JP2011122266A - 融着混繊糸とそれを用いた織編物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製織編工程を通じて良好な混繊状態を維持することで、ナチュラル感に富む杢外観を織編物に与えうる新規な混繊糸を提供すること。
【解決手段】単糸フィラメント数が異なる複数の繊維群から構成され、長手方向にインターレース混繊部を40〜100個/m有する混繊糸であって、混繊部が融着成分を介して一体化している融着混繊糸。並びに、上記融着混繊糸を用いて製織編した後、これをアルカリ減量、染色することにより杢外観を発現させる織編物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、融着混繊糸並びにこれを用いて杢外観に富む織編物を得るための方法に関するものである。
染着性の異なる2種類の糸条を混繊した糸条を用いて、織編物に杢外観を表現する技術が古くから知られている。
例えば、特許文献1に、サイドバイサイド型ポリエステル系複合繊維とポリアミド繊維との混繊糸が開示されている。同文献によれば、この混繊糸を用いることにより、織編物に杢外観と共に優れたストレッチ性を付与できると記載されている。また、特許文献2に、一方がシックアンドシンヤーンでかつ互いに染着性の異なる2種のポリエステル糸条を合わせた混繊糸が開示されている。同文献によれば、この混繊糸を用いることにより、織編物に杢外観と共に独特のスパナイズ感を付与できると記載されている。
特開2008−285786号公報 特開2004−285501号公報
以上の文献から明らかなように、織編物に対し杢外観と共に所定の質感、風合いなどを付与することが古くから行われている。この場合、構成糸の一部に特定の糸を使用すれば、所望の質感、風合いを織編物に与えることもできるので、非常に興味深いといえる。
いうまでもないが、杢外観や質感、風合いといったものは、織編物において表現されるものである。したがって、所定の糸条を採取しただけでは足りず、製織編工程を経ることが必要である。製織編工程には糸条の巻き取り、引き出しといった工程が多くあり、糸条は幾度となくガイドを通過する。したがって、その度に糸条は摩擦を受ける。そうすると、特許文献1、2記載の混繊糸のような場合、繊維同士が強く絡みあっている部位(混繊部)が解けて(開繊)してしまう。
混繊部が開繊すると、織編物に対し所望の杢外観のみならず、目的の質感、風合いも付与できなくなる。つまり、混繊状態が適正に維持されていれば、織編物はピッチの比較的短い杢外観を示すが、混繊部が開繊していると、杢外観はピッチの長い所謂流れ杢となり、織編物の商品価値が大幅に低下する。一方、織編物の質感、風合いは、混繊糸の全体構造に由来するところが大きいため、混繊状態が適正に維持されないのであれば、もはや織編物に所望の質感、風合いも与えることができなくなる。
このような点を改善するには、製織編工程における糸条の張力を適正に調整すれば、混繊糸の混繊状態を適正に維持できるものと考えられる。しかし、この手段を採用するには、張力管理に伴う新たな設備投資や張力調整に伴う新たな労力が伴い、工程を低コストで円滑に進める観点から、好ましいとはいえない。
また、混繊状態をより強固なものとすれば、開繊が抑えられるとも考えられる。しかし、混繊を強くすればするほど、他の部位にも混繊の効果が波及し、繊維は密着傾向になるので、織編物はふくらみ感、ソフト感を失うことになる。つまり、繊維を密着させると織編物の中に空気を溜め込み難くなるので、結果、織編物のふくらみ感、ソフト感は失われる傾向にあり、風合いの観点から、同じく好ましいとはいえない。
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、製織編工程を通じて良好な混繊状態を維持することで、ナチュラル感に富む杢外観を織編物に与えうる新規な混繊糸を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、融着成分を用いて糸条の混繊部を一体化させておけば、ガイドなどに糸条を通過させても混繊状態を良好に維持でき、これにより、織編物にナチュラル感に富む杢外観を与えることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、第一の発明は、単糸フィラメント数が異なる複数の繊維群から構成され、長手方向にインターレース混繊部を40〜100個/m有する混繊糸であって、混繊部が融着成分を介して一体化していることを特徴とする融着混繊糸を要旨とするものである。
そして、第二の発明は、上記融着混繊糸を用いて製織編した後、これをアルカリ減量、染色することにより杢外観を発現させることを特徴とする織編物の製造方法を要旨とするものである。
本発明によれば、混繊糸中の混繊部を強固に一体化させておくことにより、混繊糸のガイド通過に伴う摩擦から混繊部を守ることができ、混繊部の開繊を大幅に抑制することができる。これにより、本発明の混繊糸を用いることで、織編物にナチュラル感に富む杢外観を与えることができ、結果、織編物の商品価値を大いに高めることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、所謂インターレース混繊糸を対象とするものである。インターレース混繊糸中には、一般に混繊の強い部位(これを混繊部ということがある)と、弱い部位とが混在し、混繊の弱い部位では、製造条件にもよるが繊維同士は一般に開繊する傾向にある。本発明は、このようなインターレース混繊糸の特徴を利用したもので、複数の繊維群から混繊糸を構成し、これにより、混繊の弱い部位において各繊維群を繊維束に近い形態のまま存在させている。このとき、各繊維束の構造に違いがあると、織編物となしたとき、その部位を筋状に視認することができるようになる。本発明は、この点を利用し、各繊維群の単糸フィラメント数を異ならせることにより各繊維束に光沢差や色目差などを生じさせ、もって織編物へ杢外観を付与するのである。
各繊維群の単糸フィラメント数としては、例えば2つの繊維群を使用する場合、両者のフィラメント数の比は、一方が他方の1.5倍以上となるのが好ましい。
本発明においては、各繊維群の組み合わせは自由に選択でき、繊維群数も複数でありさえすれば特に限定されない。すなわち、一般衣料向けに使用されている繊維の中から目的に応じて適宜選択すればよいのである。ただ、同一素材で互いの繊維群を構成するしてしまうと、織編物の色目によっては稀に杢外観を視認するのが難しくなることがあるため、好ましくは異なる繊維素材の組み合わせを選択する。
例えば、繊維群として2つの繊維群を使用する場合、好ましい素材の組み合わせとしては、ポリエステル/ナイロン、ポリエステル/レーヨン、ポリエステル/綿などがあげられる。特に、ポリエステル/レーヨンの組み合わせを採用すると、織編物に適度なドレープ感を与えることができるので好ましい。
また、各繊維群の単糸繊度を互いに異なったものとすることも、織編物上で杢外観を視認する上で有用である。例えば、2つの繊維群を使用する場合、両者の単糸繊度比としては1:1〜1:5が好ましい。単糸繊度差が大きくなるにつれ、両者の光沢、色目などの差が顕著になるから、両繊維群の単糸繊度差を大きくすることは、明瞭な杢外観を得る上で好ましいといえる。しかし、単糸繊度差が大きくなり過ぎると、両者の糸質物性に無視できない差が生じやすくなる。このため、これらの調和をとる観点から、上記範囲の比率が好ましいのである。
前述のように、本発明の混繊糸は、インターレース混繊糸の範疇に属するものでもある。したがって、当然のことながら長手方向にインターレース混繊部を具備している。ここで、インターレース混繊部の個数としては、40〜100個/mである必要がある。これは、混繊部の個数を所定範囲に設定することより、織編物上でナチュラル感に富む杢外観が具現できるからであり、混繊部の個数が当該範囲を下回ると、杢外観が流れ杢となり、一方、上回ると、杢目が過度に細かくなり、いずれの場合も織編物の商品価値を低下させてしまう。
混繊部の個数を所定範囲とすることは、例えば、混繊時の糸速に応じてノズルのエアー圧を所定範囲に設定することにより可能である。混繊には、一般に市販されている混繊ノズルが用いられる。混繊条件としては、ノズルの種類により多少変動するものの、大方、糸速が50〜300m/分のときは、エアー圧が0.5〜3.0kg/cmが好ましく、1.0〜2.5kg/cmがより好ましい。糸速が300〜1000m/分のときは、エアー圧が1.0〜6.0kg/cmが好ましく、2.0〜5.0がより好ましい。
本発明の混繊糸は、織編物にナチュラル感に富む杢外観を与えることのできるものである。これを具現するには、製織編工程において混繊糸がガイドなどを通過しても、混繊状態が良好に維持されていることが必要となる。すなわち、混繊糸中の混繊部が開繊するのを抑える必要があり、混繊部が開繊してしまうと、織編物の杢外観はピッチの長い流れ杢となってしまう。
そこで、本発明では、混繊糸中の混繊部を一体化させておく必要がある。こうすることで、混繊糸のガイド通過に伴う摩擦から混繊部を守ることができ、混繊部の開繊を大幅に抑制することができる。
具体的には、融着成分を介して混繊部を一体化させる。混繊糸中に融着成分を付与する手段としては、特に限定されるものでない。例えば、混繊直後の混繊部に融着成分を付与することにより、混繊部を一体化させることが可能だが、製造上非効率であるため、好ましくは融着成分を具備する熱接着性繊維を使用する。
熱接着性繊維としては、例えば、繊維全体が融着成分からなる全融タイプのもの、断面が芯鞘構造をなすと同時に鞘部に融着成分を配する芯鞘タイプのものなどが使用できる。この場合、本発明の混繊糸が複数の繊維群から構成される点を考慮し、全融タイプのものを使用するときは、複数の繊維群と、熱接着性繊維を含む糸条(熱接着性糸条)とを同時に混繊するのが好ましい。一方、芯鞘タイプのものを使用するときも、同じく繊維群と熱接着性糸条とを同時に混繊するのが好ましいが、繊維群を必ずしも複数用意する必要はない。これは、熱接着性繊維の鞘部が溶融した後、残った芯部同士が集まって一つの繊維群を構成するからである。つまり、熱接着性繊維が全融タイプの場合は、熱接着性糸条を含め3者混以上とし、芯鞘タイプの場合は、熱接着性糸条を含め2者混以上とすればよい。
本発明における融着成分の組成としては、特に限定されるものでないが、織編物の後加工を通じて効率よく融着成分を除去できる観点から、共重合ポリエステルが好ましい。具体的には、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分を含有し、1,4−ブタンジオール成分、脂肪族ラクトン成分及びアジピン酸成分の少なくとも一成分を共重合した共重合ポリエステルであることが好ましい。特にテレフタル酸成分、脂肪族ラクトン成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分からなる共重合ポリエステルは、比較的結晶化速度が速く、紡糸時だけでなく、融着混繊糸となした後の混繊糸を効率よく冷却できる点でも好ましいといえる。なお、脂肪族ラクトン成分としては、炭素数4〜11のラクトンが好ましく、特に好ましいラクトンとして、ε−カプロラクトンがあげられる。
上記共重合ポリエステルの物性としては、融点が130〜200℃、ガラス転移点が20〜80℃、結晶開始温度が90〜130℃であることがそれぞれ好ましい。
そして、芯鞘タイプの熱接着性繊維の鞘部に融着成分として上記共重合ポリエステルを配する場合、芯部には同共重合ポリエステルより融点が30℃以上高いポリエステルを用いるのが好ましい。さらにこの要件に加え、融点が220〜280℃の範囲にあるポリエステルを用いるのがより好ましい。当該ポリエステルとしては、具体的に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが好適であり、実用上はこれらを単独もしくは混合して用いる。これらのポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で共重合成分が含有されていてもよい。共重合成分としては、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンギカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、4−ヒドロキシ安息香酸、e−カプロラクトン、りん酸、グリセリン、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチルプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、2,2−ビス{4−(β−ヒドロキシ)フェニル}プロパンなどがあげられる。
さらに、芯鞘タイプの熱接着性繊維の場合、その芯鞘質量比(芯:鞘)としては、40:60〜70:30であることが好ましい。芯部の比率が40%未満になると、鞘部を溶融した後、残った芯部から構成される繊維群の単糸繊度が細くなり、織編物の張り腰が低減する傾向にあり、一方、70%を超えると、融着成分が少なくなる結果、混繊部を一体化させ難くなる傾向にあるため、いずれも好ましくない。
熱接着性繊維の糸条形態、繊維断面形状については、繊維の種類、すなわち全融タイプ、芯鞘タイプのいずれであっても、特に限定されない。この場合、糸条形態としては、マルチフィラメント、モノフィラメントいずれの形態も採用可能であり、繊維単糸断面としても丸、三角、十字などいずれの形状も採用可能である。また、単糸繊度としては、1.1〜167dtexが好ましく、特に単糸繊度が比較的小さいときはマルチフィラメントを、比較的大きいときはモノフィラメントをそれぞれ選択するのが好ましい。
このように、本発明では、融着成分を介して混繊糸中の混繊部を一体化させる。混繊の弱い部位については、必ずしも一体化させる必要はないものの、製織編における工程通過性などを考慮し、同様に一体化させておくのが好ましい。
また、先に述べたように、混繊部の開繊を単に抑制するだけなら、張力の適正化や混繊強化といった手段も有効である。しかし、これらのみで混繊部を一体化させると無視できない問題が生じる。そこで、本発明では、融着成分を使用して混繊部を一体化させるのである。ただし、本発明では、張力の適正化や混繊強化を排除しているのではないことに留意すべきである。つまり、本発明では、これらを主たる開繊抑制の手段には採用しないとしているだけで、融着成分を使用して混繊部を一体化させているのであれば、これらの手段の採用をなんら妨げるものでないのは当然である。
ここで、一体化した混繊部の接着強度について述べる。本発明では、接着強度の大小を、混繊糸を一定割合で伸長させたとき、混繊がどの程度解けるかを定量的に表すことにより、判断する。一般に、インターレース混繊糸を素早く引き伸ばすと、そのはずみで混繊が解けることがあるため、本発明ではこの点を利用して混繊部の接着強度を推し量るのである。
具体的には、引張り速度200mm/分で試料を定速伸長し、元糸長に対し5%伸長した後の除重状態において開繊状態を観察する。当該伸長後の糸条における開繊状態としては、5cmを超えて連続して開繊している部位がなく、かつ連続して3〜5cm開繊している部位の数が1mあたり5箇所以下に抑えられていることが好ましい。伸長後の糸条がこれら2要件のいずれかを満足しないときは、織編物に与える杢外観が流れ杢となる傾向にある。
次に、芯鞘タイプの熱接着性繊維を使用して本発明の混繊糸をなす方法、並びに当該混繊糸を用いて織編物をなす方法について一例を述べる。
まず、熱接着性糸条を用意する。当該熱接着性糸条は、公知の複合紡糸装置を用いて製造することができる。具体的には、前述のポリエステルを複合紡糸装置に投入し、引取速度1000〜4500m/分の範囲で複合紡糸した後、所定の倍率に延伸すればよい。
熱接着性糸条を得た後は、混繊相手となる、熱接着性糸条と単糸フィラメント数が異なる糸条を用意し、両者を同時に混繊して40〜100個/mのインターレース混繊部を導入する。このとき、両糸条の繊維素材、フィラメント数の比、単糸繊度比、混繊時の糸速、エアー圧などは前記した通りである。また、両糸条の混率(熱接着性糸条:混繊相手の糸条)としては、特に限定されるものでないが、好ましくは5:95〜50:50とする。なお、この例では、熱接着性繊維として芯鞘タイプのものを使用しているので、使用する混繊相手の糸条は、単独種、複数種のいずれでもよい。
そして、混繊後は、熱接着性繊維の鞘部に配された融着成分より10℃以上高い温度で熱処理することにより、本発明の融着混繊糸を得ることができる。
次に、得られた混繊糸を公知の方法に準じて製織編し、得られた織編物をアルカリ減量する。アルカリ減量により、織編物内にある融着成分を除去することができる。ただ、必ずしも全ての融着成分を除去する必要はなく、本発明の効果を損なわない範囲であれば、融着成分を一部残してもよい。これは、織編物に融着成分が残り過ぎていると、最終的に得られる織編物の風合いが硬いものとなるが、融着成分が適度に残されていると、シャリ感、清涼感などむしろ好ましい風合いを発することもあるからである。融着成分の除去量としては、全融着成分に対し50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
この他、織編物にポリエステル繊維が使用されている場合には、アルカリ減量することでポリエステル繊維の表面を溶出することができ、ソフト感ある風合いが具現する。
アルカリ減量後は、織編物を染色する。これにより織編物に杢外観を発現させることができる。染色の際に用いられる染料としては、使用繊維に応じ任意に選択すればよい。そして、使用する染料の種類も単一種、複数種のいずれでもよい。ただ、明瞭な杢外観を得るという点では、織編物において、混繊糸を構成する各繊維群を別種類の染料で色目が異なるように染料するか、一方の繊維群のみを染色し、他方は染色しないという手段が好ましく採用される。例えば、混繊糸がポリエステル/レーヨンの組み合わせから構成されている場合、ポリエステル繊維を染める染料として分散染料を用い、レーヨン繊維を染める染料として反応染料を用い、両染料の色目を異なるものとすることにより、織編物に明瞭な杢外観を発現させることができる。
染色後は、必要に応じて織編物をファイナルセットし、目的とする織編物となす。
極限粘度0.78、融点181℃、ガラス転移点48℃で、1,4ブタンジオールを50mol%共重合させた結晶性の共重合ポリエステルと、極限粘度0.61、融点256℃のPETとを用意した。なお、融点は、パーキンエルマー社製示差走査熱量計「DSC−2型(商品名)」を用いて、昇温速度20℃/分で測定した。
これらのポリエステルを質量比1:1の割合で複合紡糸装置に投入し、温度270℃で同時に紡糸、延伸することにより、鞘部に共重合ポリエステルを、芯部にPETを配する芯鞘構造の熱接着性繊維からなる糸条を得た。得られた糸条の繊度は、28dtex12fであった。
そして、予め用意しておいたレーヨンフィラメント糸条84dtex30fと、先の熱接着性糸条とを石川製作所製「STPワインダー(商品名)」を用いて、糸速100m/分、エアー圧1.5kg/cmなる条件でインターレース混繊した。その後、熱ヒーターを用いて温度200℃でこれを熱処理し、本発明の融着混繊糸を得た。得られた混繊糸では、熱接着性繊維の鞘部に配された共重合ポリエステルが融着成分となり、混繊部が一体化されていた。また、得られた混繊糸は、インターレース混繊部を80個/m具備するものであった。混繊部の接着強度としては、引張り速度200mm/分で5%定速伸長させた後の、連続して3〜5cm開繊している部位の数は、1箇所/mであり、5cmを超えて連続して開繊している部位は認められなかった。
次に、福原精機製丸編機「LPJ−H33(商品名)」を用いて針密度を28ゲージとし、スムース組織の編地が得られるよう当該融着混繊糸を製編した。そして、得られた編地をアルカリ濃度40g/L、浴比1:50なる条件で60分間アルカリ減量した。次いで、反応染料を2%omf、無水硫酸ナトリウムを30g/L、ソーダ灰を10g/L用いて編地を染色した後、これをファイナルセットした。
得られた編地は、当該染色により、編地内のレーヨンフィラメント糸条のみが染色され、結果的に明瞭な杢外観を呈した。また、この編地では、アルカリ減量により、融着成分たる共重合ポリエステルが除去されていると共にPET表面の一部も溶出されていた。このため、ソフト感に非常に富むものであった。
他方、上記実施例において、熱ヒーター使用時の温度を200℃に代えて170℃としたところ、熱接着性繊維の鞘部に配された共重合ポリエステルが十分に溶融せず、融着成分として十分に機能しなかったため、混繊部を一体化させることができなかった。この混繊糸を上記と同様の製編工程に付したところ、ガイド通過時に受ける摩擦により、混繊糸のいたるところで開繊が見られた。また、染色加工を経て得られた編地の杢外観も、ピッチの長い流れ杢となってしまった。
さらに、上記実施例において、インターレース混繊時のエアー圧を1.5kg/cmに代えて0.3kg/cmとしたところ、混繊糸中にインターレース混繊部が35個/mしか形成されず、混繊時の糸速を100m/分に代えて30m/分としたところ、混繊部が105個/m形成された。そして、これらの混繊糸を用いて、上記実施例と同様にしてそれぞれ編地を作製したところ、前者では、編地の杢外観が流れ杢となり、後者では、逆に杢目が細かくなりすぎてしまった。

Claims (2)

  1. 単糸フィラメント数が異なる2種類以上の繊維群から構成され、長手方向にインターレース混繊部を40〜100個/m有する混繊糸であって、混繊部が融着成分を介して一体化していることを特徴とする融着混繊糸。
  2. 請求項1記載の融着混繊糸を用いて製織編した後、これをアルカリ減量、染色することにより杢外観を発現させることを特徴とする織編物の製造方法。
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