JP2011104971A - 熱転写シートの製造方法、熱転写シート、並びに熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ - Google Patents

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Abstract

【課題】水系の熱転写受像シートに熱転写しても、焦げの発生がなく、かつ鮮明な画像を得ることができる熱転写シートの製造方法、熱転写シート、並びに熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せを提供する。
【解決手段】基材の一方の面にプライマー層、染料層がこの順で設けられた熱転写シートの製造方法であって、Tgが30℃以上の樹脂をディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液に分散させたプライマー層用塗工液を、基材上に塗工・乾燥してプライマー層を形成し、該プライマー層上に染料層を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写シートの製造方法、熱転写シート、並びに熱転写シートと熱転写受像シートに関し、特に水系の熱転写受像シートに熱転写しても、焦げの発生がなく、かつ鮮明な画像を得ることができる熱転写シートの製造方法、熱転写シート、並びに熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せに関する。
従来より、熱転写方式を用いて基材に階調画像や文字、記号等の単調画像を形成することが行われている。熱転写方式としては、感熱昇華転写方式と感熱溶融転写方式が広く用いられている。このうち、感熱昇華転写方式は、色材として用いる昇華性染料をバインダー樹脂に溶融あるいは分散させた染料層を基材シ−トに担持した熱転写シートを使用し、この熱転写シートを、染料受容層を備えた受像シートに重ねサーマルプリンタヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加することにより、熱転写シート上の染料層中に含まれる昇華性染料を受像シートに移行させて画像を形成する方法である。
上記の染料層を備える熱転写シートの一つとして、プライマー層を介して基材と染料層とが積層されてなる熱転写シートが知られている。該プライマー層を備える熱転写シートによれば、基材と染料層との密着性を向上させることができ、転写時に熱転写受像シートに染料層ごととられる不良(いわゆる、異常転写)を防止することができる。このようなプライマー層としては、以下の「水溶性のプライマー層」と、「溶剤系のプライマー層」が知られている。「水溶性のプライマー層」は、水溶性樹脂(例えば、特許文献1に開示がされているPVP(ポリビニルピロリドン)樹脂等)を水系の溶剤(例えば、水、アルコール)に溶解させた塗工液を調製し、該塗工液を基材上に塗布することにより形成されるプライマー層(以下、「水溶性のプライマー層」という。)である。「溶剤系のプライマー層」は、溶剤に可溶な溶剤可溶性樹脂を有機溶剤に溶解させた塗工液を調製し、該塗工液を基材上に塗布することにより形成されるプライマー層(以下、「溶剤系のプライマー層」という。)である。
また、受像シートとしては、溶剤系の染料受容層を備える「溶剤系の受像シート」と水系の染料受容層を備える「水系の受像シート」が知られている。「溶剤系の受像シート」によれば、「水系の受像シート」と比較して、受像シートへの染料移行性に優れる。しかしながら、「溶剤系の受像シート」上に形成された画像は「水系の受像シート」上に形成された画像に対して光沢度が低く、高い光沢感が要求される場合の使用には溶剤系の受像シートは適さない。さらに、廃液等の処理による環境への影響等の問題から、使用が敬遠される傾向にある。
一方、「水系の受像シート」によれば、人体や環境に対する影響もなく、また「溶剤系の受像シート」と比較して形成された画像に高い光沢感を付与することができる。しかしながら、近年のプリンターの高速化に伴い、サーマルヘッドにかかる熱エネルギーは増加の一途をたどっている。ここで、熱転写シートのプライマー層の含水率が高い場合には、サーマルヘッドからかかる熱エネルギーにより熱転写シートのプライマー層に含有される水分が蒸発し、該蒸発した熱が熱転写シートと「水系の受容層」との間にこもることとなり、「水系の受容層」と熱転写シートが熱融着を起こし、その結果、受容層の表面が茶褐色になる現象(いわゆる焦げ)が生ずる。
特に、上述の水溶性樹脂を水系の溶剤に溶解させた「水溶性のプライマー層」には、塗工・乾燥後にもプライマー層中に水分が残存しており、また、該「水溶性のプライマー層」は大気中の水分を吸水しやすい。したがって、「水溶性のプライマー層」を備える熱転写シートと、「水系の受容層」を備えた受像シートとを組合せて画像を形成した場合には、「水系の受容層」と熱転写シートとが容易に熱融着してしまい、「焦げ」が生じやすくなる。
他方、プライマー層を構成する樹脂が溶剤中に溶解されてなる塗工液を塗布、乾燥することで得られる「溶剤系のプライマー層」には水分が含まれないことから、「溶剤系のプライマー層」を備える熱転写シートによれば「焦げ」の発生を防止することが可能となる。しかしながら、熱転写シートの製造時において、基材上に「溶剤系のプライマー層」を形成し、次いで、該「溶剤系のプライマー層」上に染料層を形成した場合には、染料層に含まれる溶剤により、「溶剤系のプライマー層」を構成する樹脂が染料層中に溶け出し、染料層とプライマー層とが混合された熱転写シートが製造されることとなる。このようにして製造された熱転写シートを用いた場合には、染料層とプライマー層とが混ざり合うことによる印画時の印画濃度が低下する問題が生じてしまう。
特開2005−262594号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、高速・高エネルギー印画の際においても、受容層の表面が茶褐色になる焦げ、及び熱融着を起こすことなく鮮明な画像を得ることができる熱転写シートの製造方法、熱転写シート、並びに熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面にプライマー層、染料層がこの順で設けられた熱転写シートの製造方法であって、Tgが30℃以上の樹脂をディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液に分散させたプライマー層用塗工液を、基材上に塗工・乾燥してプライマー層を形成し、該プライマー層上に染料層を形成することを特徴とする。
また、前記樹脂が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂の群から選択される一種、又は二種以上の混合体であってもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面にプライマー層、染料層がこの順で設けられた熱転写シートであって、上記の製造方法により製造された熱転写シートであることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明は、上記の製造方法により製造された熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せであって、前記熱転写受像シートが水系受容層を有する熱転写受像シートであることを特徴とする。
本発明によれば、高速・高エネルギー印画の際においても、受容層の表面が茶褐色になる焦げ、及び熱融着を起こすことなく鮮明な画像を得ることができる熱転写シートを提供することができる。また、当該製造方法で得られた熱転写シートを用いることで、印画濃度が低下することもない。
<熱転写シートの製造方法>
本発明の熱転写シートの製造方法は、基材の一方の面にプライマー層、染料層がこの順で設けられた熱転写シートの製造方法であって、基材上の一方の面にプライマー層用塗工液を塗工・乾燥しプライマー層を形成し、次いで、該プライマー層上に染料層用塗工液を塗工・乾燥し染料層を形成することにより製造される。ここで、本発明の熱転写シートの製造方法において、Tgが30℃以上の樹脂をディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液に分散させたプライマー層用塗工液を塗工・乾燥しプライマー層を形成する点に特徴を有する。本発明の熱転写シートの製造方法は、この要件を具備するものであれば、以下に示す実施の形態に限定されるものではない。
なお、本発明におけるディスパージョンとは、分散液中で一粒の樹脂がその表面に存在する親水基の作用で分散液中に安定して分散する状態をいい、エマルジョンとは、分散液中で一粒の樹脂の周囲に、乳化剤分子が疎水基を樹脂側に、親水基を分散液側に配位してミセルを形成して存在する状態をいう。
以下に、本発明の熱転写シートの製造方法について図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る熱転写シートの製造方法の一例を示す模式断面図であり、図1(A)は、基材上にプライマー層を塗工した直後の状態を示す模式断面図であり、図1(B)は、基材上にプライマー層を塗工後の模式断面図であり、図1(C)は、最低造膜温度到達後の模式断面図であり、図1(D)は、染料層形成後の模式断面図である。また、図2は、本発明の熱転写シートの製造方法により製造される熱転写シートの一例を示す模式断面図である。なお、最低造膜温度とは、温度をかけたときに粒子界面がなくなり、均一な膜となるための最低温度を意味する。
(基材の準備)
本発明の熱転写シートの製造方法に用いられる基材1としては、耐熱性と取り扱い上支障のない機械的特性を有するものであれば従来公知の基材を適宜選択して用いることができる。このような基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材1の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2.5〜100μm程度が一般的である。
また、上記基材1は、後述するプライマー層2を形成する面に接着処理が施されていることが好ましい。すなわち、上記基材が上述したプラスチックフィルムである場合、その上にプライマー層を形成する際、基材とプライマー層との接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すことが好ましい。
上記接着処理としては、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。
(プライマー層の形成)
図1(A)に示すように、基材1上には、プライマー層用塗工液21が塗工される。まず初めに、水溶性樹脂を水と水に相溶可能な溶媒(アルコールなど)との混合体の溶剤に溶解させたプライマー層用塗工液、及び溶剤可溶性樹脂を有機溶剤に溶解させたプライマー層用塗工液を用いて形成された熱転写シートを用いて熱転写受像シートへ印画を行った際に生ずる、「焦げ」の発生及び「印画濃度」の低下について説明する。
水溶性樹脂を水系の溶剤に溶解させたプライマー層用塗工液は、水溶性樹脂が溶剤に溶解していることから、塗工液乾燥後のプライマー層には水分が残存することとなる。また、乾燥後のプライマー層は大気中の水分を吸収することとなる。受容層の表面が茶褐色になる現象である「焦げ」は、熱転写シートと受容層とが熱融着することにより発生し、熱転写シートのプライマー層の含水率が高いほど熱転写シートと受容層とは熱融着しやすい。したがって、水溶性樹脂を水系の溶剤に溶解させたプライマー層用塗工液を用いて製造された熱転写シートでは、プライマー層2の含水率が高くなり、「焦げ」の発生頻度は高くなる。
一方、溶剤可溶性樹脂を有機溶剤に溶解させたプライマー層用塗工液を用いて熱転写シートを形成した場合には、乾燥後該塗工液のプライマー層に水分が残存しないことから、「焦げ」の発生を防止することができる。しかしながら、溶剤可溶性樹脂を有機溶剤に溶解させたプライマー層用塗工液を塗工・乾燥して得られるプライマー層は、該プライマー層上に染料層を形成する際に、プライマー層を構成する樹脂が染料層に含まれる溶剤に溶けてしまい、プライマー層と染料層とが混ざりあうこととなる。そうすると、溶剤可溶性樹脂を有機溶剤に溶解させたプライマー層用塗工液を用いて製造された熱転写シートを用いた場合には、「印画濃度の低下」を引き起こすこととなる。
このような状況下、「焦げ」の防止と、「印画濃度の低下」の防止に着目し鋭意研究した結果なされた本発明の熱転写シートの製造方法においては、Tgが30℃以上の樹脂がディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液に分散されたプライマー層用塗工液21(以下、本発明の塗工液21という場合がある。)を基材1上に塗工・乾燥することでプライマー層2を形成する点に特徴を有する。
本発明の塗工液21を用いて形成されたプライマー層2は、水に難溶もしくは不溶であり、吸湿性が低いもしくは吸湿しないことから、水溶性の樹脂を水溶液に溶解させてなるプライマー層用塗工液を用いて形成されたプライマー層と比較して、プライマー層2中に含まれる水分を大幅に低減させることができる。したがって、本発明の製造方法により製造された熱転写シート10によれば、熱転写シート10と熱転写受像シートとが熱融着することを防ぐことができ、熱融着に起因する「焦げ」の発生を防止することができる。
ここで、本発明の塗工液21を構成する樹脂が、Tgが30℃未満の樹脂である場合には、サーマルヘッド等によって熱転写シートに熱が与えられたとき、樹脂が軟化し熱を吸収しやすいほか、染料層中の染料が受像シートへ移行すると同時に軟化したプライマー層へも染料が移行することとなり印画濃度が低下することとなる。したがって、このような点を考慮した本発明の塗工液21を構成する樹脂のTgは、Tgが30℃以上の範囲に規定されている。Tgが30℃以上の樹脂を、本発明の塗工液21を構成する樹脂とすることで、印画濃度の低下を防止することができる。
また、Tgが30℃以上の樹脂をディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液に分散させたプライマー層用塗工液21を用いて形成されるプライマー層は、上層に染料層を形成した場合に、染料層用塗工液に含まれる溶剤に溶けにくいことから、熱転写シートの製造時に染料層3とプライマー層2とが混ざり合うことによる印画時の「印画濃度の低下」を防止することができる。
分散液に分散される樹脂は、少なくともTgが30℃以上であって、ディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液に分散させることができる樹脂であればよく、Tgが30℃以上のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂を好適に用いることができる。アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂のほか、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、スチレンアクリル共重合体等のアクリル系樹脂が挙げられる。また、ウレタン系樹脂としては、ウレタン樹脂のほか、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂が挙げられる。これら樹脂は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組合せて(例えば、二種以上の混合体として)用いることもできる。
また、分散液に分散される樹脂は、Tgが30℃以上であるとともに、耐溶剤性に優れた樹脂であることが好ましい。Tgが30℃以上であり、かつ耐溶剤性に優れた樹脂を、ディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液中に分散させることで、染料層用塗工液の溶剤に、プライマー層が溶けてしまうことをより効果的に防止することができる。
また、本発明のプライマー層用塗工液21には、フィラー、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、可塑剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
本発明のプライマー層用塗工液21の塗工方法についても特に限定はなく、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ロールコーター、ワイヤーバー等の従来公知の塗工方法を適宜選択して塗工することができる。プライマー層用塗工液21の塗工量についても特に限定はなく、乾燥後塗工量が0.01〜10g/m2となる量で塗布することが一般的であるが、耐熱性、強靭性等を考慮すると、乾燥後塗工量が0.03g/m2以上1.0g/m2以下となる量で塗工することが好ましい。
本発明のプライマー層用塗工液21の乾燥温度についても特に限定はないが、100〜120℃の乾燥温度とすることで、プライマー層用塗工液21を迅速に乾燥させることができるため好ましい。
なお、図1(B)に示すように、本発明のプライマー層用塗工液21を基材1上に、上記塗工方法により塗工した直後には、基材1上にプライマー層を構成する樹脂22が分散液23中に分散された状態(ディスパージョン、エマルジョン状態)で存在しているが、該塗工液を乾燥させ、分散液23が完全に除去した後に最低造膜温度に達することで図1(C)に示すように、分散液中に分散していた樹脂22で造膜されプライマー層2が形成される。
(染料層の形成)
プライマー層2上には染料層3が形成される。染料層3は、適当な溶剤中に染料、バインダーと、必要に応じて添加剤を加え、トルエン、エチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノール、シクロヘキサノン、DMFなどの適当な有機溶剤に溶解、あるいは有機溶剤や水に分散させて染料層用塗工液を調製し、その後、この塗工液をプライマー層2上に塗布、乾燥させることで形成することができる。塗工方法について特に限定はなく、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。
なお、本発明のプライマー層用塗工液21を用いて形成されたプライマー層2は、染料層用塗工液に含まれる溶剤に溶けにくいことから、プライマー層2と染料層3が混ざり合うことによる、「印画濃度の低下」を防止することが可能となる。
染料層3の厚みについて特に限定はないが、乾燥時の塗工量が0.2〜6.0g/m2、好ましくは0.3〜3.0g/m2程度となるように染料層用塗工液を、上記に示す塗工方法を用いて塗工することが好ましい。
染料層3は1色の単一層で構成してもよく、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成してもよい。染料層3は、以下に記載する熱移行性染料とバインダー樹脂および離型剤を必須の構成要素とし、その他、必要に応じて各種添加剤を混合してなるものである。使用する染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であるが、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダー樹脂への溶解性等を考慮して選択する。
染料としては、例えばジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
染料層3のバインダーとしては、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、好ましいものを例示すれば、CAP(セルロースアセテートプロピオネート)樹脂、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、酪酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられ、その中でも上記の損失弾性率の数値規定を満足するグレード(分子量、構造等)を選択する。これらの中で、耐熱性、染料の移行性等の観点から、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂およびフェノキシ樹脂等が特に好ましい。
染料層3に含有する離型剤としては、シリコーンオイル等のケイ素樹脂や、フッ素樹脂のほか、次のような離型性グラフトコポリマーを用いることができる。この離型性グラフトコポリマーは、ポリマー主鎖にポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント、または長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントをグラフト重合させてなるものである。これらのうち、特に好ましいのはポリビニルアセタール樹脂からなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られたグラフトコポリマーである。
シリコングラフトポリマーは、ポリマー主鎖にポリシロキサン鎖をグラフト結合させたものであり、従来公知のシリコングラフトポリマーを使用することができる。
シリコングラフトポリマーは、種々の方法で合成することができ、例えば、ポリマー主鎖を形成した後に、このポリマー主鎖中に存在している官能基に、これと反応する官能基を有するポリシロキサン化合物を反応させる方法が挙げられる。
シリコングラフトポリマーを構成するポリマーとしては、主鎖がポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、および、セルロース樹脂等でありポリマーを挙げることができる。この中で、特に主鎖がポリビニルアセタール樹脂であるポリマーが昇華性染料に対する親和性の点で好ましい。この場合の「ポリビニルアセタール」という用語は広義に解釈されるべきであり、本発明では、ポリビニルアセタールのアセタール部分がホルムアルデヒドの場合をポリビニルホルマールと呼び、アセタール部分がアセトアルデヒドの場合をポリビニルアセタールと呼び、さらに、アセタール部分がブチルアルデヒドの場合をポリビニルブチラールと呼ぶ。したがって、単にポリビニルアセタールという場合は、これら全てのアセタールを包含する意味である。上記のポリマーは、重合度が500〜5000、好ましくは1000〜3000であることが好ましい。
また、シリコーンオイルをアクリル、エポキシ、アセタール、アラルキルのうち1または2種以上によって修飾ないし変性させた変性シリコーンオイルや、リン酸エステル等も好適に用いることができる。
染料層3には、上記染料、バインダー樹脂、離型剤の他、必要に応じて従来公知と同様な各種の添加剤を加えてもよい。その添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。
(背面層の形成)
また、基材1の他方の面(図2に示す場合にあっては、基材1の下面)にサーマルプリンタヘッドの熱によるスティッキングや、印字シワ等の悪影響を防止するための背面層(耐熱滑性層とも言う)4を設けることとしてもよい。
背面層4を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、CAP(セルロースアセテートプロピオネート)樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる背面層4に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、金属石鹸、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物およびリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
背面層4は、基材1の他方の面に、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解または分散させて、背面層用塗工液を調製し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。背面層4の塗工量は、固形分で、0.1g/m2〜3.0g/m2が好ましい。
<熱転写シート>
本発明の熱転写シート20は図2に示すように、基材1、プライマー層2、染料層3がこの順で積層されてなる構成を有する。ここで、本発明の熱転写シート20は、プライマー層2が、Tgが30℃以上の樹脂を、ディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液に分散させたプライマー層用塗工液を、基材上に塗工・乾燥して形成されたプライマー層2である点に特徴を有する。各層の構成については、上述した通りであり、詳細な説明は省略する。また、必要に応じて、上述の背面層4を設けることとしてもよい。
本発明の熱転写シート20によれば、熱転写シート20のプライマー層の含水率を低下させることができることから、「焦げ」の発生を防止することができる。さらに、プライマー層2と染料層3とが混ざりあっていないことから、「印画濃度」の低下を防止することができる。
<熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ>
また、本発明の熱転写シート20によれば、熱転写シート20のプライマー層の含水率を低下させることができ、「水系受容層」を備える熱転写受像シートと組合せて用いた場合であっても、熱転写シートと熱転写受像シートとが熱融着することによる「焦げ」が発生することはない。したがって、本発明の熱転写シート20は、「水系受容層」を備える熱転写受像シートと特に好適に組合せて用いることができる。
「水系受容層」とは、水系溶媒に分散又は溶解可能である染料染着性樹脂により主として構成される層であり、「水系受容層」を備える熱転写受像シートとは、基材シート上に「水系の受容層」が設けられたシートを意味する。
(水系受容層)
水系受容層は水性バインダーを主成分として構成される。水性バインダーとしては、熱拡散性色素に対して染着性を有すると共に、後述する水系受容層形成用塗工液の調製に用いられることから、水に対し良好な溶解性もしくは分散性を有するものが好ましい。
このようなバインダーとしては、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマー(イソブチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル等)との共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、三酢酸セルロース、ポリスチレン、スチレンと他のモノマー(アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化エチレン等)との共重合体、エチレンと他のモノマー(酢酸ビニル、アクリル酸エステルなど)との共重合体、ビニルトルエンアクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、メチルセルロース等のセルロース系樹脂、ゼラチン、澱粉、カゼインおよびそれらの変性物などを挙げることができる。
上述した樹脂の中でも、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマーとの共重合体、ポリビニルアセタール系樹脂、スチレンと他のモノマー(アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化エチレン等)との共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂を特に好適に用いることができる。また、これらの樹脂は1種を単独に用いることもできるし、2種以上を組合せて用いることもできる。
また、上記水系受容層には、水性バインダーとともに、熱転写シート20の染料層3と水系受容層との離型性を高めるための離型剤を添加されていることが好ましい。
上記水性バインダーと併用する離型剤としては、シリコーンオイル(シリコーン樹脂と称されるものも含む);ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固型ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等が挙げられ、中でもシリコーンオイルが好ましい。
また、染料層のバインダー樹脂と水系受容層のバインダー樹脂との離型性を考慮して、熱転写シートと熱転写受像シートとを組合せることが好ましい。熱転写シート20の染料層3と水系受容層との離型性を向上させることで、水系受容層と熱転写シートとの熱融着を更に効果的に防止することができる。好ましい染料層と水系受容層のバインダー樹脂の組合せとしては、例えば、染料層のバインダー樹脂:CAP(セルロースアセテートプロピオネート)樹脂と、水系受容層のバインダー樹脂:アクリル系樹脂との組合せや、染料層のバインダー樹脂:ブチラール系樹脂と、水系受容層のバインダー樹脂:塩ビ系樹脂との組合せを挙げることができる。
水系受容層は水性バインダー樹脂、離型剤、その他必要に応じて添加する添加剤を水あるいは水溶液に分散または溶解して水系塗工液を基材シート上に塗工・乾燥することにより形成される。水系塗工液を調製する場合は、前記水性バインダーの水に対する溶解性または分散性に応じて、樹脂を水に溶解または分散させることが望ましい。
水系塗工液は、従来公知の塗工方法を適宜選択して用いることができ、例えばワイヤーバーコート、グラビアコート、スライドコート、ロール塗布法などを用いて塗布・乾燥される。また、水系受容層の厚みについて得に限定はないが0.5〜10μmの範囲が一般的である。
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は重量基準である。
(プライマー層用塗工液の準備)
下記組成のプライマー層用塗工液1〜20をそれぞれ準備した。
<プライマー層用塗工液1>
ポリエステル系ウレタン樹脂 20.0部
(ハイドランAP−40N;DIC(株)製、Tg=55℃)
水 53.5部
IPA 66.5部
<プライマー層用塗工液2>
ポリエーテル系ウレタン樹脂 20.0部
(スーパーフレックスSF−600;第一工業製薬(株)製、Tg=70℃)
水 32.5部
IPA 47.5部
<プライマー層用塗工液3>
ポリエステル系ウレタン樹脂 20.0部
(スーパーフレックスSF−620;第一工業製薬(株)製、Tg=43℃)
水 43.0部
IPA 57.0部
<プライマー層用塗工液4>
ポリエステル樹脂 20.0部
(バイロナールMD−1245;東洋紡績(株)製、Tg=61℃)
水 43.0部
IPA 57.0部
<プライマー層用塗工液5>
スチレン含有アクリル樹脂 20.0部
(ヨドゾールAD123;日本エヌエスシー(株)製、Tg=55℃)
水 85.0部
IPA 95.0部
<プライマー層用塗工液6>
アクリル樹脂 20.0部
(ヨドゾールAD157;日本エヌエスシー(株)製、Tg=40℃)
水 85.0部
IPA 95.0部
<プライマー層用塗工液7>
アクリル樹脂 20.0部
(ヨドゾールAD184;日本エヌエスシー(株)製、Tg=55℃)
水 85.0部
IPA 95.0部
<プライマー層用塗工液8>
ポリカーボネート系ウレタン樹脂 20.0部
(スーパーフレックスSF−460;第一工業製薬(株)製、Tg=−21℃)
水 59.8部
IPA 72.2部
<プライマー層用塗工液9>
ポリエーテル系ウレタン樹脂 20.0部
(ハイドランWLS−202;DIC(株)製、Tg=−50℃)
水 53.5部
IPA 66.5部
<プライマー層用塗工液10>
ポリエステル樹脂 20.0部
(バイロナールMD−1480;東洋紡績(株)製、Tg=20℃)
水 32.5部
IPA 47.5部
<プライマー層用塗工液11>
ポリエステル樹脂 20.0部
(バイロナールMD−1985;東洋紡績(株)製、Tg=−20℃)
水 36.7部
IPA 51.3部
<プライマー層用塗工液12>
アクリル樹脂 20.0部
(アクリットUW−223SX;大成ファインケミカル(株)製、Tg=20℃)
水 43.0部
IPA 57.0部
<プライマー層用塗工液13>
アクリル樹脂 20.0部
(アクリットUW−319SX;大成ファインケミカル(株)製、Tg=20℃)
水 43.0部
IPA 57.0部
<プライマー層用塗工液14>
ポリエステル樹脂 20.0部
(バイロン200;東洋紡績(株)製、Tg=67℃)
トルエン 190.0部
メチルエチルケトン 190.0部
<プライマー層用塗工液15>
ポリエステルウレタン樹脂 20.0部
(バイロンUR1400;東洋紡績(株)製、Tg=83℃)
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 50.0部
<プライマー層用塗工液16>
ポリビニルピロリドン樹脂 20.0部
(PVP−K90;ISPジャパン(株)製)
水 190.0部
IPA 190.0部
<プライマー層用塗工液17>
ヒドロキシエチルセルロース樹脂 20.0部
(HECダイセルSP−200;ダイセル化学工業(株)製)
水 190.0部
IPA 190.0部
<プライマー層用塗工液18>
アクリル樹脂 20.0部
(SP−50TF;東亞合成(株)製)
水 30.0部
IPA 30.0部
<プライマー層用塗工液19>
ビニルピロリドン/酢酸ビニル樹脂 20.0部
(PVP/VA−E335;ISAジャパン(株)製)
水 85.0部
IPA 95.0部
<プライマー層用塗工液20>
ポリビニルアルコール樹脂 20.0部
(クラレポバールPVA117;株式会社クラレ社製)
水 190.0部
IPA 190.0部
(染料層用塗工液の準備)
下記組成の染料層用塗工液1、2をそれぞれ準備した。
<染料層用塗工液1>
C.I.ソルベントブルー63 5.0部
セルロースアセテートプロピオネート樹脂 3.0部
(CAP482−20 イーストマンケミカル(株)製)
メチルエチルケトン 46.0部
トルエン 46.0部
<染料層用塗工液2>
C.I.ソルベントブルー63 5.0部
ポリビニルブチラール樹脂 3.0部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 46.0部
トルエン 46.0部
(実施例1)
基材として、一方の面に背面層を設けたポリエチレンテレフタレート、東レ社製PETフィルム5AF48を用い、該基材上に、上記組成のプライマー層用塗工液1をワイヤーコーターバーにより、乾燥塗布量が0.15g/m2になるように塗布、乾燥してプライマー層を形成し、次いで、該プライマー層上に上記組成の染料層用塗工液1をワイヤーコーターバーにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗布、乾燥して実施例1の熱転写シートを調製した。
(実施例2〜実施例14)
プライマー層用塗工液1、及び染料層塗工液1を以下の表1に示すプライマー層用塗工液、染料層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様に実施例2〜14の熱転写シートを調製した。
(比較例1〜26)
プライマー層用塗工液1、及び染料層塗工液1を以下の表1に示すプライマー層用塗工液、染料層用塗工液に変更した以外は、実施例1と同様に実施例2〜14の熱転写シートを調製した。
Figure 2011104971
<熱転写受像シートの作製>
下記方法により熱転写受像シート1を作製した。
(1)熱転写受像シート1の作製・・・アクリル系受容層
基材シートとしてRCペーパー(三菱製紙社製、商品名:STF−150)を用い、下記組成の多孔質層形成用塗工液1、染料受容層形成用塗工液1を50℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ30μm、5μmとなるよう塗布し、5℃にて1分間冷却してゲル化させ、50℃にて5分間乾燥し、熱転写受像シート1を得た。
(i)多孔質層形成用塗工液1
・AF−1055(中空粒子、平均粒子径1μm、平均中空率55%、ロームアンドハース社製) 65重量部
・RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 35重量部
この液に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを0.04重量部添加した。
(ii)染料受容層形成用塗工液1
エマルジョン1(固形分として) 90質量部
ゼラチン(新田ゼラチン社製、商品名:RR)(固形分として) 10質量部
シリコーン系離型剤(信越化学工業社製、商品名:KF615A) 10質量部
界面活性剤(日信化学工業社製、商品名:サーフィノール440) 1質量部
染料受容層形成用塗工液中で上記成分が総固形分として25質量%となるように水にて希釈した。なおエマルジョン1の合成方法を下記に示す。
(iii)エマルジョン1の合成
500mL(リットル)三角フラスコに、共重合体形成モノマーとして、スチレン121g、エチルアクリレート77g、及びアクリル酸2gと、乳化剤としてアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)1.9gを入れ、攪拌して混合した(これを以下モノマーAと呼ぶ)。1L三口フラスコに、蒸留水200gを入れて80℃まで加熱し、先ほどのモノマーA全量の約20%程度を加え、10分間攪拌した。その後、純水20gに溶解させた過硫酸アンモニウム0.4gを加えて10分間攪拌した後、残り80%のモノマーAを滴下ロートにて3時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌した。その後室温まで冷却し、#150メッシュ(日本織物)にてろ過し、エマルジョン1を得た(分子量240000、Tg50℃)。また、スチレン及びエチルアクリレートの分子量と反応に使用した量から、それぞれのmol比は60%及び40%となる。
(2)熱転写受像シート2の作製・・・塩ビ系の受容層
熱転写受像シート1における受容層塗工液を以下に変更した以外は、熱転写受像シート1と同様にして熱転写受像シート2を得た。
ビニブラン900(日信化学工業(株)製) 90重量部
RR(ゼラチン、新田ゼラチン(株)製) 10重量部
KF615A(シリコーン系離型剤、信越化学工業(株)製) 10重量部
この液に対し、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを0.2重量部添加した。
<焦げ評価>
実施例1〜14、比較例1〜26の熱転写シートを40℃、90%RHの条件環境下に、一週間保存し、次いで室温に一時間放置した後に、該熱転写シートをシチズン・システム(株)製:CW−01用純正リボンのYe部、Mg部、Cy部に貼り、上記の熱転写受像シート1、熱転写受像シート2と組合せて、35℃、80%RHの環境下で、元Ye部、元Mg部、元Cy部を順次重ね合わせてベタ(階調255/255)印刷を行い、以下の評価基準により焦げの評価を行った。評価結果を表1に併せて示した。なお、表1に示すように、染料層用塗工液1(CAP樹脂)を用いて形成された実施例及び比較例の熱転写シートについては、熱転写受像シート1(アクリル系の受容層)と組合せて評価を行い、染料層用塗工液2(ブチラール系樹脂)を用いて形成された実施例及び比較例については、熱転写受像シート2(塩ビ系の受容層)と組合せて評価を行った。
評価基準
○:コゲを目視で確認できない。
×:印画物に部分的なコゲが認められる。
××:印画物全面にコゲが認められる
<印画濃度評価>
実施例1〜14、比較例1〜26の熱転写シートを、シチズン・システムズ(株)製:MEGA PIXEL III用純正リボンのCy部に貼り、上記の熱転写受像シート1、熱転写受像シート2と組合せて、シアンベタ(階調255/255)の印画パターンを印画し、SpectroLino(グレタグマクベス社製)にて、印画部の最高濃度(シアン)を測定した。そして、比較例17もしくは比較例18に係る熱転写シートを貼り付けたリボン(以下、基準リボンという)を基準とし、以下の評価基準にて該基準リボンに対する最高濃度の比率を評価した。評価結果を表1に併せて示した。
(評価基準)
○:基準リボンと比較して、最高濃度が90〜110%以上
×:基準リボンと比較して、最高濃度が90%未満
表1に示すように、Tgが30℃以上の樹脂がディスパージョン又はエマルジョン状態で分散されたプライマー層用塗工液を用いて形成された実施例1〜14の熱転写シートは、水系の受容層を用いた場合であっても焦げ評価、印画濃度ともに良好な評価を得た。
これに対し、ディスパージョン又はエマルジョン状態で分散された樹脂のTgが30℃未満の比較例1〜12の転写シートは、焦げの発生はないものの、Tgが30℃未満であることから印画濃度が低下した。また、「溶剤系のプライマー層」を有する比較例13〜16の転写シートは、プライマー層と染料層とが混ざり合うため印画濃度が低下した。また、「水溶性のプライマー層」を有する比較例17〜26の熱転写シートは、印画濃度の低下は見られないものの、熱転写シートのプライマー層の含水率が高くなり焦げの発生が確認された。
以上の結果、本発明の熱転写シートの製造方法により製造された熱転写シートは、水系受容層を備える熱転写受像シートに適用しても、焦げが発生せず、かつ印画濃度が低下しないことが確認された。さらには、印画後の印画物に高い光沢感を付与することができる。
本発明の実施の形態に係る熱転写シートの製造方法の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態に係る熱転写シートを示す模式断面図である。
10、20・・・熱転写シート
1・・・基材
2・・・プライマー層
3・・・染料層
4・・・背面層
21・・・プライマー層用塗工液
22・・・Tg30℃以上の樹脂
23・・・分散液

Claims (4)

  1. 基材の一方の面にプライマー層、染料層がこの順で設けられた熱転写シートの製造方法であって、
    Tgが30℃以上の樹脂を、ディスパージョン又はエマルジョン状態で分散液に分散させたプライマー層用塗工液を、基材上に塗工・乾燥してプライマー層を形成し、該プライマー層上に染料層を形成することを特徴とする熱転写シートの製造方法。
  2. 前記樹脂が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂の群から選択される一種、または二種以上の混合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シートの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により製造された熱転写シート。
  4. 請求項3に記載の熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せであって、
    前記熱転写受像シートが水系受容層を有する熱転写受像シートであることを特徴とする熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ。
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