表示器6へ向けて可視光及び紫外光を出射させると共に、EL表示器6のフレーム61からの反射光のうち、紫外光のみを光センサ56側へ透過させるUV透過フィルタを備える構成を採用して、光センサ56による紫外光の受光結果に基づいてEL表示器6の位置検出を行ってもよい。この場合、不可視光を用いてセンシングが行われるので、ホール照明等の可視光による外乱の影響を低減して、EL表示器6の位置検出の精度を向上させることができる。
また、上記した実施形態では、第2装飾図柄の停止図柄に関するEL画面60の表示は遊技者による指示操作によって行われ、第3装飾図柄が大当たり図柄で停止する可能性に関するEL画面60の表示は自動で行われた。しかし、これらのEL画面60による表示は、全て自動で行われてもよいし、全て遊技者による指示操作によって行われてもよい。また、これらのEL画面60による表示のいずれが、自動で行われてもよいし、遊技者による指示操作によって行われてもよい。
また、上記した実施形態では、装飾図柄変動演出中のリーチ中ではない期間において、変動中の第2装飾図柄上にEL画面60が位置したときに、第2装飾図柄の停止図柄がEL画面60に表示された。しかし、装飾図柄変動演出中のリーチ中ではない期間において、変動中の第1装飾図柄上にEL画面60が位置したときに、第1装飾図柄の停止図柄がEL画面60に表示されてもよい。
また、上述したパチンコ遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置であっても、本発明の範囲を逸脱しなければ本発明を実現できることは言うまでもない。また、上述した処理で用いられている数値等は、単なる一例に過ぎず他の数値であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
以上、本発明を実施形態を用いて詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義も含めて)が優先する。