JP2011258490A - 過電圧保護部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、動作電圧の低電圧化と高信頼性を備える過電圧保護部品を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明の過電圧保護部品は、絶縁基板2に形成された下部電圧依存抵抗層3と、その上に形成された第1の放電電極4と、の先端部と互いに空間を隔てて対向している第2の放電電極5と、これらの一部を覆う上部電圧依存抵抗層6と、下部電圧依存抵抗層3、第1の放電電極4、第2の放電電極5および上部電圧依存抵抗層6とで囲まれた空間である放電空間7とを備え、下部電圧依存抵抗層3および上部電圧依存抵抗層6は通常は絶縁体であり過電圧が印加されると電気を通す特性を有し、導電粒子が短絡しないように分散して存在しており、放電空間7の側壁面の高さは第1の放電電極4の厚みに等しく、絶縁基板2はアルミナからなるものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の過電圧保護部品は、絶縁基板2に形成された下部電圧依存抵抗層3と、その上に形成された第1の放電電極4と、の先端部と互いに空間を隔てて対向している第2の放電電極5と、これらの一部を覆う上部電圧依存抵抗層6と、下部電圧依存抵抗層3、第1の放電電極4、第2の放電電極5および上部電圧依存抵抗層6とで囲まれた空間である放電空間7とを備え、下部電圧依存抵抗層3および上部電圧依存抵抗層6は通常は絶縁体であり過電圧が印加されると電気を通す特性を有し、導電粒子が短絡しないように分散して存在しており、放電空間7の側壁面の高さは第1の放電電極4の厚みに等しく、絶縁基板2はアルミナからなるものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子部品や電子回路を過電圧から保護する過電圧保護部品およびその製造方法に関する。
電子部品や電子回路を静電気などの過電圧から保護する方法として、通常の使用状態においては絶縁体として機能し、過電圧が印加されると部品自体のインピーダンスが大幅に低下したり、部品内部で放電したりすることにより電気を通す過電圧保護部品を、保護したい電子部品等の入力または出力の端子とグランドとの間に接続する方法が広く知られている。
過電圧保護部品として、ガラスを含有させた絶縁性セラミックスを素体とし、その内部に一対の放電電極を互いに先端部で空間を隔てて配置させたものは知られている。さらに、その空間の高さを放電電極の厚みと同じにしたものも知られている(特許文献1参照。)。
一方、アルミナ基板上に一対の放電電極をその先端部で互いに対向させて配置された過電圧保護部品も知られている(特許文献2参照。)。
また、一対の放電電極間に導電粒子を分散させることで、放電開始電圧を下げる過電圧保護部品も知られている(特許文献3参照。)。
近年、過電圧保護部品には、2つの性能が特に求められるようになってきた。
一つ目は、動作電圧の低電圧化である。近年の電子部品は、小型化等により静電気等への耐性が低下しており、従来よりも低電圧の過電圧に対してもダメージを受けることが多くなった。このため、過電圧保護部品も、低電圧で動作することが求められるようになってきた。ここで、過電圧保護部品の動作とは、インピーダンスが大幅に低下したり、部品内部で放電したりすることにより電気を通すことを言い、動作電圧とは上記のように過電圧保護部品が動作するための最低の電圧を言う。即ち、動作電圧以上の電圧で過電圧保護部品は電気を通し、導体の性質を示すこととなる。
二つ目は、高信頼性である。過電圧保護部品には、より高電圧の印加や、過電圧の印加回数を大幅に繰り返した際の信頼性が求められるようになってきた。これは、過電圧保護部品が用いられる電子機器やその電子機器が使用される場所、用途、使用環境などにより、求められる信頼性が高くなることや、本来求められるレベルよりもさらに高いレベルの信頼性を過電圧保護部品に求めることで、過電圧に対する安全率を高くする、言い換えると余裕を多く確保する、という考えによるところがある。例えば、より高い電圧での印加、およびそのような電圧を繰り返し印加する信頼性試験を行なう場合がある。特に、短パルスの高電圧を連続して繰り返し印加するような試験を行なう場合もある。
このように高電圧のパルス試験は、実際の静電気の印加に比べると、非常に過酷な試験であるが、上記のように安全率を高くする点から、そのような試験方法も用いられている。そして、このような試験においては、放電電極や一対の放電電極間に存在する導電物質などが溶解、あるいは変形することにより短絡を生じる場合がある。
これら動作電圧の低電圧化と高信頼性化は単独で要求されるのではなく、両方の特性向上が求められるようになって来ている。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、動作電圧の低電圧化と高信頼性を備える過電圧保護部品を得ることを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明は以下の手段を有している。
請求項1に記載の発明は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成された下部電圧依存抵抗層と、少なくともその先端部が前記下部電圧依存抵抗層上に形成された第1の放電電極と、少なくともその先端部が前記下部電圧依存抵抗層上に形成され前記第1の放電電極の先端部と互いに空間を隔てて対向している第2の放電電極と、前記第1の放電電極、前記第2の放電電極、前記下部電圧依存抵抗層および前記絶縁基板上に形成された上部電圧依存抵抗層と、前記第1の放電電極の先端部および前記第2の放電電極の先端部とが対向している空間を有し、前記第1の放電電極、前記第2の放電電極、前記下部電圧依存抵抗層および前記上部電圧依存抵抗層とで囲まれた空間である放電空間とを備え、前記下部電圧依存抵抗層および前記上部電圧依存抵抗層は通常は絶縁体であり過電圧が印加されると電気を通す特性を有し、少なくとも前記放電空間に接している面には導電粒子が短絡しないように分散して存在しており、前記放電空間の側壁面の高さは前記第1の放電電極の厚みに等しく、前記絶縁基板はアルミナからなるものである。
請求項1に記載の発明は、以下の作用効果を有する。
放電空間の側壁面の高さは第1の放電電極の厚みに等しくしているので、放電開始の際は、下部電圧依存抵抗層と上部電圧依存抵抗層の何れの経路も通り得るので、繰り返し印加される過電圧に起因する放電によるダメージを分散させることができ、信頼性を向上させることができる。
また、下部電圧依存抵抗層および上部電圧依存抵抗層は通常は絶縁体であり過電圧が印加されるとこれらの抵抗層表面を介した沿面放電が極めて生じやすくなる特性を有し、少なくとも前記放電空間に接している面には導電粒子が短絡しないように分散して存在しているので、動作電圧を低下させることができる。
また、絶縁基板はアルミナからなるので、放熱特性にすぐれ、信頼性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、前記上部電圧依存抵抗層を覆うガラスを主成分とするガラス保護層と、前記ガラス保護層を覆う樹脂からなる樹脂保護層を備えたものである。
この構成により、水分や湿気に対する信頼性を向上させることができるという作用効果を有する。
請求項3に記載の発明は、前記下部電圧依存抵抗層は少なくとも、前記放電空間の下部、前記第1の放電電極の先端部の下部および前記第2の放電電極の先端部の下部に位置し、前記ガラス保護層で覆われているものである。
この構成により、水分や湿気に対する信頼性をさらに向上させることができるという作用効果を有する。
請求項4に記載の発明は、絶縁基板の上面に下部電圧依存抵抗層となる電圧依存材料を含むペースト剤を塗布し下部抵抗ペースト層を形成する第1の工程と、放電電極用のペーストを塗布することで前記絶縁基板の上面側に第1の放電電極となる第1の放電電極ペースト層および第2の放電電極となる第2の放電電極ペースト層とを互いの先端部を対向させるように、かつ少なくとも前記第1の放電電極ペースト層の先端部および前記第2の放電電極ペースト層の先端部が前記下部抵抗ペースト層上に位置するように形成する第3の工程と、熱により焼失する物質を前記第1の放電電極ペースト層の先端部および前記第2の放電電極ペースト層の先端部間に塗布し放電空間ペースト層を形成する第4の工程と、前記放電空間ペースト層、前記第1の放電電極ペースト層の先端部および前記第2の放電電極層の先端部を覆うように上部電圧依存抵抗層となる電圧依存材料を含むペースト剤を塗布し上部抵抗ペースト層を形成する第5の工程と、前記第5の工程より後に焼成により前記放電空間ペースト層を焼失させて放電空間を形成する焼成工程とを備えたものである。
この製造方法により、精度良く放電電極を形成することができ、動作電圧を低くすることができるという作用効果を有する。
以上のように本発明の過電圧保護部品およびその製造方法は、動作電圧を低下させながらも高信頼性を得るという効果を有するものである。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明について説明する。
以下、実施の形態1を用いて、本発明について説明する。
図1は本発明の実施の形態1における過電圧保護部品の正面断面図、図2は同過電圧保護部品の側面断面図である。
過電圧保護部品1は、通常時においては絶縁体の性質を示すが、過電圧が印加されると電気を通すものである。以下、この過電圧保護部品1の構成について説明する。
絶縁基板2は、アルミナからなる板状の基板である。アルミナは絶縁体であり、強度的にも優れ、さらに熱伝導性に優れる。
下部電圧依存抵抗層3は、絶縁基板2上に形成されており、通常の電圧では絶縁体であり、過電圧を印加すると抵抗層表面を介した沿面放電が極めて生じやすくなる特性を有する。組成としては、バリスタに使用される酸化亜鉛等とガラスに導体粒子を混合させたものを用いることができる。導体粒子としてはCu、TiB2、ZrB2、CuNi、AgPdなどを用いることができる。また、導体粒子は少なくとも放電空間7に接する面に分散して存在していれば良く、酸化亜鉛等とガラスの混合物を絶縁基板2に層状に形成した後に、その表面に導体粒子を配置させてもよい。
ここで、下部電圧依存抵抗層3は、図2における紙面の左右方向、即ち幅方向において、絶縁基板2の幅よりも小さく形成している。
第1の放電電極4および第2の放電電極5は共に下部電圧依存抵抗層3上に形成されており、互いにその先端部で空間を隔てて対向している。第1の放電電極4および第2の放電電極5は過電圧印加時には電流が流れるのであるが、その際に保護しようとする電子回路等のインピーダンスより大幅に低いインピーダンスであるべきなので、導電性に優れる銅で形成している。しかし、銅に限られるものではなく、化学的安定性に優れる金を用いてもよく、また比抵抗が高くなるが融点が非常に高く、放電によるダメージを受け難いタングステンを用いることもできる。この選択は、導電性を優先するか、放電に対するダメージに強いこと、さらにはコストなどを考慮して決定すればよい。第1の放電電極4および第2の放電電極5は、下部電圧依存抵抗層3よりも幅方向において狭く形成されている。この理由は、後述する製造方法の説明の中で述べる。
上部電圧依存抵抗層6は下部電圧依存抵抗層3、第1の放電電極4、第2の放電電極5および絶縁基板2上に形成されており、その組成は下部電圧依存抵抗層3と同様であり、導電粒子が少なくとも放電空間7に接している面に分散して存在していることも下部電圧依存抵抗層3と同様である。
放電空間7は下部電圧依存抵抗層3、第1の放電電極4、第2の放電電極5および上部電圧依存抵抗層6で囲まれた空間であり、第1の放電電極4および第2の放電電極5の先端間に位置している。放電空間7の壁面の高さは、第1の放電電極4の厚みに等しくしている。ここで、放電空間7の側壁面の高さとは、図1、図2において紙面上下方向における放電空間7に接する壁となる部分の長さを言う。第1の放電電極4の先端部においては、下部電圧依存抵抗層3と上部電圧依存抵抗層6との間には第1の放電電極4が存在しているだけであるので、放電空間7の側壁面が第1の放電電極4の先端の端面になり、当然ながら放電空間7の側壁面の高さと第1の放電電極4の厚みは等しい。
ガラス保護層8は、ガラスからなり、上部電圧依存抵抗層6を覆う構成になっている。上部電圧依存抵抗層6は細かな空隙が存在し得るので、湿気や水分が放電空間7等へ浸入することを防止する機能をガラス保護層8は有している。また、ガラス保護層8は、樹脂による保護膜よりもアルミナからなる絶縁基板2と密着性に優れるので、絶縁基板2とガラス保護層8との間からの水分の浸入を防止することができる。このようにガラス保護層8を形成することで、耐湿性を向上させることができる。
樹脂保護層9は、樹脂からなりガラス保護層8を覆い、機械的な力や衝撃から内部を守る機能を有している。その材料としては、ポリアミドやフェノール樹脂、ポリイミドなどを用いることができる。
上面電極層10は、第1の放電電極4の上面の一部と、第2の放電電極5の上面の一部とにそれぞれ形成されている。
下面電極層11は、絶縁基板2の下面の両端部にそれぞれ形成されている。
端面電極12は、絶縁基板2の両端面を中心にそれぞれ形成されており、第1の放電電極4または第2の放電電極5と下面電極層11を電気的に接続する機能を有している。端面電極12は導電性に優れる材料を用いることが好ましく、具体的には銀や銅を主成分とするものが良い。また、プリント基板への半田付け性等を考え、銀や銅の下地の電極上にニッケルめっき層を形成し、さらにその表面にスズめっき層を形成するのが好ましい。
以上のように構成された過電圧保護部品1の製造方法について、以下に説明をする。
図3〜図10は製造方法を示しており、その内、図3〜図6は本発明の実施の形態1における過電圧保護部品の製造方法を示す正面断面図、図7〜図10は同過電圧保護部品の製造方法を示す平面図である。
まず最初に図3(a)、図7(a)に示すように、絶縁基板2を用意する。
次に、図3(b)、図7(b)に示すように、絶縁基板2上に最終的には下部電圧依存抵抗層3となる下部抵抗ペースト層20を印刷により塗布して形成する。下部抵抗ペースト層20の材料は、下部電圧依存抵抗層3の組成となるものを樹脂に混ぜペースト化したものである。下部電圧依存抵抗層3の幅は、絶縁基板2の幅より狭くしている。
次に、図3(c)、図7(c)に示すように、下部抵抗ペースト層20上に第1の放電電極ペースト層21および第2の放電電極ペースト層22を印刷により塗布する。最終的には、第1の放電電極ペースト層21は第1の放電電極4に、第2の放電電極ペースト層22は第2の放電電極5に相当するものとなる。第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とは、その先端部で間隔を隔てて対向して形成される。動作電圧を下げるためには、この間隔を狭くするとよい。そのためには、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とを繋がった一つの層で形成した後に、レーザーにより切断すると狭い間隔の第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とを形成することができる。しかし、レーザーを用いる場合は、下部電圧依存抵抗層3を切断したり、或いは下部電圧依存抵抗層3に溝を形成する可能性があり、特性上好ましくない。そこで、印刷により第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とを形成している。第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とが対向している距離は20〜60μmとしている。ここで、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とは共に下部抵抗ペースト層20上に形成されており、下部抵抗ペースト層20上からはみ出ていない。このようにすることで、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とを精度良く形成することが可能になる。これは、第1の放電電極ペースト層21または第2の放電電極ペースト層22が下部抵抗ペースト層20よりはみ出るように形成すると、第1の放電電極ペースト層21または第2の放電電極ペースト層22を構成するペーストの一部がそのはみ出た部分、即ち、絶縁基板2上へ流れ落ちてしまい、これにより第1の放電電極ペースト層21や第2の放電電極ペースト層22の形状の精度が悪化してしまう。そこで、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とを共に下部抵抗ペースト層20上に形成している。
次に、図4(a)、図8(a)に示すように放電空間ペースト層23を第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22とが対向している部分に塗布する。放電空間ペースト層23は後の焼成により焼失する材料を用い、例えば、アクリルビーズを用いることができる。放電空間ペースト層23が存在する空間は、焼失することにより、放電空間7を形成する。
次に、図4(b)、図8(b)に示すように、上部抵抗ペースト層24を下部抵抗ペースト層20、第1の放電電極ペースト層21、第2の放電電極ペースト層22および放電空間ペースト層23上に形成する。上部抵抗ペースト層24は放電空間ペースト層23を全て覆うように形成されており、また少なくとも第1の放電電極ペースト層21および第2の放電電極ペースト層22の先端部を覆うように形成されている。上部抵抗ペースト層24は最終的に上部電圧依存抵抗層6に相当するものである。
次に、図4(c)、図8(c)に示すように、ガラスペースト層25を上部抵抗ペースト層24を覆うように形成する。ガラスペースト層25は最終的に上部電圧依存抵抗層6に相当するものである。
この後、焼成を行い、放電空間ペースト層23を焼失させ、さらに下部抵抗ペースト層20、第1の放電電極ペースト層21、第2の放電電極ペースト層22、放電空間ペースト層23、上部抵抗ペースト層24およびガラスペースト層25を焼成させる。これにより、下部抵抗ペースト層20は下部電圧依存抵抗層3に、第1の放電電極ペースト層21は第1の放電電極4に、第2の放電電極ペースト層22は第2の放電電極5に、放電空間ペースト層23が存在していた空間は放電空間7に、上部抵抗ペースト層24は上部電圧依存抵抗層6に、ガラスペースト層25はガラス保護層8にそれぞれなる。この焼成後の図が、図5(a)、図9(a)である。
次に、図5(b)、図9(b)に示すように、上面電極層10を形成する。上面電極層10は印刷および焼成により形成することができる。
次に、図5(c)、図9(c)に示すように、ガラス保護層8を覆うように樹脂保護層9を形成する。樹脂保護層9の形成方法は、樹脂保護層9を構成する樹脂をペースト化したものを印刷、塗布し、その後乾燥する方法により行なうことができる。
最後に、図6、図10に示すように、端面電極12を形成する。端面電極12は端面電極12を構成する導体を含んだペーストを絶縁基板2の端面と、上面電極層10および下面電極層11に接触するように印刷、塗布し、その後、乾燥或いは焼成を行う。さらに、バレルめっき工法により、ニッケルめっき層、さらにその表面に錫めっき層を形成する。
次に、過電圧保護部品1の動作について説明する。
過電圧保護部品1は、静電気などの過電圧から保護したい電子部品や電子回路の入力とグランドとの間に接続しておく。具体的には、第1の放電電極4を電子部品等の入力側に、第2の放電電極5をグランド側に接続しておく。通常時には、入力に伝わる信号の電位が、第1の放電電極4にも掛かることになり、第1の放電電極4と対向している第2の放電電極5との間で電位差が生じるが、両者は絶縁体で隔てられているので、この間に電流が流れない。即ち、過電圧保護部品1は、絶縁体として機能し、入力に伝わる信号はそのまま電子部品等に伝わっていく。
一方、過電圧が印加された場合には、第1の放電電極4と第2の放電電極5間で放電を生じる。この場合、直接放電空間7を通して第1の放電電極4と第2の放電電極5間で放電が生じ始めるのではなく、最初に、放電空間7と接している下部電圧依存抵抗層3または上部電圧依存抵抗層6の表面を通じて放電が生じる。ここで、下部電圧依存抵抗層3および上部電圧依存抵抗層6には、少なくともその表面に導体粉を分散させているので、この導体粉を介して沿面放電が生じ易くなっている。一度放電が生じると、その後は、放電空間7を通じて第1の放電電極4と第2の放電電極5間で放電が生じる。
過電圧が印加されなくなり、信号のみが入力に伝わると、第1の放電電極4と第2の放電電極5間の電位差も減少するので、この間の放電も停止し、過電圧保護部品1は絶縁体として機能し、入力に送られた信号のみが電子部品等を流れることになる。
なお、過電圧保護部品1は過電圧が印加される側の信号線に接続して用いればよく、出力側に接続される場合もある。その場合も入力側に接続した場合と同様の作用効果を奏する。
ここで、本実施の形態の過電圧保護部品1は、放電空間7の壁面の高さと第1の放電電極4の厚みが等しいので、第1の放電電極4と下部電圧依存抵抗層3は接触し、また第1の放電電極4と上部電圧依存抵抗層6も接触しており、両者の距離は同じである。第1の放電電極4と厚みが等しい第2の放電電極5についても同様である。このため、最初の放電は下部電圧依存抵抗層3と上部電圧依存抵抗層6の何れでも起こりうるものである。放電の開始場所は、一般には、尖っている場所や、放電の距離が短くなる場所から生じやすいとされているが、第1の放電電極4および第2の放電電極5の先端部の形状は、微視的には凹凸が生じていても、巨視的には凹凸がなく電極間の距離も一定であるので、放電が開始される場所は一箇所には決まらない。また、放電開始の際の放電電流が流れる経路も下部電圧依存抵抗層3と上部電圧依存抵抗層6の一方のみに決まるのではない。従って、下部電圧依存抵抗層3および上部電圧依存抵抗層6は、いずれも第1の放電電極4および第2の放電電極5と接している構成にすることで、放電開始時の放電は、何れでも起こりうるようにしている。これにより、放電開始の放電によるダメージを分散させることができ、信頼性の向上を図ることができる。
また、放電空間7と接する下部電圧依存抵抗層3および上部電圧依存抵抗層6は、絶縁体に導電粒子を分散させたものではなく、過電圧を印加すると通電するものに導体粒子を分散させたものであるので、単に絶縁体に導電粒子を分散させたものよりも沿面放電し易い構成となり、さらに放電開始電圧を低下させることができる。放電開始電圧を低下させるためには、導体粉を増やすとよいが、増やし過ぎると短絡の可能性が生じてしまう。よって、バリスタの材料となるようなものを主成分とすることで短絡防止を図りつつ、動作電圧を低下させることができる。なお、絶縁体に導体粉を分散させる構成の場合には、本実施の形態に比べ動作電圧を低下させる点では不利であるが、要求される動作電圧がそれ程低く無い場合には用いることができる。
また、絶縁基板2はアルミナからなり、放電空間7とは下部電圧依存抵抗層3が介在しているだけであるので、放電空間7内で生じた放電による熱を絶縁基板2を通じて放熱させることができる。これにより、放電による第1の放電電極4および第2の放電電極5へのダメージを軽減させることができる。本実施の形態の過電圧保護部品1は、部品としての強度は絶縁基板2で確保することができるため、下部電圧依存抵抗層3には、部品としての強度は求められず、これにより厚みを薄くすることが出来るので、放電による熱を絶縁基板2を通じて放熱させるのは好適である。特に、高電圧で短パルス状の過電圧を繰り返し印加する場合には、非常に有用な構成である。
なお、本実施の形態においては、図4(c)、図8(c)の状態で焼成工程を行い、下部抵抗ペースト層20、第1の放電電極ペースト層21、第2の放電電極ペースト層22、上部抵抗ペースト層24およびガラスペースト層25の焼成と放電空間ペースト層23の焼失とを一度に行なっているが、印刷による層を沢山重ねていくことの困難性を考え、焼成を数回に分けてもよい。例えば、図3(c)、図7(c)の第1の放電電極ペースト層21および第2の放電電極ペースト層22を形成した後に最初の焼成を約850℃で行い、次に図4(b)、図8(b)の上部抵抗ペースト層24を形成した後に2回目の焼成を約850℃で行い、図4(c)、図8(c)のガラスペースト層25を形成した後に3回目の焼成を約650℃で行うという方法を取ることも出来る。
また、本実施の形態の製造方法においては、一つの過電圧保護部品1を製造する工程を説明したが、チップ抵抗器などで用いられている製造方法と同様に、1枚の大きなアルミナの基板から複数の過電圧保護部品1を製造するようにしてもよい。この場合、端面電極12を形成する前までは1枚の大きなアルミナの基板で製造しておき、端面電極12を形成する前に個片に分割すればよい。
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2における過電圧保護部品の製造過程の平面図であり、実施の形態1における製造過程の図である図7(b)に相当する図である。実施の形態1においては、図7(b)に示すように下部抵抗ペースト層20を絶縁基板2の上面における左端から右端まで形成したが、実施の形態2においては絶縁基板2の上面における中央部のみに設けるようにしてもよい。そして、絶縁基板2の上面において、この下部抵抗ペースト層20が形成される領域、即ち下部電圧依存抵抗層3が形成される領域を、ガラス保護層8が形成される領域が完全に含むようにすれば、水分や湿度に対する信頼性を向上させることができる。なお、この場合、下部抵抗ペースト層20の図11における左右方向の端部、即ち絶縁基板2の端面方向の端部は、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22の先端部から十分離れた位置にすべきである。これは、実施の形態1で説明したように、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22が下部抵抗ペースト層20より外側にはみ出ると、印刷時にペーストが絶縁基板2上に流れてしまし、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22の形状精度が悪化するからである。十分離れた位置にすることで、放電特性に影響を与える第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22の先端部の精度劣化を防ぐことができる。
図11は、本発明の実施の形態2における過電圧保護部品の製造過程の平面図であり、実施の形態1における製造過程の図である図7(b)に相当する図である。実施の形態1においては、図7(b)に示すように下部抵抗ペースト層20を絶縁基板2の上面における左端から右端まで形成したが、実施の形態2においては絶縁基板2の上面における中央部のみに設けるようにしてもよい。そして、絶縁基板2の上面において、この下部抵抗ペースト層20が形成される領域、即ち下部電圧依存抵抗層3が形成される領域を、ガラス保護層8が形成される領域が完全に含むようにすれば、水分や湿度に対する信頼性を向上させることができる。なお、この場合、下部抵抗ペースト層20の図11における左右方向の端部、即ち絶縁基板2の端面方向の端部は、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22の先端部から十分離れた位置にすべきである。これは、実施の形態1で説明したように、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22が下部抵抗ペースト層20より外側にはみ出ると、印刷時にペーストが絶縁基板2上に流れてしまし、第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22の形状精度が悪化するからである。十分離れた位置にすることで、放電特性に影響を与える第1の放電電極ペースト層21と第2の放電電極ペースト層22の先端部の精度劣化を防ぐことができる。
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3における過電圧保護部品の製造過程の平面図であり、実施の形態1における製造過程の図である図8(a)に相当する図である。実施の形態1においては、第1の放電電極4および第2の放電電極5の幅よりも放電空間7の幅の方を広くしているが、図12のように同じ幅にしてもよい。この場合、放電空間7の内壁における第1の放電電極4および第2の放電電極5の厚み方向の壁面を通じで放電が開始されることも有り得るので、放電開始によるダメージをさらに分散させることができる。
図12は、本発明の実施の形態3における過電圧保護部品の製造過程の平面図であり、実施の形態1における製造過程の図である図8(a)に相当する図である。実施の形態1においては、第1の放電電極4および第2の放電電極5の幅よりも放電空間7の幅の方を広くしているが、図12のように同じ幅にしてもよい。この場合、放電空間7の内壁における第1の放電電極4および第2の放電電極5の厚み方向の壁面を通じで放電が開始されることも有り得るので、放電開始によるダメージをさらに分散させることができる。
本発明にかかる過電圧保護部品およびその製造方法は、電子機器等に適用することができる。
1 過電圧保護部品
2 絶縁基板
3 下部電圧依存抵抗層
4 第1の放電電極
5 第2の放電電極
6 上部電圧依存抵抗層
7 放電空間
8 ガラス保護層
9 樹脂保護層
20 下部抵抗ペースト層
21 第1の放電電極ペースト層
22 第2の放電電極ペースト層
23 放電空間ペースト層
24 上部抵抗ペースト層
25 ガラスペースト層
2 絶縁基板
3 下部電圧依存抵抗層
4 第1の放電電極
5 第2の放電電極
6 上部電圧依存抵抗層
7 放電空間
8 ガラス保護層
9 樹脂保護層
20 下部抵抗ペースト層
21 第1の放電電極ペースト層
22 第2の放電電極ペースト層
23 放電空間ペースト層
24 上部抵抗ペースト層
25 ガラスペースト層
Claims (4)
- 絶縁基板と、
前記絶縁基板上に形成された下部電圧依存抵抗層と、
少なくともその先端部が前記下部電圧依存抵抗層上に形成された第1の放電電極と、
少なくともその先端部が前記下部電圧依存抵抗層上に形成され前記第1の放電電極の先端部と互いに空間を隔てて対向している第2の放電電極と、
前記第1の放電電極、前記第2の放電電極、前記下部電圧依存抵抗層および前記絶縁基板上に形成された上部電圧依存抵抗層と、
前記第1の放電電極の先端部および前記第2の放電電極の先端部とが対向している空間を有し、前記第1の放電電極、前記第2の放電電極、前記下部電圧依存抵抗層および前記上部電圧依存抵抗層とで囲まれた空間である放電空間とを備え、
前記下部電圧依存抵抗層および前記上部電圧依存抵抗層は通常は絶縁体であり過電圧が印加されると電気を通す特性を有し、少なくとも前記放電空間に接している面には導電粒子が短絡しないように分散して存在しており、
前記放電空間の側壁面の高さは前記第1の放電電極の厚みに等しく、
前記絶縁基板はアルミナからなる過電圧保護部品。 - 前記上部電圧依存抵抗層を覆うガラスを主成分とするガラス保護層と、前記ガラス保護層を覆う樹脂からなる樹脂保護層を備えた請求項1記載の過電圧保護部品。
- 前記下部電圧依存抵抗層は少なくとも、前記放電空間の下部、前記第1の放電電極の先端部の下部および前記第2の放電電極の先端部の下部に位置し、前記ガラス保護層で覆われている請求項2記載の過電圧保護部品。
- 絶縁基板の上面に下部電圧依存抵抗層となる電圧依存材料を含むペースト剤を塗布し下部抵抗ペースト層を形成する第1の工程と、
放電電極用のペーストを塗布することで前記絶縁基板の上面側に第1の放電電極となる第1の放電電極ペースト層および第2の放電電極となる第2の放電電極ペースト層とを互いの先端部を対向させるように、かつ少なくとも前記第1の放電電極ペースト層の先端部および前記第2の放電電極ペースト層の先端部が前記下部抵抗ペースト層上に位置するように形成する第3の工程と、
熱により焼失する物質を前記第1の放電電極ペースト層の先端部および前記第2の放電電極ペースト層の先端部間に塗布し放電空間ペースト層を形成する第4の工程と、
前記放電空間ペースト層、前記第1の放電電極ペースト層の先端部および前記第2の放電電極層の先端部を覆うように上部電圧依存抵抗層となる電圧依存材料を含むペースト剤を塗布し上部抵抗ペースト層を形成する第5の工程と、
前記第5の工程より後に焼成により前記放電空間ペースト層を焼失させて放電空間を形成する焼成工程とを備えた過電圧保護部品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010133636A JP2011258490A (ja) | 2010-06-11 | 2010-06-11 | 過電圧保護部品およびその製造方法 |
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JP2010133636A JP2011258490A (ja) | 2010-06-11 | 2010-06-11 | 過電圧保護部品およびその製造方法 |
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JP2011258490A true JP2011258490A (ja) | 2011-12-22 |
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ID=45474444
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JP (1) | JP2011258490A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014192011A (ja) * | 2013-03-27 | 2014-10-06 | Mitsubishi Materials Corp | サージアブソーバ及びその製造方法 |
-
2010
- 2010-06-11 JP JP2010133636A patent/JP2011258490A/ja active Pending
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