JP2011202201A - 金属焼結体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シート状成形体Fを走行させるとともに、シート状成形体Fの走行方向に間隔をおいて配置された少なくとも一対の給電ロール3a,3bと、この一対の給電ロール3a,3bを介してシート状成形体Fに電流を供給する給電機構5と、一対の給電ロール3a,3bに対向して配置されシート状成形体Fを給電ロール3a,3bとの間に挟持する押さえロールとを備え、一対の給電ロール3a,3bは、それぞれの給電ロール3a,3bの両端部が給電機構5の電源供給部50に並列的に接続されており、給電機構5には、電源供給部50と給電ロール3a,3bの両端部との通電接続を切り替えて、シート状成形体Fの幅方向中央部よりも幅方向端部に多く通電する通電制御部52が設けられている。
【選択図】図5
Description
また、シート状成形体の幅方向端部は、熱が拡散され易いため、幅方向中央部と比較して温度が低くなる傾向がある。しかしながら、本発明の製造装置においては、電源供給部と一対の給電ロールの両端部との通電接続を切り替える構成としたので、シート状成形体の幅方向の一方の端部に位置する各給電ロールの端部同士を、その走行方向と平行に接続して通電する場合と、各給電ロールの端部を互いに対角となるように接続して通電する場合とを切り替えることにより、シート状成形体の幅方向中央部よりも端部に多く通電して、シート状成形体を均一に発熱させることができる。これにより、シート状成形体の中央部と端部との温度差を小さくすることができ、温度差によって生じるシート状成形体の変形を抑制することができる。また、このようにシート状成形体の変形を防止することで、金属焼結体の亀裂等の発生を防止することができるので、シート状成形体に安定した電流を流すことができ、均一な金属成形体を得ることができる。
この場合、シート状成形体の焼結に伴う走行方向の収縮に応じて、搬出側に配置された給電ロールと、搬入側に配置された給電ロールとの周速度を調整することが可能となり、シート状成形体に引張応力を作用させた状態で、一対の給電ロールを介してシート状成形体に通電して焼結することができる。よって、焼結の進行に伴うシート状成形体の変形を抑制することができ、金属焼結体を効率良く製造することができる。
シート状成形体が自己発熱することにより、このシート状成形体に接触している給電ロールおよび押さえロールも高温となる。そこで、冷却機構を設けることによって、給電ロールおよび押さえロールの劣化を防止することができる。
また、本発明の金属焼結体の製造方法は、金属粉末からなるシート状成形体を走行させるとともに、その走行方向に間隔をおいて配置した一対の給電ロール間で前記シート状成形体に通電して自己発熱によって焼結させる金属焼結体の製造方法であって、
前記一対の給電ロールの両端部間を前記シート状成形体の走行方向に沿って接続して前記シート状成形体の幅方向端部を通電する平行通電と、前記一対の給電ロールの両端部を互いに対角方向に接続して通電する対角通電とを切り替えながら、前記シート状成形体に通電することを特徴とする。
この実施形態の金属焼結体の製造装置は、例えば、フィルター等として用いられる多孔質チタンの焼結体を製造するものである。
まず、本実施形態である金属焼結体(多孔質チタン焼結体)の製造方法について図1に示すフローチャートを参照して工程毎に説明する。
スラリー作製工程S1では、チタン粉末、水素化チタン粉末、またはこれらの混合粉末に、有機バインダー、発泡剤、可塑剤、水及び必要に応じて界面活性剤を混合して発泡性のスラリーを作製する。
本実施形態では、原料粉末として、平均粒径5〜30μmの水素化チタン粉末と、水素化チタン粉末を脱水素処理することにより得られた平均粒径10〜30μmの純チタン粉末の混合粉末を用いた。
上記の混合粉末を結合させる有機バインダーとしては、水溶性のメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを用いた。発泡剤として、ネオペンタン、ヘキサンおよびペプタンを用いた。そして、可塑剤として、グリセリンを用い、界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩を用いた。
これらの原料を、混合粉末:5〜80質量%、有機バインダー:0.05〜10質量%、発泡剤:0.05〜10質量%。可塑剤:0.1〜15質量%、界面活性剤:0.05〜5質量%、水:残部の比率で混合して、スラリーを作製した。
成形工程S2では、図2に示すシート成形機90を用いて、スラリー貯留部93からキャリアシート92上にスラリーSが供給され、ドクターブレード94によってキャリアシート92上のスラリーSの厚さを所定値に調整して、幅110mm、長さ200mm、厚さ1.5mmのシート状スラリーを製造する。
発泡工程S3では、シート状スラリーをキャリアシート92ごと発泡槽95内に挿入し、温度70℃、湿度90℃で1時間保持し、乾燥室96内で80℃の温風を1時間送風して温風乾燥させる。この発泡工程S3によって、シート状スラリー中の発泡剤が発泡して、三次元網目構造を有するとともに、この網目構造の骨格部分にチタン粉末が位置した発泡成形体が作製される。
前述の発泡成形体は、キャリアシート92から分離されるとともにジルコニア製の支持プレートの上に載置され、脱脂炉内に装入されて、5×10−2Paの真空雰囲気中に550℃で5時間保持される。これにより、発泡成形体に含まれる脂分(有機バインダー等)が揮発除去される。この状態の発泡成形体においては、チタン粉末同士は結合しておらず、導電性を有していない。なお、ジルコニア製の支持プレートを使用することによって発泡成形体中のチタンと支持プレートとの反応を防止している。
脱脂された発泡成形体は、支持プレートとともにプレ焼結炉内に装入される。プレ焼結炉においては、脱脂された発泡成形体を、5×10−3Paの真空雰囲気中で800〜1000℃で1〜30分保持する。これにより、三次元網目構造の骨格部分に位置するチタン粉末同士が結合することによって、導電性を有するシート状成形体Fが作製される。ここで、シート状成形体Fの電気抵抗値Pは、20×10−6Ω・m≦P≦1500×10−6Ω・mの範囲内に調整され、本実施形態では、P=100×10−6Ω・mに設定されている。
切断工程S6においては、プレ焼結炉で加熱焼結されて作製したシート状成形体Fの幅端部を長手方向に沿って切断し、その幅を所定長さ(本実施形態では100mm)に調整する。ここで、導電性を有する程度まで焼結されたシート状成形体Fにおいては、チタン粉末同士が一定の強度で結合しているので、支持プレートから分離しても崩壊することがなく、容易に取り扱うことが可能となる。
支持プレートから分離されたシート状成形体Fは、図3及び図4に示す金属焼結体の製造装置1を用いて通電焼結される。具体的には、シート状成形体Fに電流が供給され、ジュール熱によってシート状成形体Fを自己発熱させ、Arガス雰囲気中で1300℃、1〜5分保持する。
この金属焼結体の製造装置1は、図3に示すように、搬入口2a及び搬出口2bを備えた焼結室2と、この焼結室2内において搬入口2a側に配置された第1給電ロール3aと、この第1給電ロール3aの上部に対向配置される第1押さえロール4aと、焼結室2内において搬出口2b側に配置された第2給電ロール3bと、この第2給電ロール3bの上部に対向配置される第2押さえロール4bと、第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bを介してシート状成形体Fに電流を供給する給電機構5とを備えている。
第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bの両端部の焼結室2から突出された部分には、給電機構5から電流を供給する給電コネクタ32が設けられている。また、第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bの一端部(図4において右側)には、第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bの内部に設けられた水冷配管33に冷却水を供給する冷却水供給部34と、この第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bを回転駆動する駆動モータ35と、この駆動モータ35と給電コネクタ32との間の通電を防止するための絶縁部材36とが設けられている。
絶縁部材36は、例えば、絶縁樹脂製のカップリングが用いられる。
そして、給電機構5には、スイッチs1〜s4の通電接続の切替えを制御する通電制御部52が設けられている。この通電制御部52は、スイッチs1〜s4の通電接続を短時間毎に連続して切り替えることにより、シート状成形体Fの通電方向を連続的に切り替えて、シート状成形体Fの発熱を制御する。
そして、焼結室2の天井部中央には覗窓21が設けられており、この覗窓21の外側に放射温度計22がシート状成形体Fの幅方向に移動可能に支持されている。この放射温度計22により、焼結室2の外部からシート状成形体Fの温度分布を測定することができる。
そして、第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bは、それぞれの周速度を独立して制御する制御部37a,37bを備えている。第1押さえロール4a及び第2押さえロール4bは、第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bに追従する従動ロールである。
まず、シート状成形体Fを、第1給電ロール3aと第1押さえロール4aとで挟持するとともに、第2給電ロール3bと第2押さえロール4bとで挟持する。そして、第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bを駆動させて、シート状成形体Fを搬送する。このとき、給電機構5から第1給電ロール3a及び第2給電ロール3bを介してシート状成形体Fに通電する。
表1に、スイッチs1〜s4の接続状態の組み合わせ(通電パターン)と、この組み合わせに対応するシート状成形体Fに流れる電流の通電方向を示す。表1の「通電方向」には、図5に示す矢印c1〜c4を用いて、シート状成形体Fの通電方向を示す。
また、通電パターン2は、スイッチs1,s4が「ON」、スイッチs2,s3が「OFF」とされており、第1給電ロール3aの一端部と、これの対角に位置する第2給電ロール3bの一端部とを結ぶ対角方向c2に電流が多く流れる状態になる。この通電状態を、対角通電という。
通電パターン1,4は、シート状成形体Fの幅方向中央部より幅方向の両端部に多く通電する平行通電である。そして、通電パターン2,3は、シート状成形体Fの対角方向に多く通電する対角通電である。
すなわち、通電制御部52によりスイッチs1〜s4を連続的に切り替えることにより、通電方向を切り替え、シート状成形体Fの幅方向両端部に多く通電することにより、シート状成形体Fを均一に発熱させることができるようになっている。
そして、このように通電パターンを連続的に切り替えることで、シート状成形体Fがジュール熱によって自己発熱し、1300℃程度まで昇温されて焼結が進行する。
さらに、第1給電ロール3a、第2給電ロール3b、第1押さえロール4a、第2押さえロール4bは、タングステン合金等の熱膨張率の小さな材質で構成されているので、熱による変形を抑制することができ、焼結を良好に行うことができる。そして、これら第1給電ロール3a、第2給電ロール3b、第1押さえロール4a、第2押さえロール4bは、耐熱性を高めることにより、冷却配管等の冷却機構を省略することが可能である。
各給電ロール103a〜103cの両端部は、図6に示すように、電源供給部50にスイッチs1〜s6を介して並列的に接続されている。これらスイッチs1〜s6のオン・オフを切り替えて、各給電ロール103a〜103cの端部同士の組合せを変更することにより、シート状成形体Fの通電方向を切り替えることができる。
この場合、シート状成形体Fの幅方向端部間をシート状成形体Fの走行方向に沿って接続する方向(c1,c2,c5,c8)の平行通電と、各給電ロール103a〜103cの間を、対向する各給電ロール103a〜103cの端部を対角方向(c3,c4,c6,c7)に接続して通電する対角通電とを連続的に切り替えて、シート状成形体Fの発熱を制御する。
その他の構成は、第1実施形態のものと同じであり、共通部分に同一符号を付して説明を省略する。
例えば、上述の実施形態においてスラリーを作製するものとして説明したが、このスラリーの配合、粉末の粒径等は、本実施形態に限定されることはなく、他の配合、粒径の原料を用いてスラリーを作製してもよい。
また、製造される金属焼結体の厚さ及び幅は、本実施形態に限定されることはなく、他のサイズの金属焼結体を製造するものであってもよい。
さらに、チタンからなる金属焼結体を対象としたもので説明したが、これに限定されることはなく、ステンレス鋼やNi基合金等の他の金属焼結体を対象としてもよい。
また、給電機構を直流電源として説明したが、これに限定されることはなく、交流電源やパルス電源であってもよい。
例えば、第1実施形態において、第1給電ロール3aの両端部を接続し(スイッチs1,s2共に「ON」)、第2給電ロール3bの一端部を接続した場合(例えば、スイッチs3が「ON」、スイッチs4が「OFF」)、方向c1,c3を同時に通電する通電パターンとすることができる。
さらに、給電ロールを下側に配置し、押さえロールを上側に配置した構成で説明したが、これに限定されることはなく、給電ロールを上側に配置し、押さえロールを下側に配置してもよい。また、第1給電ロール及び第2給電ロールのうちの一方を上側に配置し、他方を下側に配置してもよい。
2 焼結室
2a 搬入口
2b 搬出口
3a,103a 第1給電ロール
3b,103b 第2給電ロール
4a 第1押さえロール
4b 第2押さえロール
5 給電機構
8 圧力調整機構
21 覗窓
22 放射温度計
32 給電コネクタ
33,43 水冷配管
34,44 冷却水供給部
34a 供給管
34b 排出管
35 駆動モータ
36 絶縁部材
37a,37b,137a,137b,137c 制御部
40 支持アーム
41 絶縁碍子
42 ロードセル
50 電源供給部
51 電極
52 通電制御部
90 シート成形機
91 搬送ローラ
92 キャリアシート
93 スラリー貯留部
94 ドクターブレード
95 発泡槽
96 乾燥室
103c 第3給電ロール
Claims (5)
- 金属粉末からなるシート状成形体に対して通電して自己発熱によって焼結させる金属焼結体の製造装置であって、前記シート状成形体を走行させるとともに前記シート状成形体の走行方向に間隔をおいて配置された少なくとも一対の給電ロールと、この一対の給電ロールを介して前記シート状成形体に電流を供給する給電機構と、前記一対の給電ロールに対向して配置され前記シート状成形体を前記給電ロールとの間に挟持する押さえロールとを備え、前記一対の給電ロールは、それぞれの給電ロールの両端部が前記給電機構の電源供給部に並列的に接続されており、前記給電機構には、前記電源供給部と前記給電ロールの両端部との通電接続を切り替えて、前記シート状成形体の幅方向中央部よりも幅方向端部に多く通電する通電制御部が設けられていることを特徴とする金属焼結体の製造装置。
- 前記一対の給電ロールの周速度を、それぞれ独立して制御する制御機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の金属焼結体の製造装置。
- 前記給電ロールおよび前記押さえロールの内部に冷却管が形成され、前記冷却管内に冷媒を流通させて冷却する冷却機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属焼結体の製造装置。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の金属焼結体の製造装置を用いてシート状成形体を焼結させる金属焼結体の製造方法。
- 金属粉末からなるシート状成形体を走行させるとともに、その走行方向に間隔をおいて配置した一対の給電ロール間で前記シート状成形体に通電して自己発熱によって焼結させる金属焼結体の製造方法であって、
前記一対の給電ロールの両端部間を前記シート状成形体の走行方向に沿って接続して前記シート状成形体の幅方向端部を通電する平行通電と、前記一対の給電ロールの両端部を互いに対角方向に接続して通電する対角通電とを切り替えながら、前記シート状成形体に通電する金属焼結体の製造方法。
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