JP2011181563A - トレンチ埋め込み用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルキルトリアルコキシシランを50モル%以上含むアルコキシシラン原料を加水分解、縮合して得られる加水分解縮合物を含有し、該加水分解縮合物の重量平均分子量が1000〜50000であり、該加水分解縮合物の含有量が組成物全量に対して14質量%超30質量%以下であるトレンチ埋め込み用組成物の塗膜14により、基板10表面上に形成されたトレンチ12を埋め込む。
【選択図】図1
Description
従来提案されてきたトレンチ埋め込み用材料や埋め込み方法を上記のような開口幅が狭く、かつ深いトレンチに適用した場合、トレンチ内部における材料の埋め込み性が必ずしも十分ではなく、トレンチ内にボイドやクラックなどが生じて、結果として電気的分離能に劣るという問題が生じていた。より具体的には、トレンチ埋め込み材用材料としてポリシラザンを用いた場合、トレンチ内部まで酸化ケイ素で埋めることができず、CVDによる埋め込み方法を用いた場合、トレンチのアスペクト比が高くなるにつれて埋め込み不良が起こるという問題があった。
<1> 基板表面上に形成されたトレンチを埋め込むためのトレンチ埋め込み用組成物であって、
少なくともアルキルトリアルコキシシランを50モル%以上含むアルコキシシラン原料を加水分解、縮合して得られる加水分解縮合物を含有し、
該加水分解縮合物の重量平均分子量が1000〜50000であり、
該加水分解縮合物の含有量が組成物全量に対して14質量%超30質量%以下であるトレンチ埋め込み用組成物。
<3> 前記アルコキシシラン原料に、さらにテトラアルコキシシランが含まれる、<1>または<2>に記載のトレンチ埋め込み用組成物。
<4> 前記アルキルトリアルコキシシランのアルコキシシラン原料中における含有量が60モル%以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用組成物。
<5> 表面上に開口幅30nm以下、深さ10〜1000nmのトレンチを有する基板上に、<1>〜<4>のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用組成物を塗布して、塗膜を形成する工程と、
該塗膜を加熱硬化して、トレンチ・アイソレーション構造を製造する工程とを有する、トレンチ・アイソレーション構造の製造方法。
<6> <5>に記載のトレンチ・アイソレーション構造の製造方法により製造されたトレンチ・アイソレーション構造を有する電子デバイス。
まず、トレンチ埋め込み用組成物の構成成分について詳述する。
本発明のトレンチ埋め込み用組成物は、基板表面上に形成された開口幅30nm以下、深さ10〜1000nmのトレンチを埋め込むのに好適に使用できる組成物である。該組成物中には、少なくともアルキルトリアルコキシシランを含むアルコキシシラン原料を加水分解、縮合して得られる加水分解縮合物が、所定量含有される。
所定の物性値を満足するこの加水分解縮合物を含む組成物を使用することにより、ナノメートルレベルの開口幅を有するトレンチ内を、ボイドやクラックの発生を抑制しつつ埋め込むことができる。
(トリアルコキシシラン)
上記加水分解縮合物を製造するためには、出発原料として、少なくともアルキルトリアルコキシシランを含むアルコキシシラン原料が使用される。なお、アルコキシシラン原料とは、アルコキシシラン(アルコキシ基を有するケイ素化合物)から構成される出発原料を意図する。
原料としてアルキルトリアルコキシシランを使用することにより、得られる加水分解縮合物の構造がよりフレキシブルとなり、さらに有機成分の存在により基板に対する濡れ性が高くなった結果として、トレンチ底部まで該縮合物が浸透でき、埋め込み性が向上したものと推測される。
式(1):R1Si(OR2)3
(R1およびR2は、それぞれ独立にアルキル基を表す。)
なかでも、得られる発明の効果が優れる点から、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜3がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。また、その中で最も好ましいのはメチル基である。
特に、加水分解速度の制御が容易である点から、式(1)中のR2がエチル基である、エトキシ基が好ましい。
なお、アルキルトリアルコキシシランとしては、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
含有量が50モル%未満の場合は、組成物のトレンチ中への埋め込み性が十分ではなく、硬膜後においてボイドやクラックが発生し、電気的絶縁性に劣る結果となる。
アルコキシシラン原料としては上記のトリアルコキシシラン以外に、他のアルコキシシランを使用することができ、なかでもテトラアルコキシシランが好ましい。テトラアルコキシシランを含むことにより、加水分解縮合物中の架橋密度が増加し、硬膜して得られる皮膜の電気的絶縁性・耐熱性がより向上する点で好ましい。
式(2):Si(OR3)4
(R3は、それぞれ独立にアルキル基を表す。)
特に、加水分解速度の制御が容易である点から、式(2)中のR3がエチル基である、エトキシ基が好ましい。
なお、テトラアルコキシシランとしては、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のトレンチ埋め込み用組成物中に含まれる加水分解縮合物は、上述したアルコキシシラン原料を用いて、加水分解反応および縮合反応を介して得られる化合物である。より具体的には、該化合物は、アルキルトリアルコキシシランの一部または全部のアルコキシ基が加水分解してシラノール基に変換し、生成したシラノール基の少なくとも一部が縮合してSi−O−Si結合を形成したものをいう。
加水分解反応および縮合反応としては公知の方法を使用することができ、必要に応じて、酸または塩基などの触媒を使用してもよい。触媒としてはpHを変更させるものであれば特に制限がなく、具体的には、酸(有機酸、無機酸)としては、例えば硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸など、アルカリとしては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。使用する量は、加水分解縮合物が所定の分子量を満たせば、特に限定されない。
重量平均分子量が1000未満の場合、基板に対する塗布性が悪いため、塗布後の面状が悪くなる。重量平均分子量が50000を超える場合、埋め込み性悪化の原因となる。
なお、重量平均分子量は、公知のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて測定し、標準ポリスチレンに換算したときの重量平均分子量である。
含有量が14質量%以下の場合、トレンチ内にボイドが発生し埋め込み不良が起きる。含有量が30質量%を超える場合、膜厚が厚くなりすぎクラック等の発生原因となるため実用的に不向きである。
なお、組成物中における加水分解縮合物以外の成分としては、例えば、上述した溶媒などが挙げられる。溶媒の含有量としては特に制限はないが、通常、70質量%以上86質量%未満である。
次に、上述した組成物を用いて、トレンチ・アイソレーション構造を製造(形成)する方法について詳述する。該構造を作製するための方法は特に制限されないが、以下の工程を有することが好ましい。
(塗布工程) 表面上に開口幅30nm以下、深さ10〜1000nmのトレンチを有する基板上に、上述したトレンチ埋め込み用組成物を塗布して、塗膜を形成する工程
(硬膜工程) 塗布工程で得られた塗膜を加熱硬化して、トレンチ・アイソレーション構造を製造する工程
以下、各工程について、図1に基づいて詳述する。
塗布工程は、所定の開口幅および深さのトレンチ(溝)が形成された基板上に、上述した組成物を塗布して、トレンチ内部に組成物を浸透させる工程である。より具体的には、まず、図1(A)に示すように所定の開口幅および深さのトレンチ12を有する基板10を用意する。次に、図1(B)に示すように基板10上に、上記組成物を塗布し、塗膜14を作製する。該工程によって、トレンチ12内部に加水分解縮合物を含む組成物が浸透し、該加水分解縮合物によってトレンチ12が充填される。
このようなトレンチ12を有する基板10の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、上述した特許文献1および2に記載のフォトレジスト処理とエッチング処理とを組み合わせた方法などが挙げられる。より具体的には、基板上にマスク窒化膜/パッド酸化膜からなる絶縁膜を堆積し、次いでこれをパターン状にエッチングする方法などが挙げられる。
本発明の組成物は、上記のような、より開口幅が狭く、より深いトレンチの底部まで均一に埋設することが可能である。
なお、上記トレンチ12の開口幅、深さの測定方法は公知に方法で測定でき、例えば、基板の断面をSEM観察して求めることができる。
また、基板10上におけるトレンチ12間の間隔は特に制限されない。
なお、基板10は、これらの材料からなる層が積層した積層構造であってもよい。例えば、図3に示すように、基板10はシリコン基板22と窒化シリコン層24との積層構造であってもよい。
必要に応じて、塗布された塗膜には加熱処理などを施し、塗膜中に含まれる溶媒を除去する(溶媒除去工程)。
該工程では、上記塗布工程で得られた塗膜14を加熱・硬化させ、絶縁性に優れた硬化膜16を作製し、トレンチ・アイソレーション構造18を製造する工程である。より具体的には、図1(C)に示すように、塗膜14が加熱硬化されて、トレンチ埋め込み部16aを含む硬化膜16となる。該工程によって、ボイドやクラックの発生が抑制され、硬化膜16の主成分である高密度の二酸化ケイ素で充填されたトレンチ埋め込み部16a(アイソレーション部)を有する構造が形成される。
なお、トレンチ・アイソレーション構造18とは、基板に形成される複数の半導体素子を電気的に分離するための構造を意図している。
加熱時間としては特に制限されないが、1〜90分であることが好ましく、5〜60分であることがより好ましい。
加熱の方法としては特に制限されず、ホットプレート、オーブン、ファーネス等による加熱を適用することができる。
加熱工程は、加圧下、常圧下、減圧下または真空中のいずれの圧力でも実施することができる。
(合成例1〜9)
メチルトリエトキシシランとテトラエトキシシランとを用いて、加水分解・縮合反応を行い、下記の表1に示す加水分解縮合物の分子量および含有量となるように組成物を調整した。
なお、表1中、「メチルエトキシシランの比率」(モル%)は、アルコキシシラン原料であるメチルトリメトキシシランとテトラエトキシシランとの合計量に対するメチルエトキシシランの含有割合(モル%)を表す。また、表1中、加水分解縮合物の分子量は重量平均分子量(Mw)を表し、加水分解縮合物の含有量(質量%)は組成物全量に対する加水分解縮合物の含有割合(質量%)を表す。
合成した組成物1〜9および組成物10〜13をそれぞれ上記基板上にスピンコートして、基板上に塗膜を形成した。得られた基板を、ホットプレート上にて110℃で1分間、ついで200℃で1分間予備乾燥し、膜厚200〜900nmの塗布膜を形成させた。なお、膜厚は、トレンチが形成されていない基板表面上からの厚みを意味する。
次に、得られた基板をアルバック理工社製赤外線加熱装置(RTP-6)に入れ、窒素雰囲気下、750℃で30分間加熱して、硬膜させた。
なお、上記基板1を使用した場合を埋め込み性1とし、基板2を使用した場合を埋め込み性2とした。
一方、本発明の組成物には該当しない組成物10〜13を用いた比較例1〜4においては開口幅の広い埋め込み性1の評価においても、トレンチ埋め込み部に組成物が入っていかず、さらにボイドの発生が確認された。
12 トレンチ
14 塗膜
16 硬化膜
16a トレンチ埋め込み部
18 トレンチ・アイソレーション構造
22 シリコン基板
24 窒化シリコン層
30 ボイド
Claims (6)
- 基板表面上に形成されたトレンチを埋め込むためのトレンチ埋め込み用組成物であって、
少なくともアルキルトリアルコキシシランを50モル%以上含むアルコキシシラン原料を加水分解、縮合して得られる加水分解縮合物を含有し、
該加水分解縮合物の重量平均分子量が1000〜50000であり、
該加水分解縮合物の含有量が組成物全量に対して14質量%超30質量%以下であるトレンチ埋め込み用組成物。 - 前記加水分解縮合物の重量平均分子量が、2500〜45000である、請求項1に記載のトレンチ埋め込み用組成物。
- 前記アルコキシシラン原料に、さらにテトラアルコキシシランが含まれる、請求項1または2に記載のトレンチ埋め込み用組成物。
- 前記アルキルトリアルコキシシランのアルコキシシラン原料中における含有量が60モル%以上である、請求項1〜3に記載のトレンチ埋め込み用組成物。
- 表面上に開口幅30nm以下、深さ10〜1000nmのトレンチを有する基板上に、請求項1〜4のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、
該塗膜を加熱硬化して、トレンチ・アイソレーション構造を製造する工程とを有する、トレンチ・アイソレーション構造の製造方法。 - 請求項5に記載のトレンチ・アイソレーション構造の製造方法により製造されたトレンチ・アイソレーション構造を有する電子デバイス。
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