JP4885039B2 - 軽量盛土構造 - Google Patents
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Description
上記の二通りの軽量盛土構造構築の工事はその規模にもよるが、例えば壁部の高さが10mになるような規模の場合、基礎11上に建てるH形鋼の支柱12の重量は略500kgにもなり、特に急カーブ急傾斜の狭い道路しかない山間地においては、そのH形鋼の運搬や取り扱いは難儀である。
本発明における軽量盛土構造は、硬質ウレタン発泡体の剛性が、その中に埋設された格子状フレームと一体化されているため高められ、その剛性が高められた硬質ウレタン発泡体の上面には横ずれ防止手段を備えたコンクリート床が敷設されている。このような構造においては、地震の加振加速度が作用したとき、アンカーが設置されていないにも拘らず、コンクリート床やその上部の構造物と硬質ウレタン発泡体が同調して横揺れするに止まるため、軽量盛土構造の著しい変形や破壊が起き難い。
以下、本発明を具体化した軽量盛土構造1の一実施形態を図1〜図3(a)、(b)に基づいて説明する。なお、図7を参照して説明した従来技術の軽量盛土構造1と同じ構成の部分は、同一の符号を用いて説明する。
硬質ウレタン発泡体による軽量盛土工法においては、硬質ウレタン原料の吐出・発泡・硬化により発泡層を形成する場合、一度に発泡体の全体を形成することはなく、何層かに分けて吐出・発泡・硬化を繰り返し所定高さの盛土構造を構築する方法が一般的である。本実施形態においても、一般的な方法と同様に基礎11の上の第一層から順次発泡体層を形成し盛土構造を構築する。
上記実施形態の建築用盛土構造によれば、以下のような効果を得ることができる。
・格子状フレーム5を単管25により構成したが、単管25に代えて棒状鋼材、L形鋼やC形鋼でもよい。
・格子状フレーム5の組み立てを単管25の長さ単位で一段ずつ行うようにしたが、予定される軽量盛土構造1の高さに見合った高さまで格子状フレーム5を組み立て、その後に硬質ウレタン発泡体3を形成してもよい。
・突起収容部37の形成のためボード32を用いて枠を形成した上で、その外側に硬質ウレタン原料を吐出・発泡・硬化させたが、硬質ウレタン発泡体3を所定の高さまで構築した後、その上面を掘削して突起収容部37を形成してもよい。
・突起収容部37の形成のためボード32を用いて枠を形成したが、予め突起収容部37を内面形状とする成形シートを用意し、所定高さ近くまで形成された硬質ウレタン発泡体3の上面に配置し、その外側に硬質ウレタン原料を吐出・発泡・硬化させてもよい。
・突起収容部37を形成しコンクリートを打設したが、図示しない次の方法で突起部7を形成してもよい。先ず所定高さ近くの硬質ウレタン発泡体3の上面にコンクリートブロックを適宜数だけ置いた上で、硬質ウレタン原料を吐出・発泡・硬化させ、そのコンクリートブロックの上部を露出状態にして下部を埋設する。次にコンクリート床6を構築するためにコンクリートを打設する際、残されたコンクリートブロックの上部を埋設して、コンクリート床6の下部に一体化すれば、硬質ウレタン発泡体3に埋設されたコンクリートブロックの下部が突起部7となる。
・壁部材24として500mm幅のコンクリートパネルを用いたので、格子状フレーム5のピッチをその倍数の1mとしたが、ピッチは適宜選択できる。
・壁部材24を格子状フレーム5に取り付けた上で、硬質ウレタン原料を吐出・発泡・硬化させたが、格子状フレーム5を用いず、図示しない断面H形状の軽量位置決め部材等を用いてもよい。
・突起収容部37には格子状フレーム5の一部を臨ませないようにしたが、格子状フレーム5の縦または横のフレーム構成材の一部を突起収容部37内に望ませるようにしてもよい。
次に、本発明を具体化した軽量盛土構造1の第2の実施形態を図4、図5を用いて説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態においてコンクリート床6の形成が、硬化した硬質ウレタン発泡体3の上面にコンクリートを打設して形成した構成であるものに対し、未だ硬化が完了しない硬質ウレタン発泡体3の上面に成形コンクリートパネルを設置するよう変更した構成であり、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
格子状フレーム5を組み立て、その高さが軽量盛土構造1の所定の高さと略同等となるようにした上で、硬質ウレタン発泡体3の上面から格子状フレーム5のフレーム材のうち少なくとも縦のフレーム材が露出するよう硬質ウレタン発泡体3を硬化完了状態で形成し、その上に硬質ウレタン原料を吐出し発泡させる。硬質ウレタン原料の発泡反応が継続中に成形コンクリートパネル46を格子状フレーム5の上部に乗せることにより、発泡反応で膨張した硬質ウレタン原料は、成形コンクリートパネル46下部の突起部47を抱き込むように成形コンクリートパネル46の下部を埋めて硬化し盛土構造を構築する。上記硬質ウレタン原料の吐出量は多めに設定されるが、複数の成形コンクリートパネル46を並べて配置するとき、適宜隙間を設ければ、膨張して余分となった硬質ウレタン原料がその隙間から漏れ出ることが可能となり、過分の圧力が成形コンクリートパネル46の下面に作用することはない。そのため、成形コンクリートパネル46が持ち上げられることを防止でき、コンクリート床6が不ぞろいな上面を形成することがない。
(1)第2実施形態では、突起部47が一体形成された成形コンクリートパネル46を発泡反応途中の硬質ウレタン原料の上に置き、突起部47を硬質ウレタン発泡体3の中に埋設するようにしたので、硬質ウレタン発泡体3の上面に突起収容部37を形成しコンクリートを打設する場合に比べて、施工工数の削減ができる。
・成形コンクリートパネル46として小型のものを用いる場合に隙間を設けて配置するようにしたが、比較的大型のものを用いる場合には、成形コンクリートパネル46に予め硬質ウレタン原料漏出用孔を形成してもよい。
・成形コンクリートパネル46を格子状フレーム5の上部に乗せるようにしたが、格子状フレーム5の一部が硬質ウレタン発泡体3の上面に露出していない場合、硬質ウレタン発泡体3の上面に位置決め部材を適宜配置し、硬質ウレタン原料を吐出した後、成形コンクリートパネル46をその位置決め部材の上に乗せるようにしてもよい。このとき、位置決め部材の材質は硬質ウレタンの接着力が作用するものであれば何でもよいが、硬質ウレタン発泡体3と同等の比重のものが好ましい。
次に、本発明を具体化した軽量盛土構造1の第3の実施形態を図6を用いて説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態において、コンクリートブロックをコンクリート床6の下部に一体化して突起部7を形成した構成であるものに対し、硬質塩化ビニール製のパイプ61の一部をコンクリート床6の下部に埋設して突起部7を形成する構成としたので、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
所定高さとなった硬質ウレタン発泡体3の上面に適宜数の硬質塩化ビニール製のパイプ61を打ち込み、その上部が硬質ウレタン発泡体3の上面から露出するようにし、そこにコンクリートを打設して、パイプ61の内外を埋設したコンクリート床6を構築した。このようにすることで、硬質ウレタン発泡体3に打ち込まれたパイプ61の一部がコンクリート床6の下部に設けられた突起部7となる。
(1)第3の実施形態では、硬質塩化ビニール製のパイプ61を硬質ウレタン発泡体3に打ち込むだけで突起部7を形成できたので、工数が削減できたばかりか、突起部7の配置や数に対する設計の自由度を高めることができる。
・パイプ61は中空円筒に限らず角柱パイプであってもよい。
・パイプ61に代えて、種々断面形状の形材であってもよい。
Claims (5)
- 地盤に敷設された基礎とその基礎に立設された壁部と地盤の斜面とで区画される空間に設けられた硬質ウレタン発泡体の上にコンクリート床を備える軽量盛土構造において、前記コンクリート床の下部には前記硬質ウレタン発泡体とそのコンクリート床との横ずれを防止する横ずれ防止手段を設け、前記硬質ウレタン発泡体は、その中に格子状フレームを埋設しており、前記壁部は、前記格子状フレームに設けられた取付部材により位置決め固定されていることを特徴とする軽量盛土構造。
- 前記横ずれ防止手段は、前記コンクリート床の下部に設けられた突起部であることを特徴とする請求項1に記載の軽量盛土構造。
- 前記コンクリート床は、予め成形されたコンクリートパネルであって、その下部に突起部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の軽量盛土構造。
- 前記格子状フレームは、その一部が前記横ずれ防止手段の突起部に埋設されていることを特徴とする請求項2に記載の軽量盛土構造。
- 前記格子状フレームは、その一部が前記地盤および斜面のいずれか一方または両方に埋設されていることを特徴とする請求項1または4に記載のうちいずれか一項に記載の軽量盛土構造。
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