以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る排出ガス処理装置1を備えた燃料電池システムF1は、例えば燃料電池自動車などに適用され、燃料電池スタック10、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス、反応ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)を給排するカソード系と、を備えている。
なお、本実施形態に係る排出ガス処理装置1を備えた燃料電池システムF1は、燃料電池自動車に適用した場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、船舶、航空機などの移動式のものに適用してもよく、あるいは家庭用や業務用の定置式のものなど電気を必要とする様々なものに適用できる。
燃料電池スタック10は、固体高分子型の単セルが複数積層されることで構成されたスタックであり、複数の単セルは電気的に直列に接続され、大電流を得るようになっている。単セルは、固体高分子からなる電解質膜(1価の陽イオン交換膜)を、触媒(Pt等)を含むアノードとカソードとで挟んで構成されたMEA(Membrane Electrode Assembly、膜電極接合体)と、このMEAを挟む2枚の導電性を有するセパレータと、を備えている。
アノードに対向するセパレータには、水素が流通する溝などを有するアノード流路11が形成されている。カソードに対向するセパレータには、酸素を含む空気が流通する溝などを有するカソード流路12が形成されている。
また、燃料電池スタック10は、複数の単セルを積層した積層方向の両端部に、金属板などからなるエンドプレートが設けられて、エンドプレートとエンドプレートとで、積層された単セルを挟持して保持するようになっている。
そして、アノード流路11を介して各アノードに水素が供給され、カソード流路12を介して各カソードに酸素を含む空気が供給されると、各単セルで電位差が発生する。そして、燃料電池スタック10と外部負荷(走行モータなど)とが電気的に接続され、電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
そして、発電が開始されると、カソードで生成された水(水蒸気)の一部は、電解質膜を透過し、アノードに移動する。よって、燃料電池スタック10のカソードから排出されるカソードオフガス(排出酸化剤ガス、空気)、アノードから排出されるアノードオフガス(排出燃料ガス、水素)は、高温多湿な状態である。
アノード系は、水素タンク21、常閉型の遮断弁22、エゼクタ23、排出ガス処理装置1などで構成されている。
水素タンク21は、高純度の水素が非常に高い圧力で充填されたものであり、配管25a、遮断弁22、配管25b、エゼクタ23、配管25cを介して、アノード流路11の入口と接続されている。なお、配管25bには、水素タンク21からの高圧の水素を所定の圧力に減圧する減圧弁(図示せず)が設けられている。
アノード流路11の出口には、配管25d、排出ガス処理装置1、配管25eを介してエゼクタ23の吸込口に接続されている。なお、排出ガス処理装置1は、アノード流路11の出口に、配管25dを介して接続されているが、配管25dを介して燃料電池スタック10と排出ガス処理装置1とが直接に接続されていてもよい。直接接続されることにより、発電時に燃料電池スタック10から発生する熱が排出ガス処理装置1に効率的に伝達される。
また、排出ガス処理装置1をアノード流路11の出口に直接取り付けることにより、燃料電池スタック10から排出される高温のアノードオフガスを排出ガス処理装置1に導入できるようになる。なお、排出ガス処理装置1の詳細については、図2以降を参照して後記する。
カソード系は、エアコンプレッサ31、加湿器32、背圧弁33などで構成されている。
エアコンプレッサ31は、酸素を含む空気(外気)を取り込んで圧縮し、この圧縮した空気をカソード流路12に供給するようになっている。また、エアコンプレッサ31は、配管35a、加湿器32、配管35bを介してカソード流路12の入口と接続されている。
加湿器32は、エアコンプレッサ31からカソード流路12に供給される空気を加湿するものであり、例えば、カソード流路12に向かう低湿な空気と、カソード流路12の出口から排出される多湿なカソードオフガスとを水分交換させる中空糸膜を備えている。
背圧弁33は、開度調節が可能な弁で構成され、カソードに供給される空気の圧力を制御する機能を有している。
カソード流路12の出口は、配管35c、加湿器32、配管35d、背圧弁33、配管35eを介して、排出ガス処理装置1と接続されている。
また、エアコンプレッサ31と加湿器32との間の配管35aには、配管35h、常閉型の遮断弁36、配管35iを介してアノード系の配管25cと接続されている。
次に、第1実施形態の排出ガス処理装置1Aについて図2ないし図4を参照して説明する。図2は第1実施形態の排出ガス処理装置を示す上面図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図2のB−B線断面図である。
図2に示すように、排出ガス処理装置1Aは、気液分離器2A、希釈器3A、パージ弁4A、ドレイン弁5Aおよび掃気弁6Aを備えて構成されている。この排出ガス処理装置1Aは、ユニット化されたものであり、希釈器3Aの上に気液分離器2Aが配置され、気液分離器2Aの側面にパージ弁4A、ドレイン弁5Aおよび掃気弁6Aが配置されたものである。
図3に示すように、気液分離器2Aは、アノード流路11の出口から配管25dを介して排出されたアノードオフガスに同伴して流れる水分(生成水、凝縮水)をアノードオフガスと分離して貯留する機能を有する。なお、水分(生成水、凝縮水)の詳細について後記する。この気液分離器2Aは、合成樹脂などで略四角箱型に形成され、側面2a,2b,2c,2d、上面2e、底面2fを有し、その内部に形成された空間S1(気液分離室)の底部に水が溜まるようになっている。
側面2aには、パージ弁4Aの導入ポート4a1と接続されるガス導入口28Aが貫通して形成されている。このガス導入口28Aは、気液分離器2A内において鉛直方向の上側、換言すると水がパージ弁4Aを介して希釈器3A側に流れない位置(高さ)に形成されている。
側面2cには、アノード流路11の出口から排出されるアノードオフガスが流入するガス流入口26Aが形成されている。なお、このガス流入口26Aは、気液分離器2A内に貯留された水が逆流して入らない位置であり、空間S1内において鉛直方向の上側に位置している。
また、ガス流入口26Aは、燃料電池スタック10と配管25dを介して接続されてもよいが、アノード流路11の出口に直接に接続されていてもよい。つまり、シール性(オーリングなど)を備えたジョイント部材を介して燃料電池スタック10と排出ガス処理装置1の気液分離器2Aとが接するように連結されることで構成できる。
上面2eには、気液分離器2Aで気液分離後のアノードオフガスがエゼクタ23(図1参照)に戻るガス流出口27Aが形成されている。なお、このガス流出口27Aは、貯留された水が流入しない位置で、さらに、アノードオフガスが気液分離器2Aから最も抜け易い位置(最も排出され易い位置)である上面2e(天井面)に形成されている。
底面2fは、貯留した水が一方向(図示右方向)に流れる傾斜面2f1を有している。また、傾斜面2f1の最も低くなる位置において、側面2bの下端部が側方に突出して、略扁平形状を呈する排水部7が空間S1と連通するように形成されている。なお、排水部7の形状および位置は、排水時に貯留した水を排出できるものであれば、本実施形態に限定されるものではない。
排水部7には、気液分離器2A内に貯留した水を希釈器3A内に排水するためのドレイン弁5Aが設けられている。また、排水部7の上面には、ドレイン弁5Aの弁体5aに固定されたシャフト(プランジャ)5a1が挿通される挿通孔7aが形成されている。
このように構成された気液分離器2Aでは、ガス流入口26Aからアノードオフガスが空間S1内に導入される際にアノードオフガスの流速が低下することによって、アノードオフガスに含まれる水素とアノードオフガスの流れに同伴して燃料電池スタック10から気液分離器2A内に導入された水分(生成水)とが分離され、分離された水分が重力の作用によって空間S1内を落下して底部に貯留される。なお、ここでの水分(生成水)とは、例えば、ガス流入口26Aから導入されたアノードオフガスの流れに同伴した水蒸気が、気液分離器2Aの側面2dの内壁などに当たることによって結露したものである(第2実施形態、第3実施形態も同様)。また、アノードオフガスの流れに同伴して燃料電池スタック10から気液分離器2A内に導入された水分(凝縮水)についても、ガス流入口26Aから導入される際に重力の作用で空間S1内を落下して空間S1の底部に貯留される。
なお、気液分離器2Aの形状については、略四角箱型に限定されるものではなく、気液分離器としての機能を発揮できるもの、つまり気液分離可能な高さを確保できるものであれば、円筒形状や多角筒形状など他の形状であってもよい。
希釈器3Aは、側面3a,3b,3c,3d、上面3e、底面3fを有し、気液分離器2Aで気液分離されたアノードオフガスを希釈する空間S2(希釈室)を有している。この希釈器3Aは、合成樹脂などで略四角箱型に形成され、気液分離器2Aの下側に位置し、かつ、気液分離器2Aの空間S1よりも大きな空間S2(希釈室)を有するように構成されている。
また、希釈器3Aには、気液分離器2Aが上面3eの略中央に位置し、気液分離器2Aの周囲の希釈器3Aの上面3eに、パージ弁4A、ドレイン弁5A、掃気弁6Aが配置されている(図2参照)。
また、希釈器3Aの上面3eには、パージ弁4Aの導出ポート4a2が接続されるガス流通口37Aが形成されている。このガス流通口37Aの開口部には、断面略L字状に折り曲げられ、かつ、その先端が側面3a側を向くように構成されたノズル38が接続されている。したがって、ガス流通口37Aを介してノズル38から排出されたアノードオフガスは、希釈器3A内部の側面3aに向けて吹き付けられるようになっている。
また、希釈器3Aの上面3eには、気液分離器2Aを挟んでガス流通口37Aとは反対側の位置に液体流通口39Aが貫通して形成されている。この液体流通口39Aの気液分離器2A側の開口縁部には、ドレイン弁5Aの弁座39aが形成されている。
なお、液体流通口39Aは、気液分離器2A内の空間S1において、ドレイン弁5Aが設けられた排水部7の底面2f2に形成されている。
なお、本実施形態では、気液分離器2Aの底面2f(少なくとも構成する一壁面)が、希釈器3Aの上面3eの一部(構成する一壁面)となるように形成されている。換言すると、希釈器3Aの上面3eの一部が気液分離器2Aの底面2fと共通の壁面で構成されている。
また、希釈器3A内の空間S2には、カソードオフガスが流通する配管35eが貫通するように構成されている。また、配管35eは、希釈器3Aの側面3a,3bを貫通するとともに、底面3fの近傍を水平に通るように構成されている。
希釈器3A内に位置する配管35eには、最も下流側(図3の右端)に、アノードオフガスがカソードオフガスに合流するガス流入孔35e1が周方向に沿って複数形成されている。なお、ガス流入孔35e1の開口面積は、配管35eを流れるカソードオフガスの流れによってアノードオフガスを吸引でき、アノードオフガスが規定の濃度以下で車外(外部)に排出できる大きさに設定されている。
また、ガス流入孔35e1は、ガス流通口37Aとの距離が長くなるような位置、つまり、配管35eの最も下流側の端部に位置している。これにより、ガス流通口37A(ノズル38)から排出されたアノードオフガスを希釈器3Aの空間S2内で拡散させる際の効率を高めることができる。
また、希釈器3A内に位置する配管35eには、両端部(最も上流側と最も下流側)に、ガス流入孔35e1よりも開口面積の小さい水抜き孔35e2,35e3が形成されている。この水抜き孔35e2,35e3は、前記したガス流入孔35e1よりも小径に形成され、それぞれ希釈器3Aの底面3f側を向くように形成されている。
このように、水抜き孔35e2,35e3を配管35eの上流端と下流端に位置することで、上下流の方向が車両の左右方向(車幅方向)の場合には、車両が左右方向に傾いたとしても、あるいは上下流の方向が車両の前後方向の場合には、車両が前後方向に傾いたとしても、いずれかの水抜き孔35e2,35e3によって水を排出することができる。
これにより、希釈器3A内の底に溜まった水は、配管35e内をカソードオフガスが流れる際に発生する吸い込み力によって水抜き孔35e2,35e3から吸込まれて、配管35eを通って車外へ排出される。
パージ弁4Aは、ガス導入口28Aに接続される導入ポート4a1およびガス流通口37Aに接続される導出ポート4a2を有するケース4a、弁体4b、弁体4bを駆動させる駆動部4cなどを有している。
ケース4aには、弁体4bが接することで閉弁し、離れることで開弁する弁座4a3が形成されている。駆動部4cは、コイル、プランジャなどを有し、図示しないECU(Electronic Control Unit、電子制御装置)によって、コイルを通電することによりプランジャを吸引させて、弁体4bを適宜開閉動作させるようになっている。
また、導入ポート4a1には、パージの流量を調整するオリフィス4a4が形成されている。なお、図示していないが、パージ弁4Aには、弁体4bを閉弁方向に常に付勢する付勢手段(コイルバネなど)が設けられている。よって、パージ弁4Aは、コイルを非通電とすることにより、図示しない付勢手段により弁体4bが弁座4a3に押し付けられて閉弁する。
なお、パージ弁4Aの導入ポート4a1(ガス導入口28A)は、気液分離器2A内で鉛直方向の上側、換言すると貯留した水がかからない位置に形成されている。
また、パージ弁4Aの導入ポート4a1(ガス導入口28A)は、燃料電池スタック10からのアノードオフガスのガス流入口26Aと対向しない位置に形成されている。可能であれば、燃料電池スタック10からのアノードオフガスが気液分離器2A内の壁面に1回以上当たった後に向かう位置に形成されることが好ましい。これは、アノードオフガスに同伴した水分がガス流入口26Aからパージ弁4Aの導入ポート4a1にそのまま(直接に)流れないようにするためである。
さらに、パージ弁4Aの導出ポート4a2(ガス流通口37A)は、希釈器3A内を通る配管35eに設けられたガス流入口35e1から遠い位置に形成されている。このように、できるだけ、距離L1(図3参照)を長く確保することにより、カソードオフガス内においてアノードオフガスをより拡散させることができる。
このように構成されたパージ弁4Aは、例えば、アノード流路11に供給される水素濃度が低下し、また水分が過剰に存在して発電性能が低下していることが、図示しないECUによって判定されたときに開弁制御される。また、パージ弁4Aが所定時間開弁することにより、ガス流入口26Aから気液分離器2A内に流入したアノードオフガスは、ガス導入口28A、パージ弁4A、ガス流通口37Aおよびノズル38を通って希釈器3A内に導入される。
希釈器3Aに導入されたアノードオフガスは、空間S2内で拡散された後、配管35e内を勢いよく流れるカソードオフガスの流れによってガス流入孔35e1から内部へ吸引され、配管35e内のカソードオフガスと混合されて希釈された後、車外へと排出される。
ドレイン弁5Aは、弁体5a、駆動部5bなどで構成され、駆動部5bが気液分離器2Aの排水部7に気密性を有するように固定されている。なお、駆動部5bには、弁体5aを上下動(開閉)させるプランジャ5a1がスライド可能に支持されている。また、ドレイン弁5Aには、弁体5aを常に閉弁する方向に付勢する図示しない付勢手段(コイルバネなど)が設けられている。排水部7には、プランジャ5a1が上方へ吸引されることで弁体5aが離れて開弁し、プランジャの吸引が停止することにより、付勢手段の付勢力によって弁体5aが接して閉弁する弁座39aが設けられている。
なお、ドレイン弁5Aは鉛直方向において下側、換言すると、気液分離器2Aの底面2f(特に底面2fのうち最も低い位置)に弁体5aが位置することが好ましい。このような位置にするのは、水が最も抜け易いからである。
また、ドレイン弁5Aは、配管35eとの距離が短くなる位置が好ましい。これは、希釈器3A内でアノードオフガスを拡散するスペースを確保するためである。
また、ドレイン弁5Aは、希釈器3Aの壁面(本実施形態では側面3b)の近くの位置に形成されている。これは、ドレイン弁5Aから排出される水が少量であっても、壁面(本実施形態では側面3b)を介して確実に希釈器3Aの下端に到達できるようにするためである。
このように構成されたドレイン弁5Aは、燃料電池システムF1の運転時(燃料電池スタック10の発電時)に、ECU(不図示)の制御によって、定期的に開弁され、または水位センサ(不図示)で検出された水位に基づいて開弁され、または燃料電池スタック10から取り出される発電電流(積算発電電流)に基づいて開弁される。
掃気弁6Aは、希釈器3Aの上面3e、かつ、気液分離器2Aの側面2aにパージ弁4Aと並んで配置されている。また、掃気弁6Aは、その流路径がパージ弁4Aの流路径よりも大きく形成され、パージ弁4Aよりも大流量のガスが流れるようになっている。
図4に示すように、掃気弁6Aは、パージ弁5Aと同様に、気液分離器2Aの側面2aに形成されたガス導入口29Aに接続される導入ポート6a1、希釈器3Aの上面3eに形成されたガス排出口37に接続される導出ポート6a2を有するケース6a、弁体6b、弁体6bを駆動させる駆動部6cなどを有している。
ケース6aには、弁体6bが接することで閉弁し、離れることで開弁する弁座6a3が形成されている。駆動部6cは、コイル、プランジャなどを有し、図示しないECU(Electronic Control Unit、電子制御装置)によって、コイルを通電することによりプランジャを吸引させて、弁体6bを開弁するようになっている。
また、掃気弁6Aには、弁体6bを閉弁方向に常に付勢する図示しない付勢手段(コイルバネなど)が設けられている。よって、掃気弁6Aは、コイルを非通電とすることにより、図示しない付勢手段の付勢力によって弁体6bが弁座6a3に押し付けられることで閉弁するようになっている。
このように構成された掃気弁6Aは、燃料電池システムF1の運転停止時(車両であればIG−OFF時)に使用されるものであり、ECU(不図示)によって燃料電池スタック10内などが外気温度などによって凍結すると判断された場合には、まず、遮断弁36を閉弁した状態において、背圧弁33を全開にし、エアコンプレッサ31を駆動する。これにより、乾燥した大流量の空気がカソード流路12を流れることで、カソード流路12内の残留水が下流に向けて押し出される。乾燥した大流量の空気は、希釈器3A内を通る配管35e内を流れることで、希釈器3A内に残留しているアノードオフガスがガス流入孔35e1から吸引され、カソードオフガスによって希釈された後に車外に排出される。
そして、カソード流路12の掃気が終了した後、ECUの制御によって背圧弁33が閉じられ、遮断弁36が開かれることで、気液分離器2A内に溜まった水は、ドレイン弁5Aを介して大流量の空気によって希釈器3A内に押し出され、水抜き孔35e2,35e3およびガス流入孔35e1、配管35eを通って車外に排出される。
以上説明したように、第1実施形態の排出ガス処理装置1Aを搭載した燃料電池システムF1では、希釈器3Aが気液分離器2Aに隣接(近接)して配置されるとともにガス流通口37Aと液体流通口39Aを介して気液分離器2Aと連通するように構成しているので、気液分離器2Aと希釈器3Aとの間の距離をゼロにでき、気液分離器2Aと希釈器3Aとを連通する排気配管を設ける必要がなくなる。これにより、排出ガス処理装置1A(燃料電池システムF1)を氷点下で使用する環境において、排気配管内の液体が凍結して、排気配管内が閉塞するのを防止できる。すなわち、そもそも排気配管が存在しないので、排気配管が凍結することがなく、排気配管内が閉塞することもない。
また、第1実施形態によれば、気液分離器2Aを構成する底面2f(一壁面)が、希釈器3Aを構成する上面3e(一壁面)となるように構成されているので、一壁面を気液分離器2Aと希釈器3Aとで併用でき、気液分離器2Aから希釈器3Aへの熱伝達性を向上できる。これにより、燃料電池スタック10の起動時などにおける暖機時間を短縮することが可能になる。さらに、一壁面を気液分離器2Aと希釈器3Aとで併用することで、部材の省略が可能となり、小型化、軽量化およびコスト削減が可能となる。
また、第1実施形態によれば、希釈器3Aが気液分離器2Aの下方に配置され、液体流通口39Aが気液分離器2Aの底面2fに形成されることで、気液分離器2Aで気液分離された水(液体)を希釈器3Aに排出し易くなる。これにより、気液分離器2A内に水(液体)が滞留するのを防止できる。
また、第1実施形態によれば、ガス流通口37Aがガス流入口26Aと対向しない位置に設けられているので、ガス流入口26Aから流入したアノードオフガスに同伴した水分(生成水、凝縮水)が、直接にガス流通口37Aに向かうことがない。よって、水分がガス流通口37Aを通って希釈器3Aに排出されるのを防止できる。
また、第1実施形態によれば、ガス流通口37Aにアノードオフガスの流通を規制するパージ弁4A(排気弁)が備えられ、液体流通口39Aに液体の流通を規制するドレイン弁5A(排水弁)が備えられているので、気液分離器2Aに弁が集約し、重量を一点(狭い範囲)に集めることができる。これにより、気液分離器2Aの自重が増して、質量効果によって振動伝達を低減することが可能になる。したがって、防振部材といった付加部材を削減でき、作業性の向上やコスト削減が図れる。また、気液分離器2Aに弁が集約することで、防音や断熱等の対策を一箇所で行うことができ、これにより、燃料電池システムF1の小型化が図れるとともに、作業性を向上できる。
また、第1実施形態の排出ガス処理装置1Aでは、排出ガス処理装置1Aの気液分離器2Aと燃料電池スタック10とが接するように配置されることで、発電時において燃料電池スタック10から発生した熱を、気液分離器2A(および希釈器3A)にさらに効率的に伝達することができ、暖機運転のさらなる短縮が図れる。
次に、第2実施形態の排出ガス処理装置1Bについて図5ないし図7を参照して説明する。図5は第2実施形態に係る排出ガス処理装置を示す上面図、図6は図5のC−C線断面図、図7は図5のD−D線断面図である。
図5に示すように、排出ガス処理装置1Bは、気液分離器2B、希釈器3B、パージ弁4B、ドレイン弁5B(図6参照)および掃気弁6Bを備えて構成されている。この排出ガス処理装置1Bも、ユニット化されたものであり、希釈器3Bの側面に気液分離器2Bが配置され、気液分離器2Bの側面にパージ弁4B、ドレイン弁5Bおよび掃気弁6Bが配置されている。
図5ないし図7に示すように、気液分離器2Bは、合成樹脂などで四角箱型に形成され、4つの側面2g,2h,2i,2j、上面2k、底面2mを有し、その内部に形成された空間S3(気液分離室)の底部に水が溜まるようになっている。
側面2gには、アノード流路11の出口から排出されるアノードオフガスが流入するガス流入口26B(図6参照)が形成されている。なお、このガス流入口26Bは、気液分離器2B内に貯留された水が逆流して入らない位置であり、空間S3内において鉛直方向の上方に位置している。
なお、ガス流入口26Bは、配管25dを介さずに、例えばアノード流路11の出口に直接に、つまり、シール性を備えたジョイント部材を介して燃料電池スタック10と排出ガス処理装置1Bの気液分離器2Bとが互いに接するようにして連結されていてもよい。これにより、燃料電池スタック10からの熱を排出ガス処理装置1Bの気液分離器2B(希釈器3B)に効率的に伝達できるようになり、燃料電池システムF1の始動時の暖機時間を短縮できる。
上面2kには、気液分離器2Bで気液分離後のアノードオフガスがエゼクタ23(図1参照)に戻るガス流出口27Bが形成されている。なお、このガス流出口27Bは、貯留された水が流入しない位置で、さらに、アノードオフガスが気液分離器2Bから最も抜け易い位置(最も排出され易い位置)である上面2k(天井面)に形成されている。
図7に示すように、側面2jには、パージ弁4Bの導入ポート4d1と接続されるガス導入口28Bが貫通して形成されている。なお、ガス導入口28Bは、気液分離器2B内において鉛直方向の上側、換言すると溜まった水がパージ弁4Bを介して希釈器3B側に流れない位置(高さ)に形成されている。
また、側面2jには、パージ弁4Bの下方において、ドレイン弁5Bの導入ポート5c1と接続される排水口41が形成されている。
側面2iには、掃気弁6Bの導入ポート6d1と接続されるガス導入口29Bが貫通して形成されている。
底面2mは、貯留した水が一方向(図示右方向)に流れる傾斜面2m1を有している(図6参照)。すなわち、気液分離器2Bの底に溜まった水は、ドレイン弁5B側に流れるようになっている。なお、気液分離器2Bに溜まった水を希釈器3Bに排出する手段としては、本実施形態に限定されるものではなく、第1実施形態のように排水部7を設けて、排水部7の上部にドレイン弁を設ける構成であってもよい。
このように構成された気液分離器2Bでは、ガス流入口26Bからアノードオフガスが空間S3内に導入される際にアノードオフガスの流速が低下することによって、アノードオフガスに含まれる水素とアノードオフガスの流れに同伴して燃料電池スタック10から気液分離器2B内に導入された水分(生成水)とが分離され、分離された水分が重力の作用によって空間S3内を落下して底部に貯留される。また、アノードオフガスの流れに同伴して燃料電池スタック10から気液分離器2B内に導入された水分(凝縮水)についても、ガス流入口26Bから導入される際に重力の作用で空間S3内を落下して空間S3の底部に貯留される。
なお、気液分離器2Bの形状については、四角箱型に限定されるものではなく、気液分離器としての機能を発揮できるもの、つまり気液分離可能な高さを確保できるものであれば、円筒形状や多角筒形状など他の形状であってもよい。
希釈器3Bは、側面3g,3h,3i,3j、上面3kおよび底面3mを有し、気液分離器2Bで気液分離されたアノードオフガスを希釈する空間S4(希釈室)を有している。この希釈器3Bは、合成樹脂などで略四角箱型に形成され、気液分離器2Bの側面側に位置し、かつ、気液分離器2Bの空間S3よりも大きな空間S4を有するように構成されている。
また、希釈器3Bの側面3gには、パージ弁4Bの導出ポート4d2が接続されるガス流通口37Bが形成されている。なお、図示していないが、ガス流通口37Bの開口部に、断面略L字状に折り曲げられ、かつ、その先端が側面3i側または側面3j側を向くノズルが接続されていてもよい。
また、希釈器3Bの側面3gには、ドレイン弁5Bの導出ポート5a2と接続される液体流通口39Bが貫通して形成されている。また、液体流通口39Bは、気液分離器2B内の空間S3の底面2mの近傍に形成されている。
なお、図示していないが、希釈器3Bの側面3gには、さらに掃気弁6Bの導出ポートと接続されるガス排出口が貫通して形成されている。
また、本実施形態では、気液分離器2Bの側面2h(少なくとも構成する一壁面)が、希釈器3Bの側面3gの一部(構成する一壁面)となるように形成されている。換言すると、希釈器3Bの側面3gの一部が気液分離器2Bの側面2hと共通の壁面で構成されている。
また、希釈器3B内の空間S4は、カソードオフガスが流通する配管35eが貫通するように構成されている。また、配管35eは、希釈器3Bの側面3g,3hを貫通するとともに、底面3mの近傍を水平に通るように構成されている。なお、ガス流入孔35e1、水抜き孔35e2,35e3は、第1実施形態と同様に形成されている。
パージ弁4Bは、ガス導入口28Bに接続される導入ポート4d1およびガス流通口37Bに接続される導出ポート4d2を有するケース4d、弁体4e、弁体4eを駆動させる駆動部4fなどを有している。なお、詳細な構成および動作については、第1実施形態におけるパージ弁4Aと同様である。
なお、パージ弁4Bの導入ポート4d1(ガス導入口28B)は、気液分離器2B内で鉛直方向の上側、換言すると貯留した水がかからない位置に形成されている。
また、パージ弁4Bの導入ポート4d1(ガス導入口28B)は、燃料電池スタック(FCスタック)10からのアノードオフガスのガス流入口26Bと対向しない位置に形成されている。可能であれば、燃料電池スタック10からのアノードオフガスが気液分離器2B内の壁面に1回以上当たった後に向かう位置に形成されることが好ましい。これは、アノードオフガスに同伴した水分(生成水、凝縮水)がそのまま(直接に)流れないようにするためである。
ドレイン弁5Bは、導入ポート5c1、導出ポート5c2および弁座5c3を有するケース5c、弁体5d、弁体5dを駆動させる駆動部5eなどで構成されている。なお、ドレイン弁5Bは鉛直方向において下側、換言すると、気液分離器2Bの底面2mと等しい位置またはほぼ等しい位置に弁体5dが位置することが好ましい。このような位置にするのは、水が最も抜け易いからである。
また、ドレイン弁5Bは、配管35eとの距離が短くなる位置が好ましい。これは、希釈器3B内でアノードオフガスを拡散するためのスペースを確保するためである。
また、ドレイン弁5Bは、希釈器3Bの壁面(本実施形態では側面3g)の近くに水が流れる位置に形成されている。これは、ドレイン弁5Bから排出される水が少量であっても、壁面(本実施形態では側面3g)を介して確実に希釈器3Bの下端(底)に到達できるようにするためである。
なお、ドレイン弁5Bの詳細な構成については、パージ弁4Bと同様であり、ドレイン弁5Bの動作については、第1実施形態に係るドレイン弁5Aと同様である。
掃気弁6Bは、パージ弁4Bと同様に、導入ポート6d1、導出ポート6d2および弁座6d3を有するケース6d、弁体6e、弁体6eを駆動させる駆動部6fなどで構成されている。なお、掃気弁6Bの詳細な構成および動作については、第1実施形態に係る掃気弁6Aと同様である。
さらに、希釈器3B内には、四角形状を呈する2枚の仕切板51,52が水平となるように互いに上下方向(鉛直方向)に間隔を開けて配設されている。なお、仕切板の枚数は2枚に限定されるものではなく、3枚以上など適宜変更することができる。また、仕切板51,52は、下流側に向かって下降するように傾斜していてもよい。
上側の仕切板51は、基端の縁部および両側の縁部がそれぞれ側面3g,3i,3jのパージ弁4Bの導出ポート4d2よりも下方に接合され、側面3h側に上下を連通させる連通路53が形成されている。下側の仕切板52は、基端の縁部および両側の縁部がそれぞれ側面3h,3i,3jの上側の仕切板51と配管35eとの中間の高さに接合され、側面3g側に上下を連通させる連通路54が形成されている。
これにより、パージ弁4Bの導出ポート4d2から排出されたアノードオフガスは、図6において矢印で示すように、蛇行しながら配管35eのガス流入孔35e1に到達する。したがって、導出ポート4d2とガス流入孔35e1との距離を長く確保することができ、希釈器3B内でアノードオフガスがより拡散され、配管35e内を通るカソードオフガス内においてアノードオフガスをより拡散させることができる。
以上説明したように、第2実施形態の排出ガス処理装置1Bを燃料電池システムF1では、希釈器3Bが気液分離器2Bに隣接(近接)して配置されるとともにガス流通口37Bと液体流通口39Bを介して気液分離器2Bと連通するように構成しているので、気液分離器2Bと希釈器3Bとの間の距離をゼロにでき、気液分離器2Bと希釈器3Bとを連通する排気配管を設ける必要がなくなる。これにより、排出ガス処理装置1Bを氷点下で使用する環境において、排気配管内の液体が凍結して、排気配管内が閉塞するのを防止できる。すなわち、そもそも排気配管が存在しないので、排気配管が凍結することがなく、排気配管内が閉塞することもない。
また、第2実施形態によれば、気液分離器2Bを構成する側面2h(一壁面)が、希釈器3Bを構成する側面3g(一壁面)となるように構成されているので、一壁面を気液分離器2Bと希釈器3Bとで併用でき、気液分離器2Bから希釈器3Bへの熱伝達性を向上できる。これにより、燃料電池スタック10の起動時などにおける暖機時間を短縮することが可能になる。さらに、一壁面を気液分離器2Bと希釈器3Bとで併用することで、部材の省略が可能となり、小型化、軽量化およびコスト削減が可能となる。
また、第2実施形態によれば、希釈器3Bが、気液分離器2Bの側方に配置される。ガス流通口37Bが、液体流通口39Bより上方の気液分離器2Bの側面に形成される。液体流通口39Bが、気液分離器2Bの底面2m近傍に形成される。底面2mが、液体流通口39Bに向かって水(液体)が流れるように形成される。これにより、気液分離器2Bで気液分離された水(液体)を希釈器3Bに排出し易い上、アノードオフガスを希釈器3Bの外部に排気するまでの距離を長く確保することができる。また、気液分離器2B内に水(液体)が滞留するのを防止できる上、希釈器3B内での希釈時間を確保できる。
また、第2実施形態によれば、ガス流通口37Bに連通するガス導入口28B(図7参照)がガス流入口26B(図6参照)と対向しない位置に設けられているので、ガス流入口26Bから流入したアノードオフガスに同伴した水分(生成水、凝縮水)が、直接にガス流通口37Bに向かうことがない。よって、水分がガス流通口37Bを通って希釈器3Bに排出されるのを防止できる。
また、第2実施形態によれば、ガス流通口37Bにアノードオフガスの流通を規制するパージ弁4B(排気弁)が備えられ、液体流通口39Bに液体の流通を規制するドレイン弁5B(排水弁)が備えられているので、気液分離器2Bに弁が集約して、重量を一点(狭い範囲)に集めることができる。これにより、気液分離器2Bの自重が増して、質量効果によって振動伝達を低減することが可能になる。その結果、防振部材といった付加部材を削減でき、作業性の向上やコスト削減が図れる。また、気液分離器2Bに弁が集約することで、防音や断熱等の対策を一箇所で行うことができ、これにより、燃料電池システムF1の小型化が図れるとともに、作業性を向上できる。
次に、第3実施形態の排出ガス処理装置1Cについて図8および図9を参照して説明する。図8は第3実施形態に係る排出ガス処理装置を示す上面図、図9は図8のE−E線断面図である。
図8に示すように、排出ガス処理装置1Cは、気液分離器2C、希釈器3C、パージ弁4C、ドレイン弁5Cおよび掃気弁6Cを備えて構成されている。この排出ガス処理装置1Cも、ユニット化されたものであり、希釈器3Cの上面および側面に気液分離器2Cが配置され、気液分離器2Cの側面にパージ弁4C、ドレイン弁5Cおよび掃気弁6Cが配置されている。
図9に示すように、気液分離器2Cは、合成樹脂などで四角箱型に形成され、側面2n,2o,2p,2q、上面2rおよび底面2sで囲まれて空間S5(気液分離室)が形成され、この空間S5の底部に水が溜まるようになっている。
側面2nには、アノード流路11の出口から排出されるアノードオフガスが流入するガス流入口26Cが形成されている。なお、このガス流入口26Cは、気液分離器2C内に貯留された水が逆流して入らない位置であり、空間S5内において鉛直方向の上方に位置している。
なお、ガス流入口26Cは、燃料電池スタック10のアノード流路11の出口に直接接続されることが好ましい。ただし、燃料電池スタック10とガス流入口26Cとを配管25dを介して接続するのを妨げるものではない。
上面2rには、気液分離器2Cで気液分離後のアノードオフガスがエゼクタ23(図1参照)に戻るガス流出口27Cが形成されている。なお、このガス流出口27Cは、貯留された水が流入しない位置で、さらに、アノードオフガスが気液分離器2Bから最も抜け易い位置(最も排出され易い位置)である上面2r(天井面)に形成されている。
側面2qには、パージ弁4Cの導入ポート4g1と接続されるガス導入口(不図示)が貫通して形成されている。
また、側面2qには、パージ弁4Cの側方において、ドレイン弁5Cの導入ポート5f1と接続される排水口(不図示)が形成されている。
側面2pには、掃気弁6Cの導入ポート(不図示)と接続されるガス導入口(不図示)が貫通して形成されている。
底面2sは、貯留した水が一方向(図示右方向)に流れる傾斜面2s1を有している(図9参照)。すなわち、気液分離器2Cの底に溜まった水は、ドレイン弁5C側に流れるようになっている。
希釈器3Cは、側面3n,3o,3p,3q,3r、上面3s,3tおよび底面3uを有し、気液分離器2Cで気液分離されたアノードオフガスを希釈する空間S6(希釈室)を有している。この希釈器3Cは、合成樹脂などで形成され、側断面視したときにL字状に形成され、側面3nと上面3tとに対向する略直方体形状の切り欠かれた空間に気液分離器2Cが位置するように構成されている。希釈器3Cは、気液分離器2Cの空間S5よりも大きな空間S6を有している。
また、希釈器3Cの側面3nには、パージ弁4Cの導出ポート4g2が接続されるガス流通口37Cが形成されている。なお、図示していないが、ガス流通口37Cの開口部に、断面略L字状に折り曲げられ、かつ、その先端が側面3q側、側面3rまたは上面3s側を向くノズルが接続されていてもよい。
また、希釈器3Cの上面3tには、ドレイン弁5Cの導出ポート5f2と接続される液体流通口39Cが貫通して形成されている。また、液体流通口39Cは、気液分離器2C内の空間S5の最も低い底面2s2に形成されている。
また、本実施形態では、気液分離器2Cの側面2hおよび底面2s(少なくとも構成する一壁面)が、希釈器3Cの側面3nおよび上面3tの一部(構成する一壁面)となるように形成されている。換言すると、希釈器3Cの側面3nおよび上面3tの一部が気液分離器2Cの側面2hおよび底面2sと共通する壁面で構成されている。
また、希釈器3C内の空間S6は、カソードオフガスが流通する配管35eが貫通するように構成されている。また、配管35eは、希釈器3Cの側面3o,3pを貫通するとともに、底面3uの近傍を水平に通るように構成されている。なお、ガス流入孔35e1、水抜き孔35e2,35e3は、第1実施形態と同様に形成されている。
パージ弁4Cは、ガス導入口(不図示)に接続される導入ポート4g1およびガス流通口37Bに接続される導出ポート4g2を有するケース4g、弁体4h、弁体4hを駆動させる駆動部4iなどを有している。なお、詳細な構成および動作については、第1実施形態に係るパージ弁4Aと同様である。
なお、パージ弁4Cの導入ポート4g1に接続されるガス導入口(不図示)は、気液分離器2C内で鉛直方向の上側、換言すると貯留した水がかからない位置に形成されている。
また、ガス導入口は、燃料電池スタック10からのアノードオフガスのガス流入口26Cと対向しない位置に形成されている。可能であれば、燃料電池スタック10からのアノードオフガスが気液分離器2B内の壁面に1回以上当たった後に向かう位置に形成されることが好ましい。これは、アノードオフガスに同伴した水分がそのまま(直接に)流れないようにするためである。
ドレイン弁5Cは、第2実施形態のドレイン弁5Bと同様であり、導入ポート5f1、導出ポート5f2および弁座5f3を有するケース5f、弁体5g、弁体5gを駆動させる駆動部5hなどで構成されている。なお、ドレイン弁5Cは鉛直方向において下側、換言すると、気液分離器2Cの底面2sと等しい位置またはほぼ等しい位置に弁体5gが位置している。このような位置にするのは、水が最も抜け易いからである。
また、ドレイン弁5Cは、配管35eとの距離が短くなる位置が好ましい。これは、希釈器3C内でアノードオフガスを拡散するためのスペースを確保するためである。
また、ドレイン弁5Cは、希釈器3Cの壁面(本実施形態では側面3o)の近くの位置に形成されている。これは、ドレイン弁5Cから排出される水が少量であっても、壁面(側面3o)を介して確実に希釈器3Cの下端(底)に到達できるようにするためである。
なお、ドレイン弁5Cの詳細な構成については、第2実施形態に係るパージ弁4Bと同様であり、ドレイン弁5Cの動作については、第1実施形態に係るドレイン弁5Aと同様である。また、掃気弁6Cについては、第1実施形態の掃気弁6Aや第2実施形態の掃気弁6Bと同様に構成されている。
なお、希釈器3C内には、第2実施形態のように、仕切板を配置して、気液分離器2Cからのアノードオフガスが流れる蛇行路を形成してもよい。仕切板の枚数や配置などは適宜変更できる。これにより、導出ポート4g2(ガス流通口37C)とガス流入孔35e1との距離を長く確保することができ、希釈器3C内でアノードオフガスがより拡散され、配管35e内を通るカソードオフガス内においてアノードオフガスをより拡散させることができる。
以上説明したように、第3実施形態の排出ガス処理装置1Cを搭載した燃料電池システムF1では、希釈器3Cが気液分離器2Cに隣接(近接)して配置されるとともにガス流通口37Cと液体流通口39Cを介して気液分離器2Cと連通するように構成しているので、気液分離器2Cと希釈器3Cとの間の距離をゼロにでき、気液分離器2Cと希釈器3Cとを連通する排気配管を設ける必要がなくなる。これにより、排出ガス処理装置1Cを氷点下で使用する環境において、排気配管内の液体が凍結して、排気配管内が閉塞するのを防止できる。すなわち、そもそも排気配管が存在しないので、排気配管が凍結することがなく、排気配管内が閉塞することもない。
また、第3実施形態によれば、気液分離器2Cを構成する側面2hおよび底面2sが、希釈器3Cを構成する側面3nおよび上面3tとなるように構成されているので、一壁面を気液分離器2Cと希釈器3Cとで併用でき、気液分離器2Cから希釈器3Cへの熱伝達性を向上できる。これにより、燃料電池スタック10の起動時などにおける暖機時間を短縮することが可能になる。さらに、気液分離器2Bの壁面と希釈器3Bの壁面とを併用することで、部材の省略が可能となり、小型化、軽量化およびコスト削減が可能となる。
また、第3実施形態によれば、希釈器3Cが気液分離器2Cの側方に配置され、ガス流通口37Cが液体流通口39Cより上方の気液分離器2Cの側面に形成され、液体流通口39Cが気液分離器2Cの底面2sに形成され、底面2sが液体流通口39Cに向かって水(液体)が流れる傾斜面2s1を有しているので、気液分離器2Cで気液分離された水(液体)を希釈器3Cに排出し易い上、アノードオフガスを希釈器3Cの外部に排気するまでの距離を長く確保することができる。これにより、気液分離器2C内に水(液体)が滞留するのを防止できる上、希釈器3C内での希釈時間を確保できる。
また、第3実施形態によれば、ガス流通口37Cに連通するガス導入口(不図示)がガス流入口26Cと対向しない位置に設けられているので、ガス流入口26Cから流入した水(液体)を含むアノードオフガスが、直接にガス流通口37Cに向かうことがない。よって、水分(生成水、凝縮水)がガス流通口37Cを通って希釈器3Cに排出されるのを防止できる。
また、第3実施形態によれば、ガス流通口37Cにアノードオフガスの流通を規制するパージ弁4C(排気弁)が備えられ、液体流通口39Cに液体の流通を規制するドレイン弁5C(排水弁)が備えられているので、気液分離器2Cに弁が集約して、重量を一点(狭い範囲)に集めることができる。これにより、気液分離器2Cの自重が増して、質量効果によって振動伝達を低減することが可能になる。その結果、防振部材といった付加部材を削減でき、作業性の向上やコスト削減が図れる。また、気液分離器2Cに弁が集約することで、防音や断熱等の対策を一箇所で行うことができ、これにより、燃料電池システムF1の小型化が図れるとともに、作業性を向上できる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更できる。例えば、希釈器が縦断面視したときの形状が凹形状で、その形成された凹形状の凹み部に気液分離器が配置されるような構成であってもよい。
また、ガス流入孔35e1は、流れ方向の下流側に限定されず、ガス流通口37A〜37Cからのガス流入孔35e1までの距離を長く確保できるものであれば、流れ方向の上流側に位置していてもよい。