JP2011216581A - 研磨液及び研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)〜(C)で示される成分を含有し、pHが1.5〜7.0であり、且つ、前記第1層に対して前記第2層を選択的に研磨しうる研磨液。
(A)負のζ電位を有するコロイダルシリカ粒子
(B)リン酸又は下記一般式(1)又は(2)で表される有機ホスホン酸化合物
(C)下記式(I)〜(III)で表される基のうち少なくとも一つを有するアニオン性界面活性剤
R2−C(R3)−(PO3H2)2 (1)
R4−N(R5)m−(CH2−PO3H2)n (2)
−PO3X2 (I)
−OPO3X2 (II)
−COOX (III)
【選択図】なし
Description
ここで、従来のトランジスタでは、ポリシリコンにB等の不純物を注入した変性ポリシリコンを主としたゲートを作製していたが、45nm世代以降のトランジスタでは、スタンバイ時の消費電力低減と高電流駆動能力とを両立するため、高誘電率ゲート絶縁膜(High-k膜)と従来のポリシリコンに代わってメタルゲート電極との適用が検討されている。これらを適用した技術としていくつかの手法が提案されている。例えば、ダミーゲート絶縁膜及びダミーゲート電極を形成し、多結晶シリコン膜に自己整合的に不純物を注入してソース・ドレイン拡散層を形成し、ダミーゲート絶縁膜及びダミーゲート電極を除去した後、高誘電率ゲート絶縁膜及びメタルゲート電極を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
<1> 半導体集積回路を作製する際の平坦化工程において、ポリシリコン又は変性ポリシリコンを含む第1層と、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、及び酸窒化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む第2層と、を少なくとも有して構成される被研磨体の化学的機械的研磨に用いられ、下記(A)〜(C)で示される成分を含有し、pHが1.5〜7.0であり、且つ、前記第1層に対して前記第2層を選択的に研磨しうる研磨液。
(A)負のζ電位を有するコロイダルシリカ粒子
(B)リン酸又は下記一般式(1)又は(2)で表される有機ホスホン酸化合物
(C)下記式(I)、式(II)、及び式(III)で表される基のうち少なくとも一つを有するアニオン性界面活性剤
(B)
R2−C(R3)−(PO3H2)2 (1)
R4−N(R5)m−(CH2−PO3H2)n (2)
一般式(1)中、R2及びR3は各々独立に、水素原子、水酸基、又は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基を表す。アルキル基が置換されている場合の置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、又はフェニル基である。
一般式(2)中、R4は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、−(CH2−PO3H2)n、又は−A−N(R5)p−(CH2−PO3H2)qを表し、Aは単結合又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、又は−(CH2−PO3H2)nを表す。mは0又は1を表し、nは1又は2を表す。ただしm+n=2である。pは0又は1を表し、qは1又は2を表す。ただしp+q=2である。
(C)
−PO3X2 (I)
−OPO3X2 (II)
−COOX (III)
式(I)〜式(III)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、又は4級アンモニウムカチオンを表す。
<3> 前記コロイダルシリカの濃度が、研磨液の全質量に対して0.1質量%〜10質量%の範囲である<1>又は<2>に記載の研磨液。
<4> 前記コロイダルシリカの平均一次粒子径が、5nm〜100nmの範囲であり、且つ平均二次粒子径が10nm〜300nmの範囲である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の研磨液。
<6> 前記(B)有機ホスホン酸化合物が、下記B10、B13、およびB15からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の研磨液。
<8> 前記(C)アニオン界面活性剤が、前記式(I)〜式(III)で表される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有する化合物である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の研磨液。
(a)前記被研磨体の表面を研磨パッド及び研磨液と接触させる工程と、
(b)前記第2層を磨耗させるのに十分な時間、研磨パッドと前記被研磨体との間で前記研磨液の一部を被研磨体表面と接触させ続けながら、研磨パッドと被研磨体との間の相対運動をさせる工程とを含み、前記研磨液が下記(A)〜(C)で示される各成分を含有し、pHが1.5〜7.0である研磨方法。
(A)負のζ電位を有するコロイダルシリカ粒子
(B)リン酸又は下記一般式(1)又は(2)で表される有機ホスホン酸化合物
(C)下記式(I)、式(II)、及び式(III)で表される基のうち少なくとも一つを有するアニオン性界面活性剤
(B)
R2−C(R3)−(PO3H2)2 (1)
R4−N(R5)m−(CH2−PO3H2)n (2)
一般式(1)中、R2及びR3は各々独立に、水素原子、水酸基、又は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基を表す。アルキル基が置換されている場合の置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、又はフェニル基である。
一般式(2)中、R4は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、−(CH2−PO3H2)n、又は−A−N(R5)p−(CH2−PO3H2)qを表し、Aは単結合又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、又は−(CH2−PO3H2)nを表す。mは0又は1を表し、nは1又は2を表す。ただしm+n=2である。pは0又は1を表し、qは1又は2を表す。ただしp+q=2である。
(C)
−PO3X2 (I)
−OPO3X2 (II)
−COOX (III)
式(I)〜式(III)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、又は4級アンモニウムカチオンを表す。
<11> 前記コロイダルシリカの濃度が、研磨液の全質量に対して0.1質量%〜10質量%である<9>又は<10>に記載の研磨方法。
<12> 前記コロイダルシリカが、平均一次粒子径が5nm〜100nmの範囲であり、且つ平均二次粒子径が10nm〜300nmの範囲である<9>〜<11>のいずれか1項に記載の研磨方法。
<14> 前記有機ホスホン酸化合物が、下記B10、B13,およびB15からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である<9>〜<13>のいずれか1項に記載の研磨方法。
<16> 前記(C)アニオン界面活性剤が、前記式(I)〜式(III)で表される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有する化合物である<9>〜<15>のいずれか1項に記載の研磨方法。
本発明の研磨液は、半導体集積回路を作製する際の平坦化工程において、ポリシリコン又は変性ポリシリコンを含む第1層と、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、及び酸窒化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む第2層と、を少なくとも有して構成される被研磨体の化学的機械的研磨に用いられ、下記(A)、(B)及び(C)で示される各成分を含有し、pHが1.5〜7.0であり、且つ、前記第1層に対して前記第2層を選択的に研磨しうることを特徴とする。
(A)負のζ電位を有するコロイダルシリカ粒子
(B)リン酸又は下記一般式(1)又は(2)で表される有機ホスホン酸化合物
(C)下記式(I)、式(II)、及び式(III)で表される基のうち少なくとも一つを有するアニオン性界面活性剤
(B)
R2−C(R3)−(PO3H2)2 (1)
R4−N(R5)m−(CH2−PO3H2)n (2)
一般式(2)中、R4は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、−(CH2−PO3H2)n、又は−A−N(R5)p−(CH2−PO3H2)qを表し、Aは単結合又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、又は−(CH2−PO3H2)nを表す。mは0又は1を表し、nは1又は2を表す。ただしm+n=2である。pは0又は1を表し、qは1又は2を表す。ただしp+q=2である。
(C)
−PO3X2 (I)
−OPO3X2 (II)
−COOX (III)
式(I)〜式(III)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、又は4級アンモニウムカチオンを表す。
なお、一般式(2)におけるn、R4がとりうる基である−(CH2−PO3H2)nにおけるn、およびR5がとりうる基である−(CH2−PO3H2)nにおけるnは、いずれも1又は2を表す。
本発明の研磨液は、砥粒の少なくとも一部として、(A)表面が負のζ電位を示すコロイダルシリカ粒子を含有する。このコロイダルシリカとしては、表面が負のζ電位を示していれば特に制限はないが、正の電荷を有するコロイダルシリカの表面に、アニオン性化合物が表面に吸着することで、表面が負のζ電位を示すコロイダルシリカであることが好ましい。すなわち、正の電荷を有するコロイダルシリカとアニオン性化合物とを配合することにより、研磨液系中において、コロイダルシリカの表面に、アニオン性化合物が吸着して、コロイダルシリカの表面が負のζ電位を示すものが好ましい。
このように、表面を修飾又は改質されるコロイダルシリカとしては、粒子内部にアルカリ金属などの不純物を含有しない、アルコキシシランの加水分解により得たコロイダルシリカであることが好ましい。一方、ケイ酸アルカリ水溶液からアルカリを除去する方法で製造したコロイダルシリカも用いることができるものの、この場合、粒子の内部に残留するアルカリ金属が徐々に溶出し、研磨性能に影響を及ぼす懸念がある。このような観点からは、アルコキシシランの加水分解により得られたものが原料としてはより好ましい。
まず、表面が負のζ電位を示すコロイダルシリカの1つである、アニオン性化合物が表面に吸着したコロイダルシリカについて説明する。
ここで用いられるアニオン性化合物としては、通常のアニオン性化合物ならどのようなものでもよく、無機のアニオン性化合物でも有機のアニオン性化合物でもよい。但し、後述のアニオン性界面活性剤は除く。
すなわち、酸化剤と、腐食抑制剤とを含有する研磨液Aに、前記アニオン性化合物を添加して研磨液Bを得たとき、研磨液Bの研磨速度が、前記アニオン性化合物を添加する前の研磨液である研磨液Aの研磨速度の80%以下となるかどうかにより確認する。研磨速度は、前記研磨液Aを用いた場合の50%以下となることが好ましい。
上記方法により、表面が負のζ電位を示すコロイダルシリカ粒子が形成されたこと、及び、該表面が負のζ電位を示すコロイダルシリカ粒子に起因して、研磨選択性が向上したことを確認することができる。
これにより、若干の負電荷を有するコロイダルシリカ表面に、上記のような構造のアニオン性化合物が吸着し、表面が負のζ電位を示すコロイダルシリカが得られる。
本発明におけるコロイダルシリカ粒子としては、平均一次粒子径が5nm〜100nmの範囲であり、且つ、平均二次粒子径が10nm〜300nmの範囲であるものが特に好ましい形態である。
コロイダルシリカ粒子の粒径が、上記の範囲を満たすことにより、研磨傷の発生を効果的に抑制できる。
なお、このコロイダルシリカ粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡(透過型)等で測定できる。
また、コロイダルシリカ粒子の一部が会合して形成される二次粒子の平均粒径(平均二次粒子径)は動的光散乱法から得られた粒度分布において求められる平均粒子径を表す。粒度分布を求める測定装置しては、例えば、堀場製作所製LB−500等が用いられる。
本発明の研磨液に対し、表面が負のζ電位を示すコロイダルシリカと併用しうる砥粒としては、ヒュームドシリカ、セリア、アルミナ、チタニア等が挙げられる。これら併用砥粒のサイズは、表面が負のζ電位を示すコロイダルシリカと同等か、それ以上、また、2倍以下であることが好ましい。
本発明の研磨液は(B)リン酸または一般式(1)又は(2)で表される有機ホスホン酸(以下、リン酸と一般式(1)又は(2)で表される有機ホスホン酸を総称して、適宜「ホスホン酸B」と称する。)を含有する。但し、前記ホスホン酸Bは、下記(I)で表される基を含むアニオン性界面活性剤を除き、下記(I)で表される基を含むアニオン性界面活性剤とは構造が異なる。
前記ホスホン酸Bは、金属の酸化剤ではなく、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有するものであり、特に本発明では、窒化ケイ素に対する促進剤としての作用を有する。
なお、ホスホン酸Bが窒化ケイ素に対する促進剤としての機能を有するか否かについては、以下に述べる手段で確認することができる。
該化合物の添加によって、窒化ケイ素に対する研磨速度(RRa)が、該化合物の未添加時の研磨速度(RRb)に対して(RRa)>(RRb)の関係がある場合、該化合物が窒化ケイ素に対する促進剤としての機能を有すると定義する。該化合物が窒化ケイ素に対する促進剤としての機能を有するか否かの判断は、当該関係の有無によりおこなう。
R2−C(R3)−(PO3H2)2 (1)
R4−N(R5)m−(CH2−PO3H2)n (2)
一般式(1)中、R2及びR3は各々独立に、水素原子、水酸基、又は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基を表す。
一般式(2)中、R4は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、−(CH2−PO3H2)n、又は−A−N(R5)p−(CH2−PO3H2)qを表し、Aは単結合又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、又は−(CH2−PO3H2)nを表す。mは0又は1を表し、nは1又は2を表す。ただしm+n=2である。pは0又は1を表し、qは1又は2を表す。ただしp+q=2である。
またシクロアルキル基も好ましく、具体的には、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、中でもシクロヘキシル基が好ましい。
以下に本発明に係るホスホン酸Bの具体例を示すが、本発明はこれら具体例に何ら限定されない。
特に好ましくは、下記例示化合物のうち、B10、B13、およびB15である。
また本発明の研磨液には、本発明の効果を損わない範囲において、一般的な他の有機酸を併用することができる。
他の有機酸としては、水溶性のものが望ましく、例えば、水溶性の有機酸又はアミノ酸が挙げられる。該有機酸又はアミノ酸の例としては、例えば、以下の群から選ばれたものがより適している。
本発明の研磨液は、(C)式(I)、式(II)、及び式(III)で表される基のうち少なくとも1個の基を有するアニオン性界面活性剤を含有する。
−PO3X2 (I)
−OPO3X2 (II)
−COOX (III)
式(I)〜(III)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、又は4級アンモニウムカチオンを表す。
式(I)〜(III)で表される基を分子内に1個以上有する化合物としては、R1−PO3X2、R1−OPO3X2、R1−COOXで表される化合物である。ここでR1としては炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数6〜30のアラルキル基であり、これらの基はさらに置換基を有していてもよい。上記化合物のXは水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、又は4級アンモニウムカチオンである。
特に好ましくは、R1−PO3X2で表される化合物である。
好ましい具体例を下記に示す。本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
本発明の研磨液に用いる(C)アニオン性界面活性剤としては、下記のP9が好ましい。
(C)アニオン性界面活性剤の含有量は、研磨に使用する際の研磨液の質量に対して0.001質量%〜1質量%%が好ましく、0.01質量%〜1質量%がより好ましく、0.1質量%〜1質量%が更に好ましい。この範囲とすることでポリシリコンの研磨速度の抑制効果が良好となる。
さらに本発明の研磨液には、必要に応じて上記した必須成分以外に、任意の成分を添加してもよい。以下に任意に使用してもよいその他の成分について説明する。
本発明の研磨液には、被研磨表面に吸着して皮膜を形成し、金属表面の腐食を制御する腐食抑制剤を含有してもよい。本発明における腐食抑制剤としては、分子内に3以上の窒素原子を有し、且つ、縮環構造を有する複素芳香環化合物を含有することが好ましい。ここで、「3以上の窒素原子」は、縮環を構成する原子であることが好ましく、このような複素芳香環化合物としては、ベンゾトリアゾール、及び該ベンゾトリアゾールに種々の置換基が導入されてなる誘導体であることが好ましい。
本発明の研磨液は、研磨対象の金属を酸化する化合物(酸化剤)を含有してもよい。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられ、中でも、過酸化水素が好ましく用いられる。
なお、鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
本発明の研磨液は、pH1.5〜7.0であることを要し、pH2.5〜7の範囲であることが好ましい。本発明の研磨液は、pHがこの範囲において優れた効果を発揮する。
研磨液のpHを上記範囲に調整するためには、アルカリ/酸又は緩衝剤が用いられる。
アルカリ/酸又は緩衝剤としては、アンモニア、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、硝酸、硫酸、りん酸などの無機酸、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩等を好ましく挙げることができる。特に好ましいアルカリ剤として水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
本発明の研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(すなわち硬水軟化剤)を含有することが好ましい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物であり、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良く、例えば、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
本発明の研磨液が適用される研磨対象は、ポリシリコン又は変性ポリシリコンを含む第1層と、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、及び酸窒化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む第2層と、を少なくとも有して構成される被研磨体である。より詳細には、電極材料としてポリシリコン又は変性ポリシリコンを適用し、CMPにより、半導体集積回路におけるゲート電極の形成を実施する際に好適に用いられるものである。
なお、本発明における「変性ポリシリコン」は、ポリシリコンにBやP等の不純物元素をドーブしたシリコンを包含するものである。
ゲート電極形成用のCMPでは、この第2層表面から研磨を開始し、第2層の研磨が進行し、第1層表面が露出したとき、研磨速度が急速に低下して第2層の研磨が終了したことが検知され、ゲート電極に用いられるポリシリコン又は変性ポリシリコン表面の過研磨が抑制される。変性ポリシリコンとはポリシリコンにB、P等の不純物をドープしたポリシリコンを表す。
その後、電極として機能するポリシリコン又は変性ポリシリコンとその周辺部の必要な酸化ケイ素層以外の箇所をエッチングにより除去することでゲート電極が形成される。
本発明の研磨方法は、既述した本発明の研磨液を用いるものであり、研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨することを特徴とする。
研磨終了後の被研磨体は、流水中でよく洗浄された後、スピンドライヤ等を用いて被研磨体上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮した濃縮液を調製することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、例えば、酸化剤、添加剤、及び界面活性剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用する。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された研磨液を供給する方法がある。
本発明において、本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、被研磨面に供給する方法を適用する場合、その供給量は、各配管からの供給量の合計を表すものである。
本発明の研磨方法に適用しうる研磨用の研磨パッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に、一般的に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては、不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、被研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
本発明における研磨液でCMPを行なう対象の被研磨体としてのウエハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
本発明の研磨液を用いて研磨を実施できる装置は、特に限定されないが、MA−300D(ムサシノ電子(株))、Mirra Mesa CMP、Reflexion CMP(アプライドマテリアルズ)、FREX200、FREX300 (荏原製作所)、NPS3301、NPS2301(ニコン)、A−FP−310A、A−FP−210A(東京精密)、2300 TERES(ラムリサーチ)、Momentum(Speedfam IPEC)などを挙げることができる。
<研磨液の調製>
下記に示す組成及びpHを有する研磨液を調製した。
−研磨液組成−
・コロイダルシリカ粒子:A4 100g/L
・コロイダルシリカ粒子:A8 100g/L
・ホスホン酸B:例示化合物B10 10g/L
・アニオン性界面活性剤:P7 4.5g/L
純水を加えて全量 1,000mL
(pH(アンモニア水と硝酸で調整) 2.5)
なお、表1における平均1次粒子径、平均2次粒子径の測定方法は、研磨粒子をSEMによって観測した結果の平均値である。
−研磨装置−
研磨装置としてムサシノ電子社製装置「MA-300D」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら、下記に示すウエハを研磨対象物として、下記の条件で研磨し、研磨液の評価を行った。
テ−ブル回転数: 112rpm
ヘッド回転数: 113rpm
研磨圧力: 18.4kPa
研磨パッド:ロデール・ニッタ株式会社製 IC1400 XY−K−Pad
研磨液供給速度: 50ml/min
研磨対象物としては、Si基板上に、ポリシリコン層(p−Si層)、酸化シリコン層(SiO2層)、窒化シリコン層(Si3N4層)それぞれを成膜した8インチウエハを、6cm×6cmにカットしたカットウエハを使用した。
研磨速度は、ポリシリコン層(p−Si層)、酸化シリコン層(SiO2層)、及び窒化シリコン層(Si3N4層)の各々について、研磨前後の層厚(nm)を測定し、下記式により算出した。なお、層厚は、非接触式膜厚測定器FE-33(大塚電子製)により測定した。
研磨速度(nm/分)=(研磨前の層厚−研磨後の層厚)/研磨時間
また、RR(other)/RR(p−Si)で表される研磨速度比について、p−Si層とSiO2層、p−Si層とSi3N4層について算出した。
得られた結果を表2に示す。
実施例1の研磨液の調製において、コロイダルシリカ粒子、アニオン性界面活性剤、有機酸を下記表2に示す成分に代え、pHを表2に示す値に調整して、各研磨液を調製した。得られた実施例2〜21、及び比較例1〜3の研磨液について、実施例1と同様にして評価し、実験結果を、表2に示した。なお、実施例2では砥粒を2種用いた。
粒子のζ電位は、以下の方法により測定した。
ここで、本発明においては、コロイダルシリカの表面のζ電位はDT-1200(日本ルフト社)を用いて、評価液の原液を測定することで評価した。
実施例1の研磨液の調製において、コロイダルシリカ粒子、アニオン性界面活性剤、有機酸を下記表3に示す成分に代え、pHを表3に示す値に調整して、各研磨液を調製した。得られた実施例22、23の研磨液について、実施例1における研磨対象物を以下のウエハに変更し、実施例1と同様の研磨方法で評価した。
研磨対象物としては、Si基板上に、ポリシリコン層(p−Si層)、酸化炭化ケイ素(SiOC)、酸窒化ケイ素(SiON)、及び炭化ケイ素(SiC)それぞれを成膜した8インチウエハを、6cm×6cmにカットしたカットウエハを使用した。
実験結果を表4に示し、研磨速度比を表5に示した。
Claims (16)
- 半導体集積回路を作製する際の平坦化工程において、ポリシリコン又は変性ポリシリコンを含む第1層と、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、及び酸窒化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む第2層と、を少なくとも有して構成される被研磨体の化学的機械的研磨に用いられ、下記(A)〜(C)で示される成分を含有し、pHが1.5〜7.0であり、且つ、前記第1層に対して前記第2層を選択的に研磨しうる研磨液。
(A)負のζ電位を有するコロイダルシリカ粒子
(B)リン酸又は下記一般式(1)又は(2)で表される有機ホスホン酸化合物
(C)下記式(I)、式(II)、及び式(III)で表される基のうち少なくとも一つを有するアニオン性界面活性剤
(B)
R2−C(R3)−(PO3H2)2 (1)
R4−N(R5)m−(CH2−PO3H2)n (2)
一般式(1)中、R2及びR3は各々独立に、水素原子、水酸基、又は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基を表す。アルキル基が置換されている場合の置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、又はフェニル基である。
一般式(2)中、R4は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、−(CH2−PO3H2)n、又は−A−N(R5)p−(CH2−PO3H2)qを表し、Aは単結合又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、又は−(CH2−PO3H2)nを表す。mは0又は1を表し、nは1又は2を表す。ただしm+n=2である。pは0又は1を表し、qは1又は2を表す。ただしp+q=2である。
(C)
−PO3X2 (I)
−OPO3X2 (II)
−COOX (III)
式(I)〜式(III)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、又は4級アンモニウムカチオンを表す。 - 前記第1層の研磨速度をRR(p−Si)とし、前記第2層の研磨速度をRR(other)とした場合に、RR(other)/RR(p−Si)で表される比が1.5〜200の範囲で前記被研磨体を研磨しうる請求項1に記載の研磨液。
- 前記コロイダルシリカの濃度が、研磨液の全質量に対して0.1質量%〜10質量%の範囲である請求項1又は請求項2に記載の研磨液。
- 前記コロイダルシリカの平均一次粒子径が、5nm〜100nmの範囲であり、且つ平均二次粒子径が10nm〜300nmの範囲である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の研磨液。
- 前記(A)負のζ電位を有するコロイダルシリカのζ電位が、−50mV〜−5mVの範囲である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の研磨液。
- 前記(B)有機ホスホン酸化合物が、下記B10、B13、およびB15からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の研磨液。
- 前記(C)アニオン界面活性剤の濃度が、研磨液の全質量に対し0.001質量%〜1質量%である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の研磨液。
- 前記(C)アニオン界面活性剤が、前記式(I)〜式(III)で表される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有する化合物である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の研磨液。
- ポリシリコン又は変性ポリシリコンを含む第1層と、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、及び酸窒化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む第2層と、を少なくとも有して構成される被研磨体を研磨するための化学的機械的研磨方法であって、
(a)前記被研磨体の表面を研磨パッド及び研磨液と接触させる工程と、
(b)前記第2層を磨耗させるのに十分な時間、研磨パッドと前記被研磨体との間で前記研磨液の一部を被研磨体表面と接触させ続けながら、研磨パッドと被研磨体との間の相対運動をさせる工程とを含み、前記研磨液が下記(A)〜(C)で示される各成分を含有し、pHが1.5〜7.0である研磨方法。
(A)負のζ電位を有するコロイダルシリカ粒子
(B)リン酸又は下記一般式(1)又は(2)で表される有機ホスホン酸化合物
(C)下記式(I)、式(II)、及び式(III)で表される基のうち少なくとも一つを有するアニオン性界面活性剤
(B)
R2−C(R3)−(PO3H2)2 (1)
R4−N(R5)m−(CH2−PO3H2)n (2)
一般式(1)中、R2及びR3は各々独立に、水素原子、水酸基、又は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基を表す。アルキル基が置換されている場合の置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、又はフェニル基である。
一般式(2)中、R4は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、−(CH2−PO3H2)n、又は−A−N(R5)p−(CH2−PO3H2)qを表し、Aは単結合又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5は炭素数1〜6の置換又は無置換のアルキル基、又は−(CH2−PO3H2)nを表す。mは0又は1を表し、nは1又は2を表す。ただしm+n=2である。pは0又は1を表し、qは1又は2を表す。ただしp+q=2である。
(C)
−PO3X2 (I)
−OPO3X2 (II)
−COOX (III)
式(I)〜式(III)中、Xはそれぞれ独立に、水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム、又は4級アンモニウムカチオンを表す。 - 前記第1層の研磨速度をRR(p−Si)とし、前記第2層の研磨速度をRR(other)とした場合に、RR(other)/RR(p−Si)で表される比が1.5〜200の範囲で前記被研磨体を研磨しうることを特徴とする請求項9に記載の研磨方法。
- 前記コロイダルシリカの濃度が、研磨液の全質量に対して0.1質量%〜10質量%である請求項9又は請求項10に記載の研磨方法。
- 前記コロイダルシリカが、平均一次粒子径が5nm〜100nmの範囲であり、且つ平均二次粒子径が10nm〜300nmの範囲である請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の研磨方法。
- 前記負のζ電位を有するコロイダルシリカのζ電位が−50mV〜−5mVの範囲である請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載の研磨方法。
- 前記有機ホスホン酸化合物が、下記B10、B13,およびB15からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項9〜請求項13のいずれか1項に記載の研磨方法。
- 前記アニオン界面活性剤の濃度が、研磨液の全質量に対し0.001質量%〜1質量%であることを特徴とする請求項9〜請求項14のいずれか1項に記載の研磨方法。
- 前記(C)アニオン界面活性剤が、前記式(I)〜式(III)で表される基からなる群から選ばれる基を2つ以上有する化合物である請求項9〜請求項15のいずれか1項に記載の研磨方法。
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