JP2011095244A - 有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法、加熱焼結性金属ペーストの製造方法、および金属製部材接合体の製造方法 - Google Patents

有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法、加熱焼結性金属ペーストの製造方法、および金属製部材接合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を簡易・迅速・容易に判定できる評価方法、加熱焼結性に優れる加熱焼結性金属ペーストの効率的な製造方法、および接合性が優れた金属製部材接合体の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を空気気流中における熱分析に供して、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度と該有機物自体の熱分解ピーク温度を比較することにより、該金属粒子の加熱焼結性を判定する。該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーを算出し、その値により、該金属粒子の加熱焼結性を判定する。これらの評価方法により加熱焼結性に優れる有機物被覆金属粒子を選別し揮発性分散媒と混合し、ペーストを製造する。その加熱焼結性金属ペーストを金属製部材間に介在させて加熱焼結し金属製部材接合体を製造する。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法、この評価方法により加熱焼結性の優れる有機物被覆金属粒子を選別し揮発性分散媒と混合することからなる加熱焼結性金属ペーストの製造方法、および、この製造方法により加熱焼結性金属ペーストを製造し、これを金属製部材間で加熱焼結することからなる金属製部材接合体の製造方法に関する。
加熱焼結性金属粒子を導電性フィラーとして用いた導電性インクは優れた導電性を有するという特徴を有する。特に平均粒径が100nm以下の金属ナノ粒子は、そのバルク材の融点(例えば、金は1064℃、銀は962℃)よりは相当に低い温度でも焼結することが知られており、例えば、数nmから数十nmの銀ナノ粒子では200℃程度で焼結が可能であり、このような金属ナノ粒子を液状のバインダー(例えば、エポキシ樹脂、有機溶剤)に分散させた導電性インクが配線パターン形成用のペースト剤として数多く提案されている(特許文献1〜特許文献3)。
平均粒径が100nm以上であるいわゆる非ナノ金属粒子はナノ粒子に比べ低温での焼結性は必然的に劣ることになる。しかし、低温でもまったく焼結しないわけではなく、その製造方法、粒子径、表面被覆剤、製造会社などの違いによっては低温で焼結できるものも極めてまれには存在する。しかし、こうした非ナノ金属粒子が低温で焼結が可能であるかどうかは実際にミキサー等を使用してペースト剤を調合して加熱し、焼結物の諸特性を評価する以外に方法がなく、試験機器と時間を要する煩雑な作業を強いられていた(特許文献4)。
特開2002−324966号公報 特開2004−273205号公報 特開2008−235035号公報 WO2007/034833A1
本発明者らは上記の問題点を解決するため鋭意研究した結果、有機物被覆金属粒子が加熱焼結性に優れるかどうかを簡易・迅速・容易に判定できる、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法を見出して本発明を完成させた。
本発明の目的は、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を簡易・迅速・容易に判定できる評価方法、加熱焼結性に優れる加熱焼結性金属ペーストの的確かつ効率的な製造方法、および接合性が優れた金属製部材接合体の的確かつ効率的な製造方法を提供することにある。
この目的は、
「[1] 有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を熱分析により評価する方法であって、
有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
[2] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、[1]に記載の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
[2-1] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より低い場合が,2℃以上低い場合であって、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合が,2℃以上高い場合であることを特徴とする、[1]に記載の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
[2-2] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より5℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より5℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、[1]に記載の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
[2-3] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より低い場合が,5℃以上低い場合であって、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合が,5℃以上高い場合であることを特徴とする、[1]に記載の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
[2-4] 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、[1]、[2]、[2-1]、[2-2]、[2-3]のいずれかに記載の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
[3] 有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を熱分析により評価する方法であって、
有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
[3-1] 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、[3]に記載の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。」により達成される。
また、この目的は、
「[4] 有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、次いで、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化することを特徴とする、加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[5] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、[4]に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[5-1] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より低い場合が,2℃以上低い場合であって、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合が,2℃以上高い場合であることを特徴とする、[4]に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[5-2] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より5℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より5℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、[4]に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[5-3] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より低い場合が,5℃以上低い場合であって、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合が,5℃以上高い場合であることを特徴とする、[4]に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[6] 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、[4]、[5]、[5-1]、[5-2]、[5-3]のいずれかに記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[6-1] 揮発性分散媒の沸点が、有機物被覆金属粒子の融点より低く、60℃〜300℃であることを特徴とする、[4]、[5]、[5-1]、[5-2]、[5-3]、[6]のいずれかに記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[7] 有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、次いで、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化することを特徴とする、加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[8] 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、[7]に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
[8-1] 揮発性分散媒の沸点が、有機物被覆金属粒子の融点より低く、60℃〜300℃であることを特徴とする、[7]または[8]に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。」により達成される。
また、この目的は、
「[9] 有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化して加熱焼結性金属ペーストを調製し、次いで、該加熱焼結性金属ペーストを、複数の金属製部材間に介在させ、加熱焼結性金属の焼結可能な温度以上で加熱することを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
[10] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、[9]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[10-1] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より低い場合が,2℃以上低い場合であって、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合が,2℃以上高い場合であることを特徴とする、[9]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[10-2] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より5℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より5℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、[9]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[10-3] 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より低い場合が,5℃以上低い場合であって、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合が,5℃以上高い場合であることを特徴とする、[9]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[11] 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、[9]、[10]、[10-1]、[10-2]、[10-3]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[11-1] 金属製部材の材質が金、銀、銅、白金、パラジウムまたはこれら各金属の合金であることを特徴とする、[9]、[10]、[10-1]、[10-2]、[10-3]、[11]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[11-2] 加熱温度が70℃以上400℃以下であり、加熱焼結時の雰囲気ガスが酸素を含む酸化性ガスであることを特徴とする、[9]、[10]、[10-1]、[10-2]、[10-3]、[11]、[11-1]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[12] 金属製部材接合体が電子部品であることを特徴とする、[9]、[10]、[10-1]、[10-2]、[10-3]、[11]、[11-1]、[11-2]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[13] 有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化して加熱焼結性金属ペーストを調製し、次いで、該加熱焼結性金属ペーストを複数の金属製部材間に介在させ、加熱焼結性金属の焼結可能な温度以上で加熱することを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
[14] 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、[13]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[14-1] 金属製部材の材質が金、銀、銅、白金、パラジウムまたはこれら各金属の合金であることを特徴とする、[13]または[14]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[14-2] 加熱温度が70℃以上400℃以下であり、加熱焼結時の雰囲気ガスが酸素を含む酸化性ガスであることを特徴とする、[13]、[14]、[14-1]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。
[15] 金属製部材接合体が電子部品であることを特徴とする、[13]、[14]、[14-1]、[14-2]のいずれかに記載の金属製部材接合体の製造方法。」により達成される。
本発明の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法によると、有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合して金属ペーストにしてから加熱焼結性を評価するという煩雑な方法によることなく、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を簡易・迅速・容易に評価できる。
本発明の加熱焼結性金属ペーストの製造方法によると、本発明の加熱焼結性の評価方法により加熱焼結性良好な有機物被覆金属粒子を選別し、これを揮発性分散媒と混合してペースト化するので、加熱焼結性が優れた加熱焼結性金属ペーストを的確かつ効率的に製造できる。
本発明の金属製部材接合体の製造方法は、本発明の加熱焼結性金属ペーストの製造方法により加熱焼結性金属ペーストを製造し、これを用いて金属製部材を接合するので、複数の金属製部材同士が強固に接合され、接合性に優れた金属製部材接合体を的確かつ効率的に製造することができる。
実施例における金属製部材接合体のせん断接着強さ測定用試験体Aの平面図である。銀基板1上に加熱焼結性金属ペースト2をメタルマスクで印刷塗布し、銀チップ3を搭載後、加熱して金属粒子を焼結し、銀基板1と銀チップ3間のせん断接着強さを測定するものである。 図1におけるX−X線断面図である。 参考例1のステアリン酸自体の熱重量分析のチャート図である。 参考例2のオレイン酸自体の熱重量分析のチャート図である。 実施例1のフレーク状銀粒子の表面を被覆しているステアリン酸の熱重量分析のチャート図である。 実施例3の球状銀粒子の表面を被覆しているオレイン酸の熱重量分析のチャート図である。 実施例4の粒状銅粒子の表面を被覆しているオレイン酸の熱重量分析のチャート図である。 実施例5のフレーク状ニッケル粒子の表面を被覆しているステアリン酸の熱重量分析のチャート図である。
本発明の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法は、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を熱分析により評価する方法であって、有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする。
上記の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法は、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを好ましい実施態様とする。
上記の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法は、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より5℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より5℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを、より好ましい実施態様とする。
本発明のもうひとつの有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法は、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を熱分析により評価する方法であって、有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする。
以下、これらの有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法について、詳細に説明する。
上記2つの有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法は、以下の理由で技術的に密接に関連しており、共通の技術的特徴を有する。
有機物被覆金属粒子中の金属粒子が焼結するためには加熱により該有機物が熱分解して該有機物被覆金属粒子から除去されることが必要である。有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れる場合は、該有機物自体の熱分解温度よりも低い温度で該有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が熱分解して該有機物被覆金属粒子から除去されるが、このことは該有機物被覆金属粒子がその表面を被覆している該有機物の熱分解を促進する作用を有することを意味する。熱分解は化学反応であり、化学反応の起こりやすさは活性化エネルガーの大小で比較でき、有機物被覆金属粒子が該有機物の熱分解反応における触媒作用を有する場合の活性化エネルギーは、該触媒作用がない場合の活性化エネルギーよりも小さいことになる。
すなわち、該有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)よりも低い場合は、該有機物被覆金属粒子が該有機物の熱分解を促進する触媒として作用しているということにほかならず、触媒は化学反応を促進するものであるから、この熱分解における活性化エネルギーは小さく、具体的には95kJ/モル未満である。
有機物で被覆された金属粒子の材質は、常温で固体である金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、スズ、アルミニウム、および、これら各金属の合金が例示され、さらにはこれら各金属の金属化合物が例示されるが、熱伝導性および導電性の点で銀および銅が好ましく、ニッケルも好ましい。銀粒子は、表面または内部の、一部または全部が酸化銀または過酸化銀であってもよい。銅は酸化銅が少ないことが好ましい。また、金属粒子は、通常、単独の材質からなるが、複数の材質の粒子の混合物であってもよい。
有機物で被覆された金属粒子は、それら金属(例えば、銀)により表面がメッキされた金属(例えば、銅、ニッケル、アルミニウム)粒子、それら金属(例えば、銀)により表面がメッキされた樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂)粒子であってもよい。
有機物被覆金属粒子の形状は特に限定されず、球状、針状、角状、樹枝状、繊維状、フレーク状(片状)、粒状、不規則形状、涙滴状が例示される(JIS Z 2500参照)。さらには楕円球状、海綿状、ぶどう状、紡錘状、略立方体状等が例示される。このうち本発明の加熱焼結性金属ペーストの保存安定性の点で、球状、粒状またはフレーク状が好ましい。
ここで言う球状とは、ほぼ球に近い形状である(JIS Z2500:2000参照)。必ずしも真球状である必要はなく、粒子の長径(DL)と短径(DS)との比(DL)/(DS)(真球度あるいは球状係数と言うことがある)が1.0〜1.2の範囲にあるものが好ましい。
粒状とは、不規則形状のものではなくほぼ等しい寸法をもつ形状である(JIS Z2500:2000参照)。
フレーク状(片状)とは、板のような形状であり(JIS Z2500:2000参照)、鱗のように薄い板状であることから鱗片状とも言われるものである。いずれの形状であっても粒度分布は限定されない。
有機物被覆金属粒子の製造方法は限定されないが、還元法または湿式法であることが好ましい。還元法による金属粒子の製造方法は多く提案されており、例えば、硝酸銀水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて酸化銀を調製し、これにホルマリンのような還元剤の水溶液を加えることにより酸化銀を還元して銀粒子分散液とし、分散液をろ過し、必要によりろ過残渣を洗浄し、乾燥をおこなうことにより製造するという方法が例示される。この際に銀粒子同士の凝集を防止するため、例えば、高・中級脂肪酸またはその誘導体である撥水性有機物を添加して銀粒子表面を被覆する(特開昭54−121270号公報参照)。このように有機物被覆金属粒子は、製造後の保存中に表面の酸化防止と該粒子同士の凝集防止のため表面が有機物で被覆されている。
有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物は、金属粒子の加熱焼結性を阻害しなければ特に限定されず、炭素原子数が5以下の脂肪族炭化水素基とヒドロキシ基からなるアルキルアルコール、炭素原子数が5以下の脂肪族炭化水素基とアミノ基からなるアルキルアミン、炭素原子数が5以下の脂肪族炭化水素基とスルファニル基からなるアルカンチオール、脂肪族炭化水素基とヒドロキシ基を2個以上有するアルカンポリオール、炭素原子数が5以下の脂肪族炭化水素基とカルボキシル基からなる低級脂肪酸等の親水性有機物;高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体、炭素原子数が6以上の脂肪族炭化水素基とヒドロキシ基からなるアルキルアルコール、炭素原子数が6以上の脂肪族炭化水素基とアミノ基からなるアルキルアミン、炭素原子数が6以上の脂肪族炭化水素基とスルファニル基からなるアルカンチオール等の撥水性有機物が例示されるが、有機物被覆金属粒子の常温における保存安定性に優れる撥水性有機物であることが好ましい。撥水性は疎水性ともいう。
撥水性有機物は、高・中級脂肪酸またはその撥水性誘導体であることがより好ましい。高・中級脂肪酸の誘導体としては、高・中級脂肪酸金属塩(ただし、アルカリ金属塩を除く)、高・中級脂肪酸アミドおよび高・中級脂肪酸エステルが例示される。被覆効果、処理効果の点で特には高・中級脂肪酸が好ましい。
高級脂肪酸は、炭素原子数15以上の脂肪酸であり、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシステアリン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソステアリン酸等の分枝飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。
中級脂肪酸は、炭素原子数が6〜14の脂肪酸であり、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、2−ブチルオクタン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸等の分枝飽和脂肪酸;10−ウンデセン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。
有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の量は、金属粒子の平均粒径、比表面積、形状、比重などにより変わるが、金属粒子の0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましい。少なすぎると有機物被覆金属粒子が凝集しやすく保存安定性が低下し、多すぎると該金属粒子の加熱焼結性が低下するからである。
有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の量は通常の方法で測定できる。有機物が揮発可能な温度(例えば、沸点近傍あるいはそれ以上)に加熱して重量減少を測定する方法、金属粒子を酸素気流中で加熱して金属粒子に付着していた有機物中の炭素を炭酸ガスに変え、炭酸ガスを赤外線吸収スペクトル法により定量分析する方法等が例示される。
有機物被覆金属粒子が加熱により焼結するためには、表面を被覆している有機物が除去されることが必要である。一方、該有機物は安定して長期間、金属粒子の酸化防止と凝集防止をするため、金属粒子表面と配位的な結合をするものが好ましい(特開2007-83288号公報参照)。
有機物被覆金属粒子が加熱されると表面を被覆している有機物が除去され、それにあわせて金属粒子同士が焼結する。
この際、特に金属粒子表面と直接接して被覆している有機物(金属表面に直接接している単分子層状の有機物)は単に金属表面に付着しているのでなく、金属粒子表面と結合しているので揮発させて除去することは困難である。例えば有機物被覆金属粒子を常温から昇温していくと金属粒子の表面を被覆している有機物は、まず過剰な分(金属表面に直接接している単分子層状の有機物を除く)が主に揮発によって徐々に除去されていくが、金属粒子表面に直接接している単分子層状の有機物は金属粒子表面と結合状態にあるので揮発によっては除去されず、雰囲気中の酸素と熱により酸化され分解することで除去できる。このとき酸化による分解反応は発熱反応であるため、熱分析によりその熱分解の温度を測定することができ、その発熱ピーク温度を金属表面から該有機物が除去された温度とすることができる。なお、この発熱ピーク温度では、金属粒子の焼結を阻害していた金属粒子表面の有機物が除去されるため、金属粒子の焼結も同時に起こる。このため、加熱焼結性を熱分析により評価する方法における発熱ピークには金属粒子の焼結にともなう発熱もしくは吸熱による寄与分を含んでいても良い。
このような熱分析は、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量分析(DSC)が例示されるが、装置が簡便で、しかも試料から発生する熱分解ガスによる分析装置のセンサーへの影響の小さい示差熱分析が好ましい。
示差熱分析の方法は、常温から一定の昇温速度で昇温していき、2個のサンプルホルダーに設置された熱電対の起電力による一方のレファレンスともう一方のサンプルとの間に生じる温度差を検出し、発熱反応や吸熱反応を示差熱曲線として検出するものであり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が熱分解する際に発熱ピークとして測定することができる。このとき、熱重量分析(TGA)を同時に行うと、有機物の除去の程度を有機物の重量減少という形で確認できるので、示差熱分析と熱重量分析を同時に行う示差熱熱重量同時分析が好ましい。このような測定装置は数多く市販されている。例えば、株式会社島津製作所製の示差熱熱重量同時測定装置DTG−60A型はオートサンプラーが併用できるため、連続的に有機物被覆金属粒子の評価ができ、数多くの金属粒子の中から加熱焼結性に優れる金属粒子を効率よく選択できる。
示差走査熱量分析の方法は、常温から一定の昇温速度で昇温していき、2個のサンプルホルダーに設置された熱電対の起電力による一方のレファレンスともう一方のサンプルとの間に生じる温度差を熱量として検出し、発熱反応や吸熱反応を示差走査熱量曲線として検出するものであり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が熱分解する際に発熱ピークとして測定することができる。このような測定装置は数多く市販されており、パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定装置、セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量測定装置が例示される。
このように、示差熱分析と示差走査熱量分析は、ともにレファレンスとサンプルの温度差を検出している点で共通しており、よって本発明における熱分解ピーク温度は、個々の装置の感度による差を除けば基本的に同じである。
示差熱分析(DTA)の場合は、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物は、空気中で有機物被覆金属粒子を常温から昇温していくと該金属粒子固有のある温度に達した時点で酸化による熱分解反応がおこり、一気に発熱して急速に有機物の量がゼロとなる。このとき示差熱分析における示差熱(DTA)曲線は発熱側にピークを形成するが、このときの温度が該有機物の熱分解ピーク温度(1)である。
この熱分解ピーク温度が発熱側に現れるのは、有機物の酸化による熱分解は燃焼という発熱反応であるためである。
示差走査熱量分析(DSC)の場合は、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物は、空気中で有機物被覆金属粒子を常温から昇温していくと該金属粒子固有のある温度に達した時点で酸化による熱分解反応がおこり、一気に発熱して急速に有機物の量がゼロとなる。このとき示差走査熱量分析における示差走査熱量(DSC)曲線は発熱側にピークを形成するが、このときの温度が該有機物の熱分解ピーク温度(1)である。
この熱分解ピーク温度が発熱側に現れるのは、有機物の酸化による熱分解は燃焼という発熱反応であるためである。
このように測定した有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)と、同様に測定した該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)とは、本来同程度のはずであるが、有機物被覆金属粒子が加熱焼結性に優れる場合には、該金属粒子自体がその表面を被覆している有機物の熱分解を促進するため、熱分解ピーク温度(1)を低下させる結果、熱分解ピーク温度(1)は該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)よりも低温となる。
一方、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣る場合には、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)は、該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同一か、より高温となる。すなわち、同等以上となる。
上記いずれの場合も、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)と該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)の温度差が、好ましくは2℃以上、より好ましくは5℃以上であると、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の判定が容易となる。
なお、加熱焼結性金属粒子を被覆するための有機物自体の熱分解ピーク温度、および、加熱焼結性金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度は、通常100〜330℃であるので、この判定方法は、通常熱分解ピーク温度が100〜330℃である場合に有用であるが、この温度範囲に限定されるものではない。
以上により、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低ければ、該金属粒子の加熱焼結性が優れると判定できる。有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると、より低温でも焼結が可能となるので、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)は該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)よりも、2℃以上低いことが好ましく、5℃以上低いことがより好ましい。
本願発明の加熱焼結性の評価方法で評価された有機物被覆金属粒子は、その評価が「優れる」の場合は、加熱焼結温度に関わらず実際の焼結性がよく、その評価が「劣る」の場合は、加熱焼結温度に関わらず実際の焼結性が悪い。つまり、本願発明の加熱焼結性の評価方法で「優れる」と判定された場合、実際の加熱温度が、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)より高い場合はもとより、熱分解ピーク温度(1)より低い場合でも加熱焼結性は優れている。また本願発明の加熱焼結性の評価方法で「劣る」と判定された場合、実際の加熱温度を該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)より高くしても加熱焼結性は劣ったままである。
有機物被覆金属粒子中の金属粒子が、その表面を被覆している有機物の熱分解温度を低下させる場合には、有機物被覆金属粒子が該有機物の熱分解を促進する触媒としての機能を有することを意味する。
本発明の加熱焼結性の評価方法において、該金属粒子が加熱焼結性に優れると判定されるためには、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーは低いことが必要であり、具体的には95kJ/モル未満である。該活性化エネルギーが95kJ/モル以上であると、該金属粒子の加熱焼結性は劣ると判定される。
この活性化エネルギーは、加熱分解反応の反応速度が未反応物量の割合の一次反応と仮定することにより導かれるKissingerの式から、本発明の熱分析において昇温速度を変えて有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)を測定することにより容易に求めることができる。
具体的な活性化エネルギーの測定方法は、例えば、次のとおりである。示差熱分析(DTA)の場合は、示差熱熱重量同時測定装置を用いて、空気気流中で有機物被覆金属粒子を昇温速度1℃/分、5℃/分、10℃/分、50℃/分で各々23℃から400℃まで昇温し、各昇温速度(Φ、単位K/s)と昇温途上にDTA曲線に現れる発熱ピーク温度(T、単位K)との関係を測定する。次にKissinngerの式を適用して、横軸に1/T、縦軸にln(Φ/RT)をとったグラフにプロットし、得られた直線の傾きを−E/Rとして求め、活性化エネルギー(E、単位kJ/モル)を算出する。ここでRは気体定数である。
示差走査熱量分析(DSC)の場合は、示差走査熱量測定装置を用いて、空気気流中で有機物被覆金属粒子を昇温速度1℃/分、5℃/分、10℃/分、50℃/分で各々23℃から400℃まで昇温し、各昇温速度(Φ、単位K/s)と昇温途上にDSC曲線に現れる発熱ピーク温度(T、単位K)との関係を測定する。次にKissinngerの式を適用して、横軸に1/T、縦軸にln(Φ/RT)をとったグラフにプロットし、得られた直線の傾きを−E/Rとして求め、活性化エネルギー(E、単位kJ/モル)を算出する。ここでRは気体定数である。
本発明における加熱焼結性金属ペーストの製造方法は、有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、次いで、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化することを特徴とする。
本発明のもうひとつの加熱焼結性金属ペーストの製造方法は、有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、次いで、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化することを特徴とする。
有機物被覆金属粒子の材質、形状、該金属粒子の表面を被覆している有機物の種類と量、該金属粒子の加熱焼結性の判定方法は、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法に関して説明したとおりである。
有機物被覆金属粒子は、金属の種類、金属粒子の製造方法、金属粒子の平均粒径、金属粒子の形状、該金属粒子の表面を被覆する有機物などの種類により数多くの品種が存在するが、加熱焼結性が優れる金属粒子は少なく、特に70℃〜250℃程度の温度でも焼結が可能であり、金属製部材を強固に接合できる金属粒子は極めてまれである。
数多くの有機物被覆金属粒子の中から加熱焼結性が優れる金属粒子を選択するには、従来の方法では、該金属粒子を1種類ずつ揮発性分散媒と混合して金属ペーストを製造し、該金属ペーストを加熱することにより加熱焼結性を評価して判定するので容易なことではないが、本発明の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法によれば、数多くの金属粒子の中から加熱焼結性の優れた金属粒子を簡易・迅速・容易に選択できるので、加熱焼結性の優れた加熱焼結性金属ペーストを的確かつ効率的に製造することができる。
本発明における有機物被覆金属粒子の平均粒径は0.1μm以上50μm以下であることが好ましい。この平均粒径はレーザー回折散乱式粒度分布測定法により得られる一次粒子の平均粒径(メディアン径D50)である。平均粒径が50μmを越えると、加熱焼結性金属ペーストを調製した後、口径の小さいニードルを有するシリンジからのディスペンス(吐出)が困難になるためであり、この点からは平均粒径は小さい方が好ましい。
このため平均粒径は20μm以下であることが好ましく、特には10μm以下であることが好ましい。平均粒径の下限は限定されないが、平均粒径が0.1μm未満である、いわゆる金属ナノ粒子は製造コストが非常に高く、汎用性が失われるので、平均粒径は0.1μm以上であることが好ましい。この観点から平均粒径は0.2μm以上であることがより好ましく、0.7μm以上であることがより好ましい。
なお、メディアン径D50は、レーザー回折法50%粒径と称されたり(特開2003−55701参照)、体積累積粒径D50と称されてもいる(特開2007−84860参照)。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法は、金属粒子にレーザービームを照射し、その金属粒子の大きさに応じて様々な方向へ発せられる回折光や散乱光のレーザー光の強度を測定することにより一次粒子の粒径を求めるという汎用の測定方法である。数多くの測定装置が市販されており(例えば、株式会社島津製作所製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD、日機装株式会社製レーザー回折散乱式粒度分布測定装置マイクロトラック)、これらを用いて容易に平均粒径(メディアン径D50)を測定することができる。なお金属粒子の凝集が強い場合には、ホモジナイザーにより一次粒子の状態に分散してから測定することが好ましい。
有機物被覆金属粒子の表面は、該有機物により半分以上が被覆されていればよいが、全部が被覆されていることが好ましい。金属粒子の表面を有機物で被覆するには、金属粒子の製造途上で有機物を投入して該金属粒子表面を被覆するという方法、金属粒子を製造後、有機物の溶液中に該金属粒子を浸漬した後、該金属粒子を取り出して乾燥するという方法、金属粒子を製造後、有機物の溶液を噴霧して乾燥するという方法が例示される。
揮発性分散媒は、粉末状である有機物被覆金属粒子をペースト状にするために配合されるものであり、ペースト状はクリーム状やスラリー状を含むものである。
このように調製された加熱焼結性金属ペーストを加熱して該金属粒子同士を焼結するためには、分散媒は非揮発性ではなく、揮発性であることが必要である。該金属粒子同士が焼結する際に分散媒が揮散すると、該金属粒子同士が焼結して接合剤、配線材料として利用しやすくなるからである。揮発性分散媒の沸点は、有機物被覆金属粒子の融点より低く、60℃〜300℃であることが好ましい。沸点が60℃未満であると、加熱焼結性金属ペーストを調製する作業中に溶媒が揮散しやすく、沸点が300℃を越えると、加熱後も揮発性分散媒が残留しかねないからである。
そのような揮発性分散媒は、炭素原子および水素原子からなる揮発性炭化水素化合物、炭素原子,水素原子および酸素原子からなる揮発性有機化合物、炭素原子,水素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物、炭素原子,水素原子,酸素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物、前記揮発性有機化合物のうちの親水性揮発性有機化合物と水との混合物などから選択される。これらはいずれも常温において液状である。
水は純水が好ましく、その電気伝導度は100μS/cm以下が好ましく、10μS/cm以下がより好ましい。純水の製造方法は、通常の方法で良く、イオン交換法、逆浸透法、蒸留法が例示される。
炭素原子,水素原子および酸素原子からなる揮発性有機化合物として、具体的にはエチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール等の揮発性一価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ、メチルカルビトール)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エメチルセロソルブ、エチルカルビトール)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルセロソルブ、プロピルカルビトール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテル結合を有する揮発性一価アルコールおよび揮発性二価アルコール;テルピネオール、リナロール、ゲラニオール等の揮発性テルペン系アルコール;ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコールなどの揮発性アラルキルアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、グリセリンなどの揮発性多価アルコールが例示される。
さらにはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3、5、5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)、ジイブチルケトン(2、6−ジメチル−4−ヘプタノン)等の揮発性脂肪族ケトン;酢酸エチル(エチルアセテート)、酢酸ブチル、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような揮発性脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル等の揮発性脂肪族エーテルが例示される。
炭素原子および水素原子からなる揮発性炭化水素化合物として、低級n−パラフィン、低級イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;リモネン、α-テルピネンなどの揮発性テルペン系炭化水素;トルエン、キシレン等の揮発性芳香族炭化水素が例示される。
炭素原子,水素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物として、アセトニトリル、プロピオニトリルのような揮発性アルキルニトリルが例示される。
炭素原子,水素原子,酸素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物として、アセトアミド、N、N-ジメチルホルムアミドのような揮発性カルボン酸アミドが例示される。その他に、低分子量の揮発性シリコーンオイルおよび揮発性有機変成シリコーンオイルが例示される。
揮発性分散媒の配合量は、有機物被覆金属粒子を常温においてペースト状にするのに十分な量である。ペースト状にするのに十分な量は有機物被覆金属粒子の材質、粒径、表面積、形状、比重、揮発性分散媒の種類、粘度、比重などにより変動するが、具体的には、例えば、有機物被覆金属粒子100重量部当たり3〜30重量部である。
本発明で使用する加熱焼結性金属ペーストには、本発明の目的に反しない限り、有機物被覆金属粒子以外の金属粒子、非金属系の粉体、金属化合物、金属錯体、チクソ剤、着色剤等の添加物を少量ないし微量含有しても良い。
本発明の加熱焼結性金属ペーストの製造方法は、具体的には、本発明の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法により選択された加熱焼結性に優れる有機物被覆金属粒子と揮発性分散媒とをミキサーに投入し、均一なペースト状になるまで撹拌混合することによる。
本発明の加熱焼結性金属ペーストの製造方法により製造された加熱焼結性金属ペーストは、有機物被覆金属粒子と揮発性分散媒との混合物であり、常温でペースト状である。なお、ペースト状はクリーム状やスラリー状を含む。ペースト化することによりシリンダーやノズルからドット状や細い線状に吐出でき、また、メタルマスクによる印刷塗布が容易である。複数の金属製部材間に介在させる場合の加熱焼結性金属ペーストの厚さは限定されないが、通常、5μm以上1000μm以下である。
本発明の加熱焼結性金属ペーストの製造方法により製造された加熱焼結性金属ペーストは、金属製部材間に介在させて、有機物被覆金属粒子の焼結温度以上の温度に加熱することにより、揮発性分散媒が揮散して、該金属粒子同士が焼結し、導電性と熱伝導性が優れた多孔質焼結物となり金属製部材同士を接合できる。
この際、揮発性分散媒が揮散し、ついで金属粒子同士が焼結してもよく、揮発性分散媒の揮散と共に該金属粒子同士が焼結してもよい。特に該金属粒子が銀粒子または銅粒子の場合は、銀または銅が本来大きな強度と極めて高い電気伝導性と熱伝導性を有するため、銀粒子同士または銅粒子同士の焼結物も、大きな強度ときわめて高い電気伝導性と熱伝導性を有する。
この際の加熱温度は、揮発性分散媒が揮散し、有機物被覆金属粒子が焼結できる温度であればよく、通常70℃以上であり、150℃以上がより好ましい。しかし、400℃を越えると揮発性分散媒が突沸的に蒸発する可能性があるため、400℃以下であることが必要であり、好ましくは350℃以下であり、より好ましくは300℃以下である。
有機物被覆金属粒子同士の加熱焼結物は、数多くの微細な空孔や空隙、連続した空隙などの細孔を有しており、すなわち多孔質であり、その空隙率は通常5〜50面積%であることが好ましく、加圧焼結時には1〜50面積%であることが好ましい。空隙率が前記下限未満であると、焼結物のヤング率が高くなり熱衝撃に対する応力緩和性が低下するからである。また空隙率が50面積%を越えると、加熱焼結物の強度が低下してもろくなり接着力が低下するからである。
なお、空隙率の測定方法は、通常の測定方法が利用できる。例えば、焼結体の断面を電子顕微鏡で写真撮影し、画像解析ソフトにより、写真における金属部分と空間部分の面積比率を求める方法、電子顕微鏡により撮影した写真を均質な紙等に印刷し、金属部分と空間部分をはさみ等で切り分けて各々の重量を測定し、その重量比率を面積%とする方法が例示される。
また、有機物被覆金属粒子同士の加熱焼結物は、固体状の金属からなるため導電性と熱伝導性に優れている。特に、有機物被覆金属粒子中の金属が銀である場合は、体積抵抗率が5×10-5Ω・cm以下であることが好ましく、1×10-5Ω・cm以下であることがより好ましい。熱伝導率は、20W/m・K以上であることが好ましく、30W/m・K以上であることがより好ましい。有機物被覆金属粒子中の金属が銅である場合は、体積抵抗率が1×10-2Ω・cm以下であることが好ましく、1×10-3Ω・cm以下であることがより好ましい。熱伝導率は、20W/m・K以上であることが好ましく、30W/m・K以上であることがより好ましい。
本発明の金属製部材接合体の製造方法は、有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化して加熱焼結性金属ペーストを調製し、次いで、該加熱焼結性金属ペーストを、複数の金属製部材間に介在させ、加熱焼結性金属の焼結可能な温度以上で加熱することを特徴とする。該加熱焼結性金属同士が焼結して生成した多孔質焼結物により、複数の金属製部材同士が接合され、金属製部材接合体が製造される。
本発明のもうひとつの金属製部材接合体の製造方法は、有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化して加熱焼結性金属ペーストを調製し、次いで、該加熱焼結性金属ペーストを複数の金属製部材間に介在させ、加熱焼結性金属の焼結可能な温度以上で加熱することを特徴とする。該加熱焼結性金属同士が焼結して生成した多孔質焼結物により、複数の金属製部材同士が接合され、金属製部材接合体が製造される。
有機物被覆金属粒子の材質、形状、該金属粒子の表面を被覆している有機物の種類と量、該金属粒子の加熱焼結性の判定方法は、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法に関して説明したとおりである。
本発明の金属製部材接合体の製造方法で使用する金属製部材は、塗布された前記加熱焼結性金属ペーストが加熱により該組成物中の揮発性分散媒が揮発し、該金属粒子同士が焼結して接合する被接合体である。金属製部材の材質としては、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、アルミニウム、および、これら各金属の合金が例示される。これらのうちでは導電性、接合性の点で、金、銀、銅、白金、パラジウムまたはこれら各金属の合金が好ましい。金属製部材は前記金属でメッキされたものであってもよい。金属製部材としては、全体または一部が金属で形成されたリードフレーム、プリント基板、半導体チップ、放熱板が例示される。
加熱焼結性金属粒子が焼結可能な温度以上の温度として、70℃以上400℃以下が好ましい。加熱焼結時の雰囲気ガスは酸化性ガス、還元性ガス、不活性ガスが例示されるが、酸素を含む酸化性ガスであることが好ましい。このような酸化性ガスとしては空気、酸素ガスと窒素ガスなどの不活性ガスとの混合ガスが例示される。酸化性ガス中で酸化するような加熱焼結性金属粒子あるいは金属製部材である場合には、酸化性ガス中で焼結した後に、還元性ガス中で加熱することにより還元することができる。
還元性ガスとしては水素ガスが例示されるが、取扱の容易な水素ガスと不活性ガスとの混合ガスが好ましい。還元性ガスと不活性ガスの比率は限定されないが、還元性ガスが水素ガスである場合は1〜40体積%であることが好ましく、特には水素ガスが5〜25体積%と窒素ガス95〜75体積%とからなるフォーミングガスと称される還元性ガスが好ましい。
本発明の金属製部材接合体の製造方法では、金属製部材間に介在させた加熱焼結性金属ペーストの加熱焼結時に圧力や超音波振動を加えても良い。
加圧時の圧力の下限は限定されないが0.001MPa以上であることが好ましく、0.01MPa以上であることがより好ましい。上限は接合する金属製部材が破壊されない圧力の最大値である。
超音波振動の周波数は2kHz以上であり、10kHz以上であることが好ましく、上限は特に制限されないが、装置の能力上500kHz位である。また、超音波振動の振幅は好ましくは0.1〜40μm、より好ましくは0.3〜20μm、特に好ましくは0.5〜12μmである。このとき圧力を加えても良く、その圧力の程度は先に記載の通りである。
本発明の金属製部材接合体の製造方法を使用して製造された金属製部材接合体は、複数の金属製部材同士が加熱焼結性金属粒子の燒結物により強固に接合されている。
本発明の金属製部材接合体の製造方法を使用して製造された金属製部材接合体における複数の金属製部材間のせん断接着強さは、5MPa以上であることが好ましく、より好ましくは10MPa以上である。
本発明の金属製部材接合体の製造方法に使用する加熱焼結性金属ペーストは、加熱により揮発性分散媒が揮散し、加熱焼結性金属粒子同士が焼結する。これを複数の金属製部材間の接合に用いた場合、接触していた金属製部材、例えば金メッキ基板、銀基板、銀メッキ金属基板、銅基板、アルミニウム基板、ニッケルメッキ基板、スズメッキ金属基板等の金属系基板へ強固に接着し、電気絶縁性基板上の電極等金属部分へ強固に接着するので、金属系基板や金属部分を有する電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等の接合に有用である。
そのような接合として、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合、ダイオード、メモリ、IC、CPU等の半導体チップとリードフレームもしくは回路基板との接合、高発熱のCPUチップと冷却板との接合が例示される。したがって、本発明の金属製部材接合体の製造方法において、金属製部材接合体が金属系基板や金属部分を有する電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等であることが好ましい。
本発明の実施例を掲げる。実施例中、部と記載されているのは、重量部を意味する。有機物被覆金属粒子の平均粒径、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の量、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解反応の活性化エネルギー、該有機物自体の熱分解ピーク温度、加熱焼結性金属ペーストの焼結物である多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さは下記のとおり測定した。なお、特に記載のない場合の測定温度は23℃である。
[有機物被覆金属粒子の平均粒径]
有機物被覆金属粒子の平均粒径は、株式会社島津製作所製レーザ回折式粒度分布測定装置SALDを使用してレーザー回折散乱式粒度分布測定法により得られる一次粒子の平均粒径(メディアン径D50)である。
[有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の量]
有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の量は、有機物被覆金属粒子を酸素気流中で加熱して金属粒子に付着していた有機物中の炭素を炭酸ガスに変え、炭酸ガスを赤外線吸収スペクトル法により定量分析する方法によった。
[有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、空気気流中で有機物被覆金属粒子を昇温速度5℃/分にて23℃から400℃まで昇温し、昇温途上にDTA曲線に現れる発熱ピーク温度をもって金属粒子表面を被覆している有機物の熱分解温度とした。この際、一部の実施例では熱重量分析(TGA)を同時に行い、TGA曲線をとった。
[有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解反応の活性化エネルギー]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、空気気流中で有機物被覆金属粒子を昇温速度1℃/分、5℃/分、10℃/分、50℃/分で各々23℃から400℃まで昇温し、各昇温速度(Φ、単位K/s)と昇温途上にDTA曲線に現れる発熱ピーク温度(T、単位K)との関係を測定した。
次にKissinngerの式を適用して、横軸に1/T、縦軸にln(Φ/RT)をとったグラフにプロットし、得られた直線の傾きを−E/Rとして求め、活性化エネルギー(E、単位kJ/モル)を算出した。ここでRは気体定数である。
[有機物自体の熱分解ピーク温度]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、空気気流中で有機物を昇温速度5℃/分にて23℃から400℃まで昇温し、昇温途上にDTA曲線に現れる発熱ピーク温度をもって有機物自体の熱分解ピーク温度とした。
[多孔質焼結物の空隙率]
ポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に15mm角の開口部を有する厚さ1mmのステンレス製のマスクを置き、加熱焼結性金属ペーストを印刷塗布した。これを熱風循環式オーブンで、各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱して取り出し、冷却後、ポリテトラフルオロエチレン樹脂板からはずして加熱焼結性金属粒子の多孔質焼結物である金属製シートを作成した。この金属製シートの断面を電子顕微鏡で撮影し、画像解析ソフト(アメリカ合衆国のNational Institute of Health社製のNIH Image)を用いて、断面における空間の占める面積の割合を算出し、その面積比率(単位;面積%)で示した。
なお、金属粒子が空気気流中の加熱により酸化しやすい、銅粒子およびニッケル粒子の場合は、上記の各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱後、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス気流中で、各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱して酸化した銅、酸化したニッケルを還元する処理をおこなった。
[多孔質焼結物の体積抵抗率]
ポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に15mm角の開口部を有する厚さ1mmのステンレス製のマスクを置き、加熱焼結性金属ペーストを印刷塗布した。これを熱風循環式オーブンで、各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱して取り出し、冷却後、ポリテトラフルオロエチレン樹脂板からはずして加熱焼結性金属粒子の多孔質焼結物である金属製シートを作成した。この金属製シートをJIS K 7194に準じた方法により体積抵抗率(単位;Ω・cm)を測定した。
なお、金属粒子が空気気流中の加熱により酸化しやすい銅粒子およびニッケル粒子の場合は、上記の各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱後、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス気流中で各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間加熱することにより、酸化した銅、酸化したニッケルを還元する処理をおこなった。
[多孔質焼結物の熱伝導率]
ポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に10mm角の開口部を有する厚さ2mmのステンレス製のマスクを置き、加熱焼結性金属ペーストを印刷塗布した。これを熱風循環式オーブンで、各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱して取り出し、冷却後、ポリテトラフルオロエチレン樹脂板からはずして加熱焼結性金属粒子の多孔質焼結物である金属製シートを作成した。この金属製シートを熱定数測定装置によるレーザーフラッシュ法により熱伝導率(単位;W/m・K)を測定した。
なお、金属粒子が空気気流中の加熱により酸化しやすい銅粒子およびニッケル粒子の場合は、上記の各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間加熱後、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス気流中で各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間加熱することにより、酸化した銅、酸化したニッケルを還元する処理をおこなった。
[金属製部材接合体のせん断接着強さ]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの開口部(2.5mm×2.5mm)を有する100μm厚のステンレス製のマスクを用いて、加熱焼結性金属ペーストを印刷塗布し、その上にサイズが2.5mm×2.5mm×0.5mmの銀チップ(銀純度99.99%)を搭載した。これを熱風循環式オーブンで、各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱して接合した。この金属製部材接合体を接着強さ試験機にセットし、該銀チップの側面を速度23mm/分で押し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもってせん断接着強さ(単位;MPa)とした。
なお、金属粒子が空気気流中の加熱により酸化しやすい銅粒子およびニッケル粒子の場合は、上記の各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱後、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスであるフォーミングガス気流中で、各々、180℃で2時間、250℃で1時間および300℃で1時間、加熱することにより、酸化した銅、酸化したニッケルを還元する処理をおこなった。
[参考例1]
撥水性有機物であるステアリン酸(関東化学株式会社製、試薬1級)自体の熱分解ピーク温度を測定した。熱分解ピーク温度は254℃であった。その測定結果を図3に示した。
[参考例2]
撥水性有機物であるオレイン酸(関東化学株式会社製、試薬1級)自体の熱分解ピーク温度を測定した。熱分解ピーク温度は240℃であった。その測定結果を図4に示した。
[参考例3]
撥水性有機物であるラウリン酸(関東化学株式会社製、試薬1級)自体の熱分解ピーク温度を測定した。熱分解ピーク温度は209℃であった。
[参考例4]
撥水性有機物であるステアリン酸アミド(関東化学株式会社製、試薬1級)自体の熱分解ピーク温度を測定した。熱分解ピーク温度は263℃であった。
[実施例1]
還元法で製造された粒状の銀粒子にステアリン酸を添加してフレーク化された、表面が撥水性有機物であるステアリン酸で被覆された平均粒径が3.5μmである市販のフレーク状の銀粒子(ステアリン酸量が0.4重量%)について、ステアリン酸の熱分解ピーク温度を測定した。またこの際、ステアリン酸の熱重量分析を同時におこない、図5にDTA曲線とTGA曲線とを合わせて示した。
その結果、銀粒子表面のステアリン酸の熱分解ピーク温度は203℃であり、参考例1で測定したステアリン酸自体の熱分解ピーク温度である254℃よりも51℃低かった。これより、このステアリン酸で被覆されたフレーク状銀粒子は加熱焼結性が優れると判定した。
また、このフレーク状銀粒子の表面を被覆しているステアリン酸の熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ71kJ/モルであった。これより、このステアリン酸で被覆されたフレーク状銀粒子は加熱焼結性が優れると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表1に示した。
このステアリン酸で被覆されたフレーク状銀粒子100部に、揮発性分散媒としてジプロピレングリコール(関東化学株式会社製、試薬1級)10部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性銀ペーストを調製した。
この加熱焼結性銀ペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表1にまとめて示した。
この加熱焼結性銀ペーストは加熱により硬化して導電性と熱伝導性に優れた多孔質焼結物となり、金属製部材接合体を強固に接合した。
以上の結果より、この加熱焼結性銀粒子の加熱焼結性の評価方法は、ステアリン酸で被覆されたフレーク状銀粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
[実施例2]
特開昭54−121270号公報の実施例に記載の還元法に準じて製造された、表面が撥水性有機物であるオレイン酸で被覆された平均粒径が0.8μmである粒状の銀粒子(オレイン酸量が0.3重量%)について、オレイン酸の熱分解ピーク温度を測定した。
その結果、銀粒子表面のオレイン酸の熱分解ピーク温度は227℃であり、参考例2で測定したオレイン酸自体の熱分解ピーク温度である240℃よりも13℃低かった。これより、このオレイン酸で被覆された粒状銀粒子は加熱焼結性が優れると判定した。
また、この粒状銀粒子の表面を被覆しているオレイン酸の熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ87kJ/モルであった。これより、このオレイン酸で被覆された粒状銀粒子は加熱焼結性が優れると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表2に示した。
このオレイン酸で被覆された粒状銀粒子100部に、揮発性分散媒としてジプロピレングリコール(関東化学株式会社製、試薬1級)10部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性銀ペーストを調製した。
この加熱焼結性銀ペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表2にまとめて示した。
この加熱焼結性銀ペーストは加熱により硬化して導電性と熱伝導性に優れた多孔質焼結物となり、金属製部材接合体を強固に接合した。
以上の結果より、この加熱焼結性銀粒子の加熱焼結性の評価方法は、オレイン酸で被覆された粒状銀粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
[実施例3]
アトマイズ法で製造された球状(真球度1.07)の銀粒子をオレイン酸に浸漬して引き上げ、メタノールで洗浄後風乾して粒子表面を撥水性有機物であるオレイン酸で被覆した平均粒径が1.5μmである球状(真球度1.07)の銀粒子(オレイン酸量が0.3重量%)について、オレイン酸の熱分解ピーク温度を測定した。またこの際、オレイン酸の熱重量分析を同時におこない、図6にDTA曲線とTGA曲線とを合わせて示した。
その結果、銀粒子表面のオレイン酸の熱分解ピーク温度は282℃であり、参考例2で測定したオレイン酸自体の熱分解ピーク温度である240℃よりも42℃高かった。これより、このオレイン酸で被覆された球状銀粒子は加熱焼結性が劣る、と判定した。
また、この球状銀粒子の表面を被覆しているオレイン酸の熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ99kJ/モルであった。これより、このオレイン酸で被覆された球状銀粒子は加熱焼結性が劣ると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表3に示した。
このオレイン酸で被覆された球状銀粒子100部に、揮発性分散媒としてジプロピレングリコール(関東化学株式会社製、試薬1級)10部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性銀ペーストを調製した。
この加熱焼結性銀ペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表3にまとめて示した。
この加熱焼結性銀ペーストは加熱しても十分に硬化せず、導電性、熱伝導性および金属製部材接合体の接合は不十分であった。
以上の結果より、この加熱焼結性銀粒子の加熱焼結性の評価方法は、オレイン酸で被覆された球状銀粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
[実施例4]
湿式法で製造された,表面が撥水性有機物であるオレイン酸で被覆された平均粒径が1.2μmである市販の粒状の銅粒子(オレイン酸量が0.8重量%)について、オレイン酸の熱分解ピーク温度を測定した。
その結果、銅粒子表面のオレイン酸の熱分解ピーク温度は234℃であり、参考例2で測定したオレイン酸自体の熱分解ピーク温度である240℃よりも6℃低かった。これより、このオレイン酸で被覆された粒状銅粒子は加熱焼結性が優れると判定した。その測定結果を図7に示した。
また、この粒状銅粒子の表面を被覆しているオレイン酸の熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ91kJ/モルであった。これより、このオレイン酸で被覆された粒状銅粒子は加熱焼結性が優れると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表4に示した。
このオレイン酸で被覆された粒状銅粒子100部に、揮発性分散媒としてジプロピレングリコール(関東化学株式会社製、試薬1級)10部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性銅ペーストを調製した。
この加熱焼結性銅ペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表4にまとめて示した。
この加熱焼結性銅ペーストは加熱により硬化して導電性と熱伝導性に優れた多孔質焼結物となり、金属製部材接合体を強固に接合した。
以上の結果より、この加熱焼結性銅粒子の加熱焼結性の評価方法は、オレイン酸で被覆された粒状銅粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
[実施例5]
カーボニル法で製造された粒状のニッケル粒子にステアリン酸を添加してフレーク化した、粒子表面を撥水性有機物であるステアリン酸で被覆した平均粒径が7.5μmである市販のフレーク状のニッケル粒子(ステアリン酸量が0.3重量%)について、ステアリン酸の熱分解ピーク温度を測定した。その測定結果を図8に示した。
その結果、ニッケル粒子表面のステアリン酸の熱分解ピーク温度は279℃であり、参考例2で測定したステアリン酸自体の熱分解ピーク温度である254℃よりも25℃高かった。これより、このステアリン酸で被覆されたフレーク状ニッケル粒子は加熱焼結性が劣ると判定した。
また、このフレーク状ニッケル粒子の表面を被覆しているステアリン酸の熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ97kJ/モルであった。これより、このステアリン酸で被覆されたフレーク状ニッケル粒子は加熱焼結性が劣ると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表5に示した。
このステアリン酸で被覆されたフレーク状ニッケル粒子100部に、揮発性分散媒としてジプロピレングリコール(関東化学株式会社製、試薬1級)10部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性ニッケルペーストを調製した。
この加熱焼結性ニッケルペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表5にまとめて示した。
この加熱焼結性ニッケルペーストは加熱しても十分に硬化せず、導電性、熱伝導性および金属製部材接合体の接合は不十分であった。
以上の結果より、この加熱焼結性ニッケル粒子の加熱焼結性の評価方法は、ステアリン酸で被覆されたフレーク状ニッケル粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
[実施例6]
特開昭54−121270号公報の実施例に記載の還元法に準じて製造された、表面が撥水性有機物であるラウリン酸で被覆された平均粒径が0.9μmである粒状の銀粒子(ラウリン酸量が0.2重量%)について、ラウリン酸の熱分解ピーク温度を測定した。
その結果、銀粒子表面のラウリン酸の熱分解ピーク温度は201℃であり、参考例3で測定したラウリン酸自体の熱分解ピーク温度である209℃よりも8℃低かった。これより、このラウリン酸で被覆された粒状銀粒子は加熱焼結性が優れると判定した。
また、この粒状銀粒子の表面を被覆しているラウリン酸の熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ83kJ/モルであった。これより、このラウリン酸で被覆された粒状銀粒子は加熱焼結性が優れると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表6に示した。
このラウリン酸で被覆された粒状銀粒子100部に、揮発性分散媒としてジプロピレングリコール(関東化学株式会社製、試薬1級)10部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性銀ペーストを調製した。
この加熱焼結性銀ペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表6にまとめて示した。
この加熱焼結性銀ペーストは加熱により硬化して導電性と熱伝導性に優れた多孔質焼結物となり、金属製部材接合体を強固に接合した。
以上の結果より、この加熱焼結性銀粒子の加熱焼結性の評価方法は、ラウリン酸で被覆された粒状銀粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
[実施例7]
還元法で製造された表面が有機物で被覆されていない粒状の銀粒子をラウリン酸に浸漬して引き上げ、メタノールで洗浄後風乾して粒子表面を撥水性有機物であるラウリン酸で被覆した平均粒径が1.1μmである粒状の銀粒子(ラウリン酸量が0.1重量%)について、ラウリン酸の熱分解ピーク温度を測定した。
その結果、銀粒子表面のラウリン酸の熱分解ピーク温度は226℃であり、ラウリン酸自体の熱分解ピーク温度である209℃よりも17℃高かった。これより、このラウリン酸で被覆された粒状銀粒子は加熱焼結性が劣る、と判定した。
また、この粒状の銀粒子の表面を被覆しているラウリン酸の熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ97kJ/モルであった。これより、このラウリン酸で被覆された粒状の銀粒子は加熱焼結性が劣ると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表7に示した。
このラウリン酸で被覆された粒状銀粒子100部に、揮発性分散媒として炭化水素であるイソパラフィン(新日本石油株式会社製、商品名アイソゾール。アイソゾールは登録商標である。)8部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性銀ペーストを調製した。
この加熱焼結性銀ペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表7にまとめて示した。
この加熱焼結性銀ペーストは加熱しても十分に硬化せず、導電性、熱伝導性および金属製部材接合体の接合は不十分であった。
以上の結果より、この加熱焼結性銀粒子の加熱焼結性の評価方法は、ラウリン酸で被覆された粒状銀粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
[実施例8]
還元法で製造された表面が有機物で被覆されていない粒状の銀粒子にステアリン酸アミドを添加してフレーク化された、表面が撥水性有機物であるステアリン酸アミドで被覆された平均粒径が3.5μmである市販のフレーク状の銀粒子(ステアリン酸アミド量が0.2重量%)について、ステアリン酸アミドの熱分解ピーク温度を測定した。
その結果、銀粒子表面のステアリン酸アミドの熱分解ピーク温度は251℃であり、ステアリン酸アミド自体熱分解ピーク温度である263℃よりも12℃低かった。これより、このステアリン酸アミドで被覆されたフレーク状銀粒子は加熱焼結性が優れる、と判定した。
また、このフレーク状銀粒子の表面を被覆しているステアリン酸アミドの熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ85kJ/モルであった。これより、このステアリン酸アミドで被覆されたフレーク状銀粒子は加熱焼結性が優れると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表8に示した。
このステアリン酸アミドで被覆されたフレーク状銀粒子100部に、揮発性分散媒としてジプロピレングリコール(関東化学株式会社製、試薬1級)10部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性銀ペーストを調製した。
この加熱焼結性銀ペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表8にまとめて示した。
この加熱焼結性銀ペーストは加熱により硬化して導電性と熱伝導性に優れた多孔質焼結物となり、金属製部材接合体を強固に接合した。
以上の結果より、この加熱焼結性銀粒子の加熱焼結性の評価方法は、ステアリン酸アミドで被覆されたフレーク状銀粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
[実施例9]
アトマイズ法で製造された球状(真球度1.15)の銀粒子をオレイン酸に浸漬して引き上げ、メタノールで洗浄後風乾して粒子表面を撥水性有機物であるオレイン酸で被覆した平均粒径が1.1μmである球状(真球度1.15)の銀粒子(オレイン酸量が0.3重量%)について、オレイン酸の熱分解ピーク温度を測定した。
その結果、銀粒子表面のオレイン酸の熱分解ピーク温度は249℃であり、オレイン酸自体の熱分解ピーク温度である240℃よりも9℃高かった。これより、このオレイン酸で被覆された球状銀粒子は加熱焼結性が劣る、と判定した。
また、この球状の銀粒子の表面を被覆しているオレイン酸の熱分解反応の活性化エネルギーを測定したところ100kJ/モルであった。これより、このオレイン酸で被覆された球状の銀粒子は加熱焼結性が劣ると判定した。熱分解ピーク温度および活性化エネルギーを表9に示した。
このオレイン酸で被覆された球状銀粒子100部に、揮発性分散媒として炭化水素であるイソパラフィン(新日本石油株式会社製、商品名アイソゾール。アイソゾールは登録商標である。)8部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することにより加熱焼結性銀ペーストを調製した。
この加熱焼結性銀ペーストについて、多孔質焼結物の空隙率、体積抵抗率および熱伝導率、金属製部材接合体のせん断接着強さの測定をして結果を表9にまとめて示した。
この加熱焼結性銀ペーストは加熱しても十分に硬化せず、導電性、熱伝導性および金属製部材接合体の接合は不十分であった。
以上の結果より、この加熱焼結性銀粒子の加熱焼結性の評価方法は、オレイン酸で被覆された球状銀粒子の加熱焼結性を判定するのに有用なことがわかった。
本発明の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法は、加熱焼結性に優れる有機物被覆金属粒子を的確かつ効率よく選択するのに有用である。
本発明の加熱焼結性金属ペーストの製造方法は、導電性、熱伝導性および接合強度に優れた多孔質焼結物となる加熱焼結性金属ペーストを的確かつ効率よく容易に製造するのに有用である。
本発明の製造方法により製造された加熱焼結性金属ペーストは、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成;電磁波シールド用電気伝導性被膜の形成;コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接合;太陽電池の電極の形成;積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成等に有用である。
本発明の金属製部材接合体の製造方法は、接合性に優れた金属製部材接合体を的確かつ効率的に製造するのに有用である。
A 接合強度測定用試験体
1 銀基板
2 ペースト状金属粒子組成物(加熱焼結後は多孔質焼結物)
3 銀チップ

Claims (15)

  1. 有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を熱分析により評価する方法であって、
    有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
    該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
  2. 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、請求項1に記載の有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
  3. 有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を熱分析により評価する方法であって、
    有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
    該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法。
  4. 有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
    該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、次いで、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化することを特徴とする、加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
  5. 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、請求項4に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
  6. 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
  7. 有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
    該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、次いで、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化することを特徴とする、加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
  8. 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の加熱焼結性金属ペーストの製造方法。
  9. 有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
    該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化して加熱焼結性金属ペーストを調製し、次いで、該加熱焼結性金属ペーストを、複数の金属製部材間に介在させ、加熱焼結性金属の焼結可能な温度以上で加熱することを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
  10. 熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、熱分解ピーク温度(1)が熱分解ピーク温度(2)より2℃以上高い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、請求項9に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  11. 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  12. 金属製部材接合体が電子部品であることを特徴とする、請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  13. 有機物被覆金属粒子を、空気気流中における熱分析に供し、該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル未満である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
    該熱分析における昇温速度と該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)との関係から算出される該有機物の熱分解反応における活性化エネルギーが95kJ/モル以上である場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化して加熱焼結性金属ペーストを調製し、次いで、該加熱焼結性金属ペーストを複数の金属製部材間に介在させ、加熱焼結性金属の焼結可能な温度以上で加熱することを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
  14. 有機物被覆金属粒子が、平均粒径(メディアン径D50)が0.1μm以上50μm以下の銀粒子または銅粒子であり、有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物が、高・中級脂肪酸およびその撥水性誘導体から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の金属製部材接合体の製造方法。
  15. 金属製部材接合体が電子部品であることを特徴とする、請求項13または請求項14に記載の金属製部材接合体の製造方法。
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