JP2011098467A - 装飾部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステッチ模様を形成する糸が基材の表面から浮き上がらないようにした装飾部材と、この装飾部材の製造方法を提供する。
【解決手段】前記基材32の裏面32Bにおいて、各挿通孔36の周辺に糸掛止突片38を突設する。基材32の表面32A側から挿通孔36を介して該基材32の裏面32B側へ糸44を挿通し、該糸44の裏面32Bから出たループ部分44Aを、糸掛止突片38に引っ掛けることでステッチ模様Sが設けられている。基材32の表面32Aにおいて、隣り合う挿通孔36の間には、糸44の幅に合わせた糸延在溝41が凹設されると共に、該挿通孔36の開口周囲には、糸延在溝41より深い陥凹部42が設けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、合成樹脂製の基材に貫通形成された挿通孔に糸を通して、該基材の表面にステッチ模様を設けた装飾部材と、この装飾部材の製造方法に関するものである。
例えば、自動車の乗員室内に配設されるインストルメントパネル等の車両内装部材では、ポリプロピレン(PP)やABS等の硬質の合成樹脂から所要形状に形成された基材の外側に、質感向上を目的として織布、編布、合成樹脂または本革等の柔軟性を有する素材から形成された表皮材を装着したものがある。このうち、本革製の表皮材は、質感が高いものの、素材が高価で製造コストが嵩むと共に素材数に限りがあるため、一部の高級車にのみ実施されている。また、本革製の表皮材は、素材の本革が伸縮性および賦型性が劣るため、複数に裁断した本革シート材を糸で相互に縫合することで、基材の外面形状に沿う立体形状を作り出すようになっている。すなわち、本革製の表皮材は、縫合に使用される糸によるステッチ模様を有することが特徴となっている。
近年、省資源やコストダウン等の要請により、表皮材を省略して前記基材だけから構成された車両内装部材の採用割合が高まっている。前記基材は、インジェクション成形されるものが主流であり、本革の表面模様を型面に設けた成形型を使用して成形することで、該基材の外面に表皮材の表面模様を再現している。そして、前述した本革の表皮材の質感により近づけるため、前記基材にミシンで糸を縫い付けてステッチ模様を設けることもなされている。
ところで前記基材は、剛性向上を図るために、裏面の所要位置に補強リブや凹凸を一体的に形成することが多い。このため、基材の表側から縫い付けた上糸を、該基材の裏側に沿わせた下糸に引っ掛けながらステッチ模様を設ける一般的な方法では、前記補強リブや凸部が邪魔になってステッチ模様を設けることができない。そこで、下糸を使用せず、上糸だけで形成したステッチ模様を設けた装飾部材およびその製造方法が提案されている(特許文献1)。
図11は、特許文献1に開示された従来の装飾部材の製造方法を概略的に示した説明図である。また図9は、前記製造方法により製造された装飾部材10を示す概略斜視図であり、図10は図9のX−X線断面図である。特許文献1の製造方法では、縫い針に相当するニードル20の先端に糸16を通し、該ニードル20を、基材12に表面12A側から突き刺して該糸16が基材12の裏面12B側へ延出するまで貫通させる(図11(a))。そして、前記ニードル20を基材12の表面12Aへ引き抜いて、ステッチSの縫い目に相当するピッチだけ基材12を移動させる動作と、該ニードル20を再び基材12に突き刺す動作とを交互に繰り返すことで(図11(b))、基材12の表面12Aに該糸16によるステッチ模様Sが形成される。なお、ステッチ模様Sは、1本の糸16から形成されるので、該糸16における基材12の裏面12Bへ延出した部分はループ状となっている。糸16によるステッチ模様Sの形成が完了したら、基材12の裏面12Bに樹脂ホットメルトまたは接着剤等を塗布して、糸16のループ部分16Aが埋め込まれるように固化させることで(図11(c))、ステッチ模様Sを設けた装飾部材10が製造される。すなわち、基材12にステッチ模様Sを設けた装飾部材10は、樹脂ホットメルトまたは接着剤が固化して形成された糸固定部18により、糸16が基材12の表面12Aへ抜け出ることを防止するようになっている。
特開昭63−199641号公報
ところで、前記ステッチ模様Sを設ける際には、基材12に貫通したニードル20が該基材12から抜け出る際に、挿通孔14が縮径するように基材12が変形するので、ニードル20に押付けられた糸16が該ニードル20に引っ張られるようになり、該糸16が基材12の表面12Aへ引き出され易い。このため、ステッチ模様Sの糸16は基材12の表面12Aで弛んでしまい、装飾部材10の質感を損ねる不都合がある。また、基材12におけるニードル20および糸16に接触している部分(挿通孔14の周辺部分)が、該ニードル20を引き抜く際に該糸16と一緒に表面12A側へ引っ張られるので、表面12Aにおける挿通孔14の開口周囲が、外方へ盛り上がって凸部15が形成されることがある。基材12の表面12Aに凸部15が形成されると、ステッチ模様Sを形成する糸16が基材12の表面12Aから浮き上がるようになり、これによっても装飾部材10の質感が低下してしまう。。
そこで本発明は、前述した課題を解決するため、ステッチ模様を形成する糸が基材の表面から浮き上がらないようにした装飾部材と、この装飾部材の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、
合成樹脂製の基材に貫通形成された挿通孔に糸を通して、該基材の表面にステッチ模様を設けた装飾部材において、
前記基材の裏面に、前記挿通孔の周辺に突設された糸掛止部を備え、
前記挿通孔を介して前記基材の裏面に通した前記糸のループ部分を、前記糸掛止部に引っ掛けて前記ステッチ模様を設けるよう構成したことを特徴とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、糸における基材の裏面側へ延出したループ部分が該裏面に突設された糸掛止部に引っ掛けられているため、該ループ部分が挿通孔内へ引き込まれることが防止され、ステッチ模様を形成した糸が基材の表面で弛むことを防止し得る。また、挿通孔の開口周囲が外方へ盛り上がるように変形し難くなり、ステッチ模様を形成した糸が基材の表面から浮き上がることも防止し得る。
請求項2に記載の発明は、
前記基材の表面に、隣り合う前記挿通孔の間に前記糸の幅に合わせて凹設された溝部と、前記挿通孔の開口周囲に前記溝部より深く凹設された凹部とを備えたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、挿通孔の開口周囲が外方へ盛り上がるように変形したとしても、それが基材の表面に突出しないので目立たない。また、ステッチ模様を形成した糸が、溝部および凹部に沿って延在して該基材の表面に食い込んでいるように見え、装飾部材の質感を向上させ得る。
請求項3に記載の発明は、
前記溝部の幅は、前記糸の直径より小さく設定されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、溝部に延在する糸が基材の表面より突出しているので、該糸により形成されたステッチ模様が際立つようになる。
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願請求項4に記載の発明は、
合成樹脂製の基材に貫通形成された挿通孔に、該基材の表面側から糸挿通手段で糸を通して、該基材の裏面側に前記糸によるループ部分を形成し、
前記糸挿通手段の該挿通孔からの引き抜きに伴い、前記基材の裏面における前記挿通孔の周辺に突設された糸掛止部に前記ループ部分を引っ掛けて、前記基材の表面にステッチ模様を設けることを特徴とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、糸における基材の裏面側へ延出したループ部分が該裏面に突設された糸掛止部に引っ掛けられるので、糸挿通手段を挿通孔から引き抜く際に該ループ部分が挿通孔内へ引き込まれなくなり、ステッチ模様を形成する糸が基材の表面で弛んだり浮き上がるのを防止し得る。
請求項5に記載の発明は、
前記ループ部分に糸引掛手段を挿通させ、
前記糸引掛手段を前記糸掛止部の突出端に当接させて、前記ループ部分を該糸掛止部に引っ掛けるようにしたことを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、糸のループ部分を糸掛止部へ確実に引っ掛けることができる。
請求項6に記載の発明は、
前記ループ部分に、空気噴出手段により空気を吹付け、
前記ループ部分を、前記糸掛止部側へ変形させて該糸掛止部へ引っ掛けるようにしたことを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、糸のループ部分を糸掛止部へ確実に引っ掛けることができる。
本発明に係る装飾部材によれば、ステッチ模様を形成する糸が基材の表面から浮き上がらないので、該装飾部材の質感向上を図り得る。
また、別の発明に係る装飾部材の製造方法によれば、糸により基材にステッチ模様を設ける際に、該糸が基材から抜け出ることを防止し得る。
実施例の装飾部材の概略斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 図2のA部拡大断面図である。 基材のステッチ模様が設けられる部分を表面側から見た部分斜視図である。 基材のステッチ模様が設けられる部分を裏面側から見た部分斜視図である。 ステッチ模様形成装置の概略構成図である。 ステッチ模様形成装置により基材にステッチ模様を設ける状態を経時的に示す説明図である。 ステッチ模様を形成する別の方法を示す説明図である。 従来の装飾部材の概略斜視図である。 図9のX−X線断面図である。 従来の装飾部材の成形方法を概略的に示す説明図である。
次に、本発明に係る装飾部材およびその製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
図1は、実施例の装飾部材30の一例を示す概略斜視図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。なお実施例では、単純な矩形形状をなす逆トレー状の装飾部材30を例示するが、実際には様々な意匠形状に形成される。この装飾部材30は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)またはABS等を材質とする合成樹脂製の基材32と、糸44により該基材32に設けたステッチ模様Sとを備えている。
図4は、ステッチ模様Sを設ける前の基材32を表面32A側から見た部分斜視図であり、図5は、ステッチ模様Sを設ける前の基材32を裏面32B側から見た部分斜視図である。この基材32は、図示しないインジェクション成形型により成形された成形部材である。基材32の表面32Aには、本革の表面模様に似せたシボ模様が再現されている。また、基材32の裏面32Bにおける所要位置には、該基材32の剛性向上を図るためのリブ34が一体成形されている。そして、基材32の外周縁に沿った部位には、糸44によるステッチ模様Sを設ける位置となるステッチ模様形成予定部40が延在している。
基材32のステッチ模様形成予定部40には、該基材32の表面32Aから裏面32Bへ貫通する挿通孔36が、ステッチ模様Sの縫い目のピッチに相当する間隔毎に多数形成されている。各挿通孔36は、後述する糸挿通ピン(糸挿通手段)58と糸44とが挿通し得る孔径に形成されている。この挿通孔36は、インジェクション成形した基材32に対し、後工程においてレーザーにより穿孔したり、ドリルによる切削して形成される。
基材32の裏面32Bにおけるステッチ模様形成予定部40に対応する部位には、図2、図3および図5に示すように、挿通孔36に隣接した位置に、該基材32の裏面32Bから外方へ突設した糸掛止突片(糸掛止部)38が、該基材32に一体的に形成されている。各糸掛止突片38は、糸44における基材32の裏面32Bから延出したループ部分44Aを引っ掛けるためのものである。各糸掛止突片38の突出高さ(基材32の裏面32Bからの突出高さ)Hは、ループ部分44Aが外れないことを考慮すると、糸44の外径dの3〜10倍とするのが好ましい。なお、各糸掛止突片38は、基材32をインジェクション成形するインジェクション成形型の成形面に、該糸掛止突片38の形状と同一の凹部を形成しておき、基材32の成形時に該基材32に一体的に形成されたものである。
そして、基材32の表面32Aにおけるステッチ模様形成予定部40には、図4に示すように、隣接する挿通孔36,36の間に直線に延在する糸延在溝(溝部)41と、各挿通孔36の開口縁に前記糸延在溝41より深い陥凹部(凹部)42とが形成されている。これら糸延在溝41および陥凹部42は、硬くで殆ど弾力性がない基材32の表面32Aに、ステッチ模様Sを形成する糸44が食い込んだ状態を再現するためものである。糸延在溝41は、図3および図4に示すように、挿通孔36,36間の方向と直交する方向での幅Wが糸44の直径d以下とされ、また基材32の表面32Aからの深さC1が、該糸44の直径dの1/3〜2/3の範囲とされている。また陥凹部42は、基材32の表面32Aからの深さC2が、図3および図4に示すように、糸44の直径d〜dの3倍の範囲とされている。なお、前記糸延在溝41および陥凹部42は、基材32をインジェクション成形するインジェクション成形型の成形面に、該糸延在溝41および陥凹部42の形状の凸部を夫々凸設しておくことで、基材32の成形時に該基材32に一体的に形成したり、または成形された基材32に後工程においてエンドミル等で切削して形成することができる。
糸44は、表皮材にステッチ模様を設けるために使用される糸と同一のものであり、装飾部材10の使用用途や基材32の色調を考慮して、様々なカラー、太さ、材質のものが実施され得る。
(製造方法)
次に、前述のように構成された実施例の装飾部材30の製造方法につき、図6および図7を引用して説明する。
前記基材32は、図示省略したインジェクション成形型を利用して成形し、この成形時に該基材32の裏面32Bに前記各糸掛止突片38を一体的に形成する。前記各挿通孔36は、ドリルまたはレーザー穿孔機を利用して、インジェクション成形された基材32に対し、ステッチ模様形成予定部40に沿ってステッチ模様Sの縫い目ピッチ毎に穿設する。また、糸延在溝41および陥凹部42は、基材32の成形時または該基材32の成形後の後工程において、ステッチ模様形成予定部40に形成する。なお、後工程において形成する場合は、エンドミル等による切削により形成される。
基材32に対して、各糸掛止突片38、各挿通孔36、各糸延在溝41および各陥凹部42の成形が完了したら、次にステッチ模様形成予定部40に対して糸44によりステッチ模様Sを設けるステッチ形成工程を実行する。このステッチ形成工程は、図6に示すステッチ模様形成装置50を使用して実施される。ステッチ模様形成装置50は、多軸ロボット52と、基材32をセットするテーブル54とから構成されている。多軸ロボット52は、ロボットアーム56の可動先端に、針状の糸挿通ピン(糸挿通手段)58や、ボビンホルダー60、糸調子調整機構62を備える。また設置テーブル54は、基材32を保持可能な保持部64と、保持部64にセットした前記基材32の裏面32B側に近接・離間移動可能で、該裏面32Bに設けた前記糸掛止突片38の先端に当接し得る糸引掛ピン66とを備えている。
前記ステッチ模様形成装置50によるステッチ形成工程では、ステッチ模様形成作業に先立ち、該ステッチ模様形成装置50の制御部に挿通孔36、糸掛止突片38、糸延在溝41および陥凹部42を形成した当該基材32のステッチ模様形成予定部40の形状情報等を予め入力しておく。そして、基材32をテーブル54にセットして、ステッチ模様形成装置50の運転を開始すると、糸44を掛止した糸挿通ピン58が最初の挿通孔36の上方に整合するようにテーブル54が移動する(図7(a))。そして、基材32の表面32A側から糸挿通ピン58を挿通孔36に挿入させ、該糸挿通ピン58の先端を基材32の裏面32B側へ貫通させて、糸44を基材32の裏面32B側へ引き出すようにする(図7(b))。このとき、糸44における基材32の裏面32Bへ引き出されたループ部分44Aは、糸挿通ピン58に係止された状態でピンと張っている。
そして、図7(c)に示すように、糸挿通ピン58を僅かに表面32A側へ移動させると共に、糸引掛ピン66を糸掛止突片38に向けて前進させる。このとき、糸44のループ部分44Aが弛んで環状に変形するようになり、糸引掛ピン66がループ部分44Aの環状内へ突入した状態で糸掛止突片38の突出端に当接する。更に、図7(d)に示すように、糸挿通ピン58を表面32A側へ後退移動させると、ループ部分44Aは、該糸挿通ピン58で引っ張られて糸引掛ピン66から糸掛止突片38側へ移動する。従って、図7(e)に示すように、挿通孔36から糸挿通ピン58を引き抜く際および引き抜いた後も、ループ部分44Aが糸掛止突片38に引っ掛かっているので、糸44が基材32の表面32A側で弛んだり該表面32Aから浮き上がることがない。
なお、基材32に対して糸44によるステッチ模様Sを設ける作業が完了したら、必要に応じて、基材32の裏面32Bにおける各糸掛止突片38が突設された部位に、樹脂ホットメルトまたは接着剤を塗布したりテープを貼着して、各糸掛止突片38に引っ掛けられたループ部分44Aを該糸掛止突片38に固定する。
従って、実施例の装飾部材30によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)糸44における基材32の裏面32B側へ引き出されたループ部分44Aが、該裏面32Bに突設された糸掛止突片38に引っ掛かっているため、該ループ部分44Aが挿通孔36内へ引き込まれることが防止され、ステッチ模様Sを形成した糸44が、基材32の表面32Aで弛んだり該表面32Aから浮き上がることを防止し得る。従って、ステッチ模様Sを設けた装飾部材10の質感が損なわれることがない。
(2)基材32の表面32Aにおける挿通孔36,36間に糸延在溝41を形成すると共に、各挿通孔36の開口縁に糸延在溝41より深い陥凹部42を形成したので、ステッチ模様Sを形成した糸44が該基材32の表面32Aに適度に食い込んだように見え、装飾部材30の質感を向上させ得る。また、挿通孔36の開口周囲が基材32の表面32Aへ盛り上がるように変形したとしても、その盛り上がった部分が基材32の表面32Aに突出しないので目立たず、装飾部材30の質感が低下することもない。
(3)ステッチ模様Sを形成した糸44が、糸延在溝41に接触しつつ基材32の表面32Aより突出しているので、ステッチ模様Sが際立つようになる。
また、実施例の装飾部材30の製造方法によれば、次のような作用効果を奏する。
(1)糸挿通ピン58によりステッチ模様Sを形成するに際し、糸44における基材32の裏面32B側へ引き出されたループ部分44Aを、該裏面32Bに突設された糸掛止突片38に引っ掛けるようにしたので、糸挿通ピン58を基材32から引き抜く際にループ部分44Aが挿通孔36内へ引き込まれることを防止し得る。
(2)糸引掛ピン66を、ループ部分44Aに挿通させたもとで糸掛止突片38に当接させるようにしたので、該ループ部分44Aを該糸掛止突片38へ確実に引っ掛けることができる。
(3)ステッチ模様Sを形成するに先立ち、基材32に挿通孔36を形成するので、該基材32の表面32Aにおける挿通孔36の開口周囲に凸部が形成され難い。
(変更例)
(1)前記ループ部分44Aを基材32の裏面32Bに突設した糸掛止突片38に引っ掛ける方法としては、該裏面32Bに向けて吹付けられる空気を利用することも可能である。すなわちステッチ模様形成装置50は、図8に示すように、基材32の裏面32Bに向けて空気を吹付け可能な空気噴射ノズル(空気噴出手段)68をテーブル54に備えている。従って、基材32の表面32A側から挿通孔36に挿通させた糸挿通ピン58を僅かに後退させ、弛んで環状に変形したループ部分44Aに向けて前記空気噴射ノズル68から噴出した空気を吹付けることで(図8(c))、該ループ部分44Aが糸掛止突片38側へ変位し、これによりループ部分44Aを糸掛止突片38へ確実に引っ掛けることができる(図8(d))。
(2)実施例では、糸挿通手段58として針状の糸挿通ピンを例示したが、ステッチ模様形成工程に先立って基材32に各挿通孔36を形成することを前提とすれば、糸挿通手段は空気吸引装置であってもよい。すなわち、基材32の表面32Aに、各挿通孔36の開口部に整合するように糸44を沿わせ、該基材32の裏面32B側から空気吸引装置の吸引ノズルを該挿通孔36に臨ませて空気を吸引することで、糸44を当該挿通孔36内へ引き込んで基材32の裏面32B側へ引き出すことが可能である。
(3)また、ステッチ模様形成工程に先立って基材32に各挿通孔36を形成することを前提とすれば、糸挿通手段58は空気噴出装置であってもよい。すなわち、基材32の表面32Aに、各挿通孔36の開口部に整合するように糸44を沿わせ、該基材32の表面32A側から空気噴出装置の噴出ノズルを該挿通孔36に臨ませて空気を噴出することで、糸44を当該挿通孔36内へ押し込んで基材32の裏面32B側へ押し出すことが可能である。
(4)ステッチ模様形成工程に先立って基材32に各挿通孔36を形成することを前提とすれば、糸挿通手段58は、糸44が挿通されない単なる棒状ピンであってもよい。すなわち、基材32の表面32Aに、各挿通孔36の開口部に整合するように糸44を沿わせ、該基材32の表面32A側から棒状ピンを該挿通孔36に対向させて、棒状ピンの先端で糸44を押しながら該棒状ピンを挿通孔36に挿通させれば、糸44を当該挿通孔36内へ押し込んで基材32の裏面32B側へ押し出すことが可能である。
(5)実施例では、基材32にステッチ模様Sを設けるに先立ち、該基材32に各挿通孔36を形成する場合を例示したが、従来技術において例示したように、糸挿通ピン58で基材32に挿通孔36を形成しながらステッチ模様Sを形成するようにしてもよい。このような製造方法であっても、糸44のループ部分44Aが糸掛止突片38に引っ掛かった状態で糸挿通ピン58が基材32から引き抜かれるので、ループ部分44Aが挿通孔36内へ引き込まれることが防止される。従って、ステッチ模様Sを形成する糸44が、基材32の表面32A側で弛んだり、該表面32Aから浮き上がることを防止し得る。また、前記陥凹部42が形成されているので、糸挿通ピン58が基材32から引き抜かれた後に挿通孔36の開口周囲が盛り上がるように変形して図10に示すような凸部が形成されたとしても、該凸部は陥凹部42内に形成されて基材32の表面32Aから突出しないので、該凸部が目立たつことがなく、またステッチ模様Sを形成した糸44が基材32の表面32Aから浮き上がることも防止できる。
(6)実施例では、シングルタイプのステッチ模様Sを例示したが、このステッチ模様Sはこれに限らず、ダブルステッチや、様々な形態のものが実施可能である。
(7)本願の装飾部材30は、自動車の乗員室内に配設される車両内装部材に限らず、日用雑貨、住宅内装部材(家具等)、靴やカバン等、様々なものに応用実施可能である。
32 基材,32A 表面,32B 裏面,36 挿通孔,38 糸掛止突片(糸掛止部)
41 糸延在溝(溝部),42 陥凹部(凹部),44 糸,44A ループ部分
58 糸挿通ピン(糸挿通手段),66 糸引掛ピン(糸引掛手段)
68 空気噴出ノズル(空気噴出手段),d 直径(糸44の),S ステッチ模様

Claims (6)

  1. 合成樹脂製の基材に貫通形成された挿通孔に糸を通して、該基材の表面にステッチ模様を設けた装飾部材において、
    前記基材の裏面に、前記挿通孔の周辺に突設された糸掛止部を備え、
    前記挿通孔を介して前記基材の裏面に通した前記糸のループ部分を、前記糸掛止部に引っ掛けて前記ステッチ模様を設けるよう構成した
    ことを特徴とする装飾部材。
  2. 前記基材の表面に、隣り合う前記挿通孔の間に前記糸の幅に合わせて凹設された溝部と、前記挿通孔の開口周囲に前記溝部より深く凹設された凹部とを備えた請求項1記載の装飾部材。
  3. 前記溝部の幅は、前記糸の直径より小さく設定される請求項2記載の装飾部材。
  4. 合成樹脂製の基材に貫通形成された挿通孔に、該基材の表面側から糸挿通手段で糸を通して、該基材の裏面側に前記糸によるループ部分を形成し、
    前記糸挿通手段の該挿通孔からの引き抜きに伴い、前記基材の裏面における前記挿通孔の周辺に突設された糸掛止部に前記ループ部分を引っ掛けて、前記基材の表面にステッチ模様を設ける
    ことを特徴とする装飾部材の製造方法。
  5. 前記ループ部分に糸引掛手段を挿通させ、
    前記糸引掛手段を前記糸掛止部の突出端に当接させて、前記ループ部分を該糸掛止部に引っ掛けるようにした請求項4記載の装飾部材の製造方法。
  6. 前記ループ部分に、空気噴出手段により空気を吹付け、
    前記ループ部分を、前記糸掛止部側へ変形させて該糸掛止部へ引っ掛けるようにした請求項4記載の装飾部材の製造方法。
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