JP2011099179A - 運動負荷軽減布帛 - Google Patents

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Shoichi Akita
祥一 秋田
Misako Murata
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Abstract

【課題】着用時に快適であり、かつ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感、運動時の負荷を軽減する布帛の提供。
【解決手段】少なくとも一方の面の水分付与時の摩擦係数増加率が100%以下であり、かつ、200g/m水分付与時の接触冷感値が240W/m・℃以下であることを特徴とする運動負荷軽減布帛。
【選択図】なし

Description

本発明は、運動負荷軽減布帛に関する。より詳細には、本発明は、運動等により発汗した際に、その汗によるベタツキ感を感じないドライ性に優れ、さらに運動時の負荷の軽減に優れた衣料用途に好適な布帛に関する。
スポーツウェア等の衣服は、着用時運動等により発汗した汗を衣服が吸収するため、肌に存在する汗と衣服上に存在する汗とが接触し、いわゆるベタツキ感や運動後の冷え感を生じることがある。また、衣服と肌が貼り付くことにより、運動時の動作を阻害することもある。このベタツキ感や冷え感、動作阻害感は、特にマラソンやサッカーなど長時間行う運動により大量に発汗した場合に顕著に感じる不快感である。
このような不快感を防止するための方法として、吸汗による水分を衣服の肌側から表側に移行させ、肌側に水分を残さないことが有効であり、種々の布帛の検討が進められている。
例えば、以下の特許文献1には、布帛の飽和吸水量、飽和吸水時の通気抵抗、表面の凹凸度を規定することにより、多量発汗時に高吸水で貼り付き性の抑制された布帛が提案されている。しかしながら、貼り付きによる運動拘束性について記載があるものの、具体的な数値が示されておらず、運動拘束性を軽減するためには不十分なものである。
また、以下の特許文献2には、撥水性繊維を用いることにより、汗をはじき、べとつき感を軽減し、湿潤時の摩擦力を低減する布帛の提案がされている。しかしながら、撥水性繊維を使用しているため、汗は衣服に吸収されず、下へ落ちるか、衣服と肌の間に留まり、ベタツキ感の軽減は不十分であることから、運動拘束性の軽減においても不十分なものであり、さらに、着心地も悪いものである。
さらに、以下の特許文献3には、布帛表側に綿のような吸水能力に優れた繊維、布帛裏側にポリエステルフィラメントのような吸水能力の劣る繊維を使用することで布帛裏側に水分を残さない構造とし、ベタツキ感や冷え感を抑制する布帛が提案されている。しかしながら、使用する糸種により一定の効果を発現することができるものの、ベタツキ感を抑制するためには不十分なものであり、特に長時間の運動等による多量の水分を含有させたときにはベタツキ感の低減効果に限界がある。また、綿のような親水性繊維を使用すると水分を保持することによって衣服が重くなることや速乾性が悪くなることがあり、特にスポーツ衣料用途には好ましくない。
このように、多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を抑制し、運動時の負荷を軽減する布帛は未だ見当たらないのが現状である。
特開2001−303408号公報 特許第3219992号公報 特開2001−81652号公報
本発明が解決しようとする課題は、着用時に快適で、かつ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を軽減し、さらに運動時の負荷をも軽減する布帛を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究し、実験を重ねた結果、乾燥時の布帛の摩擦係数に対する多量の水分を吸収した時の布帛の摩擦係数の増加率と、多量の水分を吸収した時の接触冷感値性とが特定値以下である布帛により、上記課題が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]少なくとも一方の面の水分付与時の摩擦係数増加率が100%以下であり、かつ、200g/m水分付与時の接触冷感値が240W/m・℃以下であることを特徴とする運動負荷軽減布帛。
[2]前記布帛の吸水時間が5秒以下である、前記[1]に記載の布帛。
[3]前記布帛のいずれか一方の表面層の凸部と凹部の高さの差が0.15〜0.50mmである、前記[1]又は[2]に記載の布帛。
[4]前記布帛の表側に配置される繊維の比表面積と裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が1.00超4.00以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の布帛。
[5]前記布帛の厚みが0.70〜1.2mmである、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の布帛。
本発明に係る運動負荷軽減布帛を用いてスポーツウェア、インナー、アウターなどの衣服を製造することにより、着用時に快適であり、かつ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を軽減し、優れた快適な着用感とともに運動時の負荷が軽減され、動きやすい衣服を、得ることができる。
本発明の運動負荷軽減編地組織図の一例である。 本発明の運動負荷軽減編地組織図の一例である。 本発明の運動負荷軽減編地組織図の一例である。 本発明の運動負荷軽減編地組織図の一例である。 本発明の運動負荷軽減編地組織図の一例である。 比較例3で用いた従来の編地組織図の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の運動負荷軽減布帛は、少なくとも一方の面の水分付与時の摩擦係数増加率が100%以下であることを特徴とする。該摩擦係数増加率は、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下である。布帛の少なくとも一方の面の水分付与時の摩擦係数増加率がこの範囲にあれば、その面を衣類等の肌面として着用した時に、汗ではりつき、運動を阻害することがなく動きやすく、運動負荷を軽減することができる。
布帛の両面とも水分付与時の摩擦係数増加率が100%を超えると、布帛のどちらの面を衣類等の肌面として使用しても吸汗によって肌にはりつき、運動時の腕の曲げ伸ばしや肩の運動において、布帛が動きを阻害し、動き難く疲れやすい布帛となる。
布帛の水分付与時の摩擦係数増加率の測定方法は以下の通りである。
新東科学社製 HEIDON−10を用いて、20℃、65%RH環境下で24時間調湿された5cm×5cmの試料を用意し、該試料の端に23.5gの荷重を取り付ける。まず、乾燥状態の試料を測定器試料台上にのせ、試料台を傾斜させていった時の試料が滑り出す時の摩擦係数(A)を測定する。次いで、試料台上にマイクロピペットにて0.5ccの水分を水玉状にのせ、その上に試料をのせ、30秒後に試料台を傾斜させ、試料が滑り出す時の摩擦係数(B)を測定する。摩擦係数増加率は次式(1)により算出する:
摩擦係数増加率(%)={(B−A)/(A)}×100% 式(1)
本発明の運動負荷低減布帛は、上述の水分付与時の摩擦係数増加率が100%以下の表面において、200g/mの水分を付与した時の接触冷感値が240W/m・℃以下であることを特徴とする。該接触冷感値は、好ましくは220W/m・℃以下、より好ましくは200W/m・℃以下、さらに好ましくは180W/m・℃以下である。また、接触冷感値は120W/m・℃以上であることが望ましい。120W/m・℃未満では生地の凹凸が極端に大きくなり、肌触りが悪化する。
200g/mの水分付与は、例えばジョギングを30分以上行うなど、だらだら汗をかくような運動をした時に布帛が吸う汗の水分量を想定した条件である。この状態でのベタツキの程度は接触冷感値により評価できる。本発明において、接触冷感値とは、カトーテック社製のサーモラボIIを用いて測定された、瞬時の熱移動の最大値(Qmaxと標記されている)によって表される。
この装置は温められた熱板を試料上に置いたときの熱の移動量を測定するものである。具体的には、測定に使用する試料を20℃、65%RH環境下で24時間調湿した後、8cm×8cmにサンプリングされ、布帛測定面を上にして置かれた試料に、20℃、65%RH環境下で30℃に温められた熱板を置いた瞬間の最大熱移動量を測定する。測定時の水分の付与方法は、試料の測定面側に霧吹きにて、8cm×8cmにサンプリングされた試料の重量が+1.28gになるように水分を付与すればよい。このときの霧吹き内の水温は20℃である。
布帛の熱板に接触する側に水分が残っていると、水の熱伝導率が高いため、熱板から熱を多く奪い、接触冷感値が大きくなる。すわなち、接触冷感値が大きい試料はベタツキ感が大きいことを意味し、ベタツキ感を感じる接触冷感値は、上記測定方法で240W/m・℃を超えるものである。従来のベタツキ性が改良されたとされる布帛では、本測定のような多量の水分を付与された時の接触冷感値を改善することは困難であったが、本発明では、上記測定方法での接触冷感値が240W/m・℃以下であり、多量の水分が付与された状態でもベタツキ性が改良されていることが分かる。
本発明の運動負荷低減布帛には吸水加工を施すことが望ましく、布帛の吸水時間が5秒以下であることが好ましい。布帛に吸水性があることにより、少量〜多量の汗を生地が吸い取ることができ、肌面に汗が残らず、ベタツキ感や冷え感、運動負荷が軽減され易くなる。吸水剤としては任意のものが使用できる。吸水剤添加量は、生地重量に対して3〜10%が好ましい。3%未満であれば、布帛の吸水性が不十分となることがあり、布帛のベタツキ感が大きくなるため好ましくない。10%を越えると、吸水性においては十分であるが、染色性やコストの面で問題になることがある。また、布帛の吸水時間は2秒以下がより好ましい。吸水時間が5秒を越えると、吸水に時間がかかることで、布帛表側の拡散性が悪くなり、水分が布帛裏側に残りやすくなる。よって、ベタツキ感が大きくなることあり、運動時の抵抗も大きくなることがある。
吸水時間の測定方法は、以下の通りである。
20℃、65%RH環境下で24時間調湿された10cm×10cmの試料をプラカップ上に、測定面を上にした状態で置く。その試料にマイクロピペットにて0.04ccの水を一気に滴下し、滴下した水分が吸いきるまでの時間を測定する。
本発明の運動負荷軽減布帛は、上述の水分付与時の摩擦係数増加率が100%以下であり、かつ、200g/mの水分を付与した時の接触冷感値が240W/m・℃以下である表面に凹凸を有していることが好ましく、この凹凸のある表面層を衣類等の肌側に使用することが、ベタツキ感や冷え感、はりつき感を軽減でき好ましい。凹凸の程度としては凸部と凹部との差が0.15〜0.50mmであればより好ましく、より好ましくは0.20〜0.50mm、さらに好ましくは0.23〜0.45mm、最も好ましくは0.24〜0.40mmである。
凸部と凹部の高さの差が0.15mm未満では凹凸が小さすぎるため、ベタツキ感やはりつき感の軽減を達成しにくい。凸部と凹部の高さの差が0.50mmを超えると、着用等で圧力がかかったときに、凸部が折れ曲がり、結果的には接触面積が大きくなり、ベタツキ感が大きくなることがあり、また、生地として厚みの大きいものとなり、蒸れる等の着用感を損なうことがあるため好ましくない。
凸部と凹部の高さの差は、布帛の断面写真を電子顕微鏡等で撮影し、布帛の測定面の裏面側を基準とし、布帛の測定面側の凸部までの高さを5か所測定し、平均する(平均値B)。また、同様に裏面側から測定面側の凹部までの高さを5か所測定し、平均する(平均値A)。凸部と凹部の高さの差は、平均値Aと平均値Bから次記式(2)により算出する:
凸部と凹部の高さの差=B−A 式(2)
布帛片側表面に凹凸を得るためには、編地の場合、編み組織としてタックリバーシブル、デンプルメッシュ、コンフォート等のタック編みを使用した組織を用いることが好ましい。また、布帛裏側を針抜きにすることも有効である。
本発明の運動負荷低減布帛は、布帛の表側に配置される繊維の比表面積と裏側に配置される繊維の比表面積の比(表/裏比表面積比)が1.00を超え、4.00以下であることが好ましく、より好ましくは1.03以上3.00以下、さらに好ましくは1.05以上2.00以下である。
本発明では比表面積の大きい繊維が配置される面を表側又は表面、他方の面を裏側又は裏面と記載する。編織物製造時に通常呼称される表面及び裏面とは、必ずしも一致しなくてもよいが、一致していることが好ましい。
本発明の布帛の表側を衣類の外気側、裏側を衣類の肌側とすることが望ましく、こうすることで毛細管現象を発現させて肌側から外気側へ水分を移動させることができ、多量の発汗時でも肌面に水分が残りにくく、着用時のベタツキ感や冷え感を軽減することができる。
布帛の表側に配置される繊維の比表面積と布帛の裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が1.00以下では、布帛の裏側に水分を保持してしまい、布帛の裏側から表側に水分が移動しにくくなり、着用時のベタツキ感や冷え感が感じられ、不快なものとなる。布帛の表側に配置される繊維の比表面積と布帛裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が4.0を超えると、布帛の裏側から表側への水分の移動は良くなるが、必然的に使用される繊維の繊度が、布帛の表側には極細繊度、布帛の裏側には極太繊度となり、布帛表側のピリング性能や布帛裏側の肌触りが悪化するおそれがある。
なお、表/裏比表面比とは、(布帛の表側に配置される繊維の比表面積)/(布帛の裏側に配置される繊維の比表面積)として計算したものである。また、布帛の表側又は裏側に配置される繊維の比表面積は、丸断面の場合、総繊度/単糸数にて単糸繊度を算出し、単糸を円柱と仮定した時の円柱の断面積から直径を算出し、そこから単糸断面の周長を算出する。その後、円周×10000mの表面積から総繊度で除したものを比表面積(1g当たりの表面積)とした。断面が異型の場合は、電子顕微鏡等で同倍率拡大撮影した異型単糸断面と丸断面の周長を測定し、丸断面の周長に対しての比率を算出し、丸断面の時の周長×比率×10000mの表面積から総繊度で除したものを比表面積(1g当たりの表面積)とした。
本発明の運動負荷低減布帛の厚みは、好ましくは0.70〜1.20mmであり、より好ましくは0・75〜1.10mm、さらに好ましくは0.80〜1.05mmである。厚みが0.70mm未満では、大量の汗をかいたときに生地の保水量が十分にとれず、生地の肌面に水分が残りやすくなり、運動時の負荷を感じることがある。一方、厚みが1.20mmを超えると、生地の保水量は十分であり、運動時の負荷は感じないが、シャツとして分厚く、重さや蒸れ感を感じるものとなり、スポーツシャツとして好ましくないものとなることがある。なお、編地の厚みは、Peacock社製の厚み測定器を用い、φ3.0cmの測定部を5gの荷重にて編地に接触させ、3か所測定し、平均する。
本発明の運動負荷低減布帛を構成する糸素材としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル等の合成繊維マルチフィラメント糸、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生繊維マルチフィラメント糸やこれらから得られるスパン糸及び加工糸、混繊糸が挙げられる。綿、ウール、麻、絹等の天然繊維やこれらの混紡糸なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。その中でも速乾性の面から、ポリエステルマルチフィラメントが好ましい。また、布帛の表側にキュプラのような吸水性フィラメント繊維を使用することも好ましい。さらにポリウレタン繊維を上記糸とカバリングした糸や、ポリウレタン繊維単体を上記糸と引き揃えで使用し、ストレッチ性を付与するのも好ましい。合成繊維マルチフィラメント糸には、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
本発明の運動負荷低減布帛を構成する素材の単糸断面形状は、任意ものであることができ、丸、三角、L型、T型、Y型、W型、H型、♯型、八葉型、ドッグボーン型等の型状のものや、これらの糸に中空部を有するものを用いることができ、さらに単糸の糸長方向に凹部を連続又は部分的に有するものであってもよい。とりわけ、表面積が大きいW断面のような異型状の単糸断面を、布帛の表側に使用すれば、布帛の表側の毛細管現象が大きくなり、布帛裏側の水分を布帛表側へ移行させる効果が大きくなり、ベタツキ感や冷え感、はりつき感が軽減される、一方、布帛の裏側に使用すれば、肌触りが良いものが得られる。
さらに、布帛の表側又は裏側に異型状の単糸断面を使用する場合、繊維の扁平度が2.0〜4.0であることが好ましく、高い毛細管現象やソフトな風合いが得られる。単糸の扁平度が2.0未満では、毛細管現象が不足したり、風合いが硬くなったりし、一方、単糸の扁平度が4.0を超えると、高い毛細管現象やソフトな風合いは得られるが、製糸段階において、紡糸が不安定になることがある。本発明において扁平度とは、電子顕微鏡等で撮影した断面写真の単糸断面に外接する長方形を書き、この長方形の長辺Lを短辺Hで割った値(L/H)をいう。
本発明の運動負荷低減布帛の表側に使用する繊維の単糸繊度としては、任意のものが使用できるが、好ましくは0.5〜3.0dtex、より好ましくは1.0〜2.3dtexである。
布帛の表側に使用する繊維の単糸繊度が0.5未満では、毛細管現象の発生は大きいが、この布帛を使用した衣服を着用中に外的摩擦により単糸が切れ、ピル状態になり、ピリング性能が悪くなり、消費性能が問題となることがある。また、繊維製造時の紡糸等で糸切れやU%等の収率や品質が悪化することがある。布帛の表側に使用する繊維の単糸繊度が3.0dtexを超えると、毛細管現象は起こり難くなり、布帛の裏側から表側に水分を移動させ難くなって、着用時のベタツキ感や冷え感といった不快感を生じ、運動時の負荷も大きくなってしまう。
本発明の運動負荷低減布帛の裏側に使用する繊維の単糸繊度は任意のものが使用できるが、好ましくは1.5〜4.0dtex、より好ましくは2.0〜3.5dtexである。
布帛の裏側に使用する繊維の単糸繊度が1.5dtex未満では、毛細管現象が起こり易くなり、布帛裏側で拡散してしまい、ベタツキ感や冷え感といった肌DRY性が悪くなり、運動時の負荷も大きくなることがある。布帛の裏側に使用する繊維の単糸繊度が4.0dtexを超えると、硬い風合いのものになり、肌触りが悪くなることがある。
布帛の表側へ比較的単糸繊度の小さい繊維を使用することで、毛細管現象を発現させて裏側から表側へ水分を移動させることができる。このような、水分移動機能を有する本発明の布帛裏側を、衣類の肌面として着用すれば、多量の発汗時でも肌面に水分が残り難く、着用時のベタツキ感や冷え感を軽減することができる。なお、単糸繊度は、総繊度/単糸数で計算したものである。
本発明の運動負荷軽減布帛を構成する素材の総繊度としては、衣料等で一般的に使用されている範囲のものを使用することができるが、その中でも総繊度が16〜200dtexのものが好ましい。
本発明の運動負荷軽減布帛に使用する素材は捲縮や毛羽を有していてもよく、主に布帛の表側には毛細管現象が起こりやすい低捲縮糸、主に布帛の裏側には肌との接触面積が小さくなる高捲縮糸が好ましい。低捲縮糸とは、捲縮伸長率が0〜25%である糸であり、高捲縮糸とは、捲縮伸長率が25〜250%である糸である。なお、仮撚糸の捲縮伸長率は、下記条件で測定したものである。
捲縮糸の上端を固定し、下端に1.77×10-3cN/dtの荷重をかけ、30秒後の長さ(A)を測定する。次いで、1.77×10-3cN/dtの荷重を取り外し、0.088cN/dtの荷重をかけ、30秒後の長さ(B)を測定し、次式(3)により捲縮伸長率を求める:
捲縮伸長率(%)={(B−A)/A}×100 式(3)
本発明の運動負荷軽減布帛は、吸い取った水分を肌側に戻さないことが好ましく、布帛の濡れ戻り率が15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下である。
布帛の濡れ戻り率が15%を超えると、ベタツキ感や冷え感といった肌DRY性が悪くなり、運動時の負荷も大きくなることがある。濡れ戻り率の測定方法は以下の通りである。
20℃、65%RH下の環境で、アクリル板上に1ccの水を水玉状に載せる。その上に同環境で24時間調湿した布帛から採取した、10cm×10cmの試料の重量(A)を測定し、肌面が下になるようにして静かに載せ、1分後の試料の重量(B)を測定する。同環境で24時間調湿した10cm×10cmのろ紙の重量(a)を測定し、試料の肌面が上になるように置き、その上にろ紙を置く。そして、ろ紙上に0.5g/cmの荷重を30秒間載せる。その後、ろ紙の重量(b)を測定し、次式(4)により算出する:
濡れ戻り率(%)={(b−a)/(B−A)}×100% 式(4)
本発明の運動負荷軽減布帛は、織物や編物等、布帛として得られるものであれば特に組織等に関して限定されない。例えば、織物では、一重織物、二重織物、ヨコ二重織物、タテ二重織物、タテ・ヨコ二重織物等で構成することができ、編物では、シングルジャージ、ダブルジャージ、シングルトリコット、ダブルトリコット、シングルラッセル、ダブルラッセル等で構成できる。特に二重織物やダブルジャージ等の多層にした織物や編物では、布帛の表裏がはっきりし、布帛表側への水分の移動により肌側への水分が残り難くてよい。さらに布帛表側の表面層を構成する編地又は織物の密度を、肌側の表面層を構成する編地又は織物の密度より大きくすることにより、毛細管現象が発現し、肌側から表側へ水分を移動させることができるため、多量の発汗時でも肌面に水分が残り難く、着用時のベタツキ感や冷え感を軽減することができる。表裏の密度を変える方法としては表裏に使用する繊維の単糸繊度に差異をもたせる方法、編地のコース数やウェル数、織物のタテ糸密度やヨコ糸密度を表裏で異ならせる方法等がある。例えば、編地での表裏の密度は、裏側のウェル数が表側のウェル数の1.0〜4.5倍、好ましくは1.2〜4.2倍、より好ましくは1.3〜4.0倍にすることにより達成できる。
この場合、表側密度が肌側の密度の1.0倍未満では、毛細管現象が起こり難くなり、毛細管現象による水分移行によるベタツキの改善や運動時の負荷軽減効果は期待できない。表側の密度が裏側の密度の4.5倍を超えると、毛細管現象による水分の移行は大きいが、肌側が粗い組織となり、着用した時のチクチク感等の風合いが悪くなり、またスナッキング性も悪くなることが懸念される。
表裏の密度は、編地の場合、幅2.54cm(1インチ)当たりの編目ループの数をデンシメーターやリネンテスター等で測定する。ここでループ数とは、ニットループの編目の数であり、タックループやシンカーループといった編目はループ数に含まない。編地の、表側と肌側の密度を変える方法としては、特に限定されないが、編地肌側を針抜き組織にする方法やダイアル側とシリンダ側のゲージ数が違うダブル丸編機を使用する方法、該丸編機を使用した上で針抜き組織にする方法が好ましい。
本発明の運動負荷軽減布帛を製造する方法としては、織物の場合、WJL織機、AJL織機、レピア織機、ニードル織機等が使用できる。編物の場合、横編機やシングル丸編機、ダブル丸編機、トリコット編機、ラッセル編機等を使用できる。
本発明の運動負荷軽減布帛の目付は特に限定されないが、50〜300g/mが好ましく、より好ましくは80〜250g/mである。
本発明の運動負荷軽減布帛の裏側に起毛加工による毛羽を有していてもよい。これにより、布帛裏側を衣服の肌面に使用したときに、肌との接触面積が低くなり、ベタツキ感や冷え感の軽減に有効であるが、風合い向上等の目的で布帛の表面に起毛加工したり、布帛の両面に起毛加工したりしてもよい。さらに、起毛加工としては、染色加工前に行う方法や染色加工後に行う方法があるが、どちらでもよい。
本発明の運動負荷軽減布帛の表側を外気側、裏側を肌側になるようにして製造された衣類は、本発明の効果を好適に奏することができる。
本発明の運動負荷軽減布帛は、スポーツウェアやインナー等の汗処理機能が必要な衣料用途に特に好適であるがこれに限定されず、アウターや裏地等の衣料や、シーツ等の寝具、さらには失禁パンツやおむつ等の衛生物品にも適用でき、水分によるベタツキ感や冷え感を低減する効果を発揮する。
以下、実施例により本発明を詳述する。無論、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例における評価は以下の方法により測定した。
(1)着用試験
染色加工された布帛の裏側が肌面になるように作製されたシャツを着用し、28℃、65%RH環境の人口気候室にて10分間安静にした後に、大武・ルート工業社製トレッドミルORK−3000にて時速8kmで30分の走行運動を行い、再び10分間安静にした。走行運動後のベタツキ感、冷え感を、以下の表1に示すように、以下の評価基準で官能評価した:
○:ベタツキ感、冷え感を感じない
×:ベタツキ感、冷え感を感じる
[実施例1]
ダイアル側が18GG、シリンダ側が24GGであるダブル異ゲージ丸編機を使用し、シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fを、ダイアル側に単糸繊度が2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fを給糸して図1の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.06であった。この生機を液流染色機にて80℃×20分で精練、水洗した後に、ピンテンターにて幅出し率20%で180℃×90秒のプレセットを行った。その後、液流染色機にて130℃でのポリエステル染色、吸水加工、水洗を行った。吸水加工は高松油脂(株)製SR−1000を3%owf染浴中に添加して行った。その後、ピンテンターにてしわが取れる程度に伸長し、150℃×90秒のファイナルセットを行い、目付119g/m、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は44個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は10個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の4.4倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.37mmであった。さらに、編地の水分付与時の摩擦係数増加率は30.0%、水分200g/m付与時の接触冷感値は168W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例2]
実施例1と同じ丸編機を使用し、シリンダに単糸繊度1.9dtex、扁平度3.0、比表面積3140cm/gのポリエステルW型断面加工糸56dtex/30fを2本引きそろえ、単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面原糸84dtex/36fと5:1の割合で給糸し、ダイアル側には単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fと単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2341cm/gのポリエステル丸型断面加工糸110dtex/48fを交互に給糸して図2の組織で構成されたタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸及び丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.29であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付153g/m、厚み0.82mmの2層編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は38個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は20個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.9倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.32mmであった。さらに編地の水分付与時の摩擦係数増加率は43.3%、水分200g/m付与時の接触冷感値は194W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例3]
ダイアル側、シリンダ側とも28GGであるダブル丸編機を使用し、図3の組織で編成した以外は、実施例1と同じ糸使いでタックメッシュ組織の生機を得た。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付142g/m、厚み0.85mmの2層編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は45個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は23個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の2.0倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.30mmであった。さらに編地の水分付与時の摩擦係数増加率は48.4%、水分200g/m付与時の接触冷感値は211W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例4]
シリンダ側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72f、ダイアル側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、同じ編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステルW型断面加工糸の比表面積の比は1.33であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付122g/m、厚み0.80mmの2層編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は45個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.9倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.31mmであった。さらに編地の水分付与時の摩擦係数増加率は56.1%、水分200g/m付与時の接触冷感値は218W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例5]
シリンダ側に単糸繊度0.6dtex、扁平度1.0、比表面積4640cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/144f、ダイアル側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、同じ編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は2.00であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付137g/m、厚み0.82mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は46個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は24個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.9倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.32mmであった。さらに編地の水分付与時の摩擦係数増加率は72.5%、水分200g/m付与時の接触冷感値は223W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例6]
染色時の吸水加工剤の添加量を1%owfにした以外は実施例1と同じ糸使い、同じ編み機、同じ編み組織でタックメッシュ組織の生機を得た。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付119g/m、厚み0.80mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は44個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は10個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の4.4倍であった。また。この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.36mmであった。さらに編地の水分付与時の摩擦係数増加率は41.7%、水分200g/m付与時の接触冷感値は192W/m・℃、吸水時間は7秒であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例7]
28GGのシングル丸編機を使用し、主に表側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60f、主に裏側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fになるように給糸して図4の組織で構成されたタック組織の生機を得た。この時の主に表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、主に裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.57であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付118g/m、厚み0.81mmのシングル編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は46個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は46個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.0倍であった。また、編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.22mmであった。さらに編地の水分付与時の摩擦係数増加率は85.0%、水分200g/m付与時の接触冷感値は229W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例8]
WJL織機を使用し、主に表側に単糸繊度1.4dtex、扁平度3.0、比表面積3643cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/60f、主に裏側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36fになるように図5の織組織で構成された2重織物の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.57であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付140g/m、厚み0.72mmの織物を得た。この織物の表側及び裏側のヨコ糸密度は107本/インチであり、表側のヨコ糸密度は裏側のヨコ糸密度の1.0倍であった。また、織物の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.16mmであった。更に織物の水分付与時の摩擦係数増加率は87.8%、水分200g/m付与時の接触冷感値は230W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この織物から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感のないものであった。
[比較例1]
シリンダ側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2320cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/36f、ダイアル側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、同じ編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステル丸型断面加工糸と、裏側にあるポリエステルW型断面加工糸の比表面積に比は0.94であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付125g/m、厚み0.83mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は39個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は20個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の2.0倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.36mmであった。さらに、編地の水分付与時の摩擦係数増加率は162.8%、水分200g/m付与時の接触冷感値は263W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例2]
シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30f、ダイアル側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、同じ編み組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時の表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は0.75であった。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付131g/m、厚み0.81mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は39個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は20個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の2.0倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.31mmであった。さらに編地の水分付与時の摩擦係数増加率は209.6%、水分200g/m付与時の接触冷感値は329W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例3]
組織を図6にした以外は実施例1と同じ編み機、同じ糸使いで生機を得た。この生機の加工を実施例1と同様にして、目付143g/m、厚み0.80mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は44個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は33個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.3倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.11mmであった。さらに編地の水分付与時の摩擦係数増加率は143.2%、水分200g/m付与時の接触冷感値は259W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例4]
シリンダ側に単糸繊度2.8dtex、扁平度3.0、比表面積2464cm/gのポリエステルW型断面加工糸84dtex/30f、ダイヤル側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積2341cm/gのポリエステル丸型断面加工糸110dtex/48fをそれぞれ給糸した以外は実施例2と同じ編み機、同じ組織にてタックメッシュ組織の生機を得た。この時表側にあるポリエステルW型断面加工糸と、裏側にあるポリエステル丸型断面加工糸の比表面積の比は1.05であった。この生機の加工をプレセット時の幅出し率を30%にした以外は実施例1と同様にして、目付118g/m、厚み0.72mmの編地を得た。この編地の表側のウェル方向のループ数は38個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は19個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の2.0倍であった。また、この編地の裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.13mmであった。更に編地の水分付与時の摩擦係数増加率は130.2%、水分200g/m付与時の接触冷感値は251W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例5]
肌側の水分を瞬間的に表面に移動させ、ベタツキ感が少ないと謳われている市販のスポーツシャツAを入手した。このスポーツシャツAに使用された編物は、シャツの外気に触れる側を表側、肌面側を裏側とした時に、表側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル加工糸84dtex/72f、裏側に単糸繊度2.3dtex、扁平度1.0、比表面積1991cm/gのポリエステル加工糸56dtex/24fが使用されたシングル丸編地で、表側にあるポリエステル加工糸と、裏側にあるポリエステル加工糸の比表面積の比は1.65であり、目付114g/m、厚み0.65mmであり、表側のウェル方向のループ数は50個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は50個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.0倍であった。また、編地裏側の凸部と凹部の高さの差は0.17mmであった。更に編地の水分付与時の摩擦係数増加率は178.6%、水分200g/m付与時の接触冷感値は263W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例6]
ベタツキ感が少なく、肌離れが良いと謳われている市販のスポーツシャツBを入手した。このスポーツシャツBに使用された編物は、表側及び裏側に単糸繊度1.2dtex、扁平度1.0、比表面積3281cm/gのポリエステル加工糸84dtex/72fを使用したシングル丸編地で、表側にあるポリエステル加工糸と、裏側にあるポリエステル加工糸の比表面積の比は1.00であり、目付115g/m、厚み0.48mmであり、表側のウェル方向のループ数は48個/インチ、裏側のウェル方向のループ数は48個/インチであり、表側のウェル方向のループ数は裏側のウェル方向のループ数の1.0倍であった。また、編地裏側の凸部と凹部の高さの差は0.12mmであり、凹凸とは言えないレベルであった。更に編地の水分付与時の摩擦係数増加率は226.7%、水分200g/m付与時の接触冷感値は359W/m・℃、吸水時間は1秒以下であり、着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
Figure 2011099179
本発明による布帛を用いて衣服をすれば、着用時に快適で、且つ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感や運動時の負荷を軽減する衣服となり、スポーツウェア、インナー、アウターなどの衣服等において、快適な着用感が得られる。

Claims (5)

  1. 少なくとも一方の面の水分付与時の摩擦係数増加率が100%以下であり、かつ、200g/m水分付与時の接触冷感値が240W/m・℃以下であることを特徴とする運動負荷軽減布帛。
  2. 前記布帛の吸水時間が5秒以下である、請求項1に記載の布帛。
  3. 前記布帛のいずれか一方の表面層の凸部と凹部の高さの差が0.15〜0.50mmである、請求項1又は2に記載の布帛。
  4. 前記布帛の表側に配置される繊維の比表面積と裏側に配置される繊維の比表面積との比(表/裏比表面積比)が1.00超4.00以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の布帛。
  5. 前記布帛の厚みが0.70〜1.2mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の布帛。
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