JP2011075435A - 静電容量検出センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】静電容量検出センサにおいて自己診断のための電極変位期間を設けつつも、通常動作時と同じ検出速度で自己診断を可能にすること。
【解決手段】 可動電極1kc可動電極1kcを挟んで対向配置された一対の固定電極1ka、1kbとからなる複数のセンサ部1と、前記センサ部1に印加するための駆動信号を発生する駆動信号発生器6と、センサ部1の電極間に生じた容量差を電圧信号に変換するC-V変換回路5とを具備した自己診断機能付き静電容量検出センサである。一のセンサ部が容量検出期間の間は他のセンサ部を休止期間とし、休止期間の一部に電極変位期間を設け、休止期間中の前記センサ部を自己診断対象としたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、加速度、圧力等の物理量を可動電極と固定電極との間の容量変化を利用して検出する静電容量検出センサに関し、特に自己診断機能を有する静電容量検出センサに関する。
従来、加速度や圧力などの物理量によって変位する1枚の可動電極と、その可動電極に対向する2枚の固定電極とからなる1組の電極で構成されるセンサ部を少なくとも2組以上備え、多種多軸の物理量をセンサ部の電極間容量の変化により検知する静電容量検出センサがある。
以上のように可動電極と固定電極との電極間の容量に基づいて物理量を検出する静電容量検出センサにおいて、可動電極と固定電極との間に静電引力を発生させ、擬似的に物理量が発生した状態にして自己診断を行う静電容量検出センサがある(例えば、特許文献1参照)。
かかる自己診断機能付き静電容量検出センサは、自己診断時に容量変化を検出する容量検出期間以外に、可動電極を変位させるための電極変位期間を設け、その期間中に可動電極と一方の固定電極間に静電引力を働かせるための信号を与え、その変位に応じた容量を検出する。
特開2000−81449号公報
しかしながら、自己診断時に可動電極を変位させるための電極変位期間を追加するため、自己診断時の検出速度が、通常動作時の検出速度よりも遅くなるといった欠点があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、自己診断時に電極変位期間を設けつつも、通常動作時と同じ検出速度で自己診断を可能にする静電容量検出センサを提供することを目的とする。
本発明の静電容量検出センサは、物理量の変化に応じて変位する可動電極と前記可動電極を挟んで対向配置された一対の固定電極とからなるセンサ部が複数設けられたセンサ群と、前記各センサ部の固定電極又は可動電極に印加するための駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、前記各センサ部の前記可動電極と前記一対の固定電極との間にそれぞれ形成される容量の容量差を、電圧信号に変換するC-V変換回路と、を具備し、前記センサ部に対して前記駆動信号を印加して該センサ部に生じた容量差を前記C-V変換回路で電圧信号に変換して出力する容量検出期間と、前記センサ部に前記駆動信号の供給を停止すると共に前記可動電極及び前記各固定電極を同電位にして休止する休止期間と、前記休止期間の一部に含まれ自己診断対象となる前記センサ部の可動電極と一方の固定電極との間に静電引力を発生させる電極変位期間と、を設け、前記容量検出期間となる前記センサ部を順次切り替えると共に、前記容量検出期間でない他のセンサ部は前記休止期間とし、前記休止期間中に自己診断対象となった前記センサ部の前記電極変位期間に前記静電引力を発生させ、当該センサ部から前記静電引力により生じた容量差を検出することを特徴とする。
この構成によれば、あるセンサ部が容量検出期間の間は他のセンサ部を休止期間とし、休止期間の一部に電極変位期間を設け、休止期間中の前記センサ部を自己診断対象としたので、通常動作時と同じ検出速度で自己診断が可能になる。
また本発明は、上記静電容量検出センサにおいて、前記各センサ部に対して前記駆動信号発生手段及び前記C-V変換回路を個別に接続可能な第1のスイッチ群と、前記各センサ部の前記可動電極及び前記固定電極に対して並列に第1の電圧を印加可能な第2のスイッチ群と、前記各センサ部における少なくとも一方の前記固定電極に対して第2の電圧を印加可能な第3のスイッチ群と、を具備し、容量検出対象となるセンサ部は、容量検出期間中は前記第1のスイッチ群によって前記駆動信号発生手段及び前記C-V変換回路に接続され、休止対象となるセンサ部は、休止期間中は電極変位期間を除いて、前記第2のスイッチ群によって当該センサ部の前記可動電極及び前記固定電極に対して第1の電圧が印加されて同電位に保持され、自己診断対象となるセンサ部は、電極変位期間中は当該センサ部の前記可動電極と一方の前記固定電極に前記第2のスイッチ群によって第1の電圧が印加され、当該センサ部の他方の前記固定電極に前記第3のスイッチ群によって第2の電圧が印加されることを特徴とする。
この構成により、容量検出対象のセンサ部は第1のスイッチ群により前記駆動信号発生手段と前記C-V変換回路とに個別に接続され、休止対象となるセンサ部は第2のスイッチ群により可動電極及び固定電極に同電位にするための電圧が印加される。また、自己診断対象となるセンサ部は、可動電極と一方の固定電極とが同電位にされると共に、可動電極と他方の固定電極とが異なる電位になり、可動電極に静電引力が作用して変位する。したがって、第1から第3のスイッチ群により容量検出期間及び休止期間の状態に切り替えられると共に、休止期間の一部が電極変位期間の状態に切り替えられる。
上記静電容量検出センサにおいて、一対の前記固定電極は、前記第1のスイッチ群を介して前記駆動信号発生手段に接続され、前記駆動信号発生手段から極性の反転した矩形波が前記駆動信号として印加され、前記可動電極は、前記第1のスイッチ群を介して前記C-V変換回路の入力端子に接続された構成とすることができる。
上記構成の静電容量検出センサにおいて、前記C-V変換回路は、前記第1のスイッチ群を介して前記各センサ部の前記可動電極が選択的に接続される反転入力端子と前記駆動信号を電圧VとしてV/2の電圧が印加される非反転入力端子とを有するオペアンプと、前記オペアンプの出力端子と前記反転入力端子との間に設けられた第1の出力用コンデンサと、前記第1の出力用コンデンサに並列に接続された第1の放電用スイッチと、を具備した構成とすることが望ましい。
また、上記静電容量検出センサにおいて、前記可動電極は、前記第1のスイッチ群を介して前記駆動信号発生手段に接続され、前記駆動信号発生手段から矩形波が前記駆動信号として印加され、前記一対の固定電極は、前記第1のスイッチ群を介して前記C-V変換回路の入力端子に並列に接続された構成とすることができる。
上記構成の静電容量検出センサにおいて、前記C-V変換回路は、前記第1のスイッチ群を介して前記各センサ部の一対の固定電極が選択的に接続される反転入力端子及び非反転入力端子と前記駆動信号を電圧VとしてV/2の電圧が印加される基準電圧入力端子とを有する全差動オペアンプと、前記全差動オペアンプの非反転出力端子と前記反転入力端子との間、並びに反転出力端子と前記非反転入力端子との間にそれぞれ設けられた第2の出力用コンデンサと、前記各第2の出力用コンデンサに並列にそれぞれ接続された第2の放電用スイッチと、前記全差動オペアンプの入力段にそれぞれ設けられた一対の転送用コンデンサと、第2の放電用スイッチの開閉動作に同期して、前記各転送用コンデンサの出力端子間を開閉するスイッチと、前記一対の転送用コンデンサと前記全差動オペアンプの各入力端子との間を開閉する共に前記各転送用コンデンサの入力端子間を開閉する第4のスイッチ群と、を備え、容量検出対象となる前記センサ部に生じた容量差に対応した電荷を前記センサ部から前記各転送用コンデンサへ転送する際に、前記スイッチが閉じられると共に、前記第4のスイッチ群が開かれ、前記全差動オペアンプから電圧信号を出力する際に、前記スイッチが開かれると共に、前記第4のスイッチ群が閉じられることが望ましい。
また、上記静電容量検出センサにおいて、自己診断対象となる前記センサ部について、前記容量検出期間、前記休止期間、前記電極変位期間を、前記センサ部の応答速度よりも十分早い周期で繰り返すことが望ましい。
本発明によれば、自己診断時に電極変位期間を設けつつも、通常動作時と同じ検出速度で自己診断を可能にする静電容量検出センサを提供できる。
第1の実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサの回路図 第1の実施の形態における通常動作を説明するためのタイミングチャート 第1の実施の形態における自己診断動作を説明するためのタイミングチャート 第1の実施の形態における自己診断判定を説明するための図 第2の実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサの回路図 第2の実施の形態における通常動作を説明するためのタイミングチャート 第2の実施の形態における通常動作においてタイミングT1(期間φ1)での状態を示す図 第2の実施の形態における通常動作においてタイミングT2(期間φ2)での状態を示す図 第2の実施の形態における通常動作においてタイミングT3(期間φ3)での状態を示す図 第2の実施の形態における通常動作においてタイミングT4(期間φ4)での状態を示す図 第2の実施の形態における自己診断動作を説明するためのタイミングチャート 第2の実施の形態における自己診断動作においてタイミングT11(期間φ4)での状態を示す図 第2の実施の形態における自己診断動作においてタイミングT12(期間φ1)での状態を示す図 第2の実施の形態における自己診断動作においてタイミングT13(期間φ2)での状態を示す図 第2の実施の形態における自己診断動作においてタイミングT14(期間φ3)での状態を示す図 第2の実施の形態における自己診断動作において1周期後のタイミングT15(期間φ1)での状態を示す図 第2の実施の形態における自己診断判定を説明するための図 第3の実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサの回路構成図 第3の実施の形態における通常動作時のタイミングチャート 容量検出期間(φ1)での等価回路図 (a)期間φ21の状態に対応した等価回路図、(b)期間φ22の状態に対応した等価回路図 容量検出期間におけるタイミングチャートの詳細図 第3の実施の形態における自己診断時のタイミングチャート 第3の実施の形態における自己診断判定を説明するための図
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサの回路図である。第1の実施の形態の自己診断機能付き静電容量検出センサは、物理量を検出するセンサ群1と、容量検出期間、休止期間、電極変位期間等に応じて切り替わる第1〜第3のスイッチ群2a,2b,2c、3a,3b,3c、4aと、センサ群1の容量を電圧に変換して出力するC−V変換回路5と、センサ群1に印加する駆動信号を発生する駆動信号発生器6とを主に備えて構成される。
センサ群1は、駆動信号発生器6に対して並列に接続されるn組のセンサ11,12,…,1nで構成されている。センサ1k(k=1,2,・・・,n)は、センサ加速度や圧力等の物理量に応じて変位する可動電極1kcと、その可動電極1kcに対向する2枚の固定電極1ka,1kbとから成る。電極の記号について、2桁目はセンサの番号を示し、3桁目は3枚の電極のうちのいずれかであることを示す。センサ1kに加わる、加速度や圧力等の物理量に応じて、可動電極1kcが変位し、電極1ka,1kc間の静電容量Ckaと、電極1kb,1kc間の静電容量Ckbとが変化する。
スイッチ群2aは、各センサ11,12,…,1nにおける1組の電極のうち一方の固定電極1kaと駆動信号発生器6とを個別に接続するスイッチ群である。スイッチ群2aは、センサの数nに対応した複数のスイッチ21a,22a,・・・,2naから構成される。スイッチ群2aによっていずれか1組のセンサ1kと駆動信号発生器6とを個別に接続できる。
スイッチ群2bは、各センサ11,12,…,1nにおける1組の電極のうちもう一方の固定電極1kbと駆動信号発生器6とを個別に接続するスイッチ群である。スイッチ群2bは、センサの数nに対応した複数のスイッチ21b,22b,・・・,2nbから構成される。スイッチ群2bによっていずれか1組のセンサ1kと駆動信号発生器6とを個別に接続できる。
スイッチ群2cは、各センサ11,12,…,1nにおける1組の電極のうち可動電極1kcとC−V変換回路5とを個別に接続するスイッチ群である。スイッチ群2cは、センサの数nに対応した複数のスイッチ21c,22c,・・・,2ncから構成される。スイッチ群2cによっていずれか1組のセンサ1kとC−V変換回路5とを個別に接続できる。スイッチ2ka,2kb,2kcを閉じることで、センサ1kの電極間容量を検出できる。なお、スイッチ群2a,2b,2cを構成する各スイッチを表す記号のうち、2桁目はセンサ番号を示している。
スイッチ群3aは、センサ1kの電極1kaの電位をV1にするためのスイッチ群であり、センサの数nに対応した複数のスイッチ31a,32a,・・・,3naから構成される。スイッチ群3aを構成する各スイッチ31a,32a,・・・,3naは、各スイッチ21a,22a,・・・,2naと、対応する各センサ11,12,…,1nにおける一方の固定電極11a,12a,…1naとの間のライン上に、一方の接点が接続され、他方の接点には電圧V1が印加されている。
スイッチ群3bは、センサ1kの電極1kbの電位をV1にするためのスイッチ群であり、センサの数nに対応した複数のスイッチ31b,32b,・・・,3nbから構成される。スイッチ群3cは、センサ1kの電極1kcの電位をV1にするためのスイッチ群であり、センサの数nに対応した複数のスイッチ31c,32c,・・・,3ncから構成される。スイッチの記号の2桁目はセンサ番号を示している。
スイッチ3ka,3kb,3kc(kはセンサ番号)を閉じることで、電極1ka,1kb,1kcに第1の電圧であるV1を並列に印加し、センサ1kの電極1ka,1kb,1kc間に静電引力が全く働かない状態を作り出すことが出来る。スイッチ3ka,3kb,3kcが閉じている間はスイッチ2ka,2kb,2kcが閉じることはないものとする。
スイッチ群4aは、センサ1kの電極1kaの電位をV1とは異なる第2の電圧であるV2にするためのスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ41a,42a,・・・4naから構成される。スイッチ群4aを構成する各スイッチ41a,42a,・・・4naは、各センサ11,12,…,1nにおける一方の固定電極11a,12a,…1naに対応したライン上に、一方の接点が接続され、他方の接点には電圧V2が印加されている。なお、スイッチの記号の2桁目はセンサ番号を示している。
スイッチ4ka,3kb,3kcを閉じることで、センサ1kの電極1ka,1kc間に静電引力を働かせることが出来る。また、スイッチ4kaとスイッチ3ka,2kaは同時に閉じることはないものとする。
C−V変換器5は、いずれかの接続されているセンサ1kの電極間容量CkaとCkbとの差を電圧に変換するためのもので、オペアンプ5a、容量Cfのコンデンサ5b、スイッチ5cから構成される。オペアンプ5aの反転入力端子は、スイッチ群2cを介していずれかのセンサ1kの可動電極1kcに接続される。オペアンプ5aの反転入力端子と出力端子との間には、コンデンサ5bとスイッチ5cが並列接続されている。また、オペアンプ5aの非反転入力端子にはV/2の電圧が入力される。
駆動信号発生器6は、センサ1kの固定電極1ka,1kbに印加する駆動信号を発生するもので、中心電圧が等しく、振幅Vで、電圧レベルが反転した2種類の駆動信号6a,6bを発生する。一方の駆動信号6aはスイッチ群2kaを介して、センサ1kの固定電極1kaに印加される。また他方の駆動信号6bはスイッチ2kbを介して、センサ1kの電極1kbに印加される。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサの動作について説明する。
図2のタイミングチャートを参照して、通常動作時の動作を説明する。
図2のタイミングチャートは、駆動信号6a及び6bの電圧と、各スイッチの開閉状態との関係を示している。駆動信号については、Highで電圧Vを示し、Lowで電圧0を示す。またスイッチの動作についてはHighで閉じた状態を示し、Lowで開いた状態を示す。
駆動信号(6a、6b)の1周期で、1つのセンサ1k(k=1,2,・・・,n)の電極間容量を検出し、また1周期ごとに容量検出対象のセンサ11,12,・・・,1n,11を順番に順次切り替える。スイッチ2ka,2kb,2kcがHighでスイッチ3ka,3kb,3kcがLowとなる期間をセンサ1kの容量検出期間と呼び、逆にスイッチ2ka,2kb,2kcがLowでスイッチ3ka,3kb,3kcがHighとなる期間をセンサ1kの休止期間と呼ぶ。
センサ1kの容量検出期間について説明する。容量検出期間を図2に示すように期間φ1と期間φ2の2つの状態に分けて考える。
期間φ1の状態では、一方の駆動信号6aが0、他方の駆動信号6bがVで、スイッチ5cが閉じていることから、センサ1kの一方の固定電極1kaの電位が0、他方の固定電極1kbの電位がV、可動電極1kcの電位がV/2となる。また、コンデンサ5bの電荷が放電されると共に、オペアンプ5aの出力電圧がV/2となる。
期間φ2の状態では、スイッチ5cが開き、コンデンサ5bが充電可能な状態となる。また一方の駆動信号6aが電圧V、他方の駆動信号6bが電圧0となるため、センサ1kの電極1ka,1kc間に蓄積された電荷Qka=Cka・Vと、電極1kb,1kc間に蓄積された電荷Qkb=−Ckb・VとがC−V変換回路5に流れ込む。その結果、コンデンサ5bの入力側に電荷Qk=Qka+Qkb=(Cka−Ckb)・Vが充電される。このとき、コンデンサ5bの両端にかかる電圧はVf=(Cka−Ckb)・V/Cfであり、またオペアンプ5aの反転入力端子はイマージナリーショートによりV/2に保持されているため、出力端子から電圧Vout=V/2−(Cka−Ckb)・V/Cfが出力される。この式より、センサに物理量が加わることでCkaとCkbに差が生じ、その差に応じた電圧が出力される。すなわち、センサ1kに加えられた物理量がC−V変換回路5から電圧信号の形で出力される。
図2に示すように、容量検出対象のセンサ11,12,・・・,1n,11は、順番に順次切り替えられ、各容量検出期間で物理量の検出動作が終了すると、休止期間となる。センサ1kの休止期間には、スイッチ3ka,3kb,3kcを閉じる。これにより、センサ1kの電極1ka,1kb,1kc全ての電位がV1となるので、静電引力による可動電極1kcの変位は起きることはない。
次に自己診断動作について、図3のタイミングチャートを参照して説明する。
本実施の形態では、自己診断対象となるセンサ1kの休止期間の一部に電極変位期間を設け、電極変位期間に静電引力を生じさせて可動電極1kcを変位させることで、正常動作しているか否かの自己診断を行っている。
通常動作時と異なる点は各センサ休止期間の一部に電極変位期間を設けている点である。自己診断対象となるセンサ1kに関して、電極変位期間ではスイッチ4ka,3kb,3kcを閉じているため、センサ1kの電極1kaの電位がV2、電極1kb,1kcの電位がV1となる。このとき電極1ka,1kc間に電位差が生じ、静電引力が発生する。
自己診断動作では、自己診断対象のセンサ1kに関して、休止期間の一部に電極変位期間を設け、容量検出期間、電極変位期間、休止期間が、センサ1kの応答周波数よりもはるかに早い周波数(1桁以上)で繰り返されるように、スイッチ2ka,2kb,2kc、スイッチ3ka,3kb,3kc、スイッチ4kaを開閉制御する。これにより、電極1ka,1kc間に常に一定の静電引力が働いているような状態が作られるので、静電引力の大きさに応じた位置まで可動電極1kcが変位し、その位置に安定させることができる。この可動電極1kcの変位位置に応じてCkaとCkbの容量差が生じる。容量検出期間、電極変位期間、休止期間が上記周波数で繰り返される自己診断動作では、自己診断対象であるセンサ1kの容量検出期間のφ2において、CkaとCkbの容量差が、通常動作時の検出動作と同じ動作にて、コンデンサ5bに蓄積され、それと同時にオペアンプ5aから電圧出力Voutが取り出される。自己診断のためにコンデンサ5bに蓄積された電荷は、次のセンサ(1k+1)の容量検出期間φ1になると同時に放電され、それと同時にオペアンプの出力もV/2にリセットされる。オペアンプ5aの後段に自己診断判定を行う診断部7が接続される。診断部7は、自己診断対象であるセンサ1kの容量検出期間φ2におけるオペアンプ5aの出力に基づいて正常/異常の診断を行う。
図4(a)は、センサ1kが正常である場合の、自己診断時と通常動作時のオペアンプ5aの出力を示している。自己診断時は、電極変位期間中に与えた電極1ka,1kc間の静電引力により、可動電極1kcが変位する。そのため、オペアンプ5aの出力は、通常動作時のものと比べ、電極1kcの変位量と変位方向に応じた電圧を足した形もしくは引いた形となって現れる。
図4(b)は、センサ1kに異常がある場合の、自己診断時と通常動作時のオペアンプ5aの出力である。センサ1kにスティッキング等の異常がある場合、可動電極1kcが固定されているため、静電引力による可動電極1kcの変位が生じず、オペアンプ5aの出力も変動しない。その結果、通常動作時と自己診断時のオペアンプ5aの出力が全く同じとなる。
診断部7は、オペアンプ5aの出力が、通常動作時のものから電極1kcの変位量と変位方向に応じた電圧分だけ変化している場合、自己診断対象のセンサ1kは正常だとみなすことが出来る。逆に、変化が無い場合や、変化の量や方向が、可動電極1kcの変位量および変位方向から想定されるものとは明らかに異なる場合、センサ1kに何らかの異常が起きているとみなすことが出来る。
以上のようにして、自己診断対象のセンサ1kに関して、他のセンサが通常動作中に、静電引力の大きさに応じた位置まで可動電極1kcを変位させて、その時のCkaとCkbの容量差をオペアンプ5aで電圧信号として取り出し、診断部7においてセンサ1kの診断を行う。自己診断対象となるセンサを順次切り替え、自己診断対象のセンサについては上記センサ1kと同様に、容量検出期間、電極変位期間、休止期間を上記周波数で繰り返して、自己診断を行う。
このように、本実施の形態によれば、通常動作として容量検出対象のセンサ11,12,・・・,1n,11を順次切り替えて容量検出する一方、各容量検出期間で物理量の検出動作が終了したセンサを休止期間とし、自己診断対象となるセンサ1kについては、休止期間の一部を利用して電極変位期間を設け、可動電極1kcを静電引力により変位させることで自己診断するようにしたので、複数のセンサ11,12,・・・,1n,11の通常動作時の全体の容量検出期間を長くすること無く、各センサ群1について自己診断を行うことができ、通常動作時と同じ検出速度で自己診断が可能になる。特に、自己診断対象となるセンサ1kについて、容量検出期間、電極変位期間、休止期間を、センサの応答周波数よりもはるかに早い周波数(1桁以上)で繰り返すので、可動電極1kcを静電引力の大きさに応じた位置に安定させることができ、自己診断精度を上げることができる。
また、本実施の形態によれば、他のセンサの通常動作時に、自己診断対象となるセンサについて自己診断のための可動電極1kcの変位及び容量検出をするので、本来の物理量の検出動作を中断することなく、自己診断を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、電極変位期間の長さを変えると、その長さに比例して静電引力も変わるので、オペアンプ5aからの出力を調整することも可能である。
上記した第1の実施の形態では、2つの固定電極1ka、1kbに駆動信号6a,6bを印加して中央の可動電極1kcから蓄積電荷を取り出す検出方式であるが、中央の可動電極1kcに駆動信号を印加して2つの固定1ka、1kbから蓄積電荷を取り出して電圧に変換することもできる。
以下、中央の可動電極1kcに駆動信号を印加して2つの固定電極1ka、1kbから蓄積電荷を取り出して電圧に変換する検出方式を適用した実施の形態について説明する。
図5は第2の実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサの回路図である。
第2の実施の形態の自己診断機能付き静電容量検出センサは1軸対応であるが、後述するように多数軸対応に構成することも可能である。
本実施の形態の自己診断機能付き静電容量検出センサは、1組のセンサ1と、センサ1の電極間に蓄積された電荷を電圧に変換するC-V変換回路20と、センサ1に駆動信号を供給する駆動信号発生器30と、センサ1に電圧印加するためのスイッチ16a,16b,17aとを備える。
センサ1は、加速度や圧力等の物理量に応じて変位する可動電極11cと、その可動電極11cに対向する2枚の固定電極11a,11bと、から成る。センサ1に加わる物理量に応じて可動電極11cが変位し、電極11a,11c間の容量Caと、電極11b,11c間の容量Cbが変化する。
C-V変換回路20は、センサ1の電極間容量CaとCbからの電荷を受け、電圧に変換し、差動出力する。C-V変換回路20は、全差動オペアンプ25の反転入力端子と非反転出力端子との間に、コンデンサ24aとスイッチ21dが並列接続され、非反転入力端子と反転出力端子との間に、コンデンサ24bとスイッチ21eが並列接続されている。全差動オペアンプ25の基準電圧入力端子には電圧V/2が印加される。
全差動オペアンプ25の反転入力端子は、スイッチ22aを介してコンデンサ23aに接続され、非反転入力端子はスイッチ22bを介してコンデンサ23bに接続される。また、コンデンサ23aと23bの入力端子はスイッチ22cを介して接続可能に構成され、出力端子はスイッチ21cを介して接続可能に構成されている。さらに、コンデンサ23aの入力端子とセンサ1の電極11aはスイッチ21aを介して、コンデンサ23bとセンサ1の電極11bはスイッチ21bを介して接続可能に構成されている。
5つのスイッチ21a〜21eは同タイミングで開閉し、3つのスイッチ22a〜22cはスイッチ21a〜21eとは異なるタイミングで同時に開閉する。なお、コンデンサ23a、23bは容量Cin、コンデンサ24a、24bは容量Cfである。
駆動信号発生器30は、センサ1の可動電極11cに印加する駆動信号D1を発生するもので、駆動信号D1は中心電圧V/2、振幅V/2の信号である。
固定電極11a,11bはスイッチ16a,16bを介して0電位に接続され、固定電極11aはスイッチ17aを介して電圧V1が印加される。すなわち、スイッチ16a,16bは、センサ1の電極11aおよび電極11bの電位を0にするためのスイッチであり、センサ1の電極間容量を検出するときの初期化の際に閉じられる。また、スイッチ17aはセンサ1の電極11aの電位をV1にするためのスイッチであり、スイッチ17a、16bを閉じ、駆動信号発生器30が可動電極11cに電圧0を与えることで、センサ1の電極11a,11c間に静電引力が働く状態を作ることが出来る。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサの動作について説明する。
図6〜図11を参照して、通常動作時の動作を説明する。
図6は、通常動作時のタイミングチャートを示している。
タイミングチャートには駆動信号D1の電圧と各スイッチの開閉状態について示してある。駆動信号については、Highで電圧Vを示し、Lowで電圧0(=0V)を示す。またスイッチの動作についてはHighで閉じた状態を示し、Lowで開いた状態を示す。駆動信号1周期で1回の容量検出を行う。タイミングチャートは図6に示すようにφ1,φ2,φ3の3つの期間から成る。
図6のタイムチャートにおける期間φ1の状態では、駆動信号D1が電圧0で、スイッチ21a〜21eが開、スイッチ22a〜22cが閉、スイッチ16a,16bが閉、スイッチ17aが開である。このとき、センサ1の電極11a,11b,11cの電位は全て0となる。また、コンデンサ23aと23bの出力端子の電位は、全差動オペアンプ25のイマージナリーショートにより共にV/2、入力端子はスイッチ22a〜22cの接続により同電位となる。ここでは計算の便宜上、その電位を0とする。
図7(a)〜(c)は、図6に示すタイミングT1(期間φ1)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。
タイミングT1(期間φ1)では、3つの電極11a、11b、11cは電圧0に維持され(図7(a))、センサ1(電極11a,11c間の容量Ca、電極11b,11c間の容量Cb)とC-V変換回路20とが電気的に完全に切り離された状態となる(図7(b))。
図6のタイムチャートにおける期間φ2では、駆動信号D1が電圧0、スイッチ21a〜21eが閉、スイッチ22a〜22cが開、スイッチ16a,16bが開、スイッチ17aが開となる。このとき、スイッチ21d、21eが閉となるので、コンデンサ24a,24bの電荷が放電され、全差動オペアンプ25の差動出力が0となる。センサ1における可動電極11cの電位は変わらず0、一方の固定電極11aの電位はスイッチ21aによる接続から、コンデンサ23aの入力端子と同電位となるが、両者とも期間φ1の状態で電位が0であったため、ここでも0となる。スイッチ21bにより接続した他方の固定電極11bとコンデンサ23bの入力端子の電位も同様に0となる。また、コンデンサ23aと23bの出力端子は、スイッチ21cによる接続から同電位となり、両者とも期間φ1の状態で電位がV/2であったため、ここでもV/2となる。
図8(a)〜(c)は、図6に示すタイミングT2(期間φ2)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。。図8(a)に示すように、電極11aと電極11bの電位は0となる。また、タイミングT2(期間φ2)では、図8(b)に示すように、容量Ca、スイッチ21a、コンデンサ23a、スイッチ21c、コンデンサと23b、スイッチ21b、容量Cbの閉回路が形成される。また、全差動オペアンプ25の非反転出力と反転出力端子は、全差動オペアンプのイマージナリーショートより、両者ともにV/2となる。つまりこのとき、全差動オペアンプ25の差動出力は0である。
図6のタイムチャートにおける期間φ3では、駆動信号D1がHighとなり、センサ1の可動電極11cの電位がVになると共に、一方の固定電極11aからコンデンサ23aへ電荷が流れ、また他方の固定電極11bからコンデンサ23bへ電荷が流れ、コンデンサ23a,23bの入力端子の電位が変化する。変化後のコンデンサ23a,23bの入力端子電位をVP1,VN1とする。また、このときコンデンサ23a,23bの出力端子の電位も変化し、その時の電位をVzとする。
図9(a)〜(c)は、図6に示すタイミングT3(期間φ3)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。スイッチの状態は期間φ2の状態から変化していないが、駆動信号D1が0からVへ変化している。図9(a)(b)に示すように、電極11cにVが印加されることで、容量Ca,Cbのスイッチ21a、21b側の電圧が上昇し、その際に電極11a側のラインと電極11b側のラインとの間で電荷の再分配が行われる。その結果、電極11a側のラインは電圧VP1となり、電極11b側のラインは電圧VN1となる。電圧VP1に応じた電荷がコンデンサ23aに蓄積され、電圧VN1に応じた電荷がコンデンサ23bに蓄積される。
ここで、期間φ2と期間φ3との電位状態の変化により、電荷量保存則を用いてVP1,VN1,Vzに関する以下の式1に示す3元連立方程式が成り立つ。
Figure 2011075435
式1のうち、1つ目の式は、一方の固定電極11aとコンデンサ23aの入力端子との間の電荷量について立てた式であり、2つ目の式は、他方の固定電極11bとコンデンサ23bの入力端子との間の電荷量について立てた式であり、3つ目の式はコンデンサ23aの出力端子とコンデンサ23bの出力端子の間の電荷量について立てた式である。
ここで、Csaは一方の固定電極11aからコンデンサ23aまでの経路に寄生している容量であり、Csbは他方の電極11bからコンデンサ23bまでの経路に寄生している容量である。
上記式1の解より、コンデンサ23aと23bの入力端子にかかる電圧差は以下の式2となる。
Figure 2011075435
図10(a)〜(c)は、図6に示すタイミングT4(期間φ1)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。タイミングT4(期間φ1)は、期間φ3の経過後に期間φ1の状態に切り替わった直後のタイミングである。スイッチ21a,21bが開いて、コンデンサ23a、23bの入力端子がセンサ1から電気的に切り離されると共に、スイッチ21cが開いてコンデンサ23aと23bの出力端子が全差動オペアンプ25の入力端子に接続される。したがって、電荷が蓄積されたコンデンサ23a、スイッチ22a、全差動オペアンプ25、スイッチ22b、電荷が蓄積されたコンデンサ23b、スイッチ22cからなる閉ループが形成される。
タイミングT4では、スイッチ21a,21bを開き、スイッチ22a〜22cを閉じた瞬間に、スイッチ22a〜22cを閉じる直前(T3)のVP1に応じた電荷がコンデンサ23aからコンデンサ24aへ流れ、蓄積される。同時に、コンデンサ24aに蓄積された電荷に応じた電圧がコンデンサ24aの出力端子、つまり全差動オペアンプの非反転出力端子にVP2として現れる。またスイッチ22a〜22cを閉じる直前(T3)のVN1に応じた電荷がコンデンサ23bから24bへ流れ、蓄積される。同時に、コンデンサ24bに蓄積された電荷に応じた電圧がコンデンサ24bの出力端子、つまり全差動オペアンプの反転出力端子にVN2として現れる。このように、コンデンサ23a、23bの入力端子側に現れた電圧(VP1、VN1)が全差動オペアンプ25の非反転出力端子と反転出力端子に現れる。
全差動オペアンプ25の差動出力は、以下の式3で示される。式3−1中のVP2は全差動オペアンプ25の非反転出力端子の電圧、VN2は反転端子出力端子の電圧である。
Figure 2011075435
この式3−2よりセンサ1に物理量が加わり、センサ1の電極間に形成される容量CaとCbに差が生じることで、その差に応じた差動出力を得ることができる。
次に、図11〜図16を参照して、自己診断動作について説明する。
本実施の形態では、タイミングT2,T3が含まれる期間φ2,φ3において、センサ1に加えられた物理量に応じて電極間に生じた電荷をコンデンサ23a,23bへ転送(蓄積)する期間(センサ駆動期間という)と、タイミングT4が含まれる期間φ1において、コンデンサ23a、23bからコンデンサ24a、24bへ電荷を移動して当該コンデンサ24a、24bに流れた電荷に応じた電圧を全差動オペアンプの出力端子から出力する期間(アンプ出力期間という)とを繰り返している。センサ駆動期間とアンプ出力期間とで容量検出期間ということができる。
そこで、アンプ出力期間となる期間φ1の一部に電極変位期間φ4を設け、通常動作の中に自己診断動作を組み込み、通常動作の周期の中で自己診断できるようにしている。
図11は、自己診断動作時のタイミングチャートを示している。
期間φ2,3は図6に示す通常動作時のスイッチ開閉パターンと同じであるが、期間φ1の一部(前半部分)に電極変位期間φ4を設けている。電極変位期間φ4では、スイッチ17a,16bを閉じ、スイッチ16aを開く。また、駆動信号D1は電圧0である。したがって、センサ1の一方の固定電極11aの電位がV1、他方の固定電極11b及び可動電極11cの電位が0となる。その結果、一方の固定電極11aと可動電極11cとの間に電位差が生じ、電極11a,11c間に静電引力が発生する。電極11a,11c間に発生した静電引力によって可動電極11cが変位し、センサ1の電極間に形成される容量CaとCbに差が生じる。上記したセンサ駆動期間(期間φ2,φ3)となった時に、可動電極11cが電極変位期間φ4で変位した位置にとどまっていれば、その時の容量CaとCbをコンデンサ23a,23bへ蓄積でき、コンデンサ23a,23bに蓄積された電荷をアンプ出力期間(期間φ4を含む期間φ1)に全差動オペアンプの出力端子から出力することができる。
そこで、実施の形態1と同様に、自己診断動作では、期間φ1からφ4をセンサ1の応答周波数よりもはるかに早い周波数(1桁以上)で繰り返す。これにより、電極11a,11c間に常に一定の静電引力が働いているような状態となり、可動電極11cを電極変位期間φ4で変位した位置に安定させることができる。
また、電極変位期間φ4の長さを変えると、その長さに比例して可動電極11cの変位量も変わるので、全差動オペアンプ25からの差動出力を調整することも可能である。
図12(a)(b)(c)は、タイミングT11(電極変位期間φ4)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。図12(a)に示すように、電極11cと電極11bに同電位の0を印加し、電極11aに異なる電圧V1を印加することで電極11cと電極11aとの間に静電引力を発生させている。
図12(b)に示すように、電極変位期間(φ4)の状態では、スイッチ21a〜21eが開となり、センサ1と全差動オペアンプ25とが電気的に切り離された状態となる。この状態において、電極11cと電極11bに同電位の0が印加され、電極11aに異なる電圧V1が印加されることで、電極11cと電極11aとの間に静電引力が発生する。この静電引力により電極11cが変異して、電極11cと電極11aとの間の容量Caと電極11cと電極11bとの間の容量Cbに差が生じる。
図13(a)(b)(c)は、タイミングT12(期間φ1)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。タイミングT12(期間φ1)では、スイッチ17aが開き、スイッチ16aが閉じることで、電極11aの電位がV1から0に切り替わる。その結果、3つの電極11a、11b、11cは電圧0になる。
図14(a)(b)(c)は、タイミングT13(期間φ2)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。タイミングT13(期間φ2)では、スイッチ21a,21b,21cが閉じてセンサ1にコンデンサ23a,23bが接続されると共にスイッチ22a,22b,22cが開となり、コンデンサ23a,23b及びセンサ1からなる閉ループが形成される。これにより、センサ1の電極間に生じる容量CaとCbをコンデンサ23a,23bへ蓄積する回路状態となる。
図15(a)(b)(c)は、タイミングT14(期間φ3)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。タイミングT14(期間φ3)では、駆動信号D1が電圧Vに変化して、電極11cにVが印加される。この結果、通常動作時のタイミングT3と同様にして、容量Ca,Cbのスイッチ21a、21b側の電圧が上昇し、その際に電極11a側のラインと電極11b側のラインとの間で電荷の再分配が行われ、電極11a側のラインは電圧VP1となり、電極11a側のラインは電圧VN1となる。電圧VP1に応じた電荷がコンデンサ23aに蓄積され、電圧VN1に応じた電荷がコンデンサ23bに蓄積される。
図16(a)(b)(c)は、タイミングT15(電極変位期間φ4)における、電極11a、11b、11cへの電圧印加状態(同図(a))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態を反映させた回路図(同図(b))、スイッチ21a〜21e、22a〜22cの開閉状態(同図(c))を示している。上記した通り、センサ1では可動電極11cに静電引力が作用するので、期間φ1からφ4をセンサ1の応答周波数よりもはるかに早い周波数(1桁以上)で繰り返している間は、電極変位期間φ4の度に静電引力が作用して可動電極11cの変位位置を維持する。一方、タイミングT15(電極変位期間φ4)において、スイッチ21a,21bを開き、スイッチ22a〜22cを閉じた瞬間に、スイッチ22a〜22cを閉じる直前(T14)のVP1に応じた電荷がコンデンサ23aからコンデンサ24aへ流れ、スイッチ22a〜22cを閉じる直前(T14)のVN1に応じた電荷がコンデンサ23bから24bへ流れ、全差動オペアンプ25の非反転出力端子にVP2、反転出力端子にVN2が現れる。
全差動オペアンプ25の後段に自己診断判定を行う診断部7が接続される。診断部7は、自己診断対象であるセンサ1のアンプ出力期間(φ4、φ1)における全差動オペアンプ25の出力に基づいて正常/異常の診断を行う。
図17(a)は、センサ1が正常である場合の、自己診断時と通常動作時の全差動オペアンプ25の出力を示している。自己診断時は、電極変位期間中に与えた電極11a,11c間の静電引力により、可動電極11cが変位する。そのため全差動オペアンプ25の出力は、通常動作時のものと比べ、電極11cの変位量と変位方向に応じた電圧を足した波形(もしくは引いた波形)となって現れる。
図17(b)は、センサ1に異常がある場合の、自己診断時と通常動作時の全差動オペアンプ25の差動出力である。センサ1にスティッキング等の異常がある場合、可動電極11cが固定されているため、静電引力による可動電極11cの変位が生じず、全差動オペアンプ25の出力も変動しない。その結果、通常動作時と自己診断時の全差動オペアンプ25の出力が全く同じとなる。
診断部7は、全差動オペアンプ25の出力が、通常動作時のものから電極11cの変位位置と変位方向に応じた電圧分だけ変化している場合、センサ1は正常だとみなすことが出来る。逆に、変化が無い場合や、変化の量や方向が、可動電極11cの変位量および変位方向から想定されるものとは明らかに異なる場合、センサ1に何らかの異常が起きているとみなすことが出来る。
このように本実施の形態によれば、通常動作時のシーケンス(φ1〜φ3)の基本パターンを変更すること無く、アンプ出力期間(φ1)の一部を利用して電極変位期間φ4を設けて自己診断動作時のシーケンスを構築したので、通常動作時と同じ速度で自己診断が可能になる。
また、本実施の形態によれば、中央の可動電極11cに駆動信号を印加し、2つの固定電極11a、11bから蓄積電荷を2ラインで並列に取り出して全差動オペアンプ25で差動増幅するので、センサ1から全差動オペアンプ25までの経路で混入するノイズを全差動オペアンプ25で除去することができ、従来よりも高いS/N比でセンサ1の電極間容量を検出できる。
第2の実施の形態に対応した本発明の静電容量検出センサは、以下の態様を含む。
本発明の一側面の静電容量検出センサは、物理量の変化に応じて変位する可動電極11cと前記可動電極11cを挟んで対向配置された一対の固定電極11a,11bとからなるセンサ部1と、可動電極11cに印加するための駆動信号D1を発生する駆動信号発生器30と、前記可動電極11cと前記一対の固定電極11a,11bとの間にそれぞれ形成される容量の容量差を、電圧信号に変換するC-V変換回路20とを具備し、前記センサ部1に前記C-V変換回路20を接続した状態で前記センサ部1に前記駆動信号D1を印加し前記センサ部1に生じた容量差に応じた電荷を前記C-V変換回路20へ転送する(電荷を前記センサ部1から取り出す)センサ駆動期間と、前記C-V変換回路20が前記センサ部1から転送された電荷を電圧信号に変換して出力するアンプ出力期間と、自己診断動作時に前記アンプ出力期間の一部に含まれ前記可動電極11cと一方の前記固定電極11aとの間に静電引力を発生させる電極変位期間とを設け、自己診断動作時にセンサ駆動期間と、電極変位期間と、アンプ出力期間とをセンサ部1の応答速度よりも十分に早い周波数で繰り返す特徴とする静電容量検出センサである。
自己診断動作時に電極変位期間に前記可動電極11cと一方の前記固定電極11aとの間に生じた静電引力によって可動電極11cを変位させ、この可動電極11cの変位により生じた容量差を、センサ駆動期間でC-V変換回路20へ転送し、アンプ出力期間で前記C-V変換回路20で電圧信号に変換して出力する。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサについて説明する。本実施の形態は複数軸切替式の静電容量検出センサである。
図18は第3の実施の形態に係る自己診断機能付き静電容量検出センサの回路構成図である。本実施の形態の自己診断機能付き静電容量検出センサは、センサ群1と、スイッチ群2a,2b,2c、3a,3b,3c、4a,4bと、C-V変換回路5と、駆動信号発生器6とを備えて構成される。
センサ群1は、並列に配置されたn組のセンサ11,12,…,1nから構成されている。センサ1k(k=1,2,・・・.n)は、加速度や圧力等の物理量に応じて変位する可動電極1kcと、可動電極1kcに対向する2枚の固定電極1ka,1kbとから成る。電極の記号について、2桁目はセンサの番号を示し、3桁目は3枚の電極のうちのいずれかであることを示す。センサ1kに加わる、加速度や圧力等の物理量に応じて、可動電極1kcが変位し、電極1ka,1kc間の容量Ckaと、電極1kb,1kc間の容量Ckbが変化する。
スイッチ群2aは、C-V変換回路5の反転入力端子側と、いずれか1組のセンサ1kの一方の固定電極1kaとを接続するスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ21a,22a,・・・,2naから構成される。
スイッチ群2bは、C-V変換回路5の非反転入力端子側と、いずれか1組のセンサ1kの他方の固定電極1kbとを接続するスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ21b,22b,・・・,2nbから構成される。
スイッチ群2cは、駆動信号発生器6といずれか1組のセンサ1kの可動電極1kcとを接続するスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ21c,22c,・・・,2ncから構成される。各スイッチの記号の2桁目はセンサ番号を示している。スイッチ2ka,2kb,2kcを閉じることで、センサ1kの電極間容量が検出可能となる。
スイッチ群3aは、センサ1kの電極1kaの電位をV1にするためのスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ31a,32a,・・・,3naから構成される。
スイッチ群3bは、センサ1kの電極1kbの電位をV1にするためのスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ31b,32b,・・・,3nbから構成される。
スイッチ群3cは、センサ1kの電極1kcの電位をV1にするためのスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ31c,32c,・・・,3ncから構成される。スイッチの記号の2桁目はセンサ番号を示している。スイッチ3ka,3kb,3kc(kはセンサ番号)を閉じることで、センサ1kの電極1ka,1kb,1kc間に静電引力が全く働かない状態を作り出すことが出来る。スイッチ3ka,3kb,3kcが閉じている間は、スイッチ2ka,2kb,2kcが閉じることはないように制御する。
スイッチ群4aは、センサ1kの電極1kaの電位を0にするためのスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ41a,42a,・・・4naから構成される。また、スイッチ群4bは、センサ1kの電極1kbの電位を0にするためのスイッチ群であり、センサの数nに応じた複数のスイッチ41b,42b,・・・4nbから構成される。スイッチの記号の2桁目はセンサ番号を示しており、スイッチ4ka,3kb,3kcを閉じることで、センサ1kの電極1ka,1kc間に静電引力を働かせることが出来る。またスイッチ4ka,4kbは、センサ1kの電極間容量を検出するための初期化の際にも閉じる。スイッチ4kaとスイッチ3ka,2kaまたスイッチ4kbとスイッチ3kb,2kbが同時に閉じることはないように制御する。
C-V変換回路5は、接続されているセンサ1kの電極間容量CkaとCkbからの電荷を受け、差動電圧出力に変換するためのものである。C-V変換回路5は、全差動オペアンプ51の反転入力端子がスイッチ53aを介してコンデンサ54aに接続される。非反転入力端子がスイッチ53bを介してコンデンサ54bに接続される。また反転入力端子と非反転出力端子との間にはコンデンサ55aとスイッチ52aが並列接続されている。非反転入力端子と反転出力端子との間にはコンデンサ55bとスイッチ52bが並列接続されている。基準電圧入力端子には電圧V/2が印加される。さらにコンデンサ54aと54bの入力端子はスイッチ53cで接続され、出力端子はスイッチ52cで接続される。3つのスイッチ52a〜52cは同タイミングで開閉し、3つのスイッチ53a〜53cは3つのスイッチ52a〜52cとは異なるタイミングで同時に開閉する。コンデンサ54aと54bの容量をCin、コンデンサ55aと55bの容量をCfとする。
駆動信号発生器6は、センサ1kの電極1kcに印加する駆動信号6cを発生するもので、駆動信号6cはスイッチ群2kcを介して、センサ1kの電極1kcに入力される。
次に、以上のように構成された本実施の形態の動作について説明する。
まず、通常動作時の動作を図19のタイミングチャートを参照して説明する。
図19のタイミングチャートには駆動信号6cの電圧と各スイッチの開閉状態とが主に示されている。駆動信号6cについては、Highで電圧Vを示し、Lowで電圧0を示す。またスイッチの動作についてはHighで閉じた状態を示し、Lowで開いた状態を示す。駆動信号1周期で1つのセンサ1k(k=1,2,・・・,n)の電極間容量を検出し、また1周期ごとに、容量検出するセンサを1,2,・・・,n,1と切り替える。スイッチ2kcがHighでスイッチ3ka,3kb,3kcがLowとなる期間をセンサ1kの容量検出期間と呼び、逆にスイッチ2kcがLowでスイッチ3ka,3kb,3kcがHighとなる期間をセンサ1kの休止期間と呼ぶ。
センサ1kの容量検出期間について説明する。
図19に示すように、容量検出期間は期間φ1と期間φ2の2つの状態に分けて考える。期間φ1,φ2における等価回路図を図20、21に示す。また、センサ1kの容量検出期間におけるタイミングチャートの詳細を図22に示す。
期間φ1の状態では、駆動信号6cが電圧0で、スイッチ52a〜52cが開、スイッチ53a〜53cが閉、スイッチ2ka,2kbが開、スイッチ4ka,4kbが閉となる。このとき、センサ1kの電極1ka,1kb,1kcの電位は0となる。また、コンデンサ54aと54bの出力端子の電位は全差動オペアンプ51のイマージナリーショートにより共にV/2、入力端子はスイッチ53cによって同電位となり、今は計算の便宜上、その電位を0とする。したがって、図20に示す等価回路のように、センサ1k(容量Cka、Ckb)とC-V変換回路5とが電気的に完全に分離され、容量Cka、Ckbの両端子は0Vとなり、C-V変換回路5側のコンデンサ54aと54bの入力端子が0Vとなる。
期間φ2の状態では、駆動信号6cがHighとなるが、一部にLowとなる期間を含む。具体的には、図22に示すように、駆動信号6cがLowの期間であるφ21と、Highの期間であるφ22とを設ける。
Lowの期間であるφ21では、駆動信号6cが電圧0、スイッチ52a〜52cが閉、スイッチ53a〜53cが開、スイッチ2ka,2kbが閉、スイッチ4ka,4kbが開である。このとき、コンデンサ55a,55bの電荷が放電され、全差動オペアンプ51の差動出力が0となる。センサ1kの電極1kcの電位は変わらず0、電極1kaの電位はスイッチ2kaによる接続から、コンデンサ54aの入力端子と同電位となるが、両者ともφ1の状態で電位が0であったため、ここでも共に0となる。電極1kbとコンデンサ54bの入力端子の電位も同様に0となる。また、コンデンサ54aと54bの出力端子は、スイッチ52cによる接続から同電位となり、両者ともφ1の状態で電位がV/2であったため、ここでも共にV/2となる。したがって、図21(a)に示す等価回路のように、センサ1k(容量Cka、Ckb)とC-V変換回路5のコンデンサ54a,54bとが接続し、コンデンサ54a,54bの入力端子は0Vとなり、コンデンサ54a,54bの出力端子はV/2となる。
Highの期間であるφ22では、駆動信号6cがHighとなり、センサ1kの電極1kcの電位がVになると共に、一方の電極1kaからコンデンサ54aへ、また他方の電極1kbからコンデンサ54bへ電荷が流れ、コンデンサ54a,54bの入力端子の電位が変化する。この電位をV1a,V1bとする。また、このときコンデンサ54a,54bの出力端子の電位も変化し、その時の電位をVzとする。図21(b)に示す等価回路のように、コンデンサ54a,54bの入力端子はV1a,V1bとなり、コンデンサ54a,54bの出力端子はVzとなる。
φ21とφ22の電位状態の変化より、電荷量保存則を用いてV1a,V1b,Vzに関する以下の3元連立方程式が成り立つ。3つの式について、1番目の式は電極1kaとコンデンサ54aの入力端子間の電荷量、2番目の式は電極1kbとコンデンサ54bの入力端子間の電荷量、3番目の式はコンデンサ54aの出力端子とコンデンサ54bの出力端子間の電荷量について保存則を用いて立てた式である。
Figure 2011075435
ここで、Csaは電極1kaからスイッチ2kaまでの経路に寄生している容量であり、Csbは電極1kbからスイッチ2kbまでの経路に寄生している容量である。
式4の解より、コンデンサ54aと54bの入力端子にかかる電圧差は以下となる。
Figure 2011075435
後に容量検出期間から休止期間に切り替わる際に、この値が差動入力として全差動オペアンプ51に入力され、全差動オペアンプ51より、以下の差動出力を得る。式6−1中のV2aは差動オペアンプ51の非反転出力端子の電圧、V2bは反転端子出力端子の電圧である。
Figure 2011075435
この式6−2よりセンサ1kに物理量が加わることで、CkaとCkbに差が生じ、その差に応じた差動出力を得ることが分かる。
次に、センサ1kの休止期間について説明する。
休止期間では、スイッチ3ka,3kb,3kcを閉じることで、センサ1kの電極1ka,1kb,1kc全ての電位がV1となる。したがって、静電引力による電極1kcの変位は起きない。
次に、自己診断動作について、図23のタイミングチャートを参照して説明する。
自己診断動作において、通常動作時と異なる点は、各センサ休止期間の一部が電極変位期間に変わっていることである。電極変位期間は新たに加えられるのではなく、休止期間の一部を変更して設けられている。
センサ1kの電極変位期間では、スイッチ4ka,3kb,3kcを閉じているため、センサ1kの電極1kaの電位が0、電極1kb,1kcの電位がV1となる。このとき、電極1ka,1kc間に電位差が生じ、静電引力が発生する。
ここで、自己診断時は、容量検出期間、電極変位期間、休止期間をセンサ1kの応答周波数よりもはるかに早い周波数(1桁以上)で繰り返すことで、電極1ka,1kc間に常に一定の静電引力が働いているような状態を作り、可動電極1kcを変位させる。この可動電極1kcの変位によりCkaとCkbに差が生じ、センサ1kの容量検出期間でこの容量差に応じた差動電圧出力が、全差動オペアンプ51より得られる。
全差動オペアンプ51の後段に自己診断判定を行う診断部7が接続される。図24に示すように、自己診断対象であるセンサ1kの容量は、1(k+1)の容量検出期間において、全差動オペアンプ51より差動電圧として出力される。診断部7は、その出力に基づいて正常/異常の診断を行う。
図24(a)は、センサ1kが正常である場合の、自己診断時と通常動作時の全差動オペアンプ51の出力を示している。自己診断時は、電極変位期間に与えた電極1ka,1kc間の静電引力により、可動電極1kcが変位する。そのため、全差動オペアンプ51の出力は、通常動作時のものと比べ、電極1kaの変位量と変位方向に応じた電圧を足した形もしくは引いた形となって現れる。
図24(b)は、センサ1kに異常がある場合の、自己診断時と通常動作時の全差動オペアンプ51の出力である。センサ1kにスティッキング等の異常がある場合、可動電極1kcが固定されているため、静電引力による可動電極1kcの変位が生じず、全差動オペアンプ51の出力も変動しない。その結果、通常動作時と自己診断時の全差動オペアンプ51の出力が全く同じとなる。
診断部7は、全差動オペアンプ51の出力が、通常動作時のものから電極1kcの変位量と変位方向に応じた電圧分だけ変化している場合、自己診断対象のセンサ1kは正常だとみなすことが出来る。逆に、変化が無い場合や、変化の量や方向が、可動電極1kcの変位量および変位方向から想定されるものとは明らかに異なる場合、センサ1kに何らかの異常が起きているとみなすことが出来る。
以上のようにして、自己診断対象のセンサ1kに関して、他のセンサが通常動作中に、静電引力の大きさに応じた位置まで可動電極1kcを変位させて、その時のCkaとCkbの容量差を全差動オペアンプ51で電圧信号として取り出し、診断部7においてセンサ1kの診断を行う。自己診断対象となるセンサを順次切り替え、自己診断対象のセンサについては上記センサ1kと同様に、容量検出期間、電極変位期間、休止期間を上記周波数で繰り返して、自己診断を行う。
このように、本実施の形態によれば、可動電極1kcと両方の固定電極1ka,1kbに静電引力が全く働かない状態(休止期間)と、可動電極1kcとどちらかの固定電極1ka(又は1kb)との間に静電引力が働いている状態(電極変位期間)とを作り出すことができ、通常動作と同じ検出タイミングで、可動電極1kcと一方の固定電極1ka(又は1kb)との間に静電引力を働かせることが出来る。そして、スイッチ群の接続を周期的に切り替えることで、各センサ1の容量検出期間を順次にシフトすると共に、容量検出期間でないセンサに一定時間の電極変位期間を設けるようにしたので、自己診断時に発生する電極変位期間は、新たに加えられるのではなく、休止期間の一部を変更して設けられており、通常動作時と比べて検出時間が遅くなることはない。
また、電極変位期間の長さを変えることで、その長さに比例して静電引力を変えることができ、全差動オペアンプ55からの出力を調整することも可能である。
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、センサ1の構造や、センサ構造に対応した読み出し回路構成は種々変形実施可能である。たとえば、以上の説明では、1つの可動電極11kcを2つの固定電極11ka,11kbで挟む構造であったが、1枚の固定電極を2枚の可動電極で挟む構造であっても良い。
1、11〜1n センサ
11a、11b、12a、12b、1ka、1kb、1na、1nb 固定電極
11c、12c、1kc、1nc 可動電極
2a〜2c スイッチ群(第1のスイッチ群)
3a〜3c スイッチ群(第2のスイッチ群)
4a スイッチ群(第3のスイッチ群)
5、20 C−V変換回路
5a 差動オペアンプ
5b コンデンサ
5c 放電用スイッチ
6、30 駆動信号発生器
7 診断部
21a〜21e スイッチ群
22a〜22c スイッチ群

Claims (7)

  1. 物理量の変化に応じて変位する可動電極と前記可動電極を挟んで対向配置された一対の固定電極とからなるセンサ部が複数設けられたセンサ群と、
    前記各センサ部の固定電極又は可動電極に印加するための駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、
    前記各センサ部の前記可動電極と前記一対の固定電極との間にそれぞれ形成される容量の容量差を、電圧信号に変換するC-V変換回路と、を具備し、
    前記センサ部に対して前記駆動信号を印加して該センサ部に生じた容量差を前記C-V変換回路で電圧信号に変換して出力する容量検出期間と、前記センサ部に前記駆動信号の供給を停止すると共に前記可動電極及び前記各固定電極を同電位にして休止する休止期間と、前記休止期間の一部に含まれ自己診断対象となる前記センサ部の可動電極と一方の固定電極との間に静電引力を発生させる電極変位期間と、を設け、
    前記容量検出期間となる前記センサ部を順次切り替えると共に、前記容量検出期間でない他のセンサ部は前記休止期間とし、前記休止期間中に自己診断対象となった前記センサ部の前記電極変位期間に前記静電引力を発生させ、当該センサ部から前記静電引力により生じた容量差を検出することを特徴とする静電容量検出センサ。
  2. 前記各センサ部に対して前記駆動信号発生手段及び前記C-V変換回路を個別に接続可能な第1のスイッチ群と、
    前記各センサ部の前記可動電極及び前記固定電極に対して並列に第1の電圧を印加可能な第2のスイッチ群と、
    前記各センサ部における少なくとも一方の前記固定電極に対して第2の電圧を印加可能な第3のスイッチ群と、を具備し、
    容量検出対象となるセンサ部は、容量検出期間中は前記第1のスイッチ群によって前記駆動信号発生手段及び前記C-V変換回路に接続され、
    休止対象となるセンサ部は、休止期間中は電極変位期間を除いて、前記第2のスイッチ群によって当該センサ部の前記可動電極及び前記固定電極に対して第1の電圧が印加されて同電位に保持され、
    自己診断対象となるセンサ部は、電極変位期間中は当該センサ部の前記可動電極と一方の前記固定電極に前記第2のスイッチ群によって第1の電圧が印加され、当該センサ部の他方の前記固定電極に前記第3のスイッチ群によって第2の電圧が印加される
    ことを特徴とする請求項1記載の静電容量検出センサ。
  3. 一対の前記固定電極は、前記第1のスイッチ群を介して前記駆動信号発生手段に接続され、前記駆動信号発生手段から極性の反転した矩形波が前記駆動信号として印加され、
    前記可動電極は、前記第1のスイッチ群を介して前記C-V変換回路の入力端子に接続されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電容量検出センサ。
  4. 前記C-V変換回路は、前記第1のスイッチ群を介して前記各センサ部の前記可動電極が選択的に接続される反転入力端子と前記駆動信号を電圧VとしてV/2の電圧が印加される非反転入力端子とを有するオペアンプと、前記オペアンプの出力端子と前記反転入力端子との間に設けられた第1の出力用コンデンサと、前記第1の出力用コンデンサに並列に接続された第1の放電用スイッチと、を具備することを特徴とする請求項3記載の静電容量検出センサ。
  5. 前記可動電極は、前記第1のスイッチ群を介して前記駆動信号発生手段に接続され、前記駆動信号発生手段から矩形波が前記駆動信号として印加され、
    前記一対の固定電極は、前記第1のスイッチ群を介して前記C-V変換回路の入力端子に並列に接続されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電容量検出センサ。
  6. 前記C-V変換回路は、
    前記第1のスイッチ群を介して前記各センサ部の一対の固定電極が選択的に接続される反転入力端子及び非反転入力端子と前記駆動信号を電圧VとしてV/2の電圧が印加される基準電圧入力端子とを有する全差動オペアンプと、
    前記全差動オペアンプの非反転出力端子と前記反転入力端子との間、並びに反転出力端子と前記非反転入力端子との間にそれぞれ設けられた第2の出力用コンデンサと、
    前記各第2の出力用コンデンサに並列にそれぞれ接続された第2の放電用スイッチと、
    前記全差動オペアンプの入力段にそれぞれ設けられた一対の転送用コンデンサと、
    第2の放電用スイッチの開閉動作に同期して、前記各転送用コンデンサの出力端子間を開閉するスイッチと、
    前記一対の転送用コンデンサと前記全差動オペアンプの各入力端子との間を開閉する共に前記各転送用コンデンサの入力端子間を開閉する第4のスイッチ群と、を備え、
    容量検出対象となる前記センサ部に生じた容量差に対応した電荷を前記センサ部から前記各転送用コンデンサへ転送する際に、前記スイッチが閉じられると共に、前記第4のスイッチ群が開かれ、
    前記全差動オペアンプから電圧信号を出力する際に、前記スイッチが開かれると共に、前記第4のスイッチ群が閉じられることを特徴とする請求項5記載の静電容量検出センサ。
  7. 自己診断対象となる前記センサ部について、前記容量検出期間、前記休止期間、前記電極変位期間を、前記センサ部の応答速度よりも十分早い周期で繰り返すことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の静電容量検出センサ。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013120087A (ja) * 2011-12-06 2013-06-17 Denso Corp 容量式センサ装置
JP2014153204A (ja) * 2013-02-08 2014-08-25 Denso Corp 容量式物理量検出装置
JP2014215194A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 ヤマハ株式会社 センサーデバイス

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