JP2011132696A - 軽量盛土工法及び軽量盛土構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡時の押圧力、及び冷却時の収縮による引張力による支柱及び壁面材の変形が防止される軽量盛土工法、並びに支柱及び壁面材の変形等が防止された軽量盛土構造を提供する。
【解決手段】基盤3と、基盤に立設された支柱4と、支柱に支持された壁面材5と、支柱の法面側に取り付けられた緩衝層用パネル21と、壁面材と緩衝層用パネルとの間に架け渡されるように配設され、且つ支柱と離間している仕切用緩衝材パネル22と、を有する盛土用組立体を用いて軽量盛土構造を構築する。軽量盛土本体形成工程と、緩衝層形成工程と、支柱部発泡体形成工程と、を備え、支柱部発泡体形成工程は、軽量盛土本体形成工程及び緩衝層形成工程が終了した後になされ、軽量盛土構造が構築される。
【選択図】図9

Description

本発明は、軽量盛土工法及び軽量盛土構造に関する。更に詳しくは、本発明は、壁面材と、軽量盛土本体が形成される空間とが、壁面材と緩衝層用パネルとの間の空間により隔離されており、軽量盛土本体の形成に用いるフォーム原料の発泡時の押圧力、及び冷却時の収縮による引張力による壁面材の変形等が防止され、且つ上記の空間に緩衝層を形成するときの発泡圧により空間内を移動可能な仕切用緩衝材パネルが配設されているため、緩衝層形成時に壁面材に加わる押圧力が仕切用緩衝材パネルの移動により吸収され、壁面材及び支柱の変形等が十分に防止される軽量盛土工法、並びに支柱及び壁面材の変形等が防止された軽量盛土構造に関する。
従来、地山等の斜面における舗装路の造成などで、地盤に土石等を敷設することにより盛土がなされている。しかし、土石等を用いた盛土工法では、土石等の重量物の運搬、及び施工に用いる大型重機等の施工現場への搬入などが必要であり、施工業者にとっては大きな負担になっている。また、近年、原材料の軽量化と作業の簡素化とを図るべく、土石等による盛土ではなく、硬質ウレタンフォーム等の樹脂発泡層を現場施工により形成し、従来の盛土の代替えとする軽量盛土工法、及び発泡スチロールブロックを積み上げ、従来の盛土の代替えとする、所謂、EPS工法などが提案されている。
盛土は、支柱及び壁面材と、地山の斜面との間に隙間なく形成する必要がある。隙間があると、例えば、弾性体としての特性を有する軽量盛土では、隙間部に応力が集中し、変形量が増大する恐れがある。更に、地震時には、軽量盛土の揺れ挙動が、隙間があることで変化する恐れもある。また、隙間に雨水等が滞留した場合は、壁面の下部に水圧がかかって壁面材が変形することがある。この観点では、隙間のない充填が容易ではないEPS工法に比べて、現場発泡ウレタン軽量盛土では隙間が全くない盛土を構築することができ、優れている。更に、軽量盛土工法では、支柱及び壁面材から地山の斜面までが一体構造となるため、地震時に生じる応力を盛土全体で受けることが可能となり、耐震性能に優れると言える。
樹脂発泡層を現場施工により形成する軽量盛土工法では、硬質ウレタンフォームが用いられる。このフォームは重量が約0.036トン/mであり、土石等が1.5〜2.60.036トン/mであるのに比べて超軽量であるが、発泡時に、例えば、厚さが100〜150mmである場合、内部が150℃程度にまで昇温し、冷却時には相当に収縮する。そのため、支柱及び壁面材に発泡時の押圧力及び収縮時の引張力が加わり、支柱及び壁面材の変形、偏心等、或いは盛土における空隙、などを生じる恐れがある。従って、降温し、収縮が落ち着くのを待って発泡層を積み増していく必要があり、工期が長くなり、効率がよくないという問題がある。
上記の変形、及び当初設計した基準の位置からずれが生じる偏心等を防止するため、支柱を囲んで仕切り部材を設け、フォーム原料の入り込みを防止するようにしてフォームの収縮の影響が支柱に及ばないようにし、且つ壁体の軽量盛土側の面には縁切り材を設け、壁体とフォームとが全く接着しないか、接着しても剥がすことができるようにしておき、仕切り部材及び縁切り材と地山との間にフォーム原料を充填し、容積の大きいフォームの収縮の影響が壁体及び支柱に及ばないようにしてフォームのみで軽量盛土とする、又は隙間に更にフォーム原料を充填し、壁体と接着させ、一体化させて軽量盛土とする施工方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、発泡層の収縮による影響を減少させて、現場施工を容易かつ良好に行えるようにするため、地山の法面に、合成樹脂フィルムを設けた板を設置し、発泡層を形成した後、板を取り除いて空間を形成させ、その空間に発泡樹脂原料を吹き付けて、発泡硬化させる軽量盛土工法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。更に、支柱の法面側に支柱側パネルを取り付け、この支柱側パネルと離間して盛土側パネルを立設し、法面側、壁面材と支柱側パネルとの間、及び支柱側パネルと盛土側パネルとの間、に順次フォーム層を形成することにより、発泡時の押圧力、及び冷却時の収縮による引張力による支柱等の変形を防止するとともに、工期を短縮することができる軽量盛土工法も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2004−225495号公報 特開2005−194812号公報 特開2009−167694号公報
特許文献1に記載された施工方法では、仕切り部材及び縁切り材と地山との間に、現場発泡で硬質ウレタンフォームを1回に30〜150mm程度の仕上がり発泡厚さで層状に発泡成形し、これを数回繰り返して1日分の軽量盛土を、例えば、0.5〜1.5m形成している。しかし、硬質ウレタンフォームは、前記のように、発泡、硬化、熟成する過程で、内部温度が最高150℃程度となり、その後、時間の経過とともに徐々に雰囲気温度まで降温し、収縮するため、1日分のフォームを現場で発泡させ、充填した後、24時間以上、好ましくは48時間以上待つと記載されている。このように、1日に高々1.5mの軽量盛土を形成し、中1日又は中2日おいて次の1日分を積み上げる方法であるため、必ずしも効率がよいとはいえず、工期が長くなり、コスト面でも不利である。
また、特許文献1に記載された施工方法では、仕切り部材及び縁切り材により、容積の大きいフォームの収縮についてのみ、その影響が壁体及び支柱に及ばないようにすることはできるかもしれない。しかし、特許文献1に記載された施工方法では、盛土本体部にフォーム原料を充填し、発泡させたときに、壁体に押圧力が加わり、変形や偏心を生じ易い。更に、壁体及び支柱と冷却後のフォームとの間の隙間幅が小さいため、この狭小な隙間にフォーム原料を充填するとき、充填状況を上方から十分に確認することができないという問題がある。また、狭小な隙間にフォーム原料を充填する場合、充填量が僅かに多くても大きな発泡圧がかかる恐れがあり、壁体及び支柱が偏心することもある。
更に、特許文献2に記載された軽量盛土工法では、法面の所定位置に板を立設するのが容易ではなく、フォーム原料を充填し難いことがあり、施工高さも十分に高くすることができず、且つ工数も多く、必ずしも効率がよいとは言えない。また、位置決め部材等を付設すれば、より工数が増え、コスト面でも不利である。更に、特許文献3に記載の軽量盛土工法では、支柱の法面側にパネルを2列立設させ、各々の空間に順次フォーム層を形成しているため、押圧力及び引張力による支柱等の変形は十分に防止され、工期も短縮されるが、工期をより短縮することができる工法が望まれている。
本発明は、壁面材と、軽量盛土本体が形成される空間とが、壁面材と緩衝層用パネルとの間の空間により隔離されており、軽量盛土本体の形成に用いるフォーム原料の発泡時の押圧力、及び冷却時の収縮による引張力による壁面材の変形等が防止され、且つ上記の空間に緩衝層を形成するときの発泡圧により空間内を移動可能な仕切用緩衝材パネルが配設されているため、緩衝層形成時に壁面材に加わる押圧力が仕切用緩衝材パネルの移動により吸収され、壁面材及び支柱の変形等が十分に防止される軽量盛土工法、並びに支柱及び壁面材の変形等が防止された軽量盛土構造を提供することを課題とする。
本発明は以下のとおりである。
1.基盤と、該基盤に立設された支柱と、該支柱に支持された壁面材と、該支柱の法面側に取り付けられた緩衝層用パネルと、該壁面材と該緩衝層用パネルとの間に架け渡されるように配設され、且つ該支柱と離間している仕切用緩衝材パネルと、を有する盛土用組立体を用いて軽量盛土構造を構築する軽量盛土工法であって、
上記緩衝層用パネルの法面側に、軽量盛土本体用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させる軽量盛土本体用フォーム層形成工程を繰り返して軽量盛土本体を形成する軽量盛土本体形成工程と、
上記壁面材、上記緩衝層用パネル及び上記仕切用緩衝材パネルに囲まれた緩衝層用空間に、緩衝層用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させる緩衝層用フォーム層形成工程を繰り返して緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、
上記支柱と上記仕切用緩衝材パネルとの間の支柱部空間に、支柱部用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させて支柱部発泡体を形成する支柱部発泡体形成工程と、を備え、
上記支柱部発泡体形成工程は、上記軽量盛土本体形成工程及び上記緩衝層形成工程が終了した後になされることを特徴とする軽量盛土工法。
2.上記緩衝層用フォーム層形成工程における緩衝層用フォーム層の形成は、上記軽量盛土本体用フォーム層形成工程において形成された軽量盛土本体用フォーム層より低い位置においてなされる上記1.に記載の軽量盛土工法。
3.上記仕切用緩衝材パネルが、上記緩衝層用空間の幅方向に屈曲変形可能に配設されている上記1.又は2.に記載の軽量盛土工法。
4.上記緩衝層用パネル及び上記仕切用緩衝材パネルが、いずれも硬質ウレタンフォームからなる上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の軽量盛土工法。
5.上記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の軽量盛土工法により構築された軽量盛土構造であって、
上記基盤と、該基盤に立設された上記支柱と、該支柱に支持された上記壁面材と、該支柱の法面側に配設された上記緩衝層用パネルと、該壁面材と該緩衝層用パネルとの間に架け渡されるように配設され、且つ該支柱に当接している上記仕切用緩衝材パネルと、該緩衝層用パネルの法面側に形成された上記軽量盛土本体と、該壁面材、該緩衝層用パネル及び該仕切用緩衝材パネルに囲まれた空間に形成された上記緩衝層と、該支柱と該仕切用緩衝材パネルとの間に形成された上記支柱部発泡体と、を備えることを特徴とする軽量盛土構造。
本発明の軽量盛土工法によれば、壁面材と、軽量盛土本体が形成される空間とが、壁面材と緩衝層用パネルとの間の空間により隔離されているため、軽量盛土本体の形成時に、発泡による押圧力、及び冷却にともなう収縮による引張力が、壁面材にほとんど加わらず、壁面材等の変形などが防止される。また、壁面材と緩衝層用パネルとの間の空間に配設された仕切用緩衝材パネルが、緩衝層形成時に移動し、壁面材に加わる押圧力が吸収されるため、壁面材及び支柱の変形等が十分に防止される。更に、この軽量盛土工法では、現場施工することができるため、現地への資材等の輸送費用を削減することができ、現地での資材仮設ヤード等の設置にも大きな面積を必要としない。
尚、前記のように、土石等は1.4〜2.0トン/mの重量であるが、硬質ウレタンフォームからなる軽量盛土は、0.036トン/m程度と極めて軽量である。
また、緩衝層用フォーム層形成工程における緩衝層用フォーム層の形成が、軽量盛土本体用フォーム層形成工程における軽量盛土本体用フォーム層の形成より低い位置においてなされる場合は、軽量盛土本体用フォーム層の発泡時の押圧力、及び冷却時の収縮による引張力によって、壁面材や支柱を変形させるのを防止することができる。
更に、仕切用緩衝材パネルが、緩衝層用空間の幅方向に屈曲変形可能に配設されている場合は、緩衝層用ウレタンフォーム原料の発泡時の押圧力による仕切用緩衝材パネルの変形、及び支柱側への移動が容易であり、押圧力が十分に吸収され、壁面材の変形等が十分に防止される。
また、緩衝層用パネル及び仕切用緩衝材パネルが、いずれも硬質ウレタンフォームからなる場合は、これらのパネルと、同じく硬質ウレタンフォームからなる軽量盛土本体、緩衝層及び支柱部発泡体とが容易に一体となり、より十分な強度等を有し、且つ優れた耐震性能等を備える軽量盛土構造を構築することができる。
本発明の軽量盛土構造によれば、壁面材等の変形などが防止され、十分な強度等を有し、且つ優れた耐震性能等を備える軽量盛土構造とすることができる。
盛土用組立体を上方からみたものであり、基盤に立設されたH鋼からなる支柱、支柱に支持された壁面材、支柱に取り付けられた緩衝層用パネル、及び壁面材と緩衝層用パネルとの間に配設された仕切用緩衝材パネルを理解し易くするための説明図である。 図1の盛土用組立体における緩衝層用パネルの法面側、緩衝層用空間及び支柱部空間の各々に、軽量盛土本体、緩衝層及び支柱部発泡体がそれぞれ形成されてなる軽量盛土構造を説明するための模式図である。 図1とは異なる断面形状の仕切用緩衝材パネルが配設された盛土用組立体の他の例を上方からみた説明図である。 図1とは異なる断面形状の仕切用緩衝材パネルが配設された盛土用組立体の他の例を上方からみた説明図である。 図1とは異なる断面形状の仕切用緩衝材パネルが配設された盛土用組立体の他の例を上方からみた説明図である。 図1とは異なる断面形状の仕切用緩衝材パネルが配設された盛土用組立体の他の例を上方からみた説明図である。 本発明における盛土用組立体が組み立てられる前の、基盤、支柱、壁面材、及び地山の法面等を説明するための模式図である。 軽量盛土本体用フォーム層と、緩衝層用フォーム層とが、並行して順次積み重ねられている状態の断面の模式図である。 軽量盛土本体及び緩衝層が計画施工高さまで形成され、且つ支柱部発泡体が形成された状態の断面の模式図である。 構築された軽量盛土構造上に保護コンクリート層、地覆コンクリート層及び路盤が敷設された状態の断面の模式図である。
以下、図1〜10を参照しながら本発明を詳しく説明する。
[1]軽量盛土工法
本発明の軽量盛土工法は、基盤と、基盤に立設された支柱と、支柱に支持された壁面材と、支柱の法面側に取り付けられた緩衝層用パネルと、壁面材と緩衝層用パネルとの間に架け渡されるように配設され、且つ支柱と離間している仕切用緩衝材パネルと、を有する盛土用組立体を用いて軽量盛土構造を構築する軽量盛土工法である。また、緩衝層用パネルの法面側に、軽量盛土本体用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させる軽量盛土本体用フォーム層形成工程を繰り返して軽量盛土本体を形成する軽量盛土本体形成工程と、壁面材、緩衝層用パネル及び仕切用緩衝材パネルに囲まれた緩衝層用空間に、緩衝層用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させる緩衝層用フォーム層形成工程を繰り返して緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、支柱と仕切用緩衝材パネルとの間の支柱部空間に、支柱部用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させて支柱部発泡体を形成する支柱部発泡体形成工程と、を備え、支柱部発泡体形成工程が、軽量盛土本体形成工程及び緩衝層形成工程が終了した後になされることを特徴とする。
(1)構成部材
上記「基盤3」は、基礎工事において、地山10の斜面等の地盤を基面として上面に立設され、一般的には基礎コンクリートや杭基礎等からなる(図7〜10参照)。また、この基礎工事により形成された基礎表面及び斜面には、必要に応じてプライマーを塗布し、所定の時間放置してプライマー層を形成することもできる。このプライマー層により、地山10と、軽量盛土本体11、緩衝層12及び支柱部発泡体13との接着性を向上させることができる。
基盤3には上記「支柱4」が立設される(図7〜10参照)。支柱4は、通常、断面において凹部形状を有する鋼鉄製の柱状体であり、この柱状体としてはH鋼、C鋼及びL鋼等が挙げられ、H鋼が用いられることが多い(図1、2等参照)。また、凹部の開口方向は支柱間方向と同じ方向となる。この支柱4は、その下部が、基礎コンクリート等の基盤3に埋設されるか、又は下端側が基盤3に埋設された支柱支持用鋼材にボルト、ナットにより締め付けられて立設される。更に、支柱4は、支柱4と地山10の斜面に固定された受圧板71との間に架け渡されたタイロッド72により繋止され、且つ受圧板71及びタイロッド72は地山10に埋設されたアンカー73により法面に固定されている(図7〜10参照)。
上記「壁面材5」は、地盤3に立設された複数の支柱4のうちの隣り合う支柱間の外側(地山10の法面とは反対側の面)に取り付けられ、支柱4により支持されている(図7〜10参照)。壁面材5は、通常、コンクリート板等により構成される。
尚、複数の支柱4の間隔は特に限定されないが、通常、支柱4は2m程度の間隔で立設され、壁面材5を構成する個々のコンクリート板等の寸法は特に限定されないが、例えば、幅(横方向)が支柱4の間隔と同程度、長さ(縦方向)が400〜600mm、厚さが20〜60mmの製品が用いられることが多い。コンクリート板等は、幅方向の端部が支柱4にZクリップ、又はボルト及びナットにより固定されるか、若しくはH鋼のフランジ部内部等にコンクリート板を落とし込んでスペーサで固定される。壁面材5は高さ方向に所要枚数のコンクリート板等が積み上げられて構成される。
上記「緩衝層用パネル21」は、支柱4の法面側、即ち、壁面材5とは反対面側に取り付けられる(図1、8等参照)。この緩衝層用パネル21の材質は特に限定されず、各種の樹脂フォーム及び樹脂シート等からなるパネルを用いることができるが、軽量であって取り扱い易い樹脂フォームからなるパネルが好ましい。また、樹脂フォームの種類も特に限定されないが、軽量盛土本体11と同様にポリウレタンフォームからなるパネルであることがより好ましく、軽量盛土本体11、緩衝層12及び支柱部発泡体13の形成に用いられる硬質ウレタンフォームからなるパネルであることが特に好ましい。
緩衝層用パネル21が樹脂フォームからなる場合は、例えば、番線等によって支柱4に取り付けることができる。この取り付けは粘着テープ等により仮留めした後、番線等によってより強固に取り付ける方法であってもよく、粘着テープ等により十分に強固に取り付けることができれば粘着テープ等のみによる取り付けでもよい。更に、緩衝層用パネル21が樹脂フォーム製であれば、この緩衝層用パネル21を番線や鉄筋等で突き刺すことができ、緩衝層用パネル21を支柱4に容易に取り付けることができる。
緩衝層用パネル21の寸法も特に限定されないが、緩衝層12は複数のフォーム層が積み上げられて形成されるため、緩衝層用パネル21の長さ(縦方向)は積み上げられる複数のフォーム層の層数、及び作業のし易さ等を考慮して設定することが好ましい。従って、緩衝層用パネル21の長さ(縦方向)は400〜600mmであることが好ましく、幅(横方向)は支柱4の間隔と同程度、厚さは20〜60mm、即ち、壁面材5と同寸程度とすることができる。
上記「仕切用緩衝材パネル22」は、壁面材5と緩衝層用パネル21との間に架け渡されるように、且つ支柱4と離間して配設される(図1及び3〜6参照)。この仕切用緩衝材パネル22の材質は特に限定されず、各種の樹脂フォーム及び樹脂シート等からなるパネルを用いることができるが、緩衝層用パネル21と同様に、軽量であって取り扱い易い樹脂フォームからなるパネルが好ましく、ポリウレタンフォームからなるパネルであることがより好ましく、硬質ウレタンフォームからなるパネルであることが特に好ましい。このように、仕切用緩衝材パネル22と緩衝層用パネル21とが同材質であれば、異なる材質の樹脂フォーム等を準備する必要もなく、好ましい。
仕切用緩衝材パネル22は、例えば、粘着テープ等により壁面材5及び緩衝層用パネル21に貼着させて配設することができる。この配設は、粘着テープ等により十分に強固に貼着させることができれば粘着テープ等のみを用いた配設でもよい。また、粘着テープ等により貼着させ、その後、貼着部周縁にウレタンフォーム原料、特に硬質ウレタンフォーム原料を吹き付け、硬化させ、補強して配設してもよい。更に、仕切用緩衝材パネル22が樹脂フォーム製であれば、この仕切用緩衝材パネル22を、番線や鉄筋等で突き刺すことができ、壁面材5及び緩衝層用パネル21に容易に配設することができる。
仕切用緩衝材パネル22の寸法も特に限定されないが、仕切用緩衝材パネル22の幅[壁面材5と緩衝層用パネル21とを結ぶ方向の寸法(壁面材5及び緩衝層用パネル21に配設するため、通常、設けられる端部の寸法も幅に含めるものとする。)]は、壁面材5と緩衝層用パネル21との間の隙間に配設し易い寸法とすることが好ましい。この仕切用緩衝材パネル22の幅は、壁面材5と緩衝層用パネル21との離間距離によっても異なるが、最小幅は壁面材5と緩衝層用パネル21との離間距離と同寸であり、端部を有するときは、離間距離と端部の幅との合計寸法とすることができる。また、仕切用緩衝材パネル22の長さ(縦方向)は、壁面材5及び緩衝層用パネル21の長さと同程度(即ち、400〜600mm)、厚さは20〜60mmとすることができる。
仕切用緩衝材パネル22は、壁面材5、緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22に囲まれた緩衝層用空間12a(図1及び3〜6参照)に供給された緩衝層用ウレタンフォーム原料の発泡時の押圧力により、端面又は所定部位が支柱4に当接するまで支柱側に移動する(仕切用緩衝材パネル22の図1の位置から図2の位置への移動を参照)。このように仕切用緩衝材パネル22が移動することにより、押圧力が吸収され、壁面材5に大きな押圧力が加わることが防止される。更に、より大きな押圧力である場合は、押圧力は、仕切用緩衝材パネル22が外方(支柱部空間13aの側)へ膨らむことによっても吸収される。
仕切用緩衝材パネル22の横断面形状も特に限定されず、板状体(図3参照)でもよく、特定の形状でもよいが、基体部221と、基体部221の両側に設けられ、壁面材5及び緩衝層用パネル21に取り付け、配設するための端部222と、を有する仕切用緩衝材パネル22、即ち、特定の横断面形状を有する仕切用緩衝材パネル22であることが好ましい。この特定の横断面形状は特に限定されず、例えば、Z状断面(図1参照)、コの字状断面(図4参照)、及び横H状断面(図5参照)等とすることができる。この場合、端部222は、基体部221に対して容易に回動可能な構成であることが好ましい。また、全体が十分な可とう性を有する仕切用緩衝材パネル22であってもよい。更に、仕切用緩衝材パネル22は、C状断面(図6参照)を有していてもよく、この場合は、特に全体が十分な可とう性を有していることが好ましい。このように特定の横断面形状を有する仕切用緩衝材パネル22であれば、幅方向に容易に変形し、緩衝層用ウレタンフォーム原料の発泡時の押圧力が吸収される。また、緩衝層用ウレタンフォーム原料の緩衝層用空間12a外への漏洩も十分に防止される。
上記のように基体部221と端部222とを有する仕切用緩衝材パネル22は、自立可能な剛性を有する樹脂フォーム、好ましくはポリウレタンフォーム、より好ましくは硬質ウレタンフォームからなるパネルの表裏両面に、柔軟なシートを貼着し、加工してなる複合材を用いて形成することが好ましい。この場合、柔軟なシートとしては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂製のシート、及びガラス繊維強化樹脂シート等を用いることができる。また、仕切用緩衝材パネル22は、複合材の幅方向の一端部から所定寸法内側の位置において、一面側に、全長さに亘って所定深さの切り込みを入れ、且つ幅方向の他端部から所定寸法内側の位置において、他面側に、全長さに亘って所定深さの切り込みを入れ、形成することができる。このようにして加工し、作製した仕切用緩衝材パネル22は、Z状断面となるように折り曲げて用いることができ、両側の端部222のうちの一方を壁面材5に、他方を緩衝層用パネル21に貼着させる等の前記の方法により配設することができる。これにより、緩衝層用ウレタンフォーム原料の発泡時の押圧力がより十分に吸収され、緩衝層用ウレタンフォーム原料の緩衝層用空間12a外への漏洩もより十分に防止される。
緩衝層用空間12aに注入された緩衝層用ウレタンフォーム原料の発泡時の押圧力により仕切用緩衝材パネル22が移動し、横方向に拡大された緩衝層用空間内に緩衝層12が形成されるが、同時に、支柱4と、移動して支柱4に当接した仕切用緩衝材パネル22との間に支柱部空間13aが形成される(図1参照)。この支柱部空間13aには、支柱部用ウレタンフォーム原料が供給され、発泡、硬化して、支柱部発泡体13(図2参照)が形成され、発泡時に押圧力が発生し、収縮時に引張力が発生するが、剛性が高い支柱4の凹部内面に応力が加わるため、支柱4が変形等を生じることはなく、仕切用緩衝材パネル22も、他面に緩衝層12が形成されているため、押圧力等が吸収され、変形、損傷等を受けることはない。
緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22の各々の材質は、前記のように、特に限定されないが、緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22が、いずれも樹脂フォームからなることが好ましく、ポリウレタンフォームからなることがより好ましく、硬質ウレタンフォームからなることが特に好ましい。このように両バネル21、22が同材質、特に硬質ウレタンフォームからなる場合、硬質ウレタンフォームが用いられる軽量盛土本体11等と同材質であるため、施工後、軽量盛土本体11、緩衝層12、支柱部発泡体13、緩衝層用パネル21、及び仕切用緩衝材パネル22が、一体となってより強固な軽量盛土構造を構築することができる。
(2)工法(軽量盛土の製造方法)
上記「軽量盛土本体用フォーム層形成工程」では、緩衝層用パネル21の法面側に、軽量盛土本体用ポリウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させる軽量盛土本体用フォーム層形成工程が繰り返され、軽量盛土本体用フォーム層が積み上げられて上記「軽量盛土本体11」が形成される。また、上記「緩衝層用フォーム層形成工程」では、壁面材5、緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22に囲まれた緩衝層用空間12aに、緩衝層用ポリウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させる軽量盛土本体用フォーム層形成工程が繰り返され、緩衝層用フォーム層が積み上げられて上記「緩衝層12」が形成される。
本発明の軽量盛土工法では、緩衝層用フォーム層形成工程における緩衝層用フォーム層の形成は、軽量盛土本体用フォーム層形成工程において形成された軽量盛土本体用フォーム層より低い位置においてなされる(図8参照)。即ち、先ず、軽量盛土本体用フォーム層が形成され、その後、緩衝層用フォーム層の形成と軽量盛土本体用フォーム層の形成とが並行してなされていくが、緩衝層用フォーム層の形成は、軽量盛土本体用フォーム層より低い位置においてなされる。これにより、軽量盛土本体用フォーム層の発泡時の押圧力、及び冷却時の収縮による引張力によって、壁面材や支柱を変形させるのを十分に防止することができる。また、上記のように各々のフォーム層を並行して形成し、且つ緩衝層用フォーム層を、軽量盛土本体用フォーム層より低い位置において形成することにより、軽量盛土本体用フォーム層を形成する間隔を、例えば、中1日又は中2日と、長くする必要がなく、効率よく軽量盛土構造を構築することができる。
緩衝層用フォーム層の形成は、上記のように、軽量盛土本体用フォーム層より低い位置においてなされるが、(図8参照)。軽量盛土本体用フォーム層が積み上げられた高さと、緩衝層用フォーム層が積み上げられた高さとが、大差がない、具体的には2000mm以下の差、特に1500mm以下の差であることが好ましい。これにより、軽量盛土構造のうちの支柱部発泡体を除く部分を短時間で、且つ効率よく構築することができる。
尚、図8における緩衝層12の水平方向の破線は、例えば、1日の施工高さ、即ち、高いときでも2500mm程度に形成された緩衝層、即ち、例えば、1日に形成された緩衝層用フォーム層の境界線である。また、この図8のように、計画施工高さに積み上げられるまで、緩衝層用フォーム層は、軽量盛土本体用フォーム層より、例えば、1日分、低い位置まで形成される。
また、軽量盛土本体11は容積が大きいため、軽量盛土本体用フォーム層形成時の、軽量盛土本体用ウレタンフォーム原料の発泡時の押圧力、及び冷却時の引張力は大きい。しかし、上記のように軽量盛土本体用フォーム層形成工程と、緩衝層用フォーム層形成工程とが、並行してなされ、且つ積層、形成された軽量盛土本体用フォーム層の収縮が落ち着いた時点で緩衝層用フォーム層を形成することにより、軽量盛土本体用フォーム層の発泡時の押圧力、及び冷却時の引張力の、支柱4及び壁面材5への影響が十分に軽減され、支柱4、壁面材5、緩衝層12及び緩衝層用パネル21の変形等が防止される。
更に、上記「支柱部発泡体形成工程」は、軽量盛土本体形成工程及び緩衝層形成工程が終了した後になされる。より具体的には、軽量盛土本体11の計画施工高さまでの施工と、緩衝層12の計画施工高さまでの施工とを実施し、最上層の緩衝層用ウレタンフォーム原料の注入後、12〜24時間経過し、最上層の緩衝層用フォーム層の収縮が落ち着いた時点で、支柱部発泡体13を形成するための支柱部用ウレタンフォーム原料の支柱部空間13a(図1参照)への注入を開始することができる。
また、支柱部用ウレタンフォーム原料は、支柱部空間13aに、支柱部発泡体13の計画施工高さまで一時に注入し、発泡、硬化させてもよく、原料の注入と発泡、硬化とを計画施工高さまで順次繰り返してもよいが、支柱部発泡体13の計画施工高さまで一時に注入し、発泡、硬化させることが好ましい。これによって、軽量盛土構造をより効率よく構築することができ、工期をより短縮させることができる。支柱4と仕切用緩衝材パネル22との間の空間、即ち、支柱部空間13aは、断面積及び容積が小さく、且つ周方向の一部が支柱4により形成されているため、支柱部発泡体13を計画施工高さまで一時に形成しても、壁面材5への発泡、収縮の影響は小さく、壁面材5等が変形することはない。更に、仕切用緩衝材パネル22の外面側には緩衝層12が形成されており、この緩衝層12によっても壁面材5及び緩衝層用パネル21への発泡、収縮の影響が軽減される。
上記「軽量盛土本体用ウレタンフォーム原料」、上記「緩衝層用ウレタンフォーム原料」及び上記「支柱部用ウレタンフォーム原料」は、特に限定されない。軽量盛土本体11は硬質ウレタンフォームにより形成され、緩衝層12及び支柱部発泡体13も、通常、硬質ウレタンフォームにより形成されるため、硬質フォーム用のフォーム原料が用いられ、特に施工現場で吐出させ、充填させることができるフォーム原料が用いられる。例えば、ポリイソシアネートとしては、(1)クルードTDI、ポリメリックMDI、(2)ウレタン変性、カルボジイミド変性等の各種の変性ポリイソシアネート、(3)TDIプレポリマー等のプレポリマーなどが用いられる。また、ポリオールとしては、各種のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを用いることができ、これらは併用することもできる。ポリオールとしては、短鎖、且つ3官能以上の多官能であり、水酸基価が250〜550mgKOH/gのポリオールが好ましい。更に、フォーム原料には、通常、アミン触媒等の触媒、水等の発泡剤、モノアミン、ジアミン等の架橋剤などが配合される。
緩衝層用パネル21の法面側への、軽量盛土本体用ウレタンフォーム原料の注入と、発泡、硬化、及び壁面材5、緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22に囲まれた緩衝層用空間12aへの、緩衝層用ウレタンフォーム原料の注入と、発泡、硬化、は交互に繰り返えされる。即ち、法面側及び緩衝層用空間にフォーム層を順次形成し、積み上げていくことにより、軽量盛土本体11及び緩衝層12が形成される。また、軽量盛土本体11及び緩衝層12を形成した後、支柱部空間13aに支柱部用ウレタンフォーム原料を注入し、発泡、硬化させることにより、軽量盛土が構築される。各々のフォーム原料の供給方法は特に限定されないが、通常、スプレー式吐出装置(現場発泡用施工装置)を使用し、作業者が持つ吐出装置のノズルからフォーム原料を吐出させることによってなされる。
[2]軽量盛土構造
本発明の軽量盛土構造は、本発明の軽量盛土工法により構築される。
本発明の軽量盛土構造は、基盤3と、基盤3に立設された支柱4と、支柱4に支持された壁面材5と、支柱3の法面側に配設された緩衝層用パネル21と、壁面材5と緩衝層用パネル21との間に架け渡されるように配設され、且つ支柱4に当接している仕切用緩衝材パネル22と、緩衝層用パネル21の法面側に形成された軽量盛土本体11と、壁面材5、緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22に囲まれた空間に形成された緩衝層12と、支柱4と仕切用緩衝材パネル22との間に形成された支柱部発泡体13と、を備える。
また、上記の軽量盛土構造における、基盤3、支柱4、壁面材5、緩衝層用パネル21、仕切用緩衝材パネル22、軽量盛土本体11、緩衝層12及び支柱部発泡体13の各々については、前記[1]軽量盛土工法におけるそれぞれの記載をそのまま適用することができる。
この軽量盛土構造では、地山10の法面に、壁面材5の側から、(1)壁面材5、(2)支柱4、仕切用緩衝材パネル22、緩衝層12及び支柱部発泡体13、(3)緩衝層用パネル21、(5)軽量盛土本体11がこの順で設けられ、又は形成され、特に、緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22として硬質ウレタンパネルを使用し、軽量盛土本体11、緩衝層12及び支柱部発泡体13を硬質ウレタンフォームにより形成することにより、これらが一体となった強固な軽量盛土構造とすることができる。
更に、上記のように一体構造であれば、地震等により生じる応力を地山10、軽量盛土本体11、緩衝層12及び支柱部発泡体13等の全体で受け止めるため、耐震性能等に優れ、非常に安定した軽量盛土構造の構築が可能となる。また、緩衝層12が硬質ウレタンフォームからなり、緩衝層21と壁面材5とが十分な強度で接合されているため、壁面材5が割れてしまったときも、剥落が防止され、又は少なくとも抑えられる。
更に、この軽量盛土構造では、支柱4が、支柱4と地山10の斜面に固定された受圧板71との間に架け渡されたタイロッド72により受圧板71に繋止され、且つ受圧板71及びタイロッド72が地山10に埋設されたアンカー73により法面に固定されている。そのため、支柱4及び壁面材5等の外方(傾斜面下方側)への傾斜、又は倒壊が防止される。また、軽量盛土構造の上面には、保護コンクリート層61が敷設され、更にその上面に地覆コンクリート層62及び路盤63等が敷設されて、例えば、道路が構築される(図10参照)。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
長さ30m、高さ4.5m、幅2.5〜3mの地山の法面11aに、図3のような盛土用組立体を作製した(実際には、受圧板71、タイロッド72及びアンカー73が配設されているが、図3では図示を省略する。)。緩衝層用パネル21としては、長さ(縦方向)455mm、幅(横方向)2000mm、厚さ30mmの硬質ウレタンフォーム製のパネルを用いた。また、仕切用緩衝材パネル22としては、図3のように、幅170mm、長さ1000mm、厚さ30mmの硬質ウレタンフォーム製のパネルを用いた。この仕切用緩衝材パネル22は、壁面材5と緩衝層用パネル21との間に挟み込み、且つ端面の周縁に硬質ウレタンフォーム原料を吹き付け、硬化させ、補強して配設した。
その後、緩衝層用パネル21の法面11a側に、硬質ウレタンフォーム原料を1層平均100mmの高さとなるように注入し、平均20分間に1層発泡、硬化させる工程を15回繰り返し、高さ1500mmの軽量盛土本体用フォーム層を形成した。次いで、翌日、壁面材5,緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22に囲まれた緩衝層用空間12aに、硬質ウレタンフォーム原料を1層平均100mmの高さとなるように注入し、平均20分間に1層発泡、硬化させる工程を15回繰り返し、前日の軽量盛土本体用フォーム層と同じ高さの緩衝層用フォーム層を形成した。
上記の軽量盛土本体用フォーム層の形成と、緩衝層用フォーム層の形成とを各々3回繰り返し、4日間かけて(1回目の軽量盛土本体用フォーム層の形成を1日目、1回目の緩衝層用フォーム層及び2回目の軽量盛土本体用フォーム層の形成を2日目、2回目の緩衝層用フォーム層及び3回目の軽量盛土本体用フォーム層の形成を3日目、3回目の緩衝層用フォーム層の形成を4日目に実施した。)計画施工高さである4.5mの軽量盛土本体11と緩衝層12(図9参照)とを形成した。このようにして軽量盛土本体11及び緩衝層12を形成した翌日(5日目)、支柱4と仕切用緩衝材パネル22との間の支柱部空間13a(仕切用緩衝材パネル22の形状は異なるが、図1参照)に、計画施工高さまで硬質ウレタンフォーム原料を一時に注入し、発泡、硬化させて、支柱部発泡体13を形成し、軽量盛土構造を構築した。
このようにして構築した軽量盛土構造の外観を目視により観察したところ、支柱4及び壁面材5に反り等の変形などは全くなかった。
実施例2
長さ24m、高さ4m、幅5〜6mの地山の法面11aに、図1のような盛土組立体を作製した(実際には、受圧板71、タイロッド72及びアンカー73が配設されているが、図1では図示を省略する。)。緩衝層用パネル21としては、実施例1の場合と同寸法、同材質の硬質ウレタンフォーム製のパネルの表裏両面に紙が貼着されたものを用いた。また、仕切用緩衝材パネル22としては、幅455mm、長さ1000mm、厚さ30mmの硬質ウレタンフォームパネル(上記のように表裏両面に紙が貼着されている)の幅方向の一端部から130〜150mmの位置の一面側に、全長さに亘って深さ約15mmの切り込みを入れ、且つ幅方向の他端部から130〜150mmの位置の他面側に、全長さに亘って同深さの切り込みを入れ、Z状断面となるように折り曲げて架け渡し、配設することができる加工パネルを用いた。このようにして加工し、作製した仕切用緩衝材パネル22は、幅170mmの基体部221と、この基体部221の両側に回動自在に設けられた幅130〜150mmの端部222とを有し、この仕切用緩衝材パネル22は、一方の端部222を壁面材5に粘着テープにより貼着し、他方の端部222を支柱4と緩衝層用パネル21との間に挟み込み、且つ一方の端部222の周縁に硬質ウレタンフォーム原料を吹き付け、硬化させ、補強して配設した。
その後、実施例1と同様にして計画施工高さである4mの軽量盛土本体11と緩衝層12(図9参照)とを形成した(但し、計画施工高さが4mであるため、3層目(3回目)の軽量盛土本体用フォーム層及び緩衝層用フォーム層の各々の高さは1000mmとした。)。次いで、実施例1と同様にして支柱部発泡体13を形成し、軽量盛土構造を構築した。
このようにして構築した軽量盛土構造の外観を目視により観察したところ、支柱4及び壁面材5に反り等の変形などは全くなかった。また、実施例1では、緩衝層用空間12aに硬質ウレタンフォーム原料を注入したときに、仕切用緩衝材パネル22の外面側へのフォーム原料の漏洩が若干みられたが、この実施例2の場合、フォーム原料の漏洩は全くみられなかった。このように、特定の断面形状(実施例2ではZ状形状)による作用効果が確認された。
尚、本発明では、上記の実施例の記載に限られず、目的、用途等により、本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、実施例1、2では、軽量盛土本体用フォーム層と緩衝層用フォーム層とを計画施工高さまで積み上げ、軽量盛土本体11及び緩衝層12を形成した後、支柱部発泡体13を形成しているが、軽量盛土本体用フォーム層と緩衝層用フォーム層とを計画施工高さより低い位置、例えば、数十mm〜数百mm低い位置まで形成し、次いで、この緩衝層用パネル21及び仕切用緩衝材パネル22が設けられていない面に硬質ウレタンフォーム原料を供給し、最上面のフォーム層を形成することもできる。このようにすれば、上面にパネルによる凹凸等のない、より優れた外観を有する軽量盛土構造を構築することができる。
本発明は、地山の斜面等における舗装路等の構築などに利用することができる。また、舗装路等の新設ばかりでなく、舗装路等の拡幅工事及び地盤沈下防止等のための盛土においても利用することができる。地盤沈下防止のように斜面ではない地盤の場合、地盤上の軽量盛土構築予定空間の両側に壁面材を立設し、壁面材により区画された空間内に軽量盛土構造が構築される。
10;地山、11;軽量盛土本体、11a;法面、12;緩衝層、12a;緩衝層用空間、13;支柱部発泡体、13a;支柱部空間、21;緩衝層用パネル、22;仕切用緩衝材パネル、221;基体部、222;端部、3;基盤(基礎コンクリート)、4;支柱(H鋼)、5;壁面材、61;保護コンクリート層、62;地覆コンクリート層、63;路盤、71;受圧板、72;タイロッド、73;アンカー。

Claims (5)

  1. 基盤と、該基盤に立設された支柱と、該支柱に支持された壁面材と、該支柱の法面側に取り付けられた緩衝層用パネルと、該壁面材と該緩衝層用パネルとの間に架け渡されるように配設され、且つ該支柱と離間している仕切用緩衝材パネルと、を有する盛土用組立体を用いて軽量盛土構造を構築する軽量盛土工法であって、
    上記緩衝層用パネルの法面側に、軽量盛土本体用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させる軽量盛土本体用フォーム層形成工程を繰り返して軽量盛土本体を形成する軽量盛土本体形成工程と、
    上記壁面材、上記緩衝層用パネル及び上記仕切用緩衝材パネルに囲まれた緩衝層用空間に、緩衝層用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させる緩衝層用フォーム層形成工程を繰り返して緩衝層を形成する緩衝層形成工程と、
    上記支柱と上記仕切用緩衝材パネルとの間の支柱部空間に、支柱部用ウレタンフォーム原料を供給し、発泡、硬化させて支柱部発泡体を形成する支柱部発泡体形成工程と、を備え、
    上記支柱部発泡体形成工程は、上記軽量盛土本体形成工程及び上記緩衝層形成工程が終了した後になされることを特徴とする軽量盛土工法。
  2. 上記緩衝層用フォーム層形成工程における緩衝層用フォーム層の形成は、上記軽量盛土本体用フォーム層形成工程において形成された軽量盛土本体用フォーム層より低い位置においてなされる請求項1に記載の軽量盛土工法。
  3. 上記仕切用緩衝材パネルが、上記緩衝層用空間の幅方向に屈曲変形可能に配設されている請求項1又は2に記載の軽量盛土工法。
  4. 上記緩衝層用パネル及び上記仕切用緩衝材パネルが、いずれも硬質ウレタンフォームからなる請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の軽量盛土工法。
  5. 請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の軽量盛土工法により構築された軽量盛土構造であって、
    上記基盤と、該基盤に立設された上記支柱と、該支柱に支持された上記壁面材と、該支柱の法面側に配設された上記緩衝層用パネルと、該壁面材と該緩衝層用パネルとの間に架け渡されるように配設され、且つ該支柱に当接している上記仕切用緩衝材パネルと、該緩衝層用パネルの法面側に形成された上記軽量盛土本体と、該壁面材、該緩衝層用パネル及び該仕切用緩衝材パネルに囲まれた空間に形成された上記緩衝層と、該支柱と該仕切用緩衝材パネルとの間に形成された上記支柱部発泡体と、を備えることを特徴とする軽量盛土構造。
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