JP2011216734A - 半導体ウエハ加工用粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 放射線透過性の基材樹脂フィルムと、該基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された半導体ウエハ加工用粘着シートであって、該粘着剤層がベース樹脂100質量部に対し、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する重量平均分子量が10,000以下の化合物1〜300質量部、ゲル透過クロマトグラフィ法によって、ポリスチレンを標準物質として換算された重量平均分子量が1000未満の光重合開始剤0.1〜10質量部を含有する放射線硬化性樹脂組成物を用いた層で構成される半導体ウエハ加工用粘着シート。
【選択図】なし
Description
(1)高純度シリコン単結晶をスライスして半導体ウエハとした後、該ウエハ表面にICなどの所定の回路パターンを形成する。
(2)半導体ウエハ回路面を保護する表面保護テープを貼合して、形成された回路面を保護した上で、該ウエハ裏面を研削機により研削して、ウエハの厚さを100〜600μm程度まで薄くし、その後表面保護テープを回路面から剥離する。
(3)半導体ウエハの直径よりもやや大きな中空部分を有する輪状のダイシングフレームにダイシングシートを貼合し、該フレームの中空部分に露出した粘着剤層に前記研削機で研削されたウエハ裏面を貼合する。
(4)ダイシングシートが貼合された面とは反対側(すなわち、回路が形成された側)からダイシングして半導体チップとし、紫外線などの放射線を照射してダイシングシートの粘着剤層の粘着力を低下させて、該チップをダイシングシートの基材フィルム側からニードルで突き上げてピックアップを行う。
一方、近年、直径300mmの大口径のウエハから厚さ100μm以下の薄型の半導体チップを得ることが主流となっている。そこでこの薄型ウエハからいかに問題なく半導体チップを得ることが重要な課題である。
また本発明は、粘着剤層上にさらに接着剤層が設けられた半導体ウエハ加工用粘着シートにより、接着剤層と粘着剤層とをピックアップ工程で容易に剥離して、接着剤層付きの半導体チップを得ることができる半導体ウエハ加工用粘着シートを提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、
<1>放射線透過性の基材樹脂フィルムと、該基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された半導体ウエハ加工用粘着シートであって、該粘着剤層がベース樹脂100質量部に対し、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する重量平均分子量が10,000以下の化合物1〜300質量部、ゲル透過クロマトグラフィ(以下、「GPC」という)法によって、ポリスチレンを標準物質として換算された重量平均分子量が1000未満の光重合開始剤0.1〜10質量部を含有する放射線硬化性樹脂組成物を用いた層で構成されることを特徴とする半導体ウエハ加工用粘着シート、
<2>前記光重合開始剤が、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、および下記一般式(1)で表されるオリゴマー
からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<1>記載の半導体ウエハ加工用粘着シート、
<3>前記一般式(1)で表されるオリゴマーの重合度がn=2〜4であることを特徴とする<2>記載の半導体ウエハ加工用粘着シート、及び
<4><1>〜<3>記載の半導体ウエハ加工用粘着シートの粘着剤層上に、さらに接着剤層が設けられたことを特徴とする半導体ウエハ加工用粘着シート、
を提供するものである。
また本発明の粘着剤層上にさらに接着剤層が設けられた半導体ウエハ加工用粘着シートにより、接着剤層と粘着剤層とをピックアップ工程で容易に剥離して、接着剤層付きの半導体チップを得ることができる。
図1は本発明の半導体ウエハ加工用粘着シートの好ましい一実施形態を示す概略断面図であり、基材樹脂フィルム1と、基材樹脂フィルム1上に粘着剤層2が形成されている。また図2は本発明の半導体ウエハ加工用粘着シートの好ましい他の一実施形態を示す概略断面図である。図2においては、基材樹脂フィルム1と、基材樹脂フィルム1上に粘着剤層2が形成され、さらに接着剤層3が形成されている。
また図2に示す、粘着剤層上にさらに接着剤層が設けられた本発明の半導体ウエハ加工用粘着シートは、ダイシング工程終了後の放射線照射で発生した熱により、粘着剤層と接着剤層との剥離に問題が生じるということがない。
イソシアネート系硬化剤としては、具体的には多価イソシアネート化合物、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネートなどが用いられる。
なお、本発明における分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する低分子量化合物の重量平均分子量とは、下記条件のGPC(ゲルーパーミエーション クロマトグラフ)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量のことをいう。
(重量平均分子量の測定条件)
GPC装置:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
カラム :TSK−GEL G2500HHR(商品名、東ソー社製)
流量 :1ml/min
濃度 :0.2mg/ml
注入量 :100μl、
恒温槽温度:40℃
移動相 :クロロホルム
放射線重合性化合物としては、たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オルガノポリシロキサン組成物、市販のオリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
なお本発明においては、光重合開始剤の重量平均分子量は、下記条件のGPCで測定された値をいうものとする。
(重量平均分子量の測定条件)
GPC装置:島津製作所製 LCVPシリーズ
カラム:OligoPore 300×7.5(商品名)(商品名、PolymerLaboratories製)
流量: 1 ml/min、
濃度: 1mg/ml
注入量: 50μl、
カラム温度:40℃
展開溶媒:クロロホルム
その場合の現象について、図面を参照して説明すると、図1に示すように、基材樹脂フィルム1に粘着剤層2が形成された半導体ウエハ加工用粘着シート10の場合には、半導体チップのピックアップに支障が生じる。また図2に示すように、基材樹脂フィルム1に粘着剤層2が設けられ、さらに接着剤層3が形成された半導体ウエハ加工用粘着シート20の場合には、接着剤層3と粘着剤層2との剥離を円滑に行うことが困難となる。
光重合開始剤のポリスチレン換算でのGPCによる重量平均分子量の上限は好ましくは800、さらに好ましくは600である。
下記一般式(1)で表されるオリゴマーを挙げることができる。
(Rはアルキル基を表す。nは整数である。)
前記一般式(1)のオリゴマーは、重合度n=2〜4(分子量400〜700)のものが好ましく、重合度n=2〜3の(分子量400〜500)ものがさらに好ましい。
必要により、上記の光重合開始剤を2種以上併用してもよい。使用される光重合開始剤のそれぞれのGPCによる重量平均分子量が1000未満であればよい。またトリエチルアミン、テトラエチルペンタアミン、ジメチルアミノエタノ―ルなどのアミン化合物やチオキサントン系の光重合開始剤を光重合促進剤として併用することもできる。
粘着剤層の厚さに特に制限はない。通常、粘着剤層の厚さが通常5〜100μmとするように、粘着剤層を形成して、シート状、テープ状などの半導体ウエハ加工用粘着シートとする。
放射線としては、アルファ線、ガンマ線、電子線、紫外線等が使用でき、粘着剤層を硬化させることにより、粘着力を低下させることができるものであれば特に限定するものではない。電子線、紫外線が好ましく、光重合開始剤を使用したときは紫外線がさらに好ましい。
この場合は、半導体ウエハ加工用粘着シートを研削後の半導体ウエハ裏面に貼合し、その後半導体ウエハの回路形成面側から、粘着剤と接着剤が同時にダイシング加工で切り込まれる。そして接着剤層付きの半導体チップを得ることができる。接着剤層3に使用される接着剤としては、従来のものを使用することができる。
この中でも、硬化後の耐熱性が良い点で特にエポキシ樹脂を用いることが好ましい。エポキシ樹脂は硬化して接着作用を呈するものであればよい。ガラス転移温度(Tg)を高くして接着剤層の耐熱性を確保するために、多官能エポキシ樹脂を加えてもよい。多官能エポキシ樹脂としてはフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などを例示することができる。エポキシ樹脂の硬化剤は、通常、硬化剤として用いられているものであれば特に限定するものではなく、アミン系化合物、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三弗化硼素、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物であるビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSなどが挙げられる。
特に吸湿時の耐電食性に優れるためフェノール樹脂であるフェノールノボラック樹脂やビスフェノールノボラック樹脂等を用いるのが好ましい。また、硬化剤とともに硬化促進剤を用いることが、硬化のための熱処理の時間を短縮できる点で好ましい。硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテートといった各種イミダゾール類等の塩基が使用できる。
基材樹脂フィルムの厚さは、30〜500μm、好ましくは40〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。この厚さが薄すぎると強度が弱くなるため、半導体ウエハ加工中の破断等による不具合が生じることがある。
一方、基材樹脂フィルムが厚すぎると、ダイシング工程終了後の半導体チップのピックアップ工程において、半導体ウエハ加工用粘着シートが硬すぎて、ニードルによる突き上げに支障を生じる。また、ダイシング工程が終了し、ピックアップ工程前のエキスパンド工程において、半導体ウエハ加工用粘着シートを十分延伸することが困難になる。そのため、半導体チップの間隙が小さく、画像によるチップ認識性が不十分となり、半導体チップのピックアップ不良が生じる。
1.放射線硬化性樹脂組成物の調製
(1)粘着剤層を構成するベース樹脂
アクリル酸n−ブチル85質量部、アクリル酸エチル10質量部およびアクリル酸5質量部を用いて、粘着剤層を構成するベース樹脂として、アクリル系共重合体を調製した。その重量平均分子量は60万であった。
UN−3320HA(商品名、根上工業製)、UN−9000PEP(商品名、根上工業製)、UN−6050PTM(商品名、根上工業製)、UN−901T(商品名、根上工業製)、UN−9200A(商品名、根上工業製)を用いた。
使用した化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量と二重結合量を、以下の方法によって測定した。その結果は以下の通りであった。
UN−3320HA(商品名、根上工業製):1500(二重結合量:6)
UN−3320HC(商品名、根上工業製):1500(二重結合量:6)
UN−9000PEP(商品名、根上工業製):5000(二重結合量:2)
UN−6050PTM(商品名、根上工業製):6000(二重結合量:2)
UN−901T(商品名、根上工業製):4000(二重結合量:9)
UN−9200A(商品名、根上工業製):11500(二重結合量:2)
(重量平均分子量の測定条件)
GPC装置:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
カラム :TSK−GEL G2500HHR(商品名、東ソー社製)
流量 :1ml/min
濃度 :0.2mg/ml
注入量 :100μl、
恒温槽温度:40℃
移動相 :クロロホルム
(二重結合量の測定方法)
二重結合量
JIS K 0070 により、ヨウ素価を求め、その値から二重結合量を算出した。
(1)のベース樹脂100質量部に、表1〜表4記載の部数で、(2)記載の、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する重量平均分子量が10,000以下の化合物及び光開始剤を配合し、さらに硬化剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、商品名コロネートL)3質量部を配合して、表1〜表4の実施例及び比較例記載の放射線硬化性樹脂組成物を調製した。比較例1で使用した光開始剤の、ポリエチレングリコールユニット含有高分子アゾ重合開始剤としては、VPE−0201(商品名、和光純薬工業社製)を用いた。
光開始剤の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)法により測定を行い、ポリスチレンを標準物質として、重量平均分子量を算出した。その結果を表1〜3に併せて示した。ゲル透過クロマトグラフィとしては、PolymerLaboratories製のOligoPore 300×7.5(商品名)を使用した。展開溶媒はクロロホルムを用い、40℃で測定を行った。
EMMA樹脂(住友化学社製商品名、商品名:アクリフトWD201)を用いて、Tダイ法により、厚さ100μmの基材樹脂フィルムを作製した。この基材樹脂フィルムに、実施例1〜10、比較例1〜5に示された放射線硬化性樹脂組成物を塗工して適宜養生した。これにより、乾燥後の膜厚が10μmの粘着剤層を有する、図1に示す構成の半導体ウエハ加工用粘着シートを得た。
(a)接着層を構成する接着剤組成物の調整
エポキシ樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂50質量部、フェノール樹脂50重量部に対し、シランカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3質量部及びγ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン5質量部、並びにフィラーとして球状シリカ30重量部からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、更にビーズミルを用いて90分混練した。
上記の組成物にアクリルゴム(重量平均分子量15万)を300量部、及び硬化促進剤として1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール1質量部を加え、攪拌混合し、真空脱気し、接着剤組成物を得た。
(a)で得られた接着剤組成物を厚さ35μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(離型フィルム)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、膜厚が20μmのBステージ状態の離型フィルム上に接着剤層が形成された接着剤シートを得た。
次に、前記2.半導体ウエハ加工用粘着シートの作製(I)に記載された方法と同様の方法で、基材樹脂フィルム上に、表4の実施例11〜15、比較例6、7記載の放射線重合性樹脂組成物を用いて粘着剤層が形成された図1に示す構造の半導体ウエハ加工用粘着シートを得た。この粘着剤層と、上記の方法で作製した接着剤シートの接着剤層を突き合わせて積層し、図2に示す構成の半導体ウエハ加工用粘着シートに離型フィルムが積層された粘着シート(実施例11〜15、比較例6、7)を得た。以下の試験では、離型フィルムを剥して半導体ウエハに貼合し、評価を行った。
以下の条件でダイシングを行い、その後、ピックアップ性とチップ汚染性の評価を行った。
(ダイシング条件)
(1)図1の構成の半導体ウエハ加工用粘着シート
実施例1〜10と比較例1〜5に関しては、DISCO社製の「DFD−840」を用いて、シリコンウエハの裏面を2軸で30μm研削後、シリコンウエハの最終厚みが100μmとなるように研削した。そのときの研削条件は以下の通りとした。
1軸:350砥石(回転数:4800rpm、ダウンスピード:P1:3.0μm/sec、P2:2.0μm/sec)
2軸:♯2000砥石(回転数:5500rpm、ダウンスピード:P1:0.8μm/sec、P2:0.6μm/sec)
実施例11と比較例6に関しては、100μm厚の8インチシリコンウエハに、図2の構成の半導体ウエハ加工用粘着シートを70℃、20秒で貼合した後、Disco社製 DFD6340を用いて以下の条件でダイシングした。
ダイシングブレード(薄型回転砥石):1回目 Disco社製27HEEE、2回目 Disco社製27HEDD
ブレード回転数:35000rpm
ブレード送り速度:50mm/s
チップサイズ:5mm×5mm
切削深さ:
1回目 シリコンウエハへ50μm
2回目 半導体ウエハ加工用粘着シートへ40μm(基材樹脂フィルムの厚さ100μm、粘着剤層の厚さ10μm、接着剤層の厚さ20μm)
実施例1〜15及び比較例1〜7の半導体ウエハ加工用粘着シートについて、上記の4−1.に示した条件でダイシングを行った後、高圧水銀灯ランプの紫外線照射機を用いて、半導体ウエハ加工用粘着シートの基材樹脂フィルム面側から照射量が200mJ/cm2となるように紫外線照射を行い、その後、CANONマシナリー製CPS−6820(商品名)を用いてエキスパンドストローク5mmにてエキスパンドし、その状態でピックアップを行った。ピックアップは先端径でR250の突き上げピンを用いて行った。評価項目は以下の項目について実施した。
チップを実際にピックアップし、a.チップが問題なく突き上げ、b.円形コレットで吸着、及びc.リードフレーム上に設置のいずれも問題なくできるか評価した。評価は、8インチウエハの中から200チップをピックアップし、そのうちどれ位のチップ数がピックアップできたかにより評価した。200チップ中すべてピックアップできたものを合格とし、表1〜4にピックアップ成功チップ数を示した。
チップ汚染性は図1の構成の半導体ウエハ加工用粘着シート(実施例1〜10、比較例1〜5)については、以下の方法で評価した。
(2)−1 目視試験
上記チッピング性を評価した際、チップを剥がして、目視で確認した。ウエハ裏面に粘着剤の貼着もしくは汚染物の付着による虹色の光沢がない場合を合格とし、表1〜3に合格の場合は○、若干光沢が発生するが実用上問題ないレベルを△、粘着剤が貼着する場合を不合格とし、×で表示した。
(2)−2 異物試験
表面を洗浄した鏡面仕上げのシリコンウエハ(6インチ)に、半導体ウエハ加工用粘着シートを貼合し、24時間放置後、該シートを剥離した。該シートが貼合されていたウエハ表面に残留している異物の数をレーザー表面検査装置(サーフスキャン6420(商品名、KLA・Tencor(株)製)によって測定した。得られた結果を、次に示す評価基準で判定した。このうち、◎及び○を合格とし、△を実用上問題ないレベルであるとし、×を不合格とした。この結果を表1〜3に表示した。
◎:20個未満、○:20個以上90個未満、△:90個以上200個未満、×:200個以上
80℃に加熱されたホットプレート上に直径5インチのシリコンウエハを載せ、該シリコンウエハの表面温度が80℃になったのを確認した後に、およそ10秒間で半導体ウエハ加工用粘着シートを貼合した。その後、ホットプレートを取り去り、半導体ウエハ加工用粘着シートが貼合されたシリコンウエハの表面温度を室温まで下げた。
その後、高圧水銀灯ランプの紫外線照射機を用いて、半導体ウエハ加工用粘着シートの基材樹脂フィルム面側から照射量が200mJ/cm2となるように紫外線照射を行った。その後JIS−0237に準拠し、紫外線照射後の半導体ウエハ加工用粘着シートのシリコンウエハに対する剥離力を測定した。測定条件は、90°剥離で、剥離速度50mm/分)とした。その剥離力が0.5N/25mm以下の場合を合格とし、○とした。
これに対し、光重合開始剤としてポリエチレングリコールユニット含有高分子アゾ重合開始剤を用いたところ(比較例1)、光開始剤が十分均一に溶解できず、発生したラジカルの移動が十分円滑に行えない結果、200チップ中半分しかピックアップできなかった。
また、光重合開始剤の量を0.1質量部より少なくした場合(比較例2)、開始剤によるラジカル供給不足により、ピックアップ性に問題が生じ、10質量部より多くした場合(比較例3)、未反応物による昇華によりチップ汚染を生じた。
分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物の配合部数を1質量部より少なくすると(比較例4)、ピックアップ性が低下した。逆に、放射線重合性化合物の配合部数が300質量部より多い場合(比較例5)、粘着剤層に硬化収縮が発生し、チップ裏面に粘着剤が密着することにより、ピックアップ性の低下が見られた。
これに対し、重量平均分子量の大きい光重合開始剤を用いた比較例6では、粘着剤層と接着剤層との間でうまく界面剥離することができず、200チップ中、100の半導体チップしかピックアップすることができなかった。
また、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物の重量平均分子量が11,500のものを用いた比較例7でも、比較例6と同様に、200チップ中、100の半導体チップしかピックアップすることができなかった。
2 粘着剤層
3 接着剤層
10、20 半導体ウエハ加工用粘着シート
Claims (4)
- 放射線透過性の基材樹脂フィルムと、該基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された半導体ウエハ加工用粘着シートであって、該粘着剤層がベース樹脂100質量部に対し、分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する重量平均分子量が10,000以下の化合物1〜300質量部、ゲル透過クロマトグラフィ法によって、ポリスチレンを標準物質として換算された重量平均分子量が1000未満の光重合開始剤0.1〜10質量部を含有する放射線硬化性樹脂組成物を用いた層で構成されることを特徴とする半導体ウエハ加工用粘着シート。
- 前記一般式(1)で表されるオリゴマーの重合度がn=2〜4であることを特徴とする請求項2記載の半導体ウエハ加工用粘着シート。
- 請求項1〜3記載の半導体ウエハ加工用粘着シートの粘着剤層上に、さらに接着剤層が設けられたことを特徴とする半導体ウエハ加工用粘着シート。
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