JP2011091893A - 積層型超電導コイルおよび回転機 - Google Patents

積層型超電導コイルおよび回転機 Download PDF

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Abstract

【課題】偏流を抑制し、かつ必要なスペースを少なくすることが可能な積層型超電導コイルを提供する。また当該積層型超電導コイルを用いた回転機を提供する。
【解決手段】本発明の積層型コイルは、複数本の超電導線材1〜4を並列させた線材群を一の方向に巻回させた第1の超電導コイル10と、複数本の超電導線材を並列させた線材群を、一の方向と反対方向である他の方向に巻回させた第2の超電導コイル20とを備えている。第1の超電導コイル10と第2の超電導コイル20とは、上記複数本の超電導線材1〜4が巻回される中心軸に沿った方向に積層されている。第1の超電導コイル10の上記線材群において、第1の超電導コイル10の内周側から外周側に向けて並んだ複数本の超電導線材1〜4のそれぞれは、第2の超電導コイル20の上記線材群において第2の超電導コイル20の外周側から内周側に向けて並んだ複数本の超電導線材1〜4のそれぞれと接続されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、積層型超電導コイルおよび回転機に関するものである。
超電導線材を巻回することにより形成される超電導コイルは、たとえばモータなどの回転機を構成するステータやロータに用いられる。超電導線材は所定の条件下で電気抵抗がほぼゼロである。このため超電導コイルは大電流を流し、特に複数台を積層させた際に回転機の回転力を高めることが可能な部材として広く用いられている。
しかし超電導線材には電気抵抗がほとんど存在しないものの、超電導コイルのインダクタンスに起因して、超電導コイルに交流電流を流す場合には擬似的な電気抵抗としてのリアクタンスが発生する。
一般にコイルのリアクタンスは、コイルに囲まれる中空の領域の大きさ(コイルが巻回される方向に沿った平面に関する大きさ)により変化する。つまり、たとえば複数本の線材を並列させたものを一束としてパンケーキコイルユニットを構成した場合、複数本の線材を並列させたものから構成されるコイルユニット中の各コイルのインダクタンスに差が生じる。その結果、各コイルに流れる電流にアンバランスが生じる。これはコイルのインダクタンスは、コイルに巻回される中空側の領域の大きさに応じて変化するためである。このようなコイルユニットの内部における各コイルの電流のアンバランスを偏流といい、偏流はコイルユニットの電気特性を劣化させる可能性がある。
このことを以下により詳しく説明する。たとえば図14に示すコイル9は、1本の線材から構成されるコイルユニットである。このコイル9に流すことが可能な許容電流が100Aであると仮定する。図14のコイル9のみからなる回路に400Aの電流を流すことはできないので、この場合、図15に示すようにコイル9と同じ性能を有すると思われるコイル1Z、2Z、3Z、4Zの4台のコイルを並列に接続したコイルユニット100を用いることが好ましい。このとき、コイル1Z、2Z、3Z、4Zの4台すべてが100Aの許容電流を有する場合には、コイルユニット100に400Aの電流Iを流すことができる。
ところが、たとえば4台のコイル1Z〜4Zが並列に巻回されることにより、それぞれのインダクタンスが異なっていれば、各コイルに流れる電流値が異なるものとなる。つまり、図16に示すように、4台のコイル1Z〜4Zを並列に接続した回路にたとえば400Aの電流を流そうとしても、コイル1Z〜4Zの間でインダクタンスの差に起因して流れる電流値に差が発生し、最もインダクタンスの小さいコイルにより多くの電流が流れることになる。一方、コイルの許容電流値はたとえば100Aと決まっていることから、上述した最大の電流が流れるコイルについて許容電流値を超えないように、回路への投入電流値を制限しなければならない。この結果、許容電流値が100Aの4つのコイル1Z〜4Zを並列につないだ回路であるにもかかわらず回路に流すことのできるトータルの電流Iが400Aを下回るということになっていた。
このようにコイルユニットを構成する各コイルに偏流が発生すると、当該コイルユニットの許容電流が減少する。したがって、特に当該コイルが超電導コイルである場合に、超電導線材の有する大電流を流すことができるというメリットを活かすことができなくなる。
上記偏流を抑制するために、たとえば特開平10−308306号公報(特許文献1)においては、複数本の超電導テープを巻回したパンケーキ型超電導コイル(コイルユニット)が複数台積層されたダブルパンケーキ型超電導コイル(積層型超電導コイル)において、上側に積層されたコイルユニットにて外周側に巻回された線材を、中央側および内周側に巻回された線材よりも巻回数を1回少なくしている。そして当該外周側に巻回された線材は、上記コイルユニットの直下に積層されたコイルユニットの内周側に巻回された線材と接続される。また当該中央側に巻回された線材は直下のコイルユニットの外周側に巻回された線材と接続される。当該内周側に巻回された線材は直下のコイルユニットの中央側に巻回された線材と接続される。多数台のコイルユニットの積層においてこのようなコイル間の接続方法を繰り返すことにより、コイルユニット全体(ダブルパンケーキ型超電導コイル)としての各コイルの接続された長さを均一化し、各コイルのインダクタンスの差を小さくし、結果としてコイルユニット全体としての偏流を抑制することができる構成としている。
特開平10−308306号公報
しかし特許文献1に開示されているダブルパンケーキ型超電導コイルは、たとえば上側に積層されたコイルユニットにて内周側に巻回された線材が、直下のコイルユニットの中央側に巻回された線材と接続される。この中央側に巻回された線材が、さらにその直下のコイルユニットの外周側に巻回された線材と接続される。以上のように接続されているため、複数台のコイルユニットが積層された全体のダブルパンケーキ型超電導コイルとして各コイルの接続された長さを均一化するためには、各コイルユニットを構成するために一束として巻回する超電導テープの本数に等しい分だけコイルユニットを積層する必要がある。具体的には、特許文献1の場合、3本の超電導テープが一束として巻回されることによりコイルユニットが形成されている。このため少なくとも3台のコイルユニットを積層する必要がある。したがって当該ダブルパンケーキ型超電導コイルは、偏流を抑制するためのコイルユニットを多数積層することにより多くのスペースを必要とする場合がある。
また特許文献1のダブルパンケーキ型超電導コイルは、コイルユニットにて外周側に巻回された線材を、中央側および内周側に巻回された線材よりも巻回数を1回少なくするなどの調整を行なう必要がある。このため、加工が煩雑になることがある。
本発明は、以上の各問題に鑑みなされたものである。その目的は、偏流を抑制し、かつ必要なスペースを少なくすることが可能な積層型超電導コイルを提供することである。また当該積層型超電導コイルを用いた回転機を提供することである。
本発明に係る積層型超電導コイルは、複数本の超電導線材を並列させた線材群を一の方向に巻回させた第1の超電導コイルと、複数本の超電導線材を並列させた線材群を、上記一の方向と反対方向である他の方向に巻回させた第2の超電導コイルとを備えている。第1の超電導コイルと第2の超電導コイルとは、複数本の超電導線材が巻回される中心軸に沿った方向に積層されている。上記第1の超電導コイルの上記線材群において、上記第1の超電導コイルの内周側から外周側に向けて並んだ上記複数本の超電導線材のそれぞれは、上記第2の超電導コイルの上記線材群において上記第2の超電導コイルの外周側から内周側に向けて並んだ上記複数本の超電導線材のそれぞれと接続されている。
第1の超電導コイルを構成する複数本の超電導線材(線材群)のうち、内周側に巻回された超電導線材を、第1の超電導コイルに重畳するように積層された第2の超電導コイルの外周側に巻回された超電導線材と接続する。同様に第1の超電導コイルの外周側に巻回された超電導線材を、第2の超電導コイルの内周側に巻回された超電導線材と接続する。ここで、第1の超電導コイルにおいてより外周側に巻回された超電導線材を、第2の超電導コイルにおいてより内周側に巻回された超電導線材と接続する。また別の観点から言えば、第1の超電導コイルにおいてより内周側に巻回された超電導線材を、第2の超電導コイルにおいてより外周側に巻回された超電導線材と接続する。
このようにすれば、第1の超電導コイルを構成する1本の超電導線材と、第2の超電導コイルを構成する1本の超電導線材とが接続されることによる両者のインダクタンスの和を、各超電導線材が接続されたそれぞれのコイルについて一定にすることができる。これは超電導コイルにおいてより内周側に巻回された超電導線材ほどインダクタンス(およびインダクタンスに比例するリアクタンス)が小さくなり、より外周側に巻回された超電導線材ほどインダクタンスが大きくなるためである。そして第1の超電導コイルにおいて外周側に巻回された超電導線材から順に、第2の超電導コイルの内周側に巻回された超電導線材と接続すれば、2台の超電導コイルにてそれぞれの超電導線材が接続されることによる積層型超電導コイルについて、各超電導線材が構成するコイルのインダクタンス(およびリアクタンス)を一定とすることができる。つまり当該積層型超電導コイルにおける偏流の発生を抑制することができる。また、この場合第1および第2の超電導コイルのサイズ(径)や巻数などの条件はほぼ等しいことが好ましい。
当該接続方法を用いれば、各超電導コイル(コイルユニット)を構成する超電導線材の本数にかかわらず、2台のコイルを積層するだけで偏流の発生を抑制することが可能な積層型超電導コイルを提供することができる。したがって、当該積層型超電導コイルが必要とするスペースを小さくすることができる。
また、超電導コイルを構成する各超電導線材の巻回される回数をすべて等しくすることができる。このため、たとえば外周側を巻回する超電導線材の巻回される回数を内周側を巻回する超電導線材の巻回される回数よりも少なくするなどの煩雑な処理を行なうことが不要となる。
上述した本発明に係る積層型超電導コイルにおいて、第1の超電導コイルの線材群を構成する上記超電導線材と、第2の超電導コイルの線材群を構成する超電導線材とは、超電導部材により接続されることが好ましい。
このようにすれば、超電導コイル(コイルユニット)の超電導線材同士の接続部が超電導部材すなわち超電導体の材料により構成されるため、接続部における電気抵抗に起因する発熱を抑制することができる。
上述した本発明に係る積層型超電導コイルにおいて、第1の超電導コイルの線材群を構成する上記超電導線材と、第2の超電導コイルの線材群を構成する超電導線材とは、常電導部材により接続されてもよい。
たとえば上述したように超電導線材同士を超電導部材により接続する場合は、接続部の強度を確保するために当該接続部に補強材を配置する必要がある場合がある。しかし超電導線材同士を常電導部材により接続する場合は、常電導部材として超電導部材よりも強度が高い材料を用いることができるため、接続部に補強材を配置する必要がない。このため、当該積層型超電導コイルの構成をより簡素化し、コストを低減することができる。
また常電導部材からなる接続部は電気抵抗を有する。このためたとえば各コイルユニットを構成する各コイル(線材)間にインダクタンス(リアクタンス)の差が生じたとしても、接続部の電気抵抗値を適宜調整することで、上記接続部の電気抵抗との和である合成インピーダンスの値を、より一定に近づけることができる。したがって、当該積層型超電導コイルにおける偏流の発生をより確実に抑制することができる。
上述した積層型超電導コイルをロータやステータに用いた、たとえばモータなどの回転機は、省スペース化された積層型超電導コイルにより形成される。このため当該回転機を小型化することができる。また上述したように積層型超電導コイルの偏流が抑制されているため、偏流が生じる場合に比べて当該コイルに大電流を流すことができる。したがって、当該回転機から大きな出力を得ることができる。
上述した回転機は、積層型超電導コイルとして第1の積層型超電導コイルと、回転機の回転軸を中心として第1の積層型超電導コイルと対向配置される第2の積層型超電導コイルと、第1の積層型超電導コイルに直列に接続させた第1の直列抵抗と、第2の積層型超電導コイルに直列に接続させた第2の直列抵抗とを備えることが好ましい。第1の積層型超電導コイルと第1の直列抵抗との合成インピーダンスZ1と、第2の積層型超電導コイルと第2の直列抵抗との合成インピーダンスZ2との間に、|Z1−Z2|/Z1<0.01または|Z1−Z2|/Z2<0.01の関係があることが好ましい。
当該回転機のロータやステータを構成する積層型超電導コイルのうち、第1の積層型超電導コイルと、回転機の回転軸を中心として第1の積層型超電導コイルに対向するように配置された第2の積層型超電導コイルとを流れる交流電流は同位相である。このため両者のインピーダンスが等しいことが好ましい。これは両者のインピーダンスが変動すれば、第1および第2の積層型超電導コイルには偏流が発生するためである。第1および第2の積層型超電導コイルのインダクタンスの差を補償するため、上記積層型超電導コイルに直列に電気抵抗を接続する。この電気抵抗の値を上記インダクタンスの差を考慮しながら決定すれば、電気抵抗の抵抗値と積層型超電導コイルのリアクタンスとの総和である合成インピーダンスの値をより一定値に近づけることができる。このようにすれば、回転機全体としての電気特性をより安定させることができる。
本発明によれば、コンパクト化されており大きな電力を供給することが可能な積層型超電導コイルおよび回転機を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る積層型超電導コイルを概略的に示した斜視図である。 超電導コイルを構成する複数本の超電導線材を一束にするときの一方の端部の態様を示す概略図である。 超電導コイルを構成する複数本の超電導線材を一束にしたものを巻回する態様を示す概略図である。 複数本の超電導線材を並列させた線材群を一の方向に巻回させた超電導コイルの態様を示す概略図である。 複数本の超電導線材を並列させた線材群を、図4の一の方向と反対方向である他の方向に巻回させた超電導コイルの態様を示す概略図である。 図4と図5との超電導コイルを積層する際の接続の態様を示す概略図である。 図1の積層型超電導コイルの概略回路図である。 積層される2台の超電導コイルのそれぞれの超電導線材の端部同士が接続される態様を示す概略図である。 図8の接続部が超電導部材により接続される態様をより詳細に示した概略図である。 図9における超電導部材の接続部の代わりに常電導部材の接続部により接続される態様をより詳細に示した概略図である。 本発明の実施の形態1の積層型超電導コイルを用いたステータの一部の領域を概略的に示す斜視図である。 図11の斜視図の一部の領域を示す概略回路図である。 本発明の実施の形態1の積層型超電導コイルを用いたロータを概略的に示す斜視図である。 1本の超電導線材を巻回してなるコイルの概略回路図である。 図14のコイルを複数本並列させた超電導コイルの概略回路図である。 図15の概略回路図を電流が流れることにより偏流が発生することを説明する概略回路図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施の形態について説明する。なお、各実施の形態において、同一の機能を果たす要素には同一の参照符号を付し、その説明は、特に必要がなければ繰り返さない。
(実施の形態1)
図1〜図9を参照して、本発明の一実施の形態における積層型超電導コイル30について説明する。本実施の形態における積層型超電導コイル30は、図1に示すように、たとえばレーストラック状に超電導線材が巻回された超電導コイル10と超電導コイル20(いずれもコイルユニット)とが積層された構成である。図1の積層型超電導コイル30は超電導コイル10と超電導コイル20とが交互に2段ずつ積層されている。しかしたとえば超電導コイル10と超電導コイル20とが交互に1段ずつ積層された構成であってもよいし、これらが交互に3段以上ずつ積層された構成であってもよい。
図2に示すように、超電導コイル10および超電導コイル20は、たとえば4本の超電導線材(超電導線材1、2、3、4)を並列させた線材群を、それぞれの一方の端部が各超電導線材の延在する方向に関して一定の距離を有するように配置する。超電導線材1〜4はテープ状であり、ビスマス(Bi)系の超電導線材を用いてもよく、薄膜超電導線材を用いてもよい。
超電導線材1〜4がビスマス系の超電導線材である場合、当該ビスマス系の超電導線材は、長手方向に延在する複数本の超電導体と、当該複数の超電導体の全周を被覆するシース部とを有している。シース部は超電導体に接触している。複数本の超電導体の各々は、たとえばBi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系の組成を有するビスマス系超電導体が好ましく、特に、(ビスマスと鉛):ストロンチウム:カルシウム:銅の原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表されるBi2223相を含む材質が最適である。シース部の材質は、たとえば銀や銀合金よりなっている。なお、超電導体は、単数本であってもよい。
超電導線材1〜4が薄膜超電導線材である場合、当該薄膜超電導線材は、長手方向に延在する基板と、基板上に接して設けられた超電導層などから構成される。ここで基板はたとえばステンレス鋼、ニッケル合金または銀合金から構成され、超電導層はたとえばRE123系超電導体(RExBayCuz7-dにおいて、0.7≦x≦1.3、1.7≦y≦2.3、2.7≦z≦3.3である材質)を用いることが好ましい。ここでRE123系超電導体のREとは、希土類元素およびイットリウム元素の少なくともいずれかを含む材質を意味する。
超電導線材1〜4は、パンケーキ巻きにより巻回されていることが好ましい。その態様は、図2に示すようにたとえば巻回された各超電導線材の軌跡が円弧状となってもよいが、図1に示すように当該超電導線材が延在する一方向に関して直線状となるいわゆるレーストラック状となるように巻回することが好ましい。レーストラック状となるように巻回されたコイルは、モータなどの回転機を構成するロータやステータのコアの外周部に巻回することにより大きな出力を得ることができる。
この場合、超電導コイル10および超電導コイル20は、それぞれ直線部30aと湾曲部30bと境界部30cとを備えている。また上述したように、超電導線材1〜4は酸化物超電導体から構成される。このため超電導コイル10および超電導コイル20は、巻回された各超電導線材の内部における歪みを小さくするために、図1に示すように一部の領域において図1の上側に凸形状となるように(図1の下側に凹形状となるように)巻回された鞍形コイルとしてもよい。また図1においては境界部30cの一部の領域が図1の上側に凸形状となるように巻回されている。しかし当該凸形状となる領域はたとえば湾曲部30bや直線部30aの一部の領域であってもよい。
図2においては超電導線材1よりも、超電導線材1に隣接する超電導線材2の方が図2の右側に一定距離だけ突出した配置となっている。同様に超電導線材2よりも、超電導線材2に隣接する超電導線材3の方が図2の右側に一定距離だけ突出した配置となっている。超電導線材3よりも、超電導線材3に隣接する超電導線材4の方が図2の右側に一定距離だけ突出した配置となっている。
図2のように4本の超電導線材を一束に並列させた状態で、たとえば図3に示すように上述した各超電導線材の一端が内周側となるように(すなわち内周側から外周側へと)当該超電導線材を巻回することにより超電導コイル10が形成される。
図2に示すように巻回すれば、図3に示すように超電導線材1が最も内周側に、超電導線材4が最も外周側に配置されるように巻回される。このため内周側の端部において超電導線材1が最も短く、超電導線材4が最も長く突出するように配置されていれば、外周側の端部においては超電導線材4が最も短く、超電導線材1が最も長く突出するように配置される。これは超電導線材1〜4まですべての長さがほぼ等しい場合に成り立つ。
このような配置とすることにより、超電導線材1〜4の長さがすべて等しい場合において、たとえば超電導線材4の巻回される回数を超電導線材1〜3の巻回される回数に比べて少なくするなどの煩雑な調整を不要とすることができる。
図4および図5に示すように、第1の超電導コイルとしての超電導コイル10は、上側から見たときに超電導線材1〜4を並列させた線材群が、内周側の端部から反時計回りの方向に、外周側の端部からは時計回りの方向(一の方向)に巻回されている。逆に第2の超電導コイルとしての超電導コイル20は上記一の方向と反対方向である他の方向に巻回されている。すなわち超電導コイル20は、上側から見たときに超電導線材1〜4を並列させた線材群が、内周側の端部から時計回りの方向に、外周側の端部からは反時計回りの方向に巻回されている。そして超電導コイル10は、内周側の端部において超電導線材1の端部1A、超電導線材2の端部2A、超電導線材3の端部3Aおよび超電導線材4の端部4Aが、上から見たときに端部4Aが最も左側に突出するように配置されている。また外周側の端部において端部1A、端部2A、端部3Aおよび端部4Aが、上から見たときに端部1Aが最も左側に突出するように配置されている。超電導コイル20は、内周側の端部において超電導線材1の端部1B、超電導線材2の端部2B、超電導線材3の端部3Bおよび超電導線材4の端部4Bが、上から見たときに端部4Bが最も右側に突出するように配置されている。また外周部の端部において端部1B、端部2B、端部3Bおよび端部4Bが、上から見たときに端部1Bが最も右側に突出するように配置されている。
超電導コイル10や超電導コイル20を上から見たときに平面として見える、幅方向に関する縁部が集合することにより形成されるレーストラック状の領域を主表面ということにする。超電導コイル10の主表面と超電導コイル20の主表面とがほぼ合同であり、かつ図4の外周側の端部1Aと図5の外周側の端部4Bとの、それぞれのコイルの中心軸に対する位置が等しい場合、図6に示すように線番が#1である外部リード線を用いて上記端部1Aと端部4Bとを容易に電源に接続することができる。たとえば端部1Aから延びる外部リード線#1と端部4Bから延びる外部リード線#1とが接続される電源を共通にすることができる。
同様に、図4の外周側の端部2Aと図5の外周側の端部3Bとの、それぞれのコイルの中心軸に対する位置が等しい場合、図6に示すように線番が#2である外部リード線を用いて上記端部2Aと端部3Bとを容易に電源に接続することができる。図4の外周側の端部3Aと図5の外周側の端部2Bとを、線番が#3である外部リード線を用いて容易に電源に接続することができ、図4の外周側の端部4Aと図5の外周側の端部1Bとを、線番が#4である外部リード線を用いて容易に電源に接続することができる。外部リード線#1〜#4は、電源と接続されるため、たとえば長さが約1mの銅線により形成されることが好ましい。また、超電導線材1〜4の各端部から、電源の近傍まで4本が並列に配置されることが好ましい。
また、図4の内周側の端部4A、3A、2A、1Aのそれぞれを、図5の内周側の端部1B、2B、3B、4Bのそれぞれと、線番がそれぞれ#5、#6、#7、#8である内部接続部を用いて、図6に示すように容易に接続することができる。これらの各配線を用いて、各超電導コイルの主表面に関して、超電導コイル10の最も内周側を巻回する超電導線材1と、超電導コイル20の最も外周側を巻回する超電導線材4とが接続され、超電導コイル10の超電導線材2と超電導コイル20の超電導線材3とが接続される。
このように、上段の超電導コイル10の内周側から外周側に向けて超電導線材1、2、3、4の順に並んだそれぞれの線材が、下段の超電導コイル20の外周側から内周側に向けて超電導線材4、3、2、1の順に並んだそれぞれの線材と接続される。そして超電導コイル10は超電導コイル20の主表面上に接するように、各超電導コイルを構成する超電導線材1〜4が巻回される中心軸に沿った方向(図1の上下方向)に積層される。超電導コイル20の主表面上に超電導コイル10が、超電導コイル10と超電導コイル20との主表面がほぼ重なるように積層される。つまり積層により、超電導コイル10の中心軸と超電導コイル20の中心軸とは同一直線上に存在するものとなる。
図1の積層型超電導コイル30を回路図で表わしたものが図7である。図7における左側から右側へ直列に接続された超電導コイル10および超電導コイル20は、図1における上側から下側へ積層された超電導コイル10および超電導コイル20に対応する。すなわち積層型超電導コイル30には、超電導コイル10と超電導コイル20との組が2つ存在し、各組の間は1本の導電線で接続されている。また各組は同じ構成であり、各組の超電導コイル10と超電導コイル20とを接続する接続部6では、たとえば超電導コイル10において外周側に位置する超電導線材ほど、超電導コイル20において内周側に位置する超電導線材と接続されることが好ましい。つまり超電導コイル10において内周側に位置する超電導線材ほど、超電導コイル20において外周側に位置する超電導線材と接続されることが好ましい。
超電導コイル10の超電導線材と超電導コイル20の超電導線材とが接続されることによりなる回路全体に関して、超電導線材が接続されることで形成されるコイル要素(各超電導コイル)のインダクタンスが、それぞれのコイル要素ごとにほぼ一定になる。これは、超電導コイル20のより内周側を巻回する超電導線材(たとえば超電導線材1)を、当該超電導コイルの主表面上に直接積層される超電導コイル10のより外周側を巻回する超電導線材(たとえば超電導線材4)と接続するためである。このため、2台のコイルユニット(超電導コイル10と超電導コイル20)のみで、両者を構成する超電導線材同士を接続してなる各コイル要素のインダクタンス(リアクタンス)を一定にし、偏流を抑制することができる。具体的には、各超電導線材が接続されることにより形成される回路(コイル要素)に流れる電流の値を、各電流値の平均値の±0.8%以内にすることができる。
仮に超電導コイル10の超電導線材1と超電導コイル20の超電導線材3とを接続するような回路を構成する場合は、回路全体についてコイル要素のインダクタンスをほぼ一定にするために、超電導線材の本数(本実施の形態においては4本)と等しい台数の超電導コイルを積層する必要が生じる。しかし積層型超電導コイル30のように超電導コイル同士を接続すれば、実質的に2台の超電導コイルを積層するだけで偏流を抑え、偏流が発生する場合よりも大きな電流を流すことが可能となる。このため、当該積層型超電導コイル30の消費スペースを削減することができる。したがってたとえば冷却容器の内部に積層型超電導コイル30を用いた設備を収納する場合においても、当該冷却容器をコンパクト化することができる。
たとえば図1や図7の積層型超電導コイル30は、超電導コイル10および超電導コイル20が合計4台積層された構成となっている。ただし図7においては、模式的に描写された2組の超電導コイル10(超電導線材1〜4が並列された線材群)と超電導コイル20との接続部6は、上述したように超電導コイル10と超電導コイル20との内周側と外周側との超電導線材が互い違いとなるように接続されている。つまり接続部6は、図8の超電導部材5に相当する領域である。しかし図7における左側から2番目の超電導コイル20と、左側から3番目の超電導コイル10とは、接続部6のような接続のされ方をされていない。このことからも、図7における左側の超電導コイル10、20の組と、右側の超電導コイル10、20の組とのそれぞれ2台のみで、本実施の形態の接続の態様をなすに足りるといえる。
ここで外部リード線#1〜#4は超電導コイル10と超電導コイル20とを構成する各超電導線材の外周側の端部同士を接続するリード線であり、内部接続部#5〜#8は各超電導線材の内周側の端部同士の接続部である。ここで、たとえば内部接続部#5で接続された超電導コイル10の内周側の端部4Aと、超電導コイル20の内周側の端部1Bとが接続された回路に流れる電流を考える。電流は電源から外部リード線#4を通って超電導コイル10の超電導線材4の外周側の端部4Aに到達し、超電導線材4を流通して内周側の端部4Aに達する。その後当該電流は内部接続部#5から超電導コイル20の超電導線材1の内周側の端部1Bに達し、超電導線材1を流通して外周側の端部1Bに達する。その後上記電流は外部リード線#4を通って電源に帰還するサイクルとなる。
つまり上記の場合、電流は超電導コイル10の外周側から内周側へ流れた後、超電導コイル20の内周側から外周側へ流れる。このため超電導コイル10および超電導コイル20のそれぞれに流れる電流により形成される磁界の向きをほぼ同一とするためには、超電導コイル20の主表面上に積層された超電導コイル10の巻回される方向と、超電導コイル20の巻回される方向とを互いに反対方向にすることが好ましい。このため上述したように、本実施の形態において、超電導コイル10と超電導コイル20との巻回される方向が互いに反対方向となっている。
ここで内部接続部#5〜#8による、超電導コイル10および超電導コイル20の内周側の超電導線材同士の接続は、図8に示すように超電導部材によりなされることが好ましい。
つまり内部接続部#5〜#8が、図8に示す超電導部材5となる。超電導部材5は、たとえばビスマス系やRE123系からなる超電導材料の短片であることが好ましい。図8には一例として内部接続部#8の詳細な構成を示している。超電導コイル10の超電導線材1の内周側の端部1Aと、超電導コイル20の超電導線材4の内周側の端部4Bとのそれぞれから長手方向にたとえば50mm分について、ビスマス系超電導体や超電導層など、超電導材料からなる領域が露出するように加工する。その後、露出された超電導線材1の超電導材料1Cと、同様に露出された超電導線材4の超電導材料4Cとのそれぞれを部分的に重なるように、たとえば長手方向の長さが40mmとなるよう加工された上述の超電導部材5を配置した上で、たとえば半田付けにより超電導材料1C、4Cと超電導部材5とを接続する。
このようにすれば、内部接続部#5〜#8は、半田付けがなされた領域を除く広範囲にわたり、超電導材料により構成されることになる。このため当該接続部における電気抵抗を極めて低くすることができるため、内部接続部#5〜#8の材質に起因して回路に流れる電流値を制限することを避けることができる。また、図8の超電導部材5や図9の超電導部材13における発熱を抑制することができるため、当該接続部の温度が上昇することを抑制し、回路に流れる電流値をより高くすることができる。
ただし図9に示すように、超電導コイル10と超電導コイル20との超電導線材を超電導部材13を用いて接続する際には、超電導コイル10と超電導コイル20との巻回される中心軸に沿った方向(両者が積層される方向であり、図9の上下方向)に関して、超電導コイル10と超電導コイル20との間に間隙11が形成される。間隙11には超電導コイル10などを冷却するための冷媒を流通させることができる。しかしその反面、間隙11が存在すると積層型超電導コイル30としての超電導コイル10および超電導コイル20を支持する力が弱くなる可能性がある。
そこで図9に示すように、超電導コイル10と超電導コイル20とをつなぐ超電導部材13の近傍に補強材12を配置する。当該補強材12は、たとえば銅やステンレス鋼からなる短片であることが好ましい。このようにすれば、間隙11を含む積層型超電導コイル30の全体としての強度を高めることができる。また、この補強材12を、超電導部材13と接続するように配置することで、超電導部材13の補強材として利用できる。
あるいは図10に示すように、超電導コイル10と超電導コイル20との超電導線材を常電導部材14を用いて接続する際には、たとえ間隙11が存在したとしても補強材12は不要である。常電導部材14はたとえば銅や銀からなる短片であることが好ましい。常電導部材14は超電導部材13に比べて一般に強度が高い。つまり常電導部材14により超電導コイル10と超電導コイル20とを接続すれば、常電導部材14が同時に図9の補強材12の役割をも果たす。したがって常電導部材14を用いれば、補強材12が不要となる分、製造コストを削減することができる。
また常電導部材14は電気抵抗を有するため、超電導コイル10の超電導線材と超電導コイル20の超電導線材とから構成される回路(コイル要素)の全体は、超電導線材と電気抵抗を有する常電導部材とが直列に接続された構成となる。したがって、たとえば超電導コイル10や超電導コイル20の超電導線材においてインダクタンスの差が発生したとしても、これらのインダクタンスと常電導部材14の有する電気抵抗との合成インピーダンスの値に偏りが生じないよう調整することができる。つまり常電導部材14の存在により、当該積層型超電導コイルを用いる装置へ大電流を流すことができる。
以上に述べた図8〜図10に示す超電導コイル10と超電導コイル20との接続方法は、各超電導線材の内周側の端部に用いてもよいが、外周側の端部に用いてもよい。
(実施の形態2)
図11は、実施の形態1の積層型超電導コイル30を用いた回転機(モータ)を構成するステータ40の一部分を示す概略斜視図である。超電導コイルを用いたモータは、固定子としてのステータ40と、後述する回転子としてのロータとを備える。図11に示す本実施の形態2のステータ40は、ステータ全体のうち、最も外周部に配置されるステータコアの内周側に配置される部材である。ステータ40は、凡そ円柱形のステータヨーク41を土台として、ステータヨーク41の外周側に、ステータコアの周囲を巻回するように、本実施の形態1における積層型超電導コイル30に相当する部材が配置される。
具体的には、図11に示すように、ステータ40にはxy平面におけるステータヨーク41の空洞部がなす円形の中心に関して60°ずつ隔てて合計6台の積層型超電導コイルが配置されている。ここでは当該各積層型超電導コイルを、図11に示すように積層型超電導コイル30A、30B、30C、30D、30E、30Fとする。
ここでたとえば積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとは、ステータヨーク41の空洞部がなす円形の中心に関して180°の角度をなすように隔てて互いに対向している。同様に積層型超電導コイル30Cと積層型超電導コイル30Dとも互いに対向しており、積層型超電導コイル30Eと積層型超電導コイル30Fとも互いに対向している。
60°ずつ合計6台の積層型超電導コイルを備えた超電導モータのステータ40において、互いに対向する1対の積層型超電導コイル同士に流れる3相交流は同位相となる。したがって積層型超電導コイル30AのU1相と積層型超電導コイル30BのU2相とは同位相(U相)となる。同様に積層型超電導コイル30CのW1相と積層型超電導コイル30DのW2相とも同位相(W相)となる。積層型超電導コイル30EのV1相と積層型超電導コイル30FのV2相とも同位相(V相)となる。
このため図11および図12に示すように、交流が同位相となる積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとを、銅線などの常電導部材からなる導電線を用いて並列接続することが好ましい。
具体的には、図12の回路図を参照して、たとえば図1や図7の積層型超電導コイル30と同様に本実施の形態1の超電導コイル10と超電導コイル20(いずれも超電導線材1〜4を備える)とが交互に2台ずつ積層された合計4台の超電導コイルからなる積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとを並列に接続する。当該各積層型超電導コイル30A、30Bへの電気信号は、図12の左側のU相端子17から入力され、図12の右側の中性点18から出力される。中性点18は積層型超電導コイル30C、30Dに流れる交流(W相)や、積層型超電導コイル30E、30Fに流れる交流(V相)と電気的に接続する中継点である。
ここで、積層型超電導コイル30Aおよび積層型超電導コイル30Bは、超電導コイル10と超電導コイル20とが実施の形態1に示す態様により接続されている。つまりたとえば超電導コイル10において外周側に位置する超電導線材ほど、超電導コイル20において内周側に位置する超電導線材と接続される。このため積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとのそれぞれを構成するコイル要素のインダクタンス(リアクタンス)の値はほぼ一定となることが好ましい。
しかし上述のように超電導線材を接続したとしても、様々な外乱要因により、積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとのそれぞれの全体のインダクタンス(リアクタンス)の値に差が生じる可能性がある。インダクタンス(リアクタンス)の値に差が生じれば、偏流が発生して回転機の電気特性が劣化する可能性がある。
そこで図11および図12に示すように、積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとのそれぞれに直列に電気抵抗15、16を接続する。そして電気抵抗15と積層型超電導コイル30Aとを直列接続したものと、電気抵抗16と積層型超電導コイル30Bとを直列したものとを並列に接続し、U相端子17から電流を入力する。
このようにすれば、仮に積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとの間のインダクタンス(リアクタンス)の差が大きくなったとしても、電気抵抗15、16が存在することにより積層型超電導コイル30Aと電気抵抗15との合成インピーダンスと、積層型超電導コイル30Bと電気抵抗16との合成インピーダンスの値が大きく異なることを抑制できる。電気抵抗15、16は、通常の直流電流に対する電気抵抗であり、たとえば銅線から形成されるものであることが好ましい。
積層型超電導コイル30Aと電気抵抗15との合成インピーダンスをZ1、積層型超電導コイル30Bと電気抵抗16との合成インピーダンスをZ2とすれば、|Z1−Z2|/Z1<0.01または|Z1−Z2|/Z2<0.01の関係を有する程度に、Z1とZ2との値を近づけることが好ましい。なお電気抵抗15、16を可変抵抗とすることにより、Z1とZ2との間に上述した関係式を備えるよう調整することが可能な構成とすることがより好ましい。このようにすれば、並列接続された両合成インピーダンスがほぼ等しくなるため、偏流の発生を抑制し、回転機の特性を安定させることができる。
以上においては、積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとの関係についてのみ述べた。しかし積層型超電導コイル30Cと積層型超電導コイル30D、積層型超電導コイル30Eと積層型超電導コイル30Fとの間にも、上述した積層型超電導コイル30Aと積層型超電導コイル30Bとの関係と同様の関係を有することが好ましい。
以上に述べたステータ40は、図13に示すロータ50と組み合わせることにより、回転機(モータ)として使用される。図13のロータ50は、図11のステータ40のステータヨーク41の内部(中空部分)に嵌挿されるように配置される。図11のステータ40が6台の積層型超電導コイル30A〜30Fを備えるのに対して、図13のロータ50は4台の積層型超電導コイル30を備える。このようにステータ40とロータ50とを構成する積層型超電導コイルの台数が異なっていても、これらを用いて1台のモータを形成することが可能である。
ロータ50の積層型超電導コイル30についても、ステータ40の積層型超電導コイルと同様に、本実施の形態1の積層型超電導コイル30を用いることが好ましい。ロータ50は図13に示すように、積層型超電導コイル30と、回転軸51とロータ軸52とロータコア53とを備えている。
ロータ50にはxy平面におけるロータ軸52の円筒形の空洞部がなす円形の中心に関して90°ずつ隔てて合計4台の積層型超電導コイル30が配置されている。この場合においても図11のステータ40と同様に、対向する1対の積層型超電導コイル30のそれぞれに対して直列抵抗を接続した上で、これらの積層型超電導コイルを並列接続させてもよい。また、ロータ50においてもステータ40と同様に、円筒形の空洞部がなす円形の中心に関して60°ずつ隔てて合計6台の積層型超電導コイルが配置された構成としてもよい。
なお、本実施の形態2では、回転機として、ロータ50とステータ40とを含むモータを例に挙げて説明したが、本発明の回転機はモータに特に限定されず、たとえば、発電機などにも適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、回転機を構成する超電導コイルの電気特性を向上する技術として、特に優れている。
1,2,3,4 超電導線材、1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B 端部、1C,4C 超電導材料、5,13 超電導部材、6 接続部、9,1Z,2Z,3Z,4Z コイル、10,20 超電導コイル、11 間隙、12 補強材、14 常電導部材、15,16 電気抵抗、17 U相端子、18 中性点、30,30A,30B,30C,30D,30E,30F 積層型超電導コイル、30a 直線部、30b 湾曲部、30c 境界部、40 ステータ、41 ステータヨーク、50 ロータ、51 回転軸、52 ロータ軸、53 ロータコア、100 コイルユニット。

Claims (5)

  1. 複数本の超電導線材を並列させた線材群を一の方向に巻回させた第1の超電導コイルと、
    複数本の超電導線材を並列させた線材群を、前記一の方向と反対方向である他の方向に巻回させた第2の超電導コイルとを備えており、
    前記第1の超電導コイルと前記第2の超電導コイルとは、前記複数本の超電導線材が巻回される中心軸に沿った方向に積層されており、
    前記第1の超電導コイルの前記線材群において、前記第1の超電導コイルの内周側から外周側に向けて並んだ前記複数本の超電導線材のそれぞれは、前記第2の超電導コイルの前記線材群において前記第2の超電導コイルの外周側から内周側に向けて並んだ前記複数本の超電導線材のそれぞれと接続されている、積層型超電導コイル。
  2. 前記第1の超電導コイルの前記線材群を構成する前記超電導線材と、前記第2の超電導コイルの前記線材群を構成する前記超電導線材とは、超電導部材により接続される、請求項1に記載の積層型超電導コイル。
  3. 前記第1の超電導コイルの前記線材群を構成する前記超電導線材と、前記第2の超電導コイルの前記線材群を構成する前記超電導線材とは、常電導部材により接続される、請求項1に記載の積層型超電導コイル。
  4. 請求項1に記載の積層型超電導コイルを用いた回転機。
  5. 前記積層型超電導コイルとして第1の積層型超電導コイルと、
    前記回転機の回転軸を中心として前記第1の積層型超電導コイルと対向配置される第2の積層型超電導コイルと、
    前記第1の積層型超電導コイルに直列に接続させた第1の直列抵抗と、
    前記第2の積層型超電導コイルに直列に接続させた第2の直列抵抗とを備え、
    前記第1の積層型超電導コイルと前記第1の直列抵抗との合成インピーダンスZ1と、前記第2の積層型超電導コイルと前記第2の直列抵抗との合成インピーダンスZ2との間に、|Z1−Z2|/Z1<0.01または|Z1−Z2|/Z2<0.01の関係がある、請求項4に記載の回転機。
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