発明者らは、感光体の寿命は、勿論のこと、クリーニングブレード、帯電ローラ、中間転写ベルト等の感光体の周囲に設けられている全ての部材を長寿命化するシステムを実現するためには、どのようにしたらよいか鋭意検討した。
まず、発明者らは、クリーニングブレードと感光体の間の摩擦力を下げれば、クリーニングブレードと感光体の両方の長寿命化につながると考え、クリーニングブレードと感光体間の摩擦力を低下させる方法を検討した。摩擦力を低下させる方法として、金属石鹸を感光体に絶えず供給し、塗布する方法が知られているが、金属石鹸は、感光体の長寿命化には寄与するが、金属石鹸の塗布量を増加させると、劣化した金属石鹸がクリーニングブレードの劣化を加速させることから、金属石鹸のみでは、感光体とクリーニングブレードを長寿命化する方法を見出せなかった。
そこで、金属石鹸の塗布量を増加させることに替えて、クリーニングブレードと感光体の間の摩擦を低減する潤滑剤がないか検討した。具体的には、金属石鹸を絶えず塗布しながら、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エチレンアクリル樹脂、フッ素樹脂等の潤滑剤を、一種類又は二種類以上混合して、クリーニングブレードに付着させ、画像形成を行ってみた。しかし、これらの潤滑剤をクリーニングブレードに付着させることによって、画像形成の初期における、クリーニングブレードと感光体の磨耗が抑制され、クリーニングブレードと感光体の寿命は多少延びるが、感光体、クリーニングブレード、帯電ローラ、中間転写ベルトの寿命が劇的に延びることはなかった。これらの潤滑剤をクリーニングブレードに付着させた場合、クリーニングブレードに付着させた、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エチレンアクリル樹脂、フッ素樹脂等の潤滑剤は、画像を形成していくうちに、クリーニングブレードから脱離し、画像形成枚数の増加と共に、クリーニングブレードの微細な振動を抑制する効果が小さくなってしまう。また、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エチレンアクリル樹脂、フッ素樹脂等の潤滑剤の量や混合比を変えてクリーニングブレードに付着させることも検討してみたが、クリーニングブレードにそれらの潤滑剤を付着させない場合よりもクリーニングブレードの劣化は軽減されはしたが、その量や混合比が及ぼす効果は小さい。このように、クリーニングブレードに、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エチレンアクリル樹脂、フッ素樹脂等の潤滑剤を付着させても、長期に亘って画像を形成していくと、クリーニングブレードは劣化し、クリーニングブレードの寿命を大きく延ばすには至らなかった。また、クリーニングブレードの微細な振動により、絶えず供給した金属石鹸やトナーがすり抜けて、帯電ローラに飛散し、帯電不良が発生した。特に、帯電不良が発生した帯電ローラをSEMで観察すると、帯電ローラの付着物の主成分が金属石鹸であることがわかった。
一方、金属石鹸及び窒化ホウ素を感光体に絶えず供給塗布して画像を形成したところ、クリーニングブレードを長寿命化することができ、金属石鹸やトナーのすり抜けも抑制されて、帯電不良が発生しなかった。このことから、感光体に金属石鹸及び窒化ホウ素を塗布すると、感光体、クリーニングブレード、帯電ローラの全ての部材の長寿命化を実現できることがわかった。
しかしながら、窒化ホウ素は高価であることから、窒化ホウ素の使用量を減少させても、各部材を長寿命化できないか検討した。その結果、窒化ホウ素を絶えず供給すると、窒化ホウ素の使用量は増大するが、窒化ホウ素の大部分は、感光体上に固定されておらず、トナーと共に現像されたり、トナーと共に排出されたりしていた。ただし、一定量の窒化ホウ素は、クリーニングブレード上に付着しており、付着した窒化ホウ素のほとんどは、クリーニングブレードから脱離せず、クリーニングブレードと感光体の間に存在していた。このため、クリーニングブレードの微細な振動が抑制され、金属石鹸やトナーのすり抜けも抑制されて、帯電不良が発生しなかった。このことから、予めクリーニングブレードに窒化ホウ素を付着させておけば、窒化ホウ素は、感光体、クリーニングブレード、帯電ローラの長寿命化に寄与し、窒化ホウ素を絶えず供給する必要がないことがわかり、本発明に至った。
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
図1に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ100は、感光体60と、感光体60を帯電させる帯電ローラ40と、帯電した感光体60に露光することにより形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像装置50と、トナー像が転写媒体(不図示)に転写された感光体60をクリーニングするクリーニング装置10と、クリーニングされた感光体60に金属石鹸を含む保護剤を塗布する保護剤塗布装置20と、感光体60に塗布された保護剤を薄層化する保護剤薄層化装置30を有する。
クリーニング装置10は、クリーニングブレード11と、クリーニングブレード11を支持する支持体12と、支持体12を介して、クリーニングブレード11をドラム状の感光体60に対して押圧するバネ等の押圧機構13を有する。
クリーニングブレード11は、感光体60に当接される側の先端部に窒化ホウ素を含む潤滑剤が付着している。窒化ホウ素は、クリーニングブレード11と感光体60の間の潤滑性を向上させ、クリーニングブレード11の微細な振動を抑制することができる。その結果、後述する金属石鹸やトナーがクリーニングブレード11を通過して、帯電ローラに付着することにより、スジ状の異常画像が形成されることを抑制できると考えられる。また、クリーニングブレード11の振動を抑制することにより、クリーニングブレード11の磨耗が抑制される。
このとき、クリーニングブレード11は、カウンター方式で感光体60に当接されるため、潤滑剤が過剰に感光体60の表面に付着することを抑制できる。
なお、クリーニングブレード11の使用中に、窒化ホウ素は、ほとんど脱離しないため、使用前の状態でクリーニングブレード11に窒化ホウ素を付着させておけば、クリーニングブレード11を長期間使用しても画質の低下を抑制することができる。
窒化ホウ素の一次粒子又は二次粒子のサイズは、通常、10μm程度であり、2〜8μm程度であることが好ましい。
なお、窒化ホウ素は、疎水性を向上させる目的で表面処理されていてもよい。
また、使用開始後、極初期の感光体60は、表面にトナーが存在していないため、クリーニングブレード11との摩擦力が大きくなりやすいことを考慮すると、潤滑剤は、金属石鹸をさらに含むことが好ましい。これにより、感光体60とクリーニングブレード11の間の潤滑性をさらに向上させることができる。このとき、クリーニングブレード11の使用に伴い、金属石鹸は脱離するが、感光体60の表面にトナーが存在するため、感光体60とクリーニングブレード11の間の潤滑性を保持することができる。
金属石鹸としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
金属石鹸の一次粒子又は二次粒子のサイズは、0.1μm〜数μm程度であることが好ましい。
窒化ホウ素及び金属石鹸の総質量に対する窒化ホウ素の質量の比は、通常、10%以上であり、30〜90%が好ましく、50〜80%がさらに好ましい。この比が10%未満であると、クリーニングブレード11と感光体60の間の潤滑性が不十分になることがある。
潤滑剤が付着している領域における窒化ホウ素の平均付着量は、通常、0.01〜1mg/cm2であり、0.05〜0.2mg/cm2が好ましい。窒化ホウ素の平均付着量が0.01mg/cm2未満であると、クリーニングブレード11と感光体60の潤滑性が不十分となり、クリーニングブレード11の微細な振動を防ぐ効果を発揮しないことがある。一方、窒化ホウ素の平均付着量が1mg/cm2を超えると、クリーニングブレード11と感光体60の間で窒化ホウ素が過剰に存在するため、窒化ホウ素がクリーニングブレード11に保持されずに、大量にトナーと共に排出されることがある。
潤滑剤が付着している領域は、通常、クリーニングブレード11の先端からの距離が3mm以下であり、1mm以下が好ましい。クリーニングブレード11の先端からの距離が3mmを超える領域に付着している潤滑剤は、潤滑剤の効果を発揮しないことがある。
なお、潤滑剤は、窒化ホウ素を含んでいればよく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂;ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーン等のシリコーン樹脂;アクリル樹脂;エチレンアクリル樹脂;マイカ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト等の無機化合物;トナー等の潤滑性物質をさらに含んでいてもよい。なお、無機化合物は、疎水性を向上させる目的で表面処理されていてもよい。
クリーニングブレード11に潤滑剤を付着させる際には、窒化ホウ素とクリーニングブレード11の静電力を利用する。具体的には、ハケ、ブラシ、スポンジ、ローラ等に潤滑剤の粉末を付着させた後、クリーニングブレード11の表面をなぞったり、潤滑剤の粉末が収容されている容器にクリーニングブレード11を挿入したりする。また、水及び潤滑剤が収容されている容器に、クリーニングブレード11を浸水させた後、引き上げて、乾燥してもよい。このとき、窒化ホウ素は水に浮くため、クリーニングブレード11を引き上げる際に、静電力で、窒化ホウ素がクリーニングブレード11に付着する。また、クリーニングブレード11を感光体60に当接させると、窒化ホウ素がさらに強固にクリーニングブレード11に付着する。
なお、水の代わりに、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン、リグロイン等の芳香族炭化水素類等を用いてもよい。
クリーニングブレード11を構成する材料としては、特に制限されないが、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体が挙げられ、二種以上併用してもよい。また、クリーニングブレード11は、硬度を調整するために、有機フィラー、無機フィラー等の充填材が分散されていてもよい。さらに、クリーニングブレード11は、感光体60と当接する領域が低摩擦係数材料でコーティングや含浸処理されていてもよい。
クリーニングブレード11の厚さは、通常、0.5〜5mm程度であり、1〜3mm程度が好ましい。また、クリーニングブレード11の長さは、通常、1〜15mm程度であり、2〜10mm程度が好ましい。
クリーニングブレード11を支持体12に固定する方法としては、特に限定されないが、接着、融着等が挙げられる。
クリーニングブレード11を感光体60に対して押圧する線圧は、通常、5〜80gf/cmであり、10〜60gf/cmが好ましい。
なお、クリーニングブレード11は、感光体60に当接される側の先端が直角であるが、鈍角であってもよい。感光体60に当接される側の先端が直角であるクリーニングブレード11を用いる場合は、図2(a)に示すように、感光体60の回転によりクリーニングブレード11の先端が引き込まれやすい。一方、感光体60に当接される側の先端が鈍角であるクリーニングブレード11'を用いる場合は、図2(b)に示すように、クリーニングブレード11'の先端が引き込まれにくいため、感光体60を安定的にクリーニングすると考えられる。
保護剤塗布装置20は、金属石鹸を含む保護剤を円柱状、四角柱状、六角柱状等のバー状にした保護剤バー21と、保護剤バー21が左右前後に振れないように支持する支持ガイド22と、保護剤バー21と接触する繊維23aが芯金23bに植毛されており、保護剤バー21から繊維23aに移行した保護剤を感光体60の表面に塗布するブラシ23と、保護剤バー21をブラシ23に対して押圧して保護剤をブラシ23に移行させるバネ等の押圧機構24を有する。
このように、保護剤バー21をブラシ23に対して押圧することにより、保護剤バー21からブラシ23に保護剤が移行するが、押圧力を変化させることにより、保護剤の供給量を変化させることができる。このとき、ブラシ23を感光体60よりも大きい線速で回転させて、ブラシ23の先端で感光体60の表面を摺擦することにより、ブラシ23の表面に保持された保護剤を感光体60の表面に塗布する。また、感光体60の表面に保護剤を塗布すると共に、薄層化することにより、保護剤が感光体60の表面に保持されやすくなる。このため、帯電ローラ40に保護剤が付着することによる異常画像の発生を抑制することができる。
保護剤に含まれる金属石鹸としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、パルミチン酸亜鉛及びステアリン酸亜鉛を含む金属石鹸が好ましい。
金属石鹸として、ステアリン酸亜鉛を用いると、感光体60の線速が大きくなると、感光体60の表面で金属石鹸が薄層化されにくくなることがある。このとき、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を混合することにより、感光体60の線速が大きくても、感光体60の表面で金属石鹸が十分に薄層化される。これは、パルミチン酸亜鉛がステアリン酸亜鉛との相溶性が高いことに加え、ステアリン酸亜鉛に比べて融点が低いためである。
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の質量比は、通常、75:25〜40:60であり、66:34〜40:60が好ましい。
保護剤は、窒化ホウ素をさらに含み、保護剤に含まれる、窒化ホウ素及び金属石鹸の総質量に対する窒化ホウ素の質量の比が30%以下であることが好ましく、10%以下がさらに好ましい。これにより、クリーニングブレード11や後述するブレード31と、感光体60の間の潤滑性を長期間保持することができる。質量の比が30%を超えると、窒化ホウ素が感光体60の表面に付着しすぎて不具合が発生することがある。
また、保護剤は、アルミナをさらに含むことが好ましい。これにより、感光体60の表面に過剰に塗布された金属石鹸や窒化ホウ素を研磨することができる。
保護剤中のアルミナの含有量は、金属石鹸に対して、通常、2〜15質量%であり、3〜10質量%が好ましく、4〜8質量%がさらに好ましい。保護剤中のアルミナの含有量が、金属石鹸に対して、2質量%未満であると、金属石鹸や窒化ホウ素を十分に研磨できなくなることがあり、15質量%を超えると、アルミナが感光体60を傷つけやすくなることがある。
アルミナの平均粒径は、通常、0.05〜0.5μmであり、0.1〜0.4μmが好ましく、0.2〜0.3μmがさらに好ましい。アルミナの平均粒径が0.05μm未満であると、金属石鹸や窒化ホウ素を十分に研磨できなくなることがあり、0.5μmを超えると、アルミナが感光体60を傷つけやすくなることがある。
保護剤バー21を作製する方法としては、特に限定されないが、保護剤を溶融させた後、成型型に投入し、冷却する溶融成型法、保護剤の粉末を圧縮する圧縮成型法等が挙げられる。
ブラシ23としては、特に限定されないが、繊維23aをパイル地にしたテープを金属製の芯金23bにスパイラル状に巻き付けたロールブラシが挙げられる。
ブラシ23の繊維23aを構成する材料としては、可撓性を有していれば、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリエステル;ナイロン;アクリル樹脂;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
また、繊維23aは、可撓性を調整するために、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等が複合されていてもよい。
繊維23aの直径は、通常、10〜500μmであり、20〜300μmが好ましい。繊維23aの直径が10μm未満であると、保護剤の塗布速度が不十分となることがあり、500μmを超えると、保護剤の塗布ムラが発生することがある。
繊維23aの長さは、通常、1〜15mmであり、3〜10mmが好ましい。繊維23aの長さが1mm未満であると、芯金23bと感光体60が接触しやすくなることがあり、15mmを超えると、感光体60の表面に保護剤を十分に供給することが困難になることがある。
繊維23aが植毛されている密度は、通常、1×104〜3×105本/inch2(1.5×107〜4.5×108本/m2)である。密度が1×104本/inch2未満であると、保護剤の塗布ムラが発生することがある。なお、密度が3×105本/inch2を超えるブラシ23は、繊維23aの直径を小さくする必要がある。
繊維23aは、安定性や保護剤の塗布の均一性の面から、数本〜数百本の微細な繊維が束ねられている繊維から構成されていてもよい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維が50本束ねられている繊維23aが挙げられる。
また、繊維23aは、保護剤の塗布効率が高いことから、直径が28〜43μm、好ましくは30〜40μmである単繊維であってもよい。単繊維の直径が28μm未満であると、保護剤の塗布効率が低くなることがあり、43μmを超えると、感光体60を傷つけやすくなることがある。このような単繊維は、芯金23bに対して、垂直に植毛されていることが好ましく、静電気を利用した、所謂、静電植毛を用いて、ブラシ23を製造することが好ましい。静電植毛は、芯金23b上に接着剤を塗布した状態で、芯金23bを帯電させた後、静電力で単繊維を飛翔させて、接着剤を硬化し、植毛する方法である。このような単繊維の密度は、通常、5×104〜6×105本/inch2である。
また、表面形状や環境安定性を考慮して、繊維23aの表面に被覆層を形成してもよい。被覆層を構成する材料としては、可撓性を有していれば、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;シリコーン樹脂又はアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等により変成されたシリコーン樹脂;パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、保護剤塗布装置20を用いて感光体60の表面に保護剤を塗布する代わりに、保護剤の粉末を感光体60の表面に供給してもよい。この場合、保護剤の粉末を収容する容器と、保護剤の粉末を搬送する保護剤搬送装置を用いることができる。保護剤搬送装置としては、特に限定されないが、ポンプ、オーガー等が挙げられる。
保護剤薄層化装置30は、ブレード31と、ブレード31を支持する支持体32と、支持体32を介して、ブレード31をドラム状の感光体60に対して押圧するバネ等の押圧機構33を有する。
ブレード31は、感光体60に当接される側の先端部に窒化ホウ素を含む潤滑剤が付着している。窒化ホウ素は、ブレード31と感光体60の間の潤滑性を向上させ、ブレード31の微細な振動を抑制することができる。その結果、保護剤を均一に薄層化することができる。また、ブレード31の振動を抑制することにより、ブレード31の磨耗が抑制される。
このとき、ブレード31は、カウンター方式で感光体60に当接されるため、潤滑剤が過剰に感光体60の表面に付着することを抑制できる。
なお、ブレード31の使用中に、窒化ホウ素は、ほとんど脱離しないため、使用前の状態でブレード31に窒化ホウ素を付着させておけば、ブレード31を長期間使用することができる。
なお、窒化ホウ素は、疎水性を向上させる目的で表面処理されていてもよい。
窒化ホウ素の一次粒子又は二次粒子のサイズは、通常、10μm程度であり、2〜8μm程度であることが好ましい。
また、使用開始後、極初期の感光体60は、表面にトナーが存在していないため、ブレード31との摩擦力が大きくなりやすいことを考慮すると、潤滑剤は、金属石鹸をさらに含むことが好ましい。これにより、感光体60とブレード31の間の潤滑性をさらに向上させることができる。このとき、ブレード31の使用に伴い、金属石鹸は脱離するが、感光体60の表面にトナーが存在するため、感光体60とブレード31の間の潤滑性を保持することができる。
金属石鹸としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
金属石鹸の一次粒子又は二次粒子のサイズは、0.1μm〜数μm程度であることが好ましい。
窒化ホウ素及び金属石鹸の総質量に対する窒化ホウ素の質量の比は、通常、10%以上であり、30〜90%が好ましく、50〜80%がさらに好ましい。この比が10%未満であると、ブレード31と感光体60の間の潤滑性が不十分になることがある。
潤滑剤が付着している領域における窒化ホウ素の平均付着量は、通常、0.01〜1mg/cm2であり、0.05〜0.2mg/cm2が好ましい。窒化ホウ素の平均付着量が0.01mg/cm2未満であると、ブレード31と感光体60の潤滑性が不十分となり、ブレード31の微細な振動を防ぐ効果を発揮しないことがある。一方、窒化ホウ素の平均付着量が1mg/cm2を超えると、ブレード31と感光体60の間で窒化ホウ素が過剰に存在するため、窒化ホウ素がブレード31に保持されずに、大量にトナーと共に排出されることがある。
潤滑剤が付着している領域は、通常、ブレード31の先端からの距離が3mm以下であり、1mm以下が好ましい。ブレード31の先端からの距離が3mmを超える領域に付着している潤滑剤は、潤滑剤の効果を発揮しないことがある。
なお、潤滑剤は、窒化ホウ素を含んでいればよく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂;ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーン等のシリコーン樹脂;アクリル樹脂;エチレンアクリル樹脂;マイカ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト等の無機化合物;トナー等の潤滑性物質をさらに含んでいてもよい。なお、無機化合物は、疎水性を向上させる目的で表面処理されていてもよい。
ブレード31に潤滑剤を付着させる際には、窒化ホウ素とブレード31の静電力を利用する。具体的には、ハケ、ブラシ、スポンジ、ローラ等に潤滑剤の粉末を付着させた後、ブレード31の表面をなぞったり、潤滑剤の粉末が収容されている容器にブレード31を挿入したりする。また、水及び潤滑剤が収容されている容器に、ブレード31を浸水させた後、引き上げて、乾燥してもよい。このとき、窒化ホウ素は水に浮くため、ブレード31を引き上げる際に、静電力で、窒化ホウ素がブレード31に付着する。また、ブレード31を感光体60に当接させると、窒化ホウ素がさらに強固にブレード31に付着する。
なお、水の代わりに、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン、リグロイン等の芳香族炭化水素類等を用いてもよい。
ブレード31を構成する材料としては、特に制限されないが、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体が挙げられ、二種以上併用してもよい。また、ブレード31は、硬度を調整するために、有機フィラー、無機フィラー等の充填材が分散されていてもよい。さらに、ブレード31は、感光体60と当接する領域が低摩擦係数材料でコーティングや含浸処理されていてもよい。
ブレード31の厚さは、通常、0.5〜5mm程度であり、1〜3mm程度が好ましい。また、ブレード31の長さは、通常、1〜15mm程度であり、2〜10mm程度が好ましい。
ブレード31を支持体32に固定する方法としては、特に限定されないが、接着、融着等が挙げられる。
ブレード31を感光体60に対して押圧する線圧は、通常、5〜80gf/cmであり、10〜60gf/cmが好ましい。
なお、ブレード31は、感光体60に当接される側の先端が直角であるが、クリーニングブレード11と同様に、感光体60に当接される側の先端が鈍角であってもよい。感光体60に当接される側の先端が鈍角であるブレードを用いる場合は、ブレードの先端が引き込まれにくいため、保護剤を安定的に薄膜化すると考えられる。
なお、保護剤薄層化装置30の代わりに、バネ板等の弾性金属ブレードの表面に表面層を形成したものを用いてもよい。弾性金属ブレードの厚さは、通常、0.05〜3mm程度であり、0.1〜1mm程度が好ましい。弾性金属ブレードは、ねじれを抑制するために、取り付けた後に、支軸と略平行となる方向に、曲げ加工してもよい。
表面層を構成する材料としては、特に限定されないが、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂;フッ素系ゴム;メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマー等が挙げられ、二種以上併用してもよい。また、表面層は、硬度を調整するために、有機フィラー、無機フィラー等の充填材が分散されていてもよい。
表面層を形成する方法としては、特に限定されないが、コーティング法、ディッピング法等が挙げられる。なお、弾性ブレードの表面に、カップリング剤、プライマー成分等を介して、表面層を形成し、必要に応じて、熱硬化してもよい。また、表面層を研摩してもよい。
帯電ローラ40は、感光体60と接触した状態又は感光体60と20〜100μmの距離で近接した状態で設置され、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を感光体60に印加する。このとき、感光体60と帯電ローラ40の間で1秒間に数百回以上放電されることから、感光体60は、放電による劣化を受けやすい。また、感光体60に保護剤を塗布しても、放電により保護剤が劣化しやすいことから、常時一定量の保護剤を感光体60に塗布しておくことが好ましい。
帯電ローラ40は、導電性支持体上に、樹脂層及び表面層が順次積層されており、表面のダイナミック超微小硬度が0.04〜0.5である。
導電性支持体としては、帯電ローラ40の電極及び支持部材として機能するものであれば、特に限定されないが、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金、クロム、ニッケル等でめっきした鉄、導電剤を添加した樹脂等が挙げられる。
弾性層は、ゴム材料及び導電剤を含み、体積抵抗率が1×106〜1×109Ω・cmである。
ゴム材料としては、特に限定されないが、ポリエステル系、オレフィン系の熱可塑性エラストマー、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系熱可塑性樹脂、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。なお、これらのゴム材料は発泡していてもよい。
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤を用いることができ、二種以上併用してもよい。
電子導電剤としては、特に限定されないが、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの等が挙げられる。弾性層中の電子導電剤の含有量は、樹脂に対して、通常、1〜30質量%であり、15〜25質量%が好ましい。
イオン導電剤としては、特に限定されないが、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等が挙げられる。弾性層中のイオン導電剤の含有量は、樹脂に対して、通常、0.1〜5.0質量%であり、0.5〜3.0質量%が好ましい。
表面層は、樹脂を含み、必要に応じて、上記の導電剤、微粒子をさらに含んでもよい。
樹脂としては、特に制限されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、トナーの離型性の観点から、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミドが好ましい。樹脂の数平均分子量は、通常、1×103〜1×105であり、1×104〜5×104が好ましい。
微粒子としては、特に限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物及び複合金属酸化物;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂が挙げられ、二種以上併用してもよい。
現像装置50は、トナーを含む現像剤を担持しながら搬送する現像ローラ51と、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌搬送スクリュー52及び53を有する。このとき、現像ローラ51は、現像装置50のケーシングの開口から部分的に露出している。なお、現像剤は、トナーとキャリアから構成される二成分現像剤及びキャリアを含まない一成分現像剤のいずれであってもよい。
次に、二成分現像剤を用いて、静電潜像を現像する方法について説明する。トナーボトル(不図示)から現像装置50内に補給されたトナーは、攪拌搬送スクリュー52及び53により、キャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ51上に担持される。現像ローラ51は、磁界を発生するマグネットローラと、マグネットローラの周りを同軸回転する現像スリーブから構成されている。キャリアは、マグネットローラが発生する磁力により現像ローラ51上に穂立ちした状態となって、感光体60と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ51は、現像領域において感光体60の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ51上に穂立ちしたキャリアは、感光体60の表面を摺擦しながら、キャリアに付着したトナーを感光体60の表面に供給する。このとき、現像ローラ51には、電源(不図示)から現像バイアスが印加され、現像領域に現像電界が形成される。これにより、感光体60に形成された静電潜像にトナーが付着して現像され、感光体60にトナー像が形成される。
感光体60は、導電性支持体上に感光層が設けられている。感光層の構成としては、電荷発生物質と電荷輸送物質を混在させた単層型、電荷発生層上に電荷輸送層を設けた順層型、電荷輸送層上に電荷発生層を設けた逆層型が挙げられる。また、感光層上に表面層が設けられていてもよく、感光層と導電性支持体の間に、下引き層が設けられていてもよい。
導電性支持体としては、体積抵抗率が1010Ω・cm以下であれば、特に限定されないが、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングすることにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板、このような板を押し出し、引き抜き等の工法でドラム状に素管化した後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理をした管等が挙げられる。
ドラム状の導電性支持体の直径は、通常、20〜150mmであり、24〜100mmが好ましく、28〜70mmがさらに好ましい。直径が20mm未満であると、感光体60の周囲に、帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程で使用する部材を配置することが物理的に難しくなることがある。なお、直径が150mmを超えると、画像形成装置のサイズが大きくなる。特に、画像形成装置1000の場合には、複数の感光体60を搭載する必要があるため、導電性支持体の直径は、通常、70mm以下であり、60mm以下が好ましい。
また、導電性支持体として、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも用いることができる。
下引き層としては、樹脂又は白色顔料と樹脂を主成分とする膜、導電性支持体の表面を化学的又は電気化学的に酸化させた酸化金属膜等が挙げられるが、白色顔料と樹脂を主成分とする膜が好ましい。なお、下引き層は、一層であっても、複数の層から構成されていてもよい。
樹脂としては、特に限定されないが、ポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂;アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、二種以上併用してもよい。
白色顔料としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、中でも、導電性支持体からの電荷の注入の防止に優れることから、酸化チタンが好ましい。
電荷発生物質としては、特に限定されないが、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ顔料等のアゾ顔料、トリアリールメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサンテン系染料、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系染料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、インダスロン系顔料、スクアリリウム系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機材料、セレン、セレン−ヒ素、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アモルファスシリコン等の無機材料が挙げられ、二種以上併用してもよい。
電荷輸送物質としては、特に限定されないが、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、テトラゾール誘導体、メタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチリルヒドラゾン化合物、エナミン化合物、ブタジエン化合物、ジスチリル化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
感光層を形成するのに用いることが可能な結着樹脂としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネ−ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の光導電性樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、各層に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を添加することもできる。
可塑剤としては、特に限定されないが、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。可塑剤の添加量は、結着樹脂に対して、通常、0〜30質量%である。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソール等のモノフェノール系化合物;2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール系化合物;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類等の高分子フェノール系化合物;N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系化合物;2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネート等の有機硫黄化合物;トリフェニルホスフィン、トリス(ノニルフェニル)ホスフィン、トリス(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリス(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等の有機リン化合物等が挙げられる。
レベリング剤としては、特に限定されないが、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられる。レベリング剤の添加量は、結着樹脂に対して、通常、0〜1質量%である。
表面層は、樹脂を含むが、電荷輸送物質や、電荷輸送能力を有する樹脂を含むことが好ましい。表面層は、通常、厚さが0.01〜12μmであり、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがさらに好ましい。表面層の厚さが0.1μm未満であると、クリーニングブレード11との摩擦により部分的に消失しやすくなることがあり、12μmを超えると、感光体60の感度が低下したり、露光後の電位が上昇したり、残留電位が上昇したりしやすくなることがある。
表面層は、画像形成時の書き込み光に対して透明で、絶縁性、機械的強度、接着性に優れたポリカーボネートを含むが、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂をさらに含んでもよい。
表面層に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいが、多官能のアクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を有する硬化剤を用いて熱硬化性樹脂を硬化した樹脂であることが好ましい。これにより、表面層の機械的強度が増大し、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を抑制することができる。
表面層は、機械的強度を向上させるために、フィラーが分散されていることが好ましい。フィラーとしては、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、窒化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等の無機フィラー;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の有機フィラーが挙げられる。なお、有機フィラーは、無機材料が分散されていてもよい。
次に、プロセスカートリッジ100を用いて画像を形成する方法について説明する。トナー像が転写媒体に転写された感光体60は、部分的に劣化した保護剤やトナー等が表面に残留しているため、クリーニング装置10によりクリーニングされる。クリーニングされた感光体60の表面には、保護剤塗布装置20により、保護剤が塗布される。表面に保護剤が塗布された感光体60は、帯電ローラ40により帯電された後、露光されて静電潜像が形成される。感光体60に形成された静電潜像は、現像装置50により現像されてトナー像が形成された後、転写媒体に転写される。
図3及び図4に、プロセスカートリッジ100の変形例を示す。
プロセスカートリッジ100Aは、押圧機構13及び33を省略して、支持体12及び32の代わりに、支持体12A及び32Aを設ける、即ち、クリーニング装置10及び保護剤薄層化装置30の代わりに、クリーニング装置10A及び保護剤薄層化装置30Aを用いる以外は、プロセスカートリッジ100と同一の構成である。
プロセスカートリッジ100Bは、支持体32Aの代わりに、ブレード31をトレーディング方式で感光体60に当接させる支持体32Bを設ける、即ち、保護剤薄層化装置30Aの代わりに、保護剤薄層化装置30Bを用いる以外は、プロセスカートリッジ100Aと同一の構成である。
図5に、本発明の画像形成装置の一例を示す。画像形成装置1000は、画像形成部(プリンタ部)1100と、画像形成部1100の上部に設置された原稿読み取り部(スキャナ部)1200と、原稿読み取り部1200の上に設置された原稿自動給紙装置(ADF)1300と、画像形成部1100の下部に設置された給紙部1400とを備えており、複写機の機能を有している。また、画像形成装置1000は、外部装置との通信機能を有しており、外部のパーソナルコンピュータ等と接続することにより、プリンタやスキャナとして用いることができる。また、電話回線や光回線と接続することにより、ファクシミリとして用いることができる。
画像形成部1100には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像を形成する4個のプロセスカートリッジ100が着脱自在に設けられている。各色のトナー像は、転写ローラ80を用いて、複数のローラに張架された中間転写ベルト90に順次転写され、重ね合わされてフルカラーのトナー像が形成される。このとき、レーザー走査方式の露光装置70から4個のプロセスカートリッジの感光体60にレーザー光が照射される。また、中間転写ベルト90に形成されたフルカラーのトナー像は、転写ローラ110を用いて、紙に転写される。
なお、中間転写ベルト90の代わりに、中間転写ドラムを用いてもよい。
次に、画像形成装置1000の動作について説明する。ここでは、画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明する。なお、4個のプロセスカートリッジ100の動作は同一であるので、1個のプロセスカートリッジ100の動作を説明する。
感光体60は、除電ランプ(不図示)で除電された後、帯電ローラ40で均一にマイナスに帯電される。帯電された感光体60は、露光装置70により照射されるレーザー光で静電潜像が形成される。このとき、半導体レーザー等のレーザー光源から発せられたレーザー光は、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)を有する光偏向器により偏向走査され、走査レンズ、ミラーを有する走査結像光学系を介して、感光体60の表面を、感光体60の回転軸方向(主走査方向)に走査する。なお、露光部の電位の絶対値は、非露光部の電位の絶対値よりも小さくなる。
このようにして形成された静電潜像が、現像装置50を用いて現像され、トナー像が形成される。なお、静電潜像を現像する際には、電圧印加機構(不図示)から現像ローラ51の現像スリーブに、感光体60の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧が重畳されている現像バイアスが印加される。
各色に対応したプロセスカートリッジ100の感光体60に形成されたトナー像は、転写ローラ80を用いて、中間転写ベルト90に、順次転写され、重ね合わされる。
一方、給紙部1400の多段の給紙カセット120の中の選択された給紙カセットから、給紙ローラ130及び分離ローラ140からなる給紙機構を用いて、紙が給紙され、搬送ローラ150、160及び170並びにレジストローラ180を経て、搬送される。そして、中間転写ベルト90に形成されたフルカラーのトナー像が、転写ローラ110を用いて、紙に転写される。なお、転写ローラ80及び110には、トナーの帯電極性と逆極性の転写バイアスが印加されることが好ましい。フルカラーのトナー像が転写された紙は、搬送装置190を用いて搬送され、定着装置200を用いて加熱加圧定着される。フルカラーのトナー像が加熱加圧定着された紙は、搬送装置210及び排紙ローラ220を用いて排紙トレイ230に排紙される。
また、画像形成装置1000は、両面プリント機能も備えており、両面プリント時には、定着装置200の下流の搬送路を切り換え、フルカラーのトナー像が定着された紙は、両面用搬送装置240を用いて、表裏反転され、搬送ローラ170及びレジストローラ180を経て、搬送される。そして、中間転写ベルト90に形成されたフルカラーのトナー像が、転写ローラ110を用いて、紙に転写される。フルカラーのトナー像が転写された紙は、上記と同様にして、定着装置200を用いて加熱加圧定着された後、排紙トレイ230に排紙される。
一方、トナー像が転写された感光体60に残留するトナーは、クリーニング装置10を用いて除去される。また、フルカラーのトナー像が転写された中間転写ベルト90に残留するトナーは、クリーニング装置250を用いて除去される。
なお、画像形成装置1000において、中間転写ベルト90を用いなくてもよい。この場合は、中間転写ベルト90の代わりに、紙を担持搬送する転写ベルトを用い、各色に対応したプロセスカートリッジ100の感光体60に形成されたトナー像を紙に順次転写する。
次に、中間転写ベルト90について説明する。
中間転写ベルト90は、体積抵抗率が1×105〜1×1011Ω・cmであることが好ましい。体積抵抗率が1×105Ω・cm未満であると、感光体60から中間転写ベルト90にトナー像が転写される際に、放電を伴ってトナー像が乱れるいわゆる転写チリが発生することがあり、1×1011Ω・cmを超えると、中間転写ベルト90から紙にフルカラーのトナー像を転写した後に、中間転写ベルト90にフルカラーのトナー像の対抗電荷が残留し、次に形成される画像上に残像として現れることがある。
また、中間転写ベルト90は、表面抵抗率が1×108〜1×1013Ω/sqであることが好ましい。表面抵抗率が1×108Ω/sq未満であると、トナー像が乱れたり、転写チリが発生したりすることがあり、1×1013Ω/sqを超えると、感光体60から中間転写ベルト90にトナー像を転写しにくくなることがある。
中間転写ベルト90としては、特に限定されないが、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物;カーボンブラック等の導電性粒子;導電性高分子を熱可塑性樹脂と共に混練した後、押し出し成型したもの、熱硬化性のモノマーやオリゴマーを含む液に、必要に応じて、導電性粒子;導電性高分子を添加した後、加熱しながら遠心成型したもの等が挙げられる。
中間転写ベルト90は、保護層が設けられていてもよい。保護層としては、感光体60の保護層から電荷輸送材料を除き、必要に応じて、導電性物質を添加して抵抗を調整したものを用いることができる。
次に、トナーについて説明する。
トナーは、平均円形度が0.93〜1.00であることが好ましい。このようなトナーの表面は滑らかであり、トナー同士、トナーと感光体60との接触面積が小さいため、転写性に優れる。また、トナーに角が少ないため、現像装置50内での現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するため、異常画像が発生しにくい。さらに、ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナーが少ないため、トナー像を転写媒体に転写する際に、転写中抜けが発生しにくい。また、トナーが角張っていないことから、トナーの研磨力が小さく、感光体60の表面を傷つけたり、磨耗させたりしにくい。
トナーは、重量平均粒径が3〜10μmであることが好ましい。このようなトナーは、微小な静電潜像のドットに対して、十分に小さい粒径のトナーを有していることから、ドット再現性に優れる。重量平均粒径が3μm未満であると、転写効率が低下したり、ブレードクリーニング性が低下したりすることがあり、10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが困難になることがある。
トナーは、個数平均粒径に対する重量平均粒径の比が1.0〜1.4であることが好ましい。このようなトナーは、粒径による選択現像が起きにくいため、画質の安定性に優れる。また、摩擦帯電量の分布が狭くなり、カブリの発生を抑制できる。さらに、静電潜像のドットに対して、緻密かつ整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
なお、トナーの粒度分布及び平均円形度は、FPIA−2100(シスメックス社製)を用いて測定することができる。
このようなトナーの製造方法としては、特に限定されないが、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)、アミン類(B)、着色剤、離型剤、帯電制御剤を含み、必要に応じて、ポリエステル(C)をさらに含むトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を、樹脂粒子を含む水系媒体中で分散させた後、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させ、有機溶媒を除去する方法が好ましい。このようにして製造されるトナーは、ホットオフセットの発生を抑制できる。
水系媒体中でトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を安定に分散させる方法としては、特に限定されないが、トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中に添加して、せん断力を印加する方法等が挙げられる。せん断力を印加する際には、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機等を用いることができるが、分散体の粒径を2〜20μmにするためには、高速せん断式分散機が好ましい。
高速せん断式分散機を用いる場合、回転数は、通常、1×103〜3×104rpmであり、5×103〜2×104rpmが好ましい。また、分散させる時間は、バッチ方式の場合、通常、0.1〜5分である。また、分散させる際の温度は、通常、0〜150℃(加圧下)であり、40〜98℃が好ましい。
このとき、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を有機溶媒中に溶解又は分散させた液と、他のトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を、水系媒体中で混合してもよいが、予め混合されたトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中で分散させることが好ましい。
なお、アミン類(B)、着色剤、離型剤、帯電制御剤を含まないトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中で分散させた後、アミン類(B)、着色剤、離型剤、帯電制御剤を添加してもよい。具体的には、アミン類(B)を含まないトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中で分散させた後、アミン類(B)を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を添加して、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)と反応させてもよい。また、着色剤を含まないトナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を水系媒体中で分散させた後、染着してもよい。
有機溶媒としては、揮発性であれば、特に限定されないが、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、トルエン、キシレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム又は四塩化炭素等が好ましく、トルエン、キシレンがさらに好ましい。
有機溶媒の使用量は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)100質量部に対して、通常、0〜300質量部であり、0〜100質量部が好ましく、25〜70質量部がさらに好ましい。
水系媒体としては、水又は水と水性溶媒の混合溶媒が挙げられる。水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール;ジメチルホルムアミド;テトラヒドロフラン;メチルセロソルブ等のセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類等が挙げられる。
水系媒体の使用量は、トナー材料100質量部に対して、通常、50〜2000質量部であり、100〜1000質量部が好ましい。水系媒体の使用量が50質量部未満であると、トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を安定に分散させることができず、所定の粒径のトナーが得られなくなることがあり、2000質量部を超えると、経済的でない。
樹脂粒子を構成する樹脂は、特に限定されないが、ビニル系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、微細球状樹脂粒子が得られやすいことから、ビニル系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステルが好ましい。
ビニル系樹脂としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、水系媒体は、分散剤を含んでいてもよい。これにより、トナー材料を有機溶媒中に溶解又は分散させた液を安定に分散させることができ、粒度分布が狭いトナーが得られる。
分散剤としては、特に限定されないが、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型のカチオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等のノニオン性界面活性剤;アラニン、ドデシルビス(アミノエチル)グリシン、ビス(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
また、分散剤として、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いると、添加量を非常に少量とすることができる。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102、(タイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(DIC社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−150(ネオス社製)等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級又は3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
フルオロアルキル基を有するカチオン性界面活性剤の市販品としては、サーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(DIC社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
水に難溶の無機化合物の分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
なお、分散剤として、リン酸カルシウムを用いた場合は、塩酸等の酸を用いて、リン酸カルシウムを溶解させた後、水洗することにより、リン酸カルシウムを除去することができる。
また、水系媒体は、高分子系保護コロイドを含んでいてもよい。
高分子系保護コロイドとしては、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコールとのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとのエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類又はこれらのメチロール化物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有するもの等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。これら以外の高分子系保護コロイドとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン類;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が挙げられる。
分散剤を用いた場合は、分散剤がトナーの表面に残存していてもよいが、トナーの帯電性の面から、洗浄して分散剤を除去することが好ましい。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる時間は、通常、10分〜40時間であり、2〜24時間が好ましい。また、反応温度は、通常、0〜150℃であり、40〜98℃が好ましい。さらに、反応時に、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等の触媒を用いてもよい。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を重縮合することにより得られる水酸基を有するポリエステルをポリイソシアネート(3)と反応させることにより得られる。
水酸基を有するポリエステルは、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要に応じて、減圧しながら生成する水を溜去して、得られる。また、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)は、水酸基を有するポリエステルとポリイソシアネート(3)を40〜140℃で反応させて、得られる。
水酸基を有するポリエステルとポリイソシアネート(3)を反応させる際、又は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際には、必要に応じて、有機溶媒中で反応させてもよい。有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン等のエーテル類等のイソシアネート基に対して不活性な溶媒が挙げられる。
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)、3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、ジオール(1−1)又はジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)の混合物が好ましい。
ジオール(1−1)としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のアルキレンエーテルグリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;脂環式ジオールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物;ビスフェノール類のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。中でも、炭素数が2〜12のアルキレングリコール又はビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物又はビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数が2〜12のアルキレングリコールの混合物がさらに好ましい。
3価以上のポリオール(1−2)としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の3価以上のポリフェノール類;3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)、3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、ジカルボン酸(2−1)又はジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等のアルキレンジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸等のアルケニレンジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。中でも、炭素数が4〜20のアルケニレンジカルボン酸又は炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。
なお、ポリカルボン酸(2)の代わりに、ポリカルボン酸(2)の無水物又はメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等の低級アルキルエステルを用いてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を重縮合させる際のカルボキシル基に対する水酸基の当量比は、通常、1〜2であり、1〜1.5が好ましく、1.02〜1.3がさらに好ましい。
ポリイソシアネート(3)としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;イソシアヌレート類等が挙げられる。
なお、ポリイソシアネート(3)の代わりに、ポリイソシアネート(3)をフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものを用いてもよい。
水酸基を有するポリエステルをポリイソシアネート(3)と反応させる際の水酸基に対するイソシアネート基の当量比は、通常、1〜5であり、1.2〜4が好ましく、1.5〜2.5がさらに好ましい。当量比が1未満であると、ウレア変性ポリエステル中のウレア結合の含有量が小さくなって、耐ホットオフセット性が低下することがあり、5を超えると、低温定着性が低下することがある。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)由来の構成単位の含有量は、通常、0.5〜40質量%であり、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。この含有量が0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が低下すると共に、耐熱保存性と低温定着性を両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりのイソシアネート基の含有量は、通常、1個以上であり、1.5〜3個が好ましく、1.8〜2.5個がさらに好ましい。この含有量が1個未満であると、ウレア変性ポリエステルの分子量が小さくなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)等が挙げられる。中でも、ジアミン(B1)又はジアミン(B1)と3価以上のポリアミン(B2)の混合物が好ましい。
ジアミン(B1)としては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン;4,4'−ジアミノ−3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。
なお、アミン類(B)の代わりに、アミン類(B)をアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンでブロックしたケチミン化合物、アミン類(B)をアルデヒドでブロックしたオキサゾリン化合物を用いてもよい。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際に、伸長停止剤を用いて、ウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等のモノアミン、モノアミンをケトンでブロックしたケチミン化合物等が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際のアミノ基に対するイソシアネート基の当量比は、通常、0.5〜2であり、2/3〜1.5が好ましく、5/6〜1.2がさらに好ましい。当量比が0.5未満である場合又は2を超える場合は、ウレア変性ポリエステルの分子量が小さくなり、耐ホットオフセット性が低下することがある。
ウレア変性ポリエステルは、ウレタン結合を有していてもよい。ウレア結合に対するウレタン結合の当量比は、通常、0〜9であり、0.25〜4が好ましく、2/3〜7/3がさらに好ましい。当量比が9を超えると、耐ホットオフセット性が低下することがある。
ウレア変性ポリエステル及びポリエステル(C)を併用することにより、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性を向上させることができる。ポリエステル(C)は、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を重縮合することにより得られる。また、ポリエステル(C)は、ウレタン結合で変性されていてもよい。
ウレア変性ポリエステル及びポリエステル(C)は、低温定着性、耐ホットオフセット性の面から、少なくとも一部が相溶していることが好ましい。ポリエステル(C)に対するウレア変性ポリエステルの質量比は、通常、5/95〜80/20であり、5/95〜30/70が好ましく、5/95〜25/75がさらに好ましく、7/93〜20/80が特に好ましい。質量比が5/95未満であると、耐ホットオフセット性が低下すると共に、耐熱保存性と低温定着性を両立させることが困難になることがある。
ポリエステル(C)のピーク分子量は、通常、1×103〜3×104であり、1.5×103〜1×104が好ましく、2×103〜8×103がさらに好ましい。ピーク分子量が1×103未満であると、耐熱保存性が低下することがあり、3×104を超えると、低温定着性が低下することがある。
ポリエステル(C)の水酸基価は、通常、5mgKOH/g以上であり、10〜120mgKOH/gが好ましく、20〜80mgKOH/gがさらに好ましい。水酸基価が5mgKOH/g未満であると、耐熱保存性と低温定着性を両立することが困難になることがある。
ポリエステル(C)の酸価は、通常、1〜30mgKOH/gであり、5〜20mgKOH/gが好ましい。これにより、負帯電性となりやすい傾向がある。
なお、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)及びアミン類(B)の代わりに、ウレア変性ポリエステル(D)を用いてもよい。ウレア変性ポリエステル(D)は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を0〜140℃で反応させて、得られる。
ウレア変性ポリエステル(D)の重量平均分子量は、通常、1×104以上であり、2×104〜1×107が好ましく、3×104〜1×106がさらに好ましい。重量平均分子量が1×104未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがある。
ポリエステル(C)を併用しない場合、ウレア変性ポリエステル(D)の数平均分子量は、通常、2×104以下であり、1×103〜1×104が好ましく、2×103〜8×103がさらに好ましい。数平均分子量が2×104を超えると、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が低下することがある。なお、ポリエステル(C)を併用する場合は、ウレア変性ポリエステル(D)の数平均分子量は、特に限定されない。
結着樹脂のガラス転移点は、通常、50〜70℃であり、55〜65℃が好ましい。ガラス転移点が50℃未満であると、高温保管時にトナーのブロッキングが発生することがあり、70℃を超えると、低温定着性が不十分となることがある。
なお、ポリエステル(C)及びウレア変性ポリエステル(D)を含むトナーは、ガラス転移点が低くても、耐熱保存性が良好な傾向を示す。
結着樹脂の周波数20Hzで測定した貯蔵弾性率が1×104dyne/cm2となる温度TG'は、通常、100℃以上であり、110〜200℃が好ましい。TG'が100℃未満であると、耐ホットオフセット性が低下することがある。
結着樹脂の周波数20Hzで測定した粘度が1000ポイズとなる温度Tηは、通常、180℃以下であり、90〜160℃が好ましい。Tηが180℃を超えると、低温定着性が低下することがある。
このとき、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させる観点から、結着樹脂のTG'とTηの差(TG'−Tη)は、通常、0℃以上であり、10℃以上が好ましく、20℃以上がさらに好ましい。また、耐熱保存性と低温定着性を両立させる観点から、TηとTgの差(TG'−Tη)は、通常、0〜100℃であり、10〜90℃が好ましく、20〜80℃がさらに好ましい。
着色剤としては、特に限定されないが、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、磁性トナーを製造する際には、着色剤として、磁性成分を用いることができる。磁性成分としては、フェライト、マグネタイト、マグヘマイト等の酸化鉄類;鉄、コバルト、ニッケル等の金属又はこれらの金属と他の金属の合金等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
トナー中の着色剤の個数平均粒径は、通常、0.5μm以下であり、0.4μm以下が好ましく、0.3μm以下がさらに好ましい。個数平均粒径が0.5μmを超えると、透明性が得られないことがある。
着色剤は、粒径が0.7μmより大きい粒子の含有量が10個数%以下であることが好ましく、5個数%以下であることがさらに好ましい。この含有量が10個数%を超えると、トナーの表面から着色剤が脱離し、カブリが発生したり、感光体60が汚染されたり、クリーニング不良が発生したりすることがある。
また、着色剤と結着樹脂の少なくとも一部の成分を、湿潤液と共に混練することが好ましい。これにより、結着樹脂と着色剤が十分に付着した状態となり、トナー中の着色剤の分散粒径が小さくなり、透明性を向上させることができる。
着色剤と結着樹脂の少なくとも一部の成分を、湿潤液と共に混練する際には、ヘンシェルミキサー等のブレンダーを用いて混合した後、二本ロール、三本ロール等の混練機を用いて、結着樹脂の少なくとも一部の成分の溶融温度よりも低い温度で混練することが好ましい。
湿潤液としては、特に限定されないが、アセトン、トルエン、ブタノン等の有機溶媒、水が挙げられる。中でも、着色剤の分散安定性を維持する点から、水が好ましい。
離型剤としては、特に限定されないが、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス;パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素;カルボニル基を有するワックス等が挙げられる。中でも、カルボニル基を有するワックスが好ましい。
カルボニル基を有するワックスとしては、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等のポリアルカン酸エステル;トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリル等のポリアルカノールエステル;エチレンジアミンジベヘニルアミド等のポリアルカン酸アミド;トリメリット酸トリステアリルアミド等のポリアルキルアミド;ジステアリルケトン等のジアルキルケトン等が挙げられる。中でも、ポリアルカン酸エステルが好ましい。
離型剤の融点は、通常、40〜160℃であり、50〜120℃が好ましく、60〜90℃がさらに好ましい。融点が40℃未満であると、耐熱保存性が低下することがあり、160℃を超えると、低温で定着する際にコールドオフセットが起こしやすくなることがある。
離型剤の溶融粘度は、離型剤の融点より20℃高い温度において、通常、5〜1000cpsであり、10〜100cpsが好ましい。溶融粘度が1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性が低下することがある。
トナー中の離型剤の含有量は、通常、0〜40質量%であり、3〜30質量%が好ましい。
帯電制御剤としては、特に限定されないが、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、キナクリドン、アゾ系顔料等が挙げられる。これら以外の帯電制御剤としては、スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩基等の官能基を有する高分子化合物が挙げられる。
帯電制御剤の市販品としては、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)等が挙げられる。
トナー中の帯電制御剤の含有量は、結着樹脂に対して、通常、0.1〜10質量%であり、0.2〜5質量%が好ましい。この含有量が10質量%を超えると、現像ローラ51との静電的引力が増大し、現像剤の流動性が低下したり、画像濃度が低下したりすることがある。
帯電制御剤は、結着樹脂の少なくとも一部と共に混練した後、有機溶媒中に溶解又は分散させてもよい。
有機溶媒を除去する方法としては、反応液を徐々に昇温し、有機溶媒を蒸発除去する方法、反応液を乾燥雰囲気中に噴霧して、有機溶媒を除去する方法が挙げられる。反応液を乾燥雰囲気中に噴霧する際には、スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等を用いることができ、乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を有機溶媒の沸点以上の温度に加熱した気体の気流が挙げられる。
有機溶媒を除去した後、分級してもよい。分級する際には、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子を除去することができる。このとき、乾燥して得られた粉体を分級してもよい。
得られた母体粒子は、着色剤、離型剤、帯電制御剤、流動化剤、クリーニング性向上剤等の異種粒子と混合したり、異種粒子と混合した混合物に機械的衝撃力を印加したりすることにより、表面に異種粒子を固定することができる。機械的衝撃力を印加する方法としては、羽根を高速で回転させて、混合物に機械的衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入して衝突板に衝突させる方法等が挙げられる。機械的衝撃力を印加する装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
流動化剤としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の無機粒子;ポリスチレン、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン、ナイロン等の樹脂粒子が挙げられる。
流動化剤の平均一次粒径は、通常、5nm〜2μmであり、5〜500nmが好ましい。
流動化剤のBET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。
トナー中の流動化剤の含有量は、通常、0.01〜5質量%であり、0.01〜2.0質量%が好ましい。
無機粒子は、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等の表面処理剤を用いて表面処理されていることが好ましい。これにより、高湿度下においても流動性や帯電性の低下を抑制することができる。
クリーニング性向上剤としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等の樹脂粒子等が挙げられる。
樹脂粒子の体積平均粒径は、通常、0.01〜1μmである。
また、トナーとしては、粉砕トナーを用いてもよい。
粉砕トナーの製造方法としては、結着樹脂、着色剤、離型剤、帯電制御剤を含むトナー材料を、必要に応じて混合した後、結着樹脂の溶融温度以下の温度で混練し、冷却した後、粉砕し、分級する方法が挙げられる。
結着樹脂としては、特に限定されないが、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単独重合体又は共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、電気特性の面から、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂が好ましく、定着特性の面から、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂がさらに好ましい。
得られた母体粒子は、前述の母体粒子と同様にして、流動化剤、クリーニング性向上剤等の異種粒子と混合したり、異種粒子と混合した混合物に機械的衝撃力を印加したりすることにより、表面に異種粒子を固定することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
(トナーの製造)
〜樹脂粒子の分散液の調製〜
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、スチレン79部、メタクリル酸79部、アクリル酸ブチル105部、ジビニルベンゼン13部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400rpmで15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。次に、75℃まで昇温して5時間反応させた。さらに、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加えた後、75℃で5時間熟成して、樹脂粒子の分散液を得た。LA−920を用いて、樹脂粒子の分散液1の重量平均粒径を測定したところ、105nmであった。また、樹脂粒子の分散液1の一部を乾燥した樹脂は、ガラス転移点が95℃、数平均分子量が140000、重量平均分子量が980000であった。
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400rpmで15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。次に、75℃まで昇温して5時間反応させた。さらに、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加えた後、75℃で5時間熟成して、樹脂粒子の分散液2を得た。LA−920を用いて、樹脂粒子の分散液2の重量平均粒径を測定したところ、100nmであった。また、樹脂粒子の分散液2の一部を乾燥した樹脂は、ガラス転移点が80℃、数平均分子量が1700、重量平均分子量が10000であった。
〜ポリエステルの合成〜
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物561部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部及びジブチルスズオキサイド2部を入れ、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。次に、無水トリメリット酸45部を加え、180℃で2時間反応させ、ポリエステル1を得た。ポリエステル1は、数平均分子量が2500、重量平均分子量が6700、ガラス転移点が43℃、酸価が25mgKOH/gであった。
〜ポリエステルプレポリマーの合成〜
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルスズオキサイド2部を入れ、230℃で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時間反応させ、水酸基を有するポリエステルを得た。水酸基を有するポリエステルは、数平均分子量が2100、重量平均分子量が9500、ガラス転移点が55℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価49mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、水酸基を有するポリエステル411部、イソホロンジイソシアネート89部及び酢酸エチル500部を入れた後、100℃で5時間反応させ、ポリエステルプレポリマー1を得た。ポリエステルプレポリマー1は、遊離イソシアネート量が1.53質量%であった。
〜ケチミンの合成〜
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部及びメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応させ、ケチミン1を得た。ケチミン1は、アミン価が418mgKOH/gであった。
〜マスターバッチの作製〜
カーボンブラックのリーガル400R(キャボット社製)40部、酸価が10mgKOH/g、重量平均分子量が20000、ガラス転移点が64℃のポリエステルRS−801(三洋化成社製)60部及び水30部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。次に、ロールの表面温度130℃に設定した2本ロールを用いて、45分間混練した後、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)を用いて、直径が1mmの大きさに粉砕し、マスターバッチ1を得た。
〜トナー材料液の調製〜
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、378部のポリエステル1、カルナウバワックス110部、サリチル酸金属錯体E−84(オリエント化学工業社製)22部及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌しながら、80℃に昇温して5時間保持した後、1時間で30℃まで冷却した。次に、500部のマスターバッチ1及び酢酸エチル500部を加え、1時間混合した。得られた混合液1324部を容器に移し、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度を1kg/時、ディスクの周速度を6m/秒とし、粒径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填して、3パスの条件で、分散させた。次に、ポリエステル1の65質量%酢酸エチル溶液1324部を加えた後、ウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、上記の条件で1パスし、分散液を得た。分散液は、固形分濃度(130℃、30分)が50質量%であった。
得られた分散液648部、154部のポリエステルプレポリマー1及び6.6部のケチミン1を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで1分間混合し、トナー材料液1を得た。
〜スラリーの調製〜
水990部、8部の樹脂粒子の分散液1、72部の樹脂粒子の分散液2、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)40部及び酢酸エチル90部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、3000rpmで1分間混合した。次に、809部のトナー材料液1を加えた後、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、13000rpmで20分間混合した。さらに、撹拌機及び温度計をセットした容器に、混合液を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成し、スラリー1を得た。
〜洗浄・乾燥・分級〜
100部のスラリー1を減圧濾過した。次に、濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後濾過する操作を3回行った。得られた濾過ケーキを、循風乾燥機を用いて、45℃で48時間乾燥し、目開きが75μmのメッシュで篩い、母体粒子1を得た。
〜流動化剤の添加〜
母体粒子1に、平均粒径が12nmのヘキサメチルジシラザンを用いて表面処理されているシリカを、トナー中の含有量が2.0質量%になるように添加し、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて、2分間混合して、トナーを得た。FPIA−2100(シスメックス社製)を用いて、トナーの粒度分布を測定したところ、重量平均粒径が5.30μm、個数平均粒径が4.65μm、平均円形度が0.97であった。
(感光体の作製)
外径が40mmのアルミニウムドラム(導電性支持体)上に、アルキッド樹脂ベッコゾール1307−60−EL(大日本インキ化学工業社製)6部、メラミン樹脂スーパーベッカミンG−821−60(大日本インキ化学工業社製)4部、酸化チタン40部及びメチルエチルケトン200部からなる下引き層用塗布液を浸漬塗布した後、乾燥し、厚さが3.6μmの下引き層を形成した。
次に、下引き層が形成された導電性支持体上に、Y型オキソチタニルフタロシアニン顔料2部、ポリビニルブチラールエスレックBM−S(積水化学社製)0.2部及びテトラヒドロフラン50部からなる電荷発生層用塗布液を浸漬塗布した後、乾燥し、厚さが0.14μmの電荷発生層を形成した。
さらに、電荷発生層が形成された導電性支持体上に、ビスフェノールA型ポリカーボネートパンライトK1300(帝人社製)10部、化学式
で表される電荷輸送物質(A)10部及び塩化メチレン100部からなる電荷輸送層用塗
布液を浸漬塗布した後、乾燥し、厚さが23μmの電荷輸送層を形成した。
最後に、電荷輸送層が形成された導電性支持体上に、Z型ポリカーボネート10部、電荷輸送物質(A)7部、平均粒径が0.3μmのアルミナ粒子6部、分散助剤BYK−P104(ビックケミージャパン社製)0.08部、テトラヒドロフラン700部及びシクロヘキサノン200部からなる表面層用塗布液をスプレー塗布した後、乾燥し、厚さが3.5μmの表面層を形成した。
(クリーニングブレード(1)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率21%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中に窒化ホウ素が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における窒化ホウ素の平均付着量が0.2mg/cm2であるクリーニングブレード(1)を得た。
(クリーニングブレード(2)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率21%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中に窒化ホウ素が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における窒化ホウ素の平均付着量が1.2mg/cm2であるクリーニングブレード(2)を得た。
(クリーニングブレード(3)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率21%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中にステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比55:45)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比80:20)が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における混合物の平均付着量が5mg/cm2であるクリーニングブレード(3)を得た。ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて、クリーニングブレード(3)を分析したところ、付着した金属石鹸と窒化ホウ素の混合物の質量比は80:20であった。
なお、粉末は、金属石鹸と窒化ホウ素の混合物を内寸法が8mm×350mmのアルミニウム製金型に入れた後、油圧式プレス機を用いて加圧して、真比重に対して95%まで圧縮して得られた7mm×8mm×350mmのバーを粉砕することにより作製した。
(クリーニングブレード(4)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率17%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中にステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比55:45)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比91:9)が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における混合物の平均付着量が0.04mg/cm2であるクリーニングブレード(4)を得た。ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて、クリーニングブレード(4)を分析したところ、付着した金属石鹸と窒化ホウ素の混合物の質量比は91:9であった。
なお、粉末は、金属石鹸と窒化ホウ素の混合物を内寸法が8mm×350mmのアルミニウム製金型に入れた後、油圧式プレス機を用いて加圧して、真比重に対して95%まで圧縮して得られた7mm×8mm×350mmのバーを粉砕することにより作製した。
(クリーニングブレード(5)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率21%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中にステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比55:45)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比50:50)が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における混合物の平均付着量が0.02mg/cm2であるクリーニングブレード(5)を得た。ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて、クリーニングブレード(5)を分析したところ、付着した金属石鹸と窒化ホウ素の混合物の質量比は50:50であった。
なお、粉末は、金属石鹸と窒化ホウ素の混合物を内寸法が8mm×350mmのアルミニウム製金型に入れた後、油圧式プレス機を用いて加圧して、真比重に対して95%まで圧縮して得られた7mm×8mm×350mmのバーを粉砕することにより作製した。
(クリーニングブレード(6)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率21%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、イエロートナーが収容されている容器に挿入した後、引き上げて、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域におけるイエロートナーの平均付着量が0.2mg/cm2であるクリーニングブレード(6)を得た。
(クリーニングブレード(7)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率21%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、イソプロピルエーテル中にフッ化カーボン粒子が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域におけるフッ化カーボン粒子の平均付着量が0.2mg/cm2であるクリーニングブレード(7)を得た。
(クリーニングブレード(8)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率21%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、球形シリコーン樹脂粒子が収容されている容器に挿入した後、引き上げて、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における球形シリコーン樹脂粒子の平均付着量が0.2mg/cm2であるクリーニングブレード(8)を得た。
(第二のブレード(1)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率20%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中に窒化ホウ素が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における窒化ホウ素の平均付着量が0.2mg/cm2である第二のブレード(1)を得た。
(第二のブレード(2)の作製)
感光体に当接する先端が鈍角である反発弾性率20%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中に窒化ホウ素が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における窒化ホウ素の平均付着量が1.2mg/cm2である第二のブレード(2)を得た。
(第二のブレード(3)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率20%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中にステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比55:45)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比50:50)が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における混合物の平均付着量が0.02mg/cm2である第二のブレード(3)を得た。ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて、第二のブレード(3)を分析したところ、付着した金属石鹸と窒化ホウ素の混合物の質量比は50:50であった。
なお、粉末は、金属石鹸と窒化ホウ素の混合物を内寸法が8mm×350mmのアルミニウム製金型に入れた後、油圧式プレス機を用いて加圧して、真比重に対して95%まで圧縮して得られた7mm×8mm×350mmのバーを粉砕することにより作製した。
(第二のブレード(4)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率52%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中にステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比55:45)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比91:9)が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における混合物の平均付着量が0.04mg/cm2である第二のブレード(4)を得た。ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて、第二のブレード(4)を分析したところ、付着した金属石鹸と窒化ホウ素の混合物の質量比は91:9であった。
なお、粉末は、金属石鹸と窒化ホウ素の混合物を内寸法が8mm×350mmのアルミニウム製金型に入れた後、油圧式プレス機を用いて加圧して、真比重に対して95%まで圧縮して得られた7mm×8mm×350mmのバーを粉砕することにより作製した。
(第二のブレード(5)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率20%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中にステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比55:45)からなる金属石鹸が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における金属石鹸の平均付着量が0.3mg/cm2である第二のブレード(5)を得た。
(第二のブレード(6)の作製)
感光体に当接する先端が鈍角である反発弾性率20%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、水中にステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比55:45)からなる金属石鹸が分散されている分散液に浸漬した後、引き上げて、乾燥し、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域における金属石鹸の平均付着量が0.2mg/cm2である第二のブレード(6)を得た。
(第二のブレード(7)の作製)
感光体に当接する先端が直角である反発弾性率20%のウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域を、イエロートナーが収容されている容器に挿入した後、引き上げて、ウレタンブレードの先端からの距離が3mm以下である領域におけるイエロートナーの平均付着量が0.2mg/cm2であるクリーニングブレード(7)を得た。
(保護剤バー(1)の作製)
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比55:45)からなる金属石鹸の粉末を内寸法が8mm×350mmのアルミニウム製の金型に入れた後、油圧式プレス機を用いて加圧して、真比重に対して95%まで圧縮し、7mm×8mm×350mmのバーを得た。得られたバーの長手方向の両端を切断して、底面を切削し、7mm×8mm×310mmの保護剤バー(1)を得た。なお、保護剤バー(1)は、底面に両面テープを貼り付けて、金属製支持体に固定した。
(保護剤バー(2)の作製)
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比66:34)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比97:3)の粉末を用いた以外は、保護剤バー(1)と同様にして、保護層バー(2)を得た。
(保護剤バー(3)の作製)
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比69:31)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比97:3)の粉末を用いた以外は、保護剤バー(1)と同様にして、保護層バー(3)を得た。
(保護剤バー(4)の作製)
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比40:60)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比70:30)に、平均粒径が0.3μmの球形アルミナ粒子を、金属石鹸に対して、4質量%添加した粉末を用いた以外は、保護剤バー(1)と同様にして、保護層バー(4)を得た。
(保護剤バー(5)の作製)
ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛(質量比50:50)からなる金属石鹸と窒化ホウ素の混合物(質量比65:35)に、平均粒径が0.3μmの球形アルミナ粒子を、金属石鹸に対して、4質量%添加した粉末を用いた以外は、保護剤バー(1)と同様にして、保護層バー(5)を得た。
[実施例1]
プロセスカートリッジ100A(図3参照)が複数搭載されているタンデム型カラー画像形成装置imagio MPC5000(リコー社製)において、クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(1)、ブレード31として、第二のブレード(1)、保護剤バー21として、保護剤バー(1)、ブラシ23として、太さが5.3デニールであり、長さが3mmである繊維が密度5×104本/inch2で植毛されているブラシ(1)を用いた。次に、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を8.0Nとして、ISOテストチャート(ISO/IEC JTC 1/SC 28 のホームページhttp://www.iso.org/jtc1/sc28参照)を10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
[実施例2]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(5)、ブレード31として、第二のブレード(3)、保護剤バー21として、保護剤バー(2)、ブラシ23として、太さが20デニールであり、長さが3mmである繊維が密度5×104本/inch2で植毛されているブラシ(2)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を5.0Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
[実施例3]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(5)、ブレード31として、第二のブレード(5)、保護剤バー21として、保護剤バー(3)、ブラシ23として、ブラシ(2)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を5.0Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、実施例2の同じ出力枚数の画像と比較して、ドットの濃度が多少ばらついていた。
[実施例4]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(3)、ブレード31として、第二のブレード(5)、保護剤バー21として、保護剤バー(4)、ブラシ23として、太さが10デニールであり、長さが3mmである繊維が密度5×104本/inch2で植毛されているブラシ(3)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を3.2Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
なお、10枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
[実施例5]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(2)、ブレード31として、第二のブレード(2)、保護剤バー21として、保護剤バー(1)、ブラシ23として、ブラシ(3)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を3.2Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
なお、10枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、実施例4の同じ出力枚数の画像と比較して、ドットが多少広がっている箇所があった。
[実施例6]
プロセスカートリッジ100B(図4参照)が複数搭載されているタンデム型カラー画像形成装置imagio MPC4500(リコー社製)において、クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(4)、ブレード31として、第二のブレード(4)、保護剤バー21として、保護剤バー(2)、ブラシ23として、ブラシ(2)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を2.8Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、実施例2の同じ出力枚数の画像と比較して、ドットの濃度が多少ばらついていた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、実施例2の同じ出力枚数の画像と比較して、ドットの濃度が多少ばらついていた。
[実施例7]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(3)、ブレード31として、第二のブレード(6)、保護剤バー21として、保護剤バー(5)、ブラシ23として、ブラシ(3)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を4.0Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、実施例2の同じ出力枚数の画像と比較して、ドットが多少広がっていた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、実施例2の同じ出力枚数の画像と比較して、ドットサイズが多少広がっていた。
[実施例8]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(3)、ブレード31として、第二のブレード(6)、保護剤バー21として、保護剤バー(1)、ブラシ23として、ブラシ(3)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を5.0Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
[実施例9]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(2)、ブレード31として、第二のブレード(6)、保護剤バー21として、保護剤バー(1)、ブラシ23として、ブラシ(3)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を4.0Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
なお、10枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、実施例4の同じ出力枚数の画像と比較して、ドットが多少広がっている箇所があったが、実施例5の同じ出力枚数の画像と比較して、ドットの広がりは小さかった。
[実施例10]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(1)、ブレード31として、第二のブレード(2)、保護剤バー21として、保護剤バー(1)、ブラシ23として、ブラシ(1)を用いた。次に、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を8.0Nとして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
[実施例11]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(5)、ブレード31として、第二のブレード(3)、保護剤バー21として、保護剤バー(1)、ブラシ23として、ブラシ(2)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を7.0Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、10000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。さらに、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ホウ素が検出されたため、クリーニングブレード11に窒化ホウ素が存在していることがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、高画質な画像が形成されていた。また、50000枚目の出力画像を顕微鏡で観察したところ、ドットが綺麗に並んでいた。
[比較例1]
クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(6)、ブレード31として、第二のブレード(7)、保護剤バー21として、保護剤バー(1)、ブラシ23として、ブラシ(2)を用い、保護剤バー21をブラシ23に押し当てるバネ圧を3.0Nとした以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、白色の縦筋が微かに見られた。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、白色の縦筋が10000枚目の出力画像よりも濃くなっていた。
[比較例2]
保護剤バー21、ブラシ23及びブレード31を用いず、クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(7)を用い、球形シリコーン樹脂粒子を感光体60に予めブラシを用いて塗布した以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、黒色の帯が見られた。また、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末にKBrをまぶして掻き取った後、錠剤を作製し、FT/IR6100(日本分光社製)を用いて測定したところ、フッ化カーボン由来のピークが検出されなかったため、クリーニングブレード11にフッ化カーボン粒子が存在していないことがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、黒色の帯が10000枚目の出力画像よりも濃くなっていた。
[比較例3]
保護剤バー21、ブラシ23及びブレード31を用いず、クリーニングブレード11として、クリーニングブレード(8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ISOテストチャートを10000枚出力した。10000枚目の出力画像を目視で評価したところ、黒色の帯が微かに見られた。また、スパチュラを用いて、クリーニングブレード11に付着していた粉末を掻き取った後、ICP発光分光分析装置SPS5100型(エスアイアイ ナノテクノロジー社製)を用いて測定したところ、ケイ素が検出されなかったため、クリーニングブレード11に球形シリコーン樹脂粒子が存在していないことがわかった。
次に、ISOテストチャートを40000枚出力し、50000枚目の出力画像を目視で評価したところ、黒色の帯が微かに見られ、印字のない部分(地肌部)に薄い地汚れが見られた。また、画像にザラツキが認められた。