JP2011088799A - 半導体装置の製造方法およびレーザー加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 比較的簡単な構成でレーザー光の加工時によって発生する加工くずが表面に付着することを防止するレーザー加工装置を提供する。
【解決手段】 透明基板に形成された薄膜を加工するレーザー加工装置であって、前記透明基板を保持する保持部と、前記透明基板の上面側からレーザー光を照射するレーザー光学系と、前記透明基板の下面側から前記レーザー光の照射領域に液体を吹き付けるノズルと、を備えた。下面側から液体を吹き付けるので、液体の除去が容易となり、液中に取り込まれた加工くずが薄膜表面に付着しにくい。
【選択図】 図3
【解決手段】 透明基板に形成された薄膜を加工するレーザー加工装置であって、前記透明基板を保持する保持部と、前記透明基板の上面側からレーザー光を照射するレーザー光学系と、前記透明基板の下面側から前記レーザー光の照射領域に液体を吹き付けるノズルと、を備えた。下面側から液体を吹き付けるので、液体の除去が容易となり、液中に取り込まれた加工くずが薄膜表面に付着しにくい。
【選択図】 図3
Description
本発明は、薄膜太陽電池などの半導体装置の製造方法および、その製造過程で使用されるレーザー加工装置に関するものである。
半導体装置として、半導体材料からなる光電変換層を有する薄膜太陽電池が知られている。薄膜太陽電池は例えばガラス材料からなる基板上に、第1導電層、光電変換層、第2導電層が順に積層されて、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置である。太陽光を吸収し、電池としての役割を担うのは、光電変換層である。以下にそれらの層構成や太陽電池構造について簡単に説明する。
光電変換層の半導体材料としては、シリコンを主成分とするものが一般的に用いられており、アモルファスシリコンや微結晶シリコン、シリコンとゲルマニウムの混合材料などがある。これらの材料は、太陽光の波長によって、光の吸収率が異なることが知られている。短波長側はアモルファスシリコン、長波長側は微結晶シリコンの吸収係数が高く、その中間領域は、シリコン−ゲルマニウム混合材料が適している。光電変換層は、アモルファスシリコン単層構造もしくは、それに微結晶シリコンを積層した2層タンデム構造が、一般的である。これらのシリコン膜の光電変換層は、たとえばSiH4ガスなどシリコンを含む原料ガスを用いて、プラズマCVD法などで形成することができる。その他の半導体材料としては、I−III−VI族化合物などの化合物半導体材料も用いられている。
光電変換層が変換した電力を取り出すために、光電変換層を挟む構造で第1導電層と第2導電層として電極が形成される。第1導電層と第2導電層とのうち、太陽光が入射する側にある電極は、透明性を有する透明導電膜材料などからなる電極となる。一方、第1導電層と第2導電層とのうち、太陽光が入射する側と反対に形成される裏面電極は入射光を光電変換層側に反射させる高反射率の金属材料などが用いられる。
屋外に設置する太陽電池では、その基板材料としてガラスが用いられることが多い。ガラス基板を太陽光入射側にして、薄膜太陽電池は裏面側とする、スーパーストレート構造もよく使用される。その場合、ガラス基板上には透明導電膜材料などからなる第1導電層、半導体材料からなる光電変換層、金属材料からなる第2導電層が順に積層された構造が一般的である。
このような薄膜太陽電池では、基板上の全面に形成された光電変換層を分離するために溝などを形成し、複数の単位セルごとに分割した集積型構造が用いられる。集積型構造において、光電変換層や電極を分割する溝は、分離したい部分にレーザービームを照射し、その熱作用で照射領域の光電変換層や電極を除去させるレーザースクライブ法などを用いて形成される。集積型構造では、ある単位セルの第1導電層とその隣の単位セルの第2導電層とが電気的に直列接続させる構造が一般的である。溝で分離された隣り合う単位セルの接続は、第1導電層(透明導電層)と第2導電層(裏面電極層)との接続で維持され、光電変換層に形成された溝間を通じて行われる。
そのようなレーザースクライブ法によって薄膜太陽電池を製造する手順はたとえば特許文献1に示されている。ガラス基板に透明導電層を堆積後、レーザースクライブ法で透明電極分離溝を形成し、その上に半導体からなる光電変換層を堆積後、その光電変換層にレーザースクライブ法で接続用開口溝を形成する。さらにその上に裏面電極層を形成した後、ガラス基板側からレーザービームを照射するレーザースクライブ法により、光電変換層と裏面電極層とをともに吹き飛ばして裏面電極分離溝を形成する。光電変換層が結晶質シリコン系材料の場合は、裏面電極分離溝内にできる熱影響部によって変換効率が低下する。そこで水酸化ナトリウム水溶液などで裏面電極分離溝内の熱影響部をエッチング除去する。
また、レーザービームによる加工では除去された材料の加工くずが被加工物表面に付着して問題を生じることがある。特許文献2にはSi基板にレーザー光によりダイシング溝を加工する方法が示されている。水平に保持したSi基板の上面に液体を供給しながらレーザー光を照射して溝を形成する。Si基板の一方から液体は供給して他方から吸引する。この液体によって加工くずが被加工物表面に付着することを防止する。
屋外に設置する太陽電池では一辺が1mを超える大型の基板が使用される。このようなエッチングを大型基板に対してレーザー加工部分にできる熱影響部を除去するために特許文献1のエッチングを行うには、大型のエッチング装置が必要となる。また、分離溝以外の部分もエッチングされてしまう問題がある。また、特許文献2のように液体を供給しながらレーザー光を照射する方法では加工くずの付着を抑制できるが、供給後の液体を全て吸引することは難しく、残った液体に残留した加工くずが表面に再付着してしまう恐れがある。
そこで本発明では、比較的簡単な構成でレーザー光の加工時によって発生する加工くずが表面に付着することを防止するレーザー加工装置を提供することを目的とする。また、透明基板に形成された薄膜をレーザー光で加工する工程を含む半導体装置の製造方法において、表面に加工くずが付着することを防止して、高品質な半導体装置を実現することを目的とする。
本発明のレーザー加工装置は、透明基板に形成された薄膜を加工するレーザー加工装置であって、前記透明基板を保持する保持部と、前記透明基板の上面側からレーザー光を照射するレーザー光学系と、前記透明基板の下面側から前記レーザー光の照射位置に液体を吹き付けるノズルと、を備えたレーザー加工装置とした。
また、本発明の半導体装置の製造方法は、透明基板に形成された薄膜をレーザー光で加工する工程を含む半導体装置の製造方法であって、前記加工する工程は、前記薄膜が形成された一方の面を下面として前記透明基板を保持した状態で、前記透明基板の上面側から入射したレーザー光を前記薄膜に照射して照射領域の前記薄膜を除去するとともに、前記透明基板の下面側から前記照射領域に向けて液体を吹き付けることを特徴とする半導体装置の製造方法とした。
本発明のレーザー加工装置は、下面側からレーザー光の照射位置に液体を吹き付けるノズルを備えたことにより、簡単な構成でレーザー光の加工時によって発生する加工くずが表面に付着することを防止することができる。
本発明の半導体装置の製造方法は、下面側から前記照射領域に向けて液体を吹き付けることにより、レーザー光の照射時に照射位置に液体を供給するので、簡単な構成でレーザー光の加工時によって発生する加工くずが表面に付着することを防止でき、高品質な半導体装置を実現することができる。
<実施の形態1.>
図1は本実施の形態1のレーザー加工装置の構成を説明する斜視図である。本実施の形態1のレーザー加工装置は透明基板に形成された薄膜の加工に適したレーザー加工装置である。透明基板を保持する保持部3と、保持部3に保持された透明基板の上面側からレーザー光5を照射するレーザー光学系4と、保持部3に保持された透明基板の下面側から前記レーザー光の照射領域に液体を吹き付けるノズル11とを備えている。保持部3には加工する薄膜が下面となるように透明基板が保持される。なお、図は矩形の基板の加工に用いる装置の場であり、保持部3は枠状であって基板周辺部を保持する。保持部3の形状は種々に変更可能である。
図1は本実施の形態1のレーザー加工装置の構成を説明する斜視図である。本実施の形態1のレーザー加工装置は透明基板に形成された薄膜の加工に適したレーザー加工装置である。透明基板を保持する保持部3と、保持部3に保持された透明基板の上面側からレーザー光5を照射するレーザー光学系4と、保持部3に保持された透明基板の下面側から前記レーザー光の照射領域に液体を吹き付けるノズル11とを備えている。保持部3には加工する薄膜が下面となるように透明基板が保持される。なお、図は矩形の基板の加工に用いる装置の場であり、保持部3は枠状であって基板周辺部を保持する。保持部3の形状は種々に変更可能である。
レーザー光学系4は保持部3の上方に設置されている。レーザー光学系4は図には示さないがレーザー光源とレンズなどの光学部品などで構成される。レーザー光源は別の位置に設置され、その光源を光ファイバーやミラーなどで保持部3の上まで導く構成としてもよい。レーザー光源からの光は透明基板の上側から入射して、下面側の膜に照射される。下面側の膜での加工サイズに合わせてレンズ、絞りなどで適当なサイズ、形状に調整される。図のようにレーザー光5を集光して照射する場合は、下面側の膜とレーザー光学系4との間隔が一定する機構を備えることが望ましい。
レーザー光源としては、連続的に光を照射するたとえばアルゴンガスレーザー等であってもよいが、短時間のパルスを繰り返し照射するYAGレーザーやエキシマレーザー等が半導体装置の膜加工に適している。レーザー光源の波長は加工される膜の性質によって適宜選択される。たとえばシリコンを主成分とする半導体膜を加工する際には、可視光の波長での吸収が大きい波長532nmのYAGの2倍波レーザーが適している。また、透明導電膜などは近赤外での吸収が大きい波長1064nmのYAGの基本波レーザーが適している。これらのレーザーを用いた場合、パルスでレーザー光を照射して、レーザー光のエネルギーにより照射位置の膜を蒸発除去して、穴をあける加工が行える。また、パルスでレーザー光の照射を繰り返しながら照射位置を透明基板の面内で移動すると、加工穴が連続して溝を形成することができる。
透明基板の面内のXY方向の任意の位置に対してレーザー光5を照射することが可能となるように、保持部3とレーザー光学系4とを相対的に移動する走査機構を備える。たとえば図で示したように保持部3はレール22とローラー23の上に載せられてX方向に移動可能とした。アーム21が保持部3に取り付けられて、このアーム21が駆動機構20によりX方向に移動されて、保持部3が直線移動する。一方、レーザー光学系4はアーム28によってY方向に移動可能とされている。なお、本実施の形態1では走査機構がレール22、ローラー23、アーム21、駆動機構20、アーム28などで構成されるが、他の構成であってもよい。また、レーザー光学系4を固定として保持部3をXY方向に移動可能な構成としてもよいし、保持部3を固定してレーザー光学系4をXY方向に移動可能な構成としてもよい。
ノズル11には液体を供給するポンプ10が接続される。保持部3の下部には液体を吹き付けた後の液体を受けるための水受け6が設置される。また本実施の形態1では、水受け6内の液体をポンプ10で循環して使用する。水受け6からポンプ10への液体の経路の途中には液体中の微粒子を捕集するフィルタ9が設置されている。このような循環する構成としたのでレーザー加工装置の下部にコンパクトに収めることができる。なお外部からノズル11に常に新しい液体が供給されて、水受け6の液体を排出する構成にしてもよい。その場合にはフィルタ9は不要である。なお微粒子を捕集するフィルタ9として遠心分離や電界等を利用した微粒子捕集装置を用いてもよい。
ノズル11から供給する液体はレーザー光5の照射位置に供給される。アーム28はレーザー光学系4の移動にあわせてノズル11もY方向に移動する。ポンプ10とノズル11との間はフレキシブルな液体チューブ15で接続される。なお、レーザー光学系4を固定で保持部3がXY方向に移動する構成とすると、ノズル11も固定でよく、アーム28は不要となり、液体チューブ15もフレキシブルである必要はない。
図2は本実施の形態1のレーザー加工装置による加工例を示す斜視図である。また、図3は本実施の形態1のレーザー加工装置による加工例を示す断面図である。図3において水受け6やノズル11は、これらを取り囲むカバー7内に設置されて、使用する液体8が装置外部に飛散することを防止している。
図2では透明基板を矢印の方向に基板を移動しながら、透明基板1の下面1bに付着する薄膜2にレーザー光Lを集光して照射し、互いに連続した穴からなる溝19を薄膜2に形成する加工の様子を示している。このような溝加工はレーザースクライブ加工として知られている。レーザー光Lの照射領域30では薄膜2が非常に高温となって下面1bから剥離するので穴が形成される。
このとき、剥離した薄膜2の物質は照射領域30に液体8を供給しない場合には微粒子となって放散し、その一部が薄膜2表面や溝19内に付着して問題となる。本実施の形態1では図3のように基板の下面側から液体8を照射領域30に吹き付けているので、剥離した薄膜2の物質は液体8内に取り込まれ、その後、図3のように液体8は重力によって基板の下の水受け6内に落下する。
供給される液体8は照射領域30を覆うようにされる。液体8が下面1b側を覆う領域は照射領域30を含んで照射領域30よりも大きい。たとえば照射領域30の径が数10ミクロンである場合に、液体8が下面1b側を覆う領域のサイズを数mm〜数cmの内径の円や楕円状としてもよい。そのサイズはノズル11から吹き付ける液体の流量、圧力やノズル11の位置や形状によって調整可能である。
液体8は例えば純水であり、この純水を高圧状態、または超音波振動(メガソニック)により微粒子化した状態、もしくは空気と混合され微粒子化した2流体の状態で噴射されるようにしてもよい。あるいは、これらを組み合わせた構成、構造でも良い。これらの場合でも照射領域30の下面1b側を液膜が覆っていることが望ましい。
供給された液体8は重力により速やかに落下するので、液体8中の加工くずが表面に再付着することも減少させることができる。液体8を除去するのに重力を利用するので構成が非常に簡単である。照射領域30周辺が高温となって加工部周辺が熱で劣化することも防止できる。
また、透明基板の上面側からレーザー光5を照射して下面1b側の薄膜2を加工し、その照射領域30に液体8が供給されるので、膜表面側からレーザー光5を照射して、その膜表面側から液体8を供給する加工と比べて、レーザー光学系4からのレーザー光5が薄膜に到達する経路に液体8がない。このため、レーザー光5が液体8によって散乱されることがなく、高精度の加工が簡単である。
照射領域30に吹き付ける液体8はどの方向から吹き付けても効果を有するが、基板を移動しながら溝加工する際には図3に示したように、走査後方側から斜めに液体8を吹き付けるようにするとよい。溝19内にはノズル11から加工くずを含まない液体8が吹き付けられ、照射領域30で加工くずを含有した液体8は、加工済みの走査後方側からまだ加工されていない前方側に向かって薄膜2の表面を流れ、その後に下に落下する。このため、溝19内やその周辺の薄膜2表面には加工くずがほとんど付着しなくなる。また、その反対側の薄膜2表面に液中の加工くずが微量付着しても、その後に薄膜2が加工される際に除去される。なお、図1や図3のレーザー加工装置はこのような溝加工を行うのに適するように、ノズル11の液体8を噴出する先端は照射領域30に向かって斜め上方に向けて設置される。
また、このような液体8を噴出するノズル11は照射領域30に対して複数設置して、複数方向から供給してもよいし、照射領域30を周囲から取り囲む先端形状を有するノズル11から供給してもよい。また、基板を往復走査させながら往復時に溝加工を行う場合には、往復それぞれのノズル11を備えて、往方向と復方向とで液体8を供給するノズル11を切り替えるようにするとよい。
以上のように実施の形態1のレーザー加工装置は透明基板に形成された薄膜を加工するレーザー加工装置であって、透明基板を保持する保持部3と、保持部3に保持された透明基板の上面側からレーザー光5を照射するレーザー光学系4と、保持部3に保持された透明基板の下面側からレーザー光の照射領域30に液体8を吹き付けるノズル11と、を備えている。これにより、簡単な構成でレーザー光の加工時によって発生する加工くずが表面に付着することを防止することができる。さらに付着した場合においても即座に取り除くことができる。
また、レーザー光学系4と保持部3とを相対的に移動する走査機構を備え、ノズル11が走査後方側から照射領域に液体8を吹き付けるノズル11であるので、溝などの加工後の表面に加工くずが付着することをさらに防止できる。
また、供給する液体8に超音波振動を付与したり、空気を混合して2流体にしたりすると、液中の加工くずが表面に付着することに効果がある。
<実施の形態2.>
次に、このレーザー加工装置を用いた半導体装置の製造方法として薄膜太陽電池の製造について説明する。なお、半導体装置として薄膜シリコントランジスタ等にも応用可能である。
次に、このレーザー加工装置を用いた半導体装置の製造方法として薄膜太陽電池の製造について説明する。なお、半導体装置として薄膜シリコントランジスタ等にも応用可能である。
まず薄膜太陽電池の構造について概略を説明する。図5は本実施の形態2の半導体装置の製造方法で作製される薄膜太陽電池の全体を示す斜視図である。図5のように薄膜太陽電池100は、透光性絶縁基板51上に形成された短冊状(矩形状)の単位セル50を複数備え、これらの単位セル50が電気的に直列に接続された構造を有する。単位セル50は、図5に示すように透光性絶縁基板51と、透光性絶縁基板51上に形成され第1電極層となる透明電極層52と、透明電極層52上に形成される薄膜半導体層である光電変換層54と、光電変換層54上に形成され第2電極層となる裏面電極層56と、が順次積層された構造を有する。
透光性絶縁基板51上に形成された透明電極層52には、矩形の透光性絶縁基板51の一方の辺と略平行な方向に延在するとともに透光性絶縁基板51に達するストライプ状の第1の溝71が形成されている。この第1の溝71の部分に光電変換層54が埋め込まれることで、透明電極層52が隣接する単位セル50に跨るようにセル毎に分離されて形成されている。
また、透明電極層52上に形成された光電変換層54には、第1の溝71と異なる箇所において透光性絶縁基板51の一方の辺と略平行な方向に延在するとともに透明電極層52に達するストライプ状の第2の溝(接続溝)91が形成されている。この第2の溝(接続溝)91の部分に裏面電極層96が埋め込まれることで、裏面電極層56が透明電極層52に接続される。そして、該透明電極層52が隣接する単位セル50に跨っているため、隣り合う2つのセルの一方の裏面電極層56と他方の透明電極層52とが電気的に接続されている。
また、裏面電極層56および光電変換層54には、第1の溝71および第2の溝(接続溝)91とは異なる箇所で、透明電極層52に達するストライプ状の第1の溝92が形成されて、各単位セル50が分離されている。このように、単位セル50の透明電極層52が、隣接する単位セル50の裏面電極層56と接続することによって、隣接する単位セル50が電気的に直列接続している。
次にこの薄膜太陽電池100の製造手順について説明する。図4は本実施の形態2の半導体装置の製造方法で作製される薄膜太陽電池の製造プロセスを示した断面図であり、特に隣接する単位セル間付近を拡大した図である。
まず、透光性絶縁基板51を用意する。ここでは、透光性絶縁基板51として平板状の白板ガラスを用いる。この透光性絶縁基板51の一面側に透明電極層52として透明導電膜であるZnO膜をスパッタリング法により形成する(図4(a))。また、透明導電膜を構成する材料として、ZnO膜の他にITO、SnO2などの透明導電性酸化膜や、導電率向上のためにこれらの透明導電性酸化膜にAlなどの金属を添加した膜を用いることができる。また、成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。成膜条件の調整や、成膜後の酸によるエッチング等の方法で透明電極層52の表面を粗面化してもよい。
次に、透明電極膜の一部を透光性絶縁基板51の一辺と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して、短冊状にパターニングし、複数の透明電極層52に分離する(図4(b))。透明電極層52のパターニングは、レーザースクライブ法により、透光性絶縁基板51の一辺と略平行な方向に延在して透光性絶縁基板51に達するストライプ状の第1の溝71を形成することで行う。
ここでのレーザースクライブ法は、図1に示したレーザー加工装置に、透明電極層52が下面側となるように透光性絶縁基板51を設置の後に、上面側からレーザー光L1を入射して透明電極層52を加工する。レーザー光L1として波長1064nmのYAG基本波レーザー光を使用するとよい。上で述べたようにレーザー光L1をパルス状に照射しながら透光性絶縁基板51を移動することで、穴がつながって溝が形成される。レーザー光L1をパルス状に照射する際に、下面側から照射領域に液体として水を吹きつける。水を吹きつけながらレーザー加工するので、形成される第1の溝71内や、透明電極層52の上に加工くずが付着しにくい。
なお、このようにガラス基板2上に基板面内で互いに分離された複数の透明電極層52を得る工程は、必ずしもレーザースクライブ法によって行われずともよく、写真製版などで形成したレジストマスクを用いてエッチングする方法や、メタルマスクを用いた蒸着法などの方法でも可能である。
次に、第1の溝71を含む透明電極層52上に半導体材料からなる光電変換層54をプラズマCVD法により形成する(図4(c))。光電変換層54として、透明電極層52側からp型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、i型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層、n型の水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)層を順次積層形成する。光電変換層54として非晶質シリコンを用いてもよく、また異なる半導体材料からなる複数の光電変換層を積層した構造を有していてもよい。
次に、このようにして積層形成された光電変換層54に、上で述べた透明電極層52と同様にレーザースクライブによってパターニングを施す(図4(d))。すなわち、光電変換層54の一部を透光性絶縁基板51の一辺と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して、光電変換層54を短冊状にパターニングし、分離する。光電変換層54のパターニングは、レーザースクライブ法により、第1の溝71と異なる箇所に、透光性絶縁基板51の一辺と略平行な方向に延在して透明電極層52に達するストライプ状の第2の溝(接続溝)91を形成することで行う。
ここでのレーザースクライブ法は、図1に示したレーザー加工装置に、光電変換層54が下面側となるように透光性絶縁基板51を設置の後に、上面側からレーザー光L2を入射して光電変換層54を加工する。レーザー光L2は加工する膜面と反対側の基板面から入射する。レーザー光L2として波長532nmのYAGの2倍波レーザー光を使用するとよい。この波長の光は透明電極層52での吸収が小さく、光電変換層54での吸収が大きいので、透明電極層52を残したまま光電変換層54のみを加工できる。上で述べたようにレーザー光L2をパルス状に照射しながら透光性絶縁基板51を走査することで、穴がつながって溝が形成される。レーザー光L2をパルス状に照射する際に、下面側から照射領域に液体として水を吹きつける。水を吹きつけながらレーザー加工するので、形成される第2の溝91内や、光電変換層54の上に加工くずが付着しにくい。また、第2の溝91内に加工くずがほとんど付着しないので、レーザースクライブ法で一般に行われていた加工後の洗浄工程を省くこともできる。
なお、透明電極層52を残したまま光電変換層54のみを除去する加工条件は膜の構成で異なるが、例えば光電変換層がSi系の厚さ3μm程度の膜である場合には、波長532nmのYAG2倍波レーザーを用い、繰り返し周波数20kHz、照射領域におけるレーザーパターン径50μm、照射パワー0.2W、ビームの送り速度800mm/秒などの条件で膜除去が可能である。これは一例であって光電変換層や裏面電極層の厚みや材料により適切な条件を選べばよい。
また、レーザー光L2の照射領域に吹き付ける液体として水が最も扱いやすいが、水に限らず他の液体としてもよい。液体中に室温〜150℃程度で揮発可能な物質が混入されていてもよい。たとえばシリコンの加工に対してはシリコンを酸化する作用のある過酸化水素やオゾンを含有する水とするとよい。その場合、加工によって発生するシリコンの微粒子の加工くずが酸化されて、第2の溝91内や、光電変換層54の上により付着しにくくなり、また付着しても酸化された粒子であれば電気的な問題を生じにくい。また、図1のように液体を循環して使用する場合は、吹き付ける水中に電気的な問題を生じる可能性がある導電性のシリコン微粒子が混入しづらくなるので特に有効である。さらに、薄膜太陽電池の場合、加工溝内面のシリコン表面が酸化されると、次工程で形成される裏面電極層56と光電変換層54との接触が防止できるのでリークを減少させることができる。
次に、光電変換層54上および第2の溝(接続溝)91内に裏面電極層56として光電変換層54上に例えば銀(Ag)をスパッタリング法により成膜する(図4(e))。このとき、第2の溝91内を銀(Ag)などの金属層が満たすような条件で金属層を形成する。また、金属層の成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。図には示さないが、裏面電極層56である銀(Ag)などの金属層と光電変換層54との間にZnO膜などの透明電極層を挟んでもよい。なお、透明電極層を挟む場合は第2の溝91を形成する前に光電変換層54上に形成しておいてもよい。
次に、裏面電極層56および光電変換層54の一部を透光性絶縁基板51の一辺と略平行な方向のストライプ状に切断・除去して短冊状にパターニングして複数の単位セル50に分離する(図4(f))。パターニングは、レーザースクライブ法により、第1の溝71および第2の溝(接続溝)91とは異なる箇所に、それらの溝と略平行な方向に延在して透明電極層52に達するストライプ状の第3の溝(分離溝)92を形成することで行う。なお、反射率の高い裏面電極層56にレーザーを直接吸収させるのは困難なので、光電変換層54にレーザー光エネルギーを吸収させて、光電変換層54とともに裏面電極層56を局所的に吹き飛ばすことによって複数の単位セル50に対応させて分離される。これにより図4(f)において隣り合う単位セル50はUC1とUC2に分けられる。UC1とUC2との間は第1の溝71、第2の溝(接続溝)91、第3の溝(分離溝)92からなる領域CAとなる。領域CAはUC1とUC2とを分離および接続する領域である。光電変換は主としてUC1やUC2の領域で行われ、領域CAはほとんど発電に寄与しないので、電気的に良好な分離と接続が実現できれば、領域CAの幅をUC1やUC2に対してなるべく狭くすることが望ましい。
ここでのレーザースクライブ法も上の第2の溝(接続溝)91を形成した工程と同様に、図1に示したレーザー加工装置に、光電変換層54と裏面電極層56とが下面側となるように透光性絶縁基板51を設置の後に、上面側からレーザー光L3を入射して光電変換層54とともに裏面電極層56を加工する。レーザー光L3として波長532nmのYAGの2倍波レーザー光を使用するとよい。この波長の光は透明電極層52での吸収が小さく、光電変換層54での吸収が大きいので、透明電極層52を残したまま光電変換層54のみを加工できる。上で述べたようにレーザー光L2をパルス状に照射しながら透光性絶縁基板51を移動することで、穴がつながって溝が形成される。加工条件は、上で述べた光電変換層54の加工条件と同様としてもよいし、積層膜が増した分、レーザー光の出力を増してもよい。レーザー光L3をパルス状に照射する際に、下面側から照射領域に液体として水を吹きつける。水を吹きつけながらレーザー加工するので、形成される第3の溝92内や、裏面電極層56の上に加工くずが付着しにくい。また、第3の溝92内に加工くずがほとんど付着しないので、レーザースクライブ法で一般に行われていた加工後の洗浄工程を省くこともできる。
また、レーザー光L3の照射領域に吹き付ける液体として水が最も扱いやすいが、水に限らず他の液体としてもよい。たとえばシリコンに対して酸化作用のある過酸化水素やオゾンを含有する水であってもよい。加工によって発生するシリコンの微粒子の加工くずが酸化されて、第3の溝92内や、光電変換層54の上により付着しにくくなり、また付着しても酸化された粒子であれば電気的な問題を生じにくい。また、図1のように液体を循環して使用する場合は、吹き付ける水中に電気的な問題を生じる可能性がある導電性のシリコン微粒子が混入しづらくなるので特に有効である。さらに、薄膜太陽電池の場合、加工溝内面のシリコン表面が酸化されると、後の工程で導電性物質が付着するなどによるリークも防止できる。
図には示さないが、この後さらに、基板周辺部の膜を除去するエッジデリーション工程がおこなわれる。これは基板周辺部の電気的な絶縁性を確保するための工程である。この工程では基板の縁から、少なくとも一定の幅以上の導電性の膜が基板全周にわたって剥離される。また、ここでは透明電極層52、光電変換層54、裏面電極層56が全て除去される。機械的に剥離することも可能であるが、実施の形態1と同様のレーザー加工装置で加工することができる。基板側の透明電極層52がSnO2系の材料であって、光電変換層54と裏面電極層56の材料と構造が上で述べたレーザースクライブの場合と同じ構成の場合には、たとえばその加工条件を、レーザー光の波長1064nm(YAG基本波)、照射領域におけるレーザーパターン600μm角、照射パワー136W、ビーム送り速度1500mm/秒などとすると、全ての膜除去が可能である。本条件も加工条件の一例であり各電極層や光電変換層の厚みや材料により、適切な条件を選べばよい。
以上のような工程を経て図5に示される薄膜太陽電池100が完成する。さらに、直列に接続された両端の単位セルの電極に配線を接続し、薄膜太陽電池100の膜表面をバックシートなどの保護材で覆い、そのバックシートの一部から配線を外部に取出すことで薄膜太陽電池モジュールとなる。
以上のように、透明基板に形成された薄膜をレーザー光で加工する工程を含む半導体装置の製造方法であって、レーザー光で加工する工程は、薄膜が形成された一方の面を下面として透明基板を保持した状態で、透明基板の上面側から入射したレーザー光を薄膜に照射して照射領域の薄膜を除去するとともに、透明基板の下面側から照射領域に向けて液体8を吹き付けるので、剥離した薄膜の加工くずは液体8内に取り込まれ、その後、液体8は重力によって基板の下の水受け6内に落下する。供給された液体8は重力により速やかに落下するので、液体8中の加工くずが表面に再付着することも減少させることができる。また、液体8を除去するのに重力を利用するので構成が非常に簡単である。加工くずの付着が少ないことにより、高品質の半導体装置を実現することが可能となる。
また、透明基板の上面側からレーザー光5を照射して下面側の薄膜を加工し、その照射領域に液体8が供給されるので、膜表面側からレーザー光5を照射して、その膜表面側から液体8を供給する加工と比べて、レーザー光学系4からのレーザー光5が薄膜に到達する経路に液体がない。このため、レーザー光5が液体によって散乱されることがなく、高精度の加工が簡単である。
また、レーザー光の照射領域を光電変換層に対して走査しながら加工する工程では、たとえば溝が形成された走査後方側から未加工の前方側に向かって液体8が流れるように吹き付けられるので、加工済みの部分に加工くずの付着がより少なくなる。
また、吹き付ける液体8として、半導体材料を酸化させる過酸化水素またはオゾンを含有させた水を用いることにより、さらに加工くずの付着防止や液中の加工くずによる電気的な影響を抑制することができる。
また、吹き付ける液体8として、弱いエッチング作用を有するアルカリ成分、たとえばアンモニアやTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を含有する水溶液としてもよい。アンモニアは揮発性であり、TMAHは表面に微量残留しても140℃程度の加熱で容易に分解除去できる。加工くずとして発生するシリコン微粒子や加工溝内面のシリコン表面の微細を溶解するので、さらに加工くずの付着を防ぐことに効果がある。化学的なエッチングは高温になるほど速度が上がるので、レーザー光5による加熱によって加工部周辺のみが局所的にエッチングされるように液体8中のエッチング成分の濃度等を調整するとよい。これにより加工部周辺以外には影響を抑制しながら、加工部やその極近傍のみ表面を滑らかにするなどの効果も得られる。なお、アルカリ成分の材料や濃度は、薄膜太陽電池を構成するシリコン以外の物質である透明電極層52等への影響等を考慮して調整するとよい。また、被加工膜が金属膜などであれば、その金属に対して弱いエッチング作用を有する酸成分を有するようにしてもよい。
また、エッジデリーション工程においては、吹き付ける液体8として透明電極層52に対してエッチング作用を有する液体を用いてもよい。たとえば、透明電極層52がZnOを主成分とするとき、液体8として希塩酸や酢酸などのカルボン酸を用いるとよい。レーザー光の加熱効果により液体8のエッチング作用が高まって、照射領域30の透明電極層52が効率的に除去され、加工くずの付着も少なくなる。また、このような透明電極層52と光電変換層54とをともに除去する場合に、液体として透明導電膜をエッチングする液体を用いると、レーザーとして光電変換層54に吸収が大きい可視レーザーを用いることもできる。光電変換層54が可視レーザーの熱で剥離されるとともに、その熱により液体のエッチング作用が高まり透明電極層52が除去される。光電変換層54のみを加工する工程では液体として純水を使用し、透明電極層52と光電変換層54とを同時に除去する工程では液体として透明電極層52のエッチング液を用いるとよい。このように工程により液体の性質を変えることで、異なる材料の加工が共通のレーザー光源で行え、装置構成が簡単となる。また、透明導電膜をエッチングする液体を透明電極層52に第1の溝71を形成する工程に用いてもよい。
<実施の形態3.>
図6は本実施の形態3のレーザー加工装置の構成を説明する断面図である。本実施の形態3のレーザー加工装置は、実施の形態1のレーザー加工装置のノズル11の走査後方に、さらにガスを吹き付けて透明基板1の下面に付着した液体を除去するブロワ12を備えたものである。ブロワ12には、コンプレッサやボンベなどのガス供給装置13からガスチューブ16を経て、圧縮空気や窒素ガス等が供給される。供給されたガスはブロワ12の先端から透明基板1の下面に向かって吹きつけられる。吹き付ける位置はレーザー加工後の基板下面領域であり、吹きつけられたガスによってその部分に付着した液体が吹き飛ばされる。吹き飛ばされた液滴は水受け6内に落下する。また、水受け6、ノズル11、ブロワ12は、これらを取り囲むカバー7内に設置されて、使用する液体が、装置外部に飛散することを防止する。
図6は本実施の形態3のレーザー加工装置の構成を説明する断面図である。本実施の形態3のレーザー加工装置は、実施の形態1のレーザー加工装置のノズル11の走査後方に、さらにガスを吹き付けて透明基板1の下面に付着した液体を除去するブロワ12を備えたものである。ブロワ12には、コンプレッサやボンベなどのガス供給装置13からガスチューブ16を経て、圧縮空気や窒素ガス等が供給される。供給されたガスはブロワ12の先端から透明基板1の下面に向かって吹きつけられる。吹き付ける位置はレーザー加工後の基板下面領域であり、吹きつけられたガスによってその部分に付着した液体が吹き飛ばされる。吹き飛ばされた液滴は水受け6内に落下する。また、水受け6、ノズル11、ブロワ12は、これらを取り囲むカバー7内に設置されて、使用する液体が、装置外部に飛散することを防止する。
このように、レーザー光学系4と保持部3とを相対的に移動する走査機構を備え、ノズル11の走査後方からガスを吹き付けて透明基板1に付着した液体を除去するブロワ12を備えることにより、たとえ付着した液体中に加工くずやゴミなどが混入していても、液体が乾燥する前に透明基板1から除去されるので、より清浄な加工表面が得られる。液中に混入した加工くずやゴミは一旦乾燥すると非常に強固に付着して洗浄が困難となるので、このように液体とともに速やかに除去されることが望ましい。また、レーザー加工処理後の透明基板1には加工くずや液体がほとんど付着していないので、洗浄や乾燥処理を省いて次の処理工程へ速やかに移行させることが容易となる。
また、本実施の形態3のレーザー加工装置によれば、被加工物に対してエッチング作用を有する液体を使用した場合にも、付着した液体が速やかに吹き飛ばされるので、加工後に液体が付着した特定部分のエッチング量が大きくなることを防止できる。
なお、図には示さないが、保持部3が透明基板1を下から支える構造である場合に、保持部3付近からガスを透明基板1に吹き付けるようにしてもよい。保持部3が透明基板1に接する部分周辺に液体が残留することを防止できるので、より清浄な加工表面が得られる。
<実施の形態4.>
図7は本実施の形態4のレーザー加工装置の構成を説明する断面図である。本実施の形態4のレーザー加工装置は、実施の形態1と同様であるが、液体に炭酸ガスを含有させた炭酸水18を用いる。また、炭酸水18中の炭酸ガスの濃度を水のpH(水素イオン濃度指数)を測定することで管理する。図のように水受け6内の炭酸水18に、pH電極41が浸漬して、そのpH電極41に接続されたpH計40が水受け6の外に設置する。
図7は本実施の形態4のレーザー加工装置の構成を説明する断面図である。本実施の形態4のレーザー加工装置は、実施の形態1と同様であるが、液体に炭酸ガスを含有させた炭酸水18を用いる。また、炭酸水18中の炭酸ガスの濃度を水のpH(水素イオン濃度指数)を測定することで管理する。図のように水受け6内の炭酸水18に、pH電極41が浸漬して、そのpH電極41に接続されたpH計40が水受け6の外に設置する。
ここで炭酸水18中の炭酸ガスの濃度は、たとえば室温での飽和濃度よりも少し低い程度の値とするとよい。炭酸ガスは25℃の水1Lに対して気体として0.7〜0.8L溶解するので、たとえば水1Lに気体として0.3〜0.6L程度の炭酸ガスが溶解した炭酸水18を使用する。炭酸ガスの溶解量とpHには一定の関係があり、pHの濃度を測定することで濃度管理が可能である。たとえば25℃の飽和濃度におけるpHが4弱であるので、pHをそれよりも少し高い4.1〜4.3などとするとよい。
上記のように炭酸ガスは水に対して溶解度が大きいガスであり、また溶解して得られた炭酸水18は弱酸性である。この炭酸水18は多くの半導体材料、金属材料、無機材料に対してエッチング作用をほとんど示さない。一方、炭酸の電離によって導電性を有するので、表面の帯電を防止するのに有効である。このため、膜や加工表面をエッチングや劣化などの現象を生じることが少なく、加工くずやゴミが静電的に付着することを抑制できる。なお、このような導電性のみ効果を得るのであれば、上記のように炭酸水18を高濃度にすることは必須でなく、pHが4.5〜5.5程度としてもよい。
炭酸ガスの水に対する溶解度は温度の上昇とともに低下する。たとえば、40℃の水では気体として溶解度は0.3〜0.4Lと減少し、さらに高温になるにつれてさらに低下する。従って、上で述べたように室温での飽和濃度よりも少し低い程度の炭酸水18を照射領域30に供給すると、レーザー光5の照射領域30付近で高温に加熱された炭酸水18からは炭酸ガスが気泡として析出する。液体中や加工表面の加工くずはこの気泡とともに除去されやすくなる。なお、炭酸ガスの気泡の一部は大気中に放出され、一部は温度低下とともに再び水に溶解する。
レーザー光5の加熱によって、炭酸水18中の炭酸ガス濃度が所定の値から減少した場合は、炭酸水18を新規な液に交換するか、炭酸水18中に炭酸ガスを通じて濃度を増加する。pH計40の出力を利用して炭酸水18のpH値が一定の値となるように炭酸を自動供給するようにしてもよい。
以上のように液体として炭酸ガスを含有させた水を用いることにより、レーザー加工による加工くずを抑制することが容易である。また、炭酸水は揮発性で扱いが容易であり、特に飽和濃度より少し低い液を用いたため、液の保存などの取り扱いに優れる。このようなレーザー加工装置を、実施の形態2のような半導体装置の製造方法に適用することにより、加工くずの付着が少なく、高品質の半導体装置を実現することが容易となる。
以上の実施の形態において、保持部3は基板全周の周囲を保持する形状としたが、保持されない部分があってもよい。また、レーザー加工しない領域の上面を吸盤等で吸着保持する構成でも良い。そのような保持部3を使用すると、基板周辺部までレーザー加工することが容易となる。また、保持部3の基板を保持する位置が照射領域からずれるようにレーザー光の照射領域の移動にあわせて保持位置も移動するようにしてもよい。そのような保持具3とすることで、エッジリーテーション工程など基板周辺部の全周にわたって半導体膜を加工することが容易となる。
また、以上の実施の形態において、ある実施の形態内で述べられた技術的特徴を、技術的な矛盾が生じない範囲内で別の実施の形態内に適用してもよい。また、実施の形態1、2、4内で述べた液体は、加工表面側から液体を供給する従来の方法や装置等に適用しても、その液体とレーザー加工との相乗効果による効果が得られる。
1 透明基板、1b 下面、2 薄膜、3 保持部、4 レーザー光学系、5 レーザー光、6 水受け、7 カバー、8 液体、9 フィルタ、10 ポンプ、11 ノズル、15 液体チューブ、16 ガスチューブ、19 溝、20 駆動機構、21 アーム、22 レール、23 ローラー、28 アーム、30 照射領域、50 単位セル、51 透光性絶縁基板、52 透明電極層、54 光電変換層、56 裏面電極層、71 第1の溝、91 第2の溝(接続溝)、92 第3の溝(分離溝)、100 薄膜太陽電池、L、L1、L2、L3 レーザー光。
Claims (9)
- 透明基板に形成された薄膜をレーザー光で加工する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記加工する工程は、前記薄膜が形成された一方の面を下面として前記透明基板を保持した状態で、前記透明基板の上面側から入射したレーザー光を前記薄膜に照射して照射領域の前記薄膜を除去するとともに、前記透明基板の下面側から前記照射領域に向けて液体を吹き付けることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1に記載した半導体装置の製造方法であって、
前記加工する工程は、前記レーザー光の照射領域を前記光電変換層に対して走査しながら加工する工程であって、前記液体は走査後方側から前方側に向かって流れるように前記照射領域に吹き付けられることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1または2に記載した半導体装置の製造方法であって、
前記加工する工程は、前記レーザー光の照射領域を前記光電変換層に対して走査するとともに、前記ノズルの走査後方からガスを吹き付けて、前記透明基板に付着した前記液体を除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1または2に記載した半導体装置の製造方法であって、
前記液体として過酸化水素またはオゾンを含有させた水を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1または2に記載した半導体装置の製造方法であって、
前記液体として炭酸ガスを含有させた水を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1または2に記載した半導体装置の製造方法であって、
前記半導体装置は透明導電膜を有し、
前記液体が前記透明導電膜をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 透明基板に形成された薄膜を加工するレーザー加工装置であって、
前記透明基板を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記透明基板の上面側からレーザー光を照射するレーザー光学系と、前記保持部に保持された前記透明基板の下面側から前記レーザー光の照射領域に液体を吹き付けるノズルと、を備えたレーザー加工装置。 - 請求項7に記載したレーザー加工装置であって、
レーザー光学系と保持部とを相対的に移動する走査機構を備え、前記ノズルは走査後方側から照射領域に液体を吹き付けるノズルであることを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項7または8に記載したレーザー加工装置であって、
レーザー光学系と保持部とを相対的に移動する走査機構を備え、前記ノズルの走査後方からガスを吹き付けて前記透明基板に付着した前記液体を除去するブロワを備えることを特徴とするレーザー加工装置。
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