一般に、医療診断用のX線撮影装置は、エックス線(X線)を人体に照射して、その透過されたX線のエネルギー強度分布差を検出する方式を用いるもので、該検出手段にはアナログ方式とデジタル方式とがある。
アナログ方式は、X線を受けると発光する増感紙(蛍光板)と銀塩フィルムとを組み合わせ、増感紙から発生した光で銀塩フィルム上に潜像を形成した後、この銀塩フィルムを化学処理することで可視像を得る方法のことをいう。この方法を用いるものには、増感紙及びフィルムを暗状態に保管して撮影に利用するフィルムカセットがある。
かかるアナログ方式は、フィルム及び現像過程において消耗的なコストが続けて発生する。また、1枚のフィルムが映像の獲得、ディスプレイ、保存、伝達媒体などの機能を全部担当しているため、細かなフィルム管理が必要とされ、フィルム管理の困難、管理費用の増加、紛失及び破損などの危険性が常に存在している他、現像過程で発生する廃液は環境親和的でないため、病院環境を阻害する原因とされ、また、現像にかかる時間の消費は患者の診療時間の遅延を招いており、よって、医療サービス環境の改善が至急に要望されている現状である。
デジタル方式は、X線に感応する検出媒体として2次元センサーを備え、該センサーから発生する微細電気的信号を2次元マトリクスを通じて得て、該微細信号を増幅する増幅回路、該増幅回路により増幅された信号をアナログ/デジタル変換器を通じてデジタル値に変換し、該デジタル変換値を画像データとした後、該画像データを最適の視覚化のために適切な映像処理過程を経てモニタまたはプリンタで表示する方式のことをいう。
この方法で映像を得る代表的な検出器には、映像板(Image Plate)を用いたCR(Computer Radiography)とシンチレータ(Scintillator)+電荷結合素子(Charge−Coupled Device)を用いたCCD検出器、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を用いた平板検出器(Flat Panel Detector)などがある。最近では、映像の質や患者被爆線量の減少、検査効率性、装着の容易性などの点から、上記の検出器の中でも平板検出器を用いてデジタルX線映像を得る方式が多用されている。
理想的な平板検出器は、適正な線量レベルで高い空間分解能を呈し、コントラスト分解能が高くて良質の映像を提供するものでなければならない。また、時間分解能に優れており、14×17インチ(inch)以上の大面積へと映像化可能であり、200μm以下の画素大きさを有し、横軸に2000画素、縦軸に2000画素以上のマトリクスを有するものでなければならない。一方、検出器そのものは、堅固で、半導体を使用し、その大きさが増感紙/フィルムカセットと同等であり、重さ及び性能が適切でなければならない。
臨床で使われている既存の平板検出器はこのような条件を概して満たしているが、大きさと重さの条件は満たしておらず、また、その使用のためにはテーブルブッキー(Bucky)またはスタンドブッキー内に固定しなければならず、下記のような問題点が発生してきた。
第一、診断をするための特殊な撮影手法に制約がある。例えば、固定型平板検出器が閉鎖型のテーブルブッキーと閉鎖型のスタンドブッキー内に固定されているので、X線管口から発生するX線が上方から下方に照射されて患者を透過し、透過されたX線が閉鎖型テーブルブッキー中の固定型平板検出器に検出される。しかし、固定型平板検出器の移動制約は、水平方向撮影や軸側方向撮影をすることができないか、あるいは、患者が非常に不便な姿勢で撮影をされるため、診断的に価値のある映像を得るには限界がある。特に、重患者や急病患者はその状態が非常に悪いから移動型のベッドで撮影をしなければならないが、固定型平板検出器を使用するデジタルX線撮影装置では上記の患者達を撮影しにくいという不具合がある。
このような問題点を補完するためには、固定型平板検出器を使用する既存のデジタルX線装置は、必ず、映像板(Image Plate)を用いたCR(Computer Radiography)装備を共に使用しなければならない。
映像板は、カセットという保護ケースに装着して使用するが、その形態及び重さが、フィルムと増感紙を装着して使用するカセットと非常に似ているため、既存のフィルム及び増感紙を使用してきたユーザには非常に馴染んでいるものである。そして、重さが1〜3Kg程度である点から、簡単な固定装置を用いて様々な撮影姿勢に適用することができる。この映像板は、撮影により発生した潜像(latent Image)を有しており、映像読取器(Image Reader)でその潜像を読み取り、アナログ/デジタル変換と映像処理(image processing)を経て最終映像を得ることができる。しかし、映像板は、撮影回数による老化度を有するため、映像老化度の測定を行って入れ替えなければならない。
しかし、同一患者に対して平板検出器及び映像板で撮影をする場合、二つのデジタル映像を比較して診断することは非常に難しいことである。すなわち、2つの検出器はその特性と映像処理手法において異なっており、医師が映像を比較検討して読み取ることが容易でない。
第二、X線照射によって被写体から発生した散乱線を除去するための格子がブッキーに固定されているため、散乱線発生か少なくて格子を必要としい撮影法でも格子を使用しなければならないという問題がある。
この格子は、X線検出媒体に到達する散乱線を除去するためのもので、鉛箔板とアルミニウム(または、紙、カーボン等)から構成されている。この格子は、散乱線のみを除去するのではなく、正確な映像形成に必要な一次線まて除去することがある。格子がブッキーに固定されている場合は、格子を必要としない撮影法においても、格子を必ず使用しなければならず、この格子使用に伴う一次線の不足分だけ撮影条件が増加してしまい、患者への被爆線量増加とX線チューブの負荷増加を招く。このような点を改善するために、一部の装備では、格子を着脱可能な構造に設計したブッキーを提供することもある。
第三、上記固定型平板検出器はブッキー内に固定されているため、すべての検査映像が拡大(iPs/Ps、Ps:被写体大きさ、iPs:映像大きさ)される。
医療用の診断X線映像には、拡大のない正確な実測サイズの映像(Ps=iPs)が要求される。映像拡大を最小化するためには、X線焦点と患者との距離(Dfo)を最大化し、患者と検出器との距離(Dod)を最小化しなければならない。テーブル撮影においてX線焦点と検出器との距離(Dfod)は100cmと定義されており、拡大を最小化するためには患者と検出器との距離(Dod)を最小化しなければならないが、ブッキー内に固定型平板検出器が装着されているからその距離(Dod)を最小化するには限界がある。
第四、検出器の異常により入れ替えを行う場合、サービス完了まで時間がかかる。
装備使用中に固定型平板検出器の異常から使用が不可能になった場合、デジタルX線装置は使用が不可能であり、サービスエンジニアの訪問までの時間、検出器の脱離時間及び安定化時間、検出器の映像補正ファイル生成(キャリブレーション)時間などが必要とされ、高価のデジタルX線装置を長時間使用できなくなる。
最近では、固定型平板検出器を用いるデジタルX線撮影装置の問題点を改善する目的として、移動型平板検出器(以下、“電子カセット”と称する。)を用いるデジタルX線撮影装置が提案されている。この電子カセットは、移動性と操作性を考慮して小型化及び軽量化しなければならず、特に、既存の映像板カセットまたはフィルムカセットを使用するX線撮影装置にも適用するためには、特別な構造設計が要求される。
特に、電子カセットは、その自律性を保障するために無線データ転送方法を選択する必要があり、電源供給のための蓄電池がさらに必要とされ、自律性に伴う外部衝撃による破損を最小化するための特殊な構造とX線撮影装置のブッキーにおいて既存の映像板カセット及びフィルムカセットと互換して使用可能な特別な設計が必要とされる。このため、電子カセットの大きさ及び重さは増加し、特に撮影回数が多い場合は、蓄電池の容量を大きく設計しなければならず、よって、電子カセットの小型化及び軽量化には特化した構成及び構造が要求される。
しかも、既存に使用されてきた映像板カセットとフィルムカセットは、ブッキーに装着してX線検査を実行すると、映像板カセットの映像板とフィルムカセットのフィルムに潜像が記録され、当該カセットをブッキーから取り外した後に映像板リーダ機やフィルム現像機で当該潜像を読み取って画像を得るようになる。このため、映像板カセットとフィルムカセットは、X線検査の度にブッキーに着脱を反復しなければならないという不便さがあった。
以下、本発明の好適な実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。下記の説明において、関連する公知機能や構成についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にさせると判断される場合にはその詳細な説明を適宜省略する。
図1は、電子カセットを用いるデジタルX線撮影装置を示す概念図であり、ワークステーション101、モニタ251、X線発生及びブッキー制御部121、テーブル531、テーブルブッキー521、スタンドブッキー501、電子カセット保管装置5951、電子カセット3111,3211で構成されている。
ワークステーション101には、X線発生及びブッキー制御部121、通信及び映像獲得部131、前処理部141、応用プログラム提供部111を含む。ワークステーション101は、当該デジタルX線撮影装置の全般を制御する。
X線発生及びブッキー制御部121は、X線発生装置211及びブッキー501,521を制御し、応用プログラム提供部111及び通信及び映像獲得部131と互いに連動する。
通信及び映像獲得部131は、ワークステーション101に連結される電子カセットのチャンネルを決定し、連結された電子カセットを多重制御し、映像を獲得する一連の過程を行う。ここで、連結可能なチャンネル数は2以上である。特に、電子カセットと連結する通信方法は、有線1315,1316または無線1317、1318とすることができる。
前処理部141は、移動平板検出器3111,3211,3321に該当する補正ファイル3112,3212,3312を管理及び適用する役割の他に、前処理部142,143を含む第2デジタルX線撮影装置Bと移動型デジタルX線撮影装置Cが含む補正ファイル3122,3222,3322と3132,3232,3332を探索及び適用する役割を果たす。
応用プログラム提供部111では、患者及び検査情報を、映像獲得及び転送システム(PACS)270を通じて照会及び適用したり手動で直接入力したりし、前処理過程(Pre−processing)を通じてきれいになった映像(Clean Image)CI01に基づいて後処理過程(Post−processing)1111を行い、最適化された映像(Optimized image)1112を生成し、該最適化された映像をデータベースに保存し、映像獲得及び転送システム270に転送する役割を果たす。
上記患者及び検査情報においてそれぞれ検査を正確にするための検査方法と装備の設定は非常に多様で複雑なので、獲得された映像の診断的価値は、操作者の熟練度にしたがって大差を示す。したがって、常に同一の映像を獲得するためには、当該患者及び検査情報に応じて装備の設定が自動で設定される必要がある。したがって、応用プログラム提供部111は、撮影条件の自動設定、ブッキーの自動設定、検出器の自動設定などの役目を果たし、電子カセットの装着状態表示と誤設定による警告メッセージ発生などを含む構成装置の総括的な制御機能をグラフィックユーザインターフェース(Graphic User Interface)で行う。
図2は、本発明で電子カセットの使用状態を示す図で、第1デジタルX線撮影装置A、第2デジタルX線撮影装置B、移動型デジタルX線撮影装置Cの3つのデジタルX線撮影装置に電子カセット3個を使用する。第1デジタルX線装置Aは、2個の電子カセット3111,3211を使用する撮影装置である。
この撮影装置は、大面積電子カセット3111と小面積電子カセット3211のような2種類の電子カセットで構成されている。大面積電子カセット3111,3311は、検出面積が14×17"(インチ)になっており、小面積電子カセット3211は、検出面積が10×12インチになっている。電子カセットを大面積と小面積に区別する理由は、X線撮影検査の種類とその方法が多様であり、大面積のカセットは腹部、胸部、脊椎などに活用度が高く、小面積電子カセットは、四肢、屈曲があったり位置付けがし難い特殊な撮影法を要求する部位の検査に活用度が高いという点を考慮し、X線撮影検査の効率を高めるためである。
第2デジタルX線装置Bは、胸部専用装置である。この装備は、病室及び外来患者または健康検診者の胸部検査専用装置であり、この検査は、午前に大部分行われ、午後及び夜間には行われないという特徴がある。したがって、検査の行われない午後及び夜間には、第2デジタルX線装置Bの電子カセット3321を第1デジタルX線装置AのCh3(1313)に装着して使用したり、移動型デジタルX線撮影装置Cに装着して使用することができる。
移動型デジタルX線撮影装置Cは、急病室や重患者室の患者が撮影室まで移動できない場合、X線撮影装置を患者のある病室に移動させて撮影をするためのものである。この装備は、検査要請は頻繁であるが、検査量は多くないことが特徴である。第1デジタルX線撮影装置から電子カーセット3111,3211,3311を取り外し、該取り外された電子カセットを移動型デジタルX線撮影装置Cに装着し、急病室及び重患者室で検査をすることができる。この検査が完了すると、電子カセットは移動型デジタルX線撮影装置Cから取り外し、第1デジタルX線撮影装置に再び装着して使用する。
このように、3個の電子カセットを3個のデジタルX線装置A、B、Cで使用することによって、高価の移動平板検出器の活用度を高めることができる。もし、検査の項目が単純なため、大面積の移動型平板検出器により全検査が容易にできると、小面積移動平板検出器は不要であり、よって、この場合には、2個の大面積電子カセット3111,3321を3個のデジタルX線装置A、B、Cで活用することができる。
図3は、本発明による電子カセットの映像前処理過程を示す図である。電子カセットは、その特性の上欠陥画素があり、きれいで正確な映像を得るためには、当該欠陥画素を修正する補正ファイル(Correction file、MC01)3112が必要とされる。この補正ファイルは、電子カセットのキャリブレーション191という過程を通じて得られるが、その具体的な方法は、電子カセットメーカで提供する一般的な方法としている。この時に得られるファイルには、オフセット補正ファイル(Offset map file、MOM01)、利得補正ファイル(Gain Map file、MGM01)、欠陥補正ファイル(Defect Map file、MDM01)、その他補正ファイル(Other Map file、MTM01)がある。このような補正ファイルは、原本映像(Raw image、MR01)をきれいな映像(CI01)とするのに必要とされ、補正ファイル(MC01)3112は実時間で修正(update)されなければならない。これは、撮影回数、照射線量、周辺温度変化などによって電子カセットのオフセット(Offset)と欠陥画素の特性が実時間で変化しているからである。したがって、最適のきれいな映像(CI01)を得るためには、補正ファイル(MC01)3112を必ず実時間で修正しなければならない。このような役割を前処理部141で果たす。
もし、第1デジタルX線撮影装置Aの電子カセット3111を互換可能な他の装備B、Cに使用したいとすれば、下記の2条件を満たさなければならない。
その第一は、固有番号の合う電子カセット(MD01)3111の補正ファイル(MC01)3112が、他の装備B、Cに適用されなければならない。電子カセットの状態に従って補正ファイルのオフセット及び欠陥画素が実時間で変化しているため、最近に修正された補正ファイルが適用しなければならないわけである。
第二は、電子カセットの電源が持続して供給されなければならない。電源が遮断されてから一定時間後に電源が供給されると、電子カセット3111のオフセットには急激な変化が生じる。この時、電子カセットに発生したオフセットと欠陥画素は、前処理部141,142,143に保存されているオフセット補正ファイル(MOC01)及び欠陥補正ファイル(MDC01)とかなり異なってくる。したがって、この時、原本映像(MR01)を獲得し、前処理部で前処理151を行うと、最適のきれいな映像(CI01)の獲得は保障できなくなる。
デジタルX線撮影装置A、B、Cのワークステーションは、多数の電子カセットの前処理ファイルを多数のデジタルX線撮影装置に適用できる前処理部141,142,143を含み、電子カセット3111,3211は蓄電池3048,3248を含んでいる。第1デジタルX線撮影装置Aで使用している電子カセット3111を取り外し、第2デジタルX線撮影装置Bに装着して使用する時、上記の2通りの条件を満たさなければならないが、ロジック141,142,143はネットワークで前処理ファイルを互いに共有しており、電子カセット3111を第2デジタルX線撮影装置Bに装着する時、第2デジタルX線撮影装置Bのロジック142は、最近に適用された電子カセット3111の前処理ファイル3112を、第1デジタルX線撮影装置Aのロジック141から検索し、検索された前処理ファイル3112を、第2デジタルX線撮影装置Bのロジック142の前処理ファイル3122(MC01B)に適用する。このような方法で、最近に修正された前処理ファイルを適用することができる。そして、電子カセット3112の蓄電池3048は、該電子カセットが第1デジタルX線撮影装置Aから取り外されて、第2デジタルX線撮影装置Bに装着されるまでの間に電源が遮断されることを防止する。
図4は、本発明による補正ファイル検索過程を示す図である。電子カセット3111がブッキー501,521または保管装置5951,5953に装着(S810)されると、電子カセット3111の固有番号MD01は電子カセット3111の背面の電子式IDチップ651,652,653に記憶されており、該電子式IDチップ651,652,653に記憶されている固有番号を、ブッキートレー5100に装着されているIDチップリーダ機5061、または電子カセット保管装置5951,5953に装着されているIDチップリーダ機5961,5953で認識して(S820)、X線発生及びブッキー制御部121に伝達する。ここで、電子式IDチップの代わりに、バーコードを用いることもでき、バーコードの利用時には、IDチップリーダ機の代わりに、バーコートリーダ機を使用すると良い。また、バーコード以外に、装置を識別するための他の方法を使用する場合は、リーダ機またはそれに対応するリーダ機を使用すれば良い。すなわち、IDチップ、バーコードなどを識別コードとすることができ、これら識別コードを読み取る装備をコードリーダ機とすることができる。
X線発生及びブッキー制御部121は、電子カセットの固有番号を、通信及び映像獲得部131と応用プログラム提供部111に伝達する。通信及び映像獲得部131は、電子カセット3111の連結状態を確認する。有線で連結(S840)されるとその連結された有線1315,1316によってチャンネルCh1,Ch2,Ch3が決定(S833)され、無線で連結(S830)されると無線1314によって自動でチャンネルCh1、Ch2、Ch3が決定(S831)され、ブッキートレーの電源供給部から電子カセットに電源を供給する(S832)。
前処理部141では、電子カセット3111の連結されたチャンネル1311と固有番号(MD01)を把握し、それに該当する補正ファイル(MC01)3112の有無を確認する。補正ファイルがあると(S851)、確認及び適用(S861)して、撮影準備を完了する(S862)。もし、システムにおいて補正ファイル(MC01)311が前処理部141にないと(S852)、他のシステムの前処理部142または移動保存装置260に保存されている補正ファイル(MC01B、MC01C)3122,3132を検索し、なかでも、最近に適用された補正ファイルを検索及び適用(S861)し、撮影準備を完了する(S862)。しかし、適用できる補正ファイルが検索されないと(S856)、補正ファイル生成を要請(S853)し、終了する。
図5は、大面積電子カセット3111の前面図及び背面図であり、図6は、小面積電子カセット3211の前面図及び背面図である。該大面積電子カセットは、14×17インチの検出面積を有しており、小面積電子カセットは、10×12インチの検出面積を有している。この電子カセット(以下、大面積電子カセット及び小面積電子カセットの大きさを区別する必要がない場合は、電子カセットと総称する。)の前面の表面には、方向を示す方向表示器3043,3243、中心垂直線3041,3241、中心水平線3042,3242が構成されており、検出器の枠には、外部衝撃を吸収する衝撃吸収部3044,3244とブッキートレーへのに安全で堅固な固定のための固定溝3051〜3056,3251,3252が設けられており、取っ手部分には、電源を供給する蓄電池3048、連結チャンネル及び準備状態を表示するチャンネル表示部3045,3245が設けられており、そして、移動便利性を提供する取っ手3046,3246が構成されている。ここで、チャンネル表示部3046,3246は、多数の電子カセットのうち、特定の電子カセットを選択するための電子カセット選択スイッチ3045a,3445aを含む。そして、背面には、電子式IDチップ3061〜3063,3261と電源端子部3070,3080,3090,3270が構成されている。
この移動平板検出器の方向表示器3043,3243は、獲得される映像の方向を定義するもので、矢印方向を常に上方に設定(711)して映像を獲得すると、正しい映像721が獲得される。中心垂直線3041,3241、中心水平線3042,3242は、電子カセットの中心を案内する役割を果たす。
この大面積電子カセットの枠には6個の固定溝3051〜3056が形成される。固定溝は、当該電子カセットをブッキートレー5100に安全で堅固に固定させる役割を果たす。
図7は、ブッキートレーの詳細構成図であり、図8は、大面積電子カセットがブッキートレーに装着される形態を示す図である。大面積電子カセットがいかなる形態で装着される状態でも堅固に固定されるように、中心水平線3041を基準に上段左右側に2個の固定溝3051,3052、下段左右側に2個の固定溝3053,3054が、中心垂直線3042を基準に左側上下端に2個の固定溝3055,3065が形成されている。上段左右側の2個の固定溝3051,3052は、大面積電子カセット3111が固定装置に対して逆方向垂直装着である時(図11の(a))、固定部5230,5240にかみ合って固定される。下段左右側の2個の固定溝3053,3054は、移動平板検出器3111が順方向垂直装着である時(図11の(b))、固定部5230,5240にかみ合って固定される。左側上下端の固定溝3055,3056は、移動平板検出器3111が固定装置に順方向または逆方向水平装着である時(図8の(c))、固定部5230,5240にかみ合って固定される。固定部材3031の厚さは、既存の映像板カセットとフィルムカセットの厚さ(約10mm)と同じ厚さを有する。
小面積電子カセット3211は、枠に2個の固定溝3251,3252を有している。これらの固定溝は、ブッキートレーへの安全で堅固な固定のためのものである。
図9は、小面積電子カセットがブッキートレーに装着される形態を示す図である。小面積電子カセットは、ブッキートレーへの堅固な固定のために、水平中心線3242を基準に上段左右側に2個の固定溝3251,3252を有する。
この小面積電子カセットは、大面積検出器と違い、固定溝が2個で済む。これは、その大きさが小型であり、ブッキートレー5100の装着形態による検査方法の制限がないため、ブッキートレーに単一の形態で固定して良いためである。
電子カセット3111,3211には、電源を供給する蓄電池3048,3248を含んでおり、電子カセット3111,3211に動作電源を供給する。
電子カセットが無線1314でワークステーション101に接続されると、電子カセットの電源供給が蓄電池3048,3248から行われる。蓄電池への充電電源は、ブッキートレー5100の電源供給部5061と電子カセット保管装置5951,5953の電源供給部5961,5963から供給される。電子カセットは、ブッキートレーから電源供給を受けるから、電子カセットがブッキーに装着されて連続して検査が実行される時に、蓄電池の容量限界による連続検査への制限がない。
電子カセットが有線1315,1316でワークステーション101に接続されると、電子カセットの電源供給は、有線を通じて行われる。電子カセットは有線で供給される電源を動作電源として直接使用せずに、蓄電池3048の充電電源としてのみ使用する。これは、互換可能なデジタルX線装置B、Cに電子カセットを装着する際に、有線が分離されながら一時的に動作電源の供給が遮断されることを防止し、かつ、有線の連結部品の接触不良による不安定な電源供給によって誤動作及び電源遮断が発生することを防止するためである。
電子カセットのチャンネル表示部3045,3245は、電子カセットがワークステーション101に現在連結されているチャンネルを表示する。デジタルX線撮影装置において2個以上の電子カセットを装着して使用する時、ユーザは、映像獲得のために、選択した電子カセットを正確に見分ける必要がある。そうでないと、ユーザは、検査準備を1番電子カセット3111に対して行い、映像獲得を2番電子カセット3211に対して行う場合が生じ、結果として、正確な映像を獲得できずに患者被爆のみを起こすという誤りを招く。この誤りを防止するためにはユーザが電子カセットを容易で便利に区別しなければならないが、その方法の一つが、電子カセットが現在連結されているチャンネルを電子カセットに表示することである。そして、電子カセットのチャンネル表示部3045,3245は、電子カセット選択スイッチ3045a,3445aを含む。電子カセット選択スイッチは、ユーザが約2秒間閉じていると、その電子カセットが撮影に用いられることをワークステーションに伝達する。ユーザが撮影室に置かれている多数の電子カセットを使用するに当たって、それぞれの電子カセットを正確に区別して撮影しなければならない。しかし、救急患者や重患者を撮影するだけに、熟練するまでは電子カセットの正確な区別がし難く、誤撮影につながることがある。これを防止するために、ユーザは、患者の位置付けをする途中に、電子カセット選択スイッチを選択して確認することによって、撮影に用いられている電子カセットを正確に区別し、ワークステーションに知らせて映像を獲得することによって、撮影の誤りを最小化することができる。これは、多数の電子カセットで撮影する時、多数の電子カセットの中から選択された電子カセットが正確に撮影に用いられるようにすることによって、混同を防止し、正確な撮影を可能にする機能を果たす。
チャンネル表示器3045は、電子カセット3111,3211のチャンネルを表示する他、検査準備状態も表示する。電子カセット3111,3211がデジタルX線撮影装置においてチャンネルで連結されていないと、チャンネル表示器3045,3245は消えてある状態であり、チャンネルで連結されて、補正ファイルを検索して適用されている検査待機段階は、チャンネル表示器3045,3245で点滅により表示され、検査のために該当のチャンネルが選択され、全ての検査準備状態が完了すると、チャンネル表示器3045,3245は持続して点灯状態で表示され、ユーザがその準備状態を把握することができる。
応用プログラム提供部111は、電子カセット3111,3211のチャンネルを定義し、そのチャンネルを、電子カセットのチャンネル表示器3045,3245、ブッキートレーのチャンネル表示器5639,5739及びディスプレイモニタ251に表示する。チャンネル表示は、1番チャンネルは青色、2番チャンネルは緑色、3番チャンネルは黄色で表示して可読性を高め、チャンネルがさらに必要な場合は、チャンネルとそのチャンネルに該当する色相を別に定義する。
電子カセットの背面には、IDチップ3061,3062,3063,3261が設けられる。これらのIDチップは、電子カセットの固有番号とそれぞれの位置情報が保存されている。IDチップは、ブッキートレーまたは保管装置において当該電子カセットを把握するのに用いられる。
デジタルX線撮影装置で多数の電子カセットを使用する場合、ユーザは、検査目的に応じてブッキー選択(スタンドブッキー、テーブルブッキー、ブッキー不使用)をし、使用しようとする電子カセットを選択しなければならない。もし、検査のためにスタンドブッキーを選択し、テーブルブッキーに装着されている電子カセットを選択した場合、X線はスタンドブッキーに照射され、映像はテーブルブッキーに装着されている電子カセットから得ることになり、検査誤りとされる。スタンドブッキーに装着されている電子カセットを把握し、その連結されているチャンネルを把握できるとすれば、該スタンドブッキーを選択することによって、装着されている電子カセットも自動で選択され、上記の誤りを防止することができる。
ブッキー501,521と保管装置5951,5953で装着されている電子カセットを把握するために、これらブッキーと保管装置は、IDチップリーダ機5061,5961,5963を含んでいる。小面積電子カセット3211がスタンドブッキー501に装着されると、IDチップリーダ機5061は、装着された小面積電子カセット3211のIDチップ3261の固有番号MD02を読み、該固有番号を、X線発生及びブッキー制御部121に伝達し、該X線発生及びブッキー制御部は、当該固有番号を応用プログラム提供部111に伝達し、該応用プログラム提供部は、当該固有番号に該当するチャンネル情報を通信及び映像獲得部131に要請し、該通信及び映像獲得部は、当該固有番号に連結されている電子カセットのチャンネル情報1312を確認して応用プログラム提供部に伝達し、応用プログラム提供部は、当該チャンネル情報を記録した後にX線発生及びブッキー制御部に伝達し、X線発生及びブッキー制御部は、チャンネル情報をチャンネル表示装置5639,5730に表示する。ユーザがスタンドブッキー501を選択すると、応用プログラム提供部は、記録されたチャンネル情報を参照して、当該スタンドブッキーに装着された電子カセット3211を自動で選択する。
大面積電子カセット3111は、3個のIDチップを含んでいる。この大面積電子カセットは、14X17インチと検出面積が広く、一側辺には移動の便利性のための取っ手3046が設けられている。
大面積電子カセットにIDチップが3個設けられる理由は、大面積電子カセットがブッキートレーに装着される形態が3通りであるからである。
図11は、スタンドブッキー501にブッキートレー5100を両方向から装着する様子を示しており、図8は、ブッキートレーに大面積電子カセットを装着する様子を示している。ブッキートレーが右側挿入(図11の(a))される場合、電子カセットの順方向垂直装着(図8の(b))が困難とされる。これは、取っ手がブッキー右側ケース554と干渉するためである。また、ブッキートレーが左側挿入(図11の(b))される場合、電子カセットは逆方向垂直装着(図8の(a))が困難とされる。これは、取っ手がブッキー左側ケース555と干渉するためである。したがって、ブッキートレーの両方向挿入が可能なブッキー501とすれば、大面積電子カセットを、図8に示す3つの形態に装着することができる。3つの形態のいずれにおいても、ブッキートレーで装着される電子カセットの固有番号は把握されなければならない。このために、電子カセットの背面においてはブッキートレーのIDチップリーダ機5061に対応する位置にIDチップ3061,3062,3063がそれぞれ設けられている。逆方向垂直装着(図8の(a))の場合は上段IDチップ3061が対応し、順方向垂直装着(図8の(b))の場合は下段IDチップ3063が対応し、水平装着(図8の(c))の場合は中間IDチップ3062が対応する。
そして、これら3つのIDチップは、装着された大面積電子カセット3111の水平中心線位置5637,5638,5737,5738も定義することができる。大面積電子カセット3111は、撮影目的によって、ブッキートレー5100への垂直装着(図8の(a)、(b))と水平装着(図8の(c))とに区別される。装着形態にしたがって、ブッキートレーの水平中心線位置5637,5638,5737,5738と電子カセットの水平中心線3041h,3042hとの一致は変更される。電子カセットがブッキートレーに垂直装着される時は、電子カセットの上端IDチップ3061と下端IDチップ3063がIDチップリーダ機5061に対応し、この対応は、X線発生及びブッキー制御部121に伝達され、X線発生及びブッキー制御部は、ブッキートレー5100の位置表示器で電子カセット用の3番目の目盛り5638,5738を表示させる。これは、電子カセットの水平中心線3042hが、ブッキートレー5100の位置表示器で電子カセット用の3番目の目盛り5638,5738と一致することを意味する。そして、電子カセットがブッキートレーに水平装着される時は、電子カセットの中間IDチップ3061がIDチップリーダ機5061に対応し、この対応は、X線発生及びブッキー制御部121に伝達され、X線発生及びブッキー制御部は、ブッキートレー5100の位置表示器で電子カセット用の2番目の目盛り5637,5737を表示させる。これは、電子カセットの水平中心線3041hが、ブッキートレー5100の位置表示器で電子カセット用の2番目の目盛り5637,5737と一致することを意味する。また、電子カセット用の2番目の目盛りと電子カセット用の3番目の目盛り表示は、当該ブッキー内に大面積電子カセットが装着されていることを意味する。
小面積電子カセット3211は、1個のIDチップを含んでいる。小面積電子カセットは、10X12インチと検出面積が比較的小さく、一側辺には、移動の便利性のための取っ手3246が設けられている。
小面積電子カセットに1個のIDチップを含む理由は、小面積電子カセットがブッキー内に装着される形態が、図9に示すように単一の形態と単純であり、IDチップリーダ機に対応するIDチップが1個で良いからである。
図9は、ブッキー内に装着されている小面積電子カセットの水平中心線を、位置表示器の電子カセット用の1番目の目盛り5636,5736に表示している。これは、ブッキー内に小面積電子カセット装着されたことを意味し、この表示は、装着された小面積電子カセットの水平中心線3242hと位置表示器の電子カセット用の1番目の目盛り5636,5736とが一致することを意味する。また、電子カセット用の1番目の目盛りの表示は、ブッキートレーに小面積電子カセットが装着されたことを意味する。
電子カセットの背面には、電源端子部3070,3080,3090,3270が設けられている。電子カセットが無線でワークステーションに接続されると、電源端子部を通じて電源が供給される。図5の(b)に示すように、大面積電子カセット3111の背面には、3個の電源端子部3070,3080,3090を含む。これらはIDチップ3061,3062,3063の真下に配置する。これは、図8に示す装着状態のいずれにおいても、電源の供給を受けるためである。なお、図6の(b)に示すように、小面積電子カセット3211の背面には、1個の電源端子部3270を含む。この電源端子部3270はIDチップ3261の真下に配置する。電源端子部3070、3080、3090、3070のそれぞれは、電源端子3071,3081,3091,3271、グラウンド端子3072,3082,3092,3272、センサー端子3073,3083,3093,3273で構成されている。
図15の(a)に示すように、電源端子部の各端子は、電子カセットの背面に凹設されており、これら端子と対応する電源供給部5070の各端子は、プラグ5091の形態をしており、電子カセットがブッキートレー及び保管装置に正常に装着されると、プラグは電源端子に接触する。センサー3073は、電子カセットの電源端子部3070がブッキーの電源供給部5070と正常に接触したか否か確認し、ブッキートレーは、電子カセットの電源端子3071に電源を供給する。電源端子3070の構成及び機能は、他の電源端子3080,3090,3270の構成及び機能と同様であり、同じ役割を果たす。
ブッキー501,521は、非散乱グリッド(Moving Grid)320及びイオンチャンバー(Ion−chamber)330が装着されており、その下のブッキートレー5000は、カセット3111,3211,410,420を固定してブッキー内に着脱できる構造、例えば、図8、図9、図10、図11、図12及び図19に示すような構造となっている。非散乱グリッド320は、人体910を透過したX線から発生した散乱線を除去して画質を向上させ、イオンチャンバー330は、透過X線量を測定する役割を果たし、この測定量はX線発生装置に伝達されてX線照射量を制御する。
図7は、電子カセット3111,3211、映像板カセット410,420、フィルムカセットを安定して装着し、ブッキーに挿入する役割を果たすブッキートレー5000を示す図である。ブッキートレー5000は、カセットが着脱可能な構造となっており、また、カセットのチャンネル及び装着状態を表示する表示部5600,5700と、カセットをブッキートレー5000に安全に固定する固定部5110〜5222と、電子カセットの電源を供給する電源供給部5070と、電子カセットのIDチップ3061〜3063,3261を読むID認識部5060と、で構成されている。
ブッキートレー5000のチャンネル及び装着状態を表す表示部5600,5700は、装着されているカセットの種類(大面積電子カセット、小面積電子カセット、映像板カセット、フィルムカセット)、電子カセットの連結チャンネルとその準備状態、装着状態(垂直、水平装着)、ブッキートレーのブッキー挿入状態などを表示する。
表示部5600,5700のチャンネル表示器5639,5739は、装着されているカセットの種類及びチャンネルを表示する。カセットがブッキートレー5000に装着され、該ブッキートレーがブッキーに挿入されると、図13に示すように、ブッキートレーに装着されているカセットの種類及びチャンネルを確認できなくなる。これを確認するために、チャンネル表示器5639,5739は、電子カセットがブッキートレーに装着されると、該装着された電子カセット3111,3211のチャンネル表示器3045,3245の表示をブッキートレーチャンネル表示器5639,5739にそのまま表示し、映像板カセットが装着されると、チャンネル表示器5639,5739は消灯する。
表示部5630,5730の位置表示器5631〜5638、5731〜5738は、装着されているカセットの水平中心線3041h,3042h,3242h,412h,421hと装着状態を、例えば、図8、図9、図10のように表示する。この位置表示器は、電子カセットの水平中心線3041h,3042h,3242hを案内する電子カセット水平中心線表示器(以下、電水平線表示器と称する。)と、映像板カセットの水平中心線412h,421hを案内する映像板カセット水平中心線表示器(以下、映水平線表示器と称する。)とに区別される。電水平線表示器5636〜5638,5736〜5738は緑色で表示し、映水平線表示器5631〜5635,5731〜5735は黄色で表示することで、電子カセットと映像板カセットとの区別を容易にさせる。
カセットがブッキートレー5000に装着され、該ブッキートレーがブッキーに挿入されると、図12に示すように、ブッキートレーに装着されているカセットの水平中心線と装着状態を確認することができない。
そこで、位置表示器5631〜5638,5731〜5738は、電子カセットがブッキートレー5000に装着されると、ブッキートレーに装着された電子カセット3111,3211の装着状態を、電子カセットの背面に設けられているIDチップ3061,3062,3063,3261を、電子カセット装着状態にしたがってブッキートレーに配置されるIDチップリーダ機で読んで把握し、電子カセットの装着状態に応じてその水平中心線案内を電水平線表示器5636〜5638,5736〜5738に表す。図8及び図9は、装着状態に従ってその水平中心線を電水平線表示器に表した実施例である。大面積電子カセット3111がブッキートレーに垂直装着された時(図8の(a)及び図8の(b))、電水平線の3番目の表示器5638,5738に点滅で表示し、ブッキートレーがブッキーに正常に挿入完了すると、当該表示器を点灯で表示する。電子カセットがブッキートレーに水平装着された時(図8の(c))、電水平線の2番目の表示器5637,5737に点滅で表示し、該ブッキートレーがブッキーに正常に挿入完了すると、当該表示器は点灯で表示する。図9は、小面積電子カセットがブッキートレー5000に装着された時、電水平線の1番目の表示器5636,5736が点滅で表示し、該ブッキートレーがブッキーに正常に挿入完了すると、当該表示器は点灯で表示する。
図12の(a)は、電子カセットがブッキーに装着された様子を示す図である。この水平線の2番目の表示器5637,5737が点灯しているので、該ブッキーには移動平板検出器が水平装着されていることがわかる。
映像板カセットがブッキートレー5000に装着されると、該ブッキートレーは、装着された映像板カセットの装着状態を移動支持固定装置5250の位置を通じて把握し、位置表示器において映像板カセットの水平中心線412h,421hに合う位置を映水平線表示器5631〜5635,5731〜5735に表す。移動支持固定装置が、8インチ位置5531に在ると映水平線の1番目の表示器5631,5731に対応し、10インチ位置5532に在ると映水平線の2番目の表示器5632,5732に対応し、12インチ位置5533に在ると映水平線の3番目の表示器5633,5733に対応し、14インチ位置5534に在ると映水平線の4番目の表示器5634,5734に対応し、17インチ位置5535に在ると映水平線の5番目の表示器5635,5735に対応する。
映像板カセットの種類は、映像板カセットの大きさによって区別し、8×10インチ、10×12インチ、14×14インチ、14×17インチがある。映像板カセットに装着された映像板はX線を受けると潜像を有することになり、この潜像を持っている映像板は、映像板リーダ機で潜像を読んでから消去して再び使用する。したがって、映像板カセットは検査の度にブッキートレーに着脱を反復し、この着脱の反復によってユーザは映像板カセットの装着状態を随時確認することができる。一方、水平中心線は、装着されるカセットの種類によってその位置が変更されるので、映水平線表示器を通じてその位置を表示する。
図10は、映像板カセットがブッキートレーに装着された状態表示を示す実施例である。14×14インチの映像板カセット410がブッキートレーに装着された時(図10の(a))、映水平線の4番目の表示器5634,5734が点滅し、該ブッキートレーがブッキーに正常に挿入完了すると、表示器は点灯で表示される。10×12インチの映像板カセット420がブッキートレーに装着された時(図10の(b))、映水平線の3番目の表示器5634,5734が点滅し、該ブッキートレーがブッキーに正常に挿入完了すると、表示器は点灯で表示される。
図12の(b)は、映像板カセットがブッキーに装着された状態表示を示す図である。映水平線の3番目の表示器5633,5733が黄色で点灯するので、該ブッキーには10×12インチの映像板カセットが装着されていることがわかる。
ブッキートレー5000の固定部5110〜5160,5205〜5260は、カセットをブッキートレーに中央に安全で堅固に固定し、その固定状態をブッキーの位置表示部とX線発生制御及びブッキー制御部に伝達する役目と、ユーザの不注意によるカセット脱離を防止する役目を果たす。
X線検査をブッキーで実行する時(図12)、ブッキー501の垂直中心線551とブッキートレーに装着された検出器の垂直中心線3041v,3042v,3241v,411v,421vは常に一致する状態で固定していなければならない。ユーザは、常に、ブッキー501の垂直中心線551を基準に患者の位置を設定して検査を実行する。もし、カセットの垂直中心線とブッキーの垂直中心線551とが一致していないと、獲得された映像の垂直中心線は片方に偏る現象が発生し、診断的に価値のない映像を得ることになり、誤りとなってしまう。
ブッキートレーの固定部は、カセットをブッキーの中心に安定で堅固に固定する役割を果たす。ブッキートレーの固定部は、主に、移動型固定装置5210,5220、移動支持型固定装置5250、固定型固定装置5151〜5156及び安全固定装置5110,5120で構成されている。
固定型固定装置5151〜5156は、大面積電子カセット3111の安定した装着を導くガイドレールの役割を果たす。図8は、大面積電子カセット3111をブッキートレー5000に装着する過程を示している。下段固定体5153,5156は、大面積電子カセットが垂直に上から下に装着される時にガイドレールの役割を果たし、上段固定体5151,5154は、大面積電子カセットが水平に上から下に装着される時にガイドレールの役割を果たし、中間固定体5152,5155は、大面積電子カセットが水平に上から下に装着される時に支持及び固定する役割を果たす(図8の(c))。これら固定体が大面積電子カセットと接触する表面は、滑らかで摩耗しない材質からなっている。そして、ブッキートレー5000の上段固定体5151,5154と下段固定体5153,5156は、電子カセット枠の形状に応じて屈曲する突出部5131,5161を含んでおり(図13の(c))、よって、大面積電子カセットがブッキートレーに一応装着されると、該大面積電子カセットを下から上に持ち上げない限り脱離されない。したがって、ユーザの不注意によって大面積電子カセットがスタンドブッキーのブッキートレーから脱離して落下破損することを防止することができる。
移動支持型固定装置5250は、電子カセットまたは映像板カセットの下部を支持する。移動支持型固定装置5250は、小面積電子カセットを電水平線5633,5733の位置に一致させ、該小面積電子カセットの固定溝3251,3252に移動固定体5210、5220がよくかみ合うように位置合わせ及び位置付けをする役割を果たす。そして、映像板カセットを映水平線位置に一致させて固定する役割とその位置を表示部に伝達する役割を果たす。
安全固定装置5110,5120は、安全輪5211を含んでおり、ブッキートレーに装着された検出器がユーザの不注意により脱離されることを防止する。そして、固定センサー5215を含んでおり、移動型固定装置5200に動作信号を伝達する。この安全固定装置5110は、安全輪体5111、固定センサー5115、安全固定突起5112、固定ピン5113で構成されている。
ブッキートレー5000に検出器が装着されると、安全固定装置5110,5120は、図15(a)及び図15(b)に示すように、固定ピン5112は、安全輪体5111をブッキートレーに固定して開閉可能にし、安全輪体の先端に安全固定突起5112が形成されており、カセットが閉じた状態で容易に離脱しないようにし、安全輪体の固定ピンの方向には固定センサー5115が取り付けられており、この固定センサーは、カセット3111,410がブッキートレーに装着されると、その装着状態を把握し、その情報を移動型固定装置5200に伝達する。安全固定装置が閉じる時、安全固定装置は、ブッキートレーに装着されたカセット3111,410の上端に引っ掛かり、安全固定装置の固定センサーは、当該カセットと安全固定装置との間で一定の圧力以上を受けると、ブッキートレーにカセットが装着されたことを認識し、移動型固定装置5200に駆動命令を伝達して当該カセットを固定させる。そして、移動型固定装置がカセットを固定している状態で安全固定装置に再び一定圧力以上が与えられると、該移動型固定装置に駆動命令を伝達してカセット固定を解除させる。
移動型固定装置5200は、ブッキートレー5000に装着されるカセットをブッキーの中央線551に一致させて堅固で安全に固定する役割を果たし、取っ手付きの電子カセットを固定するために、移動型固定装置はブッキートレーの上段に位置する。移動型固定装置5200は、1個の駆動モーター5205と2個の移動固定体5210,5220、2つの固定レール5211,5221、2つの移動固定軸5212,5222で構成されている。移動固定体5210,5220は、移動固定支持台5213、移動固定取っ手5214、移動固定突起5215で構成されている。
移動型固定装置5220は、安全固定装置5110,5120の固定センサー5215が作動すると、移動型固定装置の駆動モーター5205に駆動命令が伝達されて、該駆動モーターは時計回り方向に駆動して、2つの移動固定軸5212,5222を互いに中心方向に駆動させ、これら移動固定軸は、移動固定体5210,5220をブッキートレーの中央へ移動させ、移動固定体の固定突起5215はカセットを固定する。特に、電子カセットの場合、固定突起5215は電子カセット固定溝3051〜3056,3251〜3252にかみ合って堅固で安全に固定する。そして、固定体5210,5220の装着センサー5216はそれぞれ、固定体とカセットとがかみ合う周辺に位置し、移動固定体5210,5220の装着センサーの両方が感知されると、これはカセットがブッキーの中央に正確に装着されたということを意味するので、この装着された状態を、X線発生及びブッキー制御部121に伝達し、位置表示器5631〜5638,5731〜5738を点灯することで、その装着準備を完了する。
移動固定体5210,5220は、ブッキートレーの中心を基準に同一の距離を移動するので、装着されたカセットの垂直中心線3041v,3042v,3241v,411v,421vがブッキー500の中心線551と常に一致し、もし、一致しないと、上記の両装着センサーは感知されず、装着状態が位置表示器5631〜5638,5731〜5738に点灯で表示されない。
そして、カセットが移動型固定体5210,5220に固定されて該固定体の固定センサー5216が感知されている状態で、安全固定装置5110,5120に再び一定の圧力を与えると、固定センサー5115は、検出器の装着状態を把握し、移動固定装置5200に駆動信号を伝達し、この駆動信号は移動固定装置のモーター5205を反時計回り方向に作動させて、移動型固定体5210,5220を外側の方向に移動させ、当該カセット固定を解除する。この時、安全固定装置はカセットを固定しているため、カセットがユーザの不注意でブッキートレー5000から離脱して破損することを防止することができる。
ブッキートレー5000のIDチップリーダ機5061は、ブッキートレーの中央上段に配置され、装着センサー5216がカセットの正常な装着状態をX線発生及びブッキー制御部121に伝達すると、IDチップリーダ機は電子カセットのIDチップ3061,3062,3063,3261の固有番号を読み取り、該電子カセットの固有番号をX線発生及びブッキー制御部121に伝達する(図16の(a))。このX線発生及びブッキー制御部121は、当該固有番号を応用プログラム提供部111及び通信及び映像獲得部131に伝達する。そして、応用プログラム提供部は、前処理部に当該固有番号を伝達し、前処理部は、当該固有番号に合う前処理ファイルを検索し、映像が獲得される時に適用できるように準備する。そして、応用プログラム提供部111は、ブッキーに装着されている電子カセットのチャンネル情報を、通信及び映像獲得部131に要請してチャンネル情報を受け取り、該チャンネル情報をX線発生及びブッキー制御部に伝達し、このX線発生及びブッキー制御部は、ブッキーチャンネル表示部にチャンネル情報を表示する。もし、IDチップが読み取られていないと、X線発生及びブッキー制御部121は、映像板カセット及びフィルムカセットが装着されたものと判断する(図15の(b))。
ブッキートレー5000の電源供給部5070は、装着された電子カセット3111,3211が無線で接続される場合、該ブッキートレーに電源を供給する。
電源供給部5070は、ブッキートレーの中央上段に位置し、電源供給ピン5071、グラウンドピン5072、センサーピン5073からなっている。無線で接続された電子カセットがブッキートレーに装着されると、センサーピン5073は、図15の(a)に示すように、電子カセット3111のセンサー端子3072に接触し、この接触状態が正常であれば、電源供給ピンを通じて電子カセットに電源を供給する。もし、センサーフィンが電子カセットのセンサー端子と接触していないと、電子カセットがブッキートレーに正常に装着されていなと判断して電源供給を遮断し、X線発生及びブッキー制御部121を介して装着状態確認を要請するメッセージを応用プログラム提供部に要請する。接点式電源供給方式の代わりに、無接点式電源供給方式を用いることもできる。
図16は、大面積電子カセット装着による自動方向補正を示す図である。本発明のブッキー5000は、大面積電子カセット3111を両方向から着脱することができる。電子カセットは3つの装着形態712,713,714を有することができる。大面積電子カセット3111が正方向711,712に映像を獲得すると正常な映像721,722が得られる。しかし、逆方向714、水平方向713に大面積電子カセットを装着すると、90゜回転した映像723と180゜回転した映像724が得られる。この場合、大面積電子カセットがブッキーに装着されていてその装着状態が容易に把握できない状態で、獲得された映像の左・右方向をユーザが認識できないと、映像の方向性を失ってしまい、映像の左右を混同する場合がありうる。もし、誤った方向に映像に表記し、該映像を読み取ると、映像の診断に過大な誤りが生じることになる。したがって、電子カセットの装着状態に従って映像の方向を自動で補正すると、上記のような誤りを防止することができる。
映像の自動方向補正のためには、電子カセットの装着状態を把握する必要がある。電子式IDチップ3061,3062,3063は電子カセットの背面に配置され、これらIDチップによって、電子カセットがブッキーに装着されている状態を把握することができる。電子カセットが逆方向に装着(714)されると、電子式IDチップ3061がIDチップリーダ機5061に読み取られ、獲得された映像724は180゜回転されて正確な映像730が自動で得られ、水平方向に装着(713)されると、電子式IDチップ3062がIDチップリーダ機5061に読み取られ、獲得された映像723は90゜回転されて正確な映像730が自動で得られる。
応用プログラム提供部110で電子カセットの装着状態を把握し、獲得された映像が自動で90゜または180゜回転された映像が獲得されると、ユーザにとっては、検査した方向と映像の方向が常に一致して現れるので、方向混同を避けると同時に迅速な業務処理ができる。
図17は、本発明によって電子カセット3111,3211をブッキートレーに装着した斜視図である。テーブルブッキー521内のブッキートレー5101には、小面積電子カセット3211を装着し、スタンドブッキー内のブッキートレー5100には大面積電子カセット3111を装着した。これら電子カセットはワークステーション101と無線1317,1318または有線1315,1316で接続されており、ワークステーションから電子カセットを制御することができる。電子カセットは、ブッキートレーに着脱自在であり、大面積と小面積とに区別されているため、ブッキーを用いた撮影の他、固定型平板検出器で自由に位置移動できないテーブル上での検査、及び急病患者や重患者のベッド上での検査にも、当該電子カセットを用いたデジタルX線発生装置を容易に使用することができる。
本発明は、以上の特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱しない限度内で、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとっては、様々な変形実施が可能であるということは明らかであり、それらの変更はいずれも、請求の範囲に記載の範囲内に含まれる。