JP2012006425A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動源としてエンジンと電動機とが搭載されたハイブリッド車両の制御装置において、燃費の低下を抑制しながら、歯打ち音を低減することが可能な制御を実現する。
【解決手段】車両状態が歯打ち音の発生する領域であるときに、歯打ち音発生箇所への潤滑油量Lsum1(トランスアクスル内の潤滑油量に関する値)を判定値Llimit1と比較し、その潤滑油量Lsum1が判定値Llimit1以下である場合は歯打ち音発生箇所への潤滑油量が十分でないと判断して、第1動作ライン(歯打ち音低減を優先した動作ライン)M1に基づいてエンジンを制御することで歯打ち音を低減する。これに対し、上記潤滑油量Lsum1が判定値Llimit1よりも大きくて歯打ち音発生箇所への潤滑油量を十分に確保できる場合は最適動作ラインに近い第2動作ラインM2に基づいてエンジンを制御することで燃費の向上を図る。
【選択図】図4

Description

本発明は、駆動源としてエンジン(内燃機関)と電動機とが搭載されたハイブリッド車両の制御装置に関する。
近年、環境保護の観点から、車両に搭載されたエンジンからの排気ガスの排出量低減と燃料消費率(燃費)の向上が望まれており、これを満足する車両として、ハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両が実用化されている。
ハイブリッド車両は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどのエンジンと、エンジンの出力による発電またはバッテリ(蓄電装置)の電力により駆動してエンジン出力のアシスト等を行う電動機(例えばモータジェネレータまたはモータ)とを備え、エンジン及び電動機のいずれか一方または双方を走行駆動源としている。
ハイブリッド車両の一例として、エンジンのクランクシャフトに接続されたプラネタリキャリアを含む遊星歯車機構(例えば動力分割機構)と、その遊星歯車機構のサンギヤに連結された第1電動機(第1モータジェネレータMG1)と、上記遊星歯車機構のリングギヤに連結されるとともに、駆動輪に遊星歯車機構(例えばリダクション機構)などを介して駆動輪に差動的に連結される第2電動機(第2モータジェネレータMG2)と、それら第1電動機(MG1)・第2電動機(MG2)からの発電電力の充電、及び、第1電動機(MG1)・第2電動機(MG2)への電力供給が可能な蓄電装置(例えばバッテリ)とを備えたハイブリッド車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなシステムのハイブリッド車両においては、エンジンからの直達トルクのみで走行している場合、第2電動機(MG2)のトルクがほぼゼロとなる。このとき、第2電動機(MG2)のロータから遊星歯車機構のリングギヤまで間のガタ(バックラッシ等)はフローティングの状態(ギヤ浮きした状態)となっており、こうした状態のときに、エンジンの爆発に伴う回転変動が遊星歯車機構等に伝わると、ギヤ同士が衝突して歯打ち音(ガラ音)が発生する。このような歯打ち音を低減するために、歯打ち音が発生する条件(モータMG2のトルク指令値が所定範囲内にあるという条件)が成立した場合にはエンジン回転数を所定値以上に上昇させ、ギヤ同士を押し付ける力を増加させることによって歯打ち音を低減する技術(従来技術)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−203993号公報 特開平11−93725号公報
ところで、上記した従来制御では、歯打ち音が発生する箇所の潤滑状態を考慮していないため、歯打ち音を低減する際に必要以上にエンジン回転数が上昇される場合があって、燃費(燃料消費率)の低下が懸念される。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、駆動源としてエンジンと電動機とが搭載されたハイブリッド車両の制御装置において、燃費の低下を抑制しながら、歯打ち音を低減することが可能な制御を実現することを目的とする。
本発明は、駆動源としてエンジンと電動機とが搭載され、前記電動機が歯車機構を介して駆動輪に差動的に連結されるハイブリッド車両の制御装置を前提としており、このようなハイブリッド車両の制御装置において、歯打ち音が発生する領域であるか否かを判定する判定手段と、歯打ち音が発生する領域であるときに、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値を所定の判定値と比較し、その潤滑油量に関する値が判定値以下である場合は第1動作ラインに基づいて前記エンジンを制御し、前記トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が前記判定値よりも大きい場合には、前記第1動作ラインよりも最適燃費ラインに近い第2動作ラインに基づいて前記エンジンを制御する制御手段とを備えていることを特徴としている。
本発明において、電動機のトルク指令値が所定の範囲内にある場合に「歯打ち音が発生する領域である」と判定する。
なお、本発明において、「トランスアクスル内の潤滑油量に関する値」には、例えばハイブリッド車両に搭載されるトランスアクスルの内部で循環される潤滑油の油量(潤滑油総量)、及び、歯打ち音の発生箇所に供給される潤滑油量などが含まれる。
次に、本発明の課題解決原理について述べる。
まず、エンジン及び電動機と遊星歯車機構とが搭載されたハイブリッド車両では、駆動軸(例えばリングギヤ軸)の回転数及びトルクに依存することなく、エンジン回転数及びエンジントルクを自由に操作することができるので、例えば、エンジン動作点を最適燃費動作ラインに沿うように制御することが可能であり、また、エンジン動作点を他の任意の動作ラインに沿うように制御することが可能である。
このような点を利用し、本発明では、第1動作ライン(歯打ち音低減を優先した動作ライン)、及び、その第1動作ラインよりも最適燃費ラインに近い第2動作ラインを設定している。そして、車両状態が歯打ち音の発生する領域であるときに、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値(歯打ち音発生箇所への潤滑油量に関する値)を判定値と比較し、そのトランスアクスル内の潤滑油量に関する値が判定値以下である場合は歯打ち音の発生箇所への潤滑油量が十分でないと判断して上記第1動作ラインに基づいてエンジンを制御することで歯打ち音を低減する。これに対し、上記トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が判定値よりも大きくて歯打ち音の発生箇所への潤滑油量を十分に確保できる場合には、上記最適動作ラインに近い第2動作ラインに基づいてエンジンを制御することで燃費の向上を図る。
このように、本発明では、車両状態が歯打ち音の発生する領域である場合に、常に、歯打ち音低減を優先した第1動作ラインに基づいてエンジンを制御するのではなく、歯打ち音の発生箇所への潤滑油量が十分であり、オイルフリクションによるガタ打ち力の低下が見込める場合には、エンジン動作点を最適燃費動作ラインに近い点に移動させることにより燃費の向上を図っているので、燃費の低下を抑制しながら、歯打ち音を抑制することができる。
本発明の具体的な構成として、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が上記判定値よりも大きい場合に用いる上記第2動作ラインを複数設定し、それら複数の第2動作ラインの中から、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値に応じて1つの動作ラインを選択してエンジンを制御するという構成を挙げることができる。より具体的には、それら複数の第2動作ラインのうち、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が大きいほど(歯打ち音の発生箇所への潤滑油量が多いほど)、最適燃費ラインに近い側の動作ラインを選択してエンジンを制御するという構成を挙げることができる。このような構成を採用すると、歯打ち音の発生箇所への潤滑油量が多いほど、つまり、オイルフリクションによるガタ打ち力の低下度合いが大きいほど、最適燃費動作ラインに近い動作点でエンジンを動作させることができるので、より効果的に燃費の向上を図ることができる。
また、他の具体的な構成として、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が上記判定値以下の場合に用いる上記第1動作ラインを複数設定し、それら複数の第1動作ラインの中から、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値に応じて1つの動作ラインを選択してエンジンを制御するという構成を挙げることができる。より具体的には、それら複数の第1動作ラインのうち、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が小さいほど(歯打ち音の発生箇所への潤滑油量が少ないほど)、歯打ち音レベルが小さくなる側の動作ラインを選択してエンジンを制御するという構成を挙げることができる。このような構成を採用すると、歯打ち音をより効果的に低減することができる。
また、本発明において、電動オイルポンプが搭載されたハイブリッド車両を対象とする場合、車両状態が歯打ち音の発生する領域であって、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が上記判定値よりも大きい状況のときに、電動オイルポンプが作動している場合は、当該電動オイルポンプが起動した時点からの経過時間を所定の判定時間と比較し、その経過時間が判定時間以下である場合は上記第1動作ラインに基づいて前記エンジンを制御し、前記経過時間が判定時間よりも長い場合には上記第2動作ラインに基づいてエンジンを制御するという構成を採用してもよい。このような構成によれば、電動オイルポンプの応答遅れ等に起因する歯打ち音の発生を回避することができる。この点について以下に説明する。
まず、電動オイルポンプを備えたハイブリッド車両において、車両状態が歯打ち音の発生する領域である場合に、電動オイルポンプが作動されていると、歯打ち音の発生箇所への潤滑油量が増大(オイルフリクションが増加)して歯打ち音を効果的に低減することが可能になるが、電動オイルポンプからの潤滑油が歯打ち音発生箇所に到達するまでにタイムラグがあり、その間において歯打ち音が発生する状況となる場合がある。
このような点を解消するため、この発明では、上記判定時間を、電動オイルポンプが起動した時点から、電動オイルポンプから吐出した潤滑油が上記歯打ち音発生箇所に到達するまでの時間を考慮して設定し、電動オイルポンプの起動時からの経過時間が上記判定時間以下である場合は、歯打ち音低減を優先した第1動作ラインに基づいてエンジンを制御する。こうした制御により、上記電動オイルポンプの応答遅れ等に起因する歯打ち音発生を回避することができる。そして、上記経過時間が上記判定時間よりも長くなった場合には、最適動作ラインに近い動作ラインに基づいてエンジンを制御することで燃費の向上を図るようにする。
本発明によれば、駆動源としてエンジンと電動機とが搭載されたハイブリッド車両において、車両状態が歯打ち音の発生する領域であるときに、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が判定値以下である場合は第1動作ラインに基づいてエンジンを制御し、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が判定値よりも大きい場合には、上記第1動作ラインよりも最適燃費ラインに近い第2動作ラインに基づいてエンジンを制御するので、燃費の低下を抑制しながら、歯打ち音を低減することができる。
本発明を適用するハイブリッド車両の一例を示す概略構成図である。 図1のハイブリッド車両に搭載するトランスアクスルの構成を示す断面図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 歯打ち音低減制御の一例を示すフローチャートである。 歯打ち音低減制御に用いる動作ラインの一例を示す図である。 歯打ち音低減制御に用いる動作ラインの他の例を示す図である。 歯打ち音低減制御の他の例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用するハイブリッド車両の一例を示す概略構成図である。
この例のハイブリッド車両HVは、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式のハイブリッド車両であって、エンジン1、トランスアクスル10、駆動輪6、及び、ECU(Electronic Control Unit)100などを備えており、そのECU100により実行されるプログラムによって本発明のハイブリッド車両の制御装置が実現される。なお、ECU100は、例えば、HVECU、エンジンECU、バッテリECUなどによって構成されており、これらのECUが互いに通信可能に接続されている。
トランスアクスル10は、エンジン1のクランクシャフト11に連結されるダンパ2、主に発電機として機能する第1モータジェネレータMG1、主に電動機(モータ)として機能する第2モータジェネレータMG2、動力分割機構3、リダクション機構4、カウンタドライブギヤ51、カウンタドリブンギヤ52、ファイナルリングギヤ53、及び、デファレンシャル装置54などを備えている。
次に、エンジン1、モータジェネレータMG1,MG2、動力分割機構3、リダクション機構4、及び、ECU100の各部について以下に説明する。
−エンジン−
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の動力装置であって、吸気通路12に設けられたスロットルバルブ13のスロットル開度(吸気空気量)、燃料噴射量、点火時期などの車両状態を制御できるように構成されている。エンジン1の出力軸であるクランクシャフト11の回転数(エンジン回転数)はエンジン回転数センサ101によって検出される。エンジン1はECU100によって駆動制御される。
エンジン1のスロットルバルブ13の制御には、例えば、エンジン回転数とドライバのアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)等のエンジン1の車両状態に応じた最適な吸入空気量(目標吸気量)が得られるようにスロットル開度を制御する電子スロットル制御が採用されている。このような電子スロットル制御では、スロットル開度センサ103を用いてスロットルバルブ13の実際のスロットル開度を検出し、その実スロットル開度が、上記目標吸気量が得られるスロットル開度(目標スロットル開度)に一致するようにスロットルバルブ13のスロットルモータ14をフィードバック制御している。
そして、エンジン1の出力は、クランクシャフト11及びダンパ2を介してインプットシャフト21に伝達される。ダンパ2は、例えばコイルスプリング式トランスアクスルダンパであってエンジン1のトルク変動を吸収する。
インプットシャフト21にはポンプ駆動軸23を介して機械式オイルポンプ22が連結されており、インプットシャフト21の回転トルクの供給を受けて機械式オイルポンプ22が作動する。
機械式オイルポンプ22は、図2に示すように、ポンプ駆動軸23に装着されたドライブロータ22a及びドリブンロータ(図示せず)によって構成されており、トランスアクスルケース10aに回転自在に支持されている。また、機械式オイルポンプ22のポンプカバー22bにはリリーフバルブ24が設けられている。そして、機械式オイルポンプ22によって汲み上げられた潤滑油は、リリーフバルブ24にて所定の設定圧に制限されながら、ポンプ駆動軸23の内部及びインプットシャフト21の内部に形成された複数の油路を通じてトランスアクスル10内の各部(動力分割機構3、リダクション機構4、カウンタドライブギヤ51、カウンタドリブンギヤ52、ファイナルリングギヤ53、及び、デファレンシャル装置54など)に供給される。
また、この例のハイブリッド車両HVには電動オイルポンプ30(図3参照)が装備されている。電動オイルポンプ30は、直流モータ(電動機)によって駆動されるポンプであって、例えばトランスアクスルケース10aの外部などの適宜の箇所に取り付けられており、例えば補機用バッテリ(図示せず)からの電力を受けて作動する。この電動オイルポンプ30にて汲み上げられた潤滑油は、インプットシャフト21の内部に形成された複数の油路などを通じてトランスアクスル10内の各部に供給される。なお、電動オイルポンプ30としては、専用モータによって駆動されるものに限られず、第1モータジェネレータMG1または第2モータジェネレータMG2のいずれか一方によって駆動されるようになっていてもよい。
−モータジェネレータ−
第1モータジェネレータMG1は、インプットシャフト21に対して回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG1Rと、3相巻線が巻回されたステータMG1Sとを備えた交流同期発電機であって、発電機として機能するとともに電動機(モータ)としても機能する。また、第2モータジェネレータMG2も同様に、インプットシャフト21に対して回転自在に支持された永久磁石からなるロータMG2Rと、3相巻線が巻回されたステータMG2Sとを備えた交流同期発電機であって、電動機(モータ)として機能するとともに発電機としても機能する。
図3に示すように、第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、それぞれインバータ200を介してバッテリ(蓄電装置)300に接続されている。インバータ200はECU100によって制御され、そのインバータ200の制御により各モータジェネレータMG1,MG2の回生または力行(アシスト)が設定される。その際の回生電力はバッテリ300にインバータ200を介して充電される。また、各モータジェネレータMG1,MG2の駆動用電力はバッテリ300からインバータ200を介して供給される。
−動力分割機構−
動力分割機構3は、図1に示すように、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤS3と、サンギヤS3に外接しながらその周辺を自転しつつ公転する外歯歯車のピニオンギヤP3と、ピニオンギヤP3と噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤR3と、ピニオンギヤP3を支持するとともに、このピニオンギヤP3の公転を通じて自転するプラネタリキャリアCA3とを有する遊星歯車機構によって構成されている。プラネタリキャリアCA3はエンジン1側のインプットシャフト21に一体に連結されている。サンギヤS3は、第1モータジェネレータMG1のロータMG1Rに一体に連結されている。
この動力分割機構3は、エンジン1及び第2モータジェネレータMG2の少なくとも一方の駆動力を、カウンタドライブギヤ51、カウンタドリブンギヤ52、ファイナルリングギヤ53及びデファレンシャル装置54を介して左右の駆動輪6に伝達する。
−リダクション機構−
リダクション機構4は、図1に示すように、複数の歯車要素の中心で自転する外歯歯車のサンギヤS4と、キャリア(トランスアクスルケース)CA4に回転自在に支持され、サンギヤS4に外接しながら自転する外歯歯車のピニオンギヤP4と、ピニオンギヤP4と噛み合うように中空環状に形成された内歯歯車のリングギヤR4とを有する遊星歯車機構によって構成されている。リダクション機構4のリングギヤR4と、上記動力分割機構3のリングギヤR3と、カウンタドライブギヤ51とは互いに一体となっている。また、サンギヤS4は、第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rと一体に連結されている。
このリダクション機構4は、エンジン1及び第2モータジェネレータMG2の少なくとも一方の駆動力を適宜の減速比で減速する。減速された動力は、カウンタドライブギヤ51、カウンタドリブンギヤ52、ファイナルリングギヤ53及びデファレンシャル装置54を介して駆動輪6に伝達される。
ここで、この例のハイブリッド車両HVでは、図2に示すように、トランスアクスルケース10aのデファレンシャル装置54の収納部に潤滑油が溜まるようになっており、その貯溜の潤滑油にファイナルギヤ54aが浸漬されるようになっている。そして、そのデファレンシャル装置54の収納部に溜まった潤滑油はファイナルギヤ54aの回転によって掻き上げられる。この掻き上げられた潤滑油は、トランスアクスル10内の各部(動力分割機構3、リダクション機構4、カウンタドライブギヤ51、カウンタドリブンギヤ52、ファイナルリングギヤ53、及び、デファレンシャル装置54など)を潤滑する。なお、各部を潤滑した後の潤滑油はトランスアクスル10内を落下してデファレンシャル装置54の収納部に再び貯溜される。
−シフト操作装置−
この例のハイブリッド車両HVにおいては、運転席の近傍にシフト操作装置7(図3参照)が配置されている。シフト操作装置7にはシフトレバー71が変位可能に設けられている。そして、この例のシフト操作装置7には、前進走行用のドライブレンジ(Dレンジ)、アクセルオフ時の制動力(エンジンブレーキ)が大きな前進走行用のブレーキレンジ(Bレンジ)、後進走行用のリバースレンジ(Rレンジ)、中立のニュートラルレンジ(Nレンジ)が設定されており、ドライバが所望のレンジへシフトレバー71を変位させることが可能となっている。これらDレンジ、Bレンジ、Rレンジ、Nレンジの各位置はシフトポジションセンサ104(図3参照)によって検出される。シフトポジションセンサ104の出力信号はECU100に入力される。なお、駐車ポジション(Pポジション)は別配置のPスイッチによって設定することができる。
−ECU−
ECU100は、エンジン1及び各モータジェネレータMG1,MG2を協調して制御する電子制御装置であって、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMなどを備えている。ROMには、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMはCPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMはエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
ECU100には、図3に示すように、エンジン回転数センサ101、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ102、スロットル開度センサ103、シフトポジションセンサ104、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ105、及び、ブレーキペダルに対する踏力(ブレーキ踏力)を検出するブレーキペダルセンサ106が接続されている。さらに、ECU100には、エンジン冷却水温を検出する水温センサ、吸入空気量を検出するエアフロメータ、吸気温センサ、空燃比センサ、O2センサ、バッテリ300の充放電電流を検出する電流センサ、及び、バッテリ温度センサなどが接続されており、これらの各センサからの信号がECU100に入力される。
また、ECU100には、エンジン1のスロットルバルブ13を開閉駆動するスロットルモータ14、燃料噴射装置15、点火装置15、並びに、電動オイルポンプ30などが接続されている。
そして、ECU100は、上記した各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットル開度制御(吸入空気量制御)、燃料噴射量制御、及び、点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。さらに、ECU100は後述する[歯打ち音低減制御]を実行する。
また、ECU100は、バッテリ300を管理するために、電流センサにて検出された充放電電流の積算値やバッテリ温度センサにて検出されたバッテリ温度などに基づいて、バッテリ300の充電状態(SOC:State of Charge)や、バッテリ300の入力制限Win及び出力制限Woutなどを演算する。
さらに、ECU100にはインバータ200が接続されている。インバータ200は、各モータジェネレータMG1,MG2それぞれの制御用のIPM(Intelligent Power Module:インテリジェントパワーモジュール)を備えている。その各IPMは、複数(例えば6個)の半導体スイッチング素子(例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などによって構成されている。
インバータ200は、例えば、ECU100からの指令信号(例えば、第1モータジェネレータMG1のトルク指令値、第2モータジェネレータMG2のトルク指令値Tm)に応じてバッテリ300からの直流電流を、モータジェネレータMG1,MG2を駆動する電流に変換する一方、エンジン1の動力により第1モータジェネレータMG1で発電された交流電流、及び、回生ブレーキにより第2モータジェネレータMG2で発電された交流電流を、バッテリ300を充電するための直流電流に変換する。また、インバータ200は、第1モータジェネレータMG1で発電された交流電流を走行状態に応じて、第2モータジェネレータMG2の駆動用電力として供給する。
−歯打ち音低減制御−
次に、ECU100が実行する歯打ち音低減制御について説明する。
まず、図1及び図2に示すシステムのハイブリッド車両HVにおいて、エンジン1からの直達トルクのみで走行している場合、第2モータジェネレータMG2のトルクがほぼゼロとなる。このとき、第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rからリダクション機構4のリングギヤR4までの間のガタ(バックラッシ等)はフローティングの状態(ギヤ浮きした状態)となっており、こうした状態のときに、エンジン1の爆発に伴う回転変動がリダクション機構4などに伝わると、ギヤ同士が衝突して歯打ち音(ガラ音)が発生する。このような歯打ち音を低減するために、エンジン回転数を上昇させるという方法を採用した場合、燃費の低下が懸念される。
この例では、そのような点を考慮し、燃費の低下を抑制しながら、歯打ち音を低減することが可能な制御を実現する点に特徴がある。その具体的な制御(歯打ち音低減制御)の例について図4のフローチャートを参照して説明する。この図4の制御ルーチンはECU100において所定時間毎に繰り返して実行される。
図4の制御ルーチンを説明する前に、この制御に用いるエンジン1の動作ラインについて図5を参照して説明する。
図1及び図2に示すようなハイブリッド車両HVでは、駆動輪6(リングギヤR3,R4)の回転数及びトルクに依存することなく、エンジン回転数及びエンジントルクを自由に操作することができるので、例えば、エンジン1の動作点を最適燃費動作ラインに沿うように制御することが可能であり、また、エンジン1の動作点を他の任意の動作ラインに沿うように制御することが可能である(例えば特開2000−087774号公報、特開2005−105943号公報を参照)。このような点を利用し、この例では、複数の動作ラインを用いて歯打ち音を低減する制御を実行する。具体的には、図5に示すように、歯打ち音低減動作ライン(第1動作ライン)M1と、その歯打ち音低減動作ラインM1よりも最適燃費ラインに近い位置に設定した潤滑大動作ライン(第2動作ライン)M2とを用いて歯打ち音低減制御を実行する。
ここで、図5に示す歯打ち音低減動作ラインM1は、エンジン回転数−エンジントルク特性において、後述する歯打ち音発生箇所(第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rからリダクション機構4のリングギヤR4までの間)への潤滑油量が十分でない場合(後述する潤滑油量Lsum1がLlimit1以下である場合)に発生する歯打ち音を低減(例えばドライバ等が気にならいレベルにまで低減)できるような動作ラインを、実験・シミュレーション計算などによって経験的に適合した動作ラインである。
また、図5に示す潤滑大動作ラインM2は、上述の如く、歯打ち音低減動作ラインM1よりも最適燃費ラインに近い動作ラインであって、歯打ち音発生箇所への潤滑油量が十分であり燃費を重視しても歯打ち音を低減できるような動作ラインを、実験・シミュレーション計算などによって経験的に適合した動作ラインである。なお、図5の歯打ち音低減動作ラインM1及び潤滑大動作ラインM2はマップ化されており、そのマップは例えばECU100のROM内に記憶されている。
次に、この例の歯打ち音低減制御について図4の制御ルーチンの各ステップ毎に説明する。
ステップST101では、現在の車両状態が歯打ち音の発生する領域であるか否かを判定する。具体的には、第2モータジェネレータMG2のトルク指令値Tmが所定の範囲内(−Tm1<Tm<+Tm2)である否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合はリターンする。ステップST101の判定結果が肯定判定である場合は「歯打ち音が発生する領域である」と判定してステップST102に進む。
ここで、ステップST101の処理に用いる判定値[−Tm1]及び[+Tm2]は、エンジン1からの直達トルクのみでの走行時に、第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rからリダクション機構4のリングギヤR4までの間のガタ(バックラッシ等)がフローティング状態となる場合の第2モータジェネレータMG2のトルク指令値Tmを実験・計算等により経験的に取得し、その結果を基に適合した値(例えば、−Tm1=−20Nm,+Tm1=20Nm)を設定する。
ステップST102においては、歯打ち音が発生する箇所(第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rからリダクション機構4のリングギヤR4までの間)に供給される潤滑油量Lsum1を以下の処理にて算出する。
(a1)機械式オイルポンプ22の1回転当たりの吐出能力[cc/rev]、及び、エンジン回転数センサ101の出力信号から算出されるエンジン回転数[rpm]から機械式オイルポンプ22による潤滑油量Lmop1[L/min]を求める。
(a2)電動オイルポンプ30が作動している場合、ポンプモータへの電流指令値から電動オイルポンプ30による潤滑油量Leop1[L/min]を求める。なお、電動オイルポンプ30が作動していない場合は、潤滑油量Leop1を「0」とする。
(a3)上記デファレンシャル装置54のファイナルギヤ54aの回転によって掻き上げられる潤滑油量Lgear1[L/min]を求める。具体的には、ファイナルギヤ54aの回転数(例えば、車輪速センサ105の出力信号から算出)に基づいてマップを参照してファイナルギヤ54aによる掻き上げ潤滑油量Lgear1を求める。なお、潤滑油量Lgear1を求めるマップは、例えば、ファイナルギヤ54aの回転数をパラメータとして、トランスアクスル10内での潤滑油の掻き上げ量を実験・計算などによって適合した値をマップ化したものであって、ECU100のROM内に記憶されている。
(a4)以上のようにして算出した、機械式オイルポンプ22による潤滑油量Lmop1、電動オイルポンプ30による潤滑油量Leop1、及び、掻き上げによる潤滑油量Lgear1の総量LSUM1(LSUM1=Lmop1+Leop1+Lgear1)を計算し、その潤滑油量の総量LSUM1に定数A1(全体潤滑油量に対する歯打ち音発生箇所への潤滑油の割合)を乗算して、歯打ち音発生箇所への潤滑油量Lsum1(Lsum1=A1×(Lmop1+Leop1+Lgear1))を得る。
なお、上記定数A1は、対象とするハイブリッド車両のトランスアクスルの潤滑油供給系の構造などを考慮し、全体潤滑油量に対する歯打ち音発生箇所への潤滑油量の割合を実験・計算などによって適合した値であってECU100のROM内に記憶されている。
次に、ステップST103では、ステップST102で算出した潤滑油量Lsum1が判定値Llimit1よりも大きいか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合(Lsum1≦Llimit1)はステップST111に移行する。ステップST103の判定結果が肯定判定である場合(Llimit1<Lsum1)は、歯打ち音が発生する箇所に十分に潤滑油が供給されていると判断してステップST104に進む。
このステップST103の判定処理に用いる判定値Llimit1については、歯打ち音発生箇所への潤滑油の供給量が十分であり、オイルフリクションによるガタ打ち力の低下にて歯打ち音を低減することが可能な潤滑油量を、実験・シミュレーション計算などによって取得し、その結果を基に適合した値を設定する。
ステップST104では、電動オイルポンプ30が作動しているか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合はステップST106に進む。ステップST104の判定結果が肯定判定である場合はステップST105に進む。なお、電動オイルポンプ30が作動している場合、ECU100は、そのポンプ起動時からの経過時間Δtをカウントしている。
ステップST105においては、上記経過時間Δtが判定値αよりも大きくなったか否かを判定する。この判定値αは、電動オイルポンプ30を起動した時点から、電動オイルポンプ30が吐出した潤滑油が上記歯打ち音発生箇所に到達するまでの時間を考慮して設定する。このステップST105の判定結果が否定判定である場合(Δt≦α)は、後述するステップST114に移行する。一方、ステップST105の判定結果が肯定判定である場合(α<Δt)は、電動オイルポンプ30からの潤滑油が上記歯打ち音発生箇所に到達していると判断してステップST106に進む。
そして、ステップST106では、図5に示す動作ラインのうち、潤滑大動作ラインM2を選択し、その潤滑大動作ラインM2に基づいてエンジン1の動作を制御する。この潤滑大動作ラインM2に基づくエンジン制御は、上記ステップST101またはステップST103の判定結果が否定判定となるまで継続される。なお、上記ステップST101が否定判定となった場合(歯打ち音が発生する領域でなくなった場合)には、通常制御時の動作ラインに移行する。また、ステップST103の判定結果が否定判定となる場合はステップST111に移行する。
ステップST111では電動オイルポンプ30が作動しているか否かを判定する。ステップST111の判定結果が肯定判定である場合は、ステップST112において電動オイルポンプ30の吐出量を増加(電流指令値を大きく)してステップST114に進む。一方、ステップST111の判定結果が否定判定である場合は、ステップST113において電動オイルポンプ30を起動してステップST114に進む。このように、歯打ち音が発生する箇所への潤滑油量が十分でない場合(ステップST103の判定結果が否定判定である場合)に、電動オイルポンプ30の吐出量を増加するか、もしくは電動オイルポンプ30を起動することにより、その潤滑油量の増加分だけオイルフリクションが増加して歯打ち音が低減する。
そして、ステップST114では、図5に示す2つの動作ラインのうち、歯打ち音低減動作ラインM1を選択し、その歯打ち音低減動作ラインM1に基づいてエンジン1の動作を制御する。なお、この歯打ち音低減動作ラインM1に基づくエンジン制御は、上記ステップST101が否定判定になるか、または、上記ステップST103が肯定判定(YES)になるまで継続される。
以上のように、この例の制御によれば、歯打ち音発生箇所(第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rからリダクション機構4のリングギヤR4までの間)への潤滑油量が十分でない場合(Lsum1≦Llimit1)は、歯打ち音を低減することを優先した動作ライン(歯打ち音低減動作ラインM1)に基づいてエンジン1を制御する。このような制御により、燃費は多少低下するものの、歯打ち音を低減することができる。これに対し、歯打ち音が発生する領域であるときに、歯打ち音発生箇所への潤滑油量を十分に確保できる場合(Llimit1<Lsum1)には、潤滑油のフリクション(オイルフリクション)によってガタ打ち力が低下して歯打ち音が低減するようになるので、最適動作ラインに近い動作ライン(潤滑大動作ラインM2)に基づいてエンジン1を制御することで燃費の向上を図っている。
このように、この例の制御では、車両状態が歯打ち音の発生する領域である場合に、常に、歯打ち音低減動作ラインM1に基づいてエンジン1を制御するのではなく、歯打ち音発生箇所への潤滑油量が十分でありオイルフリクションによるガタ打ち力の低下が見込める場合には、エンジン動作点を最適燃費動作ラインに近い点に移動させて燃費の向上を図っているので、燃費の低下を抑制しながら、歯打ち音を抑制することができる。
また、この例の制御では、車両状態が歯打ち音の発生する領域であり、歯打ち音の発生箇所への潤滑油量Lsum1が上記判定値Llimit1よりも大きい状況のときに、電動オイルポンプ30が作動している場合は、そのポンプ起動時からの経過時間Δtを所定の判定値αと比較し、その経過時間Δtが判定値α以下である場合は歯打ち音低減動作ライン(歯打ち音低減を優先した動作ライン)M1に基づいてエンジン1を制御している。こうした制御により、上述した電動オイルポンプ30の応答遅れ等に起因する歯打ち音発生を回避することができる。そして、上記経過時間Δtが判定値αよりも大きくなった場合には、最適動作ラインに近い動作ライン(潤滑大動作ラインM2)に基づいてエンジン1を制御しているので、燃費の向上を図ることができる。
ここで、以上の例では、歯打ち音低減動作ライン(第1動作ライン)M1と、その歯打ち音低減動作ラインM1よりも最適燃費ラインに近い位置に設定した潤滑大動作ライン(第2動作ライン)M2との2つの動作ラインを用いて歯打ち音低減制御を実行しているが、これに限られることなく、例えば図6に示すように、潤滑大動作ライン(第2動作ライン)については、3つの動作ラインM21,M22,M23を設定しておき、車両状態が歯打ち音の発生する領域であり、歯打ち音の発生箇所への潤滑油量Lsum1が上記判定値Llimit1よりも大きい状況のときに、その潤滑油量Lsum1が多いほど、最適燃費ラインに近い側の動作ラインを選択してエンジン1を制御するようにしてもよい。このような構成を採用すると、歯打ち音発生箇所への潤滑油量Lsum1が多いほど、つまり、オイルフリクションによるガタ打ち力の低下度合いが大きいほど、最適燃費動作ラインに近い動作点でエンジン1を動作させることができるので、より効果的に燃費の向上を図ることができる。なお、このように第2動作ラインを複数設定する場合、2つの動作ラインもしくは4つ以上の動作ラインを設定するようにしてもよい。
また、歯打ち音低減動作ライン(第1動作ライン)M1についても、複数の動作ラインを設定しておき、歯打ち音発生箇所への潤滑油量Lsum1が少ないほど、歯打ち音レベルが小さくなる側の動作ラインを選択してエンジン1を制御するようにしてもよい。
−歯打ち音低減制御の他の例−
次に、歯打ち音低減制御の他の例について、図7のフローチャート及び図1〜図5を参照して説明する。この図7の制御ルーチンはECU100において実行可能である。
なお、この例は、電動オイルポンプを備えていない点、及び、「歯打ち音低減制御」の内容のみが、上記した例(図1〜図5の例)と相違しており、その他の構成(図1〜図3の構成など)については上記した例と基本的に同じである。
図7の制御の例では、上記した歯打ち音が発生する箇所(第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rからリダクション機構4のリングギヤR4までの間)への潤滑油供給を、機械式オイルポンプ22、及び、上記ファイナルギヤ54aの回転による掻き上げのみによって行う場合の例を示している。なお、この例においても、図5に示すエンジン1の動作ライン、つまり、歯打ち音低減動作ライン(第1動作ライン)M1と、その歯打ち音低減動作ラインM1よりも最適燃費ラインに近い位置に設定した潤滑大動作ライン(第2動作ライン)M2とを用いて歯打ち音低減制御を実行する。
図7の制御ルーチンが開始されると、まずは、ステップST201において、現在の車両状態が歯打ち音の発生する領域であるか否かを判定し、その判定結果が否定判定である場合はリターンする。ステップST201の判定結果が肯定判定である場合は「歯打ち音が発生する領域である」と判定してステップST202に進む。このステップST201の処理は、上記した図4の制御ルーチンのステップST101と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
ステップST202では、歯打ち音が発生する箇所(第2モータジェネレータMG2のロータMG2Rからリダクション機構4のリングギヤR4までの間)に供給される潤滑油量を以下の処理にて算出する。
(b1)機械式オイルポンプ22の1回転当たりの吐出能力[cc/rev]、及び、エンジン回転数センサ101の出力信号から算出されるエンジン回転数[rpm]から、機械式オイルポンプ22による潤滑油量Lmop2[L/min]を求める。
(b2)上記デファレンシャル装置54のファイナルギヤ54aの回転によって掻き上げられる潤滑油量Lgear2[L/min]を求める。具体的には、ファイナルギヤ54aの回転数(例えば、車輪速センサ105の出力信号から算出)に基づいてマップを参照してファイナルギヤ54aによる掻き上げ潤滑油量Lgear2を求める。なお、潤滑油量Lgear2を求めるマップは、例えば、ファイナルギヤ54aの回転数をパラメータとして、トランスアクスル10内での潤滑油の掻き上げ量を実験・計算などによって適合した値をマップ化したものであって、ECU100のROM内に記憶されている。
(b3)以上のようにして算出した、機械式オイルポンプ22による潤滑油量Lmop2、及び、掻き上げによる潤滑油量Lgear2の総量LSUM2(LSUM2=Lmop2+Lgear2)を求め、その潤滑油量の総量LSUM2に定数A2(全体潤滑油量に対する歯打ち音発生箇所への潤滑油の割合)を乗算して、歯打ち音発生箇所への潤滑油量Lsum2(Lsum2=A2×(Lmop2+Lgear2))を得る。
なお、上記定数A2は、対象とするハイブリッド車両のトランスアクスルの潤滑油供給系の構造などを考慮し、全体潤滑油量に対する歯打ち音発生箇所への潤滑油量の割合を実験・計算などによって適合した値であってECU100のROM内に記憶されている。
次に、ステップST203では、ステップST202で算出した潤滑油量Lsum2が判定値Llimit2よりも大きいか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合(Llimit2<Lsum2)は、歯打ち音が発生する箇所に十分に潤滑油が供給されていると判断してステップST204に進む。このステップST203の判定処理に用いる判定値Llimit2については、歯打ち音発生箇所への潤滑油の供給量が十分でありオイルフリクションによるガタ打ち力の低下にて歯打ち音を低減することが可能な潤滑油量を、実験・シミュレーション計算などによって取得し、その結果を基に適合した値を設定する。
ステップST204では、図5に示す動作ラインのうち、潤滑大動作ラインM2を選択し、その潤滑大動作ラインM2に基づいてエンジン1の動作を制御する。なお、この潤滑大動作ラインM2に基づくエンジン制御は、上記ステップST201またはステップST203の判定結果が否定判定となるまで継続される。
一方、ステップST203の判定結果が否定判定である場合(Lsum2≦Llimit2)は、ステップST205において、図5に示す2つの動作ラインのうち、歯打ち音低減動作ラインM1を選択し、その歯打ち音低減動作ラインM1に基づいてエンジン1の動作を制御する。なお、この歯打ち音低減動作ラインM1に基づくエンジン制御は、上記ステップST201が否定判定になるか、または、上記ステップST203が肯定判定になるまで継続される。
以上のように、この例の制御においても、車両状態が歯打ち音の発生する領域である場合に、常に、歯打ち音低減動作ラインM1に基づいてエンジン1を制御するのではなく、歯打ち音発生箇所への潤滑油量が十分でありオイルフリクションによるガタ打ち力の低下が見込める場合には、エンジン動作点を最適燃費動作ラインに近い点に移動させて燃費の向上を図っているので、燃費の低下を抑制しながら、歯打ち音を抑制することができる。
なお、この例の歯打ち音低減制御においても、潤滑大動作ライン(第2動作ライン)を複数設定し(例えば図6参照)、それら複数の潤滑大動作ラインの中から、歯打ち音の発生箇所への潤滑油量Lsum2に応じて1つの動作ラインを選択してエンジン1を制御するようにしてもよい。また、歯打ち音低減動作ライン(第1動作ライン)を複数設定し、それら複数の歯打ち音低減動作ラインの中から、歯打ち音の発生箇所への潤滑油量Lsum2に応じて1つの動作ラインを選択してエンジン1を制御するようにしてもよい。
−他の実施形態−
以上の例では、歯打ち音発生箇所への潤滑油量Lsum1,2を判定値Llimit1,2と比較して動作ラインを選択しているが、本発明はこれに限られることなく、例えばトランスアクスル10の内部で循環する潤滑油の総量(上記したLSUM1、LSUM2)は、上記歯打ち音発生箇所への潤滑油量に相関する油量であるので、その潤滑油の総量(LSUM1、LSUM2)を所定の判定値と比較して、歯打ち音発生箇所への潤滑油量が十分であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、上記した歯打ち音低減動作ライン(第1動作ライン)M1または潤滑大動作ライン(第2動作ライン)M2のいずれか一方の動作ラインを選択してエンジン1を制御するようにしてもよい。
以上の例では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両や、4輪駆動車の制御にも適用できる。
また、ハイブリッド車両のトランスアクスルについても、図1に示す形態に限られることなく、例えば摩擦係合要素の係合・開放により変速を行う変速機能が付加されたトランスアクスルなど、他の任意の形態のトランスアクスルが搭載されたハイブリッド車両にも本発明を適用することができる。
以上の例では、第1モータジェネレータ及び第2モータジェネレータの2つの電動機が搭載されたハイブリッド車両の制御に本発明を適用した例を示したが、1つの電動機もしくは3つ以上の電動機が搭載されたハイブリッド車両の制御にも適用可能である。
本発明は、駆動源としてエンジン(内燃機関)と電動機とが搭載されたハイブリッド車両の制御装置に利用することができる。
1 エンジン
10 トランスアクスル
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ
MG2R ロータ
3 動力分割機構
4 リダクション機構
R4 リングギヤ
51 カウンタドライブギヤ
52 カウンタドリブンギヤ
53 ファイナルリングギヤ
54 デファレンシャル装置
54a ファイナルギヤ
6 駆動輪
22 機械式オイルポンプ
30 電動オイルポンプ
101 エンジン回転数センサ
100 ECU

Claims (5)

  1. 駆動源としてエンジンと電動機とが搭載され、前記電動機が歯車機構を介して駆動輪に差動的に連結されるハイブリッド車両の制御装置において、
    歯打ち音が発生する領域であるか否かを判定する判定手段と、歯打ち音が発生する領域であるときに、トランスアクスル内の潤滑油量に関する値を所定の判定値と比較し、その潤滑油量に関する値が判定値以下である場合は第1動作ラインに基づいて前記エンジンを制御し、前記潤滑油量に関する値が前記判定値よりも大きい場合には、前記第1動作ラインよりも最適燃費ラインに近い第2動作ラインに基づいて前記エンジンを制御する制御手段とを備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記電動機のトルク指令値が所定の範囲内にある場合に「歯打ち音が発生する領域である」と判定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項1または2記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が前記判定値よりも大きい場合に用いる前記第2動作ラインは複数設定されており、それら複数の第2動作ラインの中から、前記トランスアクスル内の潤滑油量に関する値に応じて1つの動作ラインを選択して前記エンジンを制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が前記判定値以下の場合に用いる前記第1動作ラインは複数設定されており、それら複数の第1動作ラインの中から、前記トランスアクスル内の潤滑油量に関する値に応じて1つの動作ラインを選択して前記エンジンを制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    当該ハイブリッド車両には電動オイルポンプが搭載されており、
    前記歯打ち音が発生する領域であって、前記トランスアクスル内の潤滑油量に関する値が前記判定値よりも大きい状況のときに前記電動オイルポンプが作動している場合は、当該電動オイルポンプが起動した時点からの経過時間を所定の判定時間と比較し、その経過時間が判定時間以下である場合は第1動作ラインに基づいて前記エンジンを制御し、前記経過時間が判定時間よりも長い場合には前記第2動作ラインに基づいてエンジンを制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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