JP6511274B2 - 超電導コイル及び超電導回転電機ステータ - Google Patents

超電導コイル及び超電導回転電機ステータ Download PDF

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Description

本発明は、超電導コイル及び超電導回転電機ステータに関する。
超電導コイルは、超電導体を含む材料により構成されるテープ状(或いは帯状)の超電導線材を巻回することにより形成される。テープ状の超電導線材は、その形状的な制約から、テープ面(主面)に垂直な方向、つまりテープ面を巻き込むような方向にのみ、巻回され得る。このようにして巻回された超電導コイルの外形形状は、リング形状或いはいレーストラック形状であるのが一般的である。
また、複数の超電導コイルをその巻軸方向に沿って積み重ねて複数段の超電導コイルを形成し、それぞれの段の超電導コイルを互いに電気的に接続した超電導コイルも提案されている。例えば、2つの超電導コイル部を巻軸方向に沿って積み重ね、それぞれの段の超電導コイルを電気的に接続した、いわゆるダブルパンケーキ型超電導コイルが、広く知られている。
さらに、超電導コイルに流れる電流の量を増やすため、積層された複数のテープ状の超電導線材を巻回することにより、超電導コイルが形成されることもある。この場合、積層された複数の超電導線材は、並列接続される。
超電導線材の電気抵抗はゼロ或いは非常に小さい。しかし、超電導線材により構成される超電導コイルのインダクタンスにより、超電導コイルに交流電流を流すときには擬似的な電気抵抗としてのリアクタンスが発生する。一般に、コイルのリアクタンスは、コイルに囲まれる中空領域の大きさにより変化し、中空領域が大きいほどリアクタンスが大きい。従って、超電導コイルの外周側のリアクタンスが内周側のリアクタンスよりも大きい。
積層された複数のテープ状の超電導線材を巻回することにより超電導コイルを構成した場合、複数の超電導線材のうちのある超電導線材が他の超電導線材よりも常に内周側、或いは常に外周側に配設されることになる。このため、ある超電導線材により構成されるコイル部分のリアクタンスと他の超電導線材により構成されるコイル部分のリアクタンスが異なる。これにより、それぞれの超電導線材に流れる電流の大きさが異なる。つまり、超電導コイルを流れる電流に偏りが発生する。このような電流の偏りを、偏流と呼ぶ。偏流が発生した場合、交流損失が増大する。従って、偏流が発生しないように、各超電導線材に流れる電流の均流化を図ることが望ましい。
積層された複数のテープ状の超電導線材を巻回することにより構成される超電導コイル内での偏流を防止するため、超電導コイルを構成する複数の超電導線材の転位が行われる。転位とは、積層された複数の超電導線材の積層順を入れ替えることである。一般的に、転位は、ダブルパンケーキ型超電導コイルにおいて、一方の段の超電導コイルと他方の段の超電導コイルとを接続する部分にて、行われる。
特許文献1は、テープ状の複数本の超電導線材の積層体を巻回することにより構成されるダブルパンケーキ型超電導コイルを開示する。特許文献1に記載のダブルパンケーキ型超電導コイルによれば、第1段の超電導コイル部の最内周ターンと第2段の超電導コイル部の最内周ターンとの渡り部にて、内周側の超電導線材と外周側の超電導線材が転位される。
特許文献2は、複数本の超電導線材を互いに絶縁して束ねた集合導体がパンケーキ状に巻回されてなる一対のコイル部を有し、最内層側にて一方のコイル部の集合導体が他方のコイル部側に転位されて接続されているダブルパンケーキ型超電導コイルを開示する。特許文献2に記載のダブルパンケーキ型超電導コイルによれば、複数本の超電導線材が所定の本数ごとに、コイル部の周方向の異なる位置にて転位される。
特許文献3は、複数本の超電導線材を並列接続させた線材群を一方向に巻回させた超電導コイル部と、複数本の超電導線材を並列接続させた線材群を他方向に巻回させた超電導コイル部とを備える積層型超電導コイルを開示する。特許文献3に記載の積層型超電導コイルによれば、一方の超電導コイル部と他方の超電導コイル部が、巻軸方向に沿って積層される。また、一方の超電導コイル部の内周側から外周側に向けて並んだ複数本の超電導線材のそれぞれが、他方の超電導コイル部の外周側から内周側に向けて並んだ複数本の超電導線材のそれぞれに接続されることにより、超電導線材の転位が行われる。
特開2008−166569号公報 特開2010−238787号公報 特開2011−91893号公報
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1及び特許文献2に記載の超電導コイルによれば、超電導線材を転位させるために、超電導線材がそのテープ面に平行な面内にて曲げられている。超電導線材は、そのテープ面に平行な方向、すなわち面内方向に曲げられ難いので、このような曲げられ難い面内方向に曲げられると、超電導線材のテープ面にて歪が発生する。斯かる歪の発生により、超電導特性が低下する虞がある。また、特許文献1及び特許文献2によれば、超電導線材を転位させるための特有の設備、手順が必要であるため、そのような超電導コイルの製造コストが高い。また、特許文献3に記載の超電導コイルによれば、一方の超電導コイル部と他方の超電導コイル部の位置関係が対称でなく、また、各超電導線材の転位の順序が限定されるために均流化の効果が半減する。
本発明は、簡単な構成で、複数の超電導線材を転位させることができる超電導コイル、及び、そのような超電導コイルが用いられた超電導回転電機ステータを提供することを、目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、積層された複数のテープ状の超電導線材を巻回することにより構成される超電導コイルであって、複数の超電導線材のうちの少なくとも一つの超電導線材(33,34)に、長手方向に垂直な方向成分を含む方向に沿って切りかかれた切欠き部(33c,34c)が形成されており、切欠き部が形成された超電導線材に積層方向に隣接する超電導線材が、切欠き部を乗り越えることにより、切欠き部にて、切欠き部が形成された超電導線材とその超電導線材に隣接する超電導線材が、交差されている、超電導コイルを提供する。
本発明によれば、超電導コイルを構成する積層された複数のテープ状の超電導線材の少なくとも一つに、その長手方向に垂直な方向成分を含む方向に沿って切りかかれた切欠き部が形成される。そして、その切欠き部が形成された超電導線材に積層方向に隣接する超電導線材が、その切欠き部を乗り越えている。このため、切欠き部にて、その切欠き部が形成された超電導線材とそれに隣接する超電導線材が、交差する。斯かる交差により、切欠き部が形成された超電導線材とそれに積層方向に隣接する超電導線材の積層方向における位置(配置)、すなわち積層順が入れ替えられる。このようにして、切欠き部が形成された超電導線材とそれに隣接する超電導線材が転位される。
このように、本発明によれば、超電導線材に切欠き部を形成し、その切欠き部にて、切欠き部が形成された超電導線材とそれに隣接する超電導線材を交差させるだけの簡単な構成で、超電導線材を転位させることができる。また、切欠き部を乗り越える超電導線材は、切欠き部を乗り越えるために僅かに曲げられるが、その曲げ方向に超電導線材の面内方向成分は含まれない。つまり、超電導線材が巻回される方向に超電導線材を曲げることにより、切欠き部にて超電導線材を転位させることができる。よって、従来技術のように、超電導線材を転位させるために超電導線材をその面内方向に曲げることによる超電導線材の歪の発生を防止できる。
本発明において、切り欠き部を乗り越える、とは、切り欠き部が形成された超電導線材の一方のテープ面側に隣接配置する超電導線材が、切り欠き部を跨ぐことにより、切欠き部が形成された超電導線材の他方のテープ面側に隣接配置することを意味する。従って、切り欠き部が形成された超電導線材の内周側に隣接配置した超電導線材は、切り欠き部を乗り越えることにより、切り欠き部が形成された超電導線材の外周側に隣接配置する。また、切り欠き部が形成された超電導線材の外周側に隣接配置した超電導線材は、切り欠き部を乗り越えることにより、切り欠き部が形成された超電導線材の内周側に隣接配置する。
また、本発明において、超電導線材とは、テープ状(或いは帯状)に形成され、且つ、超電導材料を含む材料により構成されている部材を意味する。従って、超電導線材は、超電導体のみによって構成されていてもよいし、或は、超電導体からなる部分と、超電導体ではない導電性を有する材料により構成される部分とを有するように構成されていてもよい。この場合、切り欠き部は、超電導体からなる部分に形成されていてもよいし、超電導体ではない導電性を有する材料(例えば銅)により構成される部分に形成されていてもよい。
また、本発明において、切欠き部は、超電導線材の長手方向に垂直な方向成分を含む方向に沿って切りかかれた部分、すなわち、超電導線材の長手方向に平行ではない切欠き段差部分が形成されていれば、どのような形状であってもよい。例えば、超電導線材に、長手方向に垂直な方向成分を含む方向に沿って延びるスリットが形成されていてもよい。また、超電導線材に幅が広い部分と幅が狭い部分とを形成し、両部分の接続部位に切欠き状段差部を形成してもよい。この場合、切欠き部の形状が、クランク形状にされる。
また、積層方向に隣接する超電導線材のそれぞれに、切欠き部が形成されており、超電導線材のそれぞれに形成された切欠き部が、互いに嵌め合わされているとよい。これによれば、隣接する超電導線材のそれぞれに形成された切欠き部どうしが嵌め合わされることにより、一方の超電導線材が他方の超電導線材に形成された切欠き部を乗り越え、他方の超電導線材が一方の超電導線材に形成された切欠き部を乗り越える。すなわち、切欠き部どうしが嵌め合わされている部分にて、隣接する超電導線材が転位される。また、切欠き部どうしの嵌め合いによって、転位箇所における超電導線材の幅方向(長さ方向及び厚さ方向に垂直な方向)の膨らみの増加を抑えることができる。
また、切欠き部は、長手方向に沿って隙間を隔てて配設された2本の超電導線材のそれぞれの対面する端部を、2本の超電導線材の幅よりも狭い幅を有する導体で接続することにより、形成されていてもよい。これによれば、簡単に、超電導線材に切欠き部を形成することができる。
また、切欠き部が形成された超電導線材には、切欠き部が形成されることにより幅が狭められている部分に、補助の導体が接続されていてもよい。切欠き部の形成によって、その切欠き部が形成されている部分の幅が狭められる。幅が狭められた部分に流すことのできる電流の大きさは、幅が狭められていない部分に流すことのできる電流の大きさよりも小さい。これに対し、本発明によれば、切欠き部の形成により幅が狭められた部分に補助の導体を接続することで、幅が狭められている部分に流すことができる電流の大きさが大きくされる。よって、臨界電流(Ic)が大きくされ、超電導コイルに大電流を流すことができる。
また、本発明に係る超電導コイルは、超電導材料により構成された複数の第一超電導線材が積層された状態で巻回されることにより構成される第一超電導コイル部と、超電導材料により構成された複数の第二超電導線材が積層された状態で巻回されることにより構成される第二超電導コイル部と、第一超電導コイル部を構成するそれぞれの第一超電導線材の内周端部と、第二超電導コイル部を構成するそれぞれの第二超電導線材の内周端部とを、それぞれ接続する、複数の接続部材と、を備えるのがよい。また、第一超電導コイル部と第二超電導コイル部は、巻軸方向に沿って重ねられるように配置され、複数の接続部材は、第一超電導コイル部及び第二超電導コイル部の内周にて積層配置されているのがよい。そして、積層配置されている複数の接続部材の少なくとも一つに、切欠き部が形成されているとよい。
これによれば、例えばダブルパンケーキ型超電導コイルの一方のコイル部(第一超電導コイル部)を構成する複数の超電導線材(第一超電導線材)と他方のコイル部(第二超電導コイル部)を構成する複数の超電導線材(第二超電導線材)が、それらの内周端部どうしを接続する複数の接続部材により接続される。そして、複数の接続部材の少なくとも一つに切欠き部を設け、その切欠き部を用いて複数の接続部材が交差させられる。このようにして、簡単な構成で、超電導線材に歪を与えることなく、第一超電導コイル部と第二超電導コイル部との接続部位にて、第一超電導線材と第二超電導線材とを転位させることができる。
この場合、接続部材に形成される切欠き部の形状が、クランク形状であってもよい。これによれば、クランク形状の切欠き部が形成された接続部材に隣接する接続部材が切欠き部を乗り越える前には、切欠き部が形成された接続部材とそれに隣接する接続部材とが重ねられていない領域が存在する。このため、接続部材どうしの接触面積が小さくされ、超電導コイルをコンパクトに構成できる。
また、接続部材は、導電性の金属により構成されていてもよい。これによれば、接続部材の加工が容易である。この場合、接続部材が銅により構成されるとなおよい。これによれば、接続部材の弾性変形が容易であるため、容易に、切欠き部が形成された接続部材とそれに隣接する接続部材とを交差させることができる。
また、接続部材は、超電導体により構成されていてもよい。これによれば、接続部材として超電導体(特にイットリウム系等の薄膜単結晶タイプの超電導体、或いはガドリミウム系超電導体)を用いることにより、接続部材における接続抵抗をより小さくすることができる。
また、接続部材は、導電性の金属により構成される部分と、超電導体により構成される部分とを有していてもよい。接続部材を金属のみにより構成した場合、接続部材の電気抵抗が大きいという問題が発生し、一方、接続部材を超電導体のみにより構成した場合、過剰な電流が接続部材に流れたときに超電導破壊(クエンチ)が発生する虞がある。これに対し、接続部材を構成する材料として、銅などの導電性金属と超電導体とを併用することで、上記した欠点を補うことができる。すなわち、通常時(適正な電流が流れている状態であるとき)は超電導体により構成されている部分に電流が流れることによって、接続部材の電気抵抗を小さくすることができる。また、過剰な電流が流れたときには余剰の電流が金属により構成されている部分に流れる。このため超電導体により構成されている部分の超電導破壊を防止することができる。
また、超電導コイルが、対向配置する第一直線部及び第二直線部と、第一直線部の一方の端部と第二直線部の一方の端部とを接続する第1円弧部と、第一直線部の他方の端部と第二直線部の他方の端部とを接続する第2円弧部と、を有するレーストラック形状を呈し、接続部材は、第一超電導線材が接続されている部分が第一直線部に設けられ、第二超電導線材が接続されている部分が第二直線部に設けられ、切欠き部が形成されている部分が第一円弧部に設けられるように、構成されているとよい。これによれば、超電導コイルの直線部分にて第一超電導線材と第二超電導線材が接続部材に接続されているため、接続部材と第一及び第二超電導線材との接続が容易になし得るとともに、その接続を確実に行うことができる。また、第一円弧部を跨って接続部材を形成することにより、第一超電導コイル部の内周端部の位置と第二超電導コイル部の内周端部の位置とを一致させることができる。このため、第一超電導コイル部の形状と第二超電導コイル部の形状とをほぼ対称形状にすることができる。
また、本発明は、ティースを有するステータコアと、上記構成の超電導コイルとを備え、超電導コイルがティースに巻回されてなる、超電導回転電機ステータを提供する。これによれば、上記した作用効果を有する超電導コイルを備えた超電導回転電機ステータを提供することができる。
超電導回転電機ステータの正面図である。 第一実施形態に係る超電導コイルの概略斜視図である。 第一超電導コイル部と第二超電導コイル部とを、同一の巻軸方向から見た正面図である。 第一接続部材及び第二接続部材の概略斜視図である。 第一接続部材に形成された第一スリットと第二接続部材に形成された第二スリットが嵌め合わされた状態を示す斜視図である。 図5のVI−VI断面図である。 第一接続部材と第二接続部材とを用いて、積層された2本の超電導線材が転位される様子を模式的に示す図である。 第二実施形態に係る超電導コイルを構成する第一超電導コイル部と第二超電導コイルとを、同一の巻軸方向から見た正面図である。 第一接続部材、中間接続部材、及び第二接続部材の概略斜視図である。 第一接続部材、中間接続部材及び第二接続部材が係合した状態を示す断面図である。 第一接続部材、中間接続部材、及び第二接続部材を用いて、積層された3本の超電導線材が転位される様子を模式的に示す図である。 第三実施形態に係る第一接続部材及び第二接続部材を示す概略平面図である。 第四実施形態に係る第一接続部材、中間接続部材、及び第二接続部材を示す概略平面図である。 第五実施形態に係る第一接続部材、中間接続部材、及び第二接続部材の平面図及び、これらの接続部材の転位の状態を示す図である。 、第六実施形態に係る複数の接続部材の平面図、及び、これらの接続部材の転位の状態を示す図である。 超電導線材の任意の箇所にてそれぞれの超電導線材に切欠きが形成された超電導コイルを示す図である。 超電導線材に形成されるスリットの変形例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る超電導回転電機ステータの正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る超電導回転電機ステータ1は、ステータコア2と、複数の超電導コイル3とを備える。
ステータコア2は、円筒形状のバックヨーク2aと、バックヨーク2aの内周面から求心方向に向かって突出する複数のティース2bとを有する。複数のティース2bは、バックヨーク2aの周方向に沿って等間隔に設けられる。また、隣接するティース2b間にスロット2cが形成される。このスロット2cも、バックヨーク2aの周方向に沿って等間隔に設けられる。
各ティース2bに超電導コイル3が取り付けられる。超電導コイル3は、超電導線材がティース2bに巻回されることにより構成される。
(第一実施形態)
図2は、第一実施形態に係る超電導コイル3の概略斜視図である。図2に示すように、超電導コイル3は、対向配置した第一直線部3a及び第二直線部3bと、円弧状に形成され第一直線部3aの一方の端部と第二直線部3bの一方の端部を接続する第一円弧部3cと、円弧状に形成され第一直線部3aの他方の端部と第二直線部3bの他方の端部を接続する第二円弧部3dとを有し、巻軸方向から見てレーストラック形状となるように構成される。
また、この超電導コイル3は、巻軸方向から見てレーストラック形状の第一超電導コイル部31と第二超電導コイル部32とからなり、これらのコイル部31,32を巻軸方向(図2において上下方向)に沿って重ね合わせることにより構成される。すなわち、超電導コイル3は、レーストラック形状のダブルパンケーキ型超電導コイルである。
図3は、第一超電導コイル部31と第二超電導コイル部32とを、同一の巻軸方向から見た正面図である。図3に示すように、第一超電導コイル部31と第二超電導コイル部32は、それらの巻軸方向に垂直な平面に対してほぼ対称な形状を有する。また、第一超電導コイル部31は、積層されたテープ状の2本のBi系超電導線材(幅4.6mm)が巻回されることにより構成される。同様に、第二超電導コイル部32は、積層されたテープ状の2本のBi系超電導線材(幅4.6mm)が巻回されることにより構成される。各超電導コイル部を構成する超電導線材には、テープ面(主面)Tが形成されている。そして、テープ面Tに垂直な方向に沿って2本の超電導線材が積層される。
第一超電導コイル部31を構成する2本の超電導線材(第一超電導線材)のうちの一方は、常に他方の外周側に配置し、他方は、常に一方の内周側に配置する。同様に、第二超電導コイル部32を構成する2本の超電導線材(第二超電導線材)のうちの一方は、常に他方の外周側に配置し、他方は、常に一方の内周側に配置する。第一超電導コイル部31を構成する第一超電導線材のうちの外周側に配置する超電導線材を第一外周側超電導線材31outと呼び、内周側に配置する超電導線材を第一内周側超電導線材31inと呼ぶ。第二超電導コイル部32を構成する第二超電導線材のうち外周側に配置する超電導線材を第二外周側超電導線材32outと呼び、内周側に配置する超電導線材を第二内周側超電導線材32inと呼ぶ。また、積層状態の第一外周側超電導線材31out及び第一内周側超電導線材31inを、第一超電導線群31Tと呼び、積層状態の第二外周側超電導線材32out及び第二内周側超電導線材32inを第二超電導線群32Tと呼ぶ。従って、第一超電導コイル部31は、第一超電導線群31Tが巻回されることにより構成され、第二超電導コイル部32は、第二超電導線群32Tが巻回されることにより構成される。
第一超電導線群31Tの一方の端部(外周端部)は第一超電導コイル部31の最外周から延設されており、この延設された部分P1によって、超電導コイル3の一方のコイルエンドを構成する。第二超電導線群32Tの一方の端部(外周端部)は第二超電導コイル部32の最外周から延設されており、この延設された部分P2によって、超電導コイル3の他方のコイルエンドを構成する。また、第一超電導線群31Tの他方の端部(内周端部)Q1は第一超電導コイル部31の最内周に位置し、第二超電導線群32Tの他方の端部(内周端部)Q2は第二超電導コイル部32の最内周に位置する。
図3からわかるように、第一超電導コイル部31と第二超電導コイル部32とを同一の巻軸方向から見たときに、第一超電導線群31Tの巻回方向は第二超電導線群32Tの巻回方向と反対の方向である。具体的には、図3に示す場合、第一超電導線群31Tは、その内周端部から外周端部に向かって反時計周り方向に巻回され、第二超電導線群32Tは、その内周端部から外周端部に向かって時計周り方向に巻回される。
第一超電導線群31Tの内周端部は、第一外周側超電導線材31outの内周端部及び第一内周側超電導線材31inの内周端部により構成される。このうち、第一外周側超電導線材31outの内周端部は第一接続部材33に接続され、第一内周側超電導線材31inの内周端部は第二接続部材34に接続される。また、第二超電導線群32Tの内周端部は、第二外周側超電導線材32outの内周端部及び第二内周側超電導線材32inの内周端部により構成される。このうち、第二外周側超電導線材32outの内周端部は第二接続部材34に接続され、第二内周側超電導線材32inの内周端部は第一接続部材33に接続される。図3において、第一接続部材33及び第二接続部材34が、破線で示される。
図4は、展開された第一接続部材33材及び第二接続部材34の概略斜視図である。図4に示すように、第一接続部材33は、外面33a及び外面33aとは反対側の内面33bとを有する長尺平板状に形成される。また、第二接続部材34は、外面34a及び外面34aとは反対側の内面34bとを有する長尺平板状に形成される。第一接続部材33及び第二接続部材34は、ガドリニウム(Gd)系超電導線材により構成されており、その幅は10mmである。
第一接続部材33の長手方向における一方の端部側の外面33aに第一外周側超電導線材31outの内周端部がはんだ付けにより接続され、第一接続部材33の長手方向における他方の端部側の外面33aに第二内周側超電導線材32inの内周端部がはんだ付けにより接続される。また、第二接続部材34の長手方向における一方の端部側の外面34aに第一内周側超電導線材31inがはんだ付けにより接続され、第二接続部材34の長手方向における他方の端部側の外面34aに第二外周側超電導線材32outの内周端部がはんだ付けにより接続される。
第一接続部材33の長手方向における略中間部分には第一スリット(切欠き部)33cが形成される。第一スリット33cは、第一接続部材33の一方の側辺に開口し、その開口部位から長手方向に垂直な方向に延設される。また、第二接続部材34の長手方向における略中間部分には第二スリット(切欠き部)34cが形成される。第二スリット34cは、第二接続部材34の一方の側辺に開口し、その開口部位から長手方向に垂直な方向に延設される。第一スリット33c及び第二スリット34cの長さ(接続部材33,34の幅方向における長さ)は5.5mmであり、幅(接続部材33,34の長手方向における長さ)は1mmである。スリット33c、34cの長さ(5.5mm)は、接続部材33,34の幅(10mm)の半分の長さ以上である。
第一接続部材33と第二接続部材34は、超電導コイル3の内周壁部にてその厚み方向に沿って隣接して積層されている。このとき、第一接続部材33の外面33aと第二接続部材34の外面34aが同一の方向を向くように、第一接続部材33と第二接続部材34が積層される。また、第一接続部材33と第二接続部材34は、それぞれに形成されているスリットどうしの嵌め合いにより、互いに係合している。つまり、第一接続部材33に形成されている第一スリット33cと第二接続部材34に形成されている第二スリット34cが嵌め合わせられるように、すなわち、第一スリット33cの底壁と第二スリット34cの底壁が付き合わされるように、第一接続部材33と第二接続部材34が互いに係合する。
図5は、第一接続部材33に形成された第一スリット33cと第二接続部材34に形成された第二スリット34cが嵌め合わされた状態を示す斜視図である。また、図6は、図5のVI−VI線に沿って切断した断面図である。図5及び図6に示すように、両スリット33c,34cが嵌め合わされることにより、第一接続部材33と第二接続部材34が係合している。また、第一接続部材33と第二接続部材34は、それらの厚み方向に沿って隣接して積層配置されている。このとき、第一接続部材33の一方の端部に接続されている第一外周側超電導線材31outと第二接続部材34の一方の端部に接続されている第一内周側超電導線材31inが、それらの厚み方向に沿って積層する。また、第一接続部材33の他方の端部に接続されている第二内周側超電導線材32inと第二接続部材34の他方の端部に接続されている第二外周側超電導線材32outが、それらの厚み方向に沿って積層する。また、図5からわかるように、積層されている第一外周側超電導線材31out及び第一内周側超電導線材31inの長手方向軸と、積層されている第二外周側超電導線材32out及び第二内周側超電導線材32inの長手方向軸は、平行であるが、それらの超電導線材の幅方向(長さ方向及び厚み方向に垂直な方向)にずれている(オフセットしている)。
なお、第一接続部材33と第二接続部材34が隣接して積層配置した場合において、両者間の導通を回避するために、それぞれの接続部材33,34の表面には、絶縁性のポリイミドフィルムが被覆されている。また、第一外周側超電導線材31out、第一内周側超電導線材31in、第二外周側超電導線材32out、第二内周側超電導線材32inの外周面も、絶縁被覆されている。
また、第一接続部材33と第二接続部材34が係合したとき、第一スリット33c及び第二スリット34cが互いに嵌め合わされている部分にて、第二接続部材34が第一接続部材33に形成されている第一スリット33c内を通過する。このとき、第二接続部材34は、第一スリット33cを形成している切欠き段差を乗り越える。また、第一接続部材33と第二接続部材34が係合したとき、第一スリット33c及び第二スリット34cが互いに嵌め合わされている部分にて、第一接続部材33が第二接続部材34に形成されている第二スリット34c内を通過する。このとき、第一接続部材33は、第二スリット34cを形成している切欠き段差を乗り越える。
これにより、第一接続部材33と第二接続部材34が、それらの長手方向及び積層方向を含む平面内にて交差する。このような交差部分を境として、第一接続部材33と第二接続部材34の積層方向における位置(配置)が逆転している。つまり、第一接続部材33と第二接続部材34の積層順が入れ替えられる。具体的に言えば、図6において、上下方向(積層方向)のうち上方向を外周側、下方向を内周側と定義し、左右方向(長手方向)のうち左方を一方端側、右方を他方端側と定義すると、第一スリット33c及び第二スリット34cが互いに嵌め合わされている部分Xよりも一方端側において、第一接続部材33が第二接続部材34よりも外周側に配置され、部分Xよりも他方端側において、第一接続部材33が第二接続部材34よりも内周側に配置される。
このように、本実施形態においては、隣接して積層配置した第一接続部材33及び第二接続部材34が、両スリット33c,34cの嵌め合わせ位置にて、互いに相手側の接続部材に形成されたスリットを構成する切欠き段差を乗り越えることにより、交差する。斯かる交差により、第一超電導コイル部31内にて外周側に配設されている第一外周側超電導線材31outと第二超電導コイル部32内にて内周側に配設されている第二内周側超電導線材32inとを第一接続部材33により接続することができ、第一超電導コイル部31内にて内周側に配設されている第一内周側超電導線材31inと第二超電導コイル部32内にて外周側に配設されている第二外周側超電導線材32outとを第二接続部材34により接続することができる。つまり、第一接続部材33を介して接続されている超電導線材と、その超電導線材に積層方向に隣接するとともに第二接続部材34を介して接続されている超電導線材が、両接続部材33,34を介して、転位する。
図7は、第一接続部材33と第二接続部材34とを用いて、隣接して積層された2本の超電導線材(超電導線材Aと超電導線材B)が転位される様子を模式的に示す図である。ここで、積層された2本の超電導線材のうち、超電導線材Aは、第一超電導コイル部31に備えられる第一外周側超電導線材31outと、第二超電導コイル部32に備えられる第二内周側超電導線材32inと、第一外周側超電導線材31outと第二内周側超電導線材32inとを接続する第一接続部材33とを備える。また、超電導線材Bは、第一超電導コイル部31に備えられる第一内周側超電導線材31inと、第二超電導コイル部32に備えられる第二外周側超電導線材32outと、第一内周側超電導線材31inと第二外周側超電導線材32outとを接続する第二接続部材34とを備える。
図7に示すように、超電導線材Aと超電導線材Bは、隣接して積層された状態で巻回されている。また、第一超電導コイル部31内では外周側に配設されている超電導線材Aは、第一接続部材33と第二接続部材34との交差部位にて転位(A−B転位)されることにより、第二超電導コイル部32内では内周側に配設されている。また、第一超電導コイル部31内では内周側に配設されている超電導線材Bは、第一接続部材33と第二接続部材34との交差部位にて転位(A−B転位)されることにより、第二超電導コイル部32内では外周側に配設されている。
以上のように、本実施形態によれば、隣接して積層された超電導線材(超電導線材A,B)のそれぞれに、スリット33c、34c(切欠き部)を形成し、このスリット33c、34cにて両超電導線材を交差させるといった簡単な構成により、積層方向に隣接配置する超電導線材を転位させることができる。また、両超電導線材を交差させる際には、一方の超電導線材が他方の超電導線材のスリットを構成する切欠き段差を乗り越えるが、このとき、超電導線材は、切欠き段差を乗り越えるために僅かに曲げられる。しかし、その曲げ方向は超電導線材のテープ面Tに垂直な方向であり、曲げ方向に超電導線材の面内方向成分は含まれない。よって、従来技術のように、超電導線材を転位させるために超電導線材をその面内方向に曲げることによる超電導線材の歪の発生を防止できる。
また、本実施形態によれば、第一接続部材33及び第二接続部材34が、Gd系の超電導線材である。Gd系超電導線材は、Bi系超電導線材の倍以上の電流容量(臨界電流値)を有するため、このような材料からなる接続部材33,34にスリットを形成した場合においても、Bi系超電導材料からなる部分(第一超電導コイル部31を構成する超電導線材及び第二超電導コイル部32を構成する超電導線材)における電流容量と同程度の電流容量を確保することができる。
また、図6に示すように、第一接続部材33と第二接続部材34が重ね合わされたとき、部分Xよりも長手方向における一方端側にて、第二接続部材34の外面34a上に、第一接続部材33が積層される。また、第二接続部材34の一方端側の外面34aには第一内周側超電導線材31inの端部が接続されている。本実施形態では、第二接続部材34の一方端側の外面34aの第一接続部材33と第一内周側超電導線材31inとの間に所定の隙間G1が形成される。斯かる隙間G1の形成により、第二接続部材34の一方端側の外面34a上での第一内周側超電導線材31inと第一接続部材33との長手方向における干渉が防止される。こうして干渉が防止されることにより、積層方向における厚さの増加が抑えられる。
同様に、図6に示すように、第一接続部材33と第二接続部材34が重ね合わされたとき、部分Xよりも長手方向における他方端側にて、第一接続部材33の外面33a上に第二接続部材34が積層される。また、第一接続部材33の他方端側の外面33aには第二内周側超電導線材32inの端部が接続されている。本実施形態では、第一接続部材33の他方端側の外面33aの第二接続部材34と第二内周側超電導線材32inとの間に所定の隙間G2が形成される。斯かる隙間G2の形成により、第二内周側超電導線材32inと第二接続部材34との長手方向における干渉が防止される。こうして干渉が防止されることにより、積層方向における厚さの増加が抑えられる。
また、本実施形態によれば、積層方向に隣接する2本の超電導線材A,Bのそれぞれに、スリット33c、33d(切欠き部)が形成されており、2本の超電導線材A,Bのそれぞれに形成されたスリット33c、34cが、嵌め合わされている。互いに形成されたスリット33c、34cどうしが嵌め合わされることにより、2本の超電導線材A,Bが交差するとともに積層方向に沿って重ねられる。これにより、積層された2本の超電導線材A,Bの交差部位における幅方向(長さ方向及び厚さ方向に垂直な方向)の長さの増加を抑えることができる。
また、本実施形態によれば、図3に示すように、接続部材(33,34)は、第一超電導線材(31out,31in)が接続されている部分が超電導コイル3の第一直線部3aに設けられ、第二超電導線材(32out,32in)が接続されている部分が第二直線部3bに設けられ、スリット(33c,34c)が形成されている部分が第一円弧部3cに設けられるように、構成されている。超電導コイル3の直線部分にて第一超電導線材(31out,31in)と第二超電導線材(32out,32in)が接続部材(33,34)に接続されているため、接続部材と第一及び第二超電導線材との接続が容易になし得るとともに、その接続を確実に行うことができる。また、一方の円弧部を跨って接続部材を形成することにより、第一超電導コイル部31の内周端部の位置と第二超電導コイル部32の内周端部の位置とを一致させることができる。このため、第一超電導コイル部31の形状と第二超電導コイル部32の形状とをほぼ対称形状にすることができる。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。上記第一実施形態では、第一超電導コイル部31及び第二超電導コイル部32が、それぞれ、厚み方向に積層された2本の超電導線材により構成されている例を示した。本実施形態では、第一超電導コイル部31及び第二超電導コイル部32が、それぞれ、厚み方向に積層された3本の超電導線材により構成されている例について説明する。なお、その他の構成については、上記第一実施形態にて説明した構成と同じであるので、同一の部分についての説明は省略する。
図8は、本実施形態に係る超電導コイル3を構成する第一超電導コイル部31と第二超電導コイル部32とを、同一の巻軸方向から見た正面図である。図8に示すように、第一超電導コイル部31と第二超電導コイル部32は、それらの巻軸方向に垂直な平面に対してほぼ対称な形状を有する。また、第一超電導コイル部31は、積層されたテープ状の3本のBi系超電導線材(幅4.6mm)が巻回されることにより構成される。同様に、第二超電導コイル部32は、積層されたテープ状の3本のBi系超電導線材(幅4.6mm)が巻回されることにより構成される。各超電導コイル部を構成する超電導線材には、テープ面(主面)Tが形成されている。そして、テープ面Tに垂直な方向に沿って3本の超電導線材が積層される。
第一超電導コイル部31を構成する3本の超電導線材(第一超電導線材)のうちのいずか1本の超電導線材は、常に他の2本の超電導線材の外周側に配置し、他のいずれか1本の超電導線材は、常に他の2本の超電導線材の内周側に配置し、残りの1本の超電導線材は、常に他の2本の超電導線材の間に配置される。同様に、第二超電導コイル部32を構成する3本の超電導線材(第二超電導線材)のうちのいずれか1本の超電導線材は、常に他の2本の超電導線材の外周側に配置し、他のいずれか1本の超電導線材は、常に他の2本の超電導線材の内周側に配置し、残りの1本の超電導線材は、常に他の2本の超電導線材の間に配置する。
以下において、第一超電導コイル部31を構成する第一超電導線材のうちの最も外周側に配置する超電導線材を第一外周側超電導線材31outと呼び、最も内周側に配置する超電導線材を第一内周側超電導線材31inと呼び、第一外周側超電導線材31outと第一内周側超電導線材31inとの間に配置する超電導線材を第一中間超電導線材31midと呼ぶ。また、第二超電導コイル部32を構成する第二超電導線材のうち最も外周側に配置する超電導線材を第二外周側超電導線材32outと呼び、最も内周側に配置する超電導線材を第二内周側超電導線材32inと呼び、第二外周側超電導線材32outと第二内周側超電導線材32inとの間に配置する超電導線材を第二中間超電導線材32midと呼ぶ。また、積層状態の第一外周側超電導線材31out、第一中間超電導線材31mid、及び第一内周側超電導線材31inを、第一超電導線群31Tと呼び、積層状態の第二外周側超電導線材32out、第二中間超電導線材32mid、及び第二内周側超電導線材32inを第二超電導線群32Tと呼ぶ。従って、第一超電導コイル部31は、第一超電導線群31Tが巻回されることにより構成され、第二超電導コイル部32は、第二超電導線群32Tが巻回されることにより構成される。
第一超電導コイル部31を構成する第一超電導線群31Tの内周端部は、第一外周側超電導線材31outの内周端部、第一中間超電導線材31midの内周端部、及び第一内周側超電導線材31inの内周端部により構成される。このうち、第一外周側超電導線材31outの内周端部は第一接続部材35に接続され、第一中間超電導線材31midの内周端部は中間接続部材36に接続され、第一内周側超電導線材31inの内周端部は第二接続部材37に接続される。また、第二超電導コイル部32を構成する第二超電導線群32Tの内周端部は、第二外周側超電導線材32outの内周端部、第二中間超電導線材32midの内周端部、及び第二内周側超電導線材32inの内周端部により構成される。このうち、第二外周側超電導線材32outの内周端部は第二接続部材37に接続され、第二中間超電導線材32midの内周端部は中間接続部材36に接続され、第二内周側超電導線材32inは第一接続部材35に接続される。
図9は、展開された第一接続部材35、中間接続部材36、及び第二接続部材37の概略斜視図である。図9に示すように、第一接続部材35は、外面35a及び外面35aとは反対側の内面35bとを有する長尺平板状に形成される。また、中間接続部材36は、外面36a及び外面36aとは反対側の内面36bとを有する長尺平板状に形成される。また、第二接続部材37は、外面37a及び外面37aとは反対側の内面37bとを有する長尺平板状に形成される。
第一接続部材35の長手方向における一方の端部側の外面35aに第一外周側超電導線材31outの内周端部がはんだ付けにより接続され、第一接続部材35の長手方向における他方の端部の外面35aに第二内周側超電導線材32inの内周端部が接続される。また、中間接続部材36の長手方向における一方の端部の外面36aに第一中間超電導線材31midが接続され、中間接続部材36の長手方向における他方の端部の外面36aに第二中間超電導線材32midの内周端部が接続される。また、第二接続部材37の長手方向における一方の端部の外面37aに第一内周側超電導線材31inの内周端部が接続され、第二接続部材37の長手方向における他方の端部の外面37aに第二外周側超電導線材32outの内周端部が接続される。
第一接続部材35の長手方向における異なる2か所の位置に、スリット35c(切欠き部)及びスリット35d(切欠き部)が形成される。スリット35c及びスリット35dは、第一接続部材35の一方の側辺に開口し、その開口部位から長手方向に垂直な方向に延設される。また、中間接続部材36の長手方向における異なる2か所の位置に、スリット36c(切欠き部)及びスリット36d(切欠き部)が形成される。スリット36cは、中間接続部材36の一方の側辺に開口し、その開口部位から長手方向に垂直な方向に延設される。スリット36dは、中間接続部材36の他方の側辺に開口し、その開口部位から長手方向に垂直な方向に延設される。また、第二接続部材37の長手方向における異なる2か所の位置に、スリット37c(切欠き部)及びスリット37d(切欠き部)が形成される。スリット37c及びスリット37dは、第二接続部材37の一方の側辺に開口し、その開口部位から長手方向に垂直な方向に延設される。
第一接続部材35、中間接続部材36及び第二接続部材37は、図2に示すような超電導コイル3の内周壁部にてその厚み方向に沿って隣接して積層されている。このとき、第一接続部材35の外面35a、中間接続部材36の外面36a、及び第二接続部材37の外面37aが同一の方向を向くように、これらの接続部材が積層される。
また、第一接続部材35、中間接続部材36及び第二接続部材37は、積層した状態で、それぞれに形成されているスリットどうしの嵌め合いにより、絡み合うように係合している。具体的には、第一接続部材35に形成されたスリット35cと第二接続部材37に形成されたスリット37dが嵌り合い、第一接続部材35に形成されたスリット35dと中間接続部材36に形成されたスリット36dが嵌り合い、中間接続部材36に形成されたスリット36cと第二接続部材37に形成されたスリット37cが嵌り合うように、これらの接続部材35,36,37が係合する。言い換えれば、上記したスリットどうしの嵌り合いが実現されるように、各接続部材35,36,37の側辺の所定の位置に開口するスリットが形成される。このようなスリットどうしの嵌め合いにより各接続部材35,36,37が係合した場合、各接続部材35,36,37は、厚み方向に沿って積層される。
また、上記したように各接続部材35,36,37が係合されたとき、各接続部材35,36,37の一方の端部にそれぞれ接続されている各超電導線材(第一外周側超電導線材31out、第一中間超電導線材31mid、第一内周側超電導線材31in)が、厚み方向に積層する。同様に、各接続部材35,36,37が係合されたとき、各接続部材35,36,37の他方の端部にそれぞれ接続されている各超電導線材(第二外周側超電導線材32out、第二中間超電導線材32mid、第二内周側超電導線材32in)が、厚み方向に積層する。
図10は、第一接続部材35、中間接続部材36及び第二接続部材37が係合した状態を、これらの積層方向及び長手方向に垂直な方向から示す断面図である。図10に示すように、各接続部材35,36,37は、互いに絡み合うように係合するとともに、厚み方向に沿って積層している。また、図10の部位H1にて、中間接続部材36に形成されたスリット36cと第二接続部材37に形成されたスリット37cが嵌り合い、部位H2にて、第一接続部材35に形成されたスリット35cと第二接続部材37に形成されたスリット37dが嵌り合い、部位H3にて、第一接続部材35に形成されたスリット35dと中間接続部材36に形成されたスリット36dが嵌り合う。
図10の上下方向(すなわち各接続部材の積層方向)のうち上方側を外周側、下方側を内周側と定義し、左右方向(すなわち各接続部材の長手方向)のうち左方側を一方端側、右方側を他方端側と定義したとき、部位H1,H2,H3のうち、部位H1は、長手方向において、第一超電導線群31Tが接続されている側(一方端側)に最も近い位置、すなわち図10において最も左側に設けられる。また、部位H3は、長手方向において第二超電導線群32Tが接続されている側(他方端側鋳)に最も近い位置、すなわち図10において最も右側に設けられる。部位H2は、長手方向において部位H1と部位H3との間に設けられる。
また、部位H1よりも一方端側に近い部分にて、各接続部材35,36,37の積層順は、外周側から内周側に向かって、第一接続部材35、中間接続部材36、第二接続部材37の順にされている。
また、部位H1にてスリット36cとスリット37cが嵌り合うことにより、中間接続部材36と第二接続部材37が交差する。これにより、中間接続部材36と第二接続部材37の積層順が入れ替えられる。よって、部位H1と部位H2の間の部分における接続部材35,36,37の積層順が、外周側から内周側に向かって、第一接続部材35、第二接続部材37、中間接続部材36の順にされる。
また、部位H2にてスリット35cとスリット37dが嵌り合うことにより、第一接続部材35と第二接続部材37が交差する。これにより、第一接続部材35と第二接続部材37の積層順が入れ替えられる。よって、部位H2と部位H3の間の部分における接続部材35,36,37の積層順が、外周側から内周側に向かって、第二接続部材37、第一接続部材35、中間接続部材36の順にされる。
そして、部位H3にてスリット35dとスリット36dが嵌り合うことにより、第一接続部材35と中間接続部材36が交差する。これにより、第一接続部材35と中間接続部材36の積層順が入れ替えられる。よって、部位H3よりも他方端側に近い部分にて、各接続部材35,36,37の積層順が、外周側から内周側に向かって、第二接続部材37、中間接続部材36、第一接続部材35の順にされる。
このように、第一接続部材35、中間接続部材36及び第二接続部材37が、それぞれに形成されているスリットの嵌め合わせにより交差することにより、各接続部材35,36,37の一方端側における各接続部材35,36,37の積層順と、各接続部材35,36,37の他方端側における各接続部材35,36,37の積層順が変化する。このため、第一超電導コイル部31内にて内周側に配設されている超電導線材(第一内周側超電導線材31in)を、第二超電導コイル部32内にて外周側に配設されている超電導線材(第二外周側超電導線材32out)に接続することができ、また、第一超電導コイル部31内にて外周側に配設されている超電導線材(第一外周側超電導線材31out)を、第二超電導コイル部32内にて内周側に配設されている超電導線材(第二内周側超電導線材32in)に接続することができる。つまり、超電導コイル3を構成する超電導線材が、各接続部材35,36,37を介して、転位する。
図11は、第一接続部材35、中間接続部材36、及び第二接続部材37を用いて、積層された3本の超電導線材(超電導線材A,B,C)が転位される様子を模式的に示す図である。ここで、積層された3本の超電導線材のうち、超電導線材Aは、第一超電導コイル部31に備えられる第一外周側超電導線材31outと、第二超電導コイル部32に備えられる第二内周側超電導線材32inと、第一外周側超電導線材31outと第二内周側超電導線材32inとを接続する第一接続部材35とを備える。また、超電導線材Bは、第一超電導コイル部31に備えられる第一中間超電導線材31midと、第二超電導コイル部32に備えられる第二中間超電導線材32midと、第一中間超電導線材31midと第二中間超電導線材32midとを接続する中間接続部材36とを備える。また、超電導線材Cは、第一超電導コイル部31に備えられる第一内周側超電導線材31inと、第二超電導コイル部32に備えられる第二外周側超電導線材32outと、第一内周側超電導線材31inと第二外周側超電導線材32outとを接続する第二接続部材37とを備える。
図11に示すように、第一超電導コイル部31内では内周側に配設されている超電導線材Cは、部位H1にて超電導線材Bと転位(B−C転位)されることによって、超電導線材Aと超電導線材Bとの間に配設され、さらに、部位H2にて超電導線材Aと転位(A−C転位)されることによって、外周側に配設される。従って、超電導線材Cは、第二超電導コイル部32内では外周側に配設される。また、第一超電導コイル部31内では外周側に配設されている超電導線材Aは、部位H2にて超電導線材Cと転位(A−C転位)されることによって、超電導線材Bと超電導線材Cとの間に配設され、さらに、部位H3にて超電導線材Bと転位(A−B転位)されることによって、内周側に配設される。従って、超電導線材Aは、第二超電導コイル部32内では内周側に配設される。また、第一超電導コイル部31内では超電導線材Aと超電導線材Cとの間に配設されている超電導線材Bは、部位H1にて超電導線材Cと転位(B−C転位)されることによって、内周側に配設され、さらに、部位H3にて超電導線材Aと転位(A−B転位)されることによって、再び、超電導線材Aと超電導線材Cとの間に配設される。従って、超電導線材Bは、第二超電導コイル部32内でも、超電導線材Aと超電導線材Cとの間に配設される。
このように、本実施形態においては、3本の超電導線材を用いて作製された超電導コイルにおいても、簡単な構成で、各超電導線材を転位させることができる。
(第三実施形態)
上記第一実施形態では、第一接続部材33及び第二接続部材34に、切欠き部としてのスリット(33c、34d)を形成する例を示したが、本実施形態では、第一接続部材33及び第二接続部材34にクランク状の切欠き部を形成する例について説明する。図12は、第三実施形態に係る第一接続部材33及び第二接続部材34を示す概略平面図である。図12に示すように、本実施形態に係る第一接続部材33及び第二接続部材34の略中央部分には、切欠き段差部33e,34eがそれぞれ形成されている。この切欠き段差部33e,34eは、それぞれ、接続部材33,34の長手方向に垂直な方向に沿って延設されている。第一接続部材33には、切欠き段差部33eを境として、幅の狭い部分と幅の広い部分が長手方向に沿って形成されている。同様に、第二接続部材34には、切欠き段差部34eを境として、幅の狭い部分と幅の広い部分が長手方向に沿って形成されている。つまり、第一接続部材33及び第二接続部材34には、クランク形状の切欠き部が形成されていることになる。また、本実施形態においては、第一接続部材33及び第二接続部材34が銅により構成されている。また、第一接続部材33及び第二接続部材34の厚さはともに1mmであり、容易に撓ませることができる。それ以外の構成は、上記第一実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
また、図12からわかるように、第一接続部材33に形成される切欠き段差部33eと第二接続部材34に形成される切欠き段差部34eが、対向するように、両接続部材33,34が重ね合わされる。そして、クランク形状の切欠き段差部33e,34eが嵌め合させられることにより、第一接続部材33及び第二接続部材34が係合される。このとき、第一接続部材33が第二接続部材34の切欠き段差部34eを乗り越え、且つ、第二接続部材34が第一接続部材33の切欠き段差部33eを乗り越えることにより、両接続部材33,34が交差する。斯かる交差により、第一接続部材33を含む超電導線材と第二接続部材34を含む超電導線材が転位される。
このように、クランク形状の切欠き部を接続部材に設けることによっても、簡単に、超電導線材を転位させることができる。
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態について説明する。本実施形態では、第二実施形態に示される第一接続部材35及び第二接続部材37にそれぞれ形成されているスリットの変形例について説明する。図13は、第四実施形態に係る第一接続部材35、中間接続部材36、及び第二接続部材37を示す概略平面図である。図13に示すように、第一接続部材35には、幅広の一つのスリット35eが形成されており、第二接続部材37にも、幅広の一つのスリット37eが形成されている。スリット35eは、一方の切欠き段差部35f及び他方の切欠き段差部35gを有し、スリット37eは、一方の切欠き段差部35f及び他方の切欠き段差部37gを有する。また、中間接続部材36には、上記第二実施形態と同様に、2つのスリット36c、36dが形成されている。スリット35eの一方の切欠き段差部35fが、第二実施形態におけるスリット35cの役割を果たし、他方の切欠き段差部35gが、第二実施形態におけるスリット35dの役割を果たす。スリット37eの一方の切欠き段差部37fが、第二実施形態におけるスリット37cの役割を果たし、他方の切欠き段差部37gが、第二実施形態におけるスリット37dの役割を果たす。
第一接続部材35に形成されている幅広のスリット35eは、一方の切欠き段差部35fにて、第二接続部材37に形成されている幅広のスリット37eに嵌め合わせられ、他方の切欠き段差部35gにて、中間接続部材36に形成されているスリット36dに嵌め合わせされる。また、第二接続部材37に形成されている幅広のスリット37eは、一方の切欠き段差部37fにて、中間接続部材36に形成されているスリット36cに嵌め合わせられ、他方の切欠き段差部37gにて、第一接続部材35に形成されている幅広のスリット35eに嵌め合わせられる。
このように、接続部材に幅広のスリットを形成し、そのスリットを構成する一方の切欠き段差部と他方の切欠き段差部とにそれぞれ別々の接続部材を嵌め合わせることで、スリットの形成箇所を減らすことができる。
(第五実施形態)
図14は、第五実施形態に係る第一接続部材35、中間接続部材36、及び第二接続部材37の平面図及び、これらの接続部材の転位の状態を示す図である。図14に示すように、本実施形態において、第一接続部材35には、上記第二実施形態と同様に、スリット35c及びスリット35dが形成されている。一方、中間接続部材36には、一つのスリット36hが形成され、第二接続部材37にも一つのスリット37hが形成される。中間接続部材36のスリット36hが第一接続部材35のスリット35cに嵌め合わせられる。これにより、第一接続部材35を含む超電導線材Aと中間接続部材36を含む超電導線材Bが転位される(A−B転位)。また、第二接続部材37のスリット37hが第一接続部材35のスリット35dに嵌め合わせられる。これにより、第一接続部材35を含む超電導線材Aと第二接続部材37を含む超電導線材Cが転位される(A−C転位)。
従って、図14に示すように、第一超電導コイル部31内において、超電導線材A,B,Cの積層順が、外周側から純にA,B,Cであるとき、上記したA−B転位及びA−C転位により、第二超電導コイル部32内において、積層順を、外周側から順に、B,C,Aにすることもできる。
(第六実施形態)
図15は、第六実施形態に係る複数の接続部材の平面図、及び、これらの接続部材の転位の状態を示す図である。図15に示すように、本実施形態では、4本の積層された超電導線材A,B,C,Dが転位される。超電導線材Aは、第一超電導線材A1と、第二超電導線材A2と、第一超電導線材A1と第二超電導線材A2とを接続する第一接続部材A3とを有する。超電導線材Bは、第一超電導線材B1と、第二超電導線材B2と、第一超電導線材B1と第二超電導線材B2とを接続する第二接続部材B3とを有する。超電導線材Cは、第一超電導線材C1と、第二超電導線材C2と、第一超電導線材C1と第二超電導線材C2とを接続する第三接続部材C3とを有する。超電導線材Dは、第一超電導線材D1と、第二超電導線材D2と、第一超電導線材D1と第二超電導線材D2とを接続する第四接続部材D3とを有する。
各第一超電導線材A1,B1,C1,D1及び各第二超電導線材A2,B2,C2,D2は、イットリウム系超電導材料により構成され、その幅は5mmである。また、各接続部材A3,B3,C3,D3は、イットリウム系超電導材料により構成され、その幅は12mmである。
各第一超電導線材A1,B1,C1,D1が積層された状態で巻回されることにより、第一超電導コイル部CO1が構成される。また、各第二超電導線材A2,B2,C2,D2が積層された状態で巻回されることにより、第二超電導コイル部CO2が構成される。そして、第一超電導コイル部CO1と第二超電導コイル部CO2が巻軸方向に沿って配設されることにより、ダブルパンケーキ型の超電導コイルが形成される。
接続部材A3は、その長手方向の異なる位置に形成された2つのスリットA4,A5を有し、接続部材B3は、その長手方向の異なる位置に形成された2つのスリットB4,B5を有し、接続部材C3は、その長手方向の異なる位置に形成された2つのスリットC4,C5を有し、接続部材D3は、その長手方向の異なる位置に形成された2つのスリットD4,D5を有する。
各接続部材に形成されたスリットが、他の接続部材に形成されたスリットに4箇所で嵌め合わせされることにより、各超電導線材が転位される。図15に示す例では、接続部材B3に形成されたスリットB4が接続部材C3に形成されたスリットC4に嵌め合わされ、接続部材A3に形成されたスリットA4が接続部材C3に形成されたスリットC5に嵌め合わされ、接続部材B3に形成されたスリットB5が接続部材D3に形成されたスリットD4に嵌め合わされ、接続部材A3に形成されたスリットA5が接続部材D3に形成されたスリットD5に嵌め合わされる。
このように各スリットが嵌め合わされることにより、4本の超電導線材A,B,C,Dが転位される。本実施形態では、第一超電導コイル部31内での超電導線材の積層順は、外周側から内周側にかけて、超電導線材A,B,C,Dの順であるが、第二超電導コイル部32内での超電導線材の積層順は、外周側から内周側にかけて、超電導線材C,D,A,Bの順である。このように、4本以上の超電導線材が積層されてなる超電導コイルにおいても、容易に複数の超電導線材を転位させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。
例えば、上記第一実施形態及び第三実施形態では、第一超電導コイル部31と第二超電導コイル部32との接続部分に接続部材を設け、この接続部材を利用して、各超電導コイル部31,32を構成する超電導線材を転位した例を示した。しかし、このような超電導線材の転位は、2つの超電導コイル部の接続部分に限らず、任意の位置にて行うことができる。例えば図16に示すように、積層された複数本(図16では2本)の超電導線材が巻回されてなる超電導コイルCOにおいて、積層された状態で巻回されている複数の超電導線材の任意の箇所(図16において箇所Z)にてそれぞれの超電導線材に切欠き部(例えばスリット)を形成し、形成した切欠き部どうしを嵌め合わせることにより、超電導コイルCOの内部で複数の超電導線材を転位させることもできる。
また、上記実施形態では、複数の接続部材にそれぞれ形成されたスリットどうしを嵌め合わせることによって、それらの接続部材に接続された超電導線材を転位した例を示したが、積層された超電導線材のうちの少なくとも一つにスリット等の切欠き部が形成されていればよい。
また、上記実施形態では、接続部材が、超電導材料或いは銅により形成される例を示したが、接続部材は、導電性を有する金属材料から構成されるのであればよい。また、接続部材は、超電導体及び導電性を有する材料を共に用いて構成されていてもよい。接続部材を金属のみにより構成した場合、接続部材の電気抵抗が大きいという問題が発生し、一方、接続部材を超電導体のみにより構成した場合、過剰な電流が接続部材に流れたときに超電導破壊(クエンチ)が発生する虞がある。これに対し、接続部材を構成する材料として、銅などの導電性金属と超電導体とを併用することで、上記した欠点を補うことができる。すなわち、通常時(適正な電流が流れている状態であるとき)は超電導体により構成されている部分に電流が流れることによって、接続部材の電気抵抗を小さくすることができる。また、過剰な電流が流れたときには余剰の電流が金属により構成されている部分に流れる。このため超電導体により構成されている部分の超電導破壊を防止することができる。
また、図17に示すように、超電導線材(或いは接続部材)に形成されるに切欠き部(例えばスリット)が、長手方向に沿って隙間を隔てて配設された2本の超電導線材E1,E2のそれぞれの対面する端部を、2本の超電導線材E1,E2の幅よりも狭い幅を有する導体Fで接続することにより、形成されていてもよい。これによれば、簡単に、超電導線材(接続部材)に切欠き部を形成することができる。
また、超電導線材(或いは接続部材)のうち切欠き部(例えばスリット等)が形成されている部分に、補助の導体を接続させてもよい。これによれば、切欠き部が形成された部分における電流の流路断面積が減少することに起因した電流量の減少を防止することがきる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…超電導回転電機ステータ、2…ステータコア、2a…バックヨーク、2b…ティース、2c…スロット、3…超電導コイル、3a…第一直線部、3b…第二直線部、3c…第一円弧部、3d…第二円弧部、31…第一超電導コイル部、31T…第一超電導線群、31in…第一内周側超電導線材、31mid…第一中間超電導線材、31out…第一外周側超電導線材、32…第二超電導コイル部、32T…第二超電導線群、32in…第二内周側超電導線材、32mid…第二中間超電導線材、32out…第二外周側超電導線材、33…第一接続部材、33a…外面、33b…内面、33c…第一スリット(切欠き部)、33e…段差部(切欠き部)、34…第二接続部材、34a…外面、34b…内面、34c…第二スリット(切欠き部)、34e…段差部(切欠き部)、35…第一接続部材、35a…外面、35b…内面、35c…スリット(切欠き部)、35d…スリット(切欠き部)、35e…スリット(切欠き部)、35f,35g…段差部(切欠き部)、36…中間接続部材、36a…外面、36b…内面、36c…スリット(切欠き部)、36d…スリット(切欠き部)、36h…スリット(切欠き部)、37…第二接続部材、37a…外面、37b…内面、37c…スリット(切欠き部)、37d…スリット(切欠き部)、37e…スリット(切欠き部)、37f,37g…段差部(切欠き部)、37h…スリット(切欠き部)、A,B,C,D…超電導線材、A1,B1,C1,D1…第一超電導線材、A2,B2,C2,D2…第二超電導線材、A3…第一接続部材、A4,A5…スリット(切欠き部)、B3…第二接続部材、B4,B5…スリット(切欠き部)、C3…第三接続部材、C4,C5…スリット(切欠き部)、D3…第四接続部材、D4,D5…スリット(切欠き部)、G1…隙間、G2…隙間、T…テープ面

Claims (9)

  1. 積層された複数のテープ状の超電導線材を巻回することにより構成される超電導コイルであって、
    複数の前記超電導線材のうちの少なくとも一つの超電導線材に、長手方向に垂直な方向成分を含む方向に沿って切りかかれた切欠き部が形成されており、
    前記切欠き部が形成された超電導線材に積層方向に隣接する超電導線材が、前記切欠き部を乗り越えることにより、前記切欠き部にて、前記切欠き部が形成された超電導線材とその超電導線材に隣接する超電導線材が、交差され
    前記切欠き部は、長手方向に沿って隙間を隔てて配設された2本の超電導線材のそれぞれの対面する端部を、前記2本の超電導線材の幅よりも狭い幅を有する導体で接続することにより、形成されている、超電導コイル。
  2. 積層された複数のテープ状の超電導線材を巻回することにより構成される超電導コイルであって、
    複数の前記超電導線材のうちの少なくとも一つの超電導線材に、長手方向に垂直な方向成分を含む方向に沿って切りかかれた切欠き部が形成されており
    前記切欠き部が形成された超電導線材に積層方向に隣接する超電導線材が、前記切欠き部を乗り越えることにより、前記切欠き部にて、前記切欠き部が形成された超電導線材とその超電導線材に隣接する超電導線材が、交差され、
    前記切欠き部が形成された超電導線材には、前記切欠き部が形成されることにより幅が狭められている部分に、補助の導体が接続されている、超電導コイル。
  3. 超電導材料により構成された複数の第一超電導線材が積層された状態で巻回されることにより構成される第一超電導コイル部と、
    超電導材料により構成された複数の第二超電導線材が積層された状態で巻回されることにより構成される第二超電導コイル部と、
    前記第一超電導コイル部を構成するそれぞれの前記第一超電導線材の内周端部と、前記第二超電導コイル部を構成するそれぞれの前記第二超電導線材の内周端部とを、それぞれ接続する、複数の接続部材と、を備え、
    前記第一超電導コイル部と前記第二超電導コイル部は、巻軸方向に沿って重ねられるように配置され、
    複数の前記接続部材は、前記第一超電導コイル部及び前記第二超電導コイル部の内周にて積層配置され、
    積層配置されている複数の前記接続部材の少なくとも一つに切欠き部が形成されており、
    前記切欠き部が形成された前記接続部材に積層方向に隣接する接続部材が前記切欠き部を乗り越えることにより、前記切欠き部にて、前記切欠き部が形成された接続部材とその接続部材に隣接する接続部材が、交差されている、超電導コイル。
  4. 請求項に記載の超電導コイルにおいて、
    前記切欠き部の形状が、クランク形状である、超電導コイル。
  5. 請求項3又は4に記載の超電導コイルにおいて、
    前記接続部材が、導電性の金属により構成される、超電導コイル。
  6. 請求項3又は4に記載の超電導コイルにおいて、
    前記接続部材が、超電導体により構成される、超電導コイル。
  7. 請求項3又は4に記載の超電導コイルにおいて、
    前記接続部材が、導電性の金属により構成される部分と、超電導体により構成される部分とを有する、超電導コイル。
  8. 請求項3乃至7のいずれか1項に記載の超電導コイルにおいて、
    前記超電導コイルが、対向配置する第一直線部及び第二直線部と、前記第一直線部の一方の端部と前記第二直線部の一方の端部とを接続する第1円弧部と、前記第一直線部の他方の端部と前記第二直線部の他方の端部とを接続する第2円弧部と、を有するレーストラック形状を呈し、
    前記接続部材は、前記第一超電導線材が接続されている部分が前記第一直線部に設けられ、前記第二超電導線材が接続されている部分が前記第二直線部に設けられ、前記切欠き部が形成されている部分が前記第一円弧部に設けられるように、構成されている。超電導コイル。
  9. ティースを有するステータコアと、
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超電導コイルとを備え、
    前記超電導コイルが前記ティースに巻回されてなる、超電導回転電機ステータ。
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