JP2011212784A - 保持材 - Google Patents

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Abstract

【課題】被研磨物保持性を確保しつつ、研磨加工後の被研磨物を損傷させることなく取り外すことができる保持材を提供する。
【解決手段】保持材10は、湿式凝固法により作製されたポリウレタン樹脂製のウレタンシート2を有している。ウレタンシート2は、湿式凝固法による作製時に形成されたスキン層4を有している。スキン層4の表面が保持面Sを形成している。ウレタンシート2の内部には、厚み方向に沿う円錐状のセル3が形成されている。ウレタンシート2では、保持面S側に熱プレス加工により複数の窪み5が形成されている。窪み5の内底部でもスキン層4が残されており、保持面S側にセル3の開孔が形成されていない。被研磨物と保持面Sとの密着性が制限される。
【選択図】図1

Description

本発明は保持材に係り、特に、湿式凝固法により形成されたスキン層を有し該スキン層の表面が被研磨物を保持するための保持面を形成する樹脂シートを備えた保持材に関する。
従来液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板や半導体デバイス用のシリコンウエハ等の被研磨物(ワーク)では、平坦化を目的とした研磨加工が行われている。研磨加工には、被研磨物を研磨加工するための研磨パッドや被研磨物を保持するための保持材が用いられている。
このような被研磨物、例えば、LCDの構成材料であるガラス基板では、LCDの生産性向上を目的に年々大型化が進んでおり、一辺が3mに迫る大型のガラス基板が使用されるに至っている。大型化する被研磨物の研磨加工では、被研磨物を確実に保持するために保持材の保持性が重要となる。このため、保持材には、湿式凝固法により形成されたスキン層を有する樹脂製のシート材が多用されている。すなわち、湿式凝固法により形成されたスキン層では、表面平坦性を有することで被研磨物に対する接触性に優れるため、被研磨物を確実に保持することが可能となる。
また、例えば、ガラス基板の上に形成されるカラーフィルターの生産においては、スループット(生産速度)の確保を目的として、研磨工程も全自動ラインの一部に組み込まれることがある。この場合には、保持材への被研磨物の着脱が搬送ロボットにより行われるが、保持材の保持力が高すぎると、ガラス基板を保持材から取り外すときに、ガラス基板に大幅な撓みを生じさせ損傷させる等の問題が発生する。湿式凝固法によるシート材の表面に開孔を形成させたスエードタイプの保持材を用いることで、ガラス基板と保持材との凝着力(密着力)を抑制することができる。ところが、スエードタイプの保持材では、開孔を形成させたことでガラス基板のせん断方向の保持力を損ない横ずれを生じやすくなるため、ガラス基板のサイズにあわせた内寸を有する枠材が使用されることがある。このような枠材では、ガラス基板のサイズごとに仕様が異なることから、生産機種変更等でサイズ変更がある場合、保持材や枠材の交換作業を要し、数時間に及ぶ連続生産ラインの停台を余儀なくされる、という問題がある。
一方、スキン層を有する保持材に関しては、例えば、パンチング加工等によりシート材に貫通孔を形成し、ガラス基板との接触面積を減少させることで保持力を抑制することができる。また、スキン層表面に粘着剤層を形成し、この粘着剤層にスキン層まで及ぶ貫通孔を形成した保持材の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−224888号公報
しかしながら、シート材に貫通孔を形成する技術では、研磨加工中に、貫通孔を通じてシート材内部への浸水が助長されることとなり、内部に蓄積された水がスキン層表面に湧出することでガラス基板の保持力を不十分なまでに低下させてしまう。また、特許文献1の技術では、貫通孔が形成された粘着剤層を有することで、ガラス基板および保持材間の空気の咬み込みを抑制しながら浸水を抑制することもできるが、粘着剤層の保持力が強すぎるため、却って、大型化するガラス基板の研磨加工においては、搬送時等の破損の要因となる。従って、被研磨物に対する保持性を確保することはもちろん、取り外し作業も容易にすることが望まれている。
本発明は上記事案に鑑み、被研磨物保持性を確保しつつ、研磨加工後の被研磨物を損傷させることなく取り外すことができる保持材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、湿式凝固法により形成されたスキン層を有し該スキン層の表面が被研磨物を保持するための保持面を形成する樹脂シートを備えた保持材において、前記樹脂シートは、前記保持面側に、内底部にスキン層の残された複数の窪みが形成されたことを特徴とする。
本発明では、樹脂シートのスキン層の表面が保持面を形成することで、被研磨物に対する保持性を確保することができるとともに、樹脂シートの保持面側に内底部にスキン層の残された複数の窪みが形成されたことで、被研磨物との密着力が抑制されるため、研磨加工後に被研磨物を損傷させることなく取り外すことができる。
この場合において、樹脂シートの窪みが保持面側に均等に分散するように形成されていてもよい。樹脂シートの保持面側に形成された窪みを0.2mm〜3.0mmの直径を有する円形状とすることができる。樹脂シートの保持面の1cmあたりに1個〜40個の割合で窪みが形成されていてもよい。このとき、樹脂シートが、保持面の単位面積あたりに占める窪みの形成された部分の面積の割合を50%未満とすることができる。窪みを保持面に対する熱プレス加工により形成してもよい。このとき、窪みを保持面からの深さが均一となるように形成することができる。樹脂シートをポリウレタン樹脂製とすることができる。被研磨物を液晶ディスプレイ用ガラス基板としてもよい。
本発明によれば、樹脂シートのスキン層の表面が保持面を形成することで、被研磨物に対する保持性を確保することができるとともに、樹脂シートの保持面側に内底部にスキン層の残された複数の窪みが形成されたことで、被研磨物との密着力が抑制されるため、研磨加工後に被研磨物を損傷させることなく取り外すことができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の保持材を模式的に示す断面図である。 保持材の被研磨物保持性を評価するときの保持材および被研磨物の位置関係を模式的に示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用した保持材の実施の形態について説明する。
<構成>
図1に示すように、本実施形態の保持材10は、湿式凝固法により作製されたポリウレタン樹脂製の樹脂シートとしてのウレタンシート2を有している。
ウレタンシート2は、湿式凝固法による作製時に表面平坦性を有するスキン層4を有している。スキン層4の表面が被研磨物を保持するための保持面Sを形成している。ウレタンシート2の内部には、厚み方向(図1の縦方向)に沿って縦長で丸みを帯びた円錐状(断面縦長三角状)のセル(気孔)3が略均等に分散した状態で形成されている。セル3の縦長方向の長さには、ウレタンシート2の厚みの範囲でバラツキが生じており、スキン層4(保持面S)の近傍では長さの小さい多数のセル3が形成された微細発泡構造を形成している。セル3は、保持面S側の孔径が保持面Sと反対の面側(以下、保持面Sと反対の面を裏面と呼称する。)の孔径より小さく形成されている。すなわち、セル3は保持面S側が裏面側より縮径されている。セル3の間のポリウレタン樹脂は、セル3より小さい孔径の図示しない微細孔が形成されたミクロポーラス状に形成されている。スキン層4、セル3、図示しない微細孔が不図示の連通孔で網目状に連通しており、ウレタンシート2が全体として連続発泡構造を有するものとなる。
また、ウレタンシート2では、保持面S側に熱プレス加工により複数の窪み5が形成されている。窪み5が熱プレス加工により形成されたことから、窪み5の内底部でもスキン層4が残されている。すなわち、従来スキン層側にバフ処理等が施されることでセルの開孔が形成されたスエードタイプのウレタンシートと比較すると、ウレタンシート2の内部に形成されたセル3は、窪み5の形成後でも保持面S側で開孔を形成していない。
保持面S側に形成された窪み5は、本例では、直径が0.2〜3.0mmの範囲の円形状に形成されている。また、保持面Sの1cmあたりに形成される窪み5の数は、1〜40個に調整されている。つまり、窪み5は、保持面Sに1〜40個/cmの割合で形成されている。窪み5が形成された保持面Sでは、単位面積あたりに占める窪み5の形成された部分の面積の割合が50%未満に調整されている。窪み5の大きさや数は、熱プレス加工時に調整することができる。一方、ウレタンシート2の裏面側には、ウレタンシート2の厚みが一様となるようにバフ処理が施されている。このバフ処理により、裏面側にセル3の開孔が形成されている。ウレタンシート2の厚みは、湿式凝固時やバフ処理時の条件で調整することができ、本例では、200〜2000μmの範囲に調整されている。
また、保持材10では、ウレタンシート2の裏面側に両面テープ6が貼り合わされている。両面テープ6は、可撓性を有する樹脂製フィルム等の基材6aを有している。基材6aの材質としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を用いることができるが、本例では、PET製フィルムが用いられている。基材6aは、両面にそれぞれ粘着剤が塗布された粘着剤層6bを有している。両面テープ6は、一面側の粘着剤層6bを介してウレタンシート2の裏面側と貼り合わされており、他面側の粘着剤層6bが剥離紙7で覆われている。粘着剤層6bの粘着剤には、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の粘着剤を用いることができるが、本例では、アクリル系粘着剤が用いられている。なお、本例では、基材6aが保持材10の全体を支持する機能も兼ねている。
<製造>
保持材10は、湿式凝固法により作製したウレタン樹脂製のシートの保持面S側に熱プレス加工を施し、両面テープ6を貼り合わせることで製造される。すなわち、ポリウレタン樹脂を溶解させた樹脂溶液を準備する準備工程、水系凝固液中で樹脂溶液を凝固させてシート状のポリウレタン樹脂を形成するシート形成工程、ポリウレタン樹脂を洗浄し乾燥させる洗浄・乾燥工程、保持面S側に熱プレス加工を施す熱プレス工程、両面テープと貼り合わせるラミネート工程を経て保持材10を製造する。以下、工程順に説明する。
準備工程では、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒および添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)やN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等を用いることができるが、本例では、DMFを用いる。ポリウレタン樹脂には、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から、100%モジュラスが20MPa以下のものを選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂が30重量%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、セル3の大きさや量(個数)を制御するカーボンブラック等の顔料、セル形成を促進させる親水性活性剤およびポリウレタン樹脂の再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。得られた溶液を減圧下で脱泡し樹脂溶液を調製する。
シート形成工程では、準備工程で準備した樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液中で樹脂溶液を凝固させてシート状のポリウレタン樹脂を形成する。樹脂溶液を、塗布装置により常温下で帯状の成膜基材に均一な厚さとなるように塗布する。塗布装置として、本例では、ナイフコータを用いる。このとき、ナイフコータと成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、樹脂溶液の塗布厚み(塗布量)を調整する。本例では、得られるウレタンシートの厚さを上述した範囲とするため、塗布厚みを500〜2000μmの範囲に調整する。成膜基材には、可撓性フィルム、不織布、織布等を用いることができるが、本例では、成膜基材をPET製フィルムとして説明する。
成膜基材に塗布された樹脂溶液を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液(水系凝固液)中に案内する。凝固液としては、水にDMFやDMAc等の有機溶媒を混合しておくこともできるが、本例では、水を用いる。凝固液中では、まず、塗布された樹脂溶液の表面側にスキン層4が厚さ数μm程度にわたって形成される。その後、樹脂溶液中のDMFと凝固液との置換の進行によりポリウレタン樹脂がシート状に再生する。DMFが樹脂溶液から脱溶媒し、DMFと凝固液とが置換することにより、スキン層4より内側のポリウレタン樹脂中にセル3および図示しない微細孔が形成され、スキン層4、セル3、図示しない微細孔が網目状に連通した連続発泡構造が形成される。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水を浸透させないため、樹脂溶液の表面側(スキン層4側)で脱溶媒が生じて成膜基材側が表面側より大きなセル3が形成される。
洗浄・乾燥工程では、再生した帯状(長尺状)の成膜樹脂を洗浄した後乾燥させる。すなわち、成膜樹脂を、成膜基材から剥離した後、水等の洗浄液中で洗浄して成膜樹脂中に残留するDMFを除去する。洗浄後、成膜樹脂を乾燥させる。成膜樹脂の乾燥には、本例では、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を使用する。成膜樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後の成膜樹脂をロール状に巻き取る。
バフ処理を行うときは、洗浄・乾燥工程で乾燥させた成膜樹脂のスキン層4と反対の面(裏面)側にバフ処理を施す。湿式凝固法により形成された成膜樹脂では、樹脂溶液の塗布時やポリウレタン樹脂の再生時に厚さバラツキが生じている。成膜樹脂のスキン層4側の表面に、表面が平坦な圧接治具を圧接することで、裏面側に凹凸が出現する。この凹凸をバフ処理で除去する。本例では、連続的に製造された成膜樹脂が帯状のため、圧接ローラを圧接しながら、連続的にバフ処理を施す。成膜樹脂がバフ処理されて形成されたウレタンシート2では、厚さが均一化されており、バフ処理された面、つまり裏面に開孔が形成されている。
窪み5を形成するときは、熱プレス加工用の金型を使用する。金型は、窪み5の形成位置に合わせて、円柱状の複数の突起を有する矩形状や円盤状に形成されている。円柱状の突起は、直径、数が上述した窪み5の直径、数となるように形成されている。また、突起は、成膜樹脂に対する損傷を抑えるために先端の外縁部にR付け加工が施されており、突出長さが均一に形成されている。この金型を、ウレタン樹脂の軟化温度から溶融温度までの範囲に加熱し、保持面S側に当接させる。このとき、例えば、10〜100秒間押し付けることで、保持面S側に窪み5を形成する。熱プレス加工後の保持面S側には、上述した大きさ、数の窪み5がほぼ均一な深さで形成されている。なお、加熱する温度や時間を調整することで、ウレタン樹脂の弾性による復元を抑制し窪み5の形成を確実にすることができる。
ラミネート工程では、熱プレス加工後の成膜樹脂の裏面側と、両面テープ6とを貼り合わせる。このとき、両面テープ6の一面側の粘着剤層6bと、成膜樹脂の裏面側とを貼り合わせる。成膜樹脂および両面テープ6を貼り合わせた後、所望のサイズ、形状に裁断する。そして、キズや汚れ、異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、保持材10を完成させる。
保持材10を用いて被研磨物の研磨加工を行うときは、例えば、保持用定盤および研磨用定盤が対向するように配置された片面研磨機が使用される。保持用定盤には保持材10を貼着し、研磨用定盤には研磨パッドを装着する。保持用定盤に保持材10を貼着するときは、剥離紙7を取り除き露出した粘着剤層6bで貼着する。被研磨物を保持させるときは、保持面Sに水を吹き付け、被研磨物を保持材10側に押し付ける。被研磨物は水の表面張力等により保持面Sを介して保持用定盤に保持されることとなる。被研磨物の加工面と研磨パッド間に研磨粒子を含む研磨液を循環供給するとともに、被研磨物に研磨圧をかけながら保持用定盤ないし研磨用定盤を回転させることで、被研磨物(加工面)を研磨加工する。
<作用等>
次に、本実施形態の保持材10の作用等について説明する。
ここで保持材10での説明をわかりやすくするために、従来の保持材について説明する。従来保持材としては、湿式凝固法により形成されたスキン層を有する樹脂シートが多用されている。スキン層では、表面平坦性を有することで被研磨物に対する接触性に優れるため、被研磨物を確実に保持することが可能となる。一方、被研磨物、例えば、LCDの構成材料であるガラス基板では、LCDの生産性向上を目的に年々大型化が進んでおり、一辺が3mに迫る大型のガラス基板が使用されるに至っている。また、生産工程におけるスループットの確保を目的として、保持材への被研磨物の着脱を含む研磨工程も自動化される傾向にある。この場合、保持材の被研磨物に対する凝着力(密着力)が高すぎると、大型の被研磨物を保持材から取り外すときに、被研磨物を損傷させる等の問題がある。スキン層を研削除去して表面に開孔を形成させたスエードタイプの保持材を用いることで、被研磨物と保持材との凝着力を抑制することができる。ところが、スエードタイプの保持材では、開孔を形成させたことで被研磨物の横ずれを生じやすくなり、被研磨物の平坦性を確保することが難しくなる。また、スキン層を残しつつ、パンチング加工等によりシート材に貫通孔を形成することで密着力を抑制することもできるが、貫通孔を通じてシート材内部へ研磨液等が浸水し、却って被研磨物の保持性を低下させてしまう。本実施形態は、これらの問題を解決することができる保持材10である。
本実施形態では、保持材10がスキン層4を有しており、スキン層4の表面が保持面Sを形成している。この保持面S側には、複数の窪み5が均等に分散するように形成されている。被研磨物を保持するときは、スキン層4の表面が被研磨物と接触するため、被研磨物保持性を確保することができる。研磨加工後に被研磨物を保持材10から取り外すときは、窪み5が形成された分で被研磨物と保持面Sとの密着性が制限されるため、被研磨物を損傷させることなく容易に取り外すことができる。このような保持材10では、大型化する傾向にある被研磨物、とりわけ、液晶ディスプレイ用ガラス基板の研磨加工に好適に使用することができる。
また、本実施形態では、窪み5が直径0.2〜3.0mmの範囲の円形状に形成されており、保持面Sに1〜40個/cmの割合で形成されている。また、保持面Sの単位面積あたりに占める窪み5の形成された部分の面積の割合が50%未満に制限されている。このため、保持面Sにおけるスキン層4の表面の割合が相対的に確保されるので、被研磨物を確実に保持することができる。
更に、本実施形態では、熱プレス加工により保持面S側に窪み5が形成されている。このため、パンチング加工等ではウレタンシート2の内部に形成されたセル3の開孔が形成されるのに対して、窪み5の内底部でも開孔が形成されることなくスキン層4の表面が残されている。これにより、研磨加工時に供給される研磨液がウレタンシート2の内部、とりわけ、セル3に浸入し、貯留することがなくなるので、被研磨物と保持面Sとの凝着力が研磨液により低減することなく被研磨物保持性を確保することができ、保持材10のライフ低下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、窪み5を円形状とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、矩形状等に形成するようにしてもよい。また、窪み5の大きさや保持面Sでの形成割合をそれぞれ調整する例を示したが、本発明はこれらに制限されるものではない。被研磨物保持性を確保することを考慮すれば、保持面Sの単位面積あたりに占める窪み5の形成された部分の面積の割合を50%未満となるように、窪み5の大きさや形成割合を調整するようにしてもよい。窪み5の大きさや形成割合を上述した範囲に調整することで、保持面Sの単位面積に対する窪み5の面積割合が概ね50%未満となることから、窪み5の大きさや形成割合を調整することで製造上の繁雑さを伴うことなく好適な範囲の窪み5を形成することができる。
また、本実施形態では、窪み5の形成に金型を用いた熱プレス加工を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、内底部にスキン層4を残しつつ窪み5が形成される方法であれば、いかなる方法も採用することができる。例えば、金属製の棒状治具で個別に窪み5を形成するようにしてもよい。窪み5を均一な深さとなるように形成することを考慮すれば、金型を用いることが好ましい。更に、熱プレス加工は、本実施形態で示したように、ラミネート工程の前に行うことが好ましい。これは、熱プレス加工で熱処理されることから、ラミネート工程後では貼り合わせた両面テープ6の基材6aや粘着材にダメージを与える可能性があるためである。
更に、本実施形態では、両面テープ6の基材6aが保持材10の全体を支持する機能を兼ねる例を示したが、両面テープ6と別に支持材を貼り合わせるようにしてもよい。この場合は、支持材を両面テープ6のウレタンシート2と反対の面側に貼り合わせればよい。支持材の材質としては、保持材10の全体を支持する機能を発揮することができれば、特に制限されるものではない。また、本実施形態では、ウレタンシート2と両面テープ6とを貼り合わせる例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、両面テープ6に代えて、基材を有することなく粘着剤のみが2枚の剥離紙に挟まれたノンサポートテープを用いることも可能である。
また更に、本実施形態では、湿式凝固法により作製したポリウレタン樹脂製のウレタンシート2を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリウレタン樹脂以外に、ポリエチレン樹脂等を用いることも可能であり、湿式凝固法によりスキン層が形成される樹脂であれば、いずれのものも使用することができる。更に、本実施形態では、湿式凝固法により作製された成膜樹脂のスキン層と反対の面側にバフ処理を施した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、湿式凝固法による成膜樹脂の厚みが均一化されていれば、バフ処理することなく両面テープ6と貼り合わせるようにしてもよい。
次に、本実施形態に従い製造した保持材10の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の保持材についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、ウレタンシート2の窪み5を直径0.5mmとし、保持面S側に10個/cmの割合で形成し保持材10を製造した。この保持材10では、保持面Sの単位面積あたりに占める窪み5の形成された部分の面積の割合が2%となる。
(比較例1)
比較例1では、湿式凝固法により形成された成膜樹脂に窪み5を形成しないこと以外は実施例1と同様にして保持材を製造した。すなわち、比較例1は従来の保持材である。
(評価)
各実施例および比較例の保持材について、被研磨物保持性を評価した。被研磨物保持性は、以下の方法で測定した。図2に示すように、保持材10を表面が略平坦な定盤81に貼付し、保持材10の表面(保持面S)に水を吹き付けた後、表面の水をワイパで軽く除く。次に、保持材10上に縦10cm×横10cmのガラス板82を置き、ガラス板82に80gf/cm(784mN/cm)の荷重がかかるようにおもり83を載せる。ガラス板82を横(水平)方向(矢印A方向)に引っ張り、ガラス板82がずれるときの引張力のピーク値(最大値)を測定した。測定は5回行い、平均値を算出して保持性を評価した。
窪み5を形成していない比較例1の保持材では、保持性が708Nを示した。ところが、保持性の評価後にガラス板を保持材から取り外すときに、ガラス板に損傷が生じた。これは、比較例1の保持材ではガラス板を保持することができるものの、ガラス板と保持材との凝着力が大きすぎるため、研磨加工後の取り外し作業が難しくなり、ガラス板を損傷させたものと考えられる。これに対して、保持面P側に窪み5を形成した実施例1の保持材10では、保持性が568Nを示し、比較例1の保持材より若干小さくなったものの、保持性の評価後には、ガラス板を損傷させることなく容易に取り外すことができた。このことから、保持面P側に窪み5を形成することで、被研磨物の保持性を確保しつつ、被研磨物を損傷させることなく取り外すことのできることが判明した。
本発明は被研磨物保持性を確保しつつ、研磨加工後の被研磨物を損傷させることなく取り外すことができる保持材を提供するものであるため、保持材の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
S 保持面
2 ウレタンシート(樹脂シート)
4 スキン層
5 窪み
10 保持材

Claims (9)

  1. 湿式凝固法により形成されたスキン層を有し該スキン層の表面が被研磨物を保持するための保持面を形成する樹脂シートを備えた保持材において、前記樹脂シートは、前記保持面側に、内底部にスキン層の残された複数の窪みが形成されたことを特徴とする保持材。
  2. 前記樹脂シートは、前記窪みが前記保持面側に均等に分散するように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の保持材。
  3. 前記樹脂シートは、前記窪みが0.2mm〜3.0mmの直径を有する円形状に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の保持材。
  4. 前記樹脂シートは、前記保持面の1cmあたりに1個〜40個の割合で前記窪みが形成されたことを特徴とする請求項3に記載の保持材。
  5. 前記樹脂シートは、前記保持面の単位面積あたりに占める前記窪みの形成された部分の面積の割合が50%未満であることを特徴とする請求項4に記載の保持材。
  6. 前記窪みは、前記保持面に対する熱プレス加工により形成されたことを特徴とする請求項1に記載の保持材。
  7. 前記窪みは、前記保持面からの深さが均一となるように形成されたことを特徴とする請求項6に記載の保持材。
  8. 前記樹脂シートは、ポリウレタン樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の保持材。
  9. 前記被研磨物は、液晶ディスプレイ用ガラス基板であることを特徴とする請求項8に記載の保持材。
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